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欧州フィンテックの新潮流「チャレンジャー・バンク」とオープン・バンキング規制改革「PSD2」を紐解く

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「Revolut」が5億ドルを調達、「Monzo」が1億5000万ドル、「N26」は3億ドル、「Starling bank」2億ドル。以上は2019年内に報じられた、欧州発のデジタル銀行スタートアップによる資金調達(※または調達見込み)です。上記企業らは全てローンチからわずか5年以下で、凄まじい勢いで成長する「チャレンジャー・バンク」と呼ばれる新しい銀行ビジネスです。 「チャレンジャー・バンク」と…

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Revolut」が5億ドルを調達、「Monzo」が1億5000万ドル、「N26」は3億ドル、「Starling bank」2億ドル。以上は2019年内に報じられた、欧州発のデジタル銀行スタートアップによる資金調達(※または調達見込み)です。上記企業らは全てローンチからわずか5年以下で、凄まじい勢いで成長する「チャレンジャー・バンク」と呼ばれる新しい銀行ビジネスです。

「チャレンジャー・バンク」とは何なのでしょうか。初めて聞くという人も多いと思います。そこで本記事では、チャレンジャー・バンクと呼ばれる新興スタートアップらの概要・動向を紹介します。またそれを軸に、欧州のオープン・バンキングの歴史・最前線の現況についても解説します。

日本でも最近、オンライン・バンキングや銀行APIの制度化が叫ばれており、欧州の先行事例は、国内の業界関係者は必ず知っておくべき内容でしょう。

チャレンジャー・バンクとは

さて、第一にチャレンジャー・バンクとは何でしょうか。チャレンジャー・バンクとは欧州を中心に台頭する、銀行免許を保持したデジタル銀行スタートアップのことを指します。欧州の銀行ライセンス取得の簡易化・銀行APIの解放、すなわち「オープン・バンキング」というコンセプトを基に急成長した巨大フィンテック企業のことを指します。

起源としては、2008年の金融危機に関連して、2010年以降より英国政府が国内の主要大手銀行の寡占状態に終止符を打とうと、新規参入者へ銀行免許の付与を開始したことが始まりです。そのため今でも、英国発のチャレンジャー・バンクらが欧州市場をリードしている状況です。

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Image Credit : Challenger Banks in Europe. 2019 Overview

チャレンジャー・バンクのサービスをより具体的に噛み砕くと、銀行免許を所持し、かつスマホ・アプリから手軽に口座開設・入出金・送金・両替(外貨・暗号通貨対応)融資・資産運用・保険など、ほぼ全ジャンルの金融サービスを利用できるモバイルバンキング・ビジネスを指します。

端的に言い換えれば、金融機関の業務の中でも個人や中小企業などの顧客を対象とした小口の業務を行う「リテール業務」を全てスマホアプリに移行したものだと捉えることができ、それに加えてVisaやMasterなどの国際ブランドと連携することでオンライン・実店舗での決済用カードの提供まで行なっています。

これらのアプリは、欧州圏の銀行が提供するリテールサービスが元々利用しづらかったこともあり、デジタル・サービスの利用に抵抗の少ない若者やテッキー(テクノロジーに長けている人)を中心に急拡大していきました。

少し事例を紹介すると、イギリス発の「Revolut」や「Monzo」、ドイツ発の「N26」は中でも特に有名で、各社とも既にユニコーン企業となっており、現在では欧州市圏外にも目を向けています。Revolutは日本市場参入を決定し、N26はすでに米国市場でサービスを展開しています。

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Image Credit : 14 Hottest Digital-First Challenger Banks by Country in Europe

その他にも欧州各地からチャレンジャー・バンクが登場し、現在では既存のオフライン銀行を圧倒する大きなムーブメントとなっています。その勢いは海外にまで波及し、今や米国や南アメリカにも、各地域から急成長するチャレンジャー・バンクビジネスが登場しています。

<参考記事>

ただし、欧州のチャレンジャー・バンクの成長の土壌となったのは、何も各国が銀行免許の認可数を増加させたからというだけではありません。近年、銀行免許を取得したオンライン銀行らの後押しをするように、銀行APIの解放とその標準化といった、新たな規制改革が欧州全体で行われています。

欧州のオープン・バンキング規制改革「PSD2(Payment Service Directive 2)」

PSD2(決済サービス指令2)という法制度をご存知でしょうか。PSD2は、欧州が世界に先駆けてオープン・バンキングを推進するため、そしてセキュリティ・市場競争・消費者保護などの向上を目指し、2016年にEEA(欧州経済領域)各国に向け発行された法的枠組みです。

※EEA=欧州28ヶ国に加え、ノルウェー・アイルランド・リヒテンシュタインの3カ国を加えた地域共同体で、人・物・金・サービスの移動の自由を促すことを目的とする。

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青・緑の地域がEEA加盟国 Image Credit : Wikipedia

2018年にはメンバー各国がPSD2に準拠する形で各々で法整備を整え、その後各銀行によりAPI解放が実施されました。ちなみに同制度は、2007年に誕生した欧州内の決済標準化を推進するための枠組み「PSD」のバージョン2に当たります。

PSD2の施行によって、欧州の各銀行のAPI解放と、フィンテック事業者との接続が義務化され、各国規制当局に認可を受けた事業者らは顧客の同意の下、リクエストに応じて銀行から顧客データを自由に取得したり、決済処理を行えるようになりました。

具体的には、PSD2でAISP(Account Information Service Provider)とPISP(Payment Initiation Service Provider)という2つの免許があります。前者AISP事業者は、ユーザーの口座情報を取得する権限を持ち、後者PISP事業者は、銀行の資金移動APIを活用する権限を持つため、ユーザーに対し決済サービスを直接提供することができます。

※参考:英国のPSD2取得企業リスト

これらを日本の改正銀行法と比べると、以下の図のようになります。日本の場合は銀行のAPI解放が努力義務に止まり、かつフィンテック事業者は各行と個別契約を結ばなくてはならないなど、力強さに欠ける印象があります。

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Image Credit : インフキュリオン

話をPSD2に戻すと、前者AISP業者は、資産マネジメントや家計簿アプリなどをイメージすると分かり易く、後者PISP業者は、ECや送金など、決済全般に関わるサービスを提供するアプリを思い浮かべると良いでしょう。ちなみに両方のライセンスを有し、活用しているサービスも沢山存在しています。

事実、同枠組みの施行によって、欧州チャレンジャー・バンクの顧客数増加にさらに拍車がかかっています。というのも、PSD2によって同企業らがオンライン・バンキングサービスを構築することが非常に簡単になったからです。また、PSD2を活用して成長した便利な金融サービスがチャレンジャー・バンクのアプリへと組み込まれるなど、様々な面でプラスの効果を生んでいます。

さらに「Solaris Bank」などの、部分的にバンキング・サービスを運営するテック企業向けに、PSD2による銀行APIを活用したインフラサービスを提供するビジネスモデルも登場しています。このようなモデルは「Banking as a Service」と呼ばれ、チャレンジャー・バンクと肩を並べ勢いを増す、フィンテックの潮流の一つです。

