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85億円“新ファンド”は注目領域を15に拡大、三井不動産「31 VENTURES」

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本稿はKDDIが運営するサイト「MUGENLABO Magazine」に掲載された記事からの転載 企業の共創活動をリレー的にご紹介するコーナー、前回ご紹介した凸版印刷の共創事業を展開するトッパンCVCに続くのは三井不動産のベンチャー共創事業「31VENTURES(以下、31V)」です。 三井不動産の本業強化と事業領域の拡大を目指し、2015年に設立した50億円規模のファンド「31VENTURES …

写真左から:三井不動産の上窪洋平さん、山下千恵さん、江尻修平さん

本稿はKDDIが運営するサイト「MUGENLABO Magazine」掲載された記事からの転載

企業の共創活動をリレー的にご紹介するコーナー、前回ご紹介した凸版印刷の共創事業を展開するトッパンCVCに続くのは三井不動産のベンチャー共創事業「31VENTURES(以下、31V)」です。

三井不動産の本業強化と事業領域の拡大を目指し、2015年に設立した50億円規模のファンド「31VENTURES Global Innovation Fund 1号(以下、CVC1号)」を皮切りに、これまでアーリー期からレイタ―期の国内外のスタートアップ、約40社への投資を実行されています。

また、今年9月には85億円規模のCVC2号を発表し、2017年に設立した300億円の投資事業「31 VENTURES—グローバル・ブレインーグロースI」と合わせることで、その後の成長投資もできる構成を実現されました。(太字の質問は MUGENLABO Magazine編集部、回答は三井不動産ベンチャー共創事業部で31VENTURESを担当する上窪さん・江尻さん、山下さん)

31VENTURESの活動の経緯について教えてください

31V:長期の視点で国内の人口が減少していく中、将来的な不動産業の在り方に対して課題意識があり、オープンイノベーションの必要性は会社全体として感じていたのがそもそもの背景です。CVC発足以前よりオフィスの提供という形でスタートアップを支援していましたので、その接点の中で彼らとの共創には大きな可能性を感じ、本業の強化や事業領域の拡大を実現すべくCVC活動を開始した、というのが経緯です。

現在、3つの投資事業を運用されています

31V:はい、CVC1号ファンド(50億円)、CVC2号ファンド(85億円)と総額300億円の投資事業「31 VENTURES—グローバル・ブレインーグロースI」です。CVC1号・2号で協業可能性のあるスタートアップに投資をし、その後のグロースについても検討できる構成になっています。

CVC1号ではシードも対象にしていましたが、CVC2号ではこれまで以上に共創を生み出すことにフォーカスを当て、もう少し進んだアーリー期からミドルステージのスタートアップを対象にしているのが特徴です。これまでの活動を振り返り、三井不動産との共創を前提に考えるとプロダクトがある状態がやはりスムーズなのです。

領域として注目している分野は

31V:これまでは不動産テック、IoT、サイバーセキュリティ、シェアリングエコノミー、E コマース、フィンテック、環境・エネルギー、ロボティクス、AI・ビッグデータ、ヘルスケアの10領域でしたが、CVC2号ではこれに加えて、モビリティ(MaaS、自動運転、フリートマネージメントなど)、宇宙商用化、食品(フードテック)、農業(アグリテック)、エンターテイメントの5つを追加しています。

フォーカスするテーマについては(1)Real Estate as a Service(2)DX/デジタルトランスフォーメーション(3)スマートシティ(4)新産業発掘の4つに重点を置くのが特徴です。

かなり幅広い領域テーマですね。代表的な投資事例と共創の取り組みを教えていただけますか

31V:確かに2号から領域を増やしましたが、ジャンルについては濃淡が付くことになると思います。例えば幅広く全領域のスタートアップに投資をするようなことはあまり考えていません。共創事例として出資先にクラスターやSynamonがいるのですが、「オフィスのバーチャル化」といったような本業に近いところに回帰している傾向はあるかもしれません。

Synamonについては10月に追加投資を発表させていただきました。ワークスタイリングでのデモ体験の実施や、インターン生向けVRコンテンツ製作など、少しずつVR領域への理解を進め、連携への準備を進めているところです。

