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Hardware Cup 2018 世界大会 in ピッツバーグ参加報告——日本から、ハチたま、チャレナジー、スマートショッピングが参加【ゲスト寄稿】

本稿は、「Monozukuri Hub Meetup」を主宰する Makers Boot Camp でマーケティングを担当する Sabrina Sasaki 氏による寄稿を翻訳したものである。 オリジナルはこちら。 Makers Boot Camp は京都を拠点とするハードウェアに特化したスタートアップアクセラレータである。 ニューヨークの FabFoundry が Hardware Cup の日…

本稿は、「Monozukuri Hub Meetup」を主宰する Makers Boot Camp でマーケティングを担当する Sabrina Sasaki 氏による寄稿を翻訳したものである。

オリジナルはこちら

Makers Boot Camp は京都を拠点とするハードウェアに特化したスタートアップアクセラレータである。


Hardware Cup 2018 の上位入賞者:Somatic Labs(1位)、Lilu(2位)、Lumir(3位)
Photo Credits: Foo Connor and Jekko.com

ニューヨークの FabFoundry が Hardware Cup の日本国内イベントの共催を持ちかけてきた2016年以来、私はハードウェアスタートアップのサポーターとして、その本家イベントである AlphaLab Gear Hardware Cup に注目してきた。そのアイデアは(グローバルイベントが開催される)ピッツバーグに送る日本候補を選ぶだけでなく、日本の起業家を鼓舞すべくエコシステムにおけるギャップや機会を認識することを目的としている。

AlphrLab Gear は2019年以降の新しい国際ハブ開設に向け活動を始めている。

スタートアップ40社が上位入賞を目指して競い合うアメリカ地域予選には、すばらしいエンゲージメントがあった。ハードウェアは依然として道のりが長く、より費用がかかり、それを生き抜く道には困難を伴うが、強力な候補者として登壇したスタートアップたちは、アメリカのエコシステムが他のグローバルハブにとってよい事例になることを証明してみせた。

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ハードウェアスタートアップは、強力で経験豊かなサポーターの助けを借りて、チーム内で多くの反復作業を行う必要がある。地元ハブの協力こそが、アイデアを形にするソリューションにコミットする起業家にとって、重要なファクターとなる。

Source: HAX Hardware Trends 2017

ハードウェアスタートアップのビジネスは、(他のスタートアップ業種よりも)それをサポートしてくれる連携エコシステムに大きく依存します。ソフトウェアスタートアップがブートスラップ時に持つ俊敏性を頼りにはできません。

これがもし疑わしいなら、Kickstarter の推奨事項をチェックしてみるといい。クラウドファンディングをする際に受けられる承認された支援を見つけられるだろう。

Kickstarter の CEO 兼共同創業者の Yancey Strickler 氏は TechCrunch に次のように語っている。

時として、ハードウェアプロジェクトが実現を失敗すると、それが見出しになることがあります。

スタートアップについては多くのことが語られてきたが、「十分に成熟したハードウェアエコシステムは、さほど多くない」というのが現実だ。

我々にとって大きな課題は、ハードウェアスタートアップがどこに向かっていいかわからないハブをフォローアップし続けることだ。AlphaLab Gear Hardwaere Cup は、別のエコシステムがどうであるかを知る上で最良の機会を提供してくれる。

AlphaLab Gear Hardware Cup に来年参加すべき理由はいくつかある。

1. Innovation Works のあるピッツバーグで開催されるから

ピッツバーグ出身の多くのスタートアップが、多数のマイルストーンを達成したことは偶然ではない。民間資本や地元政府の努力に加え、カーネギーメロン大学がロボティクスやコンピュータサイエンスといった、IoT 関連分野の学生、教授、専門家をもたらしたことで、ピッツバーグは鉄生産から真のイノベーションハブに移行することができた。そこでは、以前は倉庫だった場所がスタートアップの本社工場に生まれ変わっている。Uber、Google からソニーのような企業まで、トップの R&D チームがピッツバーグと親密な関係を構築している。この変化は、多くの起業家やメンターが牽引する形で長期にわたって続いている。

