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3Dプリントのアイジェット、写真から3Dアバターやフィギュアが作れる「3Dピポ」をローンチ

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3Dプリントに特化したスタートアップ「アイジェット」は先頃、スマートフォンのカメラ撮影や、カメラロールの写真から3Dアバターを作成できるアプリ「3Dピポ」を公開した。3Dアバターが作れるほか、オプションで洋服や髪型を変えることもできる。作成したアバターを静止画や動画にして、Twitter、Facebook、LINE でシェアすることも可能だ。現在は iOS のみで利用可能で、Android 版は1…

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3Dプリントに特化したスタートアップ「アイジェット」は先頃、スマートフォンのカメラ撮影や、カメラロールの写真から3Dアバターを作成できるアプリ「3Dピポ」を公開した。3Dアバターが作れるほか、オプションで洋服や髪型を変えることもできる。作成したアバターを静止画や動画にして、Twitter、Facebook、LINE でシェアすることも可能だ。現在は iOS のみで利用可能で、Android 版は12月上旬のリリースを目指すとしている。

また、このアプリからは1体5,980円(税込)で3Dアバターをフィギュアとして、3Dプリント出力を発注することができる。アイジェットはこのプロダクトを、今月開催された、東京インターナショナル・ギフト・ショーにも出展しており、出力されるフィギュアをユーザが自ら作るだけでなく、友人や知人への贈答品や記念品としての可能性を訴求したいと考えているようだ。

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なお、調達元など詳細は明らかにされていないが、アイジェットは3Dピポのローンチに先立ち、今年5月に約2億円を資金調達している。さらに、以前は横浜・上大岡に拠点を置いていた本社オフィスや出力センターも、事業強化を目的として東京・日の出埠頭周辺に移転させている。

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3Dプリント業界の〝インテル〟を目指すアイジェットーー横浜から生み出されるMONOの舞台裏

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3Dプリント業界が脚光を浴びている。年初から日本国内には3Dプリンタを配置した多くのコワーキング・スペースがオープンし、今月上旬には、DMMがnomadやチームラボと共同で、3Dプリントのオンライン・オーダーサービスを立ち上げるなど、ニュースに事欠かない。雑誌「日経トレンディ」が年末に発表するヒット商品ランキングでは、3Dプリントにまつわるビジネスが上位の座を飾るのは間違いないだろう。 新しく形成…

ijet_logo3Dプリント業界が脚光を浴びている。年初から日本国内には3Dプリンタを配置した多くのコワーキング・スペースがオープンし、今月上旬には、DMMがnomadやチームラボと共同で、3Dプリントのオンライン・オーダーサービスを立ち上げるなど、ニュースに事欠かない。雑誌「日経トレンディ」が年末に発表するヒット商品ランキングでは、3Dプリントにまつわるビジネスが上位の座を飾るのは間違いないだろう。

新しく形成されつつある市場だけに、どのようなプレーヤーが顔を揃えるのか気になるところだ。そんな中、日本の3Dプリント業界で圧倒的なシェアと存在感を持つスタートアップが横浜にある。株式会社アイジェットだ。

2009年5月の創業以降、「ウェブサイトを作った以外に、目立った営業活動はやってこなかった」という同社だが、誰もが聞いたことのある有名企業を筆頭に、顧客名簿には数百社以上が名前を連ねている。アイジェットの本社に久米原勝社長を訪ね、同社の営業戦略や、今後の日本の3Dプリント業界の行方について話を聞いた。

目指すは「3Dプリント業界のインテル」

3Dプリントでは圧倒的なシェアを持つ会社なのに、筆者がアイジェットの名前を耳にしたのは、今回のインタビューが初めてのことだった。その背景には、自らの名前を前面に押し出すのではなく、パートナー企業との提携によって、迅速に市場チャネルを築き上げる戦略があるようだ。例えば、SD Japan でも取り上げた「AOYAMA 3D SALON」や「OMOTE 3D SHASHIN KAN」、香港の3Dプリントスタジオ「RECS 3D」、今後展開予定の「Tokyo Otaku Mode」のショップ等での販売商品のバックエンドは、すべてアイジェットが担当している。

パソコンでは、〝インテル、入ってる〟てのがあるでしょ? 我々が目指すのは、まさにあの方向です。いろんなメーカーがパソコンを開発・販売していて、心臓部にはインテルのプロセッサーが入っている。インテルの名前は最前面には出ていませんが、インテルのチップがなければ、メーカーはパソコンを生産できない。我々は、3Dプリント業界のインテルのような存在になりたいと考えています。

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自身のフィギュアと共に撮影に応じてくれた、
アイジェットの久米原勝社長

3Dプリントを実現するには、実在するモデルから形や色を読み取る3Dスキャナ、読み取ったデータを加工するソフトウェア、それをプリントする3Dプリンタが必要だが、実際のところ、それだけでは造型は出来上がらないのが2Dの場合と大きく異なる点だ。読み取ったデータを美しい立体に仕上がるように加工する必要があり、さらに3Dプリンタで出力した後、仕上工程が必要となる。これらの工程は機械化できない完全な職人技で、モデラーと呼ばれる人たちが力量を発揮する。アイジェットでは、手原型師(粘土細工で造型を作っていた人)やイラストレーターの経験者らがモデラーとして従事しており、筆者が訪問したときには、クライアントからのオーダーに応じて着々と業務をこなしていた。

