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「GAFAにどう立ち向かうのか?」 7つの視点で考えるテンプ回答

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※本記事は.HUMANS社が運営するメディア「 THE .HUMANS MAGAZINE」からの要約転載 アイデアが独り立ちし、製品化されると必ずと言っていいほど突き当たるのが「GAFAが攻めてきたらどう戦うのか?」という質問でしょう。実績が積み重なってくればなおさらです。ただ、実際にGAFAが同じような製品を展開したとしても、すぐさまユーザーが離れるのかどうか、市場シェアをすぐに奪われてしまうの…

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※本記事は.HUMANS社が運営するメディア「 THE .HUMANS MAGAZINE」からの要約転載

アイデアが独り立ちし、製品化されると必ずと言っていいほど突き当たるのが「GAFAが攻めてきたらどう戦うのか?」という質問でしょう。実績が積み重なってくればなおさらです。ただ、実際にGAFAが同じような製品を展開したとしても、すぐさまユーザーが離れるのかどうか、市場シェアをすぐに奪われてしまうのかどうかはわかりません。

それでも、なぜこういった質問がしつこく聞かれるのか。答えは「起業家がどこまで考えきれているのかを探るため」ではないでしょうか。

では「GAFAにどう立ち向かうのか?」の質問への回答アプローチはどんなものがあるのでしょうか。ここで著名VC、GreylockのパートナーであるBrendan Baker氏のブログ投稿を元に、いくつかの視点を共有してみたいと思います。

なお、私の場合はAR市場展開を想定しているため同市場寄りの説明になっている箇所があります。そのため、特定パートは読者みなさんの市場に置き換えて説明を考えてみてください。

7つの視点

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Photo by Daniel Reche on Pexels.com

1. 得意収益軸:GAFAはなんでもできるわけではありません。必ず各々が得意とする稼ぎ方の「型」があります。年次報告書や四半期毎報告書を眺めつつ、まずは彼らがどこを得意に稼いでいるのか見定めてみます。

2. ハードウェア展開:ハードウェア開発および販売に強いのか、サービスで稼いでいるのか、もしくは両方なのかは重要な点です。IoTやロボット、AR企業にとってはなおさらです。たとえば忘れ物発見タグ「Tile」の模倣品をAppleが近々リリースされるともっぱら噂です。模倣品の生産だけでなく、iPhoneユーザーネットワークとの連携をされたらひとたまりもありません。このようにハード + ネットワーク効果のような連携サービスの形を取られるのがスタートアップにとっては最大の脅威となります(Tileの真の敵はiPhoneネットワークのフル活用)。

3. 失敗したサービス一覧:過去に撤退や不発で終わったサービスを確認してみましょう。どのような分野に強く、弱いのかが一目瞭然となります。

4. 自社領域の特性と時勢:噂レベルの話でも構いません、GAFAの開発リーク記事などを読みながら市場の動きを知ります。AR市場関連ではこうした噂話しか判断基準がないのですが、たとえばAppleの人材採用ページを見るとAR関連でどのような製品を作ろうとしているのかは薄っすらと見えてくるところもあります。

5. ハイパーフォーカス:たとえGAFAが何かしらの製品を展開してきたとしても、多くの製品ラインナップの内の1つです。圧倒的な選択と集中はスタートアップの強みであり、説明ロジックの軸となりえます。

6. プロテクション:大手企業になるほど既存製品の市場シェアを守ろうと走ります。既存製品への影響を無視してまで新規サービス展開へ積極的にリソースを割くことはない、という考え方です。

7. 企業文化:未来を信じるのか信じないのか。熱狂するのか、懐疑的なのか。特定分野の“熱狂者”しかいない環境が構築されるため、“熱質”が競合優位性になり得ます。ちなみにAR企業は知人らのスタートアップを見ていると、こうした「共感力」が圧倒的な差別化になると感じます。

Googleを紐解く

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Alphabetが発表した2019年の年次報告書より

ではこれらの視点をベースに、私が挑戦しているAR市場を軸に、大手各社を分析してみたいと思います。まずはGoogleから(5〜7は一般論なので割愛)。

1. 得意収益軸:年次報告書の「Revenue」パートを見ると、Google広告が収益の8割強を占めていることがわかります。YouTube広告もそこそこの収益シェアを占めています。ただ、広告が主軸であることから、YouTube Premiereのようなサブスク事業が大きく立ち上がっている見通しが未だありません。