<参考記事>

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Image Credit : Pixabay

欧州フィンテックを知る意義と、さらなるデジタル化

日本のフィンテック業界の起業家・投資家のリサーチ対象といえば、米国のシリコンバレーや大手銀行のデジタル化もそうですが、今は絶対的に「Ant Financial(螞蟻金融)」や「Tencent(騰訊)」が牽引する中国のフィンテック・エコシステムだと思います。

<参考記事>

ですが、欧州の動向も決して無視できるものではなく、むしろ日本人としては注視すべきだと思います。なぜなら国内の規制改革の動向を見るに、日本の銀行法は英国・欧州の改革を大いに参考にしているからです。その他の国に比べると、より似た規制制度を持ち、かつ少し先行する欧州のエコシステムから学べることは、決して少なくありません。

銀行法がさらにPSD2に類似していき、オープン・バンキングが進行すると考えると、現在の欧州のトレンドに追随する形で、日本国内からもチャレンジャー・バンクやBanking as a Serviceに類似したビジネスモデルのスタートアップが登場してくると予想できます。

そしてこうした視点を取っ払ったとしても、欧州のフィンテックの今後には大いに興味を惹かれます。というのも欧州連合、及びその周辺地域におけるPSD2や、その他の決済インフラの標準化政策は、世界でも前例のない超国家的な金融システムの構築を意味するためです。これは地球規模で考えて、地域・経済・通貨統合を検討する地域にとっての先行事例として、価値ある取り組みだと思います。

聞けば先日、ECB(欧州中央銀行)がステーブルコイン発行に向けた内部検討に着手したといいます。中国のデジタル通貨計画(DCEP)は、単一国家の法定通貨によるデジタル・マネーに過ぎませんが、ユーロ版ステーブルコインの場合は、ユーロが既に国家共同体による共通通貨であるため、アフリカ諸国などが検討する通貨統合と、そのデジタル化の先行事例にもなり得ます。

欧州連合を一つの国家だと捉えると、そのGDPは18兆ドルと、アメリカを超えて世界で2番目の規模になると言われています。英国の離脱問題やドイツ銀行の破綻危機などネガティブなニュースも絶えませんが、今後もグローバルな経済を牽引する存在としての役割は変わらないでしょう。

話が若干それてしまいましたが、最初はチャレンジャー・バンクというホットな切り口から、最後は出来るだけ視点を広げる形で欧州のフィンテック概況を解説しました。日本がさらなるオープン・バンキング改革を実施し、チャレンジャー・バンクやBanking as a Serviceなどのサービスが台頭する日は必ず来ると思います。そのために、いま現在で既存銀行やフィンテック事業者らにどんな対策ができるのかが問われています。

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AIエコシステムの拡大に伴い、2019年は欧州全体でディープテック投資が急増【SLUSH 2019発表の報告書から】

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シリコンバレーに比べてヨーロッパは依然として大きなベンチャーキャピタルギャップに直面しているが、それでもヨーロッパはサイエンスベースのスタートアップの魅力的なハブとしての地位を大きく前進させている。 これは、フィンランドのヘルシンキで開催されたテックカンファレンス「SLUSH」で11月20日に発表された報告書「State of European Tech Report 2019」の重要なポイントの…

Image Credit: Wikimedia Commons

シリコンバレーに比べてヨーロッパは依然として大きなベンチャーキャピタルギャップに直面しているが、それでもヨーロッパはサイエンスベースのスタートアップの魅力的なハブとしての地位を大きく前進させている。

これは、フィンランドのヘルシンキで開催されたテックカンファレンス「SLUSH」で11月20日に発表された報告書「State of European Tech Report 2019」の重要なポイントの一つだ。このレポートは、VC 企業 Atomico、SLUSH、ロンドンに拠点を置くテック法律事務所 Orrick により作成された。

ここで言うディープテック産業とは、量子コンピューティング、コンピュータービジョン(映像解析)、ロボット工学、ナノテクノロジー、ブロックチェーンなどの最先端テクノロジーに及ぶ。これらのカテゴリ全体で、ヨーロッパのスタートアップの調達額は、2015年には30億米ドル、2018年の67億米ドルから増加し、2019年は84億ドルとなる見込みだ。この成功は AI によって先導されており、2019年に見込まれる調達額84億ドルのうち、何らかの AI 関連の製品やサービスを追求しているスタートアップが49億ドルを占めている。

ヨーロッパではイギリスが引き続きディープテックの推進を主導し、今年の29億米ドルを調達し、2015年以降のこのカテゴリの合計調達額は100億米ドルに達した。それに続く形で、フランスとドイツは合計で20億米ドルを調達している。

起業家とスタートアップでシリコンバレーに大きく遅れをとったヨーロッパの指導者たちは、ヨーロッパのサイエンス人材を活用することでディープテックのリーダーシップを獲得したいと考えている。ヨーロッパの研究機関は AI のような分野で確かに高い評判を獲得しているが、しばしばヨーロッパ地域外の企業への人材供給源となってきた。

ただ、この一年間で希望的な兆しも垣間見られた。AI エコシステムの開発に対するフランスの積極的な取り組みは、実を結び始めている。グローバルコンサルティング会社 Roland Berger と、VC と起業家を代表する団体 France Digitale の報告によれば、AI 関連のフランスのスタートアップ数は、2016年の180、2018年の312から、今年は432と大きく躍進している。この成長には、最近 AI による写真プラットフォームで2億3,000万ドルを調達したパリ拠点の Meero などが貢献している。同社の評価額は10億米ドルに達している。

一方、ドイツでは、ミュンヘンに拠点を置く IDnow が、オンライントランザクションの高速化のための AI による視覚検証プラットフォームで4,000万米ドルを調達した。これらの印象的な数にも関わらず、AI のような分野で中国やアメリカに対抗するのは、ヨーロッパにとって依然として険しい道のりだ。全米ベンチャーキャピタル協会によると、アメリカにある AI 関連企業965社が、今年の頭の9ヶ月間で135億米ドルの資金を調達した。これにより、2018年に168億ドルを調達した1,281社を上回るペースで業界が成長している。

AI は、AI を超えて量子コンピューティングの基盤を確立することを望んでいるものの、現時点では、量子コンピューティングはヨーロッパのディープテックカテゴリの底辺にとどまっている。SLUSH の報告書は、量子コンピューティング企業が世界で6億米ドル以上を調達していることを指摘している。この金額にはステルスモードのかなりの数の企業を考慮に入れていない数字だが、2019年の予想合計調達額2億2,200万ドルを凌いでいる。

しかし、現時点では量子コンピューティングの分野はヨーロッパに楽観的な理由を提供している。2019年の量子コンピューティングに関する資金の流れを見てみると、そのうちの32%はアメリカとカナダのスタートアップに投資されたが、ヨーロッパの企業は58%を調達している。アジアの企業はわずか5%だ。

この報告書は、有望なスタートアップにつながった進歩を生み出したブリストル、オックスフォード、インスブルックの大学研究プログラムを評価している。それはまさに、ヨーロッパの賭けが次世代の重要なテクノロジーのリーダーになるのを後押しするものと言えるだろう。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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学術書サブスクの「教材版Netflix」Perlegoは欧州学生の心を掴めるか

