THE BRIDGE

タグ ジェネシア・ベンチャーズ

事業アイデアは見つけなくていい

SHARE:

起業を考えているみなさん、事業アイデアを見つけるのに苦労していませんか? 特に大学生などの比較的年齢を若くして起業を考えている方は、事業アイデアがなかなか思い浮かばないか、もしくはいくつかアイデアはあるにしても実際に起業するのはためらわれているような方も多いかもしれません。 一方、ベテラン層と言われる起業家の方々は、事業アイデアの発掘からその実現まで計画的である方が多いように見受けられます。一体こ…

woman in black coat
Photo by Christina Morillo on Pexels.com

起業を考えているみなさん、事業アイデアを見つけるのに苦労していませんか?

特に大学生などの比較的年齢を若くして起業を考えている方は、事業アイデアがなかなか思い浮かばないか、もしくはいくつかアイデアはあるにしても実際に起業するのはためらわれているような方も多いかもしれません。

一方、ベテラン層と言われる起業家の方々は、事業アイデアの発掘からその実現まで計画的である方が多いように見受けられます。一体この違いはどこから生まれてくるのでしょうか?

おそらくほとんどの方が「特定の業界についての深い見識があるかどうか」という回答を想定されると思います。もちろんそれも一つではあるのですが、普段多くの起業家の方とお話していて、それだけが回答ではないのではないかと思い始めました。

私が思うに、その違いは、「あるべき世界を描けているかどうか」ということかと思われます。

ではこの”あるべき世界”とは何なのでしょうか。

“あるべき”世界を描く

“あるべき世界”というのは人によってバラバラです。“実現したい世界”とも言い換えられるかもしれません。

事業というのは、ある人・集団が思い描く理想の世界と現実の世界とのギャップをうめるために存在するものであり、例えば、私たちの場合だと、「すべての人に豊かさと機会をもたらす社会を実現する」というビジョンを掲げておりますが、このビジョンが”実現したい世界”、つまり”あるべき世界”であり、この世界と現実の世界とのギャップをうめるためにベンチャーキャピタルという事業を行っているわけであります。

つまり、現実の世界からの延長で事業を考えるのではなく、”あるべき世界”からの逆算で事業を考えるのです。

2019-11-29 5.14.07

特定の業界で働いてきた経験がありその業界についての見識がどれだけ深い人でも、この”あるべき世界”というものが描けていない限り、現実の世界とのギャップが見つけられず、結果的にその人が起業するに至るということはないでしょう。

なので、起業したいという想いがあるならば、事業アイデアを見つけようとするのではなく、”あるべき世界”を描こうと意識することをオススメします。

もし事業アイデアを先に考えついた場合でも、その事業によってどういった世界が実現されるのか、自分は何を想ってそのアイデアを考えついたのかなどを考えてみると、事業に対する想いや事業の奥深さなどが異なってくるのではないでしょうか。

若手が起業しやすいマーケット

Screenshot 2019-12-03 at 7.22.08 AM
単発バイトアプリを運営するタイミー(同社ウェブサイトより)

一方で、特に起業においては、自身の強みや特性などを勘案して、ある程度現実の世界からの延長で事業について考えることも重要です。ベテラン層の場合は、冒頭でも触れた通り「特定の業界についての深い見識」が最たる例ですが、若手の場合はどういったものが考えられるのでしょうか。ここでは大きく2つ取り上げます。

①既得権益が存在しないマーケット

既得権益が存在しないマーケットの多くは今後新たに立ち上がるマーケットです。ブロックチェーンやVR/ARなどの技術面での新興マーケットや、LGBTなどの多様性の広がりによって立ち上がるマーケットもその一つかと思われます。ただ注意が必要なのは、既得権益が存在しないからといって大人な戦い方が必要ないわけではありませんし、その業界についてのラーニングが「よーいどん」の形になるため、若さがディスアドバーンテージとなりにくいだけの話です。

こちらは、例えば、LGBT向けの求人情報サイトを運営するJobRainbowなどが挙げられます。

②新たなUXの構築が必要とされるマーケット

もう一つは、シェアリングサービスなどに代表される、UX(ユーザー体験)の再構築がなされていくマーケットです。ここでは、初期的には若者をターゲットとすることが多いため、そのユーザー目線を徹底できる若手の方が事業を立ち上げやすい場合が多いです。

例えば単発バイトアプリを運営するタイミーや、中国と日本で動画メディアを運営し同時に総合広告プランニングを提供するバベル、音楽・エンタメ市場で事業を展開しているSpectra、ミレニアル世代向けデジタルクレジット事業を提供予定のCrezitなどが挙げれられます。

いかがだったでしょうか。

日々多くの起業家の方にお会いする中で事業アイデアを見つけるのに苦労しているという方が多いのですが、以上のことを意識してみるとまた違った目線で事業、ひいては世界を捉えられるのではないでしょうか。

まずはぜひ”あるべき世界”を描くところから始めてみてください。

<参考情報>

本稿は独立系ベンチャーキャピタル、ジェネシア・ベンチャーズのアソシエイト、一戸将未氏によるもの。Twitterアカウントは@ichinohe_GV。毎週火曜日に25歳以下の起業家を対象として事業の壁打ちを行う「Founders Gate」を開催。12月17日(火・夜7時〜)には、25歳以下の起業家を対象とした「事業アイデア勉強会」を開催予定。くわしくはこちらから

----------[AD]----------

広告業界の歴史に学ぶDX、3つのステップーーデジタルトランスフォーメーション【DXの羅針盤】

Software is eating the world. あらゆる分野にソフトウェアの効用が染み出し、産業のサービス化が不可逆な流れで進行しています。製造、物流、印刷、不動産等、インターネットで完結しない領域において起きるイノベーション、つまり既存産業のDX(デジタルトランスフォーメーション)には今後大きな成長余地があります。では数ある産業の中で最も早くDXが進行した業界はどこか。 その筆頭にな…

street lights
Photo by Jose Francisco Fernandez Saura on Pexels.com

Software is eating the world.