改めてGoogleは広告企業であり、サブスク企業ではないと言えるでしょう。スタートアップが突くとしたら、Googleの事業領域でサブスク展開で急成長を狙える製品だと説明できるかもしれません。

2. ハードウェア展開と、3. 失敗したサービス一覧:次にGoogleが失敗してきた製品を適当な記事で確認してみましょう。(こちらの記事より抜粋)

Google Wave、Orkut、Google+、Google Hangouts on Air、Google Answers、Google Catalog Search、Dodgeball、Google Notebook、Google Page Creator、Google Video、Google Glass、Daydream etc…

4. 自社領域の特性と時勢:現在、Googleのハードウェア製品と言ったらPixelシリーズが有名でしょう。かつてはGoogle GlassやDaydreamのようなグラス端末やヘッドセットを開発してXR市場へ参入をしてきましたが上手く立ち上がっていません。そのため、同社は「モバイルAR戦略」へと大きく舵を切っています。

「広告企業」「Pixel」を組み合わせ、当分はモバイル市場を活用したAR広告戦略を打ってきそうな予感がしそうです。逆に言えば、モバイルAR広告以外の領域ではスタートアップも戦える領域があると言えるかもしれません。

Facebookを紐解く

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Facebookが発表した2019年第4四半期結果資料より

続いてはFacebook。

1. 得意収益軸:FacebookはSNSを活用した広告企業であることが一目瞭然です。ほぼ100%広告。Googleが苦手とするSNS領域に特化した「広告企業」とした不動の地位を得ています。ちなみにFacebookもGoogleのような巨大IT企業の脅威にさらされながらも、ハイパーフォーカスを武器に成長してきました。

2. ハードウェア展開:さて、ハードウェアではVR領域(Oculusシリーズ)で秀でています。2017年の開発者会議「F8」でARプラットフォームを構築していると発表したことや、Mark Zuckerberg氏のブログ投稿で2020年代に画期的なARグラスをリリースすると宣言したことから、Oculusシリーズと同様の展開を見せそうです。ハードウェア(ARグラス)と広告を組み合わせた戦略を仕掛けてくるかもしれません。

3. 失敗したサービス一覧:次にFacebookの失敗プロダクトをこちらの記事を参考に見ていきましょう。

Notify、Facebook Home、Facebook Deals、Facebook Gifts、Facebook Offers、Facebook Credits、Autofill with Facebook、Facebook Inbox、Facebook FBML etc…

総じて見ると、トレンドサービスを開発しようとコピーキャットを作ろとして数々の失敗をしています。結局Facebookの派生サービスとして埋もれてしまう印象です。ただ、Snapchatのストーリーズを全力で模倣するずる賢さも持ち、この機能だけ大成功を見せました。

一方、次のメディアやメッセージ系サービスに張るのは非常に上手いです。WhatsAppやInstagramを買収できている目利き力は非常に高いと言えます。Facebookとは別の独立アプリとして資本力を注がれると急成長を見せます。

4. 自社領域の特性と時勢:まとめるとSNS・メッセージ・画像/動画系の2Cサービスでは勝ち目がありませんが、フィンテックや小売系サービスのような派生サービスの立ち上がりは続けて失敗しており、スタートアップの参入余地となります。結局サービス成功までやり抜くことはなく、自社サービスのプロテクションに走るのは7つの視点で話した内容に合致します。

最大の弱点は「規制」。ユーザーデータの流出から市場反発が激しいです。若者ユーザー離れも深刻化しています。この2点もスタートアップの事業領域として適切だと考えます。たとえ同じSNS領域だとは言え、過去の失敗の事例をなどを上手く引っ張ってくればステークホルダーを説得できるはずです(編集部注:要約のため、AmazonとAppleの考察については原文をご一読ください)。

ただ正直、投資家らから必要以上にGAFAとの戦い方を詰められても、最終的に「未来のことはわからない、、、」と言わざる得ない場面に突き当たるでしょう。もし徹底的に叩かれてしまった場合は、自分の考えが浅はかだったと捉えて反省を持ち帰るか、やっかみだけ言ってくる人だと感じてばっさり切るのが一番だと感じます。

