BRIDGE

タグ GITAI

宇宙産業向けロボティクススタートアップGITAI、シリーズAラウンドで410万米ドルを調達——スパイラルベンチャーズなどから

SHARE:

宇宙産業向けロボティクススタートアップの GITAI は21日、シリーズ A ラウンドで410万米ドルを調達したことを明らかにした。このラウンドはスパイラルベンチャーズ(Spiral Ventures Japan)がリードインベスターを務め、DBJ Capital、電源開発、500 Startups Japan(現 Coral Capital)が参加した。 今回の投資家のうち、500 Startu…

GITAI が開発中のロボット6号機
Image credit: Gitai

宇宙産業向けロボティクススタートアップの GITAI は21日、シリーズ A ラウンドで410万米ドルを調達したことを明らかにした。このラウンドはスパイラルベンチャーズ(Spiral Ventures Japan)がリードインベスターを務め、DBJ Capital、電源開発、500 Startups Japan(現 Coral Capital)が参加した。

今回の投資家のうち、500 Startups Japan(当時)は2017年に実施したシードラウンド(125万米ドルを調達)に続いての参加。同社の創業以来の累積調達額は概算で6億円超となる。なお、シリーズ A ラウンドはクローズしておらず、年内の追加調達を検討しているとのことで、その場合の最大累計調達額は10億円規模となる模様だ。

同社では、今回の調達で得た資金を GITAI の宇宙用作業代替ロボットの開発費、2020年末に予定している国際宇宙ステーションへの実証実験機の打ち上げ費用に使うとしている。

GITAI は当初、異なる2地点にいるオペレータとロボットをつなぐテレイグジスタンスにフォーカスしていたが、2017年頃に宇宙分野への事業をシフトした。今年初めには、同社 の COO に、ヒューマノイド科学者・技術者で SCHAFT 創業者兼元 CEO の中西雄飛(なかにし・ゆうと)氏が就任したことを発表している。

via PR TIMES

宇宙産業向けロボティクススタートアップGITAI、スカパーJSATと業務提携検討・JAXAと共同研究契約を締結——宇宙関連事業や共同研究を加速

SHARE:

ロボティクススタートアップ の GITAI に元 SCHAFT の中西雄飛氏がジョインしたのをお伝えしてから2週間、その後、同社には宇宙関連事業者との提携話が相次いでいるようだ。 先週には、衛星通信大手のスカパー JSAT(東証:9412)との業務提携検討に関する覚書締結が発表された。スカパー JSAT は17機の通信衛星を保有するアジア最大の衛星オペレータだ。この業務提携検討の中で、具体的に何が…

ロボティクススタートアップ の GITAI に元 SCHAFT の中西雄飛氏がジョインしたのをお伝えしてから2週間、その後、同社には宇宙関連事業者との提携話が相次いでいるようだ。

宇宙ロボットの遠隔操作のための通信実験の検証
Image credit: Gitai

先週には、衛星通信大手のスカパー JSAT(東証:9412)との業務提携検討に関する覚書締結が発表された。スカパー JSAT は17機の通信衛星を保有するアジア最大の衛星オペレータだ。この業務提携検討の中で、具体的に何が進められるかは明らかにされていないが、GITAI が提供可能な機能と、衛星運用業界が直面する課題を見ていくと、いくつかの仮説が考えられる。

一つは、衛星の軌道投入の方法として一般的な地上からのロケットによる直打ち上げだけでなく、国際宇宙ステーションなどからの衛星放出を行う方法。打上げ環境条件が厳しくない、打上げ機会が多いなどのメリットがある。GITAI の遠隔制御ロボットと組み合わせれば、こういった衛星の放出前チェックアウト作業や放出作業も、宇宙飛行士を介在させずに行える可能性がある。

一方、人工衛星の寿命は概ね、軌道修正のために必要な薬剤の搭載可能量と、太陽電池やバッテリーの寿命に依存するところが大きいとされる。地球の重力圏にある静止衛星は高度が低下すると静止状態を維持できなくなるため、これを補正するために定期的に軌道修正を行う必要があるが、そのための薬剤の搭載可能量には上限がある。太陽電池は宇宙放射線の影響を受けやすく、バッテリーは充放電を繰り返しているため、いずれも数年程度で寿命を迎えてしまう。

