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保険契約・保険請求のスマートコントラクト化を進めるInmediate、日本市場に進出へ——三井住友海上や新興保険会社FWDらとPoC運用で協業も

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損害保険ビジネスを効率化する過程では、被保険者とのタッチポイントにおけるコストをいかに圧縮するかが一つのテーマだ。損害保険会社にとって被保険者とのタッチポイントは、契約時と事故発生時の保険請求の2つ。このうち、前者の「契約時のタッチポイント」については、従来の保険外交員や代理店を通じた保険契約に代え、オンラインや電話契約などにより効率化されるようになった。残る「保険請求時のタッチポイント」をいかに…

損害保険ビジネスを効率化する過程では、被保険者とのタッチポイントにおけるコストをいかに圧縮するかが一つのテーマだ。損害保険会社にとって被保険者とのタッチポイントは、契約時と事故発生時の保険請求の2つ。このうち、前者の「契約時のタッチポイント」については、従来の保険外交員や代理店を通じた保険契約に代え、オンラインや電話契約などにより効率化されるようになった。残る「保険請求時のタッチポイント」をいかに効率化するかは、損害保険会社においては技術進化が期待されるフロンティアと言えるだろう。

Inmediate は、まさにこのテーマに一石を投じようとしているブロックチェーンスタートアップで、シンガポールを拠点にスマートコントラクトの技術を元にした保険引受・保険請求のしくみを開発している。保険引受・保険請求に関わる80%程度の契約事務手続を自動化し、ブロックチェーンを使っていることから、より透明性の高くコントローラブルな保険のしくみを広めることを目指しているという。

Inmediate の創業者で CEO の Otbert de Jong 氏は、THE BRIDGE とのインタビューに次のように語った。

我々は技術の会社なので、自らサービスを提供することはしない。保険に関する規制は国によって違うので、各国でサービスを提供する保険会社に、我々の技術を提供していく。今後1年くらいの間には、我々のしくみを使った保険会社がサービスの提供をはじめ、5年から10年後には既存の損害保険システムがリプレイスされていくのではないだろうか。

保険引受や保険請求の自動化には、データの蓄積と IoT 機器の普及スピードが大きく関わることになる。Otbert 氏は例として、スキー場の降雪量を自動計測して送信してくれる IoT 機器が普及すれば、スキー客が事故に備える保険引受や保険請求に関わる契約も自動化できるようになるだろう、と説明してくれた。

保険会社にとっては、より革新的なハイテクな技術を提供することになり、被保険者にとっては、より透明性が高く早く安い保険を提供できるようになる可能性がある。(Otbert 氏)

Inmediate は現在、技術開発を伴うパイロット運用のフェイズであるため、協業する保険会社は5社以下に絞っているとのこと。今年はじめには、香港の大富豪 Li Ka-Shing(李嘉誠)氏の子息で Pacific Century Cyberworks の創業者として知られる Richard Li(李沢楷)氏率いる新興保険会社 FWD(富衛)提携、また、先月には三井住友海上とパイロット運用に関わる覚書を取り交わした。現在、アメリカの保険会社(名前は現時点で非開示)とは契約締結の最終局面にある。

Inmediate では先週7月18日から22日にかけて、独自トークン「DIT」のパブリックセールを実施した。調達した金額詳細などは明らかになっていないが(調達目標額はソフトキャップで500万米ドル、ハードキャップで1,600万米ドル)、前出した保険会社のうちのいくつかは、このパブリックセールへの参加を通じて Inmediate へ出資の意向を明らかにした模様だ。Inmediate では今後、2018年第3四半期中に PoC プロダクトを3つ発表し、年内には高スループットブロックチェーンネットワーク Zilliqa 上で動作可能な dApp(非中央集権型アプリ)をリリースしたいとしている。

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