最後に、今回は紹介しませんでしたが、より戦略用語を用いてロジックを組み立てるには下記の記事を参考に、さらなる強固なディフェンス構築するのをおすすめします。

<参考記事>

本稿は次世代コンピューティング時代のコミュニケーションデザイン・カンパニー「.HUMANS」代表取締役、福家隆氏が手掛ける「 THE .HUMANS MAGAZINE」からの要約転載。Twitterアカウントは@takashifuke。同氏はBRIDGEにて長年コラムニストとして活動し、2020年に.HUMANS社を創業した

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Amazonが仕掛ける「手のひらPay」に見る、“ペイ戦争”の戦い方

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ピックアップ:Here’s how Amazon’s rumored pay-by-hand tech could work ニュースサマリー:アマゾンは同社が独自に開発を進める「手のひら払い」システムを一般リテール向けに導入展開を進める考えであるとWSJが報じている。アマゾンは、昨年12月26日に米国特許商標庁へ生体認証デバイスに関する申請資料を提出していた。 同システムは生体認証デバイスにより…

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ピックアップ:Here’s how Amazon’s rumored pay-by-hand tech could work

ニュースサマリー:アマゾンは同社が独自に開発を進める「手のひら払い」システムを一般リテール向けに導入展開を進める考えであるとWSJが報じている。アマゾンは、昨年12月26日に米国特許商標庁へ生体認証デバイスに関する申請資料を提出していた。

同システムは生体認証デバイスにより、「手のひら」とクレジット・デビットカードの情報を結びつけるというもの。WSJによれば、アマゾンは同技術をクレジットカード会社と協力し個人情報保護の扱いに注力し開発を進めているという。

話題のポイント:アマゾンがインターネットから実店舗へ誘導させるOMO(Online Merge Offline)戦略に注力していることは、AmazonGoやWhole Foodsを例にとり、以前ご紹介した通りです。

特許資料には、自動コンビニAmazonGoの開発に大きく関わっているとされるメンバーの記載があるため、同店舗への導入可能性が高いと報じられていました。

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それとは反して、アマゾンは同技術を第三者店舗への導入を進めるのではと言われています。もちろん、アマゾン運営の店舗へ導入がないとは言い切れませんが、新しいデータポイントを獲得するという意味では効率がよさそうなので納得のいく方向性でしょう。

実はAmazonGoでは「手のひらPay」と類似した決済方法を実現させています。入店の際にAmazonアカウントと連携させたQRコードをAmazonGoアプリで表示させ、改札を通る方法です。

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US Patent and Trademark Office

ここで注目したいのが同じAmazon傘下のスーパー、Whole Foodsです。今でこそ支払いは伝統的なレジを通したペイメントのみですが、データポイント獲得のためにプライム会員限定の割引を獲得するため、レジでQRコードをスキャンするワンステップが始まっています。

現時点では支払いはAmazonアカウントに紐付いていませんが、もし、この「手のひらPay」が実現すればWhole Foodsのような既存店舗でも、限りない無人化にも繋がる可能性が見えてきます。

もちろん、Whole FoodsではAmazonプライム会員以外も利用可能なため、完全無人化は適してないと思いますが、プライム会員限定向けの無料配達サービス同様、会員向けのリッチな支払い体験を提供することは容易に想像ができます。

さらにAmazonが「手のひらPay」を全くテクノロジーとは結びつきのない店舗へ導入することができれば、AmazonGoやWhole Foodsで得られるデータとは分離したサンプリング層からデータの抽出をすることも可能となります。

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今年のCESでAmazonは「Alexa, pay for gas」を発表し、スマートスピーカーを通したペイメントの拡張を明らかにしています。

Amazonといえば「ワンクリック」で一斉を風靡したいわば、支払い体験の王様です。

これまでの自社ブランドのペイメントシステムに加え、「手のひらPay」によるリテール市場、さらにスマートスピーカーという音声市場など、あらゆる支払いのゲートウェイを押さえにかかっている同社戦略の輪郭が浮かんできました。ここから得られるデータは莫大です。

これらを組み合わせて、OMOのUX体験はどう変わるのか、大変興味が湧いてきます。

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Amazonが連邦税を2年連続「0ドル」で済ませた方法とそのワケ

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ピックアップ:Amazon will pay $0 in taxes on $11,200,000,000 in profit for 2018 ニュースサマリー:米国税制・経済研究所(Institute on Taxation and Economic Policy:ITEP)によると、Amazonはあらゆる減税措置を適用し、2018年における連邦税を「2年連続0ドル」で済ませていたことが明らか…

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Photo by Pixabay on Pexels.com

