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Health 2.0 Asia-Japan 2018で、スタートアップ6社がピッチ——肩こり・腰痛予防対策「ポケットセラピスト」のバックテックが最優秀賞に

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医師集合知サービス・医師向けコミュニティサイト「MedPeer」を運営するメドピアは5日、東京でヘルステック特化カンファレンス「Health 2.0 ASIA – JAPAN」を開催し、その中でピッチコンテストを開催した。ピッチには、日本国内からは6社参加した。このコンテストの審査員を務めたのは次の方々。 原田明久氏(ファイザー 代表取締役社長、医師・医学博士) 加藤由将氏(東京急行電鉄 東急アク…

Image credit: Masaru Ikeda

医師集合知サービス・医師向けコミュニティサイト「MedPeer」を運営するメドピアは5日、東京でヘルステック特化カンファレンス「Health 2.0 ASIA – JAPAN」を開催し、その中でピッチコンテストを開催した。ピッチには、日本国内からは6社参加した。このコンテストの審査員を務めたのは次の方々。

  • 原田明久氏(ファイザー 代表取締役社長、医師・医学博士)
  • 加藤由将氏(東京急行電鉄 東急アクセラレートプログラム 運営統括)
  • 小林賢治氏(シニフィアン 共同代表)
  • Georgia Mitsi 氏(Senior Director, Head of Digital Health Care Initiatives, Sunovion Pharmaceuticals)
  • 宮田拓弥氏(スクラムベンチャーズ 創業者/ジェネラルパートナー)
  • 寺尾寧子氏(ヤンセンファーマ 研究開発本部 クリニカルサイエンス統括部 開発企画部 部長、薬学博士)
  • 堤達生氏( General Partner, Gree Ventures)
  • 梅澤高明氏(A.T. カーニー 日本法人会長)
  • 渡辺洋之氏(日本経済新聞社 常務取締役 デジタル事業担当)
  • Matthew Holt 氏(Co-Chairman, Health 2.0 LLC)
  • 石見陽氏(メドピア 代表取締役社長 CEO、医師・医学博士)

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【最優秀賞】ポケットセラピスト by バックテック

副賞:賞金100万円、13th Health 2.0 Annual Conference(2019年9月シリコンバレー開催)への2名参加

バックテックが開発する「ポケットセラピスト」は、京都大学大学院医学研究科の研究成果である腰痛タイプ判定アルゴリズムを用いて、ユーザに最適なエクササイズの提案や腰痛タイプに合わせた優良治療院を紹介してくれるモバイルアプリだ。

ユーザはアプリを使って、腰痛に関するセルフチェックを行う。状態とニーズの判明後、最適な治療院とのマッチングが行われ、必要に応じて Skype での専門家との相談も可能だ。各企業の健康経営の施策の効果判定を支援する「アセスメントプラン」と、肩こり・腰痛の軽減による生産性の向上を支援する「ソリューションプラン」を提供しており、B2E モデルによりビジネスを確立しつつある。

2014年10月に京都大学の起業家養成プログラム「Global Technology Entrepreneurship Program」から輩出されたバックテックは、2016年4月に法人を設立。同年9月にサイバーエージェント・ベンチャーズから、今年5月に日本ベンチャーキャピタル、JR 東日本スタートアップから資金を調達している。調達金額はいずれも非開示。

以下はファイナリストに残りつつも、入賞ならなかったチーム。

AI 問診 Ubie by UBie

Ubie は昨年5月、東京大学医学部附属病院出身の医師である阿部吉倫氏と、医療情報サービス大手エムスリー出身のエンジニアである久保恒太氏らにより設立。「AI 問診 Ubie」は専門医の監修による AI 問診で、自動カルテ文書生成を行う医療機関向け SaaS。今年5月に、関西電力の CVC である関電ベンチャーマネジメント(KVM)からシリーズ A ラウンドで推定3億円を調達している。

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Office Natural Frozen Fruits「HENOHENO」 by デイブレイク

デイブレイクは、急速冷凍や特殊冷凍技術を持つフードテック企業。高級国産フルーツを、特殊冷凍技術で凍らせて届けるブランド「HENOHENO」を展開している。特殊冷凍であるため、味や香りが飛ばずに風味が残り、栄養が生のものより豊富で、氷の結晶が細かいため食べやすいなど特徴がある。