ファンドをグローバル・ブレインと共同で設立していますが、意思決定のプロセスはどのようなものですか

31V:ソーシングは両社で実施していますが、技術的な目利きや収益性のスクリーニングについては、グローバルブレインが主導し、現在および将来の協業可能性といった戦略リターンは当社が主導して判断する、という流れになっています。協業可能性はもちろんですが、財務的なリターンについてもしっかりと見ているのが特徴です。

三井不動産の場合、CVCとして明確にポジションを分けています。本体出資や買収とどのような分担をされているのでしょうか

31V:スタートアップへの出資はCVC、またはグロースⅠ事業にて実施するのが基本的な考え方です。一方、当社との事業連携の位置付けが強い場合には直接投資をしています。ただ、本体から直接投資をする場合もベンチャー部で適宜相談に乗っていますので、全社目線であらゆるケースについて最適な投資方法を選択する、ということになると思います。

31VENTURESでは日本橋にスタートアップを集約しようという構想など、やはり働く場所についての支援や活動が特徴的です。コロナ禍でスタートアップにおけるオフィスの位置付け、役割は変わりましたか

31V:そうですね、この件についてはスタートアップ経営者にアンケートを取りました。シードやアーリー期のスタートアップにおいては企業文化を作るためにオフィスという場が大切だという回答が半数を占める結果でした。執務スペースというよりはディスカッションし、経営者の理念を浸透させ、そして熱量を一定に保つ場所としてのオフィスの重要性があると認識しています。

ありがとうございました。

ということで三井不動産の投資事業31VENTURESについてお届けしました。次回は今年新たにCVCファンドを設立されたヤマトホールディングスさんの取り組みにバトンをお渡ししてお送りします。

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SparkLabs Taipeiがアクセラレータ第4期のデモデイを開催、5G技術からヘルスケアまで8チームを披露

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台湾を拠点とするアクセラレータープログラム台湾のアクセラレータ SparkLabs Taipei は、台北で開催されたデモデイイベントで、第4期から卒業したスタートアップ8社を発表した。これらのスタートアップは、金融ブロックチェーンからスマートロジスティックスまで、さまざまな業界から集まった。 SparkLabs Taipei の共同創業者兼マネージングパートナーである Edgar Chiu(邱彥…

台湾を拠点とするアクセラレータープログラム台湾のアクセラレータ SparkLabs Taipei は、台北で開催されたデモデイイベントで、第4期から卒業したスタートアップ8社を発表した。これらのスタートアップは、金融ブロックチェーンからスマートロジスティックスまで、さまざまな業界から集まった。

SparkLabs Taipei の共同創業者兼マネージングパートナーである Edgar Chiu(邱彥錡)氏は次のように述べている。

2020年の世界経済は、最近のパンデミックの影響を大きく受けており、台湾の起業家にとっては予想外にユニークな足がかりとなっている。

第4期から輩出されたスタートアップが対象とする産業には、テレヘルス、e コマース、5G インフラなどがあり、最近の世界のテクノロジー産業の動向に沿ったものとなっていいる。実際、多くのテクノロジー大手は現在、これらの業界で戦略的なパートナーシップや投資を模索している。

輩出されたスタートアップは以下の通りだ。

<関連記事>

EMQ(安価な越境決済プラットフォーム)

EMQ は、さまざまな市場向けに越境決済ソリューションを提供している。

EMQ は、規制基準に準拠したグローバルな越境決済プラットフォームを構築・運営しており、ワンストップのホスティングサービスを通じて、さまざまな市場における複雑な規制やコンプライアンス基準に準拠しながら、リアルタイムで透明性の高いクロスボーダー決済ソリューションを企業に提供している。 サービス内容は、EC、加盟店決済、調達、送金、貿易決済、給与送金など。

EMQ のネットワークは現在、アジア太平洋、アフリカ、ヨーロッパ、北米の80以上の主要市場で数十億人をカバー。 香港、シンガポール、インドネシア、カナダで金融サービス業のライセンスを取得し、台湾では金融監督委員会のサンドボックスに認定されている。

Pickupp(データドリブン・AI ベースの物流プラットフォーム)

