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送金プラットフォームのWise(旧TransferWise)、ロンドン証取への直接上場を検討

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世界的なフィンテック企業である Wise(旧 TransferWise)は、株式の直接上場によるロンドン証券取引所への上場を検討していると発表した。

Wise 創業者の2人。左から:Taavet Hinrikus 氏、Kristo Käärmann 氏
Photo credit: Wise

また、同社は17日中に取引所への参加の可能性に関する文書を発表する予定であると発表した。

上場後、Wise は A 種株式と B 種株式の2種類の株式を発行するデュアルクラス株式構造を採用する。本年5月23日時点のすべての株主および権利が確定したオプションの保有者は、A 種株式の50%と、それに対応する B 種株式を1対1で受け取ることを選択できる。

上場が実現した場合、Wise は「OwnWise」と呼ばれる顧客向け株主プログラムの設立を計画しており、17日よりイギリスの対象顧客を対象に事前申請を開始している。このプログラムに参加すると、少なくとも1年間、保有する株式価値の約5%(最大100ポンド)に相当する Wise のボーナス株式を受け取ることができる。

また、対象となる顧客は、同社のコミュニティ OwnWise に参加することができる。このコミュニティでは、四半期ごとに Wise チームとのセッションが行われるほか、新機能や新製品への早期アクセスが可能となる。ただし、OwnWise は、初年度の参加顧客数を10万人に限定している。また、上場後には、一部の国で他の対象顧客にも申し込みを開始する予定だ。

上場予定に加えて、 Wise は2021年度の業績で、事業展開するすべての地域で、個人および法人の顧客を対象に「力強い成長がある」と報告している。

Wise の2021年度の業績は、個人と企業の取引を合わせた総取引量が544億ポンド(約8.4兆円)に達した。これは、越境送金417億ポンド(約6.4兆円)を取り扱った前年度に比べて30%の増加となる。

Wise の収益も、前年の3億260万ポンド(約460億円)から4億2,100万ポンド(約640億円)に増加、また調整後の EBITDA は、前年同期の6,820万ポンド(約105億円)から1億870万ポンド(約167億円)に増加した。

同社のアクティブユーザ数は、昨年の470万人に対し、現在は600万人となっている。また、2022年度の初めには、個人向けおよびビジネス向けの数量および収益において、同社のサービスに対する「強い需要」が見られた。

今後の見通しとして、 Wise は、中期的には売上高が年平均20%以上の複合成長率で伸び、調整後の EBITDA マージンも20%以上を維持すると予想している。一方、2022年度については、パーセンテージベースで20%台前半から半ばの収益成長を見込んでいる。

【via Tech in Asia】 @Techinasia

【原文】

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コロナ禍でデジタル化の先頭を走るエストニアから、日本のDXを考える〜福岡「ASCENSION 2020」から

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福岡市は、2020年11月27日にスタートアップに特化した国際交流オンラインイベント「ASCENSION 2020」をオンライン開催した。 本稿は、ASCENSION 2020 で行われた、「GLOBAL STAGE」のエストニアセッションについてまとめた。GLOBAL STAGE では、福岡市がパートナーシップを結ぶ世界各地域の最新のスタートアップやテクノロジーの情報や海外展開に関する最新動向が…

左上から時計回り: Ait Oliver 氏(駐日エストニア大使館)、宗原智策氏(NordicNinja)、日下光氏(xID)、斎藤アレックス剛太氏(SetGo)

福岡市は、2020年11月27日にスタートアップに特化した国際交流オンラインイベント「ASCENSION 2020」をオンライン開催した。

本稿は、ASCENSION 2020 で行われた、「GLOBAL STAGE」のエストニアセッションについてまとめた。GLOBAL STAGE では、福岡市がパートナーシップを結ぶ世界各地域の最新のスタートアップやテクノロジーの情報や海外展開に関する最新動向が語られた。

本セッションは、駐日エストニア大使館商務官の Ait Oliver 氏、行政の DX(デジタルトランスフォーメーション)支援を行う xID(クロスアイディ) CEO の日下光氏、NordicNinja のベンチャーキャピタリスト宗原智策氏をパネリストに迎え、xID や日本企業のエストニア進出支援を行う SetGo の斎藤アレックス剛太氏がモデレーターを務めた。

(文:馬本寛子、編集:池田将)

繋がりの強い小さなコミュニティの「強み」

エストニア・タリンの街並み
Image credit: scanrail / 123RF

エストニアで xID を創業した日下氏は、「コミュニティは小規模だが、中の人同士の繋がりが強い」と話す。

国内市場が小さく、多くのスタートアップは海外展開を前提に事業を立ち上げるため、様々な国の市場について情報を共有する環境があるのではないか。(日下氏)

また、エストニア政府の一員でもある Ait 氏は、政府と民間の距離が近く、包括的なスタートアップエコシステムがつくられていると特徴を述べた。ICT 教育を強化し、小学校教育から、プログラミングを教えるなどの取り組みが行われていることからも、政府の熱量がうかがえる。それらの特徴に加え、資金調達やメンタリングシステム、ネットワーキングを行う環境は、比較的整備されていると話した。

宗原氏は、エストニアスタートアップエコシステムの雰囲気について触れた。

日本人である私はエストニアでは「外国人」という立場だが、スタートアップシーンをつくりあげていく一員として、(エコシステムに)所属していると実感できる。国外からも参加しやすい、居心地の良いコミュニティだ。(宗原氏)

パネリストの全員が、官民連携の強さやコミュニティが小規模ながら繋がりの強さを指摘した。2011年にマイクロソフトに買収された「Skype」の創業や経営に携わっていたメンバー(Skype マフィア)や、ユニコーンをつくりあげた起業家が身近にいることから、良いメンターに巡り合える可能性も高いと言える。

コロナ禍で浸透が進んだデジタル化

Image credit: Government of Estonia

「コロナ禍における、エストニアのビジネスシーンが受けた影響」について、Ait 氏は、行政面とスタートアップ面のそれぞれの変化について話した。

エストニアでは、2001年頃から政府のデジタル改革が進められており、コロナ禍において、これらの取り組みは功を奏した。国民一人ひとりにデジタル ID が与えられ、インターネット投票なども行われている。デジタル化に伴う、法的整備も進んでいたことから、法的文書のデジタル署名なども問題なく進められた。

コロナ禍以前にもデジタル署名は使用できたが、コロナ時代に突入してから、デジタル署名の使用率は5割上昇した。また、サイバーセキュリティや IT サービスを取り扱ったスタートアップなどが多いことから、多くの企業が売上も良好で、コロナ禍でも資金調達のニュースが多かったという。

さまざまなエストニアスタートアップの投資に関わる宗原氏は、コロナ禍で成長した投資先企業として AI を利用したオンライン ID 認証システムを提供する Veriff、配車サービスの Bolt、オンデマンドデリバリの ZITICITY の3社を挙げた。

例えば、これまで配車サービスに注力していた Bolt は、コロナ禍で電動スクーターや電動バイクなどのマイクロモビリティ事業が成長し、公共交通システムに変わるサービスになりつつあるという。乗降車のオペレーションシステムが評価され成長が加速しているそうだ。

