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Asia Leaders Summit 2015: 東アジアから世界へ、日本と韓国のイノベーターたち

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これはシンガポールで開催されている、Asia Leaders Summit 2015 の取材の一部だ。 27日(金)、シンガポールの Marina Bay Sands Convention Center で、第2回目となる Asia Leaders Summit が開催されている。午前中のセッションでは、「Pitching East Asia: Innovators from Japan &amp…

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これはシンガポールで開催されている、Asia Leaders Summit 2015 の取材の一部だ。

27日(金)、シンガポールの Marina Bay Sands Convention Center で、第2回目となる Asia Leaders Summit が開催されている。午前中のセッションでは、「Pitching East Asia: Innovators from Japan & Korea」と題し、日本と韓国で注目を集める起業家や投資家がピッチを行った。

このセッションのモデレータは、グロービス・キャピタル・パートナーズの高宮慎一氏が務めた。

Bitflyer, Yuzo Kano, Founder and CEO(日本)

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Bitflyer は、Bitcoin の売買ができる取引所を運営。リクルート、GMO ペイメント・ゲートウェイから出資を受け、現在の資本金は3.3億円。JADA(日本価値記録事業者協会)の会長を務める。Bitcoin 送金システム「bitWire」は、小売店向支払、割り勘などに使える。近日、Blockchain を見える化する Blockchain Visualizer を近日リリース予定。取引量は、ここ数カ月で前月比400%のペースで増加している。

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Space Market, Daisuke Shigematsu, Founder and CEO(日本)

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スペースマーケットは、企業などが保有する使われていない会場を一般利用者に貸し出すサービス。2014年4月にローンチし、これまでに会場として180箇所を確保。映画館、古民家、寺、おばけ屋敷、ボート、市長室、相撲部屋などを会議やイベントなどの用途に利用できる。

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iemo, Mary Murata, Founder and CEO(日本)

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村田氏にとっては、以前のゲームスタートアップに続き、2回目のスタートアップ。iemo を創業してから半年で DeNA に売却。家、インテリアデザイン、改築に関する情報をスマートフォンで閲覧できるメディアプラットフォーム。毎日100件の投稿があり、Facebook には50万人以上のファンがいる。2万件の投稿コメント、3万件の写真を使った広告、建設会社700社とユーザ50万人のマッチング、ホームインテリアを売るコマースでマネタイズ。

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Crowdworks, Koichiro Yoshida, Founder and CEO(日本)

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クラウドワークスは、創業から3年未満で東証マザーズに上場、最近、日本ベンチャー大賞の表彰を受けた。有名大企業、中央省庁、Cristiano Ronaldo、映画「her」、ベビーカーの「Aprica」などともクラウドソーシングで協業。リサーチ、計画、エンジニア、マーケティングの各セグメントにおいて、クラウドソーシングを通じて企業に社内イノベーションを誘引しようとしている。

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TEAMBLIND INC, SUNGUK MOON, CO-CEO(韓国)

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かつて Naver に任務していた Sunguk Moon 氏は、社内イントラネットで匿名メッセージボードを運営していた。会社の問題、業界の問題、個人的な心配事などを社員たちは話し合っていた。効果が出ることがわかった Sunguk は、完全に匿名で、企業内及び業界内専用の使いやすいメッセージボードアプリ「BLIND」を開発した。現在、韓国で150社以上の企業が利用。今年3月にアメリカでローンチ、5月に日本に上陸予定。

Woowa Brothers, Andrew Lee, Director of Global Business(韓国)

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Woowa Brothers は、フード、デリバリ、技術の3つのキーワードを軸にサービスを運営。韓国には100億ドル以上の市場があるが、新しい情報を顧客に提供できない、投資対効果がよくないなど長期にわたって解決できない問題がある。モバイルでフードデリバリを依頼できる「配達の民族」をローンチ。 LINE と協業し、日本で LINE NOW をサービス開始。

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Vingle, Changseong Ho, CSO(韓国)