Pickupp は、AI 分析を活用した AI ベースの物流プラットフォームで、企業が物流コストをよりインテリジェントにコントロールしながら、柔軟かつ効率的な物流ソリューションを提供し、多様な配送員とのインターフェースと展開を行い、物流サービスをより柔軟かつ拡張性のあるものにすることを支援する。

例えば、Pickupp の技術は、異なる種類の高密度の注文を分類し、AI による価格予測を行い、適切な販売店を最低の限界コストでマッチングさせることができる。

2017年に香港でスタートした Pickupp は現在、さまざまな E コマース、小売、レストランチェーンにサービスを提供しており、2018年にはシンガポールとマレーシアにも進出し、2020年半ばには台湾での正式な運営を開始し、東南アジア市場全体をターゲットにしつつある。

<関連記事>

OakMega/大橡科技(オムニチャネル向け、メッセンジャー用 CRM ソリューション SaaS)

最近ではメッセンジャーにせよ LINE にせよ、メッセージングソフトに時間をかける人が増えているが、ソーシャルメディアブランド側がこれらのアプリを通じて消費者の姿をイメージするのは簡単なことではない。

OakMega は、メッセージングソフトウェアをベースにした CRM(顧客関係管理)ソリューション。 大企業の CRM 導入を支援し、Salesforce、HubSpot、その他のエコシステムと統合し、完全な消費者データベースを構築し、正確なメッセージプッシュと自動化されたマーケティングモジュールを提供する。 同時に、SaaS やマーケットプレイスのモデルを確立し、中小ブランドが迅速に会員データベースを構築し、顧客との長期的な関係を管理できるよう支援する。

2019年に設立された OakMega は、ゲーム、医薬品、小売など幅広い業界で、台湾と日本の150以上のブランドにサービスを提供している。

Kneron/耐能(エッジ AI ソリューションの設計と開発)

2015年にサンディエゴで設立された Kneron は、AIoT、スマートホーム、スマート監視、セキュリティ、モバイルデバイス、ロボティクス、産業制御のための統合されたソフトウェアとハードウェアのエッジ AI ソリューションの設計と開発に特化。

主に、AI を実行するスマートデバイスの3つの主要な問題——セキュリティ、エネルギー、コストを解決する。Kneron のソリューションは再構成可能で、画像と音声の AI モデルの処理効率を向上させる。同社は2020年の「CB Insights AI トップ100社」に選ばれ、先日、4,000万米ドルを調達し、シリーズ A ラウンドの調達総額は7,300万米ドルに達した。

Tresl/巨数分析(EC データ分析プラットフォーム)

Tresl はデータドリブンマーケティングを簡単にする。LinkedIn のデータサイエンティスト2人によって設立された同社のプロダクト「Segments Analytics」は、EC のインテリジェンスプラットフォームで、ブランドは大企業で使用されているのと同じ分析ツール類に、わずかなコストでアクセスすることができる。

ワンクリックでのセグメンテーション、実用的なレコメンデーション、マーケティング統合により、複雑なデジタルカスタマージャーニーを対象としたステップバイステップのマーケティング最適化を提供、ブランドを支援する。データを収益化するための効果的なステップを踏むことができる。顧客には、ILIA Beauty、BJJ Fanatics、Vejo などがいる。

Aegis Custody/幣護(ブロックチェーン金融サービス)

Aegis Custody はブロックチェーン金融サービス会社で、金融機関や企業の顧客にデジタル資産の取引、管理、保護のための安全でユーザフレンドリーなソリューションを提供することに特化ししている。同社のサービスは、店頭取引(OTC)、仮想通貨ファンド、資産管理、サプライチェーンファイナンスサービスを含むデジタル資産の発行、流通、カストディをカバー。

2020年には、台湾最大のファクタリング会社と提携し、最初のサプライチェーン AR ファイナンス製品(デジタル受益者利益証明書)を立ち上げ販売を始めた。同社は、香港とアメリカの両方の信託ライセンスを保持し、グローバルな市場のリーチを持つ。

TMYTEK/稜研科技(5G インフラストラクチャプロバイダ)