DX の鍵を握る「データマネジメント」

DX の局面で発生するトラブルやそれらの解決方法については、データマネジメントが DX の鍵を握る。アナログデータからデジタルデータに移行することをデジタル化の定義とし、データ活用事例とデータを取り巻く現在の課題についても議論がなされた。

デジタルデータは収集が容易であり、集めたデータを分析することでユーザー理解を深め、マーケティング戦略の構築に活用できるが、課題もある。UberEats やDoordash などのフードデリバリサービスのようなプラットフォーマーに顧客データの詳細が集中するため、実際に食べ物を提供する飲食店などのサプライヤーに情報が届かなくなり、商品開発にデータを活かせないという課題が浮上する。

近年、欧米では Cookie でのデータ取得が難しくなりつつある状況も踏まえ、今後はデータをどのように収集し、取り扱っていくかというデータマネジメント上の課題の解決方法が鍵となるだろう。

政府のデジタル化を進めた3つのポイント

エストニアの電子 ID システム
Photo credit: e-Estonia Showroom / CC BY 2.0

2001年からデジタル化に乗り出したエストニアが、政府の電子化を実現した背景について Ait 氏は、3つのポイントを挙げた。

1. デジタル化を進めるために、政府は具体的な目標を掲げた。

エストニアの政府戦略は、明確な目標が設定されており、具体的な目標数値、KPI、目標のために実行されることが国民に対しても明示されている。

2. デジタル化を進めるためのツールがしっかりと用意された。

デジタルIDの取得はエストニア国民の義務とされているため、全ての国民がデジタルIDやIDカードなどを保有している。これらの「義務化」は重要な役割を果たした。

3. 導入されることによって、政府・企業・国民のそれぞれが便利になり、国民の理解が進みやすいサービスからデジタル化が進められた。

一番はじめに、税金関連の仕組みからデジタル化が進められた。もし、投票システムを足掛かりにはじめていたら、デジタル化はここまでスムーズに進まなかっただろう。

モデレータの斎藤氏は Ait 氏が挙げたこれらのポイントに加え、、エストニア政府の透明性について触れ、「政府も、スタートアップ的な視点で行政を執り行っていると感じる」と話した。

日本のスタートアップに必要な視点「BLT」

加賀市とxID(当時、blockhive)が連携協定を締結(2019年12月)
Image credit: xID

石川県加賀市や茨城県つくば市と行政のデジタル化に取り組む日下氏は、日本国内におけるデジタル化を取り巻く課題について話した。

日本国内のスタートアップの多くは、法的な課題にぶつかる。日本でスタートアップとして新しい事業を行っていくには、BLT(ビジネス・リーガル・テクノロジー)の3つの全てをバランスよく理解せねばならない。

そのような問題を解決する方法のひとつとして、大企業との協業という選択肢を挙げた(編注:xID は加賀市のプロジェクトで、トラストバンクと連携)。協業先と共に法務的な面からサービスを考えたり、力を借りたrしながら法規制に働きかけるなどして、問題解決に取り組める可能性を示唆した。

また、国と地方自治体では、規制や法律が大きく異なることについても指摘した。実際に xID では加賀市で、デジタルIDアプリとマイナンバーカードの連携を行い、行政のデジタル化を進めているが、これらの導入においては、日下氏らが加賀市に1ヶ月間滞在し、ワークショップなどを行ったという。

パネリストは日本の行政などの DX 化に向けて必要なことを挙げ、本セッションは締めくくられた。

このチャンスを活用することで、誰もが便利で意味のある仕組みが作れるのではないか。コロナ禍の今こそ、大きく前進するチャンスだ。(Ait 氏)

若い世代に対してデジタル化による恩恵について伝え、エンパワーメントしていくことが必要だ。(宗原氏)

デジタルIDは、行政のデジタル化において重要な役割を果たすと思う。デジタルIDを浸透させるためには、国民を安心させるほどの透明性の確保が重要だ。(日下氏)

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車のローンが通らない人向けサブスク「Planet42」、南アフリカで展開加速

ピックアップ:Car subscription startup raises $10-million in debt finance ニュースレターの購読 注目すべき記事、世界のスタートアップシーンの話題、BRIDGE 主催のイベントに関する情報をお届けします! Sign Up ニュースサマリ:2017年に設立された、エストニアを本拠地に南アフリカで自動車のサブスクリプションサービスを展開するPl…

ピックアップ:Car subscription startup raises $10-million in debt finance

ニュースサマリ:2017年に設立された、エストニアを本拠地に南アフリカで自動車のサブスクリプションサービスを展開するPlanet42は、今年初めにシードラウンドでの240万ドルの資金調達を行い、今月(2020年12)月初めに金融機関であるLendableからデットファイナンスによる1,000万ドル(820万ユーロ)の資金調達を実施した。この資金は、南アフリカ人の自動車購入とモビリティの民主化という目標と2024年までに10万台の自動車を購入するという目標に向けて使用される。

同社のサービスは、審査の厳しい南アフリカで自動車を購入したくてもローンが組めない人たちをターゲットにしており、利用期間に応じて買取額の下がる購入オプションによって、長期間サービスを利用した後には比較的安価な値段でその自動車を買い取ることも可能となる。

詳細:Planet42がサービスのターゲットとしているのは銀行口座を保有していない人と、銀行口座を保有していてもローンが組めず、これまで自動車を購入したくてもできなかった人たち。 南アフリカをはじめ新興国には銀行が非常に保守的な国があり、こういった国では安定した収入があってもローンが組めないということが珍しくない。

  • このような顧客に対して、同社は独自のスコアリングアルゴリズムに基づいたリスク評価を行う。顧客はその後リスク評価に基づいて提示される使用可能な中古車リストの中から、自分が使用したい車を選択すると、Planet42がその車を提携ディーラーで購入し、顧客へサブスクリプションサービスとして提供する。リスク評価から車購入までのプロセスは人を介さず全てシステム上で行うことで人件費やコストを削減し、車の貸し出しにあたっては追跡装置と車両保険を付加してリスクヘッジをしている。
  • 利用者はいつでも好きなタイミングでその車を買い取れるオプションがあり、60カ月のレンタル利用後には5,000ランド(約350ドル)で車両を購入できるようになる。
  • 同社は既に南アフリカの300以上のディーラーと提携し2,000台以上の車を購入しており、これらの車の月額利用料からおおよその収益の予測が可能であるため、今回の1,000万ドルのデットファイナンスが実現した。
  • 新型コロナウィルスの流行によって多くの顧客の収入が減少したことを知ると、一部のユーザーに対しては料金の減額や支払い免除などの救済措置を行ったが、パンデミックにより公共交通機関が機能しなくなったことでサービスの利用を開始するユーザーもいた。その結果、新型コロナウィルス流行下でも同社は四半期ごとに収益を伸ばしており、今後は東南アジアやラテンアメリカの新興市場への事業拡大も検討、2021年にシリーズAラウンドでの資金調達を計画している。