寿命を終えた衛星を捕獲し、宇宙で薬剤の再充填や部品の交換、宇宙空間への再放出が一般化されれば、衛星の寿命は圧倒的に伸ばせるようになる。これまで寿命を終えた衛星は、軌道制御して意図的に大気圏突入させ焼却処分するのが一般的だったが、ロボットを使った衛星の延命措置が実用的になれば、衛星運用の初期コストや運営コストも圧倒的に改善されるようになるだろう。

JAXA での GITAI ロボットの実証実験
Image credit: Gitai

また、GITAI は25日、JAXA(宇宙航空研究開発機構)と共同研究契約の締結を発表した。

共同研究契約の締結に先立ち、GITAI は JAXA 筑波宇宙センターの国際宇宙ステーション「きぼう」日本実験棟模擬フィールドで、ロボットによる宇宙飛行士の作業代替実験を実施したという。この実験では、スイッチ操作、工具操作、柔軟物操作、負荷の高い作業など汎用的な作業を1台のロボットで実施できる性能が求められる。

実験には複数のロボティクス企業が参加したが、GITAI のロボットはその中でも高いスコア(18の作業タスクのうち13に成功=72%)を獲得。今回の宇宙飛行士代替の適用可能性を評価するための共同研究契約締結に至った。この共同研究が目指すところは、先日の記事に書いた通りだ。JAXA は「きぼう」からの衛星放出事業も促進しており、スカパー JSAT との提携と相まって、宇宙関連ビジネスの効率性向上やコストダウンに寄与することが期待される。

<参考文献>

元SCHAFTの中西雄飛氏、宇宙産業向けロボティクススタートアップGITAIのCOOに就任

SHARE:

テレイグジスタンス(遠隔存在感)分野のロボティクススタートアップ GITAI(旧称 MacroSpace)は11日、同社 の COO に、ヒューマノイド科学者・技術者で SCHAFT 創業者兼元 CEO の中西雄飛(なかにし・ゆうと)氏が就任したことを発表した。 SCHAFT は2012年に設立。 TomyK や常石パートナーズから出資を受け、2013年にDARPA(アメリカ国防総省国防高等研究計…

GITAI のチーム。後列右から3人目が CEO の中ノ瀬翔氏。前列中央が COO の中西雄飛氏。
Image credit: Gitai

テレイグジスタンス(遠隔存在感)分野のロボティクススタートアップ GITAI(旧称 MacroSpace)は11日、同社 の COO に、ヒューマノイド科学者・技術者で SCHAFT 創業者兼元 CEO の中西雄飛(なかにし・ゆうと)氏が就任したことを発表した。

SCHAFT は2012年に設立。 TomyK や常石パートナーズから出資を受け、2013年にDARPA(アメリカ国防総省国防高等研究計画局)予選で優勝。後に Google(当時)に買収されたロボティクススタートアップだ。SCHAFT はその後、Google の持株会社 Alphabet 傘下の新技術開発会社 X(旧称 Google X)でロボット開発を続けていたが、昨年11月に SCHAFT のプロジェクトをシャットダウンしていた。

GITAI は当初、異なる2地点にいるオペレータとロボットをつなぐテレイグジスタンスにフォーカスしていた。同社が2017年に TECH LAB PAAK 第9期に参加した頃からは、宇宙分野への事業シフトを図りつつあったようだ。

中西雄飛氏

国際宇宙ステーション(ISS)の運用にあたっては、累積ベースで世界全体で数兆円以上、日本単独でも数千億円以上のコストが費やされている。そのうち、約半分くらいは宇宙飛行士の養成、宇宙飛行士の地球〜ISS 間の往来、宇宙飛行士の生活を維持するための必要物資の運搬にかかるコストだ。

宇宙飛行士も人間である以上、その活動時間や活動範囲には制約がある。無重力状態や宇宙放射線の影響も無視できないので、一定期間のミッションを経た宇宙飛行士は地球に帰還する必要があるし、また、ISS においてはさまざまな実験を行うわけだが、宇宙飛行士によって専門分野が異なるため、あらゆる分野の実験を単独で実施するのにも限界があるだろう。