遠隔集中治療支援システム「T-ICU」 by T-ICU

T-ICU は遠隔地から集中治療医や専門医が、現場の医師や看護師から提供された情報をもとに24時間アドバイスし、現場の医師や看護師の負担を軽減するシステムを開発。集中治療医は遠隔地に居ながらにしてカルテの病歴とバイタル情報を中心に診療方針の検討が可能になる。病院にとっては、集中治療医を新たに雇うコストよりもはるかに安いコストで専門医サポートが可能となる。

今年6月に、Beyond Next Ventures から資金調達を実施している(調達ラウンド、調達金額は不明)。田辺三菱製薬アクセラレーター2018 に採択され、優秀賞を獲得している。

炎症性腸疾患患者の遠隔モニタリング by ジーケア

ジーケアは、炎症性腸疾患(IBD、Inflammatory Bowel Disease)の遠隔モニタリングに特化したスタートアップ。特に IBD は刻々と症状が変化するため、モバイルアプリを使った症状の把握によりタイムリーな治療が有効。現在、潰瘍性大腸炎(UC、Ulcerative Colitis)の患者を対象としたモバイルアプリを開発中だ。田辺三菱製薬アクセラレーター2018 に採択され、優秀賞を獲得している。

大人の ADHD のためのセラピー AI by HoloAsh

HoloAsh は、ADHD(注意欠陥・多動性障害)障害を持つ人がキャラクタとの会話を通じて自己肯定感が上がることを狙う「モチベーション・インタビューイング」あるいは「セラピューティックコミュニケーション」と表現されるアプローチをとるソリューション。今年、エンジェルラウンドで、INDEE Japan、曽我健氏(SGcapital)、芝山貴史氏(BLANQ)、小笠原治氏(ABBALab)から資金調達している。調達額は不明。

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Health 2.0 Asia-Japan 2017で、ヘルステック・スタートアップ6社がピッチ——研修医向けシミュレータロボット「mikoto」が最優秀賞を獲得

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医師集合知サービス・医師向けコミュニティサイト「MedPeer」を運営するメドピアは5日、東京でヘルステック特化カンファレンス「Health 2.0 ASIA – JAPAN」を開催し、その中でバイエルの協賛、日本生命、インテージグループ、ライフサイエンス・イノベーション・ネットワーク・ジャパン(LINK-J)提供によるピッチコンテストを開催した。 ピッチには、日本からは5社、海外(デ…

医師集合知サービス・医師向けコミュニティサイト「MedPeer」を運営するメドピアは5日、東京でヘルステック特化カンファレンス「Health 2.0 ASIA – JAPAN」を開催し、その中でバイエルの協賛、日本生命、インテージグループ、ライフサイエンス・イノベーション・ネットワーク・ジャパン(LINK-J)提供によるピッチコンテストを開催した。

ピッチには、日本からは5社、海外(デンマーク)から1社の合計6社が参加した。このコンテストの審査員を務めたのは次の方々。

  • Eugene Boruknovich氏 Global Head of Digitlal Health & Innovation, Bayer
  • 玉塚元一氏 ハーツユナイテッドグループ 代表取締役社長 CEO
  • Rubin Farmanfarmaian 氏 The Patient as CEO 著者
  • 湯浅知之氏 リヴァンプ 代表取締役社長 CEO
  • 宮田拓弥氏 スクラムベンチャーズ 創業者 / ジェネラルパートナー
  • 堀新一郎氏 YJ キャピタル 代表取締役
  • 田中聡氏 日本生命 取締役執行役員
  • 矢作友一氏 インテージグループ アスクレップ 代表取締役社長
  • 石見陽氏 メドピア代表取締役社長 CEO(医師・医学博士)

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【最優秀賞】および【LINK-J 賞受賞】mikoto by MICOTO テクノロジー

副賞:賞金100万円、12th Health 2.0 Annual Conference(2018年9月シリコンバレー開催)への2名参加
副賞:日本橋シェアオフィス利用権、LINK-J 会員権1年分