背景:南アフリカに限らず、アフリカやアジア、ラテンアメリカには公共交通機関網が貧弱ながら、銀行ローンなどの審査が厳しく個人の交通手段を持つこともできない人が多い「輸送の貧困」という問題を抱える国があり、こういった国では交通手段の欠如が社会的・経済的な排除へとつながってしまう。同社では、モビリティを提供することでキャリアや教育の機会により多くの人々がアクセスできるようになり、物理的なモビリティを有効にすることがソーシャルモビリティのロックを解除する、と考えている。

執筆:椛澤かおり/編集:岩切絹代

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エストニアが教えてくれる、アフターコロナ時代のインターネット投票のあり方

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アメリカが電子投票機や郵送投票をめぐる論争に取り組む一方、エストニアは、新型コロナ後の世界における選挙についての多くの懸念に対処すべく遠隔投票システムを開発した。 15年以上かけて改良されたエストニアの投票システム「i-Voting」では、政府発行のスマートカードを使って自宅のコンピュータから投票を行うことができる。現在、国民の46.7%がこのシステムを利用しており、この数字は年々着実に上昇してい…

ブラジルの電子投票機
Photo credit: 国営ブラジル通信 / CC BY 3.0 BR

アメリカが電子投票機や郵送投票をめぐる論争に取り組む一方、エストニアは、新型コロナ後の世界における選挙についての多くの懸念に対処すべく遠隔投票システムを開発した。

15年以上かけて改良されたエストニアの投票システム「i-Voting」では、政府発行のスマートカードを使って自宅のコンピュータから投票を行うことができる。現在、国民の46.7%がこのシステムを利用しており、この数字は年々着実に上昇している。

しかし依然として、エストニアはこの方法で投票する唯一の国である。問題は技術ではない。世界中のどの政府が使ってもいいように オープンソース化されている。本当の障害は「政府発行」というフレーズだ。システムが機能するためには、住民は電子身分証明と個人情報を政府に託さなければならない。

世界中の政府、特にアメリカでの政府に対する信頼の低下は、コロナウイルス追跡アプリのような中央集権型技術の障害となっている。政府がパンデミック時の投票などの問題を解決するために、データ集約型のテクノロジーを使用することを検討するには、透明性を高めることで市民との関係をリセットしなければならない。

e エストニア・ブリーフィングセンターのデジタルトランスフォーメーションアドバイザー Florian Marcus 氏は、次のように語った。

信頼は絶対的に重要だ。ほとんどの政府は、データの使用方法について透明性を欠いているため、社会からの信頼を完全に失っている。とはいえ、デジタル化は常にツールだと思う。正しいやり方もあれば、間違ったやり方もある。そして、何が正しくて何が間違っているかをどのように認識するかは国民次第だ。

パンデミックの最中にあるアメリカでの投票の課題は、ジョージア州で混乱した一次投票をきっかけに、ここ数日で浮き彫りになっている。投票用紙を投じようとする有権者は、大行列と長い遅延に直面した。電子投票機の故障も問題だったが、ジョージア州はまた、投票用紙を配送する上での物流問題に加え、ボランティアの大幅な不足に直面した

投票権活動家は、電子投票機の問題を避けるため紙の投票用紙に戻すことを要求しているが、それでは投票所の不足やスタッフの人手不足を解決することはできない。活動家らは郵送投票の拡大使用も求めているものの、トランプ大統領は有権者の不正行為につながるだけと吹聴し、この案が暗礁に乗り上げるのを狙っている

エストニアの電子 ID システム
Photo credit: e-Estonia Showroom / CC BY 2.0

一方、エストニアは「e-Estonia 構想」によって、世界で最もテクノロジーを推進した国の一つとなった。このプログラムの目玉は、2048ビットの公開鍵暗号化を使用したチップを搭載した国民 ID カードだ。住民はこのカードを、エストニア政府のさまざまなサービスで確実な身分証明書として使用することができる。国民健康保険証として、銀行口座へのアクセスにも、デジタル署名や納税や創業申請などにも利用できる。

もちろん、投票にもだ。

i-Voting は2005年の地方選挙で開始された。Marcus 氏によれば、その年に i-Voting を使用した人は多くなかったが、選挙を経るごとに利用者数は増加している。

i-Voting の普及スピードは速い。時間が経つに連れ、i-Voting に夢中になる人が増えている。

今日、エストニアでは、投票のために身元を確認する方法が2つある。1つ目は、電子 ID カードを直接使用する方法だ。エストニアでは現在、ほとんどのラップトップにはカードリーダーが内蔵されているが、住民は外付けのリーダーを手に入れることができる。外付けのリーダーの価格は、約15米ドルだ。

投票するには、住民は投票アプリをダウンロードし、カードを使ってログインする。アプリはすぐにユーザの投票区を認識し、選挙区と候補者のリストを表示する。住民が選択をすると、アプリは住民に選択を確認するように求める。最後のステップは、法的拘束力のある署名として機能する PIN コードの入力だ。

投票が登録されるとQR コードが表示され、スマートフォンでスキャンすると投票が正しく登録されているかどうかを確認できる。10日間の投票期間中は、最終期限までに何度でもシステムに戻って投票内容を変更することができる。

また、コンピュータ上での投票は、ID カードではなくスマートフォンを使って確認することもできる。エストニアの通信事業者は、同じ政府身分証明書が入った特別な SIM カードを販売している。利用者は電子スマートカードと一緒に SIM カードを購入し、政府のアカウントにリンクさせる。そして、オンライン投票の際には、その SIM カードを使って個人認証ができる。

エストニア政府は信頼を得るために、投票システムのコードをすべて GitHub に公開している。国民は自分のデータハブにアクセスでき、政府がどのような個人情報を持っていて、それがどのように使われているかを見ることができる。Marcus 氏によると、選挙のたびに参加者は徐々に増えているという。

エストニアでは今のところ、インターネット投票システムが事実上、人口の約半分の人々にとって郵送投票に取って代わった。残りの半分の人たちは、まだ公的な投票所に出向き、伝統的な方法で投票している。また、エストニアでは最終的な投票が集計される前に結果が公表されることはない。

e-Estonia ブリーフィングセンター内部。Skype や TransferWise などエストニアから生まれた有名スタートアップが紹介されている。
Photo credit: Masaru Ikeda

Marcus 氏は任務の一環として、e-Estonia ブリーフィングセンターで仕事をしている。しかし、i-Voting システムに関しては、エストニアの足跡をたどった国はほとんどない。Marcus 氏によると、地方政府2つがパイロットプロジェクトを行っているが、他の国ではシステムを採用していないという。

これは信頼の問題に帰着する。投票以外にも、アメリカでは政府発行のIDカードというアイデアは、いまだに難しいものだ。ほとんどの国民は社会保障番号を持ってい流ものの、標準的な ID カードは運転免許証のままだ。

約20年前、オラクルの Larry Ellison 氏は国民 ID カードの導入を試みた。9.11同時多発テロの後、オラクルはそのようなシステムを作成するための無料ソフトウェアをアメリカ政府に寄付した。Ellison 氏は自身の書いたこの提案の中で、社会保障カードや運転免許証などの ID はクレジットカードと同じ機能を持つべきであり、政府が保有する個人データはすべて一元化されるべきだと主張した

