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ランボルギーニを東南アジアに販売したEuroSports、今度は電動バイクの製造に着手

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Tech in Asia では、有料購読サービスを提供。有料記事の閲読、全記事への回数無制限閲読、5万社を超える企業データベースへの無制限アクセス、カンファレンスへの限定割引などの特典があります。詳しくはこちらから


スモッグが都市部の空気を埋め尽くしており、車やバイク、工場が空気汚染を恐ろしいスピードで悪化させている。都市に住む80%以上の人々が、世界保健機構(WHO)規定の制限を超えるレベルの質の空気に晒されている。

このため、環境に優しい企業、例えば「世界の持続可能エネルギーへの移行を加速させる」ことを企業ミッションとする Tesla などは、評価が上昇している。

EuroSports
EST-x のプロトタイプ。EuroSports は「オートバイの Tesla」となりうるだろうか?
Photo credit: EuroSports Technologies

同様の理由で、EuroSports Technologies のチームも、「オートバイの Tesla」と自ら呼ぶ自社製品が東南アジアやさらなる地域で大成功するだろうと考えている。この新しいスタートアップ EuroSports Technologies は、EuroSports Global の完全子会社で、シンガポールにおけるランボルギーニ車の販売代理会社でもあり、EST-x とコード名をつけられた全電動バイクを開発している。

EuroSports Technologies の新任 COO、Joel Chang 氏は次のように述べる。

弊社は交通渋滞も大気汚染も存在しない世界を心に描いています。

同氏によれば、東南アジアにおけるモータービークル市場は巨大で、毎年約1,500万台が売れているという。

身体にも環境にも優しく

では、なぜバイクであり自動車ではないのか?Chang 氏はこう振り返る。

私たちは自動車産業の出身で、最も持続可能な公共輸送機関は何だろうかと考え始めたのです。

初めに思いついたのは当然ながら電気自動車だった。

しかし、電気自動車はそれほど効率的ではありません。サイズが大きく、交通混雑の原因になってしまうからです。

同氏は説明する。さらに、自動車は十分に使用されていないこともしばしばあり、最大能力まで使い尽くされていることはほとんどない。自動車の製造、またガソリン燃焼では炭素が多く排出される。

そこで同社チームは自転車を検討した。

ところが、自転車は非常に効率が良いものの、必要な時でも普段以上の人数や荷物を運ぶことができません。

そのため、電動バイクが理にかなった選択だと思われた。東南アジアのどの国を訪れても、おそらく道で多数のオートバイに出くわすだろう。中には規定をはるかに超える人数を乗せているものもある。

Chang 氏はこう語る。

東南アジアの大半の人々は自動車を買うお金がなく、またシンガポールのような効率的で優れた公共交通システムもありません。彼らは、本当に家族を、また自分の全生涯を、オートバイに乗せて運んでいるようなものです!

電動バイクによって東南アジア地域の炭素排出量を劇的に減らすことができると EuroSports Technologies は考えている。Chang 氏によれば、東南アジアで使われているバイクの90%は空気を汚染するものだという。というのも、それらのバイクの大半は過去の欧州排出ガス規制のユーロ2またはユーロ3の基準で走り続けているからだ。これらの基準は、自動車など輸送機器による一酸化炭素(CO)排出量を規制するために1990年代初めに導入されたものである。

実のところ、ユーロ2のオートバイはシンガポールで走っている最も空気を汚染するトラックよりも、さらに空気を汚染するものなのです。シンガポールの道路で走ってよいと許可されているのは、ユーロ6の排出基準に準拠した乗り物だけです。

さらに Chang 氏は、自動車がガソリンから電気に転換するには「より長い時間がかかり、より先のことになるだろう」と考えている。東南アジアにおいて電動輸送機器への転換の第1波はバイクから起こるというのが同氏の考えだ。

ゴリアテよりもダビデになるほうがよい

各国政府が排出基準の改善に取り組んでいるが、Chang 氏はもっと多くのことができると考えている。従来の自動車製造会社が、自らの豊富なリソースを利用してこの問題を一瞬にして改善することはどうしてできないのだろうか?