MICOTO テクノロジーはロボット開発を主業とする鳥取の企業で、研修医向けのシミュレータロボット「mikoto」を開発している。救急搬送された患者などへの措置として行う、気道確保のための経鼻経口気管挿管について、研修医がロボットを使って手順のシミュレーションを行うことができる。

MICOTO テクノロジーでは、医師向けに気管挿管以外にも身体のさまざまなな部位のシミュレーションロボットを開発しており、鳥取大学医学部附属病院とのパートナーシップにより、医師らのフィードバックを受けて、製品開発につなげる努力を続けている。

スマートヒール by Japan Healthcare

扁平足や O 脚など姿勢の悪い歩行は将来、膝や腰の痛みなど身体の不具合を誘発する。これらの患者の治療にかかる医療費は、全国で年間合計1兆円にも上るとされる。千葉大学大学院の医師でもある岡部大地氏はジャパンヘルスケアを設立、ヒールに3軸センサーを装着した IoT デバイスと、アプリを経由して歩行姿勢3軸+歩くリズムを記録できるシステム「スマートヒール」を開発している。

姿勢の悪い歩行が改善されにくいのは、本人は自分の歩き方が見えないためだと岡部氏は指摘、スマートヒールはこれを可視化し、15人にテストを実施したところ3分の2の人々が美しい姿勢で歩けるようになったという。残る3分の1の対象者についても、より緻密なフィードバックを与えることで姿勢が改善できる可能性があるという。2018年10月の発売を目指し、一般向け予価は15,000円程度。

OTON GLASS by OTON GLASS

OTON GLASS については THE BRIDGE でも以前取り上げているが、もともとは失読症(またはディスレクシア)の人々のために、文字を音声化するメガネ型の IoT デバイスとしてスタートした。現在は、視力障害者や文字が読めない非日本語スピーカーのための翻訳ツールとしてのユースケースでも展開している。

すでに受注生産を始めており、外部装置を使わなくてもメガネ型デバイス単体でインターネットにつながる次世代モデルを開発中。ユーザコミュニティを形成し、それをもとにサプライチェーンを形成。保険適用により、患者1割負担で OTON GLASS を購入できる環境構築を目指す。

ユーザが何を見たかをクラウド上に記録できることから、将来的にはデータプライバシーを考慮しつつ、ライフログを活用したサービスの提供を検討している。OTON VISION(画像音声化技術)、OTON NOTE(デジタルノート機能)、OTON MAP(綿密なマップデータの提供)など提供サービスを拡充し、2020年には累積3万台をユーザに届けたいとしている。

BASE PASTA by ベースフード

ベースフードが開発する BASE PASTA は、健康に対するリテラシーの高い人が増える中、どんな栄養素をどう摂っていい人かわからない向けに、これ一食だけで31種の栄養素が摂取できる完全栄養食だ。定期購読型の D2C モデルによる販売のほか、一部レストランなどでも食材として利用されている。

今年から来年にかけて、アメリカに進出を始める。同社では日本と同じく、Amazon や定期購買による D2C(direct to consumer)を主な流通チャネルとして想定している。市場ニーズを意識してグルテンフリー版などの開発も進めているそうだ。

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言語訓練用アプリ by ロボキュア

ロボキュアは、失語症など言語障害を持つ人を対象に、ロボットを使った言語訓練用アプリを開発している。千葉大学大学院の黒岩眞吾研究室の協力を得、また君津中央病院では臨床試験のほか、言語療法士や患者からの要望調査なども実施。人を相手に訓練する場合と違い、相手に気を使わずに、何度でも繰り返し訓練ができる点が特徴。また、ロボット(アプリ)が発話訓練者の音声を認識するので、間違いを指摘することもできる。

現在では、アプリと発話訓練者のやりとりを言語療法士が遠隔管理できるしくみを備えており、失語症患者50万人だけでなく、このしくみの対象となりうる国内200万人をターゲットに、タブレットアプリと有資格者による訓練支援をセットにして、来春からサービスを提供する計画だ。

2018年には訓練機能の追加、ログ解析、介護予防分野への適用などに注力、2019年には保険適用や海外展開を視野に入れている。

Gonio VR by Gonio VR

Gonio VR はデンマークを拠点とするスタートアップで、VR を使った医療セラピーの改善ソリューションを提供している。治療に特化したテイラーメイドの VR 体験を開発しており、2017年第1四半期に VR アプリ配信プラットフォーム Steam 上に公開された