多くのアメリカ人は、国民 ID カードが基本的自由を犠牲にし、個人のプライバシーを侵害するのではないかと本能的に恐れている。表面的には、IDカードを発行することは重要なステップのように見える。私たちの名前、住所、勤務先、収入額、収入源、資産、買い物、旅行先などのデータベースを維持するために政府を信頼することは、大きな飛躍のように思える。

オラクルの提案に対する反発がきっかけで、この構想は頓挫してしまった。20年後、アメリカ市民とテクノロジーや政府との関係は対立しているため、このアイデアを再検討する可能性は低いと思われる。それでも Marcus 氏は、コロナウイルスが政府や企業にあらゆるアプローチを見直すきっかけになっていると考えているという。

そして、多くの国が長い間国民 ID カードを発行してきたヨーロッパでは(チップ無しではあるが)、i-Voting のための準備ができているかもしれない、と Marcus 氏はより楽観的に考えている。EU は加盟国に対してそのようなシステムを黙認しているが、まだ導入に向けた努力をしている国はない。

政府がステップアップする時が来たと認識しているため、デジタル化全体が今後数年間で後押しされると思う。政府がまず導入したいと思っているのは i-Voting だろうか? 私はそうは思わない。e ヘルスシステムやビジネスのためのデジタルインフラの方が優先順位が高いかもしれない。しかし、個人的には、i-Voting は非常にエキサイティングなトピックであり、ほとんどの国がそれに乗るべきだと考えている。

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【via VentureBeat】 @VentureBeat

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エストニア発、AIとユーザ収集データ活用で〝次世代の交通安全〟を提起するSupervaisor——日本企業との協業やテストを目下模索中

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自動運転がより身近で高度なものになった時に、スピード違反や駐車違反といった概念が、この世の中から無くなるのか——テクノロジーに関わる者として、筆者が興味を持つことの一つだ。AI とセンサーを備えルールに忠実になったクルマは、中に乗っている人に危害が及ばない限り違法行為はしないようプログラムされるだろうし、運転者がいなければ、理論上は飲酒運転も撲滅できることになる。 レベル4自動運転のクルマが事故を…

Supervaisor CEO の Silver Keskküla 氏。東急のオープンイノベーション施設「SOIL」で撮影。
Image credit: Masaru Ikeda

自動運転がより身近で高度なものになった時に、スピード違反や駐車違反といった概念が、この世の中から無くなるのか——テクノロジーに関わる者として、筆者が興味を持つことの一つだ。AI とセンサーを備えルールに忠実になったクルマは、中に乗っている人に危害が及ばない限り違法行為はしないようプログラムされるだろうし、運転者がいなければ、理論上は飲酒運転も撲滅できることになる。

レベル4自動運転のクルマが事故を起こした時に、誰がその過失責任を負うのかという点には議論を伴うが、意図的な違法行為が起きる可能性は技術的に極小化できるので、オックスフォード大学准教授 Michael A Osborne 氏が言う「消える職業」の536位にある警察官、特に、ネズミ捕りや駐車違反の取締をする警察官は必要なくなるのかもしれない。

加速・減速の頻度などドライバー個々の安全運転特性を取り込んだテレマティクス保険も現実のものとなりつつある。法律が追いつけば将来は車検制度も動的に運用できるようになることを期待したい。モビリティの進化によって実現可能になる交通周辺サービスの効率化に加えて、コレクティブなユーザ参加型の仕組みづくりで交通を進化させようとするスタートアップもいる。エストニア発の Supervaisor だ。Skype や TransferWise といった、既成概念をひっくり返すサービスを多く輩出しているエコシステムから、新星の誕生となるかもしれない。来日中の CEO Silver Keskküla 氏に話を聞いた。

Supervaisor のモバイルアプリ
Image credit: Supervaisor

Keskküla 氏は、Skype 設立初期のリサーチエンジニアを務め、その後2014年に、仕事や住環境などの好みやスタイルに合わせて移住先を見つけてくれる都市マッチングサービス「Teleport」を設立。Teleport は2017年、Google 傘下のモビリティ管理プラットフォーム「MOVE Guides」に買収され注目を集めた(MOVE Guides は後に Polaris Global Mobility と合併、Topia となった)。Teleport 売却後、約2年にわたり Topia の Vice President を務めた Keskküla 氏は、2018年の Supervaisor の創業で再び連続起業家の道へと舞い戻った。

WHO(世界保健機関)の発表によれば、世界では23秒に1人のペースで人が交通事故で亡くなっている。Supervaisor では、歩行者やドライバが、車の危険行為や交通上の問題点などを動画撮影し申告できるアプリを配布。こうしてユーザから集められたデータ集積をもとに、Supervaisor は交通上の危険箇所の指摘を行なったり、警察など交通取締当局に対して進言を行なったりしている。警察当局の取締を支援する仕組みではなく、あくまでリスク排除のための情報収集に利用されるため、ユーザが撮影した動画にはプライバシー保護の観点から自動的に顔にボカシが入る。

Supervaisor は昨年、日本のソフトウェア系特化ファンド MIRAISE も参加したプレシードラウンドで130万ユーロ(約1億5,600万円)を調達した。Keskküla 氏はプロダクト開発と市場検証で、エストニアのタリン、東京、シリコンバレーを飛び回る日々だ。Supervaisor は今はまだエストニア国内の限定ローンチだが、多くの自動車メーカーが本拠を構える日本市場で、さまざまな事業提携を模索しているようだ。

テストを一緒にやってくれる事業会社は見つけたい。例えば、ダッシュボードカメラ(ドライブレコーダー)のメーカーなど。ドラレコは衝撃があった際の前後の動画のみを記録するようにできているので、ドライバが撮影したいと思ったシーンを Supervaisor に共有してもらうにはカスタマイズが必要になる。(中略)

その他にも、タクシー会社や運送会社などが自社のドライバの安全確保のために導入することも考えられる。保険会社や自動車メーカーとも協業できるかもしれない。e スクーターにビデオフィードをつけ動画をリアルタイムで集める、というような展開も考えられる。(Keskküla 氏)

先日、NTT 東日本のデモデイでは、LUUP もモビリティとカメラを組み合わせた仕組みを紹介していた。5G が普及すれば、多くの人が移動体から動画をライブストリーミングしたとしても、モバイルの回線輻輳が生じる可能性も低くなる。集積されたデータは、交通のみならず、我々のさまざまな日常生活に役立つことが期待できるだろう。Supervaisor の日本でのサービスローンチが待ち遠しい限りだ。

集積された動画データのイメージ(タリン市内)
Image credit: Supervaisor

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エストニアへの讃歌【ゲスト寄稿】

本稿は、フランス・パリを拠点に世界各地のスタートアップへの投資を行っているベンチャー・キャピタリスト Mark Bivens 氏によるものだ。Mark Bivens 氏の許諾を得て翻訳転載した。(過去の寄稿) The guest post is first appeared on Mark Bivens’ Blog. Mark is a Paris- / Tokyo-based venture c…

mark-bivens_portrait本稿は、フランス・パリを拠点に世界各地のスタートアップへの投資を行っているベンチャー・キャピタリスト Mark Bivens 氏によるものだ。Mark Bivens 氏の許諾を得て翻訳転載した。(過去の寄稿

The guest post is first appeared on Mark Bivens’ Blog. Mark is a Paris- / Tokyo-based venture capitalist.