ピックアップAmazon will pay $0 in taxes on $11,200,000,000 in profit for 2018

ニュースサマリー:米国税制・経済研究所(Institute on Taxation and Economic Policy:ITEP)によると、Amazonはあらゆる減税措置を適用し、2018年における連邦税を「2年連続0ドル」で済ませていたことが明らかとなった。Amazonの2018年における収益は約112億ドルで、米国では2018年から適用となった新税法「Tax Cuts and Jobs Act」により法人税が最高35%の累進課税から一律21%に引き下げられている。

これに対し、Amazonの広報担当者は米国および事業を展開する全地域にて過去3年間、26億ドルの法人税および34億ドルの税費用(tax expense)を支払っているとの声明を公表している。

話題のポイント:以下はITEPによって公開された、Amazonの過去10年における法人有効税率です。これを見る限り、2018年におけるAmazonの法人有効税率は約112億ドルの収入に対してマイナス1.2%となっているため、実質1億2900万ドルの還付を受けていることがわかります。また、2017年度においてもAmazonは56億ドルの収入に対してマイナス2.5%の払い戻し、つまり1400万ドルの還付を受けているようです。

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Source: Institute on Taxation and Economic Policy analysis of SEC filings

この状況に対して米国議員のバーニーサンダース氏は以下のツイートをしていますが、まさにその通りです。

「If you get paid the $119 annual fee to become an Amazon Prime member, you paid more to Amazon than it paid in taxes.(Amazon Primeの年会費$119を払った時点で、Amazonが支払っている税金より多くをAmazonに支払っていることになる)」。

ちなみにこれは別にIT関連企業全てがそうというわけでなく、例えばMicrosoftはAnnual Reportにて、2018年の法人有効税率が55%だったことを公表しています。では、具体的にAmazonはどのような節税策を講じたのでしょうか。

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Credit: Microsoft Annual Report

Business Insiderによるとどうやら「Supreme Court case of 1992」の判例を利用している模様で、この判例では州政府によるE-Commerce企業の売上税の徴収を禁じており、これによりAmazon含むサードパーティー側は無課税にて販売できるようになっているそうです。

ただ、2017年頃より法改正の動きがあり、この状況は今後変わる可能性が高いとも言われています。今まさにAmazonが第二のHQを模索中なのにはこの背景があるようです(企業誘致による税の優遇)。

また「Amazonは税金逃れで企業としての責任を果たしていない」という意見がある一方、収益をR&D(研究開発)に多く回して雇用を増やしているという面では「相対的に見て、米国経済に大きく貢献している」といった意見も目立ちます。

自国経済に一番貢献できる(この場合はR&Dに対して投資することを)選択し、合法的に納税を回避するというのは戦略的に間違ってるとは思えません。EC企業という立場を上手く利用したAmazonが米国よりも一枚上手だったと言えるのではないでしょうか。

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“GAFA”入社に大卒資格不要 ── 学歴不問時代の指標は「時代性」と「期待値分析」

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ピックアップ : 15 More Companies That No Longer Require a Degree—Apply Now GAFA(大手IT企業 Google・Apple・Facebook・Amazonの総称)の就職窓口が広がりつつあるようです。最近では「Google」「Apple」「Whole Foods(Amazon傘下)」「IBM」「Starbucks」らを筆頭とする企業が、…

Image by Matt Madd

ピックアップ : 15 More Companies That No Longer Require a Degree—Apply Now

GAFA(大手IT企業 Google・Apple・Facebook・Amazonの総称)の就職窓口が広がりつつあるようです。最近では「Google」「Apple」「Whole Foods(Amazon傘下)」「IBM」「Starbucks」らを筆頭とする企業が、入社時に大学の学位を必要としない役職を用意し始めました。

背景には米国の大学へ通う際の高い金銭的リスクと、学歴の通用しないテクノロジー時代が挙げられます。

Student Loan Hero」のデータによると、2017年度に大学を卒業する学生の平均借金額は3万9400ドル(約430万円)だそうです。学費借金返済中の人数は全米で4400万人で、その合計額は1兆4800万ドル(約164兆円)です。全米のクレジットカードローン額が6200億ドル(約68兆800億円)である点と比較すると、膨大な額といえるでしょう。

一方、オンライン学習コースの充実化が進み、必ずしも大学へ通わずとも実社会で役立つプログラミング言語やAI、自動運転に至るまでの知識が得られる環境が整いつつあります。たとえば「Udacity」や「Lynda.com」「Stanford University」「Harvard University」など、民間企業から著名大学までがオンライン授業を提供しています。

