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Nurxが「偏頭痛」に特化した遠隔医療プラン、コロナ禍でニーズ急増が背景

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ピックアップ:Nurx sets sights on the migraine and headache space ニュースサマリー:女性向けにデジタルヘルスケアを遠隔で提供するNurxは8月11日、シリーズCにて2,250万ドルの資金調達を実施したと発表している。同ラウンドには、Trustbridge, Comcast Ventures, Wittington Venturesが新規で参加し、…

画像出典:Nurx 公式ウェブサイト

ピックアップ:Nurx sets sights on the migraine and headache space

ニュースサマリー:女性向けにデジタルヘルスケアを遠隔で提供するNurxは8月11日、シリーズCにて2,250万ドルの資金調達を実施したと発表している。同ラウンドには、Trustbridge, Comcast Ventures, Wittington Venturesが新規で参加し、既存投資家のUnion Square Ventures、Kleiner Perkins Digital Growth Fundも同ラウンドに参加している。これにより、同社の総資金調達額は1億1,300万ドルとなった。

重要なポイント:Nurxは9月1日、偏頭痛に特化して遠隔で治療できる新プランの提供を開始した。患者は年会費60ドルで、オンラインでの医療相談やビデオ検査、パーソナライズ化された治療計画と毎日のトラッカー、薬の宅配などのサービスを受けることができる。

詳細な情報:Nurxは2015年創業。女性向けにオンラインでのヘルスケアを提供している。2020年上半期には、COVID-19の影響により遠隔医療のニーズが急増し、避妊薬処方の新規リクエストが75%増加するなど、合計25万件以上の新規患者が同社サービスを利用したという。

  • 今回発表された偏頭痛の新プラン提供背景には、女性はホルモンの影響で男性の3倍の確率で偏頭痛を抱え、実際に米国の2,800万人以上の女性が偏頭痛に悩まされている現状などがある。
  • さらに、偏頭痛を抱えるNurxの患者を対象にした調査によると、2人に1人近くが頭痛の症状を医師に見捨てられたことがあると答え、4人に1人が友人や家族からのサポートを受けられなかった経験があるという。
  • Nurxの臨床アドバイザーで、米国頭痛学会の特別研究員でもあるCharisse Litchman博士は「遠隔医療は、頭痛に苦しみながらも物理的にケアを受けることができない人々や、過去に医療提供者から症状を否定されたと感じている人々に手を差し伸べるための解決策となる」と期待を寄せる。

背景:Migraine Buddyによる2020年4月の調査によると、偏頭痛を抱える人のうち84%が、パンデミックが偏頭痛の症状や治療計画に影響したと回答している。COVID-19の流行の中で、対面での受診が困難であること、薬局で薬を受け取る際の感染リスクへの不安、偏頭痛を誘因するストレスや不安のレベルが高くなっていることが背景にあると考えられる。

執筆:平理沙子(Risako Taira)/編集:増渕大志・岩切絹代

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「日記」で心の健康維持に注目、Silk + Sonderの方法

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ピックアップ:Silk and Sonder Lands $3.6M Seed For Monthly Women’s Mental Health Program ニュースサマリ:女性向けメンタルヘルス向上に特化したサブスク型の日記サービスSilk + Sonderは9月8日、シードラウンドで360万ドルの資金調達を公表した。リード投資家にはRedpoint Venturesが参加し、複数のエンジ…

画像出典:Silk + Sonder 公式ホームページ

ピックアップ:Silk and Sonder Lands $3.6M Seed For Monthly Women’s Mental Health Program

ニュースサマリ:女性向けメンタルヘルス向上に特化したサブスク型の日記サービスSilk + Sonderは9月8日、シードラウンドで360万ドルの資金調達を公表した。リード投資家にはRedpoint Venturesが参加し、複数のエンジェル投資家も同ラウンドに参加している。同社は2019年にRed Giraffe Advisors、122West Ventures、500 Startupsのプレシードラウンドを経て、今回のラウンドに至る。

詳細情報:同社はゴールドマン・サックスなどでソフトウェアエンジニアとプロダクトマネージャーを務めていた Meha Agrawal氏が2017年にサンフランシスコにて創業したスタートアップ。2019年には、ライフコーチのエクササイズや一日の気分や習慣をトラックできるページが入った日記が毎月届く、月額19.95ドルのサブスクリプションサービスの提供を開始した。