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ピックアップ:Perlego Raises $9 Million Series A to Grow E-Book Library ニュースサマリー:欧州28カ国に電子書籍サービスを展開する「Perlego」は11月20日、シリーズAラウンドにて、Charlie SonghurstやDedicated VCなどの複数投資家らから合計700万英ポンド(※約900万ドル:約1,000万円)を調達したと発…

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Image Credit : Perlego Instagram

ピックアップPerlego Raises $9 Million Series A to Grow E-Book Library

ニュースサマリー:欧州28カ国に電子書籍サービスを展開する「Perlego」は11月20日、シリーズAラウンドにて、Charlie SonghurstやDedicated VCなどの複数投資家らから合計700万英ポンド(※約900万ドル:約1,000万円)を調達したと発表した。

同社はロンドン拠点のスタートアップ。教科書版Netflixとも呼べる、20万点以上のデジタル教科書読み放題(サブスクリプション)サービスを提供する。調達資金は英語以外のコンテンツ拡充およびヨーロッパ市場へのさらなる拡大に向け活用される予定。加えて、今後アクセス可能なコンテンツ数を25万に増加させるとのこと。

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Image Credit : Perlego

話題のポイント:「教科書や参考書、学術書は一般の本に比べ割高」という印象を持っている人は少なくないと思います。高校や大学、塾で購入を強制される教材というのは安くても1,000円以上、学術書などは高ければ3,000~5,000円ほどの価格帯のものもあります。

学生は学習を進めれば進めるほど、または進級する度にこうした高額な教科書を購入する必要が発生し、社会人でお金がある訳でもない彼らにとっては悩ましい問題といえます。

まさにこのような問題解決に挑むのがPerlegoです。年額プランの場合は月額10ユーロ(約1,200円)、月額プランの場合は月額15ユーロ(約1,800円)で、2,000に及ぶ主要な出版社から20万冊以上の教科書にアクセスし放題になります。

同社のアプリはiOSとAndroidのスマホどちらかも利用でき、オフラインダウンロード機能を使えばWifi環境がなくても読むことができます。また専門家がキュレーションした教材リストにもアクセスでき、ユーザーがどの書籍を読むか迷う心配を減らす機能も提供します。この辺りのサービス設計は定額制ストリーミングサービスの代表格といってもいいNetflixやSpotifyを大いに模倣していると考えられます。

さらに実際のアナログ本さながらにメモやマーカーをいれることができたり、学生は20%割引だったりと、価格・利便性の面でターゲットである学生層の心を掴む利点も充実していることが分かります。

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Image Credit : Perlego Instagram

Perlegoの競合としては、世界的な教育書籍出版社「Cengage」が提供するサービス「Cengage Unlimited」などが挙げられます。同サービスは現段階で米国限定の提供を行なっていることから、今後欧州地域に参入する可能性もあります。そのため、Perlegoは一刻も早く欧州地域で独占的地位を築く必要があるでしょう。

また、Amazonの「Kindle Unlimited」や「Amazon Ignite」に代表される巨大プレイヤーによるサービスも参入も長期的に考えられます。比較的小さな市場とはいえ、Perlegoにとっては厳しい競争が待ち受けていることが想像できます。

こうした競合への対抗戦略として考えられるのは2つ。1つ目に提携戦略。すなわち欧州市場の教材出版社や教育機関との提携を通じてサービス普及の加速を図るというものです。

仮に主要な出版社と先んじて独占的な契約を結ぶことができれば、それはユーザー数拡大を促すだけでなく、競合を抑え込む強力な障壁となるでしょう。また、教育機関へのサービス提供ができる場合、コストを支払うのは教育機関側となるため、生徒に無料で電子書籍を提供するモデルが考えられます。その場合、Perlegoはまるでデジタル図書館のように機能し、生徒を魅了することができるはずです。

もう1つが、現在Netflixが進めるオリジナル・コンテンツ戦略です。出版社との提携も強力ですが、著者を直接的に囲うことができれば中間マージンの削減やサービスの独自性上昇に繋がります。

上述のような提携戦略や、サブスク先駆者であるNetflixを踏襲した戦略を持ってすれば、マス狙いのAmazonの電子書籍・教材のサブスク・サービスが人気を博したとしても競争力を十分に発揮し、大手サービスにも対抗することが可能なのではないでないでしょうか。その意味で、今後の同社のサービス拡張戦略にはとても注目が集まります。

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GAFAが恐れる欧州委員会の旗手ベステアー氏「今はテック大手に分割を迫る段階ではない」〜WebSummit 2019から

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本稿は、WebSummit 2019 の取材の一部である。 欧州委員会の競争政策担当委員 Margrethe Vestager(マルグレーテ・ベステアー)氏は、社会における技術の役割については楽観的であったが、テック大手は虐待的な行動を抑制するべきで、そうでなければ、厳しい規制に直面するだろうと述べた。しかし、彼女はこのようなテック大手を分割させる呼びかけを支持することに消極的であり、そのような動…

欧州委員会の競争政策担当委員 Margrethe Vestager 氏。
デジタル時代に向けた〝ヨーロッパ順応〟について WebSummit 2019 で語った。
Image credit: WebSummit

本稿は、WebSummit 2019 の取材の一部である。

欧州委員会の競争政策担当委員 Margrethe Vestager(マルグレーテ・ベステアー)氏は、社会における技術の役割については楽観的であったが、テック大手は虐待的な行動を抑制するべきで、そうでなければ、厳しい規制に直面するだろうと述べた。しかし、彼女はこのようなテック大手を分割させる呼びかけを支持することに消極的であり、そのような動きが大きな問題を解決する可能性は低いと主張した。

新しい欧州委員会の下で拡大する役割を担う Margrethe Vestager 氏は次のように語った。

競争の観点からすると、会社を分割させるのが違法行為の唯一の解決策である場で、何かをしなければならないことになるだろう。

現在直ちに、そのようなケースは存在しない。私はそれが起こる可能性を決して排除しないが、これまでのところ、会社を分割させることが解決策となるような大きな問題は存在しない。

Vestager 氏はリスボンで開催された WebSummit に登壇し、Laurie Segall 氏のインタビューを受けた。Segall 氏は自身のメディアスタートアップ Dot Dot Dot Media を立ち上げるまで、約10年間に渡 CNN のテクノロジー担当記者を務めた人物だ。Segall 氏は Vestager 氏のことを、シリコンバレーで最も恐れられる人物の一人だと紹介した。

実際のところ、過去5年間二渡 Vestager 氏がテック大手に対する厳しい批評家の一人であり、Apple が145億米ドル超もの税支払を免れようとしていたことを明らかにした、アイルランドでの税控除調査をはじめとして改革活動家らを率いてきた。彼女は規制当局に嘘をついて WhatsApp を買収したとして、Facebook をも追及している

彼女はこれまでに Google に対して、比較ショッピングサービスの利用を高めるため検索での優位性を乱用したとして27億2,000万ドルの罰金、モバイル OS の Android の支配的地位を乱用したとして50億ドルの罰金、競合を排除する一方で支配的地位を乱用しサードパーティのサイトが自社アドネットワークを優先するように強制を試みたとして16億9,000万ドルの罰金を課した。さらに、Google の AI を使った仕事探しプラットフォームが現在、精査中であることを示す兆候が見られる。

ロイターによれば、Vestager 氏はこの日行われた記者会見で、ApplyPay に関する独占禁止法違反の苦情が多いことを確認しており、どうサービスの調査に着手したことを明らかにした。