我々が京都で開催した学生ミートアップでは、Innovation Works の Jeff McDaniel 氏は、ピッツバーグが提供できるユニークな優位性について話してくれた。

ピッツバーグは、協業するインキュベータ、アクセラレータ、VC が数をふやしながら、相互に接続された地元スタートアップエコシステムを成長させることで、その地位を活用してきたようだ。Innovation Works のようなプレーヤーの努力によって、ピッツバーグは世界で最もアクティブなシードインベスターの街となった(下図参照)。

Crunchbase のシードインベスター上位では、ハードウェア特化のアクセラレータは HAX と Innovation Works のみ

2. チャイルドケアが無料で提供される街で、女性の活動や挑戦がエコシステムを牽引

IEEE N3XT® が組織したスタートアップ環境における文化、多様性、包摂、成功的拡大に関するパネルディスカッションで、登壇者らはテックとエンジニアリング主導のスタートアップコミュニティによって、女性に学び、つながり、コラボレーションする機会がもたらされたと語った。

男性が支配する環境が多い中で、女性のプロフェッショナルをどうやって力づけるかについても議論が多くなされたが、子供の面倒を見てもらえる体制はあっても、ステージでピッチする女性参加者を支援するイベントは多くない。

Flexable無料のチャイルドケアを午後5時から10時まで提供していた。参加者は登録すると無料で利用できた。

一方、ブラジャーにつけた革新的なポンプシステムを使って(母乳育児期間以外でも)母親を支援する自動圧縮ブラを開発したスタートアップ Lilu は、特別賞を受賞した。

3. 韓国女性が牽引するスタートアップが2位を受賞

アジアのスタートアップの話と言えば、多くの人の関心は中国に向かう。ハードウェアイノベーションにおいては、深圳が世界のグローバルハブだからだ。

韓国の Hardware Cup については聞いたことがないかもしれないが、こちらは N15 によって組織され、今年はアジアにも賞がもたらされた。

エンジニアの Jehwan Park 氏が設立した Lumir は、電力コストを下げることで、より多くの人々が電力を利用できるようにすることを目指している。同社は熱を電力的な光に変えるランプを作った。このティーキャンドルをエネルギー源とする LED ランプは Kickstarter 上でデビューし、得られた利益は発展途上国でも手の届く価格で購入できるケロシンをエネルギー源としたデバイスの開発に使われる。

4. スマートトイレと猫に対する、日本らしいパッション

日本のスタートアップの大半が仮想通貨や SaaS に特化する傾向にある中、日本は将来を再考させてくれる歴史的なオタクらしさをもたらした。日本予選で優勝したハチたまは、日本の最も人気のある世界貢献——スマートトイレ、エレクトロニクス、猫へのパッション——を具現化したものだ。同社は、世界初の猫用 IoT トイレ「TOLETTA(トレッタ)」を紹介した。

ハチたまが世界初の猫用 IoT トイレ「TOLETTA(トレッタ)」を紹介
Photo by Kathleen Lassiter, IEEE

5. 手軽にコーヒーが変える体験に特化したブラジル人

ラテンアメリカには、ハードウェアスタートアップ向けたハブは多くない。UNA Smart は、依然としてコーヒーが王様とされるブラジルらしさをもたらしたのに加え、環境にやさしいカプセルとボトルを組み合わせたことで、都市に住む忙しい人々にコーヒー体験の改善とパーソナル化を提供し、時間を節約し、ホット/コールドドリンクにフレーバーを加えることができるようにした。

今年はスタートアップイベント Get in the Ring のブラジル版からも、ハードウェアスタートアップ1社が Hardware Cup に送られた。驚くべきことに、ブラジルの選抜者リストにはハードウェア候補者は多くなかった。

5. 2017年の優勝スタートアップ Vagenie が登壇し、直近のアップデイトを披露

Vagenie の CEO 兼創業者 Julia Rose 氏は、昨年の Hardware Cup 優勝以降の体験を共有し、彼女の次のステップが、現代風のケーゲルフィットネスとトラキングソリューションを市場に投入することだと語った。