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Viki.com を立ち上げた夫婦によるスタートアップ。Vingle は、コミュニティこそがコンテンツ配信のエンジンになるとの考えから、共通の興味を持つ人たちがコンテンツを共有できるようにしたプラットフォーム。モバイル・ファーストで設計されており、現在、興味ごとに3,000 以上のコミュニティがある。600万人いるユーザに加えて、アメリカ市場においても、ユーザが増加している。

K Cube Ventures, Jimmy Rim, Founder and CEO(韓国)

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K Cube Ventures は 2012年4月に立ち上がったファンドで、これまでにスタートアップ40社、一社あたり30万ドル〜100万ドル程度を投資している。スタートアップ・コミュニティのキープレーヤーは、VC や投資家ではなく、スタートアップや起業家であるというのが信念。技術情報、採用や業界ノウハウなどをシェアできる K Cube の投資先スタートアップや K Cube のメンバーとシェアできる、オンライン・ナレージベースを運営している。エンジニアの貸し借り、イベントの共催など、投資先スタートアップ同士の協力関係も進んでいる。

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【情報開示】インキュベイトファンドは THE BRIDGE のスポンサー会員で、THE BRIDGE は Asia Leaders Summit 2015 のメディアスポンサーとして協力関係にあります。

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いよいよ来週開催、「Asia Leaders Summit 2015」「Incubate Camp Asia」から(プレビュー)

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Asia Leaders Summit が返ってくる。日本やアジアの起業家や投資家が一堂に会する、スタートアップの祭典だ。前回は開催日前日、東京が稀に見るドカ雪で飛行機が飛ばず、泣く泣く渡星を諦めざるを得ない参加者も少なくなかったようだが、今回は天気予報が正しければ大丈夫そうである。 (昨年の Asia Leaders Summit 2014 の模様はこちらから) THE BRIDGE では来週、…

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Asia Leaders Summit 2014 から。

Asia Leaders Summit が返ってくる。日本やアジアの起業家や投資家が一堂に会する、スタートアップの祭典だ。前回は開催日前日、東京が稀に見るドカ雪で飛行機が飛ばず、泣く泣く渡星を諦めざるを得ない参加者も少なくなかったようだが、今回は天気予報が正しければ大丈夫そうである。

(昨年の Asia Leaders Summit 2014 の模様はこちらから)

THE BRIDGE では来週、シンガポールの Marina Bay Sands のコンベンションセンターから Asia Leaders Summit 2015 の模様をお届けする予定だ。

Asia Leaders Summit はインキュベイトファンドと、THE BRIDGE のアドバイザーでもある Jeffrey Paine らが運営する Golden Gate Ventures の共催だが、本イベントのプロデューサーであり、インキュベイトファンド代表パートナーの本間真彦氏に、今回の見どころを聞いた。

2回目の開催となる Asia Leaders Summit

2/27(金)〜28(土)に開催される Asia Leaders Summit 2015 には、日本、韓国、シンガポール、台湾、インドネシア、タイ、中国、ベトナム、マレーシアなど、アジア各国からスタートアップ関係者が集まる。完全招待制だが、他のオープンなスタートアップ・イベントと違って、いい頃合いの規模感の人数(100名程度)なので、ネットワーキングがしやすいのが特徴だ。

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Asia Leaders Summit 2014 で、開会の辞を話す本間氏。

東京には、見える形でスタートアップ・コミュニティが存在する。地理的にも一箇所に固まっているからだ。しかし、アジアのコミュニティは、自然発生的に一つの形として存在しているか、というと、そういうものはない。

アジアの起業家や投資家に話を聞いてみると、彼らはいろんなところに出入りしていて、決して一つだけのコミュニティに属している、という考えは持っていない。彼らを物理的に引き合わせるというのが第一の目的。しゃべりたいという人も多かったので、そのような人のために機会を作りたかった。(本間氏)

イベントは次の6つのセッションで構成されているが、スピーカーはスピーカーであると同時に、オーディエンスとしても参加し、イベント終了後にもネットワーキングの機会に自由に語りあうことができる。

  • Session 1 – Asian money, opportunities, and trends
  • Session 2 – Pitching East Asia: Innovators from Japan & Korea
  • Session 3 – New Asian Leaders disrupting/creating big industries
  • Session 4 – Executive talks from Japanese big internet companies
  • Session 5 – Pitching Asia: Startups from the Region
  • Session 6 – Keyman’s Talk: Innovations and management