テック大手が新しいスタートを切ろうと考えたとき、新しい欧州委員会は Vestager 氏をさらに5年の任期に再任命し、彼女の守備範囲を独占禁止法に加えテクノロジー政策を含めるまでに拡大した。

近年、彼女がテック大手の狙撃手として浮上したことを考えると、これらの会社を分割するよう呼びかける政府の動きに彼女が参加する準備ができていなかったのは少し驚きだった。アメリカでは、Elizabeth Warren 氏のような大統領候補は、力を制限するために Apple、Google、Facebook、Amazon などの企業を分割する必要性について声高に語っている。

Vestager 氏は一方で、規制と執行の必要性についに目覚めたアメリカに拍手を送った。

私が感じるのは、非常に刷新されたものだ。関心だけでなく、質問を開始し、関与を開始し、調査を開始することで、「ここにも、私たち法の番人の役割があるかもしれない」と言って、アメリカ当局の関与が得られるようになった。それは歓迎すべきことだ。

しかし、Vestager 氏は対処すべき多くの大きな問題があることを固く主張している一方で、テック大手の小型化が実行可能なソリューションであるとはまだ確信していない。

その議論の問題は、それを主張する人々がこれを行う方法についてのモデルを持っていないことだ。そして(古代の)ある種の生き物についての話を知っているなら、頭を一つ切り落としても、また一つ、二つ、七つと出て来る。つまり、問題が解決しないリスクがある。もっと多くの問題が生まれることになる。……そのように問題が大きくなることを考えると、特別な責任を負うことになるだろう。

彼女はまた、トランプ大統領や他の人が主張しているように、これらの企業に立ち向かう意欲は反アメリカの偏見から外れていないと説明した。むしろ、これらの企業に蓄積された力は、小さなライバルが競争して新しいイノベーションを推進する能力を制限していると考えている。

多くの興味深い(小規模)企業が競合する可能性がないというリスクがある。テクノロジーが大手にしか組み込まれていないものになるとしたら、それは私たちの限界を超えている。そうなると、テクノロジーに対する信頼が失われると思う。そして、私の使命の一部は、私たちが潜在能力に到達できるようにすることで、テクノロジーに対する信頼を築くことだ。

彼女が見たいのは、企業が彼らの言葉に合致したより多くの行動を取ることだ。 政治広告の場合、Twitter がそのような広告を終わらせるといった最近の発表を彼女は称賛し、Facebook が同じことをするのになぜ苦労しているのか不思議に思ったという。さらに、なぜ多くのプラットフォームがこれほど虐待的な振る舞いを許容しようとしているのかと尋ねた。

すべての結論として言えることは、我々は新しいテクノロジーを手にしているかもしれないが、そこに新しい価値は無いということだ。

我々はリアルの世界では、何を受け入れたくて、何を受け入れたくないか、長く深く議論してきた。それがデジタルの世界では同じようにしない理由がよくわからない。リスクは民主主義を完全に弱体化させることだから、オンラインでより議論を重ねるべきでだろう。

具体的には、彼女は Facebook CEO の Mark Zuckerberg 氏に、虐待に対処するためのさらなる取り組みを呼びかけ。

彼自身が言葉通りに行動を起こせば、急速に変化するだろう。そして、それは大歓迎だ…私は Facebook の CEOではない。…しかし、彼らは彼らの言葉通りに行動を起こすべき時が来たと思う。

彼女は新しい役割のもと、人工知能(AI)に関する規制を作成する責任を負っている。これはヘルスケアや気候変動のような大きな問題を解決するための計り知れない可能性があると信じている分野だと彼女は述べた。しかし、AI を規制してもルールがすぐに時代遅れになるリスクがあるため、「非常に注意が必要だ」と彼女は述べた。

AI は進化の途上にある。AI が人間のやりたいことをどう支援するかには制限が無く、これは素晴らしいことだ。

しかし、我々は AI を信頼できるよう礎石をコントロールする必要がある。偏見を受け入れ、我々が今持っている世界を取り込んで AI に移すのなら、そういった問題が固定化されてしまう。

このような警戒は今後大きなものになるだろう。なぜなら、最大手のテック企業らは野心をさらに大きくすることを明確に設定しているからだ。

ローンチする新しい Google のサービス、Facebook Libra の計画、Apple のストリーミングサービスを見ると、さらに大きな野望が見られる。

テクノロジーの役割とハイテク大手の影響について悲観論が高まっているにもかかわらず、Vestager 氏は、規制当局が問題を管理し、市民と生活を変えつつある製品との間の信頼確保を支援できるとの希望を持っている、と述べた。

もし私が楽観主義者なら、それは道徳的義務だと思うからだ。悲観論者は本当に何も成し遂げることができない。明日はもっと悪くなると思うから。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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欧州の金融を統一するベルリンのデジタル証券マーケット「CrossLend」が3,500万ユーロの調達

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ピックアップ:Berlin-based fintech CrossLend raises €35 million in funding from Santander Innoventures ニュースサマリー:10月16日、ベルリンの証券マーケットプレイス「CrossLend」がシリーズBラウンドにて、Satander Inno Venturesを含む4つの投資家から合計3,500万ユーロ(約42…

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ピックアップBerlin-based fintech CrossLend raises €35 million in funding from Santander Innoventures

ニュースサマリー:10月16日、ベルリンの証券マーケットプレイス「CrossLend」がシリーズBラウンドにて、Satander Inno Venturesを含む4つの投資家から合計3,500万ユーロ(約42億円)を調達した。2014年に創業された同社の累計調達額は今回で4,900万ユーロ(約59億円)になった。

CrossLendの運営するマーケットプレイスは、デジタル上で証券発行者である金融機関と、証券を購入する投資家を繋ぎ、自由で円滑な取引を促す。また、プラットホームの側面を持つと同時に、投資取引を加速させる分析ツール・API・レポート機能などのインフラ・サービスの提供も行なっている。CrossLend上で扱われる証券は、株式(エクイティー)ではなく、主にローンなどの債権を裏付けに証券化された有価証券。

同マーケットプレイス上では、消費者ローン・SME(中小事業者)ローンなどの債権をバックに発行された証券や、モーゲージ(住宅用ローン担保証券)、他複数種の有価証券が売買されている。発行者には銀行やその他の貸金業者が、投資家には同じく銀行などの機関投資家や投資ファンド、保険会社が存在している。

話題のポイント: CrossLend最大の特徴は、ヨーロッパ中の金融機関と投資家を結びつけ、国境を超えた一つのプラットホーム上でマッチングさせることで欧州圏の証券市場に大きな流動性を与えている点です。

以下右側のグラフは同サービスが展開されている国の割合で、イギリス・オランダが約30%ずつを占め、その他欧州諸国でも展開されていることが分かります。

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また、左側のグラフではマーケットプレイス上で扱われる証券の種類・割合が示されており、消費者ローン・SMEローン・モーゲージが扱われている証券の70%以上を占めていることが分かります。

リード投資家であるSatander Inno Venturesの投資部門を率いるManuel Silva Martínez氏は、記事の中で以下のようにコメントしています。