あらゆる分野にソフトウェアの効用が染み出し、産業のサービス化が不可逆な流れで進行しています。製造、物流、印刷、不動産等、インターネットで完結しない領域において起きるイノベーション、つまり既存産業のDX(デジタルトランスフォーメーション)には今後大きな成長余地があります。では数ある産業の中で最も早くDXが進行した業界はどこか。

その筆頭になるのが広告業界です。

本稿では、DXの「はしり」とも言える広告業界が辿ってきた変遷を振り返ることで、他の産業においてこれから起こるであろうパラダイムシフトを推察する種にしたいと思います。(本稿は原文「DXのはしり」のサマリー版になります)

広告業界の歴史

こう‐こく〔クワウ‐〕【広告】[名](スル)1 広く世間一般に告げ知らせること。2 商業上の目的で、商品やサービス、事業などの情報を積極的に世間に広く宣伝すること。また、そのための文書や放送など。(goo辞書)

そもそも、広告とは何か。辞書的には、上記の通り商品やサービスを世間に広く告げ知らせることを指しますが、昨今のテクノロジーによる変化の過程を踏まえると、その本質は「マッチング」です。そんな広告はこれまで大きく三つの段階を経て進化を遂げています。

  • オフライン取引の時代
  • データ化と可測化の時代
  • 直接取引と自動化(半自動化)の時代

それぞれ見ていきましょう。

第一段階:オフライン取引

dx-compass_001

日本の広告業界の歴史は意外にも古く、その創世は江戸時代初期にまで遡ります。越後屋(現在の三越)が江戸全域に配布した引札(今でいうチラシ)が広告の始まりと言われていますが、仲介業としての広告代理店が興ったのは明治時代の後期です。明治34年(1901年)には電通の前身である日本広告が設立され、朧げながら「広告業界」の原型が見え始めます。

初期の広告は自社の商品を広く一般に知らしめたい広告主と、新聞、雑誌をはじめとするマスメディアが直接取引を行うか、あるいは上述の代理店が広告主とマスメディアの間を取り持って広告を最適な形で最適な媒体に出稿する、というシンプルな構造になっていました。

その後、ラジオやテレビといったニューメディアの出現で飛躍的に成長していきましたが、あくまでアナログ、オフラインの場で広告枠の売買が行われていたという点において、原初的なビジネス形態であったと言えます。

第二段階:「データ化」と「可測化」

dx-compass_002

1990年代後半から2000年代にかけてはウェブメディアが、スマートフォンが普及した2010年以降はモバイルアプリが台頭したことにより、人々の可処分時間の投下対象がマスメディア一極集中から複数メディアへ分散されました。

この第二段階における大きな変化点としては、広告の配信面であるメディアおよびその上で流通する広告素材がデジタル化したことで(=広告の「データ化」)、いつ、どの広告が、いくらで、どの媒体に何回表示され、そのうち何人が反応を示したかということがデータとして計測可能になったということです(=広告の「可測化」)。

もちろん、従来型のマスメディアも依然として影響力をもつ媒体ではありますが、新聞や雑誌が電子書籍になり、テレビがインターネットに結線されてスマートデバイスになり、ラジオのアプリ化も進む現代においては、純粋なオフライン取引だけで成り立つ広告ビジネスはほとんどなくなってきています。

また、広告配信を仲介する広告代理店やメディアレップといった中間プレイヤーにとっても、配信成果が可視化されることによって、介在価値を目に見える形で継続的に提供することを求められるようになったという点で、業界のパワーバランスに構造的な変化をもたらすターニングポイントであったと言えます。

第三段階:「直接取引」と「自動化(半自動化)」

dx-compass_003

メディア・アグリゲーターとしてのアドネットワークが登場してからさらに数年後、2010年頃には「アドエクスチェンジ」という広告の取引市場が誕生しました。アドエクスチェンジは、広告枠をインプレッション(ウェブページやアプリにおける一回毎の表示配信)単位で取引する市場であり、広告主とメディアの需給バランスから広告枠の価値を算定して配信価格を決定します。

第一段階のオフライン取引が第二段階でデータ化・可測化され、また配信効率を最適化するためのアドネットワークが出来上がったことで、広告は取引市場(マーケットプレイス)でリアルタイムに売買される対象になったのです。

取引市場ができたことにより、広告を出稿する側の広告主は、広告素材の内容やサイズ、入札価格等の諸条件を決めさえすれば、広告代理店を介さずに直接広告を配信、管理することが可能になりましたが、複数のアドエクスチェンジやアドネットワークを個別で管理するには大きな負荷が伴います。

その負荷を解消するために登場したのが、広告主側の広告効果を最大化させるDSP(Demand Side Platform)と媒体側の収益を最大化させるためのSSP(Supply Side Platform)です。

DSPの代表例としては、DoubleClick Bid Manager、Rocket Fuel、FreakOut、MicroAd BLADE等があり、私たちの支援先では位置情報ターゲティングを専門とするGeoLogic Adがこの分野で順調に事業を伸ばしています。SSPではPubMatic、Rubicon Project、国産ではfluctやAd Generationが高いシェアを取っています。

従来広告代理店が担っていた役割がDSPに、メディアレップが担っていた役割がSSPに、それぞれデジタルトランスフォームしたと言い換えることもできます。

これらのエンパワーメントツールは、広告主と媒体社に、広告の「直接取引」と運用の「自動化(半自動化)」というオプションをもたらしました。

さらに近年では、集客力の強いメディアとそうでないメディアの間の格差が拡大するにつれてSSPの存在感や役割にも変化が見られるようになっており、また一方の広告主も、高単価商材を取り扱うブランド企業を中心に、プレミア媒体に厳選して出稿することで成果向上を図りたい意向を持つ企業が増えています。

そこで、双方のニーズを折衷する形で、限られた広告主とメディアしか参画できないPMP(Private Market Place)と呼ばれるプライベートな取引所が誕生しました。「直接取引」と「自動化(半自動化)」に加えて、この「オープン・マーケットプレイス→参加者を限定したプライベート化」の流れも、今後様々な業界にも応用可能なトレンドと考えられます。

おわりに

これがざっくりとした広告業界のデジタルトランスフォーメーションの流れになります。

他の産業領域におけるアドネットワーク、アドエクスチェンジ、DSP、SSP、PMPなどがあるとしたらどういうプレイヤー/事業プランになるかという点については社内でも日々考えを練っていますが、もしアイディアをお持ちの方がいれば、ぜひ一度ディスカッションしましょう!