TMYTEK は、5G/B5G 時代のミリメーター波(周波数帯域が30GHz〜300GHzほどの電波)のあらゆる課題を解決するための mmWave トータルソリューションプロバイダ。5Gおよび衛星市場向けに先進的な mmWave フェーズドアレイを構築する。

TMYTEK は、先進のAntenna-in-Package(AiP)技術を用いて5Gおよび衛星市場向けにmmWaveフェーズドアレイを構築しており、ORAN Alliance(米中独日英の通信キャリア5社による業界団体)はTMYTEKをアライアンス貢献者としてリストアップしている。

TMYTEK の XBeamは、出荷前に何十億もの mmWave モジュール、スマートフォン、基地局を検証するための大量生産ラインで OTA テストの問題を解決する。TMYTEKは、研究開発をより効率化するため mmWave ツールも構築している。

PenguinSmart/啓児宝(パーソナライズされたリハビリ治療を可能にするデジタルヘルスケアプラットフォーム)

PenguinSmart は、すべての人にインテリジェントでパーソナライズされたリハビリ治療を可能にする。ハーバード大学とマサチューセッツ工科大学の卒業生によって設立されたチームは、最新のデータサイエンスと専門的な洞察力を組み合わせ、介護者がリハビリの旅の鍵を握ることができるようにする。

PenguinSmart は、DisruptorDaily の「Disruptive Parenting Companies of 2017 トップ10社」に選ばれた。


2018年に設立された SparkLabs Taipei は、台湾のスタートアップの国際展開や海外のスタートアップの国内市場への参入を支援している。また、大企業や多国籍企業と提携して技術人材を調達し、スタートアップの戦略的投資や買収の可能性を見極めている。

このプログラムは開始以来、4つのバッチを実施し、合計26社のスタートアップに投資している。SparkLabs Taipei の卒業生は、台湾の国家開発基金、日本の NEC キャピタルソリューション、Hive Ventures(蜂行資本)などの投資家から資金を集めている。

台湾は世界的なパンデミックの影響を免れ、その経済効果を享受している。2020年にはプラスの経済成長を記録し、外国企業の台湾への投資が増加しているため、スタートアップのエコシステムが繁栄しつつある。これにより、国際的な資本、人材、デジタル技術のハブとしての地位を確立している。

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沖縄のオープンイノベーション活性化へ、地元企業ら36組織がベンチャーフレンドリー宣言を発表

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沖縄県の官民連携産業支援機関である沖縄 IT イノベーション戦略センター(ISCO)は13日、那覇市内で記者会見を開き、沖縄ベンチャーフレンドリー宣言を発表した。13日現在、沖縄に本拠を置く地場企業を中心に36の企業や団体が賛同を表明している。大企業や既存企業とスタートアップとの連携を深化させ、オープンイノベーションの取り組みがより盛んになることを狙う。 これより先、2018年には、関西経済同友会…

「沖縄ベンチャーフレンドリー宣言」を発表する ISCO 理事長の稲垣純一氏
Image credit: ISCO

沖縄県の官民連携産業支援機関である沖縄 IT イノベーション戦略センター(ISCO)は13日、那覇市内で記者会見を開き、沖縄ベンチャーフレンドリー宣言を発表した。13日現在、沖縄に本拠を置く地場企業を中心に36の企業や団体が賛同を表明している。大企業や既存企業とスタートアップとの連携を深化させ、オープンイノベーションの取り組みがより盛んになることを狙う。

これより先、2018年には、関西経済同友会が「関西ベンチャーフレンドリー宣言」を発表。発表から2年余りが経過した現在、61の企業や団体が賛同を表明している。沖縄ベンチャーフレンドリー宣言の骨子やスキームは、先行する関西ベンチャーフレンドリー宣言のそれらと似ていて、国内のこの種の取り組みとしては二例目となる。

Image credit: ISCO

このベンチャー宣言には、オープンイノベーションに積極的であることを表明した企業や団体が一覧されており、取引・協業などの目的でこれらの企業にコンタクトしたいスタートアップは ISCO 経由で連絡を取ることができる。