日本にいると、「東南アジアはまだまだこれから…」と感じている人も少なくないだろう。しかし、昨年はシンガポールの RedMart の540万ドルの調達に始まり、GrabTaxi、Tokopedia などが巨額の資金調達を成功させ、Sequoia に代表されるグローバルな投資家が東南アジアにへとフォーカスをシフトしてきている。

Uber や AirBnB などのシェアリング・エコノミーは、すでに成熟した産業が存在する先進国では既存勢力の抵抗に会いやすい一方、東南アジアにはその種のイノベーションが許されやすい自由があるのも事実だ。Bitcoin のスタートアップなども、暗号通貨としての用途よりも、むしろオンラインの決済/送金手段が発展途上にある国々の方が成長が早いかもしれない。

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Asia Leaders Summit 2014 から。

特にスタートアップ業界においては、日本が進んでいて、東南アジアが遅れているという観念は当てはまらない。ジャパンマネーは東南アジアに活路を見出しており、ソフトバンクはもとより、Yahoo Japan や GREE に代表される日本のインターネット企業も今後、東南アジアのスタートアップへの投資を一層加速させるだろう。

4番目のセッション(上記の Session 4)では、特にアジアから大きな会社を作るにはどうすればいいということをみんな悩んでいるので、それを論じてみたいと思います。

セガの里見さん(代表取締役社長 里見治紀氏)のほか、ヤフーの小澤さん(ショッピングカンパニー長 小澤隆生氏)は、ヤフー以外にも楽天やソフトバンクでの仕事も経験されて、日本企業というものをよく知っておられる。とにかくグローバルになる…と言っている國光さん(gumi 代表取締役 國光宏尚氏)、三木谷さんとも密に動いている Saemin Ahn(楽天ベンチャーズ Managing Partner)らと同じ視座でみんなで考えてみたい。(本間氏)

シリコンバレーには既に成熟したスタートアップのエコシステムがある。もちろん、それはすごく便利なものなのだが、アジアでは、我々がこれから自らの手でエコシステムを形成していかなければならない大変さと面白みがある。それに必要なものが何かを、みんなで共に考えようというのが Asia Leaders Summit に課されたテーマだ。

アジアで初めて開催する Incubate Camp

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会場となる Singapore University of Technology and Design。

Asia Leaders Summit に先立ち、2/25(水)には、Incubate Camp 初の海外版「Incubate Camp Asia」が開催される。今までに日本で開催してきた Incubate Camp を、海外でやってみたいとの思いを実現するのそうだ。こちらも、アジア各地から選ばれたスタートアップ10社が一堂に会し、メンター12人を相手にそれぞれのビジネスアイデアを議論しあう。

世界でやる上でやりやすいテーマということで、一回目のテーマはゲームにしました。グローバルでオペレーションを作っているセガ、チェンクロのパブリッシングをシンガポールでやっている Gumi Asia などがメンタリングしてくれます。

東南アジアにもゲーム・デベロッパはいますが、パブリッシャーがいない。パブリッシャーがいないので、東南アジアのVCが興味を持たず、デベロッパは政府のグラント(助成金)が尽きたら、それで終わりとなっているのが現状。

そこで、日本からパブリッシングができる人たちを、集めてやることにしました。集まるスタートアップ(ゲーム・デベロッパ)は、日本がどちらかというと得意ではないグローバルな存在。日本ではパブリッシャーが物理的に近くにいるのでデベロッパはすぐに協業しやすいが、東南アジアではそうはいかない。なので、こういう機会は重要だと思います。(本間氏)

会場となるのは Singapore University of Technology and Design(SUTD)。マサチューセッツ工科大学と共同で、シンガポール随一のゲーム・デベロッパの育成機関「Singapore-MIT GAMBIT Game Lab」を運営している。今回の Incubate Camp Asia の最終セッションには、SUTD の学生も参加してピッチを観覧することになっている。彼らからの反応も楽しみにしたい。

現地からのレポートに乞うご期待。

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シリコンバレーとは、イノベーションではなく繰り返しの歴史である(後編)【ゲスト寄稿】