画像出典:Silk + Sonder 公式ホームページ
  • いわゆる日記による内省を通じて心のもやもやを解消するアプローチ。毎月に1回日記が定期的に郵送されることで習慣化しやすくしたのが特徴。また、サブスク購入者は、P2P型でのサポートや独自のバーチャルコンテンツを提供するFacebook上のプライベートコミュニティーにもアクセスすることが可能となる。
  • 女性のセルフケアとメンタルウェルネス領域で起業に至った理由として、Agrawal氏は2019年9月の取材で自身が「本当のセルフケアは心から始まるということを実感したから」と述べている。また同インタビューで「自己の振り返りとコミュニティでのつながり」がヘルスケアに重要であると指摘している。

背景:Crunchbaseの取材によると、米国ではすでに全50州の数万人以上が Silk + Sonder を利用しており、顧客は「世代、民族、社会経済レベルにかかわらない」ことが明らかとなっている。また、CB Insightsが明らかにしたデータによれば同分野におけるスタートアップの資金調達額は2020年第1四半期で5億7600万ドルを突破していとしている。これは、昨年の同時期と比較しても400%増となっており、アフターコロナ文脈でも特に注目される市場だと言える。

執筆:平理沙子(Risako Taira)/編集:増渕大志・岩切絹代

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女性特有の疾患を救え、PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)特化の「PERLA Health」

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ピックアップ:FemBeat: Perla Health Wants To Demystify Polycystic Ovary Syndrome (PCOS), Which Affects 1 In 10 Women 重要なポイント:ロンドンを拠点とするPERLA Healthは9月29日、PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)を抱える女性に向けたサービスの正式リリースを発表した。例年9月に行われるPC…

画像出典:PERLA Health

ピックアップ:FemBeat: Perla Health Wants To Demystify Polycystic Ovary Syndrome (PCOS), Which Affects 1 In 10 Women

重要なポイント:ロンドンを拠点とするPERLA Healthは9月29日、PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)を抱える女性に向けたサービスの正式リリースを発表した。例年9月に行われるPCOS啓発月間が開催されたタイミングでの発表となった。PERLA Healthの会員になることで、電子書籍、チェックリストなどのリソース活用が可能となり、イベント、カンファレンス、コミュニティーなどの参加、PCOS専門家への相談といったサービスを受けることができる。

詳細情報:PERLA Healthは、フェムテック関連のニュースやデータベースを公開するプラットフォームFemtech Insiderの創設者でもあるKathrin Folkendt氏が発案。医薬品業界での専門知識を持ち、武田薬品工業に勤務するJanine Kopp氏を共同経営者として迎えサービスをスタートした。Folkendt氏自身も何年も症状に悩まされた後、30代になってからPCOSと診断されたという。Forbesのインタビューでは「私自身がPCOSを患っているので、この会社の使命は私の本望です」と創業の経緯を明かしている。

  • PCOSは不規則な生理、過剰なアンドロゲン分泌による体毛やにきびの変化、排卵障害など患者それぞれに違う症状を引き起こすため、誤情報も多いとFolkendt氏は指摘する。また、もうひとつの問題には、現段階では確固たる治療法が存在しないにもかかわらずサプリメントなどを販売することで、PCOSで苦しむ女性を騙す悪質なサービスが点在しているという。
  • こうした問題に対し、共同経営者のKopp氏はForbesのインタビューで「私たちは、エビデンスに基づき、研究に裏打ちされた情報を発信する場を構築する」と語っている。また、同社オウンドメディアで2020年6月に公開されたFolkendt氏のブログでは、今後は一流の医療と診断を効率的かつ手頃な価格で提供できるようなプラットフォームの構築を計画していることを明かしている。

背景:フェムテック分野は2025年までに500億ドル規模の市場になると予想されているが、PCOSや更年期障害、子宮内膜症など、女性の健康に関わる疾患についての分野への投資はこれまでは後回しにされてきた。しかし、2020年8月にPitchBookが公開したフェムテックに関する四半期報告書では、子宮内膜症の世界市場は23億ドルに達すると予想されており、10人に1人の女性が罹患する子宮内膜症はPCOSと同様に巨大な投資機会としてスポットライトを当てている。

