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AIで治療薬開発を大幅短縮、新型コロナウイルスに立ち向かうHealx

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ニュースサマリ:AIを活用した希少疾患向けの治療薬開発を行う「Healx」は4月6日、既存の治療薬から別の疾患に有効な薬効を見つけ出す手法であるドラッグリパーパシング(DR)による新型コロナウイルス向けの治療薬開発に着手したことを発表した。 HealxのAIプラットフォームであるHealnetはビッグデータを活用した治療薬予測を行い、候補化合物の特定から治験までのプロセスを24カ月に短縮するのに成…

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Image Credit:Healx

ニュースサマリ:AIを活用した希少疾患向けの治療薬開発を行う「Healx」は4月6日、既存の治療薬から別の疾患に有効な薬効を見つけ出す手法であるドラッグリパーパシング(DR)による新型コロナウイルス向けの治療薬開発に着手したことを発表した。

HealxのAIプラットフォームであるHealnetはビッグデータを活用した治療薬予測を行い、候補化合物の特定から治験までのプロセスを24カ月に短縮するのに成功している。さらに最先端のDRのノウハウを活用し、ウィルスに効果のある、もしくは、症状に対する免疫力向上に寄与するCombination Therapy(併用療法)の開発に取り組む。

特に免疫力の弱い希少疾患を持つ患者向けの新型コロナウイルスを対象とした治療薬トリートメントの開発を行い、5月までにパートナー企業と共同での外部試験の実施を目指す。

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Healxは治療薬開発までの期間を大幅に短縮する:筆者作

話題のポイント:振り返ってみると、世界保健機関(WHO)に中国が症例を報告したのが2019年12月31日。これが「新型コロナウィルス」とWHOが発表したのが2020年1月9日、次の日の1月10日には中国が新型ウイルスの遺伝子コードを世界中に公表しました。

新型コロナウィルス同様、2002年に中国広東省を起点として流行した「SARS」の教訓が活かされる形になったのは中国の迅速な対応のおかげで、公表されてから数時間後にはワクチン開発が始まり、現在開発中のワクチンの数は60種類以上に昇ります(内、臨床試験に進んでいるのは3社)。

それでもWHOはワクチン完成までは1年~1年半を要すると発表している以上、「封じ込め戦略」と「治療薬の再発見」で撃退することを考えていかなければなりません。

治療薬の再発見とは何か?

日本内科学会の報告によると、現時点で安全性と有効性の確認された治療薬はありません。現場では対症療法が施され、日本ではHIV薬とタミフルを併用、中国では抗インフルエンザ薬,抗菌薬,コルチコステロイドが多くの症例に用いられました。

新規で治療薬を開発する場合、およそ1,000億円、10年の費用と時間が必要となり、成功確率は1/30,000程度と言われています。遺伝子コードが公表されているとはいえ、新型コロナウイルスも例外ではありません。創薬では感染症に太刀打ちするのは難しいというわけです。

そこで今注力されているのが、元々は別の疾患を治療する目的で開発された治療薬を再利用して新型コロナウイルスに対抗する方法です。インフルエンザ治療薬ファビピラビル(富士フイルム富山化学)、気管支喘息治療薬シクレソニド(帝人ファーマ)、エボラ出血熱治療薬レムデシビル(Gilead Sciences)など、連日のように話題に挙がるのはまさに治療薬を再利用することを目指して検討されているものです。

これらを使用する場合でも投与量、投与期間などを変える必要があれば、再度臨床試験で効果検証が行わなければいけませんが、費用と時間の点で圧倒的にメリットがあります。パンデミックの中でできる打ち手は既存治療薬の可能性を再発見することなのです。

実は治療薬を再利用するのは珍しいことではありません。ドラッグリパーパシング(DR)と呼ばれ、有名な例を挙げると、狭心症治療薬からバイアグラの開発、鎮痛薬に発毛効果を発見したものがあります。

驚くべきことですが、作用・副作用の発症メカニズムがよくわかっていない既存薬がかなり存在します。当時はなかった解析・分析手法を用いることで網羅的に分子レベルで解析し、より主作用の強い薬、副作用の少ない薬を開発すること、または新たな薬理作用を発見して既存薬を別の疾患治療薬として適応拡大することが徐々にできるようになってきました。低リスクな開発手法として、多くのアカデミックと製薬会社が注目しているのです。

その一役を買っているのが創薬上最大の「ゲームチェンジャー」と期待されるAIです。例え最新の分析方法が確立されてきたとはいえ、薬8,000個、標的となるたんぱく質30,000個、疾患2,000個の組み合わせから有効な組を人間が選び出すのは至難の業です。横に繋げることが難しかった医学文献や治療薬データベースなどの公開データや製薬会社が開発・製造をする治療薬に関する専有データを有効活用できるようになってこそ力を発揮するというものです。

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Image Credit:Healx

今回取り上げたHealxもAIを用いたDRによる希少疾患向けの治療薬を開発するスタートアップです。本来は患者数が少ないことを理由に開発に着手するのが困難な希少な疾患を持つ患者に、安くて、早くて、安全な薬を届けるための開発を手掛けています。

上記した現在検討されている新型コロナウイルスの治療薬の多くが、新型コロナウイルスの特性に対する対抗馬として人間が選定しています。この中から効果が確認されれば言うことはありませんが、提案に人間が関与しない「仮説のない」アプローチをプランBとして仕込んでおいて過剰ということはないでしょう。

創薬×AIのもたらす経済効果は1品目当たり600億円とも言われています。しかし、総力戦となりつつある情勢に対して、AIが戦力として参戦できれば試算を優に超える価値を提供することが期待されます。

via PR TIMES