<参考情報>

DXの羅針盤 | DX-Compass by Genesia.

本稿は独立系ベンチャーキャピタル、ジェネシア・ベンチャーズのインベストメントマネージャー相良俊輔氏によるもの。Twitterアカウントは@snsk_sgr。11月15日から毎週、朝の事業プラン相談「DX Cafe by Genesia.」を開催予定。くわしくはこちらから。

----------[AD]----------

月次成長40%と拡大中、クラウド受発注「CONNECT」のハイドアウトクラブが1.2億円調達

SHARE:

クラウド受発注プラットフォーム「CONNECT」を運営するハイドアウトクラブは11月22日、第三者割当増資による資金調達を公表した。引受先になったのはGMO VenturePartnersとジェネシア・ベンチャーズ。調達した資金は1億2000万円。出資比率などの詳細は非公開。 CONNECTは主に飲食店や小売店などの受発注を効率化してくれるクラウドサービス。従来FAXや電話などで商品の注文、受注を…

bridge_taguchi5.jpg
ハイドアウトクラブ代表取締役の田口雄介氏

クラウド受発注プラットフォーム「CONNECT」を運営するハイドアウトクラブは11月22日、第三者割当増資による資金調達を公表した。引受先になったのはGMO VenturePartnersとジェネシア・ベンチャーズ。調達した資金は1億2000万円。出資比率などの詳細は非公開。

CONNECTは主に飲食店や小売店などの受発注を効率化してくれるクラウドサービス。従来FAXや電話などで商品の注文、受注をしていた事業者の作業をスマホとウェブでデジタルに置き換えることができる。

<参考記事>

今年3月の公開以降、飲食・食品を中心にビジネス用品やメガネ、理美容品などの小売事業者で利用が広がり、8月からは試用期間を経て全社導入になるなどのケースが相次いだ。結果的に発注側の注文件数が月次で40%増と拡大しており、9月時点での発注商品点数は12万点となった。(2018年の夏にβ版をリリースしてから3月までの累計発注数は15万点)

発注側の利用は無料で、より高機能な有料のビジネスプランは現在準備中。受注側はサービスを利用できる管理者の数と受注件数によってプランが変わる仕組み。同社は今回調達した資金でサービスの機能改善も目指す。具体的には受注から出荷、請求までの一括管理やAIによる商材の需要予測、音声発注などに取り組む。

----------[AD]----------

投資家向け「だけ」のピッチ資料は作らなくていい

SHARE:

起業家のみなさんはピッチ資料、何のために作っていますか? ピッチ資料やピッチデックという言葉も、スタートアップや投資家界隈を中心にかなり一般的になってきていると思いますが、もし「何のために作るのか?」の回答が「投資家からの資金調達のため」だとしたら、本質を見失っているかもしれません。 もちろん資金調達も一つの目標だと思います。しかし、考えてみてください。そもそも、その事業やサービス、アイデアや計画…

advice advise advisor business
Photo by Startup Stock Photos on Pexels.com

起業家のみなさんはピッチ資料、何のために作っていますか?

ピッチ資料やピッチデックという言葉も、スタートアップや投資家界隈を中心にかなり一般的になってきていると思いますが、もし「何のために作るのか?」の回答が「投資家からの資金調達のため」だとしたら、本質を見失っているかもしれません。

もちろん資金調達も一つの目標だと思います。しかし、考えてみてください。そもそも、その事業やサービス、アイデアや計画は「投資家のもの」「資金調達のためのもの」ではないはずです。

私たちはベンチャーキャピタル(VC)として、多くの起業家の方にお会いしています。可能なかぎり、打ち合わせの前にピッチ資料を共有してもらい、事業の理解と自分なりの事業戦略を構築した状態で起業家の方にお会いするために、いただいた資料をじっくり読み込んでいます。

ピッチ資料の作成手法についてはウェブ上にもたくさんのナレッジシェアがありますし、どれも参考にした方がよい事例ですので、ここでは言及しません。

一方で、「そもそも何のためにピッチ資料を作成するのか?」については、改めて起業家の方ご自身が自分で考えた方がよいことだと思いますので、ここではそのヒントを3つ共有させてください。

1.自らの思考を整理するため

ピッチ資料の作成時以外に、普段から自社の戦略について、体系的かつ網羅的にまとめる機会をもっている方はどれくらいいるでしょうか。それらをしっかりと言語化し資料に落とし込むことができれば、自らの思考が整理されるだけでなく、戦略の見直しができたり、社内のメンバーへの落とし込みにも活用できたりするはずです。

投資家からの資金調達は、基本的には事業のステージが切り替わる段階で行うものなので、これをうまく活用し、ビジョン・ミッション、中長期戦略、短期戦略などの策定のタイミングとするとよいと思います。また、社内のメンバーがその資料を見ることで会社の方向性や戦略を理解し、自らの戦略を思考できる程度の解像度の資料がベストです。

したがって資金調達のために、というよりは、定期的に全体を振り返るためのものとして扱うことをおすすめします。

2.有意義なディスカッションをするため

man in suit jacket standing beside projector screen
Photo by mentatdgt on Pexels.com

さらに少しだけ視野を広げてみましょう。ピッチ資料は、事業を説明するためのものではなく、投資家に仲間になってもらうためのもの、同じ船に乗って企業価値向上に向けて伴走してもらうための“招待状”です。

とりわけ、投資家の中でもVCというのは本来、ただお金を投資するだけではなく、資本家として当事者として、自らも事業戦略について考えるものです。

逆に「このVC(キャピタリスト)は解像度高く我々の事業を理解し、本当に我々と同じように当事者として事業戦略について考え、伴走してくれるのか」ということを確認する必要もある、ということです。

