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IVP LP Summit〜中国・深圳のハードウェア専門インキュベータ「HAXLR8R(ハクセラレータ)」を訪ねて

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香港から程近い中国・深圳は、かねてから世界の工場の異名を持つ。この地には、EMS (Electronics Manufacturing Service) と呼ばれる電子製品の生産受託会社がひしめきあい、大手・中小の電機メーカーはもとより、近年では「ハードウェアをやるなら、深圳に行け」というのが、スタートアップ界の合い言葉だ。 3月18日からの3日間、筆者は Infinity Venture Par…

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香港から程近い中国・深圳は、かねてから世界の工場の異名を持つ。この地には、EMS (Electronics Manufacturing Service) と呼ばれる電子製品の生産受託会社がひしめきあい、大手・中小の電機メーカーはもとより、近年では「ハードウェアをやるなら、深圳に行け」というのが、スタートアップ界の合い言葉だ。

3月18日からの3日間、筆者は Infinity Venture Partners(以下、IVP と略す)が開催した LP Summit に帯同する機会を得た。LP Summit は年に数回、IVP が LP(ファンド出資者)を対象に投資先スタートアップを直接紹介する機会で、今回はハードウェア・スタートアップが集まる街、深圳で開催されることになった。(前回の北京での LP Summit の様子はこちら

LP Summit での紹介された興味深いスタートアップの数々については追ってお伝えする予定だが、本稿では LP Summit の見学の一環で訪問した、深圳に拠点を置くハードウェア・スタートアップ専門アクセラレータ「HAXLR8R(ハクセラレータ)」を取り上げる。IVP は HAXLR8R や同じ運営母体である大連のインキュベータ Chinaccelerator(中国加速)と、数年間にわたって協業関係にあるのだそうだ。

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筆者が初めて深圳を訪れたのは20年程前のことで、当時、香港はまだ中国に返還されておらず、深圳と香港の国境は、物乞いの人々がひしめくカオスだったのをよく覚えている。今や深圳は、GDPベースで北京・上海・広州に続く中国第4の経済都市だ。その深圳の中心部、目抜き通りにある高層ビルの10Fに HAXLR8R はオフィスを構えている。

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HAXLR8R のオフィスに入ると、ファウンダーでマネージング・ディレクターを務める Cyril Ebersweiler とゼネラル・パートナーを務める Benjamin Joffe が我々を迎えてくれた。Cyril はアイルランドに本拠を置くファンド SOS Ventures の投資パートナーで、Benjamin は宇宙葬スタートアップ Elysium Spaceの記事でも紹介したように、アジアのスタートアップ・シーンを語らせれば右に出る者は居ない。

起業家が晴れて審査を通過し HAXLR8R に入ると、最初の一週間は互いの交流を深めるために、簡単なプロトタイプを作る機会が用意されている。参加した起業家は所属チームに関係なく、出されたお題に基づいて何かを制作するのだ。ここで出会った起業家同士が新たなチームを形成するケースもあるだろう。

以降、30日、60日、90日のタイミングでデモデイが開催され、その都度、他の起業家や投資家かからの意見を受けて、プロダクトが研鑽され、ビジネスがピボットしてゆく。コピーキャットの追随を許さないようにする観点から、最後のデモデイが開催されるまで、インキュベーション・プログラム参加中のスタートアップが取り組むプロダクトの内容は、原則的に外部非公開となっている。我々も今回の訪問で多くの興味深いスタートアップや彼らのプロダクトに出会えたが、その詳細をここに書けないことをご容赦いただきたい。

HAXLR8R オフィスから見える深圳市街。大気汚染が心配なところが、Benjamin によれば、サンフランシスコよりも空気はキレイらしい。
HAXLR8R オフィスから見える深圳市街。中国と聞くと、とかく大気汚染を心配しがちだが、Benjamin によれば、サンフランシスコよりも空気はキレイらしい。

しかしながら、前回のインキュベーション・バッチを終えたスタートアップから話を聞くことができた。アメリカ出身のスタートアップ Helios は、iOS アプリと連動してハンドル部が色を変えて点滅するシステムを開発している。目的地をセットしておけば、進むべき方向のウインカーが点滅するので、運転者はGPS やカーナビを凝視する必要がない。

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HAXLR8R は、深圳の製造業者との調整などもコーディネイトしてくれるので、Helios のように、インキュベーション期間を終えた後も、深圳に留まり作業を続けるスタートアップが少なくないようだ。そのようなスタートアップのために、HAXLR8R はオフィススペースの一部を彼らに開放している。

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HAXLR8R のオフィスは 10F と 11F の2フロア。上階はプログラム参加中のスタートアップと事務局のスペース、下階はプログラム卒業スタートアップの活動やイベントのスペースとなっている。

HAXLR8R のインキュベーション・プログラムに参加するスタートアップの出身国を見てみると、約半数をアメリカが占め、残りはヨーロッパとアジアからやって来ている。これまでに2回のバッチが実施されているが、日本から参加したスタートアップは、電力の見える化サービスを提供する Sassor のみだ。HAXLR8R の参加スタートアップからの視点にもスポットを当てる観点から、THE BRIDGE では近日、Sassor の HAXLR8R 体験談も取り上げる予定だ。

HAXLR8R の Cyril と Benjamin は共に日本で生活したことがあり、日本語が堪能であり、ハードウェアに強い日本のスタートアップのインキュベーション・プログラムへの参加を切望している。次回のバッチは7月16日から開始、エントリの締切は5月25日だ。本気でハードウェアを志す起業家におかれては、この機会に挑戦してみてはいかがだろうか。ハードウェア・スタートアップが集まるこの街で、プロトタイピングとハードウェア・ビジネスのノウハウを体得し、貴重な経験に出会えるだろう。

IVPが開設した北京のインキュベーション・スペース「TechTemple」を訪ねて(3/3)——百度、小米、今年の中国テックシーンをにぎわせた面白スタートアップ

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Infinity Venture Partners(以下、IVP と略す)が北京市内に開設したインキュベーション・スペース「TechTemple(科技寺)」の訪問記を三回に分けて書いてきたが、いよいよ最終回だ。 今回は、中国で勢いのあるスタートアップ・ニュースサイト「36気(36kr)」の CEO 劉成城(CC Liu)氏が直々に教えてくれた、中国で人気を博す面白スタートアップと、百度(Baidu…

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Infinity Venture Partners(以下、IVP と略す)が北京市内に開設したインキュベーション・スペース「TechTemple(科技寺)」の訪問記を三回に分けて書いてきたが、いよいよ最終回だ。

今回は、中国で勢いのあるスタートアップ・ニュースサイト「36気(36kr)」の CEO 劉成城(CC Liu)氏が直々に教えてくれた、中国で人気を博す面白スタートアップと、百度(Baidu)とXiaomi(小米)の訪問についてお伝えする。

ただ一人の女性にしかバラを贈れない「Roseonly

第一話で触れた11月11日の「独身の日(光棍節)」をはじめ、カレンダーに記念日を見つけては商いの種にするのは、ビジネスに長けた中華民族のDNAが成し得る技かもしれない。中国の七夕は旧暦で祝われるため8月26日。バレンタインデーを「情人節」と呼ぶのに対し、8月26日を「中国情人節」と呼んで、恋人にプレゼントを送る年に二度目の日とされているらしい。そして、この好機を中国のeコマースサイトが見逃すわけが無い。