本稿は、シンガポールとサンフランシスコに拠点を置き、シード・スタートアップ向けファンドを手がける Golden Gate Ventures のパートナー Vinnie Lauria による Forbes への寄稿の翻訳である。彼の同僚でもある、Jeffrey Paine は、THE BRIDGE のアドバイザーを務めている。本稿の翻訳掲載にあたっては、原著者である Vinnie Lauria の許…

vinnie-lauria_portrait本稿は、シンガポールとサンフランシスコに拠点を置き、シード・スタートアップ向けファンドを手がける Golden Gate Ventures のパートナー Vinnie Lauria による Forbes への寄稿の翻訳である。彼の同僚でもある、Jeffrey Paine は、THE BRIDGE のアドバイザーを務めている。本稿の翻訳掲載にあたっては、原著者である Vinnie Lauria の許諾を得た。

The Bridge has reproduced this under the approval from the story’s author Vinnie Lauria.

前編からの続き)

AirBnB を成功させたのは、プロダクト開発の繰り返し

多くのスタートアップでは、プロダクト開発の繰り返しと、堅実な実行力を兼ね備えることが、成功へと繋がる。つまり、最初のアイデアだけではだめなのだ。 Hot or Not の共同設立者でありエンジェル投資家でもある James Hong は次のように語っている。

シリコンバレーでの勝者が、誰しも人よりイノベイティブというわけではありませんが、実行力は備えています。

例えば AirBnB は、最初のオンライン短期自宅レンタルサービス会社ではなかった。この業界ではVRBOが1996年にローンチ(2006年に Homeaway が買収)したほか、Couchsurfing.org が1999年にローンチ、そして Craigslist がアパートの借り手と貸し手をマッチングさせるサービスで長い歴史を有していた。

にもかかわらず AirBnB は成功した。その理由は些細なアイデア(朝食付き宿泊、B&Bネットワーク)ではない。小さな繰り返しの賜物だ。美しくデザインされたインターフェース、〝受け身の〟マーケットプレイスに対して開かれた入りやすい入口、Craigslistなどのサイトの悩みの種となっていた非対称性の問題(宿の需給バランスの不整合)を迅速に解決すべく、説明責任制度などを設けた。

ユーザレビューやプロフィール、システム内に個人メッセージシステムを取り込むことにより、潜在的な顧客とアパートのオーナーについて、広範に渡って下調べや努力をしなくても、借り手と貸し手をより効率的にマッチングすることができる。このため、AirBnB の成功はソーシャルネットワーキングと密接に関わっており、Facebookのような個人プロフィールと、eBay のようなレーティングの影響を受けている。こうした意味で、AirBnB にはビジネスモデルだけでなく、実践面においても繰り返す力があったと言える。

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Mountain View の Red Rock Coffee、コーディングに没頭するプログラマが集まることで知られる。WhatsApp もここで生まれた。

Facebookの成長を後押ししたシリコンバレー

シリコンバレーはイノベーターとまではいかなくても、リスクに挑む人にはちゃんと報いることでもその独自性を発揮してきた。その結果、シリコンバレーはトップクラスの才能と独自性に溢れた人材を惹きつけてやまない。シリコンバレーの存在がなければ、そうした人材は他の業界に集中してしまうだろう。

Facebook がハーバード大学の寮で誕生したのは有名な話だ。Facebook自体はもちろん世界で最初のソーシャルネットワーキングサービスではなく、それ以前にも2002年に Friendster、2003年に MySpace といった同様のサービスが存在していた。ただし、Facebook は既にあるサービスを元に、大学のキャンパスという小さなターゲットに対象を絞り込みプライバシー設定も向上させた。Facebookが立ち上がると、Zuckerberg は活動の場をシリコンバレーへと移したが、これにより、優秀なプログラマーはもとより、開発資金を活用することが可能となった。

シリコンバレーに集中する VC は資金の確保を容易にするだけでなく、「8人の反逆者(前編に詳述)」と呼ばれる先人の例のように、先端技術の恩恵とプロダクト開発の繰り返しが容易に行えるネットワークを提供している。