ISS にロボットを配置して地球上から遠隔制御することができれば、ISS に乗り込む宇宙飛行士の人数を抑えることもできる。ISS のロボットを操作するオペレータをタイムシフトで変えれば、あらゆる分野の専門家がそれぞれ自分の実施したい実験を遠隔で、しかも24時間単位で運用し続けることができる。既に存在する莫大なコストのかかる産業の一部をロボットで代替できるならば、そこにビジネスが創出できるかもしれない。GITAI の創業者でCEO の中ノ瀬翔氏はそう考えたようだ。

アメリカのトランプ政権が ISS 運用の民間シフト(NASA から宇宙スタートアップへの運営者転換)の方針を打ち出したことで、アメリカで宇宙スタートアップが勢いづいていることは顕著な流れだ。ISS の運用コストの8割を拠出するアメリカの動きにならう形で、日本も JAXA を中心に、ISS の実験モジュール「きぼう」の運用などで宇宙スタートアップとの協業を模索しつつある。

例えば、今まで400億円かかっていた ISS のミッションが40億円で運用できるようになるとする。この場合、ロボットが多少値の張るものであっても、ミッション全体のコスト削減ツールと位置付けられるので、ロボットの費用は許容できるだろう。(中略)

ロボットが自律的に動作できるようになるまでには、まだ少し時間がかかるだろうし、精細で低遅延の映像と操作性でテレイグジスタンスを提供できれば、十分に価値を提供できるのではないか。(中ノ瀬氏)

B 向けのロボットであれ、C 向けのロボットであれ、一般普及に対応できる量産レベルに持っていくには、圧倒的なコスト圧縮が求められる。実のところ、X が SCHAFT の運営継続を断念した背景にも、そのような理由があるようだ。それとは対照的に、宇宙ミッション向けのテレイグジスタンスとしてのロボットであれば、1台でも売れれば、スタートアップがしばらく経営を継続できるくらいの利益は出すことができるだろう。

GITAI が開発中のロボット6号機
Image credit: Gitai

SCHAFT の開発で、Google が特に重視していたのはビジネスとして成立させること。二足歩行のロボットで、いかにビジネスできるか、ということに焦点を置いていたので、そのためには、低コストで、低消費電力で、完全自律化させることをテーマにやっていた。(中略)

低コストにするということは、ロボット1台あたりの利益率は低くなるので量産化が必要になるが、完全自律化されたロボットがビジネス現場に到達するには、まだまだ時間がかかる。Google は5年間やらせてくれたし、やれるところまでやった感はあるけれど、そのような判断から区切りをつけたことになる。(中西氏)

中西氏のそれまでのコスト追求の世界とは対照的に、1台でも売れれば利益が出せる宇宙用代替作業のロボット市場。しかも、最初から完全自律化しないといけないという制約も無いため、中西氏は GITAI でヒューマノイド技術者としての知見を存分に発揮できると判断したようだ。彼によれば、完全自律を目指すロボットは、まだ人間の性能や人間と同じスピードで動かすところまでは、ハードウェアもソフトウェアも追いついていないのが現状だという。

ロボット研究者としては、他の誰かがこの分野で成し得ても、どこかで認めたくはないと思っている(笑)。でも、やりたいことを実現できて、それでお金をもらえているところがあれば、そこがエラい。(完全自律じゃないと)いろんな人からなじられようが、そういうのは放っておいて(笑)、ちゃんと使われるロボットを世の中に出したいと思った。

SCHAFT では人間の下半身の動作を再現するロボット、GITAI で人間の上半身の動作の多くを再現しているロボットを開発する中西氏。同じヒューマノイド科学者のもと、別々のスタートアップが生み出したテクノロジーが Google に買収され、名実ともに上半身と下半身が合体する日も、ひょっとしたら夢物語ではないかもしれない。

GITAI には、パーソナルモビリティ「WHILL」のメカニカルエンジニアだった上月豊隆氏(現 CTO)や、SCHAFT でソフトウェアエンジニアだった植田亮平氏(現ソフトウェア担当 VP)など、中西氏と同じく東京大学大学院情報システム工学研究室(JSK)出身の技術者が複数名在籍している。GITAI はいつの間にか、世界のロボティクス権威が集まる集団へと変貌を遂げていた。

GITAI は2016年9月にシードラウンドで Skyland Ventures から1,500万円を調達、2017年12月にシードラウンドで ANRI、500 Startups Japan(当時)から125万米ドルを資金調達している。