彼らのサプライチェーン全体は現在のニーズに合わせて作られているので一夜にして変えることはできず、そのため彼らはガソリンに固執するのです。言い換えれば、彼らはレガシーを抱えているようなものです。

Chang 氏は説明する。

だからこそ、ここには革新的企業が参入してこうした努力の最前線に立つチャンスがあるのです。

2018年中頃に4,570万米ドルの歳入を報告した親会社を既存の支援者として有しているにもかかわらず、Chang 氏は EuroSports Technologies を「既存の上場企業傘下のスタートアップ」と今なおみなしている。

EuroSports Technologies が1998年以降東南アジアにおいて多くの高級自動車ブランドで注目度を上げてきていたことも、さらなる有利な点だと同氏は考えている。

私たちは各国政府、提携企業、起業家、消費者と実地の深いネットワークを有しています。実は、弊社が始まった時ランボルギーニはここにはまだ存在していませんでした。

政府がこれまで十分に対応できなかった別の重要な問題は、電動輸送車のための充電施設がないということだった。しかし、Chang 氏は自社の電動バイクはそうしたネットワークを必要としないと説明する。

購入者は普通の電源を使って電動バイクを充電できます。しかし、私たちは電動バイク利用者それぞれの充電を補完する意味で、ローンチする主要都市に自社独自の高速充電スタンドを設けるつもりです。東南アジアでは、電動バイクは充電ネットワークを必要とせずに運転可能になるべきだと考えています。

いずれにせよ、同社の電動バイクは都会で生活する一般的な人が週に1度か2度充電しさえすればよいように設計されており、「たった2~3時間で完全に充電できる」という。

購入可能な価格へ

EST-x のプロトタイプはゼロから開発され、シンガポールで製造されると Chang 氏は Tech in Asia に伝えた。同社の電動バイクは内容も見た目も良さそうだが、究極の問題は、普通の消費者が買える価格であるかということだ。

Chang 氏によれば、同社の電動バイクは、「ガソリン燃料で走る場合よりも、寿命全体でみると、安上がりになるように設計されている」そうだ。つまり、購入者は長期的に見て維持費と燃料費を節約できるということだ。

EST-x1台の製作費と市場価格がどれほどかについて Chang 氏は回答を控えたが、同氏は「中間所得層が購入可能な価格帯」で提供可能と確信していると述べた。

Chang 氏が主に引き合いに出しているのは、インドネシア、タイ、マレーシア、ベトナムなどの東南アジア諸国の中流階級だ。

ターゲットにしているのは、弊社の分類によれば世帯の年間総所得が6,000米ドルかそれ以上の、東南アジアの「マス・プレミアム」層です。それ自体で弊社にとっては将来性ある非常に大きなマーケットになります。

また、5年間で、彼らの製品は同等のガソリン式オートバイより安くなりさえする可能性があるという。

もしも排出基準が今後さらに上がれば、通常の車やバイクの価格も上がることになるので、とりわけ同氏の考え通りになるだろう。例えばインドは、2020年半ばまでにシンガポールとともにユーロ6準拠の流れに乗る予定だ。

EuroSports はさらに、近い将来サブスクリプションサービスを展開していく予定だという。それにより「所有コスト」がなくなることになる。

消費者にとって一味違ったモビリティ体験を創出しようとしています。電気式なので、コネクテッドバイクになることもできます。電動バイクのソフトウェアはライドシェアアプリや保険会社などとつながることもできます。

必要となる活動資金

大きな目標の達成にはそれ相応の多額の資金が必要となるのが典型だ。例えば Tesla は2000年代初頭以降、145億米ドル以上の資金を調達した。

しかし、EuroSports Technologies の現在の資金調達額は150万米ドルだ。今後さらに220万米ドルが続くとはいえ、これでも大量生産に至るには十分な額ではないと Chang 氏も認める。

とはいえ、それだけの資金があれば今年の第1四半期に発表される予定の初代プロトタイプを作るのには十分だと同氏は考える。

Chang 氏は大量生産を行うためにどれだけのお金が必要なのか、正確には明かさなかった。

しかし、電気自動車を生産するのに必要なお金よりはずっと少ないものです。

完成版の製品を2020年に市場にローンチする計画だが、最初にどの国の市場にローンチするかについてはいまだ計画をまとめているところだ。

ただ、ベトナム、インドネシア、タイ、マレーシア、シンガポールといった主要各国が含まれると思って頂いて間違いありません。

目下、傑出した電動輸送機器の製造会社は東南アジアにはほとんど存在していない。東南アジアでの電動バイク分野で EuroSports Technologies の主なライバルとなるのは、台湾発の Gogoro だ。

同社の最優先事項の1つは、「フル生産に至る」ために自社チームを強化することだ。すでにイタリア人、日本人、中国人のエンジニアと設計者を含む設計・製造の中枢チームがあり、彼らは「輸送機器設計、最良の製造・品質コントロール手法からバッテリー技術、ソフトウェア開発に至るまで幅広い経験を有している」という。

【via Tech in Asia】 @techinasia

【原文】

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