CrossLendは欧州地域の資本市場を結び付け、業界標準へと成長するポテンシャルを秘めています。創業者のオリバーとそのチームは、その野心的なビジョンを実現するためのDNAを持っています。私達はそんな彼らを積極的にサポートできることをとても嬉しく思います。

Martínez氏によれば、CrossLendが潜在的にヨーロッパ圏以外の地域に拡大していくことも可能だと主張しています。

国際政治において現在様々な問題を抱え、分断が生じている欧州諸国ではありますが、CrossLendのようなプラットホームがヨーロッパの経済統合の一手段として非常に高い存在意義を持っていると感じています。

デジタル金融によってヨーロッパ中の証券取引をボーダレスに仲介し、EU経済の新しい金融インフラとなることを目指す同社が、今後どれほどその役割を提供していけるかに注目が集まります。

Image Credit : CrossLend

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中国のLuckin Coffee(瑞幸咖啡)、欧州の食品加工大手ルイ・ドレフュスとジュース事業をローンチへ

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中国のコーヒーチェーンスタートアップ Luckin Coffee(瑞幸咖啡)は、ヨーロッパの食品加工業 Louis Dreyfus(LDC)と提携し、中国で合弁会社(JV)を通じ Luckin Juice を販売する契約に合意した。 重要視すべき理由:中国でスターバックスの競合として知られる Luckin は、製品カテゴリの拡充と国外市場の開拓を積極的に進めている。 福建省アモイを本拠とする同社は…

Luckin Coffee(瑞幸咖啡)と Louis Dreyfus(LDC)の調印式
Image credit: Luckin Coffee(瑞幸咖啡)

中国のコーヒーチェーンスタートアップ Luckin Coffee(瑞幸咖啡)は、ヨーロッパの食品加工業 Louis Dreyfus(LDC)と提携し、中国で合弁会社(JV)を通じ Luckin Juice を販売する契約に合意した。

重要視すべき理由:中国でスターバックスの競合として知られる Luckin は、製品カテゴリの拡充と国外市場の開拓を積極的に進めている。

  • 福建省アモイを本拠とする同社はスナック・果物飲料事業を追加した後、先月、Xiaolu Tea(小鹿茶)として知られる紅茶事業を独立運営の主体として分社化すると発表した。
  • 息つく暇もないほど成長しているが、未だに赤字を計上している。アメリカで上場している同社にとって、製品カテゴリーの拡充は財務的にさらなるプレッシャーになるだろう。
  • ヨーロッパのパートナー LDC とは、ここ数か月話し合いを進めてきた。Luckin が SEC(証券取引等委員会)に提出した文書には、Louis Dreyfus Asia とコーヒー事業の合弁を立ち上げる計画が示されていた。その取引の一環として、Louis Dreyfus は IPO(新規株式公開)価格で5,000万米ドル相当のクラスA株式を取得する。

LDC との合弁会社を通じて、Luckin は製造に近い上流部門へ事業を拡大し、製造過程全体での品質管理、より優れた製品の提供、顧客の多様な製品ニーズに応えるためのさらなる体験とサービスの向上につなげられます。将来に向けて、幅広い顧客のニーズに応えるほか、さらに多くの消費をしていただけるよう、費用を削減していきます。(Luckin のシニア VP 兼共同設立者 Jinyi Guo=郭瑾一氏)

詳細情報:新しい合弁会社は、濃縮果汁ではないオレンジ、レモン、アップルのストレートジュースを専業とするほか、自社の飲料製造工場を建設する予定がある。

  • 同社によると、他の果物・野菜ジュースを製造する計画もある。
  • Luckin 店舗は販売拠点として重要な役割を果たす一方で、他のチャネルを通してジュースを市場に展開する予定だ。
  • 合弁会社設立に関する取引情報は非開示。

背景:1851年に設立され、オランダ・ロッテルダムを本拠とする LDC は中国で40年以上事業展開している。中国のほぼすべての州において、穀物、油糧種子、綿花、砂糖、コメ、ジュースなどの商品を取り扱っている。

【via TechNode】 @technodechina

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Alipay(支付宝)、ヨーロッパ進出を本格化——ユーザ合計500万人を抱えるデジタルウォレットアプリ企業6社と提携、QRコードを一本化へ

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中国のモバイル決済サービス大手 Alipay(支付宝)は10日、乱立しているQRコード決済サービスを1つに統一すべく、ヨーロッパの複数のデジタルウォレット企業と提携したことを発表した。 Alipay の提携先となるのは、フィンランドの ePassi と Pivo、ノルウェーの Vipps、スペインの MOMO、ポルトガルの Pagaqui、オーストリアの Bluecode。Alipay はこれらの…

Photo credit: Ant Financial(螞蟻金融)

中国のモバイル決済サービス大手 Alipay(支付宝)は10日、乱立しているQRコード決済サービスを1つに統一すべく、ヨーロッパの複数のデジタルウォレット企業と提携したことを発表した。

Alipay の提携先となるのは、フィンランドの ePassi と Pivo、ノルウェーの Vipps、スペインの MOMO、ポルトガルの Pagaqui、オーストリアの Bluecode。Alipay はこれらの企業と提携して、ヨーロッパで乱立しているモバイル決済サービスを1つの QR コードサービスに統一する考えだ。

今回の提携によって、ヨーロッパのモバイル決済アプリユーザは、提携先6社のデジタルウォレットの決済方法を採用しているヨーロッパ10ヶ国の販売業者に対してアプリを使って支払うことができる。提携先のデジタルウォレット企業は、Alipay が提供する統一されたQRコードを使うことになる。ヨーロッパで Alipay を使うことになるユーザの大半は中国からの観光客だ。これらのユーザも Alipay の提携先となる決済アプリを採用している販売業者に対して Alipay を使って支払うことができる。

今回の提携は、同社の QR コード標準を採用すべく、去年12月に Vipps、ePassi、Alipay の間で結ばれたパートナーシップに基づいて構築されている。Alipay によると、今後はヨーロッパにおけるサービスをさらに多くの国に展開していくという。

今回 Alipay と提携した6つのデジタルウォレット企業は、ヨーロッパで合計500万人のユーザを抱え、19万の販売業者が登録している。

Alipay や WeChat Pay(微信支付)などのモバイル決済企業は、ヨーロッパに大挙して押し寄せている中国人観光客から利益を得ようとしている。貿易摩擦が激化する中でも、ヨーロッパは中国人にとって最も人気のある観光地の1つとなっている。

貿易摩擦の影響で Alipay のアメリカ進出は難航しているため、同社は現在ヨーロッパとアジア地域の市場に注力している。

Alipay ヨーロッパのトップを務める Roland Palmer 氏は最近、中国とアメリカの貿易戦争によって Alipay の成長が減速するという懸念を一蹴した。同氏によると、過去1年間で Alipay のサービスを採用したヨーロッパの販売業者の数は3倍になったという。

Ant Financial(螞蟻金融)の CEO Eric Jing(井賢棟)氏は声明で次のように語った。

弊社がより多くの販売業者と中国人観光客の橋渡しをしながら、ヨーロッパにおけるスマートなライフスタイルと IT 化の推進に一役買えることを喜ばしく思っています。モバイル決済は世界中どこでも使えるものであり、サッカーと同じように人々の心を1つにできるものだと考えています。