Image credit: berean / 123RF

8月、毎年夏の恒例になりつつあるバルト3国への旅のため、私はヨーロッパに戻っていた。今回は、旅の大部分をエストニアのタリンで過ごした。私はタリンの街が好きで、将来の投資先になりそうな所もいくつか訪問した。

自分のエストニアの会社の事務作業もいくつかこなした。でも、エストニアの「e-residency」のプログラムのおかげで、これらの事務はオンラインでもこなせるため、率直に言って、ほどんど作業は必要なかった。エストニアに出向く必要さえない。

ご存知ない方のために申し上げるなら、EU 域内で何かしらビジネスをする関心があるなら、エストニアの e-residency を検討することを強くお勧めする。ヨーロッパ以外の市民にとって、その恩恵は非常に大きい。私のような EU 市民でさえ、e-residency を取得し、その後、エストニアに会社を設立する理由を多く見つけた。私は当面の必要性より知的好奇心からこの冒険を始めたが、昨年、エストニアのスタートアップに初めて出資した時、e-residency を持つことで、全ての事務処理が劇的に促進されることがわかった。

バルトの虎

ヨーロッパが持つ問題解決の力やイノベーションについて考えるとき、エストニアのような小さな国を賞賛せずにはいられない。人口わずか130万人しかいないこのバルトの国には、ハイテクユニコーンが4社もある。人口が100倍以上の日本よりも多い。

エストニア生まれの Skype は最初の eBay の頃にスタートアップブームを起こし、のちに Microsoft が85億米ドルで買収。創業者らはそうして得た利益を母国に再投資した。それ以来、さらに3つのエストニア企業がユニコーンの基準とされる企業価値10億米ドルを上回った。Playtech(ギャンブルソフトウェア)、Taxify(配車)、TransferWise(送金)だ。

「Skype マフィア」ロールモデルの集積、エストニアの起業家 DNA、エストニアのデジタル政府インフラが、スタートアップに適した環境作りを促した。人口に占めるスタートアップ数で見れば、エストニアのそれはヨーロッパ平均の6倍、人口10万人に対しスタートアップの数は31社を超えている。

e-residency 登録者では日本人が最多だけれど……

Image credit: Government of Estonia

昨年、エストニア領事館との面談で、e-residency には世界中から5万人が登録していて、信じるかどうかはさておき、日本からの登録が最多を占めていることを知った。

これは名誉なことなのだが、日本の e-residency 登録者は一度 e-residency のステイタスを手に入れてしまうと、その後何もしないという評価をエストニア政府内で買うに至っている。言い換えれば、エストニアへの投資、公共部門の活動へのオンライン参加、あるいは、個人用にエストニアで簡単な会社を作るなど、e-residency の精神を尊重する日本の e-residency 登録者はほとんどいない、ということだ。

この話を聞いたとき、急ぐ必要はなかったものの、私は自らエストニアに会社を設立することをその場で決め、日本のイメージを払拭しようと決意した。

エストニアで新会社を登録するのは極めて簡単だ。e-residency を入手したら、その後は新会社を作るまで1時間かからなかった。まさかではあるが、そのうちの45分間はスマートカードリーダーを認識するよう Windows OS をアップグレードに費やしたので、エストニアの事業作成手続には実質的に15分間しかかかっていない。この手続は遠隔でも実行できるが、エストニア現地の登録連絡先が必要になる(政府が運営するサービスプロバイダのマーケットプレイスを参照するか、紹介が必要なら私にメールしてもらってもいい)。

この投稿を書きつつ、私はエストニア政府から金をもらっている広告セールスマンが話しているように聞こえてしまう危険を禁じ得ないが、誓って、私は彼らから金をもらっていない。私の伝道は純粋に利他的だ。古い格言に例えるなら、「改心した人こそ最も熱心」ということだと思う。

まだためらっている? エストニアは、未分配利益に法人取得税を課さないことを知るべし。

Elagu Eesti!(エストニア語でエストニア万歳!)

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送金プラットホームTrasferWiseの企業価値が35億ドルを突破ーー調達した3億ドルを初期投資家・社員へ利益分配

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ピックアップ:TransferWise Valued At $3.5 Billion As Founders Sell Stake ニュースサマリー:送金プラットホーム大手のTrasferWiseが新たに2億9200万ドルの資金調達を実施した。同調達ラウンドはセカンダリーマーケットを通して実施された。参加したのはAndreessen HorowitzやLead Edge Capital、Vitru…

スクリーンショット 2019-05-25 11.33.54.png
credit: Transferwise website

ピックアップ:TransferWise Valued At $3.5 Billion As Founders Sell Stake

ニュースサマリー:送金プラットホーム大手のTrasferWiseが新たに2億9200万ドルの資金調達を実施した。同調達ラウンドはセカンダリーマーケットを通して実施された。参加したのはAndreessen HorowitzやLead Edge Capital、Vitruvian Partners、Lone Pine Capitalなどを含む6つのファンド。

今回の調達により同社の企業価値は35億ドルを突破したが、これにより英国のレンディング・スタートアップであるOakNorthを抜き、ヨーロッパで最も企業価値の高い企業となった。TransferWiseがサービスを提供し始めたのは2011年、エストニア人の2名の起業家により創業された。現在は約1600人の従業員と12のオフィスを持つユニコーン企業となっている。

話題のポイント:今回の調達はセカンダリーマーケット、つまり未公開株式の売買が可能な市場を通じて実施されました。記事の中で共同創業者兼CEOのKristo Käärmannは次のようにコメントしています。

今回の資金調達は、決して運転資金を集めるためだけではありません。本当の狙いは、私たちのミッションに継続的に興味を示す投資家に対する投資機会の提供と、初期投資家へと社員(労働者)への恩返し(利益分配)です。

TransferWiseは自社株を保有する一部の投資家・社員に対し、セカンダリーマーケットでの売買を可能にし、初期投資家から新規投資家へと株を売却できるようにしました。これによって、イグジットしたい投資家についてはこのタイミングで利益を確定してもらい、また、従業員についても配分を実施したようです。通常、IPOで発生する内容を先にプライベート市場で実施した、ということになります。

これまでは銀行が国際送金市場を牛耳っており、そのプロセスのコストから、手数料はバカにならない額が引かれていました。しかし、TransferWiseのようなサービスがそのような既成の枠組みを破壊し、市場を活性化することで、グローバル化する金融市場は一層活性化しています。

当ラウンドで参加した大物投資家達の描くシナリオは、今後もこのような国際金融市場の送金のボリューム増加の流れは続き、TransferWiseの価値もそれに応じて上昇していくというものだということです。

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バルト3国のデジタルイノベーション【ゲスト寄稿】

本稿は、フランス・パリを拠点に世界各地のスタートアップへの投資を行っているベンチャー・キャピタリスト Mark Bivens 氏によるものだ。Mark Bivens 氏の許諾を得て翻訳転載した。(過去の寄稿) The guest post is first appeared on Mark Bivens’ Blog. Mark is a Paris- / Tokyo-based venture c…

mark-bivens_portrait本稿は、フランス・パリを拠点に世界各地のスタートアップへの投資を行っているベンチャー・キャピタリスト Mark Bivens 氏によるものだ。Mark Bivens 氏の許諾を得て翻訳転載した。(過去の寄稿

The guest post is first appeared on Mark Bivens’ Blog. Mark is a Paris- / Tokyo-based venture capitalist.