そのためにも、その時点で自らが持っているもの(市場・業界へのインサイト、事業戦略、経営指標、組織状態など)は惜しみなく伝え、自分たちが気付いていないようなインサイトを与えてくれるのかどうか、確認することをおすすめします。

またこれはユーザ獲得や人材採用でも、自社の仲間を増やす・巻き込むという意味では同じです。営業資料やカルチャーデックへの応用も想定したマスター資料のような位置づけを前提に作成すると効率がよくなります。

3.意志決定を促すため

最後にお伝えしたいのは、ピッチ資料の最終的な成果は「相手の行動」、ということです。こだわって資料を作成しても、自己満足に終わってしまっては意味がありません。

ここでもいったん資金調達を例に挙げてしまいますが、投資家に事業を理解してもらって、意義のあるディスカッションをできたとしても、実際に投資を決めてお金を振り込んでもらえなくては意味がありません。

資金調達を期待しているのであれば、企業の成長度≒事業フェーズの問題も大きな要素になるため、これまで何をやって、何が達成されて、調達した資金で何を発展させていくのか、といった成長の流れを記載する必要があります。

投資家に「そのチャレンジに一緒に取り組みたい」「その成長を一緒に辿りたい」という当事者意識を持ってもらい、決断を促すのです。営業・ユーザ獲得であれば開発のマイルストーン、人材採用であれば創業ストーリーや労働環境などがそれぞれ加えられるとよいでしょう。

いかがだったでしょうか。

(1)と(2)で基本的な内容を押さえ、プラスして「これまで」と「今」、そして「これから」を見せることが、理解・行動に繋がります。決して、投資家に最適化するものがピッチ資料ではないということを意識してみると、企業のマスター資料が完成すると思います。

<参考情報>

本稿は独立系ベンチャーキャピタル、ジェネシア・ベンチャーズのアソシエイト、一戸将未氏によるもの。Twitterアカウントは@ichinohe_GV。毎週火曜日に25歳以下の起業家を対象として事業の壁打ちを行う「Founders Gate」を開催。初めての起業、若手の起業家の方への具体的なアドバイスも可能。くわしくはこちらから

----------[AD]----------

成長企業が押さえるべきDX「5つの型」ーーデジタルトランスフォーメーション【DXの羅針盤】

SHARE:

DX。「デジタルトランスフォーメーション」の略語であり、近年メディアで目にする機会も多くなりましたが、文脈によっては、既存の業務フローやオペレーションをただ表面的にデジタル化することだけを指して使われていることも多いように思います。 この概念を一言で表すことは難しいですが、次の2点が頭の整理に重要です。 各産業におけるステークホルダー毎の提供価値と、受け取る利益のバランスが適正となるビジネス構造を…

apps blur button close up
Photo by Pixabay on Pexels.com

DX。「デジタルトランスフォーメーション」の略語であり、近年メディアで目にする機会も多くなりましたが、文脈によっては、既存の業務フローやオペレーションをただ表面的にデジタル化することだけを指して使われていることも多いように思います。

この概念を一言で表すことは難しいですが、次の2点が頭の整理に重要です。

  • 各産業におけるステークホルダー毎の提供価値と、受け取る利益のバランスが適正となるビジネス構造を実現すること
  • プロダクトやサービスを単なる機能提供に留まらせるのではなく、ユーザーの体験価値との共存を視野に入れた形で、包括的にデザインすること

私たちジェネシア・ベンチャーズの考えるデジタルトランスフォーメーションとは、自社が本質的に提供したい価値=事業やサービスの“あるべき姿”を考え抜き、実際のビジネスに落し込むこと、そしてその実現のために、デジタルを中心に据えた持続可能な事業モデルや業務フローへ文字通り「転換」していくことを意味します。

幅広い概念なだけに各社、取り組みの前にまずは「言語化」から入るのがオススメです。

DXには「型」がある

では、企業がDXに取り組むためにまず何から始めれば良いのでしょうか?

私たちはベンチャーキャピタルという仕事を通じて数多くの有望なビジネスモデルの発掘、支援に日々注力しています。その中で、DXには一定の「型」があることに気づきました。

  • ネットワークの拡張
  • 情報探索・選択コストの削減
  • 多重取引構造の解消
  • データ・アグリゲーション
  • モノ・時間・空間のROI最大化

本稿ではそのサマリーをみなさんに共有したいと思います(全編はこちらをご覧ください)。

型①:「ネットワークの拡張」

基本的な型として「ネットワークの拡張」があります。インターネットが広く一般に普及した結果として、出自や居住地といった生来の制約条件に縛られることなく、時空間を超えて人や情報、売買の機会にアクセスすることが可能となりました。

これはほぼ全てのウェブサービスに当てはまる最も基本的かつ汎用的な型ではありますが、具体的なサービス例としては人的ネットワークを拡張するInstagramやTwitter(SNS)、商取引のネットワークを拡張するAmazonや楽天、AppStore(マーケットプレイス)があります。

型②:「情報探索・選択コストの削減」

二つ目の型が「情報探索・選択コストの削減」です。

一つ目の型とはある意味で相反するものですが、インターネットを通じて膨大な情報に制約なくアクセスすることができるようになった結果、今度はそれらの情報を特定の目的に資する形で効率よく整理して解釈し、意思決定に繋げるという行程に大きなコストが伴うようになってしまいました。

そこで、仲介者として雑多な情報を集約・整理し、ユーザーが求めるフォーマットに変換して送り届けるプレイヤーが出現してきます。具体例として、TripAdvisor(旅行)、Yelp(グルメ)、Zillow(不動産)等のバーティカルメディアや、GunosyやSmartNews等のキュレーションメディアも同様の型に基づいたサービス例です。

型③:「多重取引構造の解消」

三つ目の型は「多重取引構造の解消」です。

取引される製品やサービスの単価が高く、一定の専門性が伴う不動産や建設、人材仲介といった業界においては、利用者と提供者の間に多くの仲介業者が介在する多重請負型の産業構造が常態化しています。つまりここの効率化です。