【via TechNode】 @technodechina

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米国のテック大手が2018年に買収した、欧州スタートアップ13社

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過去数年間と同様、2018年にもテクノロジー業界で多数の大規模買収劇があった。テクノロジーを強化する手段を探すアメリカ企業にとっては、ヨーロッパが格好の調達先となっている。 ここからは、今年欧米間で行われた買収劇のいくつかを紹介しよう。 Spektral(デンマーク) 10月、Apple はデンマークのスタートアップ Spektral を買収したことを発表した。Spektral はコンピュータビジ…

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Image credit: Pixabay

過去数年間と同様、2018年にもテクノロジー業界で多数の大規模買収劇があった。テクノロジーを強化する手段を探すアメリカ企業にとっては、ヨーロッパが格好の調達先となっている。

ここからは、今年欧米間で行われた買収劇のいくつかを紹介しよう。

Spektral(デンマーク)

10月、Apple はデンマークのスタートアップ Spektral を買収したことを発表した。Spektral はコンピュータビジョンと機械学習テクノロジーを使って、リアルタイムで動画から人物の部分を切り抜くことができる。iPhone のカメラに組み込まれたら便利な機能である。しかし Apple 傘下で Spektral のテクノロジーがどのような変化を遂げるかはまだ未知数だ。

契約条件は公式には明らかにされていないが、地元紙 Børsen によると契約額は約3,000万米ドルになるという。

Shazam(イギリス)

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Shazam

この買収劇が実際に発表されたのは昨年のことである。Apple は4億米ドルの入札によって、ロンドンに拠点を置く音声認識プラットフォーム企業 Shazam を買収した。欧州委員会(EC)による独占禁止法の調査が行われた影響もあり、買収完了までには10か月を要した。EC は9月になって買収を進めることを認め、その数週間後には Apple が契約完了を正式に発表した。

Apple は Shazam をスタンドアロンのアプリとして維持し続けることを表明していたが、将来的には Apple 製品に Shazam のテクノロジーが緊密に連携されていく公算が高い。

Dialog Semiconductor(ドイツ)

これについては完全な買収ではないが、いずれにせよ注目に値するものである。Apple は6億米ドルの契約を結んで Dialog の電力管理チップ事業を部分的に買収した。これには Dialog のテクノロジーのライセンス、一部のヨーロッパオフィスの所有権、そして300人のエンジニアのオンボーディングが含まれる。

Apple が iPhone の電力管理チップを Dialog Semiconductor のものから他社のものにするという報道が出て1年以上経過してから、今回の契約のニュースが発表された。この噂により Dialog の株価は約40%も急落していた。

Platoon(イギリス)

今月、Apple がロンドンに拠点を置く Platoon を買収したというニュースが伝えられた。Platoon はミュージシャン向けのクリエイティブサービスを提供している。

Apple は Platoon に関する明確な計画を決めていないが、Platoon はレコード契約の締結やツアーのサポート、独自コンテンツの作成、関連市場へのマーケティングといったアーティストの育成を得意としている。言うまでもなく、Platoon と Apple Music の相性は抜群だ。

Bloomsbury AI(イギリス)

7月、Facebook はロンドンに拠点を置くスタートアップ Bloomsbury AI の買収計画を発表した。契約条件は発表されていないが、一部の報道によると契約額は最大で3,000万米ドルに達するという。

Bloomsbury AI の自然言語処理(NLP)とマシンリーディングテクノロジーでは、非構造化テキストと文書の構文を解析して質問に答えることができる。今回の契約は企業買収によって人材を獲得するだけにとどまらない。 Bloomsbury AI はコア製品の開発を中止して GitHub でオープンソースとして開発を行う道を選んでいる。

GraphicsFuzz(イギリス)

8月、Google はロンドンに拠点を置く GraphicsFuzz を買収したことを発表した。GraphicsFuzz はモバイル画像ベンチマークツールに特化したスタートアップである。

契約条件は発表されていないが、当時発表された Google の声明によると、契約の結果、GraphicsFuzz の3人から成るチームは Android のグラフィックチームに参加してドライバーテストテクノロジーを「Android のエコシステム」に統合するサポートを行う。

Ninja Theory(イギリス)

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Senua は青いタトゥーを除けば平凡なキャラクターだ
Image Credit: Ninja Theory

6月、Microsoft は5つのゲームスタジオを買収したことを発表したそのうちの1つがイギリスに拠点を置き『Hellblade』を開発した Ninja Theory である。

過去を振り返ってみても、Microsoft は限られた数の社内スタジオしか運営してきておらず、Xbox 限定のゲームの制作ができなかった。5つのスタジオを傘下に置くことで、この状況が打開される方向に向かう。

Playground Games(イギリス)

6月に行われた Microsoft によるもう1つの買収劇が、『Forza Horizon』を開発した Playground Games に関するものである。同社は買収を経て、Microsoft 傘下で『Forza Horizon 4』を PC と Xbox で限定リリースする役割を担った。

Blue Vision Labs(イギリス)

Blue Vision Labs

2019年に IPO を計画しているライドヘイリング企業 Lyft は10月、ロンドンに拠点を置く拡張現実(AR)スタートアップ Blue Vision Labs の買収計画を発表した

この買収により、Lyft は初めてイギリス内にオフィスを持つことになる。しかし、Lyft のコアサービスであるライドヘイリングをイギリス市場でローンチする動きに出るかは発表されていない。Blue Vision Labs は Lyft の自動運転向けレベル5(完全自動運転)部門の一部となり、買収によって Lyft の自動運転車への取り組みが強化される。

PlayCanvas(イギリス)

Snapchat を運営する Snap が、ロンドンに拠点を置く PlayCanvas を買収したというニュースが3月に飛び込んできた。PlayCanvas はウェブ向けのゲーミングエンジンを開発している。しかし、取引自体は昨年に行われていたようだ。

確認は取れていないものの、報道によると Snap は一部のゲーム機能を Snapchat アプリに実装する方法だけでなく、新たな3D 機能やバーチャルリアリティ(VR)機能を同社の看板アプリに実装する方法を探っているようだ。

iZettle(スウェーデン)

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iZettle

ヨーロッパの Square と呼ばれる iZettle は、突然目の前に現れた PayPal に22億米ドルで買収されるまで上場に向けた準備を行っていた。この買収は PayPal にとってこれまでで最高額となるものだ。

iZettle は複数のヨーロッパ市場に進出しているため、PayPal は今回の買収によって実店舗での支払いサービスで存在感を強化することになる。

買収自体は完了しているものの、イギリスの競争・市場庁である CMA は契約の調査を続けている。今後何らかの形で契約が取り消しになる可能性もあるため、今後の動向にも注目だ。

Interoute(イギリス)

2月、アメリカの通信会社でインターネットプロバイダーでもある GTT Communications は、ヨーロッパのファイバーネットワーク事業者である Interoute を23億米ドルで買収したことを発表した。

ロンドンに拠点を置く Interoute はすでにヨーロッパ最大級のファイバーネットワークを運営しており、その規模は7万キロ以上、29か国に及ぶ。つまり、今回の買収によって GTT は世界規模のネットワークを容易に拡大できるようになる。

DogBuddy(イギリス)