Image credit: berean / 123RF

今年の夏、私は一時期をバルト3国(エストニア、ラトビア、リトアニア)に戻って過ごしていた。最後の訪問から十年以上過ぎているので、「戻って」と表現するには日が過ぎてしまっていた。また、3国のうち、ラトビアには行ったこともない。これら小さな3つの国がどれほどデジタルに接続されるようになったか、多くの領域でどれほど腕を上げつつあるかは信じられないほどだ。屋内の光ファイバーや屋外の 4G ネットワークが、あらゆる場所でも使える(例えば、リトアニアとラトビアの光ファイバー普及率、それぞれ71%と65%だ)。モバイルの通話データ契約は、3カ国すべてで1人あたり1.4件を超えている。

キャッシュレスエコノミーは、バルト3国で成長真っ只中にある。ヨーロッパにおける全 POS 取引のうち、キャッシュレス決済の半分以上をエストニアが占めている(これと比べ、スペインの全 POS 取引のうちキャッシュレス決済は13%、イタリアは14%に過ぎない)。実際に、私がリガ(ラトビアの首都)とビリニュス(リトアニアの首都)で目にした店舗での取引のほとんどは、キャッシュレスであるだけでなく非接触型だった。3カ国はユーロを採用しており、エストニアでは2011年に、最後となったリトアニアでは2015年に始まった。

エストニアと EU における、キャッシュレス決済とカード決済の取引量推移
Image credit: エストニア中央銀行

私が先進国で見てきた限りで言えば、現在タリンで会社を設立することは最も手間がかからない。これは2014年、エストニアが世界中の非エストニア人に対してもデジタルアイデンティティシステム「e-Estonia」を開放したこと(e-Residency)に大きく由来する。e-Residency によって、エストニア国外にいる市民も、同国政府のポータル e-Estonia を通じて提供される多くのデジタルサービスにアクセスできるほか、エストニア国内に場所にこだわらなくてよい事業を登記できるようになった。この努力により、エストニアは自国の影響力の仮想的な境界をデジタルコミュニティへと広げ、グローバル市民を惹きつけることができる。

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ブロックチェーン人材は、日本(人口1億2,700万人)よりもラトビア(人口200万人)で多く感じられた。Bitfury はおそらく、仮想通貨コミュニティにおいてラトビア発の最も成功したストーリーの一つで、現時点で世界中のビットコインマイニング量の10%以上を扱っている。しかしながら現在、ラトビアには Bitfury 以外にも、たいていの国際的な VC(ラトビアに拠点を置いている VC はほとんどいない)の目に留まらないようにしている、仮想通貨やブロックチェーンの興味深いプロジェクトは数多い。

Blockchain Centre Vilnius 全景
Image credit: Blockchain Centre Vilnius

ビリニュスでは、NSA(アメリカ国家安全保障局)でさえ再現できない、人工知能ベースの画像認識技術を開発した技術者に会えたのは光栄だった。リトアニアの首都には「Blockchain Centre Vilnius」があり、ヨーロッパ中のブロックチェーン人材を魅了する中心的ハブとなっている。

バルト3国の起業家たちは国内市場の規模に幻想を抱くことはないため、世界進出に対して野心を持っている。SkypeBitfuryRevolut は言うまでもなく、現在は世界的な成功を遂げたブランドとなっているが、彼らは今でもそれぞれ、エストニア、ラトビア、リトアニアにそのルーツと初期成長の牽引を有している。

最近のヨーロッパでのデジタルイノベーションを動きを目にしたければ、バルト3国は必見と言えるだろう。

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エストニア最大のスタートアップイベント「Latitude 59」2日目——起業国家が放つ「スタートアップを生み出すのは子供たち」というメッセージ

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本稿は、「Latitude 59 2018」の取材の一部である。 スタートアップに投資をする VC、イベント、支援するアクセラレータの数と、スタートアップの数の不均衡については、世界中のスタートアップハブで、長きにわたって論じられている話だ。つまるところ、スタートアップの数が足りない。スタートアップを増やすには起業家が足りない。では、起業家を増やすにはどうすればいいのか、というところで、話はだいた…

Latitude 59 の会場「Lultuurlkatel」は、かつてのタリン中央火力発電所。リノベーションされた後、現在はクリエイティブとイノベーションのセンターとなった。
Image credit: Masaru Ikeda

本稿は、「Latitude 59 2018」の取材の一部である。

スタートアップに投資をする VC、イベント、支援するアクセラレータの数と、スタートアップの数の不均衡については、世界中のスタートアップハブで、長きにわたって論じられている話だ。つまるところ、スタートアップの数が足りない。スタートアップを増やすには起業家が足りない。では、起業家を増やすにはどうすればいいのか、というところで、話はだいたい止まってしまう。

長い目で見れば、起業家を生み出す素地は教育にある。世界の将来を担うのは子供たちであり、彼らの日常の延長線上に起業につながる選択肢があれば、わざわざ起業家精神などという仰々しい用語を使って鼓舞しなくても、自然とスタートアップは増えることになるのである。2日目を迎えた Latitude 59 は、そんな文脈に富んだ示唆を与えてくれるセッションから始まった。

VIVITA は、タリン市内に活動拠点を開設

VIVITA について話す孫泰蔵氏。左は、モデレータを務めた教育 NPO「Eesti2.0」の CEO Ede Schank Tamkivi 氏
Image credit: Masaru Ikeda

投資家で連続起業家の孫泰蔵氏は25日、Latitude 59 2日目最初にセッションに登壇し、彼が手がける子供たちのアイデアを具現化するシードアクセラレータ「VIVITA(ヴィヴィータ)」の活動拠点「VIVISTOP」をタリン市内に開設することを発表した。具体的な開設日は定まっておらず、「1ヶ月か、2ヶ月のうち」とのことだ。この準備のため、日本からは VIVITA のスタッフが数名体制でタリンに現地入りしている模様。

VIVITA は、先生がテキストを使って教えるのではなく、メンターやファシリテイターが介助することで、子供たちが自由な発想でものづくりを行える環境を提供。日本の柏の葉に続き、VIVITA の活動拠点がエストニアに置かれることについては、日本とエストニアの社会環境の類似性が関係しているのかもしれない。