すでに98の自治体や100以上のクリニックに導入。今年第3四半期には、デンマークのリハビリセンターに初めて導入される VR テクノロジーとなった。リハビリテーションの効率化と、病院にとってはリハビリに関わるドキュメンテーション作成の省力化を支援する。

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Health 2.0 Asia-Japan 2016で注目を集めたスタートアップ、2016年のヘルステック・シーンの動き【ゲスト寄稿】

本稿は、THE BRIDGE 英語版で翻訳・校正などを担当する “Tex” Pomeroy 氏の寄稿を翻訳したものです。オリジナルはこちら。 看護婦だった今は亡き祖母が、かつてこう言っていたものだ。 健康なくして、富も名声も意味が無い。 全くその通りだが、鳥インフルエンザに見舞われながらも酉年に入り、祖母の教えを新たに心に思うところだ。昨年末、アジアを視野に入れた健康と医療に特化したカンファレンス…

本稿は、THE BRIDGE 英語版で翻訳・校正などを担当する “Tex” Pomeroy 氏の寄稿を翻訳したものです。オリジナルはこちら


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Image Credit: Health2.0 Asia-Japan

看護婦だった今は亡き祖母が、かつてこう言っていたものだ。

健康なくして、富も名声も意味が無い。

全くその通りだが、鳥インフルエンザに見舞われながらも酉年に入り、祖母の教えを新たに心に思うところだ。昨年末、アジアを視野に入れた健康と医療に特化したカンファレンスが開催され、日常生活における健康の精査の必要性を喚起した。アメリカで始まった Health 2.0 が、メドピア(東証:6095)の協力で初めて東京に来たのは2015年11月のことだが、名実ともに2回目となった「2.0」は以前の虎ノ門ヒルズではなく東京の2つの場所で開催され、前回に増しての努力が見受けられた。

スタートアップを支援する事例としては、Health 2.0 という概念の範疇で、他にもグリーベンチャーズが主催する Digital Health Meetups などの活動が存在する。日本のメドピアは Health 2.0 の東京チャプターを実施するという、素晴らしい仕事を実施してきた。同社はまた、医療業界における人工知能の役割を明らかにすべく、2016年9月に日本橋ライフサイエンスビルでセミナーを開催している。そこには、Abeja のようなスタートアップから多国籍企業の IBM のようなメジャープレーヤーのほか、日本各地や東京じゅうの多くの医療学校までもが参加していた。

東京で2回目となる Health2.0 Asia-Japan 2016 が12月6日〜7日、東京で開催された。シリコンバレーで始まった Health 2.0 は、日本を経由して健康やヘルスケア関連分野に起きている最先端のイノベーションをアジアにもたらした。このカンファレンスでは、スタートアップピッチの開催は言うまでもなく、世界中のテックが紹介された。ヘルスケア・テクノロジーに関わる人々に向けたプレゼンテーションやネットワーキングに加え、ロボットのライブデモや、起業、ブレイクアウトセッションが取り上げられた。今年のテーマは「The Future is Here – Most Advanced Technologies and Healthcare(未来はここにある——最先端のテクノロジーとヘルスケア)」だった。

1日目のセッションは、スタートアップの集積地である渋谷のヒカリエで開催された。ヒカリエには、デジタルヘルス情報を提供してきた DeNA が入居しており、DeNA の創業者兼現会長の南場智子氏は、病に伏した夫を看病するために CEO の職を辞めたことで知られる。残念なことに、Health 2.0 が東京で開催される直前、DeNA 現在の CEO 守安功氏のもとで作られた、ウェルネスに特化したキュレーションサイトの内容が疑わしいことが明らかになった。幸運にも、2日目のセッションは、製薬会社や医療機器メーカーが軒を連ねる日本橋で開催された。

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審査員の皆さん
Image credit: “Tex” Pomeroy