ISCO では、沖縄の主力産業である「観光産業」と「情報通信産業」を掛け合わせた「リゾテック(ResorTech = Resort × Technology)」をテーマに、世界各地から先進的 IT ソリューションを集積する目的で大規模国際 IT 見本市の継続開催を計画しており、その足がかりとして今年から「ResorTech Okinawa」を開催、また「Okinawa Startup Festa」を併催している

賛同を表明した地元企業や組織の皆さん
Image credit: ISCO

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「WEIN挑戦者FUND」、インキュベーションや金融の専門会社を設立——ANGEL PORTや旧ユニバーサルバンクもグループ入り

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「WEIN 挑戦者 FUND」は、プロサッカー選手で KSK Angel Fund の運営でも知られる本田圭佑氏、FiNC Technologies 創業者で元 CEO の溝口勇児氏、ネスレ日本元 CEO の高岡浩三氏が今年5月に設立した、ウェルビーイングやオープンイノベーションに特化したスタートアップファンドだ。 同ファンドを運営する WEIN Group は11日、都内で記者会見を発表し、WE…

Image credit: Wein Group

「WEIN 挑戦者 FUND」は、プロサッカー選手で KSK Angel Fund の運営でも知られる本田圭佑氏、FiNC Technologies 創業者で元 CEO の溝口勇児氏、ネスレ日本元 CEO の高岡浩三氏が今年5月に設立した、ウェルビーイングやオープンイノベーションに特化したスタートアップファンドだ。

同ファンドを運営する WEIN Group は11日、都内で記者会見を発表し、WEIN Financial GroupWEIN Incubation Group という2つの新会社を設立したことを発表した。溝口氏によれば、実業家の渋沢栄一氏の命日に因んで、発表をこの日に選んだという。また、渋沢栄一氏が設立した第一国立銀行の設立日にちなみ、WEIN Financial Group は7月20日に設立したという。

WEIN Financial Group の共同代表には、これまでにリクルートホールディングス R&D 担当執行役員や MUFG イノベーションパートナーズの取締役副社⻑兼戦略投資部⻑を務めた岡本彰彦氏と、Blockchain Technologies を創業しイグジットさせた武内洸太氏が就任する。

同社では、蓄積されたノウハウ、カスタマイズ可能なシステム、投資家・起業家へのアクセスを提供。これを実現するため、起業家とエンジェル投資家をつなぐコミュニティサイト「ANGEL PORT」、株式投資型クラウドファンディング「Angelbank」を運営する Angel Funding(旧ユニバーサルバンク)、飲食店の資金調達プラットフォーム「footech」を買収したことを明らかにした。

Image credit: Wein Group

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WEIN Incubation Group の CEO には、ノーリツ鋼機の CEO として、同社を経営再建した⻄本博嗣氏が就任する。WEIN Incubation Group では、専門家による包括的成長支援、新規・共同事業立ち上げ支援、オープンイノベーションや DX(デジタルトランスフォーメーション)支援を提供する。

WEIN Group では、スタートアップ支援・起業家育成・協調投資などの点で、千葉道場、サイバーエージェント・キャピタル、East Ventures、STRIVE、デジタルベースキャピタルといった VC 各社と協力関係をとる。

また、イベントで登壇した本田圭佑氏は、KSK Angel Fund を WEIN 挑戦者 FUND にグループ入りさせることも明らかにした。KSK Angel として WEIN 挑戦者ファンドでは投資できないアーリーなスタートアップに対し、チケットサイズ100万円〜500万円で投資する。KSK Angel では、大学生・中高生を対象にビジネスアイデアを競うイベントを予定しており、大学生の優勝者1名には250万円、中高生の優勝者1名には100万円を出資する計画だ。

Image credit: Wein Group

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共創プラットフォームに必要な「コミュニティとカルチャー」の存在 – ソラコム 玉川憲氏 Vol.3

本稿はKDDIが運営するサイト「MUGENLABO Magazine」に掲載された記事からの転載 SORACOMというプラットフォーム事業はどのようにして立ち上がったのか。日本を代表するクラウドサービスのエンジニア集団が感じた時代の変わり目、仮想のプレスリリースから生まれた創業へのきっかけ、そしてコミュニティと一緒に立ち上げた初期のソラコム。 前回のインタビューでは「スウィングバイ・IPO」宣言し…