最も魅力的な業界というわけではないかもしれないが、世界のペット市場産業規模は数十億米ドルにも及ぶ。アメリカに拠点を置くドッグシッティングプラットフォーム企業 Rover は、今年1億5,500万米ドルを調達して国外への展開に打って出た。その一環としてヨーロッパの競合 DogBuddy を買収した

世界のペットフード消費額は700億米ドルを超えているが、その3分の2をアメリカとヨーロッパが占めており、大半は犬用ペットフードへの支出となっている

犬向けのビジネスは儲かるのである。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

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2018年第3四半期、ヨーロッパのスタートアップへのVC投資額が21%ダウン

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  シリコンバレーと中国へのベンチャーキャピタルによる投資が増加している一方で、ヨーロッパへの投資は冷え込みつつあるようだ。Dow Jones VentureSource が発表した直近四半期の結果によると、ヨーロッパのスタートアップが調達した資金額と案件数は、いずれも9月までの3ヶ月で急激に減少している。 ヨーロッパのベンチャーキャピタルに関する2018年第3四半期のレポートが12日発…

 

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Image credit: Pixabay

シリコンバレーと中国へのベンチャーキャピタルによる投資が増加している一方で、ヨーロッパへの投資は冷え込みつつあるようだ。Dow Jones VentureSource が発表した直近四半期の結果によると、ヨーロッパのスタートアップが調達した資金額と案件数は、いずれも9月までの3ヶ月で急激に減少している。

ヨーロッパのベンチャーキャピタルに関する2018年第3四半期のレポートが12日発表された。このレポートによると、ヨーロッパでベンチャーキャピタルが支援している企業の第3四半期の調達額は52億2,000万米ドルで、前年同期に比べて21%ダウンしている。資金調達の件数は684件で、2017年第3四半期と比べて9%減少している。

これらの数字は2018年第2四半期と比べても減少しており、資金調達額が26%減少、件数も18%ダウンしている。

EU 離脱が懸念されるなかでも、イギリスのスタートアップは群を抜いている。第3四半期には総投資額の43%、案件の32%が行われている。それでも、イギリスのスタートアップが調達した投資額は23億米ドルと、第2四半期からは11%ダウンしており、件数も215件で16%ダウンとなっている。

ベンチャーキャピタルによる投資額が6億7,900万米ドルで2位のフランスは、1位のイギリスに大差をつけられており、案件数は78件で3位となっている。ドイツへの投資額は6億3,100万米ドルで3位、案件数は83件で2位となっている。

ベンチャーキャピタリストにとって良いニュースもある。第3四半期では24のVCファンドがクローズし、41億米ドルを集めている。これは第2四半期と比べると50%アップ、前年同四半期と比べると90%アップである。

<関連記事>

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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2018年上半期の、ヨーロッパのシードスタートアップシーンを振り返る

ヨーロッパも8月に入っているので、ヨーロッパ大陸におけるシードラウンドへの投資についてデータを集めて分析し、振り返ってみるのが良いだろう。今年前半がどういう風だったのかを見てみて、起業家への脅威やチャンスを見極めよう。 1.投資された資本と、その量 ドル建てで見ると量は増えているが、件数の絶対数は減っている。 2018年前半では6億6,500万米ドル相当のシードの取引が完了した。この額から1年分を…

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Image credit: Pixabay

ヨーロッパも8月に入っているので、ヨーロッパ大陸におけるシードラウンドへの投資についてデータを集めて分析し、振り返ってみるのが良いだろう。今年前半がどういう風だったのかを見てみて、起業家への脅威やチャンスを見極めよう。

1.投資された資本と、その量

ドル建てで見ると量は増えているが、件数の絶対数は減っている。

2018年前半では6億6,500万米ドル相当のシードの取引が完了した。この額から1年分を推定すると年間13億3,000万米ドルとなり、2016年の額と等しい。4億6,300万米ドルだった2017年上半期と比較すると、ドル建てで44%上昇している。789件のシード取引が2018年前半のヨーロッパで完了したのに対して、2017年前半では873件であり、10%減少している。

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(上)Data source: Crunchbase and dealroom.co

起業家へのアドバイス:ヨーロッパではアーリーステージに対する資本がかつてないほど大きくなっている。アーリーステージへの投資量は2012年からずっと上昇傾向にあったが、今は安定しているように見える。シードステージで健全なレベルの資本を活用することと共に、さらに重要なのは、スタートアップが成長する最良のチャンスを与えてくれるパートナーを選ぶことである。虚栄に満ちた資金調達ではなく、会社が成長するための方策を。

2.取引の額

ラウンドは大きくなり続けており、周期的な高値に届いているのかもしれない。

2018年上半期のシードラウンドの平均は117万米ドルだった。

2_average_seed_round興味深いことに、平均的なラウンドの額が89万米ドルだった2017年上半期の平均取引額と比べて、33%増加している。

明らかにラウンドは大きくなっているが、取引額は過去と比べてどのように違うのだろうか。

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(上)注:2018年の値は上半期のみ
Data source: Crunchbase

起業家へのアドバイス:より多くの資本が、より少数の案件に向かっている。そのため、シード資金の調達のハードルは上がってきている。ラウンドの額の上昇と共に、評価額も全般的に上昇している。一方で、これらの評価額の上昇は株式の希薄化のコントロールには有用かもしれない。シードステージで希薄化に過敏になりすぎると、将来の成長の妨げになるかもしれない。忘れてはならないのは、既に市場の条件はかなり起業家に有利になっているということだ。提携している投資家に支えられた、半分道理にかなった評価額を最重要点とすべきだ。より良い投資家からのより低い評価額を受け入れることは直観に反するが、それこそが成功と失敗を分けるものとなるかもしれない。スタートアップの成長とは、人材や顧客などの付加価値によって促進され得るものである。高い評価額が新しいエンジニアを雇うわけではないし、新しいクライアントをもたらすわけでもないのだ。

3.エコシステムの分散

仮想通貨で勢いをつけた新規参入のツークが、ベルリンに取って代わって取引額でヨーロッパ第3の都市の座についた。

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(上)Data source: Crunchbase

ドル建てでシードファンディングの49%は上位4都市のスタートアップが占めており、ロングテールである多くのヨーロッパの都市が残りの半分となっている。

2017年上半期と比べてどうなっているか見てみよう。

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(上)Data source: Crunchbase
  • ブレグジット(EU 離脱)の投票後もロンドンはシードファンディングで他を圧倒しており、絶対的にも相対的にも成長している。
  • 興味深いことに、クリプトバレーの企業に押し上げられて、スイスのツークが重要なプレーヤーになっている。この図はエクイティファイナンスのみを表示しており、すべての IC ファンドを含めればツークはさらに大きな存在感を示すと思われる点に留意すべきである。
  • トップ3には届かないが、額という点ではケンブリッジがベルリンを追いかけている。しかしこの2都市は企業の構成という点ではまったく異なっている。ケンブリッジは地元の学術機関が生むエンジニアリングとディープテックの人材を活用し、重要なポジションにあり続けている。