本題に戻ると、スタートアップ・ピッチでは、日本国外からの4チームを含む11チームが登壇した(2015年の登壇チームの2倍以上だ)。MSD 経営戦略部門 ビジネス・イノベーション・グループ ディレクターの樋渡勝彦氏、、スタンフォード大学医学部博士の池野文昭氏、ベンチャーキャピタリストの孫泰蔵氏の3人が審査員を務めた。審査の結果、優勝はカリフォルニアを拠点とする Neuroon が優勝した。Newroon は照明で人々の睡眠を制御するシステムを提供しており、飛行機で世界各地を飛び回っている人や睡眠障害を抱えている人に役に立つテクノロジーだ。Neuroon には、今年アメリカ西海岸で開催される Health 2.0 のアメリカチャプターへの無料参加権が贈呈された。

興味深いことに、Neuroon のアイマスクは、日本国内ではメガネショップの JINS を展開する JIN で購入することができる(ちなみに、Neuroon のプレゼンターは、JINS のメガネをかけていた)。Neuroon と JIN のマーケティング連携は、他のスタートアップにとっても参考になるだろう。さらに、睡眠障害についての関心を刺激するものとしては、筑波大学に本部を置く国際統合睡眠医科学研究機構(IIIS)が12月12日、和光純薬のワークショップとの併催で、東京で第5回年次シンポジウムを開いた。読者の利益のために言えば、このイベントでは、理化学研究所脳科学総合研究センター(理研BSI)で神経回路機能を専門とする岡本仁博士が基調講演を務めた。

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Neuroon の Ryan Goh 氏
Image credit: “Tex” Pomeroy

Health 2.0 では、Neuroon の Ryan Goh 氏が最初にピッチを行なった。海外からのスタートアップで他にピッチしたのは、Medable の Kevin Chung 氏、GraftWorx の David Kuraguntia 氏、gripAble の Paul Rinne 氏だ。日本からは、医師紹介情報サービスや、メラノーマを誘発する紫外線の過剰照射をチェックするプロダクトなどが披露され、ピッチの前日には渋谷でライブデモが行われた。聴衆の中には、大手医療企業だけでなく、ヘルスケア業界に焦点を置く小規模ベンチャーらも参加していて、多方面から関心を呼んでいることを物語っていた。

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Medable の Kevin Chung 氏
Image credit: “Tex” Pomeroy
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GraftWorx の David Kuraguntia 氏
Image credit: “Tex” POmeroy
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gripAble の Paul Rinne 氏
Image credit: “Tex” Pomeroy

筆者が興味をそそられたのは、Axon や Cortex という魅惑的な名前のついた、Medable のヘルスケアアプリ向け開発支援製品群だ。そのほか、患者が抱えている問題を快方に向かわせてくれる gripAble の Rinne 氏は、イギリス人によく見られるように唇を固く引き締めて展示に臨んでいた(おそらく、Rinne 氏はドバイでスーツケースを無くしたので、東京の寒さにも関わらず T シャツを着てピッチしていたためか……失敬)。このセッションのトップバッターだった GraftWorx は、日本の医療シーンですぐにも採用されるよう、医院や病院での利用に最適化されたデザインのウエアラブルを紹介した。

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登壇したファイナリスト・チームら(中央は、Newroon の Ryan Goh 氏)
Image Credit: Health2.0 Asia-Japan

さらに特筆すべきは、Health 2.0 Asia-Japan の日本側オーガナイザーは、2015年の Health 2.0 が開催された虎ノ門会場からすぐ近くにある慈恵医科大学が協力していて(病院に詳しいアイ・メディックスの市田会長によれば、慈恵医科大学の病院は、日本のアスリートの間ではケガの手当に定評がある)、今回のイベント活動を見事にコーディネートしていた点だ。2017年の Health 2.0 Asia-Japan のスポンサーやボランティア募集に加え、ビジネス面での機会可能性についてもスポットを当てたい。スポンサーを務めた FRONTEO ヘルスケアの存在が、Health 2.0 という点で特許の重要性に気づかせてくれたからだ。同社は、特許データビジネスの雄として知られている。