ソラコム 代表取締役社長 兼 共同創業者 玉川 憲氏

本稿はKDDIが運営するサイト「MUGENLABO Magazine」掲載された記事からの転載

SORACOMというプラットフォーム事業はどのようにして立ち上がったのか。日本を代表するクラウドサービスのエンジニア集団が感じた時代の変わり目、仮想のプレスリリースから生まれた創業へのきっかけ、そしてコミュニティと一緒に立ち上げた初期のソラコム。

前回のインタビューでは「スウィングバイ・IPO」宣言したソラコムがどのようにして創業期を駆け抜けたのかをお伺いしました。続きとなる今回は、プラットフォームの成長過程についてです。プラットフォームにはクライアントでありパートナーであり、ライバル関係となる利害関係者が複雑に存在することになります。

プラットフォーマーはそこを交通整理しながら、健全なエコシステムづくりをしなければなりません。ソラコムはどのようにしてそこを乗り切ったのでしょうか。(太字の質問は編集部、回答はソラコム代表取締役の玉川憲氏)

プラットフォーム・マネジメント

プラットフォームには多くのステークホルダーが参加していて、それぞれ利害関係が複雑になるじゃないですか。例えば全方位と言いながら、パワーバランスはどこかに働く。その辺りのマネジメントはどのように考えていますか

玉川:インフラストラクチャーのプラットフォームサービスですからおっしゃる通り、全方面で使っていただける必要があります。例えばお客さんのサイズ感にしても、スタートアップとか中小企業も使うし大企業さんも使うし、個人のエンジニアでも使える。ウェブから一枚単位で買えるのでそこの敷居はありません。B2BでありB2Cである。さらにお客様の規模感によって求めるものは全部違ってくるので、チームを分けて、それぞれのニーズに対応する。

エコシステムで対象となるコミュニティをクラスタのように分けて、チームで対応する、そういったイメージですね

玉川:そうですね、例えば個人や中小企業のお客さまで小口で買ってもらった時にいかにすぐ届けられるか、といった体験も重要です。ヤマト運輸さんにネコポスという仕組みがあるんですけど、これを使って必要なSIMやデバイスを小口ですぐに届ける仕組みにしてるんです。また、IoTをはじめようとすると、通信のみならず通信モジュールも必要なので、SIMや通信モジュールに加えて温湿度センサも含めたスターターキットを用意したり。

大企業さんは大企業さんでまた全然違います。ソースネクストさんのようなケースであれば、ポケトークを世界中の国で通信できるようにしたい、というお客さま固有の課題を抱えられてるので専任のチームがついて伴走します。さらに、パートナー様は僕らの製品を一緒に売っていくようなケースになるので、違った視点でサポートしています。

当然ながら全てのお客さんにソラコムが相対でフルサポートしていたら間に合わないわけです。このエコシステムを回す上で重要なポイントは

玉川:それぞれのお客様のご要望をお伺いした上で、ソラコムとしてはどの部分を共通機能としてプラットフォームとして提供できるか、その勘所が重要になると思っています。そこにおいては、エコシステムの中でも開発者を含むユーザーコミュニティはすごく重要なんです。

お客様が、パッションを持って何かに取り組まれたときに、そこにソラコムを役立てて頂いて、さらにこんな機能があったらもっといいのに、とフィードバックをもらえる。このフィードバックがあるのは非常に有り難いですね。そしてソラコムのチームとしては、改めて5年間やってきていても、ビジョンやミッション、リーダーシップをみんなで共有しているのは大事だなって思っています。「世界中のヒトとモノをつなげ共鳴する社会へ」 というものを掲げていて、それぞれが先ほどお話したライカビリティのようなリーダーシップを行動様式として持っています。

メンバーがリーダーシップを発揮して自律的にコミュニティを動かしていく

玉川:本当にその各方面のエコシステムに自律的に当たっていくんですね。例えば、極端な例でいうと、大企業担当とユーザーコミュニティ担当って全くやってること違うんですよ。売上っていう観点で見たらユーザーミュニティって短期的には全く貢献しないように見えるかもしれない。逆にユーザーコミュニティの視点で大企業担当を見ると、案件のクロージングのサイクルは時間がかかりすぎているように見えるわけです。