THE BRIDGE では、以前この記事でも紹介したが、Roseonly は今年9月にオープンしたばかりのオンラインフラワーストアだ。料金は1,000元(約1.7万円)とかなり高級志向だが、贈る相手を指定すると、イケメンが相手の元まで BMW でバラを届けてくれる。

このサイトが面白いのは、サインアップの際、男性ユーザが身分証を登録する必要があり、バラを贈る相手の女性が一人しか登録できないことだ。つまり、二股三股をかけている男性はこのサービスを使えず(正確に言うと使えるが、その中の一人にしかバラを贈れない)、一度登録した相手の女性は基本的に変更ができない。つまり、Roseonly にサインアップしたときに付き合っていたガールフレンドと break up した場合、新しく付き合うガールフレンドには Roseonly からバラを贈れないことになる。

前述の「中国情人節」の日に、Roseonly は実に1,100万人民元(1億8,700万円)を売り上げた。ざっくりで、1.1万人の男性がこの日に Roseonly を使った計算になる。この実績をもとに、Roseonly はさっそく、Tencent(騰訊)から、シリーズBラウンドで1,000万ドルを調達した

バラの次には、特定の女性に対してのみ、チョコレートを贈れるサービスを計画しているとのことだ。おそらく、来年の2月14日を見据えた動きと考えて間違いない。Roseonly のサービスでバラやチョコレートを受け取る女性からしてみれば、相手の男性は「自分にとって本命」ということを担保できるのかもしれないが、残念ながら、このサービスを受けた女性のコメントを取る機会は無かったので、彼女達の真意は今のところ不明である。

いつでもどこでも、アヒルの首を30分でお届け「哈哈鏡鴨脖(Magic Mirror Duck Necks)

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中国では、アヒルの首の肉がごちそうらしい。哈哈鏡(中国語で、「ハーハージン」)は、中国全土に1,600店舗を有するアヒル肉専門のチェーン店で、オーダーするとどこでも30分以内(おそらく田舎は無理)に料理を届けてくれる。日本でピザのデリバリーを頼むのより速いかもしれない。

哈哈鏡は営業開始から4年目だが、年商は実に7億元(約120億円)に達する。ちなみに、日本の宅配ピザ最大手のピザーラは535店舗、TO THE HERBSなども加えた全事業で、年商570億円に成長するまでに20年かかっていることを考えると、哈哈鏡のスピードがいかに速いかがわかる。

とはいっても、日常的にアヒルの首を食べている人を見かけるわけではないので、まだまだ筆者も中国体験が浅いと思っていたら、哈哈鏡のターゲット層は、週末に家から外出しない中国のオタク族なのだと教えてくれた。彼らは、Tokyo Otaku Mode優酷(Youku)でSNH48の動画を見ながら、今日もアヒルの首をほおばっているに違いない。

名実ともに、中国の Google となった百度(Baidu)

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TechTemple でのピッチの合間を縫って、百度(Baidu)の本社を訪れることができた。百度は、中国のIT企業が軒を連ねる中関村軟件園(ソフトウェアパーク)の一角にある。筆者は中関村を十回以上訪れているのだが、想像以上に中関村と呼ばれるエリアが広いことを、今回初めて知った。北京の北西部概ね半径3キロ位はあるだろうか。最初に訪れた頃から膨張しているように思われ、もはや「村」という表現は合わないような気もする。

玄関を入ると、1Fのロビーには、中国全土からいかにアクセスが寄せられているかを示す地図が表示されていたが(写真下)、ここでシャッターを切ったのを最後に、多くの大手ネット企業等と同じく撮影禁止ということで、オフィス内の写真は無い。CEO の李彦宏(Robin Lee)氏が創業して今日に至るまでの、百度の経緯が説明された部屋に案内されるので、北京を訪問する予定のある読者は、ぜひ百度にも足を運んでみることをお勧めする。創業者・李彦宏氏については、以下のスライド「李彦宏の百度世界」が詳しいので参考にしてほしい。

百度では、日本でもサービスを展開する Hao123 の説明を受けたが、Hao123 についてはこの拙稿に詳しいので、ここでは省略する。

本社前の通りには、社員の通勤送迎をするバスが所狭しと並んでいた。北京市内は地下鉄が発達しているものの、通勤ラッシュは日本と同等かそれ以上に混雑がひどく、おそらく、バスは優秀な社員に百度で働き続けてもらうための一つの手段でもある。その光景はどこかで見た記憶が…そうだ Google だ。どこまでもが Google に似ているが、Google を超える日も近いかもしれない。

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ファンコミュニティを形成し、中国人の日常に浸透しつつある小米(Xiaomi)

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小米(Xiaomi) は、以前、金山軟件(Kingsoft)というソフト会社を経営していた雷軍(Lei Jun)氏が創業した、スマートフォンメーカーだ。先月末、小米が微信(WeChat)を使って、15万台のスマートフォンを10分間で完売したという話は、記憶に新しい。2012年の販売実績は、スマートフォン719万台で売上は126億元(約2,140億円)。ちなみに、2013年は第一四半期だけで既に703万台/132億元(2,240億円)を売っているので、急激な成長曲線を描いているのは間違いないだろう。

世界のスマートフォンメーカーが、ハードウェアをモデルチェンジし続け、新機種を客に買ってもらうことで需要を創出しているのに対し、小米には基本的にその考え方が無い。その現れとして、45機種あるすべての小米のスマートフォンに対し、週に一度はファームウェアのアップデートを配信している。これまでに通算で163回のアップデートを実施したそうだ。典型的なスマートフォン・メーカーやキャリアとは、明らかにビジネスモデルが違うのである。

これ以外にも、小米社区と呼ばれる掲示板では、ユーザーから寄せられたすべての質問について小米社員が回答している。また、小米の名前になぞらえて「小米爆米花全国行(Xiaomi Popcorn All-China Tour)」と呼ばれるファンイベントを、これまでに中国全土で26回にわたり開催している。昨年の重慶で行われたイベントの様子が上がっていたので(下)、これを見ればイメージが湧くだろう。いずれにせよ、小米と小米ユーザの距離が非常に近く、常にユーザファーストで物事が進められている。概して、中国企業はユーザ・ホスピタビリティが低いとされる中、筆者の目には非常に意外に映った。

最近では、ブロードバンド回線を使った Apple TV のようなサービス「小米盒子(Xiaomi Hezi)」、写真やメッセージがやりとりできるクラウドサービス「小米雲(MiCloud)」、メッセージアプリ「米聊(Miliao)」など、小米のサービス多角化展開には目を見はるものがある。その規模やサービスの完成度から言えば、十分に中国国外にも展開を始めてもよさそうなもので、十分に日米欧の同業他社と張り合えるレベルだが、それをやらないのは、現時点では、同社が中国国外に大きな関心が無いからかもしれない。

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今回の訪中を受けて、改めて頭の中を整理してみたのだが、中国のスタートアップやインターネット企業は2つに大別できると思う。中国国内に市場を求めるサービスと、中国国外に市場を求めるサービスだ。

前者は国内の莫大な人口がポテンシャルユーザであるため、語弊を恐れずに言えば、基本的に中国国外への世界展開には興味がない。これは、アメリカのスタートアップがサービスのグローバル化にはあまり関心がなかったり(たまたま、アメリカ市場向けに作ったものが、世界のユーザにフォローされるケース)、日本のスタートアップが海外展開に積極的ではなかったり(国内に相応規模の市場があるケース)するのと、事情は似ているかもしれない。対照的に、韓国や東南アジア諸国など、国内に十分な市場が無い地域のスタートアップは海外進出が前提条件である。