他の先進国と異なり、日本の医療システムでは医療行為の特許取得が許されていないが、最近になって、サプリメント食品の特許には道が開かれた。東北でイノベーティブな進展を進める企業など、大学の支援を受けたスタートアップの最前線で注目すべき動きが生じている。筆者が最近気づいたので言えば、飲み会の後に来る二日酔いの「解毒薬」だ。このような消化剤を必要とするような〝災害〟は、一部のネイティブアメリカンには適用されないかもしれない。しかし、もし真面目に科学をとらえ適切なアプローチをとるなら、そのようなきっかけは、スタートアップにとってうまく作用するようだ。

世界のヘルスケアシステムは急速に変化しているが、日本でまだ電子カルテを使う医者がほとんどいないことを考えれば、医療業界を変化させる上で日本には大きな可能性がある。この国には将来取り除かれるかもしれない、〝医療版の Uber 規制〟が依然として多く存在するのだ。日本の技術基盤は先進的であるにもかからず、患者はデジタルヘルスについて情報を十分に知らされていない。

日本は、世界最大の国家医療制度を失うかもしれない前例の無い憂鬱に直面しており、前向きなパラダイムシフトを導入する上で、 Health 2.0 テックがターゲットとする最良の地と言えるだろう。

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医療カンファレンス「Health 2.0」スタートアップピッチの優勝者は、トイレに装着する小型デバイス「SYMAX」

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2007年にその初イベントが米国カリフォルニア州で開催された「Health 2.0」。医療・ヘルスケア分野における最新テクノロジーとそれを活用した先進事例を紹介するグローバルカンファレンスです。そんなHealth 2.0が、11月4日と5日の2日間にわたって日本で初めて開催されています。 初日に行われたAfternoon Pitch Competitionでは、それぞれの形でヘルスケア領域に挑戦す…

Health 2.0 Asiaのピッチコンペティションで優勝した「 SYMAX」
Health 2.0 Asiaのピッチコンペティションで優勝した「 SYMAX」

2007年にその初イベントが米国カリフォルニア州で開催された「Health 2.0」。医療・ヘルスケア分野における最新テクノロジーとそれを活用した先進事例を紹介するグローバルカンファレンスです。そんなHealth 2.0が、11月4日と5日の2日間にわたって日本で初めて開催されています。

初日に行われたAfternoon Pitch Competitionでは、それぞれの形でヘルスケア領域に挑戦する5社のスタートアップが登場。モデレーターと兼審査員を勤めたのは、ドレイパーネクサスベンチャーズマネージングディレクターである倉林陽さん。審査員は、ドコモ・ヘルスケアの取締役である佐近康隆さん、アーキタイプのプリンシパル 福井俊平さん、そしてグロービス・キャピタル・パートナーズのシニア・アソシエイト 福島智史さんの3名です。

厳選な審査の結果、見事優勝したのは「SYMAX(サイマックス)」。トイレに小型デバイスを装着するだけで、利用者の健康状態を分析するもの。以降、スタートアップ5社によるピッチ内容の概要をお届けします。

名医の検索および提案サービス「クリンタル」

Clintal

本日、本媒体で取材記事をお届けした「Clintal(クリンタル)」からは、医師で代表取締役である杉田玲夢さんが登壇。100万人を超える日本の病院難民の数。医師の説明や治療方針に不満や不安を抱える患者が多く存在します。クリンタルは、そうした患者に対してその疾患や病状に応じて最適な名医を探せるサイト。患者は、診療科と疾患を選択するだけで、名医のリストを見ることができます。

病院単位で探すのではなく医師単位で探せること、名医の選定に定性と定量データの両方を用いていること、また医師のアクセシビリティも評価している点が特徴です。名医の提案サービスにおいてはWebフォームから情報を入力することで、名医を1週間ほどで提案。日本の社会問題になりつつある医療費の増加や医療の質向上といった課題に貢献し、今後はアジア展開も視野に入れています。

審査員からは、医師による実績開示に対する抵抗を懸念する質問がありましたが、これまでのところ医師からは高評価で、むしろ積極的に情報の精度向上に協力する姿勢が多いとのこと。クリンタルでには現時点で500人の名医が掲載されていますが、1年以内に、日本全国25万人の医師トップ3〜4%の掲載を目指します。

普段通り生活するだけで健康状態がわかる「SYMAX(サイマックス)」

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サイマックスからは、代表取締役の鶴岡マリアさんが登場。サイマックスは、洋式トイレの便器の中に取り付けることで尿を分析し、健康状態を分析してくれるもの。まだ自覚症状がないような状態から、糖尿病や痛風など生活習慣病などを早期発見することができます。独自アルゴリズムによる解析の正確性は99%だと言います。