こうやってクラスタ毎に全然違うKPIを追いかけていて、それでいてもお互いにとって、それぞれのエコシステムが大事であるってことを理解できるかどうかは根本にビジョンやミッションがあるかどうかですよね。

振り返ってみるとみんな繋がってたって分かるわけですよ。例えばとある大企業でソラコムを使ってもらえたんですね。でもそもそものきっかけは実はそこの担当者が、ユーザーコミュニティに出てきて何かスゴイと知って自分でプロトタイプを動かしてみて。そしたら上司が喜んじゃって、すでにソラコムファンになっていたり。世の中面白いなと思うのはこういった複雑に絡み合うエコシステムなんですよね。

こういった設計はやはり思想的な部分が大きいですね

玉川:僕らは、最初からユーザーやディベロッパーに喜んでもらうため、という考え方があるんです。パッション持ってる人たちにこういった道具をお渡しして世の中をより良い方向に変えてもらう。そこが一貫していると、それぞれのエコシステム間での共感が生まれて、繋がり合っていく。ただこれを継続的に成長させていくのは本当に難しくて。

なんだかんだ言いながら、スタートアップってやっぱりリスクがあることをやっていますから、短期的な数字だったり結果にこだわりたくなる部分もあるわけです。でも変に結果にこだわり過ぎると中長期的な視点が曇ってくるんですよね。(次回につづく)

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KK Fund、経営共創基盤とアクセラレーションプログラム展開へ——東南アジアで大企業のオープンイノベーション支援

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Tech in Asia では、有料購読サービスを提供。有料記事の閲読、全記事への回数無制限閲読、5万社を超える企業データベースへの無制限アクセス、カンファレンスへの限定割引などの特典があります。詳しくはこちらから


シンガポールを拠点とする VC ファーム KK Fund は、経営共創基盤のシンガポールブランドである IGPI Singapore と提携し、2021年初頭にアクセラレーションプログラムを開始すると発表した。

Image credit: KK Fund

今回の提携では、3~6ヶ月間のプログラム「SEA Point」を実施し、大企業が東南アジアのスタートアップやコングロマリットと連携して新規事業を創出することを支援する。これを支援するため、KK Fund はスタートアップ支援やテクノロジー投資の経験を、IGPI Singapore は日本や東南アジアの大企業向けに企業変革の知見を提供する。

東南アジアにはスタートアップ向けのアクセラレータプログラムは数多くあるが、新事業に投資したい、あるいは、垂直統合を目的として自前のスタートアップを創出したいと考える大企業向けのプログラムは存在しない。(KK Fund ジェネラルパートナー 斎藤晃一氏)

KK Fund によれば、東南アジアには7,000万社以上の中小企業が存在するという。また、2025年にはインターネット経済の規模が3,000億米ドルに達すると予想されており、東南アジアは国際的なビジネス拡大の焦点になると見られる。今回のアクセラレーションプログラムは、特に社会インフラの整備や中小企業の連携強化において、異業種間連携や成長機会を提供することが期待される。

2015年に設立された KK Fund は、アーリーステージと東南アジアに特化したベンチャーキャピタルファンドだ。同社によると、フィンテック、物流、ヘルスケアなどの業界にまたがる20社以上のモビリティやインターネット関連のシードステージのスタートアップに投資してきたという。投資先には、家具オンライン販売の Fabelio、インシュアテックスタートアップ PolicyStreet、人材紹介プラットフォーム JobHopin などがある。

一方、2007年に東京で設立された経営共創基盤は、東京、シンガポール、ハノイ、メルボルン、上海にオフィスを構える経営コンサルタント会社だ。

【via Tech in Asia】 @Techinasia

【原文】

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韓国Startup Alliance、今週12日に日本向けデモデイをオンライン開催へ——新進気鋭の韓国スタートアップ8社が登壇