一方、後者は、外国人がローンチしているサービスが多い。第二話で紹介した AppAnnie などはその典型であろう。政治的な諸問題や PM2.5 に代表される社会不安がありながらも、「中国は第二の故郷」と言って本拠地を北京に据える彼らは、ネガティブな側面にまさる可能性をこの国に感じているのだろう。

THE BRIDGE のパートナーでもある Technode も、北京の798芸術区に「The Node」というコワーキング・スペースを開設するなど、北京のスタートアップ・シーンは以前に増して活況を呈している。今後も THE BRIDGE では中国のスタートアップの最新情報をお伝えしていきたい。

最後に、今回の TechTemple 訪問をはじめ、貴重な機会への帯同を許可いただいた、Infinity Venture Partners の皆さんに紙面を借りて謝意を表する。

IVPが開設した北京のインキュベーション・スペース「TechTemple」を訪ねて(2/3)——中国のスマホシフトを牽引する、新進気鋭スタートアップ

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Infinity Venture Partners(以下、IVP と略す)は先頃、北京市内にインキュベーション・スペース「Tech Temple(科技寺)」したが、筆者は11月11日~13日の3日間、IVP の LP Summit に帯同する形で、Tech Temple(科技寺) を訪問する機会を得た。前回に引き続き、その際のピッチの模様をお届けする。 今回ピッチした8社のうち、後半の4社は特にモ…

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Infinity Venture Partners(以下、IVP と略す)は先頃、北京市内にインキュベーション・スペース「Tech Temple(科技寺)」したが、筆者は11月11日~13日の3日間、IVP の LP Summit に帯同する形で、Tech Temple(科技寺) を訪問する機会を得た。前回に引き続き、その際のピッチの模様をお届けする。

今回ピッチした8社のうち、後半の4社は特にモバイル、特にスマートフォンに特化したソリューションを提供するスタートアップが多数を占めた。古くは山寨機(シャンザイキ)、最近では小米(Xiaomi)がスマホベンダーとして台頭するなど、これからの世界のスマホ業界を牽引するのは Saumsung や HTC ではなく、中国のスタートアップかもしれない、そんな思いを新たにさせられる、一連のセッションだった。

安米網(Appbyme)

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安米は、アプリの開発やデザインの経験の無い人たちに、自らアプリを作る環境を与えてくれるクラウドサービスだ。アメリカにも、InvisionFlinto など、スマートデバイス・アプリのプロトタイピングを実現してくれるサービスは存在するが、安米ではアプリ開発を完結し、マネタイズまで支援する。

中国国内には、DiscuzphpwindWordPress などPHPのよるCMSを使って、BBS(電子掲示板)を運営しているウェブマスターが多数存在する。BBSには既にユーザがついているので、スマートデバイスのネイティブアプリ 化をすると、そのままアプリのユーザになってくれるわけだ。ウェブマスターはテンプレートを選択して簡単に アプリが作成でき、プッシュ通知、ローカル広告、位置情報ゲーム、ソーシャルメディアによる共有機能、共同購入などの機能が自動的に追加できる。

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安米網CEO 趙健氏

安米の共同創業者である趙健(Zhao Jian)氏は、安米を始める前、中国のケータイ向け検索エンジン「YICHA(易査)」の技術責任者を務めていた。あらゆるサービスがモバイル化されていく中で、モバイルではコンテンツが検索しにくくなることに問題を感じており、モバイルでも十分に機能する検索のしくみを作りたいというのが、彼のビジョンだ。

これまでに、安米には5,400人のウェブマスターが登録していて、ここから5万件を超えるアプリがリリースされている。そのアプリを使うユーザの数は計3,000万人。同じ分野には、中国の AppCan追信(Zhuixin)などが存在するが、ユーザ数やアプリの数の点で、安米は他の群を抜いている。ビジネスモデルは、広告、開発者とのレベニューシェア、大規模デベロッパ向けのサブスクリプションの3つだ。

中国のBBSコミュニティには、北京や上海などの中央からは完全に独立したエコシステムが存在するようだ。趙氏によれば、地元の情報が手に入る地方都市のポータルがホットで、中でも、浙江省のある都市のポータルなどは非常に人気が高い。そこには、中央のウェブサイトにはないビジネスが存在し、安米は地方のウェブコミュニティに眠るビジネスチャンスを着実にマネタイズしていこうとしている。今後は、サービスを英語、日本語、韓国語にも対応させ海外展開を図る。

SayHi!(日本名:スマとも)

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SayHi!(スマとも)は、世界に展開している出会い系アプリで、デイリーアクティブユーザ(DAU)は65万人に上る。ユーザ はサウジアラビアなど中東に多く、そのほか、日本を含むアジア地域など。中国で開発されているアプリだが、 中国ではサービスしていない。市場の需要やマネタイゼーションの関係で、中国で開発しながら国外にのみ展開しているサービスが少なくない。

スマともでは、GPS 連動でユーザは近隣の他ユーザとチャットすることができるが、チャットするにはポイントが必要で、男性陣が人気のある女性とチャットするときには、1時間 につき1ポイントが徴収される。月額6,000円のVIP会員になれば、時間を気にせずチャットを楽しむことができる。

開発元の易思卓(Easyroid)CEO 史岩(Shi Yan)氏によれば、現在、iOSAndroid、Windows Mobile 向けにアプリを提供しており、画面全体にアニメーションが動く機能などによって、他のメッセンジャーアプリ等とも差別化を図っており、売上ベースで全体の29%が日本市場からもたらされているとのことだ。

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ピッチする、易思卓(Easyroid)CEO 史岩氏。

同様の機能を持つメッセンジャーアプリとしては、中国では Momo(陌陌)遇見などが強いが、世界的に見ると、BadooSkout などがより収益を挙げている。今後、SayHi! はエンターテイメント機能、ゲーム機能を追加し、ライバルアプリとの差別化を図りたい意向だ。

微世界(vWorld)

vworld_snapshot微世界(vWorld)の CEO を務める高嵩(Gao Song)氏は、かつて、金山軟件(HKG:3888、Kingsoft)のゲーム部門だった上水軒で、最高責任者を務めた人物だ。高氏によれば、中国のスマートフォンユーザは、主に学生とホワイトカラーからなる3億5,400万人に上るという。彼らには共通する特性がある。

  • 幼い頃からゲームに親しんできたので、ゲームのクオリティにはうるさい。
  • ソーシャルメディアを使ったシェアに慣れている。
  • 競争心が強い。

微世界は、リアルな場所の陣地取りをモバイルで楽しめるゲームアプリだ。Foursquare でチェックインの数を競ってメイヤーになるのではなく、ユーザ同士がゲーム上で戦い、その結果勝てれば、その場所のリーダーになることができる。勝ち進めるごとにポイントも上がって行く。

ゲーム上で北京市内のさまざまな場所を攻めて陣地を確保できたら、次は上海に行って攻める、というような世界感を提供したいと考えている。アプリはGPSと連動していて、高徳(Autonavi)のAPIを使って実在の場所と紐づく仕掛けになっているため、ゲームを使ったO2O(online to offline)サービスでマネタイズすることを展望している。