もはや大金を出して大学へ通ったとしても、それに見合うだけのリターンを得られる時代ではなくなりつつあるのです。

先述した企業一覧のなかで、IBMの「ブロックチェーンエンジニア」の募集は顕著な例です。大学側が最先端技術であるブロックチェーンの知識をキャッチアップできていないため、学位を持っていても仕方がないという現代のIT事情を象徴しているといえます。

2〜3年のスパンで技術トレンドが変わる現代において、大学4年間で学んだ知見は在学中に陳腐化してしまいます。潮目がすぐ変わる時代に既存の教育システムが追いつけず、乖離が生じ始めているのです。

こうした時代背景から、これからの学生の進路選択は「学歴」ではなく「時代性」に重点が置かれると考えます。本記事における「時代性」とは、過去5年以内に登場し、急速な成長を遂げる市場分野及びそれに精通する学問・知識の獲得を指します。

AIによる学生の期待値分析

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「時代性」の有無を評価するために「期待値分析」の手法が使われるでしょう。

学生の期待値分析をおこなうサービスはすでに多数登場しています。たとえばFintech企業Deserveはクレジット履歴を持たないZ世代向けに、クレジットカードを発行するサービスを展開。

履歴を求めない代わりに学歴や現在の貯金額を参考に、将来の支払い能力をAIを活用して逆算します。こうして学生がデフォルトしない範囲で使える金額を計算・担保し、カード発行まで実施するのです。

さて、冒頭で学歴社会の構図が壊れつつあると指摘しました。「高学歴 = 人気企業へ就職できる」という従来の考えが変わろうとしています。そのためDeserveの仕組みも変わるかもしれません。

例えば同社の既存システムが「XXX大学を卒業していれば人気企業のどこかへ入り、XXXドルくらいの収入を1年目から得られるだろう」といった事前予測プログラムを組み、クレジットカードを発行する仕組みになっていると仮定します。

このプログラムでは各大学の卒業生がどこへ就職し、現在どのくらいの稼ぎがあるのかといった過去のデータを基に計算することになるはずです。

しかしこれからは「学歴」ではなく「時代性」に合致した人材が評価され、キャリアが決まっていく時代。この点、Deserveのアルゴリズムの組み方も変わらざるをえないでしょう。例えば次のようなものです。

「この学生は自動運転分野に興味があり、高校1年生の現時点でUdacityの自動運転学習プログラムをXカ月間受講している。将来的に自動運転市場はXXXドル規模にまで成長するため、25歳までにXXXドルを稼ぐ可能性がXX%あるだろう」

筆者が提案する新たな事前予測プログラムでは、学生の興味とそれに紐づく新興市場規模の成長性を考慮します。

学生がどのくらいの熱量で興味を持っているのかという「定性データ」と、新興市場の成長率に挙げられる「定量データ」の両方組み合わせて事前予測する具合です。

これからの就職戦線に履歴書は必要ない?

Image by Matt Madd

前章ではDeserveの「期待値分析」の事例を引き合いに、AIを使って学生が持つ「時代性」をどう評価できるのかを考察しました。筆者が考察したAIの活用事例は学生の進路選択にも応用できるでしょう。

たとえば、学生の興味をAIが解析して「時代性」の高い分野とマッチングさせる、という手法はニーズがあるかもしれません。各種オンライン学習プラットフォームの中から最適なプログラムをキュレートして学ばせる仕組みの提供もありえます。

実際Concourse.globalというスタートアップは中高生の成績と興味を解析し、世界中から最適な学校を選出・出願するサービスを提供しています。このAI解析技術を応用すれば、前述したオンライン学習サービス向けに仕様変更できるはずです。

肝心なのは不確実性が高まっている現代だからこそ、「学歴」が必要とされない世界を見据える必要がある点です。事実、冒頭で紹介した大手IT企業は“学歴不問時代”に向けて動き出しています。

学生に「時代性」を感じさせ、最短で学習して社会で活かす、一貫した教育プロセスの必然性が増すことは確実です。「時代性」が軸となり「期待値分析」が評価基準となる社会がやってくると考えます。

従来の教育機関が学生にどう興味を持たせるのかを考えなければいけない時期が遅かれ早かれくるでしょう。そのための備えを今のうちに議論する必要があります。

Via Glassdoor

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