執筆:平理沙子(Risako Taira)/編集:岩切絹代

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Amazon新デバイス発表:高齢者を見守る「Care Hub」を公開(2/2)

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(前回からのつづき)Care Hub以外にもAmazonは本日(9月24日)、クラウドゲーミングサービスの「Luna」、球体の形をした「Echo Dot」、ホームセキュリティドローンの「Ring」、音声コマンドで動画再生時にユーザーの声を追いかけてスクリーンが回転する250ドルのスマートディスプレイ「Echo Show 10」も発表している。本日開催された非公開バーチャルイベントにおいてデモが行わ…

(前回からのつづき)Care Hub以外にもAmazonは本日(9月24日)、クラウドゲーミングサービスの「Luna」、球体の形をした「Echo Dot」、ホームセキュリティドローンの「Ring」、音声コマンドで動画再生時にユーザーの声を追いかけてスクリーンが回転する250ドルのスマートディスプレイ「Echo Show 10」も発表している。本日開催された非公開バーチャルイベントにおいてデモが行われ、このスマートディスプレイは今はなきホームロボットの「Jibo」に似た動きを見せた。スマートディスプレイをより快適なビデオ通話画面へと移行させる動きはFacebookの「Portal」とも競合している。

近年、Amazonはますます健康関連のプロダクトとサービスへと向かって進んでいる。今月Amazonが発表したウェアラブルデバイスの「Halo」は、睡眠、活動量、体脂肪率、音声を分析することによってユーザーのメンタルやエネルギーの状態を予測してくれる有料のフィットネストラッキングサービスだ。これに先立ちAmazonは医療記録に用いられる自然言語処理(NLP)の「AWS Comprehend」をローンチし、2018年には処方薬のデリバリ企業PillPackを買収している

この他にも大手テクノロジー企業による健康産業への進出が見られている。今月初めにAppleは、新型コロナウイルスの検出にも役立つ指標とされる血中酸素濃度を測定する機能を備えたApple Watchの新製品および、Apple Watchとスマートフォンを組み合わせて有料のエクササイズサービスを提供する「Fitness+」を発表した。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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Amazon新デバイス発表:高齢者を見守る「Care Hub」を公開(1/2)

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Amazonは9月24日、家族や友人の助けを必要としつつ一人暮らしする人々を見守ることのできる「Care Hub」を発表した。Care HubはEchoスピーカーなどのAlexa対応デバイスを介して動作する。たとえばデバイスに「Alexa、助けを呼んで」と話しかけると自動的に緊急連絡先へ電話をかけてくれる。Echoで911に電話することはできないが、Care Hubは遠距離音声認識で声を拾えるかぎ…

Amazonは9月24日、家族や友人の助けを必要としつつ一人暮らしする人々を見守ることのできる「Care Hub」を発表した。Care HubはEchoスピーカーなどのAlexa対応デバイスを介して動作する。たとえばデバイスに「Alexa、助けを呼んで」と話しかけると自動的に緊急連絡先へ電話をかけてくれる。Echoで911に電話することはできないが、Care Hubは遠距離音声認識で声を拾えるかぎり、指定された連絡先へ電話をかけてくれる。

またAlexaは、見守り対象の人の活動状況を家族や友人がスマートフォンで確認することもできる。AmazonのVPであるDaniel Rausch氏によると、1日の中で決められた時間までにEchoとのやりとりがない場合、連絡先へ自動通知するように設定することができるという。

黎明期にはスマートスピーカーの一般的な用途は天気予報や音楽を流すことだったが、時間がたつにつれて高齢者の自宅にホームセキュリティやスマートスピーカーを設置する人々が増えてきている。もしも万が一、倒れて起き上がれなくなってしまった場合、年齢とともに致命的な事故となる恐れは高くなるが、Alexaの遠距離音声認識があれば友人や隣人を呼ぶことができる。(次につづく)

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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JD Health(京東健康)、早ければ月内にも香港でIPO申請か

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中国のオンライン小売大手 JD.com(京東)のヘルスケア部門 JD Health(京東健康)が、早ければ今月中にも香港で新規株式公開を申請する準備をしていると Bloomberg が17日報じた。 重要視すべき理由:JD Health は、株式公開に向けて準備を進める数々の JD.com 関連会社の中で最も直近のものだ。新型コロナウイルスの感染拡大でオンラインヘルスケア業界への投資家の関心が高ま…