Facebookはその草創期の資金提供者としてPeter Thiel を選んだが、Thiel の持つ影響力と知名度は Facebook の可能性を広げ、資金の獲得をさらに容易にした。Facebook 初期におけるもう1人の資金提供者 Accel Ventures は、FacebookのCOOの Sheryl Sandberg を雇うのに大きな役割を果たした

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かつて Palo Alto にあった Facebook 本社オフィス(2008年9月撮影)

こうした企業間における人材の交流は、シリコンバレーが自己再帰を図る上で重要な原動力となる。少なくとも、VC のネットワーク作りにも寄与することになる。

最近では、Bill Gates の名言がRolling Stoneに引用された

カリフォルニアのイノベーションは今、絶対的なピークに達しています。確かに企業の半数は愚かです。その3分の2が破産しようとしているということは周知の事実です。しかし、そこから生み出される多くのアイデアが、本当に重要になります。イノベーションにより、真の進歩を遂げることができるのです。

他の多くの人と同じように、Gates は「イノベーション」の重要性を強調しているが、シリコンバレーの長期的な成功における重要な要因である、「粘り強い繰り返し」については言及していない。繰り返しのビジネスモデル、実践、地理的なネットワーク効果という3つの組み合わせは、起業家がお互いの成功と失敗の上に構築していけるダイナミックな環境を作り出してきた。

むろん、進歩における重要な「真の要因」として、以前からある科学的なイノベーションや、基本的な研究開発の価値を軽視しているわけではない。しかし、シリコンバレーの競争優位は、イノベーションにあるのではない。むしろ、企業が継続した繰り返しによって、プロダクトや技術を商品化するために必要とされる、環境的かつ文化的なインセンティブを提供することにある。

これらの環境的なインセンティブは、時に自己実現を予期させる力を発揮する。例えば、VC の集中がネットワーク効果とテクノロジーの波及を引き起こしたのだろうか、もしくは VC は波及効果に便乗するためにシリコンバレーへと移転してきたのだろうか?

おそらくこれら自己強化型の過程こそがシリコンバレーの反復型発展の真の推進力であり、前の世代の成功と失敗を引き合いに出すことで、アイデアの起因と実行が互いに補い合えるフレームワークを提供しているのだろう。

本稿の執筆には、Hippo Reads の Jeff Putnam が協力した。文中写真は、いずれも池田将による撮影。

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VTA Mountain View 駅

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シリコンバレーとは、イノベーションではなく繰り返しの歴史である(前編)【ゲスト寄稿】

本稿は、シンガポールとサンフランシスコに拠点を置き、シード・スタートアップ向けファンドを手がける Golden Gate Ventures のパートナー Vinnie Lauria による Forbes への寄稿の翻訳である。彼の同僚でもある、Jeffrey Paine は、THE BRIDGE のアドバイザーを務めている。本稿の翻訳掲載にあたっては、原著者である Vinnie Lauria の許…

vinnie-lauria_portrait本稿は、シンガポールとサンフランシスコに拠点を置き、シード・スタートアップ向けファンドを手がける Golden Gate Ventures のパートナー Vinnie Lauria による Forbes への寄稿の翻訳である。彼の同僚でもある、Jeffrey Paine は、THE BRIDGE のアドバイザーを務めている。本稿の翻訳掲載にあたっては、原著者である Vinnie Lauria の許諾を得た。

The Bridge has reproduced this under the approval from the story’s author Vinnie Lauria.


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シリコンバレーの眺望(Wikipedia から)

シリコンバレーは、一般的に裸一貫から身を立てるアメリカ流個人主義やダーウィン進化論的な生き残り方を象徴する存在としてよく語られる。つまり、優秀な発明家が自宅のガレージや大学寮の一室で始めた研究を、年間10億ドル規模の大企業にまで成長させていくという立身出世話だ。

独創的な思考と独立独歩こそがシリコンバレーの基本精神であり、一度に画期的な技術革新をもたらす——従来からあるこのような見方の中に、真実の核心を見出すことができる。ここでよく引き合いに出されるのは、Palo Alto のガレージから身を興し、HPを創業した Bill Hewlett と Dave Packard の話だ。