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vWorld CEO 高嵩氏

近日、映画のプロモーションをアプリ上で行い、アプリの中でチケットの購入まで行えてしまうサービスのテストを実施する予定だ。現在はまだオープンベータ版によるテスト中だが、来年の春節(1月31日)までにユーザ数100万人、DAU(デイリーアクティブユーザ数)10万人にまで持って行きたいとしている。

App Annie

THE BRIDGE ではモバイルアプリを紹介する際、頻繁に App Annie の値を引用するので、読者の多くにとっては、App Annie のサービスがどのようなものであるか、改めて説明は不要かもしれない。初めてこの名前を目にする人のために説明すると、モバイルアプリのダウンロード統計プラットフォームだ。iOS / Android / BlackBerry / Windows Mobile などのモバイルアプリについて、どのアプリがどの市場で人気で、どの程度稼いでいるかを知ることができる。

App Annie は本社を北京に置いているが、同社CEO Bertrant Schmitt によれば、現在、世界6都市のオフィスに130人の社員を擁している。今年の9月、シリーズCラウンドで Sequoia Capital、IDG Capital Partners、Greycroft Partners、Infinity Venture Partners から1,500万ドルを調達したのは記憶に新しいところだ。

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App Annie CEO Bertrant Schmitt

Bertrant は、App Annie の成長の経緯よりも、むしろ、世界のモバイルアプリの動向について知見を共有してくれた。現在のモバイルアプリ業界を見てみると、中国では iOS AppStore が成長しているのに対し、中国を除いた BRIC(ブラジル、ロシア、インド)では Google Play が著しい躍進を見せている。一方、売り上げベースで見てみると、やはり大きな数字をたたき出しているのは先進国が中心で、Android アプリの調子がいいのはアメリカと日本、特に Android と iOS の売上がうまくバランスがとれているのが日本市場、ということだ。(いずれも2013年9月現在のデータ)

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アプリ・デベロッパにとっては、自分のアプリがどの市場でどの程度売れているのか、正確な情報がわからないと開発やデザインの戦略プランを描くことができない。App Annie で市場動向を把握し、さまざまなグロースハック・ツール等を活用することで、デベロッパが〝売れるアプリ〟を試行錯誤するためのプロセスは格段に効率的になった。

App Annie 統計の概要をインフォグラフィックの形で公開して呼び水にし、想定顧客を自社サイトに誘導している。より詳細な情報が欲しい顧客にはプレミアムアカウントで情報を販売する、というビジネスモデルは、マネタイゼーションに苦慮するニュースメディアにとっても、参考にすべきところが多い。


App Annie のピッチが終わると、TechTemple のボールルームはオープニング・パーティーの場と化した。北京は町が大きく、スタートアップは北西の中関村から、北東の三里屯まで随所に分散している。しかし、この日は北京の各地から、起業家や投資家が集まり、筆者も懐かしい顔ぶれと再会の杯を交わすことができた。

ちょうど TechTemple がある北新橋(ベイシンチャオ)のあたりを境に、北京は東側が新興開発地域、西側は北京古来の集落・胡同(フートン)がひしめき合う旧市街となっている。TechTemple から10分も歩けば、池を囲んで飲食店が並ぶエリア后海(ホーハイ)など、生活をカジュアルに楽しめる場も数多いので、スタートアップ文化が盛り上がるには、またとないロケーションだと思う。

最終回となる次稿では、第1部で紹介した中国のテックニュースメディア「36気(36Kr)」が教えてくれた中国の新進気鋭のスタートアップと、今回訪問することができた中国有名ネット企業の動向についてスポットを当てる。

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ボードルームに集まる人々。
このスペースを活用して、さまざまなイベントが開催されることになるだろう。
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パーティーで談笑する、北京のスタートアップ・コミュニティの人々。
筆者が北京でよく会う起業家や投資家も、もれなく招かれていた。
オープン間もないにもかかわらず、その存在が地元では十分に認知されているようだ。
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レセプション兼カフェとなっている一角。
コーヒーが美味しかったので、「請給我一杯咖啡!」と連呼して、結果的にかなり飲んだ。
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TechTemple の外観。北京・北新橋(ベイシンチャオ)の
天海商務大厦(ティエンハイ・ビジネスビル)の1F/2F を贅沢に使った空間だ。

IVPが開設した北京のインキュベーション・スペース「TechTemple」を訪ねて(1/3)——スタートアップの梁山泊に集う、中国の星たち

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THE BRIDGE では、中国のテックニュースメディア Technode(動点科技) からの配信記事を中心に中国のスタートアップの情報をお伝えしている。筆者も中国には足しげく通っている方だが、それでも中国のスタートアップ・シーンの全容を把握するのは、常々難しいと感じている。 11月11日~13日の3日間、筆者は Infinity Venture Partners(以下、IVP と略す)が開催した…

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THE BRIDGE では、中国のテックニュースメディア Technode(動点科技) からの配信記事を中心に中国のスタートアップの情報をお伝えしている。筆者も中国には足しげく通っている方だが、それでも中国のスタートアップ・シーンの全容を把握するのは、常々難しいと感じている。

11月11日~13日の3日間、筆者は Infinity Venture Partners(以下、IVP と略す)が開催した LP Summit に帯同する機会を得た。LP Summit は年に数回、IVP が LP(ファンド出資者)を対象に投資先スタートアップを直接紹介する機会だが、先頃、IVP が北京市内にインキュベーション・スペース「Tech Temple(科技寺)」をオープンさせたので、今回はその披露を兼ねて特別に招待を受けたのだ。

Tech Temple を訪れた一行は、中国で勢いのあるスタートアップ8社からピッチを受けた。大勢の聴衆を対象にしたショーケース・イベントのピッチとは異なり、今回のそれは、スタートアップにとっては、出資してくれている投資家を前に、自分達の実力や可能性をアピールする好機だ。したがって、筆者も中国スタートアップの最近の情勢について深い知見を得ることができた。

中国の急進スタートアップが何を考え、どこを目指しているか、3回に分けてお伝えする。

36気(36Kr)

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36気 CEO 劉成城氏

原子番号36とは、クリプトンのことだ。スーパーマンの出身地を連想させる名を持つこのテックブログは、CEO の劉成城(CC Liu)氏が、北京大学在学中の2012年に仲間と始めたものだ。現在では、編集部のチーム構成は約50名、1日に30本程度の記事を掲載しており、うち5〜6本はスタートアップに関するニュースを取り上げている。月平均2,000万ページビュー(モバイルを含む)、中国国内や国外の中華圏からのアクセスが中心だ。他の中国のテックブログの多くが中国国外のニュースや、騰訊(Tencent)や新浪(Sina)などの大手企業をフォローしているのと対照的に、36気は中国国内のスタートアップに主眼を置いた作りとなっている。

これまで、中国国内各地やアメリカ、香港などで2ヶ月に一度のペースでスタートアップ・イベントを開催してきた。直近の 11/10 に開催した杭州(上海から南西に100km、美人が多く Alibaba の本社があることでも有名)のイベントでは1,400人の参加者が集まったそうだ。後の調査によれば、そのうちの約3分の1が起業家だった。

今年はこれまでに800社を超えるスタートアップをカバーしており、ニュースサイトと並行して、(THE BRIDGE のそれにも似た)スタートアップのデータベースを構築中だ。現在の登録件数は15,000件、一日に50件以上のペースで登録プロジェクトが増えている。

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36気の創業当初の写真を示しながら、これまでの経緯を説明する劉成城氏。
当時、彼はまだ北京大学に通う学生だった。