JD Health(京東健康)CEO Lijun Xin(辛利軍)氏
Image credit: JD Health(京東健康)

中国のオンライン小売大手 JD.com(京東)のヘルスケア部門 JD Health(京東健康)が、早ければ今月中にも香港で新規株式公開を申請する準備をしていると Bloomberg が17日報じた。

重要視すべき理由:JD Health は、株式公開に向けて準備を進める数々の JD.com 関連会社の中で最も直近のものだ。新型コロナウイルスの感染拡大でオンラインヘルスケア業界への投資家の関心が高まる中、今回、JD Health 上場の可能性が浮上した。

  • 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、オンラインヘルスケアとバイオテクノロジーにおける投資や M&A が強化されつつある。香港では今年上半期に39億米ドル相当のヘルスケア関連の取引があった。Mergermarket のデータによると、2019年通年の取引は38億米ドルだった。
  • JD Health は、Alibaba の支援を受けた Ali Health(阿里健康)、Tencent(騰訊)の支援を受けた「WeDoctor(微医)」、Ping An(平安)の「GoodDoctor(好医生)」など複数の企業と競合している。
TechNode の記者が、JD Health の医師から特定疾患の治療のため病院へ行くことをアドバイスされている様子。
Image credit: TechNode/Coco Gao

詳細情報:非公開情報であるとの理由から、名前を明らかにしなかった人物の話を引用した Bloomberg の報道によれば、JD Health は、香港での IPO で少なくとも10億米ドルを調達する可能性があるという。

  • 情報筋によると、IPOの規模とスケジュールはまだ変更される可能性がある。
  • 今回の IPO のニュースがもたらされるわずか1ヶ月前、同社は Hillhouse Capital(高瓴資本)からシリーズ B ラウンドで8億3,000万ドルの調達完了を発表した。
  • JD.com の担当者は18日、TechNode(動点科技)へのコメントを拒否した。

背景:今年に入ってから、JD.com のいくつかの事業部門が上場したり、IPO の準備をしたりしている。その中には、香港での JD.com の二次上場、6月の フードデリバリ事業「Dada-JD Daojia(達達-京東到家)」のアメリカでの IPO、7月のフィンテック事業「JD Digits(京東数字科技)」の上海 STAR Market(科創板)への上場などがある。

  • JD Health は、ビタミンやサプリメント、医薬品、漢方薬などの医薬品を販売する EC プラットフォームとしてスタートした。
  • 同プラットフォームは2019年5月、親会社である JD.com から分社化された。国内トップの専門家を採用し、漢方薬、頭頸部医療、心臓病サービスセンターを立ち上げ、サービスを多様化させている。

【via TechNode】 @technodechina

【原文】

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パンデミックで激変する日本の医療、スタートアップはどう戦う?

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本稿は独立系ベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインが運営するサイト「GB Universe」に掲載された記事からの転載。Universe編集部と同社のInvestment Group、Principalの松尾壮昌氏、Directorの守口毅氏が共同執筆した。 パンデミックの影響もあり、医療分野のデジタル化が急務となっている。 Fierce Healthcareによると、2020年第1四半期にお…

Photo by Pixabay from Pexels

本稿は独立系ベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインが運営するサイト「GB Universe」に掲載された記事からの転載。Universe編集部と同社のInvestment Group、Principalの松尾壮昌氏、Directorの守口毅氏が共同執筆した。

パンデミックの影響もあり、医療分野のデジタル化が急務となっている。

Fierce Healthcareによると、2020年第1四半期における遠隔医療系スタートアップの資金調達額は7億8800万ドルで、実に前年同時期の2億2,000万ドルから3倍のジャンプアップを果たした。さらにデジタルヘルス全体の資金調達額でみると、過去最高の36億ドル(2020年第1四半期)をマークしている。

遠隔医療以外でデジタルヘルス分野の調達額トップ領域はデータ分析(5億7,300万ドル)、臨床意思決定支援(4億4,600万ドル)、mHealthアプリ(3億6,500万ドル)、ヘルスケア予約(3億600万ドル)、ウェアラブルセンサー(2億8,600万ドル)と続く(全て2020年第1四半期のデータ)。これらの領域が次のヘルスケア分野を牽引するとみられる。