これはまさに、膣圧向上のための Fitbit だ。

彼女は、アメリカ予選スタートアップから日本予選スタートアップ(チャレナジースマートショッピング)まで、スタートアップのショートピッチを紹介した。

6. 多様なバッググラウンドを持ちつつ、ハードウェアに特化した審査員たち

我々の大半は、ハードウェアスタートアップのローンチが何を意味するか、本当のところは理解できていない。日頃からハードウェア起業家を理解している投資家やメンター集団を組織すれば、Q&A セッションによりダイナミックなペースをもたらす。審査員らは発言の機会を活用したいと熱望していた。

7. ピッチのあとは、#PartyLikeAnEngineer

非常に多くのピッチの後、選ばれし聴衆のために飲み物や食べ物が振舞われ、ネットワーキングを楽しんだ。

8. 来年はぜひご参加を!

新しいハードウェアスタートアップハブの話を聞けるのを楽しみにしている。ハードウェアスタートアップにいる人は、我々とコラボレーションできる方法を教えてほしい。

ピッツバーグで開催される、2019年 Hardware Cup でお会いしましょう。

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モノづくりスタートアップが世界中から集まった「Hardware Cup」——日本からQDレーザ・PLENGoer Robotics・VAQSOが参加【ゲスト寄稿】

本稿は、大阪を拠点に活動するマーケティング PR プロデューサーの西山裕子氏による寄稿を THE BRIDGE が編集したものである。 2月9日に大阪で開催された Monozukuri Hardware Cup 2017 の上位入賞者が、アメリカ・ピッツバーグで4月19日に開催された International Hardware Cup 2017 に参加した模様を記録した。 なお、当該の入賞者は、…

本稿は、大阪を拠点に活動するマーケティング PR プロデューサーの西山裕子氏による寄稿を THE BRIDGE が編集したものである。

2月9日に大阪で開催された Monozukuri Hardware Cup 2017 の上位入賞者が、アメリカ・ピッツバーグで4月19日に開催された International Hardware Cup 2017 に参加した模様を記録した。

なお、当該の入賞者は、ニューヨークのハードウェア・アクセラレータ FabFoundry が4月17日〜18日に開催した Monozukuri Demo Day にも参加している(関連記事


Hardware Cup 2017に参加したファイナリストたち
Photo credit: Foo Conner | Jekko

ピッツバーグ開催の意義

Hardware Cup は、モノづくりに関わるスタートアップのビジネスコンテストです。過去3年アメリカ国内で行われ、今年は海外に拡大されました。2017年4月19日、アメリカの7都市、カナダ・インド・イスラエル・韓国・日本の予選を勝ち抜いた起業家12人が、この街にやって来ました。

主催するのは、全米トップランクのアクセラレータ AlphaLab のハードウェア部門である AlphaLab Gear。決勝のイベント会場も提供しています。ハードウェアとソフトウェアのスタートアップがアクセラレータ・プログラムの開催期間中、働くだけでなく交流する場として、使いやすくお洒落なオフィスが提供されています。

スタートアップ各社は個別の部屋をもっています
Photo credit: モノづくり起業推進協議会
交流を促すために共有スペースも用意されています
Photo credit: モノづくり起業推進協議会

AlphaLab Gear は、大学・産業界・行政・投資家などと連携し、ピッツバーグにスタートアップのエコシステムを創出しています。代表の Ilana Diamond 氏は、次のようにオープニングの挨拶をしました。

開催にあたり、多くの支援が得られたことに深く感謝します。財政的な基盤がないと、このようなイベントはできません。資金や会場を援助いただき、顧客となってもらうことがスタートアップの成長にとって、大変重要です。

今回のピッチコンテストは、企業や地域コミュニティをはじめ、多くのスポンサーが支えています。一位の賞金は、5万ドルの出資になります。

AlphaLab Gear 代表の Ilana Diamond 氏
Photo credit: Foo Conner | Jekko

ピッツバーグはかつて鉄鋼の街として栄えていましたが、1970年代、安価な鉄鋼の輸入が増え大打撃を受けました。しかしその後、ハイテク・保険・教育・金融へと産業基盤を転換し、カーネギーメロン大学など全米トップクラスの大学が研究を進め人材輩出をしてきました。今や Google や Apple、Uber などの先端企業がオフィスを開き、成長を続ける、注目の地方都市です。