しかし、シリコンバレーを他の技術開発拠点から際立たせているのは、イノベーションではなく、繰り返し実行しようとするその意思だ。この地で、スピリチュアル・ゴッドファザーの異名を持つ Hewlett とPackard でさえ、最初はディズニーのために、当時からさかのぼること40年以上も前に初めて開発された技術である、オーディオ発振器を製造していた。

最近では、大手のテック企業が Quora などといったスタートアップを輩出するするようになり、従来から存在するアイデアを実現しやすくするために、人的資源と商品開発経験の両方を活用している。Quora を例にとると、インターネットQ&Aサイトというものを最初に開設したのは、Quora の創始者らではなかった(1996年にAsk Jeeves、2005年にYahoo Answersが開設されている)。彼らはFacebookで勤務していた頃の経験を応用し、Facebook 的なユーザインターフェイスを、整理されたQ&A形式に取り込んだ。

おそらく同社が、クリエイティブなプロダクトを生み続ける、シリコンバレーの隆盛と卓越から学んだ最も重要なことは、イノベーションは他との関連性を持たずには起こりえないということだ。むしろ、数多くのプロダクトの繰り返しや失敗は、後に生み出される新しいプロダクトや企業のフレームワークとなっている。

「Traitorous Eight(8人の反逆者)」は、繰り返すことによって成功した

トランジスタ発明者の William Shockley の話は、単に技術的なイノベーターというものではなく、アイデア収集と人材獲得の役割という面において、特にシリコンバレーを象徴している。Shockley は元々、電子通信業界独占企業で20世紀で最も成功したAT&Tの子会社 Bell Labs に勤務していた( Bell での功績に対し、7つのノーベル賞を受賞している)。

Jon Gertner の著書「The Idea Factory(邦題:世界の技術を支配する ベル研究所の興亡)」でも語られているが、トランジスタのアイデアは、Shockley とBellのチームメンバーとの共同作業と競争関係から生み出された賜物だ。ノーベル賞を受賞した後 Shockley は Bell を離れ、トランジスタの商品化を目指して、シリコンバレーで自らShockley Semiconductor Laboratoryという会社を設立した。

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8人の反逆者(Wikipedia から)

Shockley の研究所は失敗に終わろうとしていたが、彼の傲慢な経営スタイルに抗議する形で離脱した「Traitorous Eight(8人の反逆者)」によって、Fairchild Semiconductorという姉妹会社が作られた。Fairchild の設立者らは、最終的に自分達の半導体企業を設立することに成功した。その中には、今日よく知られているIntelやAdvanced Micro Devices、そして他社に対して多額の資金投資を行ってきたベンチャーキャピタルの Kleiner Perkins Caufield & Byers などがある。

シリコンバレー発のイノベーションというと、1977年に発表されたApple II パーソナルコンピュータなどを代表的なものとして思い浮かべがちだが、Apple II のような製品が生まれた本質的な背景は、突出した発明家として Steve Jobs や Steve Wozniak が居たから、というだけではない。

そこには、トランジスタ産業における、30年にも及んだプロダクト開発の失敗の繰り返しがある。例えば、2人の発明には、Stanford Research Institute の Douglas Engelbart のラボを訪れ、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)とマウスに出会ったことが強く影響している。このようなケースにおいて、シリコンバレーは繰り返しのノウハウに加え、強力なネットワークと研究者が集う場を作り出しているとも言える。

Farmville が大ヒットした理由

イノベーションではなく、繰り返しによって成功した最近の例としては、Zynga のヒット作 Farmville が挙げられるだろう。

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Farmville のコンセプトは、1996年にSuper Nintendo ゲームとしてリリースされた、「Harvest Moon」という日本のシミュレーションゲームが元になっている。その後、2008年には、中国の 5 Minutes(五分鐘)が開発したソーシャルネットワーク型牧場ゲームのHappy Farm(開心農場)が Tencent(騰訊) QQ のプラットフォームでリリースされた。