さて、Accentureでは感染症拡大が医療分野にもたらした変化として次の5つを挙げた

  1. モバイルサービス向けのバーチャル労働力の組成
  2. バーチャルケア・在宅ケア・遠隔医療の3つのソリューション加速
  3. 福利厚生拡大と規制緩和促進
  4. 必須供給品の迅速な手配
  5. 手動コールセンターに代表される労働力の自動化と戦略的人員配置

バーチャルケアは、認知行動療法に基づくメンタルケアサービスを提供する「Big Health」が当てはまるだろう。在宅ケア分野では慢性的な筋骨格系疾患に特化したサービス「Hinge Health」が挙げられる。自宅で専用ベルトでトレーニングをさせながら、チャットベースの相談にも乗ってくれる。

遠隔医療「ならでは」の体験を作れ

では、遠隔医療分野はどのような状況だろうか。注目が集まっているのが動画診察などの「リアルタイム同期性」を持つ領域だ(非同期性のものはメール診察など)。

例えば今年7月に7,500万ドルの調達を果たした「Doctor On Demand」はこの領域で有名だ。同社はサンフランシスコを拠点に、医療従事者と患者をマッチングさせ、オンデマンド形式の診察サービスを提供する。現在は9800万人以上の生活をカバーしているという

また、最近では遠隔医療と小売の分野が融合し始めている。男性向けヘルスケア商品を扱う「Hims」がそれだ。同社は男性の脱毛薬や精力薬までをD2Cの業態で販売。遠隔医療による医師によるオンライン診察も受け付けており、自宅にいながらにして安心して処方箋を出してもらえる体験を提供する。

彼らの体験で重要なのがプライバシーの扱いだ。身体的なコンプレックスに関係しているからこそ、顧客体験は単に医療品購入では終わらない。専門医によるアドバイスと処方箋を通じたフォローアップまで提供することで顧客満足度を高め、成長してきた。7月には上場を目指しているという報道も出ている注目株だ

つまり、遠隔医療はコスト削減だけでなく顧客満足度を最大化させる、カスタマージャーニー上でも重要な要素なのである。今後、ヘルスケア用品を扱う小売ブランドは医療業界のオンライン化に伴い、Himsのような総合的なケアサービスを開発するまでに至るだろう。

遠隔医療におけるAI活用法

Accentureの別レポートではAIを医療トレンドの引き合いに出している。AIも遠隔医療分野には欠かせない要素だ。特定の疾患関連情報の内、適切なものをフィードバックしてくれる「キュレーター」であり、医師に寄り添って最善の治療法を患者に提案してくれる「アドバイザー」にもなり得ると指摘する。

例えばAIを活用したプライマリーケアコンサルタント「K Health」では、膨大な医療論文データが組み込まれており、簡単なQ&Aの回答から患者にとって適切な治療法を提案してくれる。月額9ドルのVIPプランでは、実際に医師による診察が入るが、事前にAIによる診察を経ているため基礎情報が揃っている形で通される。AIがスムーズに人力の遠隔医療チームへとバトンを引き継ぐ体制を構築している。

日本における遠隔医療の動きと課題

MEDLEYのオンライン診療システム「CLINICS」

ここまで米国における遠隔医療分野における最近の動きを紹介してきた。それでは国内ではどうなのであろうか。まず大きな動きとしては、日本政府は4月から初診対面診療の緩和を実施し、時限的ではあるものの、オンライン診療や服薬指導の幅を広げる動きを示している。

例えばグローバル・ブレインの出資先「MEDLEY」(2019年12月・東証マザーズ上場)は、2016年よりオンライン診療システム「CLINICS」を提供していたが、9月から調剤薬局向けオンライン服薬指導支援システム提供を開始する。スタートアップにも早速市場の動きが反映されている格好だ。

ただ、先行する米国とは大きく異なる部分がある。それが皆保険制度にまつわる「インセンティブ構造」の違いだ。米国では基本、医療費は自己負担が前提になるのでコストカットなどの課題が立てやすい。また、保険会社や政府、医療機関などステークホルダーが複数に渡ることで、医療ビジネスのバラエティが豊富になっている。