次世代を創るか? スタートアップ12社のビジネスプラン

コンテストの審査員7名は、ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家で、スタートアップとビジネス経験が豊富な目利き達。そして、メディアや投資家、事業会社などから100名以上の聴衆が集い、その前で12社が自社のビジネスを4分プレゼンし、3分間の審査員の質問に答えました。

事業内容はモノづくりに関わるものの、業界も分野も多岐にわたり、「スーパーのレジで並ばないよう、スマホで精算をするシステム」「床ずれを早期に見つける器具」「乳幼児が息をしているか、熱はないか、モニタリングする器具」など、様々なビジネスのアイデアや将来性が、熱い思いで語られました。

床ずれの早期発見を目指すRubitection
Photo credit: Foo Conner | Jekko
乳幼児をモニターし乳幼児突然死症候群(SIDS)を未然に防ぐAllb
Photo credit: モノづくり起業推進協議会
多くの聴衆が固唾を呑んでピッチを聞くなか、審査員(手前)の緊張感は相当なもの
Photo credit: Foo Conner | Jekko

日本からは、網膜走査型レーザアイウェアの製造販売をする「QDレーザ」が参加し、英語で発表しました。このようなコンテストでは、アメリカ人のプレゼン力・表現力はかなり高く、日本人は英語力のなさもあり圧倒されがちです。

しかしQDレーザの事業開発マネジャー宮内洋宜氏は、ユーモアを交えた、なめらかな発表で聴衆を沸かせ、審査員からの質問に対し的確に回答しました。その技術力の高さや独自性は、高く評価されていました。

QDレーザの渡米に際しては、全日空がスポンサーとして、東京 – ニューヨークの往復航空券を手配していただきました。

QDレーザの事業開発マネジャー宮内洋宜氏
Photo credit: Foo Conner | Jekko
審査員からは矢継ぎ早に質問が飛ぶ。いかに3分で多くの疑問を解決するかが重要になる
Photo credit: モノづくり起業推進協議会

コンテストを制したのは?

12社それぞれ独自のアイデアを持っていましたが、優勝したのは、出産後の女性の骨盤底筋を鍛える器具とトレーニングソフトを提供する VaGenie。2人の子どもの母親である Julia Rose 氏が、ロスアンジェルスで2年前に作った会社です。元々女優をしていたという彼女の発表は、表情豊かで、産後の女性の体の衰えやタブーになっている問題の解決を目指すという、意欲に満ちたものでした。賞金の出資金5万ドルと、2017年5月末に台北で開催されるテクノロジーの展示会 COMPUTEX に参加する切符、トロフィーが贈られました。

優勝した Julia Rose 氏(左)と、審査員の Josh McElhattan 氏。彼の所属する Startbot VC が5万ドルを出資する
Photo credit: Foo Conner | Jekko

2位は、リストバンド型のウェアラブル・デバイスを使って健康管理を提供する Atlas で、賞金5,000ドルを獲得しました。3位は、ペットの飼い主が留守中に、スマートフォンを使ってボール型のおもちゃで遊ばせるサービスを提供する PlayDate です。

左から2位の Atlas の Peter Li 氏、優勝した VaGinieのJulia Rose 氏、3位の PlayDate の Kevin Li 氏
Photo credit: モノづくり起業推進協議会

ネットワーキングの夜は続く

コンテストの発表が終わった後は、ブース展示や交流の時が持たれました。日本予選を勝ち抜いた上位3社が出展しました。QDレーザに加え、パーソナルアシスタントロボットを開発している PLENGoer Robotics と、VR(バーチャル・リアリティ)のコンテンツと連動して複数の香りを表現する VAQSO です。それぞれが、自社の製品を展示ブースでデモンストレーションし、その魅力や可能性を訴えました。

QDレーザのブース
Photo credit: モノづくり起業推進協議会
PLENGoer Robotics のブース
Photo credit: Foo Conner | Jekko

VAQSO のブース
Photo credit: モノづくり起業推進協議会

スタートアップとそれを支える人々との熱気は、まだまだ冷めないようでした
Photo credit: モノづくり起業推進協議会
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