データベースを開発しなければ、メディアとイベントで既にブレークイーブンなのだそうだが、そこを敢えて赤字覚悟で、データベース開発にリソースを投入している(全社員50名のうち、約20名がデータベースの運用開発に従事しているとのことだ)。

特にこのデータベースで目指したいのは、「どのスタートアップがどのVCから資金調達しているか」というだけでなく、そのVCの後ろにいる投資家が誰かとか、そのような情報を収集することで、スタートアップ・コミュニティの LinkedIn のようなものを作り上げ、投資家個人レベルで、どのような分野に興味があるのかを可視化したい。こうすることで、実際に資金調達が実行される前の、投資家と起業家の動きをアポを取る段階からフォローできるようになる。

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36気が発行するレポートに含まれるグラフ。興味深いのは、実際に投資を行われた実績のみならず、投資実行前の投資家がどの分野のスタートアップに関心を抱いているかを定点観測している点だ。この報告は http://vdisk.weibo.com/s/unlAA-7mlFz02/1376620660 からダウンロードできる。

劉氏は、これらの活動を通じて、マネタイズよりも、スタートアップ文化圏の形成に役立つことを重視したいと考えている。将来的には、スタートアップのためのワンストップ・サービス——中国でスタートアップしたいと思った起業家が、必要な情報、モノ、人脈をすべて揃えられる場所、一例としては、Creww Marketplace や e27 の Bundles のようなサービスが考えられる——をビジネス化したいのだそうだ。

Goyoo

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Goyoo の CEO 王灏氏

中国では、どの街にもネットカフェ(網吧)が多く存在する。ブロードバンドやモバイルが一般家庭にまで普及した現在でも、中国でネットカフェが人気なのは、学生が家でネットしていると親に咎められるのに対し、ネットカフェなら人目を気にせず、下校時に友達と立ち寄って気楽にゲームを楽しめるからなのだそうだ。そんなネットカフェが中国には10数万店舗存在するが、そのうち、約3万店舗は Goyoo のシステムが導入されたネットカフェ「i8」だ。

3万店舗という数字をイメージしてもらうために、有名なチェーン店舗の数字と比較してみよう。

  • KFC … 世界に1.5万店舗、中国に3,500店舗
  • マクドナルド … 世界に3万店舗、中国に1,500店舗
  • セブンイレブン … 世界に4.2万店舗、中国に1,000店舗
  • スターバックス … 世界に1.7万店舗、中国に500店舗

これらの数字からもわかるように、中国国内だけで3万店舗という数字は群を抜いている。対人口比では、1万人に1軒の割合で i8 が存在することになる。(参考までに、ネットカフェ=PC방が多いとされる韓国では、2,500人に1軒の割合だ)

CEO 王灏(Jerry Wang)氏の説明によれば、Goyoo のしくみは、ネットカフェでユーザが使うパソコン上のランチャー、ゲーム、カフェ内のルータ、ゲームを蓄積するサーバなどで構成される。同社では、ネットカフェのユーザ画面に広告を流す AdPro というアドネットワークを運用しており、これが主な収入源だ。最高で1日に1.5億インプレッションを達成しており、この数字は AdPro のローンチから4ヶ月で達成したのだそうだ。ネットカフェのユーザを魅了する動画やゲームは、Goyoo のセンターサーバから各店舗の蓄積サーバに配信されており、その量は毎日約3GBに及ぶ。

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AdPro が既存のアドネットワークと大きく違う点は、個人の属性がこの上なく細かく特定できることだ。Cookie などを使う方法とは異なり、ネットカフェでは利用に際して身分証明書の提示を求めるため、極端に言えば、誰がどのサイトを見ているかを把握でき、広告主は誰にどの広告を見せるかをより細かく選択できる。サイトを横断してユーザの動きをトラッキングすることも可能だ。

Goyoo は百度(Baidu)のパートナーDSPとしては世界最大で、現在のユーザカバレッジは約2,500万人。同社ではインプレッション、カバレッジ共に、2014年の春節(1月31日)までには、ほぼ倍の数字に達すると見ている。

今後はユーザのスマートフォン・シフトにあわせて、新サービス LeWifi を展開し、これを i8 以外のネットカフェやファーストフード店などに無料で配布する計画だ。LeWifi は、シスコのルータ Meraki に似て、完全にクラウド側でルータを管理制御することができ、トラフィックに連動して、このルータを配置してくれた店舗にはレベニューシェアする計画だ。2014年の売上目標は3,000万ドル、1日あたりの利用ユーザ数1億人を見込んでいる。LeWifi のルータは、中国全土 5万〜20万店舗に配置する。

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喜宝動力(Xibao)

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喜宝CEO Alex Farfurnik氏

中国随一のEコマースサイトは、言わずと知れた「淘宝(Taobao)」だ。Amazon がアメリカのEコマース全体に占めるシェアが15%であるのに対し、淘宝は中国のEコマースの80%のシェアを持ち、その取引量は中国の全GDPの2〜3%に匹敵する。

淘宝は、プラットフォーム上に店舗を開設するための出店料がビジネスモデルと思われがちだが、実際には、その収入の多くを、店舗が自らのオンラインショップにユーザを誘導するための、サイト上に掲出した広告の料金から得ている。先頃、Yahoo! Japan が出店料を無料化したが、淘宝はこの流れに先行しているという見方もできる。

「淘宝村」と呼ばれるEコマースで生計を立てる街が中国各地に生まれるなど、多くの人が淘宝上にショップを開設しているが、彼らの多くは淘宝でモノを売るノウハウを持っていない。淘宝の広告プラットフォームを使うのが効果的だが、喜宝はそのためのソリューションを店舗オーナーに提供しており、システムによる最適化で広告出稿先の管理を支援する。

ロシア人とイスラエル人の両親を持つ、エネルギー感あふれる共同創業者 Alex Farfurnik によれば、料金は毎月定額制で、出稿する広告予算にあわせてパッケージを3つ用意している。料金は、フリーミアムが0〜100人民元(約1,700円)、スタンダードが1,000人民元(約17,000円)、VIPが15,000人民元(約25.2万円)+成果報酬。ローンチから17ヶ月が経過したプロダクト「超級車手(Super Driver)」は、有料プランを選ぶ顧客が4万社を超え、これまでに喜宝を経由して淘宝に支払われた広告料金は1.5億ドル(約150億円)にも上る。

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「独身の日(光棍節)」の11月11日を中国のネット業界はEコマースの日と位置づけている。この日だけで、淘宝傘下の天猫は350.19億元(約5,603億円)の売上を達成。楽天の優勝セール時の売上(1,426億円)の3倍以上である。写真はその際の天猫のモニタリングルームの様子。

もともとは中小企業を対象に始めたサービスだが、淘宝の広告パートナーとして最大規模となった現在、淘宝からの要望もあって、大手企業にもサービスを提供するようになり、男性ファッション大手の Jack & Jones は広告予算ゼロだったのが、喜宝経由で淘宝に広告を出稿するようになり、アウトドア用品の探路者(ToRead)は広告予算6,000万円相当全額を、喜宝に委ねて広告出稿を管理するようになった。現在、騰訊(Tencent)、奇虎(Qihoo)、京東商城(JD.com)、百度(Baidu)と提携関係にある。