一方、医療費が皆保険によって安価に設定されている日本では、例えば予防医療などのテーマを立てても「医療機関に行けばよい」という力学が働き、成立しにくくなる。これは国内の医療系スタートアップを考える上で重要なポイントになる。

どこにペインがあるのか

では、そういった前提を踏まえた上で、どこにチャンスがあるのだろうか。「Bain & Company」ではアジアに住む患者のヘルスケアに対するニーズを紹介している。特徴的な意見を大きく3つ挙げる。

  1. パーソナライズ化した予防医療
  2. 病院での短い待ち時間
  3. 健康的なライフスタイルを送るためのインセンティブ付き保険

まず予防医療だ。医療費が高いから予防する、という課題設定が成立しにくいからこそ、違ったアプローチが必要になる。

例えばグローバル・ブレインの支援するPREVENTは、高血圧や糖尿病といった生活習慣病の再発防止・重症化予防を、ライフログのモニタリングおよび電話面談で実施している。特徴的なのは、彼らが健康保険組合と積極的に取り組みをしている、という点だ。従業員の健康維持、医療費の軽減を目的としている保険組合だからこその動機付けが発生するケースだろう。

次に遠隔医療の可能性だ。そもそもオンライン診療だけだと差別化がしづらいという課題がある。ただ医師と話せる場だけを用意するのであれば、先行優位のプラットフォームが勝つ可能性が高い。ということはやはり「Hims」のように、患者にとって対面通院に課題感のある領域で活躍するスタートアップが成長するのではないだろうか。

また、オンライン化が図られることで取得できるデータ量は確実に増える。これらのモニタリングデータは保険料適正化に繋がるはずだ。

地方の問題も大きい。患者が疾患を認識(Awareness)、通院・診断して、後日モニタリングする。ここまでの流れは基本的に全てオンラインで完結すると考えている。地方の病院が減ってくる中で、オンライン診療との組み合わせは大きな可能性を秘めていると言えよう。

ということで、考察してきたように日本の医療ビジネス環境には特有の課題もありつつも、投資目線で言えば今は大いに好機とみている。この領域に取り組むスタートアップと共に課題解決を目指したい。

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米従業員の8割が精神課題抱えるーーコロナ禍で拡大、遠隔メンタルヘルスケア「Lyra Health」

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ピックアップ:Lyra Health Hits $1.1 Billion Valuation, As Coronavirus Boosts Need For Teletherapy 重要なポイント:COVID-19を背景にLyra HealthとNational Alliance of Healthcare Purchaser Coalitionsが2020年7月に発表した最新の調査によると、米国…

画像出典:Lyra Health 公式ホームページ

ピックアップ:Lyra Health Hits $1.1 Billion Valuation, As Coronavirus Boosts Need For Teletherapy

重要なポイント:COVID-19を背景にLyra HealthとNational Alliance of Healthcare Purchaser Coalitionsが2020年7月に発表した最新の調査によると、米国の従業員の83%がメンタルヘルスの問題を抱えていることが明らかとなっている。

ニュースサマリ:従業員向けの遠隔メンタルヘルスケアサービスを提供するLyra Healthは、1億1,000万米ドルのシリーズDラウンドの調達を完了したことを2020年8月25日に発表した。今回の調達はAdditionが主導し、Adams Street Partners、Starbucksの元CEO、Howard Schultz氏、Casdin Capital、Glynn Capital、Greylock Partners、IVP、Meritech Capital Partners、Providence Ventures、Tenaya Capitalなどの既存の投資家が参加した。3月に完了した7,500万米ドルのシリーズCラウンドに続く調達となり、同社はこれまでに約2億7,500万米ドルを調達している。

詳細情報:Lyra Healthは2015年にカリフォルニア州にて設立。Facebookの元CFOであったDavid Ebersman氏が「人々が質の高いヘルスケアを迅速に見つけられるよう支援する」ことを目的に、共同設立者兼CEOとして創業した。

