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犯罪者監視ニーズの高まりーービルゲイツ氏が投資する瞬間ボディースキャナー「Evolv Technology」、ロサンゼルス空港・地下鉄で導入広まる

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<ピックアップ : Board 350 passengers in 20 minutes? Facial recognition passes testing at LAX > 昨今、犯罪者を監視するニーズが高まっています。特にロサンゼルスで大きな動きが見られます。 2018年3月19日、「ルフトハンザドイツ航空」がロサンゼルス空港の自社チェックインシステムに「Evolv Techno…

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<ピックアップ : Board 350 passengers in 20 minutes? Facial recognition passes testing at LAX >

昨今、犯罪者を監視するニーズが高まっています。特にロサンゼルスで大きな動きが見られます。

2018年3月19日、「ルフトハンザドイツ航空」がロサンゼルス空港の自社チェックインシステムに「Evolv Technology」が開発する次世代型ボディースキャナー「Evolv Edge」の本格導入を行うと発表しました。

「Evolv Technology」は2013年にマサチューセッツ州で創業されたスタートアップ。累計資金調達額は2980万ドルに及び、ビルゲイツ氏も投資をしています。同社はAI(人工知能)を駆使したボディスキャナーを開発しており、危険物の探知及び犯罪者の識別に活用されています。

イギリスの大手新聞社The Gardianによると、空港で見かける従来型のボディスキャナーと同様にミリ波帯の電磁波を投射。しかし、利用者はバックや金属品を提示する必要はありません。電磁波の跳ね返り度合いをディープラーニングが分析し、どの場所にどのような形状の危険物が入っているのかを数秒で自動検知します。加えて、コンピュータービジョン技術を活用することで犯罪者特有の動きや表情を認識し、犯罪発生前に抑止します。

ルフトハンザドイツ航空はすでに同社の運用機体A380を利用した乗客350人に対し、Evolv Edgeを使ったボディーチェックを実施。国土安全保障省が管理する顔写真情報と乗客の情報を自動で擦り合わせる作業も含め、20分間で全乗客のチェックプロセスを滞り無く完了させた実績から今回本格導入へ至ったとのこと。

ルフトハンザドイツ航空の乗客管理システムを開発する大手IT企業アマデウスITグループは、 2017年度に累計16億人分の搭乗データを管理した実績 があります。同グループはEvolv Technologyの搭乗者認識システムの追加導入に前向きであり、今後世界各国の空港でAIボディスキャナーを見かけることになるかもしれません。

広がる監視社会のメリット・デメリット

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Image by  Hernán Piñera

アメリカの運輸保安局は、 全米各空港のボディースキャナー設置費用として1.2億ドルを計上 しています。従来型のボディースキャナー1台当たり15万ドルの導入コストがかかりますが、度々精度の低さが問題視されてきました。

一方、Evov Technologyのスキャナーは6万ドルからの販売であることから、予算をほぼ半減できる点も行政にとっては魅力的です。同社が行政からの信頼・承認を得られれば、1.2億ドルの市場規模をほぼ独占できる大きな可能性を秘めているといえるでしょう。

事実、ロサンゼルス地下鉄はEvov Technologyの試験導入を開始しています。実証実験は2017年夏に行われ、地下鉄利用者600名の身元確認及び危険物探知を行う作業を合計1時間で完了させました。1人当たり6秒でスキャニング過程を終わらせた計算になります。

技術精度が高まればより早くスキャニングを終わらせることもできるでしょう。Evolv TechnologyのCEOは 1時間当たり800名のスキャニングを行えるまで精度を高めることが最初のマイルストーン であると語っています。

さて、AIボディースキャナーの導入は、行政側にとっては大きな予算削減のメリットをもたらしますし、飛行機の利用者は待ち時間を格段に減らせることになるでしょう。しかし、管理社会化を加速させるデメリットも考えられます。例えばクレジットスコアの低い人は特定の交通機関を利用できないような事態も考えられます。

社会主義国家、中国での想定事案を考えてみましょう。中国では「Alipay」や「Wechat」に代表される電子決済システムが普及しており、各利用者のクレジットスコアデータも蓄積されていきます。しかし、社会主義であるがゆえに、政府が企業に対してデータ開示を要求すれば犯罪抑止の名目のもと、データを2次利用されてしまう危険性もあるわけです。

私たちが日常的に使っている決済サービスやSNSの利用状況が政府のデータベースで勝手に管理され、Evolv Technologyが国土安全保障省のデータベースと連携した事例のように、民間システムを介してプライバシー情報が知らぬ間に政府によって利用される懸念点も考えておくべきでしょう。

アメリカがいち早く国家治安維持のために、民間企業のテクノロジーを活用した管理社会体制へと舵を切るとは思えませんが、私たちがいずれ議論すべき時が来る事案かもしれません。ロサンゼルスの公共交通でEvolv Edgeが積極利用されるニュースをみて、テクノロジーの発展だけでなく、管理体制も考慮すべき時代が本格的にやって来たと感じました。

Via Digital Trends

 

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