上の図は、中古不動産の売買取引透明化を例示したものですが(私たちの支援先であるNon Brokersが、インスペクション=住宅診断機能を武器にこのシフトを促進しています)、建設業界ではシェルフィーが、印刷業界ではラクスルが、人材業界ではビズリーチが、それぞれの業界において多重請負構造の解消を推進しています。

ただし、各業界において全ての中間プレイヤーが即座に排除されるかと言えばそうではなく、取引の間をとり持つ過程で、実績に裏付けられた信用力や交渉力、真贋判定機能等によって適切な介在価値を提供するプレイヤーについては、今後も存続していくことが想定されます。各業界の中間プレイヤー向けのSaaSビジネスが伸びる理由は、まさにここにあります。(C2Cについては原文で解説しています)

型④:「データ・アグリゲーション」

次が「データ・アグリゲーション」型です。

上の図は個人の資産管理を例にとり、銀行や証券会社等の大手金融機関に対するMoney ForwardやFreeeのポジショニングを示したものです。今後あらゆるシステムやアプリケーションが外部連携を前提として構築されるようになることを踏まえると、個別企業のもつ情報をユーザー視点で整理し直し、統合されたデータからそのユーザーに最適な機能や情報を推薦してくれるサービスには、業種やカテゴリーを問わず大きなニーズが付随するように思います。

また、この型はSaaS(Software as a Service)のビジネスにも同様に当てはまります。型③の説明でも触れた通り、SaaSの本質は業務効率化ではなく、企業内オペレーションや企業間取引のデータ化であるため、収集したデータを基にユーザー体験を向上したり、新たにファイナンスサービスを提供したりすることができるという点で、「データ・アグリゲーション」の典型例と言えます。

型⑤「モノ・時間・空間のROI最大化」

最後が「モノ・時間・空間のROI最大化」です。人やモノの情報がネットワーク化されたことで、消費や労働のモデルが所有から利用へ、占有から共有へと大きくシフトしつつあり、それに伴って、自らの持つモノや時間、空間から得られる便益を最大化しようとする価値観が広まっています。

上の図は、一社に専属的に雇用されて働く従来型の労働モデルから、単発で労働リソースを提供するギグエコノミーモデルへの転換を示したものです。

代表的なサービス例としては、ドライバーとユーザーをオンデマンドでマッチングするUberやGrab、Gojekがありますが、私たちの支援先では、建設現場と建設職人をマッチングする助太刀や、単発アルバイトアプリのタイミーもこの型を取り入れたサービスを展開し、急成長を遂げています。

なおワークシェアリング以外にも、民泊サービスのAirbnbや、スペースシェアリングのスペースマーケットやakippa、クラウドコンピューティングのAWSやMicrosoft Azureも、モノや時間、空間のROIを最大化させる性質を持ったソリューションと言えます。

おわりに

本稿では、私たちが普段思考のフレームワークとして使用しているDXの型について、その一部を例示しながらご紹介してきました。背景としては、冒頭にも述べた通り、真のDXを実現させるためには各々の企業がバラバラに効率化や個別最適を追求するのではなく、スタートアップも、大企業も、VCも、政府機関も、社会全体が同じ方向を向いて取り組みを進めていく必要があるという強い思いがあります。

産業をデジタルの力でアップデートし、持続可能で豊かな社会を実現するために、世の中の普遍的な変化の方向性を捉え、その促進を支援する仲間が一人でも多く生まれて欲しいと願っています。

<参考情報>

本稿は独立系ベンチャーキャピタル、ジェネシア・ベンチャーズのインベストメントマネージャー相良俊輔氏によるもの。Twitterアカウントは@snsk_sgr。11月15日から毎週、朝の事業プラン相談「DX Cafe by Genesia.」を開催予定。くわしくはこちらから。

----------[AD]----------

第4次産業革命の今、私たちはどこに人生をかけるべきか

デジタルトランスフォーメーション(DX)というキーワードを耳にする機会が増えてきました。経済産業省も昨年あたりから特設のページを用意するなど、企業啓蒙に力を入れているテーマです。非常にざっくりと説明すると情報化技術を活用したイノベーションのことなのですが、大きく分けて2つの取り組みに分類できます。 1:非効率な業務オぺレーションのデジタル化 2:自社のアセットやサービスのデジタル対応 前者について…

close up engine landscape locomotive
Photo by Pixabay on Pexels.com

デジタルトランスフォーメーション(DX)というキーワードを耳にする機会が増えてきました。経済産業省も昨年あたりから特設のページを用意するなど、企業啓蒙に力を入れているテーマです。非常にざっくりと説明すると情報化技術を活用したイノベーションのことなのですが、大きく分けて2つの取り組みに分類できます。

  • 1:非効率な業務オぺレーションのデジタル化
  • 2:自社のアセットやサービスのデジタル対応

前者については日増しにその必要性を感じるシーンが増えているのではないでしょうか。紙や手書きでデータも資産として蓄積されない、そんな非効率の先に待っているのは競争力の低下だけではありません。例えばパーソル総合研究所が今年3月に出したレポートによれば、2030年の日本には650万人近くの人手が足りなくなるそうです。人材の採用がままならない状態で業務だけが残る、そんな状況がもう目の前に迫っているのです。

生き残りをかけた「攻めのDX」

守りのDXに対して攻めのDXが後者の考え方です。単なる業務効率化には留まらず、産業そのものを持続可能な形にトランスフォームし、全く新しい世界観を実現することが、DXの本質だと考えます。

例えば私たちの支援先に助太刀というスタートアップがあります。建設業で働く親方や工務店を現場とマッチングするアプリで、建設現場の人手不足の問題をオンデマンドの考え方で解決しよう、という試みです。働く人たちの不便をうまく解決したことで、創業から2年弱ながら9万人以上の方々が利用するまでに拡大しています。