従来の類似サービスには数千万円を下らないものも。それらに比べて、サイマックスは発見できる疾患数、また安価で継続して使える点が優れています。同社によると、生活習慣病の86%を発見できるとのこと。

個人の利用者も月額980円で使うことができますが、企業などがビルや施設などに導入することで、社員の健康や医療費の適正化などに活用することが可能に。すでに高級志向の介護施設や大手デベロッパーなどが関心を示しており、最初の設備投資は数百万円規模になる見込み。また、収集したバイタルデータを用いて、健保や企業に対するデータマーケティング事業の提供も考えています。

3Dプリンターとオープンソースで障害を個性にする節電義手「handiii(ハンディ)」

handiii

exiiiからは、代表取締役の近藤玄大さんが登場。同社は、3Dプリンティングの技術とオープンソースの公開によって、新しい節電義手の形を模索しています。手のない人が、残された筋肉を直感的に操作することができる節電義手ですが、半世紀以上、その機能には変化が見られません。数千人という市場規模の少なさ、また義手をはめる手の大きさや形などに応じたカスタマイズの必要性がハードルになってきました。

こうした理由から、これまでの義手の価格は一本150万円ほど。あまりにも高額なため、義手の普及率は0.7%に留まります。これを、3Dプリンティングとオープンソースという2つのテクノロジーによって、価格とデザインともに義手を気軽な選択肢にする試みがhandiiiです。義手一本の制作費は約3万円で、障害を隠さずに個性として表現できる世界が近づいています。また、節電義手の周辺でコミュニティが形成されており、世界中でさまざまなカスタマイズが実現しています。

カスタマイズした栄養ドリンクを調合する「healthServer」

healthServer

健康であり続けるためのサプリメントドリンクを調合する「healthServer」を開発するドリコス。ステージに上がったのは、CEOである竹 康宏さん。healthServerは、忙しい現代人が健康であるために取り入れられる究極に簡単なソリューションです。

各種ウェアラブルデバイスと連携することで、利用者の身体に必要なサプリメントを分析。すると、サーバーがその内容に応じて必要なドリンクを調合してくれます。ウェアラブルを使っていなくても、サーバのマシン本体に触れることで生体信号が読み取られ、個々人に合った栄養ドリンクが抽出されるとのこと。

現在、日本人の38%が何かしらのサプリを摂取しており、市場は1.5兆円規模に及びます。初期段階では、健康意識の高いスポーツジムに通っている人をターゲットに見据え、すでに来年春のスポーツジムへの設置に向けて動いています。healthServerのサプリはカートリッジ交換によって補充する仕組みであるため、継続的な売り上げが見込めます。

スマホに指をかざすだけでストレスレベルをチェックできる「COCOLOLO」

WINfrotiern

WINフロンティアの代表取締役である板生研一さんがピッチしたストレスチェックアプリ「COCOLOLO」。リリースから7ヶ月が経った現在のダウンロード数は30万を突破しています。

日本には、その事業所の70%以上にメンタルに悩む人がいます。ウェアラブルを用いることなく、COCOLOLOなら身近なスマホだけで心の状態を可視化することが可能。スマホのカメラ部分に指をあてると、血液の脈拍を測定し、ストレスやリラックス数値を導きます。結果は、8タイプの気持ちとなって表れ、測定精度の信頼性は80%ほど。

自分のストレスレベルを知った後は、そのストレスの状態に応じて音楽やスパクーポンなどをレコメンドする機能も。また、今年12月から企業へのストレスチェックが義務化されることを受けて、法人向けソリューションも提供していくとのことです。
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今回ピッチした5社を見てもわかるように、医療やヘルスケアと一言で言っても、その形やアプローチ、ターゲットなどはさまざまです。今後、テクノロジーやデバイスの進化などによって嫌でもデータは収集されていきます。肝心なのは、それを人々の課題を解決するソリューションにどう活かすのか。今後も、ますます注目が集まるヘルスケア領域の国内外のサービスを追いかけていきたいと思います。

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