淘宝でモノを売る店舗に消費者を誘導する場合、淘宝上に広告を出稿するのが一般的だが、例えば、淘宝のB2Cプラットフォーム天猫(Tmall)では、天猫に広告を出稿するより、奇虎に広告を出稿して消費者を誘導した方が(つまり外部のトラフィックを買った方が)、50倍コストパフォーマンスが高いというケースがあった。トランザクション、広告ROI など、すべての値を見ながらよい出稿先を制御するようにしている。

2014年には2つのアプリをリリースし、フリーミアムアカウント10万件を獲得したいとしている。

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11月11日の夜、TechTemple に泊まり込んで、サービスの運用を続ける喜宝のスタッフ。毎年この日は、昼夜臨戦態勢とのことだ。

課程格子(ClassBox)

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課程格子(ClassBox)のピッチをする、CEO李天放氏

学生が受講している講義の時間割を管理する上で、iPhone にデフォルト搭載されたカレンダーでは機能が十分ではない。どの講義をいつ受けるか、時間割を確実に捕捉するのは至難の技だ。そう考えた CEO の李天放氏が10日間かけてアプリのプロトタイプを作ったところ、3,000人が使ってくれたのが「課程格子」の始まりだ。

2012年9月にバージョン2をリリース。このバージョンでは UI を改善し、ウェブスクレイピングで、中国国内ほとんどの大学のサイトから講義の時間割を自動取得できるようにした。この機能を実装してから多くのユーザが使ってくれるようになった。同様のアプリは他にも存在するが、「課程格子」では講義情報の取込と登録が1分で完了する。それが有効に働いて、他アプリとの差別化につながったようだ。

リリースから1ヶ月で、中国全土500大学の100万人の学生が使うようになり、彼らが1,000万件の講義情報を登録するようになった。こうして、次第に「課程格子」は講義の時間割を管理するだけのアプリから、大学生のキャンパスライフをコーディネイトするアプリへと変貌を遂げて行った。

中国の大学では毎年9月に新年度を迎えるが、それに合わせて今年9月にはバージョン3をリリースし、大学生の将来のビジョン形成を助けるような取り組みを始めた。700大学には「課程格子」のファンコミュニティが存在し、彼らは勝手連的にアプリのことを宣伝してくれている。その結果、「課程格子」は中国で大学生に効果的にアプローチできるメディアとして認識されるようになり、ファッションコマースの凡客誠品(Vancl)や Evernote が資金を提供する形で、各大学に課程格子のポスターを掲出することができた。

「今、講義を受けていなくて、同じ大学の暇な学生は誰?」

「明日はどの講義が比較的空いている?」

次なる展開は、そんな検索をアプリ上で簡単に実現できるようにすることだ、とCEO の李氏は語った。

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凡客誠品(Vancl)や Evernote の提供で、課程格子(ClassBox)が中国全土の大学に掲出したポスター。

ここまで4社のスタートアップを紹介したが、いかがだっただろうか。TechTemple に集まっているスタートアップは、売上やユーザ数の規模において、我々がよく目にする日本のスタートアップの指標よりも一桁大きい。今回のピッチに聞き入っていた人々からも、紹介される数字に度々圧倒される様子が見て取れた。

次稿では、引き続きピッチを繰り広げたスタートアップ各社の紹介と、TechTemple に集まる起業家から聞いた、北京のコミュニティの最新動向を中心に取り上げたい。

第2部に続く)

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日本の会計スタートアップFreeeが、Infinity Venture PartnersとDCMから2.7億円を調達

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※この記事は英語で書かれた記事を日本語訳したものです。英語版の記事はコチラから。 東京に拠点を置くクラウド・スタートアップのFreeeは今日、Infinity Venture Partners と DCM からシリーズAラウンドで2.7億円を調達したと発表した。これは以前、12月に DCMから5,000万円をシード資金調達したのに続くものだ。今回の資金調達にあわせ、同社は社名をCFO株式会社からF…

※この記事は英語で書かれた記事を日本語訳したものです。英語版の記事はコチラから

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東京に拠点を置くクラウド・スタートアップのFreeeは今日、Infinity Venture PartnersDCM からシリーズAラウンドで2.7億円を調達したと発表した。これは以前、12月に DCMから5,000万円をシード資金調達したのに続くものだ。今回の資金調達にあわせ、同社は社名をCFO株式会社からFreeeに変更する。

3月にローンチしたとき、CEO の佐々木大輔氏は初年にユーザ1万人獲得を目標にすると話していた。驚くべきことにユーザ獲得のペースは早く、この4ヶ月半で6,500人のユーザを獲得しており、これは当初の予想より1.7倍速いスピードだ。当初シリーズA資金調達を今年末に予定していたが、サービス拡大とユーザ成長を後押しすべく、時期を早めることにした。

調達した資金の用途は、新たなスタッフを雇用し開発体制を強化することにある。佐々木氏によれば、彼らのユーザは多くのフィードバックを寄せており、それに応じて、機能追加やユーザインターフェースの改善を行って来ている。このような努力が新規ユーザ獲得につながっていると考えられ、反応の速いチームを作ることが彼の最優先課題だ。

同社は今後のビジネスの方向性について、3つのトピックを掲げている。サードパーティー・サービスへのオープン化、コラボレーティヴ・ワーク、よりよいユーザ・エクスペリエンスの提供だ。

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Freee の CEO 佐々木大輔氏

サードパーティー・デベロッパに接続を促すべくAPIを開発する計画で、サードパーティのプラットフォームと力を合わせることで可能になる機能強化につながるだろう。ユーザ・エクスペリエンスの改善のためには、タブレット・デバイス向けのネイティヴアプリの開発を検討している。これを使えば、ユーザは居場所に関係なく、売上や経費の記録や整理ができるようになるだろう。

読者の中には、Freee が5月、日本の Infinity Ventures Partners が主催するカンファレンス Infinity Ventures Summit で優勝したのを覚えている人もいるだろう。日本のスタートアップ・シーンでは、非常に多くの卓越したファイナンス・アプリが見受けられ、Freee はその中でもベストと考えてよいだろう。

二人の投資家と一人の事業家が出会い、日本にGROUPONが生まれたーーインフィニティ・ベンチャーズLLP

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投資家と起業家が運命の出会いを果たしたとき、この世の中にはそれまでにない変化が起こる。起業家は新しい価値を生み出し、投資家はその事業に賭ける。 日本には二人の投資家が一人の事業家と出会って生まれたベンチャーキャピタルがある。 インフィニティ・ベンチャーズLLP。そのポートフォリオにはGROUPONを始め、新進気鋭のスタートアップが並ぶ。彼らは起業家と並走することを好み、チームで事業を成功へと導く。…

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投資家と起業家が運命の出会いを果たしたとき、この世の中にはそれまでにない変化が起こる。起業家は新しい価値を生み出し、投資家はその事業に賭ける。

日本には二人の投資家が一人の事業家と出会って生まれたベンチャーキャピタルがある。

インフィニティ・ベンチャーズLLP。そのポートフォリオにはGROUPONを始め、新進気鋭のスタートアップが並ぶ。彼らは起業家と並走することを好み、チームで事業を成功へと導く。

国内有数のネット企業トップを集めるイベントを開催し、世の中にインパクトを与える事業を生み出している彼らはどのようにして出会い、投資を続けるのか。

インフィニティ・ベンチャーズLLP(以下、IVP)の共同代表パートナーである田中章雄氏、小野裕史氏、小林雅氏の三人に、彼らの出会いと投資スタイルについて話を聞いた。(文中敬称略)

狙われた「事業家」

–投資家ばかりという構成ではないお三方ですが、どのようにして出会ったのですか?