Screen Shot 0001-10-08 at 12.08.57.png

ここに注目したのが彼らと資本業務提携を結んだ工機ホールディングスさんやJA三井リースさんです。工事現場で必要な工具や建機がもし手元になかった場合、取り寄せるのにはそれなりの時間が必要になります。しかし、日々、現場仕事と親方たちをマッチングする流通網があれば、その時間が随分と短縮できるかもしれません。

「助太刀」というDXが生まれたことで、仕事が貰えて応援も呼べる、材料や工具、建機リースもその日のうちに現場に届く。このような新しい世界観でビジネスが可能になったのです。

DXを推進するべきかどうか、ではなく、どうやって最高のDXを自社のものとするか。この視点が差を生み出すのはもう間違いありません。実現に向けて自社での新規事業開発やM&Aだけでなく、助太刀のようなスタートアップとの協業によるオープンイノベーション戦略も積極的に検討すべきでしょう。

第4次産業革命の今、私たちはどこに人生をかけるべきか

私たちは今、第4次産業革命と言われる、大きなデジタル化の波の中に生きています。本稿で書いた通り、企業や産業のDXは上滑りの言葉だけでなく、生き残りに必須のテーマになっています。その一方、DXが業界として進んでいるのは小売と広告だけで、産業全体の10%程度とも言われています。

つまり、伸び代しかない。

また、DXは効率化や新しい価値創造を通して既存事業を大きく前進させ、人々の生活をより便利で豊かに進化させていくための取り組みでもあります。

DX領域を攻めることのできる人材や起業家というのは限られています。産業に対して深い知見と情報技術に対する造詣があり、かつ、常に疑問を持ち、それを解決しようという姿勢がなければ立ち向かえないからです。しかし、だからこそそれが真に必要とされた時、社会全体を、世界を変えることにも繋がるのです。

本稿は独立系ベンチャーキャピタル、ジェネシア・ベンチャーズ代表取締役で、ジェネラル・パートナーの田島聡一氏によるもの。Twitterアカウントは@soichi_tajima。11月2日にDXをテーマにした採用・転職イベント「Meet by Genesia」を開催予定。くわしくはこちらから。

----------[AD]----------

ブランド変更続く「独立系VC」、そのビジョンづくりを読み解くーージェネシア・ベンチャーズがCIをリニューアル

SHARE:

ニュースサマリ:スタートアップ企業を対象とした投資・育成を手がけるジェネシア・ベンチャーズは9月2日にブランド(CI・コーポレートアイデンティティ)変更を伝えている。担当したのはアートディレクターの割石裕太氏。同じく独立系のアプリコット・ベンチャーズやラクマなどのブランディングに携わっている人物。 同社はこれに合わせてビジョンを「WE BUILD THE PLATFORM FOR THE NEXT…

190902_main
新しくなったジェネシア・ベンチャーズのCI

ニュースサマリ:スタートアップ企業を対象とした投資・育成を手がけるジェネシア・ベンチャーズは9月2日にブランド(CI・コーポレートアイデンティティ)変更を伝えている。担当したのはアートディレクターの割石裕太氏。同じく独立系のアプリコット・ベンチャーズやラクマなどのブランディングに携わっている人物。

同社はこれに合わせてビジョンを「WE BUILD THE PLATFORM FOR THE NEXT HUGE AND SUSTAINABLE INDUSTRIES IN ASIA」から「すべての人に豊かさと機会をもたらす社会を実現する」に変更した。

話題のポイント:実はここ4カ月ほど、独立系ベンチャーキャピタルの新設やリブランディング、新メンバー参加など相次ぎ、多数の取材機会をいただいていました。多い。

また、日本ベンチャーキャピタル協会の会長にインキュベイトファンドの赤浦徹さんと伊藤忠テクノロジーベンチャーズの中野慎三さんが就任して体制が一新されたり、グローバル・ブレインの百合本安彦さんや若手キャピタリストたちが新しい勉強会として「Startup Investor TrackSIT)」を立ち上げるなど、コミュニティとしての動きも活発になってきています。

国内のスタートアップ・エコシステムが成長過程で、思想的にゆるやかな広がり・分岐を示しつつあるのではないでしょうか。

IMGP9947
世界規模のスタートアップ創出に向けた新コミュニティ「Startup Investor Track」始動

このような状況下、各ベンチャーキャピタルを取材していて感じるのが「差別化」への動きです。

10年前であればファンド自体の大きさが話題の中心でしたが、今年の取材でここを全面に押し出していたのはグロービス・キャピタル・パートナーズの「ユニコーンファンド(最大50億円までフォロー可能)」が目立った程度です。そのGCPも含め、いずれのファンドも出資金より採用やハンズオン、マーケティングやPRといった企業成長を加速させる支援施策の方に軸足を移している感がありました。

一方でこれら施策についても各社が一斉に取り組み出すと差別化が難しくなってしまいます。そこで次の注力ポイントとして浮かび上がっているのが「CI」、つまり言語化・可視化というわけです。

IMGP8741
常に「/(STRIVEマーク)」Tシャツを着用して登場するSTRIVE共同代表パートナー堤達生氏

取り分け大切になるのがビジョンで、これはその名の通り「目に見えて想像できる各社の方向性」ですからこれが分かりにくいと致命的です。ましてや、耳障りのよいキャッチコピーだけ泳がせて、その実態となる各キャピタリストの動き(バリュー・行動指針)がそれに沿っていなければ嘘になってしまいます。実際、今回CIをリニューアルしたジェネシア・ベンチャーズも、このCI変更活動そのものが支援先へのメッセージになっていると聞いています。

「ビジュアルデザインのリニューアルだけではなく、CIの見直しから始めて、全体を「リデザイン」プロジェクトと名付けました。田島(聡一)さんが創業時から大切にしてきたブランドはそのままに、その伝え方や関係づくり・コミュニケーションの仕方をデザインし直した、という位置づけです。スタートアップが「強いチームを創る」ために、それがとても大切なことだと、絶対に取り組むべきことだと、私たちの実体験をもって(支援先にも)伝えたいという主旨です」(リデザインを担当したジェネシア・ベンチャーズの吉田愛さん)。