一見アニメスタジオのアニメーターが、そのまま3Dの仕事をしているようで、彼らの手から生まれてくる造型はリアリティに富んでいて、この感動をぜひ視覚的に読者と共有したいのだが、制作されていた商品の多くが有名キャラクタや有名人に関連したものであり、肖像権や著作権の都合で本稿への写真掲載を断念した。

※ 2次元で商標登録されたり、2次元で著作物として公開されているデザインが、モデラーの手を経て3Dプリントされたとき、その造型の商標権や著作権の帰属や侵害如何については、現時点でまだ判断がグレーなのだそうだ。近い機会に、その分野に明るい弁護士や弁理士の意見を聞いてみたい。

街のDPEショップが3Dプリントスタジオになる日

zprinter同社では、自社で一環して「スキャン→データ加工→出力→仕上」を請け負う以外に、前出の3Dプリントスタジオ等には3Dスキャナの導入・運用支援を行っている。データ加工以降の工程については、独自のノウハウと高価な3Dプリンタが必要になるため、3Dスタジオから送信されてくるデータをもとに、アイジェット社内で造型を制作・仕上げし、発注者に送るという形をとっている。

この業界ではデファクト・スタンダードである、アメリカの 3D Systems 社や Strata 社から 3Dプリンタを購入すると、1台あたりの費用は約1,500万円程度。このコストを減価償却しつつビジネスで利益を上げるには、相当量の3Dプリントを受注する必要がある。このモデルを実現するために、久米原社長は、DPEショップチェーンで3Dプリントのオーダーを受けられるような構想を描いている。

DPEショップは、小型のラボ機を店内に設置するなどで差別化を図っているものの、改めて言うまでもなく、デジタルカメラや昇華型プリンタの隆盛に押されて、ビジネスモデルの転換を迫られている。写真撮影やネガを預かるのと同じ要領で、DPEショップの店頭で3Dスキャン、後日、店頭で3D造型物を手渡し、という展開を実現できる可能性がある。3Dプリントが一般消費者にとって、より手の届きやすい存在になるわけだ。子供達の夏休みの宿題は、3Dプリントして学校に持って行く、という日は近いかもしれない。

エンターテイメント業界に、新たなビジネスチャンスを生み出す

3Dプリントの隆盛により、ものづくりの業界には劇的な変化が現れ始めていると、久米原社長は説明する。

もともと、小ロットで何かを作ると言えば、モックアップ屋かフィギュア屋しか居ませんでした。モックアップ屋は工業製品の試作が専門だし、フィギュア屋はフィギュアしか作りません。そこから、相互のシナジーは生まれませんでした。しかし、3Dプリントなら分野を問わずに作ることができます。

3dprinting-portfolios金型の制作だけで数ヶ月の期間と莫大なコストがかかる従来の方法とは対照的に、アイジェットでは顧客のオーダーから最短数週間程度で3Dプリント造型を納品したケースもあるそうだ。

実在する人間を3Dプリントでフィギュア化した場合、容姿は造型の表面にテクスチャ貼付ができるため、「なんとなくホンモノに似ている人形」ではなく、「実在する人物そのままのミニチュア」ができあがる。造型のリアリティさと工程の短さがウケて、音楽やアニメ業界からも3Dプリントを使ったフィギュア等のオーダーがひっきりなしのようだ。なにぶんにも小ロットで発注できるから、ある商品を試験的に販売開始し、ファンや市場の反応を見てから、本格的に量産体制に移行することもできる。リスクを抑えつつ、メインコンテンツ以外のマーチャンダイズ(派生物販品)を容易に開発できる方法として、エンターテイメント業界から有望視されている。

高須クリニックのテレビCM より。 後半に、SOFFet のライブツアーのシーンがあるが、ここで演者の多くが着用している高須院長のお面はアイジェットが制作したもの。

3Dプリントが、日本の一大産業に育つかもしれない、という妄想

3dprinting-portfolios2先日パリで開催された Japan Expo も、例年に増して盛況で終幕したと聞いているが、コンテンツ開発は日本のお家芸なのだと改めて実感させられる。一時期、海外からの旅行者向けに、日本の旅行会社が、JR中央線沿線に点在する有名なアニメ制作会社を巡礼するツアーを催行していた記憶があるのだが、あれは今も続いているのだろうか。

アイジェットのオフィスを訪問してモデラーの人々が3Dプリントの造型を仕上げているのを見ていて、これは第二のアニメ産業になるのではないか、と思ったのが筆者の雑感だ。久米原社長はアイジェットを立ち上げる前、横浜でデジタル印刷の会社を営んでいたが、2011年の東北大震災の影響で印刷の受注が激減したのを機に、事業を3Dプリントに完全にシフトした。時代の流れとともに、今後多くのプレーヤーが3Dプリントビジネスに参入してくるだろうが、彼らのスタジオを海外旅行者が表敬巡礼している姿を妄想するのは筆者だけではあるまい。

そんな中、アイジェットは造型の出来映えと事業スピードで、業界の先陣を切って行く覚悟だ。今後の動向を楽しみに見守りたい。

なお、同社は、今年2月に第三者割当増資を実施している。割当先等の詳細は明らかにされていない。

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