  • Lyraは企業の従業員と、セラピストやメンタルヘルスコーチなどをつなぐデジタルプラットフォームを提供している。契約企業の従業員は、1対1のビデオセッションや、認知行動療法(CBT)をベースとしたチャットエクササイズ、進捗状況の定期的なモニタリング等を遠隔で受けることができる。
画像出典:Lyra Health 公式ホームページ
  • 同社の臨床製品担当ディレクターであるAnita Lungu氏が率いたJournal of Medical Internet Researchで発表された研究によると、385人の患者を対象に5回のセッションを行った後、不安や抑うつ症状が減少したことが記録されている。さらに同研究においては、Lyraの遠隔療法モデルが標準的な治療より12~16週間早く結果を出す可能性があることも示唆しているという。
  • 8月25日発表の同社プレスリリースによると、これまでに約150万人の会員がいる同社ではCOVID-19以降80万人以上の新規会員が増加し、さらに2020年8月末までに累計100万回のセッション提供を突破する予定だという。
  • Forbesの記事によると、Adams Street Partnersのパートナー・Thomas Bremner氏は同社サービスについて、以下のようにコメントしている。

2,800億米ドル規模の行動医学市場における最大の課題の一つはアクセシビリティです。テクノロジーを活用し、メンタルヘルスケアのスケーラビリティを促進する必要がある一方、個別化や人間的なケアを失ってもいけません。Lyraの優位性の1つがその”Blend Care”です。

背景:NAMI(National Alliance on Mental Illness)によると、米国では5人に1人が精神的不調を抱えており、中でも不安障害とうつ病が最も一般的な2つの症状となっている。

執筆:平理沙子(Risako Taira)/編集:岩切絹代

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ソーシャルインパクトを掲げるスタートアップたち【TechStars選出(2/3)】

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ピックアップ:Cox Enterprises Social Impact Accelerator Powered by Techstars TechStarsによるSGDsをテーマとしたアクセラレーションプログラム「Cox Enterprises Social Impact Accelerator Powered by Techstars」に選抜されたスタートアップを解説する、前回からの続き。第2…

ピックアップCox Enterprises Social Impact Accelerator Powered by Techstars

TechStarsによるSGDsをテーマとしたアクセラレーションプログラム「Cox Enterprises Social Impact Accelerator Powered by Techstars」に選抜されたスタートアップを解説する、前回からの続き。第2回目は、ヘルスケア・エネルギー関係のスタートアップを紹介する。

Invincible

Capture
Invincibleウェブサイト

概要:慢性疾患に苦しむ子供たちの見守りアプリ

課題:多くの子供たちは、喘息、糖尿病、自閉症、てんかんといった慢性疾患に苦しんでいる。それはアメリカだけでも1,800万人にものぼる。

市場背景:慢性疾患を患った子供は、家族や学校の教員、友達など、周りの人たちからの支えを頼りにするしかない。飲まないといけない薬や注射の対応は問題なくできているか、体調に異変がないのかなどの連携が必要であるが、そう簡単には実現できていないのが現状だ。

提供しているサービス:慢性疾患に苦しむ子供の身の回りにいる人たちに何が起こったのか、異変がないかを入力してもらうアプリを提供。例えば、昼食時に決められた通りに注射をしたか、薬を飲んだかなどをアプリに入力する。

ビジネスモデル等:現在はベータ版を公開している。1家族あたり、月額10ドルとなる予定だ。

EnMass Energy

Capture
EnMass Energyウェブサイト

概要:廃棄物エネルギー転換ビジネスの効率化を目的とした、SaaSプラットフォームを提供

課題:アメリカでは、一人1日あたり3.175kgのゴミが捨てられている。アメリカの人口は世界の4%にしか当たらないにも関わらず、この量は、世界の30%のゴミの量にあたる。

市場背景:プラスチックやタイヤなどの余剰な廃棄物は、エネルギーに転換することが可能だ。しかし、廃棄物エネルギー転換会社のボトルネックとなっているのは、燃料調達である。

廃棄物エネルギー転換ビジネスのプロセスは複雑で未だに紙が使われるなど、非効率な部分も多い。同社のCEOのAndrew Joiner氏は、アメリカ政府の廃棄物エネルギー転換に関するプロジェクトや施策を担当した経験があり、そこで培った経験に基づき起業に至った。