漢字にすると「投資」という、たった2文字の活動をゆるい定性的な情報のまま放置すると、外からの見え方もそうですが、判断基準も曖昧となり現場のチーム戦でも不利になります。可視化・言語化という作業は輪郭のぼやけた、グラデーションのある現場であればあるほど、大切な「武器」になるのです。

B3A321B4-4CBD-4208-9269-309312A637BE
ジェネシア・ベンチャーズのクレドカード。VCでこの手のツールを初めて貰った

最近では独立系VCだけでなく、スタートアップしてイグジット(株式売却)を経験した起業家もエンジェルとして登場する場面が増えてきました。個人なのに数十社投資し、プロ士業や他のVCと連携し、メディア露出も活発にするほぼVCみたいなエンジェルも出現してきています。

つまり、あらゆる選択肢が多い。

曖昧な話題が多いスタートアップ投資という現場だからこそ、(お互いに)言語化を意識しているチームはよりスピード感を持って様々な判断に臨めるのではないかなと思います。

そういう意味でここ数カ月、投資サイドが言語化・可視化を進めているのは大変よい傾向ではないかなと思うと同時に、まだ手をつけていないVCについては今後の動向にも注目したいところです。

----------[AD]----------

信用情報のアップデートを目指すCrezitが資金調達、BASEで即時資金提供「YELL BANK」立ち上げのU25起業家・矢部氏が創業

SHARE:

次世代金融インフラ構築を目指すCrezitは4月19日、プレシードラウンドにてジェネシア・ベンチャーズおよびインキュベイトファンドを引受先とした第三者割当増資の実施を公表している。同ラウンドにおけるリードはジェネシア・ベンチャーズが務める。調達した資金は7000万円。出資比率などの詳細は公開されていない。 Crezitは、主にデジタルネイティブ世代を対象とした金融サービスを展開する企業。既存の信用…

スクリーンショット 2019-04-24 9.50.41.png

次世代金融インフラ構築を目指すCrezitは4月19日、プレシードラウンドにてジェネシア・ベンチャーズおよびインキュベイトファンドを引受先とした第三者割当増資の実施を公表している。同ラウンドにおけるリードはジェネシア・ベンチャーズが務める。調達した資金は7000万円。出資比率などの詳細は公開されていない。

Crezitは、主にデジタルネイティブ世代を対象とした金融サービスを展開する企業。既存の信用情報制度や仕組みをアップデートすることで、次世代における個人の金融インフラを構築することを目指す。

写真中央がCrezit代表取締役の矢部寿明氏

同社代表取締役の矢部寿明氏は1993年生まれのU25起業家。慶應大学卒業後にGEにて北アジアのファイナンス業務などに従事。2018年からBASEへ入社し、金融子会社「BASE BANK」にて「YELL BANK」の企画・開発や融資事業の立ち上げを手がけたのち、2019年3月に同社を創業した。

リリースによれば、消費者信用市場は消費者向け貸付残高約10兆円、販売信用残高約29兆円の市場規模を持つ。一方でその裏側を担う仕組みや関連法制度は、依然として大きな変更はなく、従来の体制が続いているという。

個人の「働き方」や「消費行動の仕方」はテクノロジー等によって変化しており、「フリーランスが与信審査上不利になってしまう」など、既存の与信管理が適応できず、個人が機会損失してしまう場面が増えているという現状があった。

Crezitは、コンシューマー向け金融サービスを切り口に、信用情報のオープン化を促進するサービスを展開していくことで新しい働き方や様々な業界の変化に適応した金融インフラサービス構築に取り組む。今回調達した資金でプロダクトリリースに向けたチームの強化を進めていくとしている。

----------[AD]----------

シンプルUIで注文業務を効率化する「CONNECT」運営が資金調達ーー飲食・小売のスマホシフトが追い風に

SHARE:

クラウド受発注サービス「CONNECT」を運営するハイドアウトクラブは3月18日、第三者割当による増資を公表している。引受先になったのはジェネシア・ベンチャーズ、オプティマ・ベンチャーズ、スタートポイントの3社。リードはジェネシア・ベンチャーズで、払込日は昨年10月。調達した資金は4600万円で、出資比率は非公開。 また、今回のリリースに合わせて同社は「CONNECT」の正式リリースも伝えている。…

connect_top

クラウド受発注サービス「CONNECT」を運営するハイドアウトクラブは3月18日、第三者割当による増資を公表している。引受先になったのはジェネシア・ベンチャーズ、オプティマ・ベンチャーズ、スタートポイントの3社。リードはジェネシア・ベンチャーズで、払込日は昨年10月。調達した資金は4600万円で、出資比率は非公開。

また、今回のリリースに合わせて同社は「CONNECT」の正式リリースも伝えている。利用料金は発注側が無料と有料のビジネスプラン、受注側が受注回数に応じた従量課金となっている。

connect_001
CONNECT発注側画面イメージ

CONNECTは飲食や小売店などの商品注文・受注を効率化するクラウドサービス。スマートフォンの普及によって、これまで注文・受注に使っていた連絡ツールが多様化している。同社によれば、FAXや電話といった従来ツールに加え、メールやメッセンジャーなど10種類近くの受発注手段を使い分けている例もあったという。

そこでCONNECTでは、注文する側の使い勝手に注目し、これを一元化するアイデアを形にした。注文側はスマートデバイスやPCなどからCONNECTの注文インターフェースにて商品を発注する。一方、それを受ける側の受注側は、CONNECTを使って受注するか、従来使っていたFAXなどのツールをそのまま使うこともできるようになっている。

connect_003
CONNECT受注側サービスイメージ

同社によれば、既存事業者で受発注ツールを提供する場合、多くは注文・受注双方が同じツールを使う設計思想になっており、導入に関する負担が大きかった。CONNECTは注文側の「ツールが多すぎる」という課題に集中してソリューションを提供している。2018年の夏にβ版をリリースし、現在までの累計発注数は15万点にのぼる。