田中:マクロメディアに在籍していた時代、当時のCNET Japan編集長で私の取材担当だった山岸さん(グリー取締役執行役員副社長の山岸広太郎氏)が書いていた「グリー日記」がきっかけなんです。

小林:山岸さんが田中さんと会ったことを日記に書いていて、それを読んだんです。当然マクロメディアで事業投資をされている方なので興味あるじゃないですか。その山岸さんがグリーに移籍されたので、その”つて”で紹介してもらった、というわけです。

–グリー日記というのがまた渋いですね(笑。小野さんは畑が違うようですが。

小野:2006年に現在のIVS(インフィニティ・ベンチャーサミット)の前身となるNILSにスピーカーで参加して出会ったのが初めてかな。

小林:田中さんとシリコンバレー型の投資をやるには、事業経験があってモバイルに強くて、それにナンバー2というポジションにいてる人と一緒にやりたい、と盛り上がっていたんです。それで小野さんの名前が挙りました。

小野:NILSからしばらくして、2007年の1月に開催されたアフターパーティーに参加した時のことです。私は日本展開を発表したばかりのバイドゥのロビン(Baidu,Inc. 会長兼CEOのロビン・リー氏)が来日してたので、彼の質問に答えてたんです。そしたら突然ですよ。田中さんと小林さんに囲まれて「一緒にやりませんか?」って言われて(笑。

当時私が在籍していたシーエー・モバイルは中国展開に苦心していました。何としてでも中国に展開したい。そんな時にこの二人は中国と日本で何かを企んでるらしい。じゃあ、やろうかとなったのが始まりですね。

田中:個人的に仲良しで会ったりとかそういうのはなくって、IVSやるまでは立ち話程度だったよね(笑。

三人全員が投資担当の「IVPスタイル」

–それでIVPを立上げた

田中:小林さんだけ先に辞めちゃったよね。

小林:みんなが辞めるタイミングで立上げないとインパクトないじゃないですか。その前に個人の会社を設立したりしてましたが、まあ、みんなが揃うまでの一年間は「プー太郎」やってましたね(笑。

小野:お互い辞めるのが簡単なポジションじゃなかったので、しばらくは交流したりコンセプトを固めたりしてました。実際にやってみたら言ってることと違ったりして、やっぱり一緒に仕事しないと分からないことも沢山ありましたね。

–役割分担とかどうなってるのですか?

小林:他のベンチャーキャピタルと決定的に違うところは完全な分業制を取っているところです。一案件に一担当というスタイルじゃなくて三人全員が担当。

クラシックタイプのVCは丁稚奉公でイチからキャピタリストを育てるんです。自分もここまでくるのに10年かかりました。でも考えてみたら、事業経験ある人とファイナンスに強い人間がセットで対応した方が効率的。シリコンバレーでは当然のスタイルなんです。

創業段階から事業を作っていくことが出来るのがユニークな所でしょうか。事業経験はあっても初期段階で数億円レベルの資金を必要とする事業は、創業段階からファイナンスのことを考えないと難しいです。

小野:メインはいますが、例えばファイナンスや人事については小林、事業の部分では私、海外との案件の場合は田中の交渉力が活用できます。

田中:仕掛けていくスタイルですね。GROUPONの時もそうでした。三人でいつもこういうマーケットは面白そうだよね、とかこのビジネスモデルはどうだろうとかよく話してます。そういうアイデアにマッチするチームがいれば、そこに投資した方が早いですが、そうでない場合は作っちゃった方がいい。これは通常のVCではやらないことでしょうね。

小林:日本ってスタートアップの競争が少ないんです。まだまだ空白地帯が沢山ある。何をやりたいか明確な人は少ないけど、なんとなくやりたいという人は沢山いるんですよね。

–シードやアーリーに近づけば近づく程、案件数を増やそうというスタイルが多いですよね。

小林:YCombinatorの影響はやはり大きいかもしれませんね。ただ、自分たちと違うスタイルでアプローチされる方も当然必要です。例えばIVPでは10件の案件があれば、8件は立上がっていく。こういうハンズオンができるのが強みであり、逆に数をこなせないという側面もあります。なので、数を広げるというアプローチの方々も必要な存在だと思ってます。

2日間の勝負ーーGROUPONという奇跡

–これまでで印象に残った投資案件は

小野:やはりGROUPONです。田中が海外の人脈からこのビジネスモデルと出会ったのがきっかけですね。

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田中:当時は二人にも理解されなかったけどね(苦笑。これってネットプライスが提供しているギャザリングと何が違うの?とか。

小野:実際の数字を見てみるとヤバい。既に日本にはいくつか登場していたけど、営業力が勝負だということは分かっていました。じゃあ友人で過去ずっとライバルだった廣田さん(GROUPON創業者、パクレゼルヴ代表取締役会長の廣田朋也氏)に声をかけたら3分で『やろう』ということになりました。それで小林が持ちだしたIVSの参加者リストから幹部クラスを集めて、出来たのがグルーポン・ジャパンの前身であるクーポッドでした。

田中:さらにGROUPONのM&A担当者が日本にやってくるという情報を、彼らの来日2日前に知ったんです。8社ほどあった同様のサービスとミーティングが設定されていて、そこに実はクーポッドは入ってませんでした。

なんとか話をして入れてもらいましたが、用意した資料は4枚程、まだ会社もなかった頃の話です。でも最後に彼らから「あなたたちと一緒にやりたい」と言ってもらえて。

実はヨーロッパで展開している私たちの姉妹ファンド経由で、どういう箇所がキーになっているのか情報が入ってきていました。結果として日本でその情報を元に再現ができたので立ち上がりも早かったですね。

小野:当時は自分もすっかり入り込んでいて一日20人ほど面接してました。他の競合サービスもデイリーディールじゃなかった頃で、半月分のディールインベントリを確保したり、100人や200人という営業部隊のオペレーションを回したり、この辺りは過去の事業経験がやはり役に立ったといえるでしょう。後発でしたが、勝てる自信はありましたよ。

小林:大手が参入してくる件も事前に情報をキャッチして、断片的な情報から考えられる先手を打つ。常にそういう競争の仕方を意識してました。

起業家と投資家

–投資家と起業家ってどういう関係性だと思いますか

小野:投資家は起業家に対して、ビジネス上の実利はもちろん、違う目線など、お金以外に何を提供できるかが重要と思います。両方の経験があるので言えるのですが、経営者と幹部にも似たような関係はあると思います。

田中:ステージによっても違いますよね。このアーリーな舞台では起業家との関係性が近くなるし、同じ言葉で話ができる。

小林:投資家の中にもサラリーマン的な人もいれば起業家っぽい人もいますよね。勤め人なら案件を多くやらないといけない、とか。ただ、起業家と投資家って本質的には一緒で、大きな視点で見れば人事異動で行ったり来たりできるものじゃないかなと。日本ももっとそうなればいいと思いますね。

–ありがとうございました。

学生起業家(志望)の方、話聞かせてもらえませんか?ーー大学生選抜「IVSサマーワークショップ」6月28日、29日に開催

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今年もまたこの季節がやってきた。IVSサマーワークショップだ。招待制カンファレンス「インフィニティ・ベンチャーズ・サミット」の内容を学生向けにアレンジした「選抜制」ワークショップイベントで、選ばれた大学生(院生含)は無料でこのイベントに参加することができる。 参加予定者数は500名ほどで、SD Japanもメディアパートナーとして参加予定だ。 参加を希望する学生は、参加志望動機や自己紹介などをこち…