孫泰蔵氏は、一昨年頃からシンガポールに移住し自身の子供を育てているが、シンガポールが多民族国家であることも影響し、教育サービスを受ける上での選択肢が日本などとは比べものにならないのだという。日本はアイヌや琉球民族を除くとほぼ単一民族(racially homogeneous)であり、これはエストニアが少数の民族構成であることにも似ている(地域差はあるが、全国的に見れば人口の約半数がエストニア人で、残りがロシア人、ウクライナ人など)。

Latitude 59 会場で開催された VIVITA のワークショップ
Image credit: Masaru Ikeda

今年建国から100年、旧ソビエト連邦からの独立17年目を迎えたエストニアでは、イノベーションを促す観点からも民族の多様化に注力しているようだ。社会的な課題がありつつも、国としての規模のコンパクトさから様々なテストベッドとして使われることの多いエストニアで、VIVITA がどのような成果を挙げるかも楽しみにしたいところ。

セッション後には、Latitude 59 の会場内に開設された専用スペースで、孫氏のインタビュアーを務めたエストニアの教育 NPO「Eesti2.0」の CEO Ede Schank Tamkivi 氏を交えたワークショップが開催され、参加した子供達はあらかじめ用意された3つのテーマ——ロボット、ストップモーションアニメーション、鳥の巣箱——の制作に楽しそうに取り組んでいた。

Funderbeam CEO の子息は、テレポーテーション可能なカバンのロボットを作るらしい

Funderbeam の CEO Kaidi Ruusalepp 氏とご子息
Image credit: Masaru Ikeda

孫氏のセッションに引き続いて、エストニアを代表するスタートアップの一つである Funderbeam の CEO Kaidi Ruusalepp 氏は、自身の今の状況のルーツが自分の10歳の頃にあったと話し、偶然にも現在、10歳になる自身の息子をステージ上に招き入れた。

彼はこの歳にして、自動走行するスクールバッグのロボットを作りたいという起業家だ。Wi-Fi が搭載された、テレポーテーションさえ可能なバッグロボットを作りたいという。数百名いる聴衆を前に、物怖じせずに淡々と自分の夢を英語で語ったのは、まさに起業家の元に生まれた起業家のなせる技。子供たちを起業家コミュニティに招き入れようというのが、2人のメッセージだった。

<参考記事>

投資家が企業にピッチするリバースピッチ

スタートアップコミュニティにおいては、起業家が投資家にピッチするのが常だが、ここでは反対に投資家が自分たちのファンドや VC の強みをアピールさせるピッチを展開。Latitude 59 で始まったかどうかは定かではないが、ハイライトの一つだ。

すでにイグジットを果たした起業家らが審査員に招かれ、投資家10人がピッチ。「ファンドの調達は、すでにクローズしているの?」「TechStars と比べて、何が強みなの?」「投資先を支援すると言っているけど、具体的にどういう支援をしてくれるの? マイクロマネジメント(業務に強い監督・干渉を行うこと)するの?」など辛辣な言葉をステージ上の投資家に投げかけ、聴衆たちの笑いを買っていた。

アイルランド・レイキャビクに本拠を置く、Crowdberry Capital の Jenny Ruth Hrafnsdottir 氏が優勝した。
Image credit: Masaru Ikeda

エレベータピッチはもう古い?! これからは、ダイビングしながらのピッチが流行する?

(全員のスカイダイブピッチはこちらから)

Angel’s Gate をはじめ、さまざまなピッチのリアリティショー番組のイントロで、本当にエレベータの中でピッチするという芸当が流行ったが(そういえば、今年の SXSW でも NBCUniversal のコーポレートアクセラレータが、エレベータに見立てたゴンドラの中でピッチ収録できるしくみを公開していた)、これはもはや時代錯誤なのだろうか。

タリンとシリコンバレーに拠点を置くベンチャーキャピタル Superangel は、投資先スタートアップの起業家がセスナ機からダイブしながらピッチするビデオを披露。彼らによれば、VC の役割はスタートアップに細かく指示することではなく、セスナから飛び降りる勇気を授け、安全に着地するためのノウハウを提供することなのだとうか。

スタートアップを経営する体験を見える化すると、確かにダイビングして安全な着地を目指す感覚に似ているのかも。

イベント終盤には、ファイナリスト9チームがピッチでしのぎをけずるコンペティション

Latitude 59 のクライマックスには、ファイナリスト9チームがピッチでしのぎをけずるコンペティションが開催された。主催者発表によると、このコンペティションには合計101社から応募があったとのことだ。

ファイナリスト全員には、投資家向けピッチのトレーニングが受けられる Bootcamp が提供されるほか、シリコンバレーへの往復航空券、シリコンバレーでの2週間の滞在とオフィススペース提供、10,000 ユーロのエクイティフリーの現金、法律サービスを提供。また、優勝者は Estonia Business Angel Network(EstBAN)Nordic Angel Program(NAP)のシンジケート投資により17万ユーロの出資(約2,200万円)を受け取ることができる。

Fractory(Latitude 59 Killer Combo Prize / NAP 優勝)

Fractory は、カスタムパーツの作成に関わる設計、工場生産、供給という一連のプロセスを、EU 域内のあらゆる場所でシームレスに提供できるサービス。レーザ切断、プラズマ切断、折り曲げ、表面仕上げといった各工程の専門工場と提携し、最終的な仕上製品を発注者に納品してくれる。

あらゆるパーツの作成に対応ができ、工程ごとのオートーメーション化を図っているほか、国を越えてのオンデマンドでの生産依頼ができることが特徴。現在はスウェーデン、ノルウェー、バルト三国(エストニア、ラトビア、リトアニア)で提供しており、月あたり取扱高は5万ユーロに達した。

StandByMate(NAP トップ4)

StandByMate は、船員と船会社のマッチングプラットフォーム。船会社が船に乗り込んで仕事を探すにあたり、1人あたり10時間以上かかっているというデータがある。StandByMate では、アプリを使うことで1人あたり8分間でのマッチングを実現。料金は船会社に対し、サブルスプリプションベース、または、仕事発注ベースでチャージする。

FoodDocs(NAP トップ4)

EU 域内では食品取扱業者が食品安全システムに従うことが求められるが、このシステムに準拠するには特定のスキルが求められ、法的な規制があり、また、言語の問題や時間がかかるなどのさまざまな問題がある。FoodDocs では食品安全に関わる項目を整理したダッシュボードを提供、食品取扱業社は1時間未満で作業を完了できる。従業員数に応じてフリーミアムモデルでサービスを提供。現在、20万ユーロを調達中。

CENOS(NAP トップ4)

CENOS は、中小企業向けのエンジニアリングシミュレーションプラットフォーム。通常、モノの制作工程においては、3D デザイン・擬似的なテスト・生産というプロセスを経るが、これらの調整を何度もにわたり繰り返さないといけない状況が生じる。CENOS は、この繰り返しに渡る調整作業を減らしてくれる。複数のオープンソースのシミュレーションツールとも接続が可能。現在、2万ユーロ以上を調達しており6月にクローズ予定。