<関連記事> ZyngaがFarmVilleを開発する際にマネた、中国で最初にヒットしたソーシャルゲーム作品の盛衰

これらの先行したサービスのコンセプトを大いに活用し、2009年に Zynga は Farmville をリリースした。Zynga の製品開発担当VP Mark Skaggs が記しているところによれば、開発チームの当初のアイデアは、Facebookのリアルタイムストラテジーゲームを作ることだったという。既存のフレームワークを元に開発されたのがこのゲームの特徴であるが、Skaggs は その開発プロセスを次のように説明している。

私たちの会社には、いくつものチームがそれぞれ別のゲームを開発していましたが、他のチームが開発に使ったコードをかき集めて自分たちの開発に使ったりして、ゲームを少しでも早くリリースさせようとしました。

例えば、FarmVille のアバタークリエイターは YoVille から拝借したものです。他にも、Mafia Wars や Poker のチームから借りたものもあります。バックエンドでも、データトランザクションなど、多くのサーバコードに関わる技術は、他のチームのものを活用しました。

Farmvilleは、アイデアの段階ではユニークなものではなかったが、シンプルかつエレガントに資源蓄積型ゲームでゲーマーがハマりやすいポイントを作ることができたという点においては、非常に優れていた。

Shockley のトランジスタと同じく、イノベーションよりも繰り返しのソフトウェア開発によって、成功プロダクトのリリースを導く開発プロセスが加速した。

後編に続く)

本稿の執筆には、Hippo Reads の Jeff Putnam が協力した。

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Golden Gate Venturesの設立パートナーVincent Lauria氏がアジアのスタートアップについて語る

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【翻訳 by Conyac】 【原文】 Vincent Lauria氏はシリコンバレーで5年以上過ごし、2つのスタートアップを作った。その1つであるMeetro.comは位置情報を使うチャットサービスで、 多くの教訓を得た後2007年に解散した。もう1つは、ホスト型フォーラムサービスLefora.comで、10万以上のコミュニティを持つほどに成長し、2010年に買収されている。 2011年はアジア…

【翻訳 by Conyac】 【原文】

Vincent Lauria氏はシリコンバレーで5年以上過ごし、2つのスタートアップを作った。その1つであるMeetro.comは位置情報を使うチャットサービスで、 多くの教訓を得た後2007年に解散した。もう1つは、ホスト型フォーラムサービスLefora.comで、10万以上のコミュニティを持つほどに成長し、2010年に買収されている。

2011年はアジア中を旅して回り、スタートアップや投資家、新進気鋭の起業家に会い続けたVincent Lauria氏。彼は、Echelon 2012のパネルディスカッション「State of the Investment Ecosystem in Southeast Asia」(直訳すると、東南アジアの投資エコシステムの状況)に登場する。

親しみをこめてVinnieと呼ばれることが多い彼は、スタートアップや起業家のライフスタイルに夢中で、シリコンバレー精神をその他の地へと持ち込むことを非常に楽しんでいる。彼はまた、Paul Bragielの相棒としても知られている。

スタートアップの設立者から投資家へと立場が変わる中、あなたが一番学んだものは何ですか?

偉大なスタートアップを作るのは、アイディアではなく「人」だということです。

シンガポールに居を構えて、その地域で投資機会を探すと決めた理由は?

コミュニティです。シンガポールには非常に強い起業家や開発者のコミュニティがあり、お互いに助け合っています。幸運にも初めはHackerSpaceで、2-3ヶ月後にはSuperHappyDevHouseでこれを目の当たりにすることができました。

東南アジアから出てくるアイディアについて、またそのアイディアが持つ可能性をどう感じますか?

非常に率直に言わせてもらうと、マーケットにどう到達するかについてはシリコンバレーほど洗練されていません。しかし、この地域には大きな可能性を感じています。初めて起業する人が多く、シリコンバレーのようにネットで何度も起業した起業家やエンジェル投資家らが相談に乗ったり、人脈を紹介したりというエコシステムがありません。この地で、何かワクワクするような変化が起きるように感じています。

多くの製品が西から東へと動くのを見てきたが、反対方向はほとんどない。スタートアップは母国に近いマーケットに特化すべきですか?それとも欧米市場に進出すべきか、アドバイスは?