今年もまたこの季節がやってきた。IVSサマーワークショップだ。招待制カンファレンス「インフィニティ・ベンチャーズ・サミット」の内容を学生向けにアレンジした「選抜制」ワークショップイベントで、選ばれた大学生(院生含)は無料でこのイベントに参加することができる。

参加予定者数は500名ほどで、SD Japanもメディアパートナーとして参加予定だ。

参加を希望する学生は、参加志望動機や自己紹介などをこちらに書き込んでぜひ選抜を目指して欲しい。公式のfacebookページがこちらにあるので、詳しいプログラムなどはこちらで確認して欲しい。

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登壇者(一部抜粋)の顔ぶれ。一度にこれだけの面々と会える機会は貴重。

ところで、折角大量の学生さんたちとお会いできる機会なので、もしスタートアップしている、もしくは予定している方がいれば、ぜひ声を聞かせて欲しい。周囲の起業家にも学生起業の経験者がいるが、如何せん既に時間が経過してしまって学生起業時代の青臭さが抜けている場合が多いのだ。

今の学生起業家志望の方は本当に草食系とかそういう感じになってしまっているのか、それともやっぱり起業家らしく脂っこいのか、ぜひ生の声を拾いたいと思っている。

取材されてもいいよ、という学生の方は直接私のfacebookTwitterなんかでメッセージ頂ければ幸いだ。当日取材している私を捕獲してもらってももちろん構わない。ぜひお待ちしている。

Infinity Ventures Summit Summer Workshop 2013 開催概要

(インフィニティ・ベンチャーズ・サミット サマーワークショップ2012)
略称: IVSサマーワークショップ2013
日時:2013年6月28日(金)13:00 – 20:30、2013年6月29日(土)9:00-21:00 (予定)
参加予定者:500名
費用:無料(対象:2013年6月時点で大学生・大学院生の方)
*懇親会費は別途2000-4000円を徴収する予定
会場:慶應義塾大学日吉キャンパス 協生館2F 藤原洋記念ホール
主催:インフィニティ・ベンチャーズLLP、KBC実行委員会

[翻訳News] インフィニティ・ベンチャー・パートナーズの田中章雄氏が語る「日本から中国への投資戦略」

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【翻訳 by Conyac】 【原文】 近頃、私は日本のインフィニティ・ベンチャー・パートナーズのマネージングパートナーであり、共同創始者である田中章雄氏にインタビューする機会に恵まれた。私は彼のバックグラウンド、投資哲学、そして他にもインターネットにおけるバブル成長は存在するのかをたずねた。 AdobeからVCへ 田中章雄氏は、以前はマクロメディア日本法人の最高技術責任者だった。彼は、日本とアジ…

【翻訳 by Conyac】 【原文】

近頃、私は日本のインフィニティ・ベンチャー・パートナーズのマネージングパートナーであり、共同創始者である田中章雄氏にインタビューする機会に恵まれた。私は彼のバックグラウンド、投資哲学、そして他にもインターネットにおけるバブル成長は存在するのかをたずねた。

AdobeからVCへ

田中章雄氏は、以前はマクロメディア日本法人の最高技術責任者だった。彼は、日本とアジアにおける高速ブロードバンド、そして携帯電話のもの凄い速さの進化を目の当たりにし、本社(の経営陣)はこの発展する地域こそ投資に値すると確信した。そして、マクロメディアの最高経営責任者は田中氏に、アジアへの投資や企業の合併を行う米国での活動にすぐに参加するするように求めた。

その後、アドビとマクロメディアは合併した。その時のアドビはすでに、米国にのみに焦点を当てた投資基金は成功し続けていたが、実際、アジアへの投資に集中したいと考えていた。それで、田中氏はアドビにおけるアジア投資の責任者になったのだった。

その後2008年に田中氏は、彼自身のファンドを2人のパートナーと共に立ち上げ、それが現在のインフィニティ・ベンチャー・パートナーズとなった。これは日本および中国の個人向けモバイルとネットのアーリーステージに焦点を当てたプライベートファンドだ。

「私たちはソーシャルネットワークのMixiやDeNA、日本で2番目に大きな通信会社KDDIや日本最大の広告会社電通、といった興味深い企業の方々に支えられる、いわゆる事業会社を背景にもつファンドで、GREEとも関係があります」と田中氏は語る。

昨年、インフィニティ・ベンチャー・パートナーズは後にグルーポン・ジャパンとなる企業の元を作り出した。「わたしたちはゼロから創造します」ー彼らの投資哲学は「探索と征服」だ。

「5年から10年前の日本のインターネットとモバイル産業で起こったことを知ることで、私たちは特定のマーケットにはチャンスがあると感じました。例えば、私たちがグルーポンビジネス知ったときはまだ日本においては未知数でした。もしそこに優れたチームがあればマーケットで優位に立つことができるわけですから、会社を作ったというわけです」

「今年はクレイグリストや58.comなどのような広告サービスを立ち上げています。この分野にはだれも参加していないからです。私たちは望む特殊なマーケット分野を掴んでいるので、もしそこにすでに取り組みをはじめているアーリーステージの企業があれば手を組みたいと考えています。もしそこに誰もいないなら、私たちが創るまでです。立ち上げは力強くおこないますが、その後は干渉しません」

このチームは2年半前にソーシャルゲームの波が日本にくると判断した時と同じ戦略を繰り返しているのだ。日本のゲームプレイ人口はスケールするにはあまりにも少なすぎたが、中国で目にしたものには好感を持っていた。だから結果的に結果的にRekooに投資したのだ。「私たちは彼らを日本に持ち帰り、Mixiと一緒に立ち上げることにしました。そしていま彼らは日本で一番のソーシャルゲーム会社になっています。現在(スタッフが)350人いますが二番手の競合はたった50人です」

起業家に期待するもの

  • 経験があること –「私たちは起業経験のある人が好きですね。なぜなら成長するネット会社で経験する苦痛は価値があるからです。たとえば、私のパートナーがGREEの創業者に投資した理由は、彼が当時すでに日本の楽天という成功していたEコマース会社の一員で、この人物がいわゆる『新人起業家』ではないと分かっていたからです」
  • 若さ – 30歳未満であること
  • 製品と市場に焦点をあてていること –「最初の製品を立ち上げるときに大変重要なことだからです」

中国への投資

同社はまた、最近、Tencent(騰訊)も投資しているMocaと呼ばれる携帯端末上のソーシャル・MMORPGに投資している。彼らは、数百万人もの驚異的なユーザーを抱え、かつ収益性が高く、加入者一人当たりのよい月額売上(ARPU)をほこるTencentのプラットフォーム上で、最も成功しているサードパーティーのゲームサービスを始めた。Tencentは後にRekoo(热酷)の戦略的投資家にもなっている。

インターネットバブルはまだあるか?

「私は、中国の会社がまだ強い景気動向をもっているので、2000年や2001年ののようなバブルがあるとは考えてません。私は本当にここでやってるEコマース事業者や、ゲーム会社が強い収益基盤を持っていることに好感を持っています。個人企業のVCサイドとしては、いくつかの企業価値評価は特にシリーズAやBで馬鹿みたいなことになってます。会社を始めようとするのであれば、そのことを考えちゃいけませんよ」

【via Technode】 @technodechina