入賞しなかったものの、ファイナリストとしてピッチ登壇したチームは次の通り。

  • Lovat……スタートアップや個人事業者向けの付加価値税(VAT)の計算・報告・支払代行サービス
  • TensorFlight……衛星写真や航空写真を AI で画像解析し、建物の保険料自動算定に特化したサービスを提供
  • Operose……特殊技能を持つ労働力を確保することは難しいが、AR を使って作業手順を提示することで、自動車の修理や航空機のメンテナンスなどを比較的誰も行えるようにするサービスを提供
  • TriumpHealth……慢性病に苦しむ子供達の精神的な悩みを解決するモバイルゲームを、病院向けの B2B サービスとして提供
  • CastPrint……骨折時治療の石膏を使った固定の代替として、3D プリントを使って制作した固定材を提供。水耐性があり、通気性があり、軽く、カスタムメイドで、病院にとっては15%のコスト削減が可能。30万ユーロを調達中。

とにかく日本人の多さが目立った今年の Latitude 59

Latitude 59 で基調講演する福岡市長の高島宗一郎氏
Image credit: Masaru Ikeda

主催者の発表によれば、今回の Latitude 59 の参加者は登録ベースで2,000人以上、出展社は50社以上。このうち、日本人の参加者数についての公式記録は無いが、会場などですれ違った人々の顔ぶれを見る限り、1割以上はいたような気がする。アジアからの参加者は、ほぼ日本人が占めていたことだろう。

実際、Latitude 59 のサイドイベントでも、日本人が集まるミートアップが開催されていたし、ブロックチェーン分野に特化して、エストニアやヨーロッパ周辺国に移住し、現地でスタートアップを立ち上げてい日本人起業家に何人か会うことができた。タリンがブロックチェーンスタートアップハブ、というところまでは至っていないが、一味違ったコミュニティが形成されつつあることも事実である。

規模の論理から言えば、エストニアのスタートアップシーンも、Latitude 59 も、他の都市やカンファレンスに比べ見劣りする部分はあるものの、これまでもこれからも、そこには独自の路線を貫く信念が見え隠れする。物価が安く、シェンゲン領域(EU 内で国境を越えて自由に移動ができる権利が保証される)で、安い家賃でも極めて優れた住環境が手に入れられることは、ユビキタスな仕事環境と親和性が高い起業家たちの眼に、大きなメリットとして映るだろう。

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エストニア最大のテックカンファレンス「Latitude 59」がスタート——福岡市はのべ40人以上からなるスタートアップ代表団を派遣

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本稿は、「Latitude 59 2018」の取材の一部である。 今週後半は、ヨーロッパ各地で大型スタートアップ・カンファレンスが開催されている。パリでは VIVA TECH、ウィーンでは Pioneers、アムステルダム The Next Web、そして、エストニアのタリンでは Latitude 59 と、見事にカンファレンスの日取りが重なったのだ。 ニュースレターの購読 注目すべき記事、世界の…

Latitude 59 会場に用意される2つのステージ「BlueStage」と「YellowStage」の MC 4人。彼らは現役の起業家や投資家たち
Image credit: Masaru Ikeda

本稿は、「Latitude 59 2018」の取材の一部である。

今週後半は、ヨーロッパ各地で大型スタートアップ・カンファレンスが開催されている。パリでは VIVA TECH、ウィーンでは Pioneers、アムステルダム The Next Web、そして、エストニアのタリンでは Latitude 59 と、見事にカンファレンスの日取りが重なったのだ。

11月にリスボンで開催されるようになった WebSummit の日取りを避けてスケジュールしたところ、各国イベントともこの時期に開催されるようになった結果であるとか、理由については諸説あるが、全く同じ日に開催されるため、飛行機や鉄道など移動手段をどんなに駆使しても、都合よく複数のカンファレンスに参加するのは不可能で、どれか一つを選ばざるを得ない。

筆者は、VIVA TECH、Pioneers、The Next Web はここ数年の間に参加していることや、特にブロックチェーンという文脈で面白いものが見れそうだという期待、それに、エストニアの有望スタートアップである Funderbeam の CEO からの誘いもあって、Latitude 59 に参加することを決めた。

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明日から GDPR が施行

開会の辞に続いて行われたセッション。データがもたらす民主主義、公平性、倫理観などについて。
Image credit: Masaru Ikeda

Latitude 59 の2日目となった25日は、GDPR(欧州統一個人情報保護法、EU General Data Protection Regulation)の施行開始日だ。この法律は、会社の所在地にかかわらず、EU 域内からの個人情報の取得にあたり必要な対策を怠った場合は、その会社の売上の4%か、2,000万ユーロかの高い方を上限額とする制裁金が課されるというものだ。

Latitude 59 に限らず、ヨーロッパのスタートアップカンファレンスでは場所を問わず、GDPR が議論のトピックの一つになったはずだ。特にブロックチェーンを使った一つの適用サービスである KYC(Know Your Customer)のプロセスにおいては、GDPR に準拠した状態で正しい KYC が実施できるか、というのが大きな課題となる。Latitude 59 にも、このような課題の解決を得意とするスタートアップが数多く出展していた。

福岡市は、のべ40人以上からなるスタートアップ代表団を派遣

エストニア首相を表敬訪問した、福岡市のスタートアップ代表団一行
Image credit: Masaru Ikeda

既に海外の10都市程度の自治体などとスタートアップの相互支援に関する協力関係を締結している福岡市は、この活動の最初の締結相手がエストニア政府だったということもあり、今回、のべ40人以上の起業家などからなるスタートアップ代表団を結成し派遣した。

タリン市内のスタートアップインキュベータ Tehnopol を訪問した福岡市のスタートアップ代表団一行
Image credit: Masaru Ikeda

Latitude 59 前日となる23日、一行はエストニア首相官邸である「Stenbocki maja」に、同国首相の Jüri Ratas 氏を表敬訪問。また、タリン市内にあるスタートアップ育成施設 Tehnopol と訪れピッチイベントを行うなどして現地起業家との親睦を図った。

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日本人起業家によるエストニアスタートアップ「Blockhive」が Latitude 59 周辺を席巻

Latitude 59 会場に開設された、茶室を模した Blockhive のブースエリア
Image credit: Masaru Ikeda

決して巨大ではないエストニアのコミュニティにおいて、Latitude 59 を中心に非常に多くの日本人が訪問しているようだ。ブロックチェーンを活用したアプリ開発などを行う Blockhive は、日本人起業家らをコアメンバーとするエストニアのスタートアップだが、Latitude 59 の会場内で畳を敷いた茶室風のブースで注目を集め、イベント中は独自トークン ESTY のリワードキャンペーンを展開するほか、同社が夜に開催したサイドイベント(ミートアップ)にも多数の参加者を集め盛況だったようだ。

Latitude 59 に開設された、福岡市スタートアップ代表団のブースエリア。BlueStage や YellowStage に続く階段に近いこともあり盛況だった。
Image credit: Masaru Ikeda

THE BRIDGE(あるいは、以前の Startup Dating の呼称の頃から)を始めて以来、日本の内外を問わず、実に多くの起業家に会ってきた。中にはピボットしたり、新境地をブロックチェーンに求めたりして、エストニアにやってきて新たにスタートアップを始めた起業家も少なくない。本日以降いくつか会う約束をもらっているので、彼らの近況についても追って紹介したいと思う。

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