母国に近いマーケットは『手の届きやすい低い場所にぶら下がっている果実』なので、スタートアップはそこに特化すべきだと思います。エコシステムが成熟すれば、欧米市場でも闘うチャンスが開かれていくと思います。


Vincent Lauria (Leforaの共同設立者、Golden Gate Venturesの設立パートナー) は、Echelon 2012の豪華スピーカーの1人だ。このテック・カンファレンスは、2日間にわたり様々な催しが行われるイベントで、2012年6月11-12日に開催される。1100名以上の代表者が参加し、50弱のアジア地域のスタートアップが参加するデモピットや、様々なワークショップがある。さあ、あなたもチケットを手に入れよう!

【via e27】 @E27sg

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1000万米ドルで新設されたGolden Gate Ventures、東南アジアに特化したスタートアップを支援

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【翻訳 by Conyac】 【原文】 東南アジアの起業家にとって素晴らしいニュースがある。直接聞いたのだが、新設された1000万米ドルのベンチャーファンドのGolden Gate Venturesが、東南アジア−特にシンガポール、フィリピン、インドネシア、マレーシア、タイ、ハノイ−のスタートアップに重点的に投資を行うそうだ。 このファンドから主に投資されるのは、消費者向けのインターネット事業を行…

【翻訳 by Conyac】 【原文】

東南アジアの起業家にとって素晴らしいニュースがある。直接聞いたのだが、新設された1000万米ドルのベンチャーファンドのGolden Gate Venturesが、東南アジア−特にシンガポール、フィリピン、インドネシア、マレーシア、タイ、ハノイ−のスタートアップに重点的に投資を行うそうだ。

このファンドから主に投資されるのは、消費者向けのインターネット事業を行うスタートアップで、ウェブ、モバイル、ソーシャル、ローカル、eコマース等などのジャンルが対象となる。

Golden Gate Venturesは、Vinnie Lauria, Jeffrey Paine, and Paul Bragielという3人の有名なテック系集団によって運営されている。さらに、i/o VenturesとFounder Instituteという2つのパートナーによって新設のファンドは形成されている。投資幅は、5万米ドルから50万米ドルを計画している。

Golden Gate Venturesの投資家は、アメリカとアジア市場の起業と投資の経験を持つ。Vinnieは、高校時代から5つのスタートアップを経験している。最後は、Lefora.comというサービスを出し、10万以上のコミュニティを運営するプラットフォームを運営していた。Leforaは2010年にCrowdGatherに買収された。

Founderのうち2人の写真 Vinnie Lauria(左)Paul Bragiel(右) 画像;SFGate.com

Paulも起業家であり、Vinnieとの付き合いは長い。2人ともMeetro.comを立ち上げるなど、雑然とした起業家生活を送った(写真上)。Paulはまた、i/o Venturesの設立パートナーでもある。

アジアでの経験と繋がりは、Founders Institue SingaporeおよびスタートアップのPyrksを運営するJeffrey Paineが担当する。Jeffreyは、ジャカルタ、ハノイ、香港にFounders Instituteを新設する責任者を務めている。シドニーを拠点とするFounders Instituteの設立も進行中だ。

Golden Gate Venturesは、資金以外にもアドバイスを提供してシリコンバレーと東南アジアのネットワークや市場の架け橋となる予定だ。Vinnieは次のように説明している。

「我々のネットワークを通して、確かなアドバイスや継続的な出資、実践的な経験を提供します。そして、年に2〜3社のスタートアップにシリコンバレーにある共有オフィススペースを1、2か月ほど提供する予定です」。

Golden Gate Venturesに確認したところ、アジアのスタートアップがシリコンバレーに移るということではない。だが、Vinnieは技術—スピード、スムーズなローンチ、消費者のフィードバック開発やピボットなどの「シリコンバレー最良の方法」—を伝えたいと思っている。

「起業家はシリコンバレーの共同設立者と一緒に働くことができ、またシリコンバレーでサービスを始めるのであれば、アメリカでの体験を活かすこともできます」。

東南アジアは気候もスタートアップの生態系も熱い。2週間前(本文掲載2月20日)、ロシアのベンチャーファンド「Ru-net」が東南アジアに特化した5000万米ドルのファンドを発表した。うーん、次は誰だろう。

【via Tech in Asia】 @TechinAsia

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