起業家へのアドバイス:ベンチャーが支援するスタートアップを作るには、ロンドンは今でもヨーロッパで最良の場所である。ロンドンのエコシステム(および付近のケンブリッジとオックスフォード)の深さは、ブレグジットが迫る中にあってもヨーロッパのその他の都市を上回り続けている。エンジェル投資家、VC、アクセラレータ、そして究極的には資本が、この都市には最も大きく集中している。また同都市はヨーロッパの34社のユニコーンのうち13社が拠点としている。これによって人材、資金、メンタリングにおいて最も肥沃な環境が提供されているのだ。ロンドンの優越に対する喫緊の脅威は、外国人の人材雇用が制限されイギリス企業が外国企業との取引で困難に直面する、ブレグジット後の世界である。しかしヨーロッパの多くの投資家は大陸中を網羅しているということは覚えておくべきだ。素晴らしい会社はどこででも始めることができるが、いくつかの地域では人材雇用の限界に達するのが早いかもしれない。

4.シードファンディングを行うスタートアップの年齢

現在、シードファンディング時点でのスタートアップの平均年齢は2年3ヶ月である。

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(上)Data source: Crunchbase

2017年上半期に比べるとシードファンディング時点におけるスタートアップの年齢の平均値も中央値も上昇している。

では、スタートアップの成熟度が調達する資本の量に影響するのかどうか見ていこう。

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(上)Data source: Crunchbase

トレンドラインは緩やかに上昇しており、年齢の増加とシードで調達する資本の間には僅かな関係があることが示されている。それでも、ベンチャースケールの成長目標に自力でついていく会社でない限り、調達までの予定表が長引いていることは、何かの不具合(伸び悩むトラクション、出荷能力の欠如、まとまらない戦略など)があるのではないかというネガティブなサインとして見る投資家もいるだろう。

起業家へのアドバイス:資金調達ラウンドのタイミングは、会社がいつ資本を必要とするのかということと、その資本をさらなる成長に変換できるのはいつかという指標の、その2つのコンビネーションに基いていなくてはならない。資金調達は会社がさらなる成長を加速させる転換点として捉えられるべきものであり、ゲームの終着点ではない。シードラウンドで資金調達をしている会社は、もはや創業チームと狭いオフィスだけではない。会社設立の障壁が下がり(AWS、フリーランサー、スタートアップらの微粒子化など)、設立者は今やより少ないものでより多くを手にすることができるようになった。シードラウンドで調達する前に、資本は根源的には成長阻害要因であると認識しておかなければならない。

5.シリーズ A への道

シリーズ A のファンディングは成長を続けており、それと共にスタートアップのトラクションに対する投資家の期待もまた膨らんでいる。

シードファンディングが安定して増加を続ける中で、シードステージのすべての起業家が持つであろう疑問は、どうやってシリーズ A に進めばよいのだろうかというものだ。

スタートアップの KPI と収益予測を見るのは、この分析には無理があるかもしれない。なので代わりに、過去18ヶ月のシリーズ A ファンディングのペースを見てみよう。

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(上)Data source: Crunchbase

ヨーロッパのシリーズ A の額は著しく上昇している。「A」ラウンドの分析に踏み込まなければ、少なくとも資金調達の環境は健全であると推測することができる。

では、シリーズ A ラウンドに先駆けてスタートアップが調達した資本の平均額を見てみよう。この図は鵜呑みにしないようにしたい。すべてのスタートアップはユニークであり、次の転換点へと到達するために必要な資本もバラバラだ(ハードウェアは高く、ソフトウェアは低い)。下図は情報を提供するものであり、目標額でも必要額でもない。

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(上)Data source: Crunchbase

興味深いことに、シードラウンドとの対比では、「旧来の」シードラウンドの外、つまりエンジェル、プレシード、ブリッジ、追加シードラウンドなどで調達された資本の量は、取るに足らないものではないことを上図は示している。

そこに行くまでにどのくらいかかるだろうか。過去2年半のデータを見てみると、スタートアップがシリーズ A に辿り付くのに平均4年かかっている。

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(上)Data source: Crunchbase

起業家へのアドバイス:トレンドラインは明確だ。ヨーロッパで会社を立ち上げアーリーステージのベンチャーファンディングを調達するのは今が最良のタイミングだが、シードやシリーズ A ラウンドに到達するための時間は増加している。投資家がシードやシリーズ A のスタートアップにかける期待も増大している。スタートアップもまたプロダクト・ゴー・ツー・マーケット・フィット(市場に合うであろうプロダクト)段階からプロダクト・マーケット・フィット(市場に合ったプロダクト、PMF)へと移行する期間をより長く取っているようだ。シリーズ A に至るために求められる KPI を理解すべく、思慮深く実践的なアプローチが重要だ。シードを通過したスタートアップは PMF に至ることができるよう、十分なデータポイントを集めるために多くの支障やロードマップの変更を必ず経験することになる。ポジティブな方向への発展(とキャッシュ)がスタートアップの歩みを進めていくことだろう。そして、シリーズ A に向けて市場で何が求められているのかということに関する深い理解と洞察を提供できる投資家と共に働くことができれば、ライバルよりも有利になることができるだろう。

重要なポイント

2018年上半期ヨーロッパのシードファンディングデータにおける重要なトレンドは以下のとおり。

  • ヨーロッパは成長している。これは自明のことである。2016年と2017年のそれぞれで、ヨーロッパではアメリカの2倍近い量の IPO があった。今年はこれまでのところ、ヨーロッパでは27件の IPO で総額325億米ドルなのに対して、アメリカでは14件の IPO で総額250億米ドルである。流動性がすべてではないが、それによって人材が流入し、起業する者にきちんと資金が提供され、投資家のリターンは増加し、そして自信を深めて、ヨーロッパのテックエコシステムの木に新たな年輪を刻んでいる。
  • シードは新たな「A」である。今年生まれたトレンドというわけではないが、この現状はますます固まってきている。歴史的には、トラクション以前のスタートアップはシードとされてきた。今では多くの投資家が、トラクションにつながる小切手にさらに大きな額を書き込むことで、リスクを減らそうとしている。
  • シリーズ A ファンドはレイトシードへと移行している。A ファンドがより大規模かつシード後半に、もしくはそのどちらかで行われることが著しく増加しており、、シードと「A」の境界線は曖昧になってきている。こういったことが起きているのには多くの理由がある。a)シードの会社は、より「A」の会社のようになってきており、b)「A」ラウンド内の競争によって、それに勝とうとする投資家は先買いの小切手を切らねばならなくなってきており、そして、c)多くの VC は大量の資金を調達しているため、「A」およびその周辺に資金を振り当てなければならないのだ。
  • プレシードが出現している。プレシードはシリコンバレーやニューヨークで定義されたカテゴリとして表れた。インキュベータやアクセラレータを除いた、少数の専用ファンドがヨーロッパにも誕生しており、またより多くのシードファンドはより早い段階で小額の小切手を切ろうとしている。以前、起業家は「友人と家族」を頼るか、もしくはエンジェルファンドで調達するよう求められるか、またはシードラウンドまで自力で進まなければならなかった。今や機関投資家はこのステージへ慎重に足を踏み入れており、経済状況を把握して、時には起業家を制限された予算で専門的な製品を製造しなければいけない状況から救っている。

「ヨーロッパのテックは成長している」という言説は何度も耳にしてきた。そして今、土台となるデータがその主張を本質的に支持しているのを見て取ることができる。

Sam Cash 氏betaworks のバイスプレジデントである。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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