ハイドアウトクラブの創業は2015年6月。BARやウィスキーの愛好家向けアプリを手がける過程で飲食店の受発注業務の非効率を目の当たりにし、今回の開発に着手した。当初は発注側のみのサービス展開だったが、卸事業者からのリクエストに応じて受注側についてもサービスを用意し、受発注の管理が可能なクロスプラットフォームとして公開した。

同社代表取締役の田口雄介氏は元楽天。リクルートを経て同社を創業している。彼の話では、飲食店や小売などの現場で従来手法の電話・FAXはまだ残っているものの、スマートフォンシフトが進んでおり、プライベートでLINEやInstagramなどを使っているため、サービスの導入はかなりスムーズに進んでいるという。

----------[AD]----------

SBも認める「評価額7700億円企業」に初期投資、鈴木氏がジェネシアVへーー80億円ファンド新設、新体制でアジア投資を強化

SHARE:

ニュースサマリ:シード・アーリーステージのスタートアップ投資を手がけるジェネシア・ベンチャーズは12月24日、新ファンドとなる「Genesia Venture Fund 2 号投資事業有限責任組合(以下、2号ファンド)」の組成を公表した。同時に募集のファーストクローズも伝えており、集まった資金は45億円となる。ファンドの募集はこの後9月末まで続き、ファイナルクローズ時点で80億円規模を予定している…

ジェネシア・ベンチャーズメンバー

ニュースサマリ:シード・アーリーステージのスタートアップ投資を手がけるジェネシア・ベンチャーズは12月24日、新ファンドとなる「Genesia Venture Fund 2 号投資事業有限責任組合(以下、2号ファンド)」の組成を公表した。同時に募集のファーストクローズも伝えており、集まった資金は45億円となる。ファンドの募集はこの後9月末まで続き、ファイナルクローズ時点で80億円規模を予定している。

2号ファンドの出資社はみずほ銀行、みずほキャピタル、東急不動産ホールディングス、丸井グループ、ミクシィ、JA三井リースほか、非公開の国内企業および機関投資家。なお、1号ファンドでは国内35社、海外12社への投資を完了している。

また同社はこれに合わせサイバーエージェント・ベンチャーズ(以下、CAV)でインドネシア中心に投資活動を手がけていた鈴木隆宏氏が新たなジェネラル・パートナーとして参加したことも公表した。ジャカルタに駐在事務所を準備中で、東南アジア全域への投資活動拡大を加速させる。

ジェネシア・ベンチャーズGPに就任した鈴木隆宏氏

話題のポイント:CAVマフィアが平成の終わりに新たな門出を発表しました。鈴木さんはジェネシア・ベンチャーズを創業した田島聡一さんがCAVの代表を務めていた時からのメンバーで、長年インドネシアに駐在して黎明期の東南アジア・スタートアップの支援をしてきた人物です。既に日経やTechCrunchが報じてるファンド組成のニュースにソーシャル上では多くの友人知人から祝福のメッセージが溢れていて、彼の人望や再出発への期待を窺い知ることができます。

先日、帰国した際に少し話を聞いたのですが、2011年頃から開始した投資事業で手がけた案件は最終的に15社ほど(ほぼ全て海外)で、年間に1社から2社しか投資しない丁寧な伴走タイプです。

もちろん実績も十分で、特に有名なのはインドネシア初のユニコーン、Tokopediaへの投資が挙げられます。おそらく国内では今年11月、ソフトバンクのビジョンファンドを通じて10億ドル規模の投資を受けたことでご存知の方もいらっしゃるかもしれません。現在の評価額は70億ドル(110円レートで7700億円規模)、CB Insghtsのランキングで世界27位につけている注目株です。

このTokopediaにいち早く着目し、シード期で10名ほどしかいなかった同社に投資をしたのが鈴木さんなのです。(因みにその当時の所属先、CAVの代表は田島さんです)

鈴木さんのお話だと、当時の東南アジアはまだエコシステム自体が未熟で、このステージの企業が出資を募ってもエンジェルなどを中心に1000万円程度しか集まらなかったそうです。それに対してCAVではこの時期のTokopediaに日本円で7000万円の投資を実施しました。

資金集めに奔走させることなく、市場が成長期に入るかどうかという絶妙のタイミングで大きく出資することで、Tokopediaは日本で言えば楽天のような存在感を放つことに成功したのです。

写真右から:鈴木氏とTokopedia創業者のウィリアム・タヌウィジャヤ氏、メンバー

鈴木氏は引き続きインドネシアに駐在し、今度はジェネシア・ベンチャーズのGPとして投資に当たります。ジェネシア・ベンチャーズは基本的に投資ラウンドのリードを取るポリシーを持っていますが、さらに伴走タイプらしく、成長に合わせた追加投資をしっかりとやりたいと今後の投資方針を話していました。

鈴木さんの話で興味深ったのはやはり東南アジアのスタートアップ・エコシステムの話題ですね。彼らはシリコンバレーを向いている日本とは異なり、中国を参考にして成長したそうです。2010年当時、インターネット・インフラが劇的に悪かった東南アジアではモバイルインターネットが急速に立ち上がり、特に2013年からは中国の格安スマホ(小米など)の影響でPCよりスマホが先に整備されるという状況があったとか。

スタートアップ投資がマーケットドリブンであることを改めて思い知るエピソードです。

鈴木さんによれば、こういった違った成長過程で生まれたマーケットにはビジネスモデル自体、日本とは異なるアイデアが生まれる可能性があると言います。確かに仮想通貨やブロックチェーンのような新たなインフラやビジネスモデルの場合、国によって成長速度に違いが生まれることが確認できています。

この違いを日本にうまくフィードバックしたり、ジェネシア・ベンチャーズに出資をしている大手企業と連携させるオープンイノベーション的な動きも考えているということでした。

長年ジャカルタに在住してすっかりと「アジア人」になっていた鈴木さんが今後、どういったベンチャーキャピタリストになってインパクトある経済活動を生んでくれるのか、楽しみに次の報告を待ちたいと思います。

----------[AD]----------