提供しているサービス:EnMass Energyは最先端のテクノロジーを活用することにより、廃棄物エネルギー変換に必要な燃料調達やプロジェクト運営・管理のプラットフォームを提供。効率的な燃料の収集手段、適正価格、在庫管理などのプロセスを最適化し、クラウドのプラットフォームで管理可能なのが特徴だ。廃棄物をエネルギーに変換するすべての関係者(サプライヤー、輸送業者、トラック会社、倉庫業、加工業者、配送業者)を繋いでいる。

ビジネスモデル等:同社は2つのビジネスモデルを持つ。1つは顧客よりアウトソースを受けるモデルと、2つ目は、顧客側でデータをEnMass Energyのプラットフォームに読み込み自社で管理するモデルである。月額のサブスクリプションモデル。創業当時は、農業廃棄物に特化していたが、TechStarsのアクセラレータープログラム参加以降は、エネルギー転換可能なほぼ全ての廃棄物も取り扱うことができるようになった。

グローバルでは、4000もの廃棄物エネルギープロジェクトが存在している。そのうちの500はアメリカである。これらのプロジェクトは多額の資金をサプライチェーンに費やしており、最新の統計結果では、廃棄物エネルギー転換の市場は2026年までに2倍になると予測されている(最終回に続く)。

執筆:NeKomaru/編集:岩切絹代・増渕大志

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コロナ禍で需要増、従業員向け不妊治療支援サービス「Carrot」

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ピックアップ:Exclusive: Carrot Fertility closes $24 million Series B in a sign of the sector’s strength ニュースサマリ:企業向けに従業員の不妊治療を支援するサービスを提供するCarrotは、2,400万米ドルのシリーズBラウンドの資金調達を完了したことを2020年8月18日に発表した。本ラウンドはU.S. …

画像出典:Carrot 公式ホームページ

ピックアップ:Exclusive: Carrot Fertility closes $24 million Series B in a sign of the sector’s strength

ニュースサマリ:企業向けに従業員の不妊治療を支援するサービスを提供するCarrotは、2,400万米ドルのシリーズBラウンドの資金調達を完了したことを2020年8月18日に発表した。本ラウンドはU.S. Venture Partnersが主導し、F-Prime Capitalのほか、CRV、Precursor Ventures、Maven Ventures、Uncork Capitalなどの既存投資家が参加している。

詳細情報:今回の資金調達により、同社は累計4,000万米ドル以上を調達。現在、BoxやSnap、Pelotonなど100社以上の企業と契約し、北米、アジア太平洋、ヨーロッパ、南米、中東の42カ国以上でサービスを提供している。

  • Carrotは2016年、サンフランシスコにて設立。同社CEOで共同創業者であるTammy Sun氏自身が、34歳のときに卵子凍結を行った体験が設立のきっかけだった。
  • TechCrunchの2017年9月のインタビュー記事によると、当時AppleやFacebookなどの企業は従業員向けに不妊治療支援を福利厚生として取り入れていたが、Sun氏が当時勤めていた企業にはそうした制度がなく、ポケットマネーで約3万米ドルを支払ったという。
  • 同社は企業(雇用主)向けの不妊治療サービスプロバイダーとして、従業員の不妊治療の全行程をサポートする。契約企業は同社のサポートを活用し、経済的・医療的・精神的な面で従業員の不妊治療を支援できる。
  • 具体的な同社のプログラムには、卵子凍結、体外受精(IVF)、養子縁組、ドナーなどが含まれており、薬のセットが自宅に届く「Carrot Rx」や、不妊治療のためのデビットカード「Carrot Card®」といったオリジナルサービスもある。
画像出典:Carrot 公式ホームページ
  • 8月18日に発表された同社プレスリリースによると、今回の追加資金は、Carrot社のグローバルなサービス拡大、遠隔医療やそれに関する製品開発、優秀な人材の採用に充てられる予定だという。

背景:同社CEO兼共同創業者のTammy Sun氏がFortuneに寄せたコメントによると、COVID-19の影響下においても「不妊治療は必要不可欠でコアエッセンシャル」であることが明らかになったという。

実際に、2020年7月の同社サービスの予約件数はCOVID-19以前の数値を超えており、自宅から遠隔で2,000人以上の専門家にチャットで医療相談ができるサービスにおいてはパンデミック以前と比べ、4倍に増加しているそうだ。

執筆:平理沙子(Risako Taira)/編集:岩切絹代

 

 

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