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Startup Alliance(스타트업 얼라이언스)は、2013年7月にソウルで発足した、韓国のスタートアップの世界進出を支援するための NPO だ。韓国政府のイノベーション支援担当省庁である未来創造科学部(미래창조과학부)と連携し、韓国 NAVER(네이버)が運営を支援している。 同組織では2014年から年に一度の頻度で、日本市場への進出を希望する韓国スタートアップを複数招き、東京各所のスタ…

韓国のスタートアップハブであるカンナムにあるカンナムスタイルの黄金像
Image credit: ソウル特別市カンナム区役所

Startup Alliance(스타트업 얼라이언스)は、2013年7月にソウルで発足した、韓国のスタートアップの世界進出を支援するための NPO だ。韓国政府のイノベーション支援担当省庁である未来創造科学部(미래창조과학부)と連携し、韓国 NAVER(네이버)が運営を支援している。

同組織では2014年から年に一度の頻度で、日本市場への進出を希望する韓国スタートアップを複数招き、東京各所のスタートアップハブでピッチするデモデイイベントを開催している。今年は新型コロナウイルス感染拡大に伴う移動制限から、このデモデイイベントをオンラインで開催すると発表した。

オンラインデモデイは、11月12日の朝10時から正午(日本時間・韓国時間共通)、Zoom ウェビナーで配信される予定。ピッチは日本語か英語で行われ、視聴者との Q&A セッションには、日本語⇄韓国語の逐次通訳が提供される。なお、視聴参加にはこのフォームから事前登録が必要だ。

以下に登壇予定のスタートアップ8社を紹介する。(各社の都合により、登壇予定は予告無く変更される可能性があります。)

  • ボイスル by JAMAKE – AIベースのクラウドソーシング字幕制作プラットフォーム
  • COCONUT SILO by COCOTRUCK – ビッグデータベースの貨物輸送仲介プラットフォーム
  • Social Radio Company by Tin Can – 世界を声とストーリーで繋げようとするオーディオ UCC ソーシャルプラットフォーム
  • Quotabook by Quota Lab – スタートアップ証券の管理および投資家ファンド管理サービス
  • Go!Cre(ゴークリ)by EJN –  e スポーツやクリエイターのためのさまざまなソリューションを開発する ICT 企業
  • CLASSUM by CLASSUM – 大学・企業・オンライン教育などで使用する教育用コミュニケーションプラットフォーム
  • Sendbird by Sendbird – チャット、ボイス、ビデオ、サポート・センターを開発するためのグローバル1位コミュニケーション API
  • Market Designers by Tutoring -24時間いつでもどこでも1:1外国語会話学習のモバイルアプリケーション

2017年9月、Startup Alliance が THE BRIDGE X(当時)で開催したデモデイ
Image credit: Masaru Ikeda

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新・企業共創時代:タイミングを逃したケーススタディーーKDDI 中馬和彦 Vol.3

本稿はKDDIが運営するサイト「MUGENLABO Magazine」に掲載された記事からの転載 共創を実現させるためのプラットフォームの役割、それを突き動かすための人、考え方。ここまで中馬さんにお話を伺いながら、KDDI ∞ Laboという仕組みがどのように人や企業を繋げていったのか、その構造について考えを整理してきました。 ここからは具体的なケーススタディです。そう簡単に結果が出ない新規事業へ…

KDDI 経営戦略本部 ビジネスインキュベーション推進部長/KDDI ∞ Labo長 中馬和彦氏

本稿はKDDIが運営するサイト「MUGENLABO Magazine」掲載された記事からの転載

共創を実現させるためのプラットフォームの役割、それを突き動かすための人、考え方。ここまで中馬さんにお話を伺いながら、KDDI ∞ Laboという仕組みがどのように人や企業を繋げていったのか、その構造について考えを整理してきました。

ここからは具体的なケーススタディです。そう簡単に結果が出ない新規事業への投資、経営者は必ずこの「結果」と常に向き合う必要があります。中馬さんとの会話を続けます。(文中の質問者はMUGENLABO Magazine編集部、回答はKDDIビジネスインキュベーション推進部長 中馬和彦、文中敬称略)

わかりやすく共創を伝えるためにもケーススタディに触れたいのですが

中馬:日本では事例はまだまだ少ないですけどね。僕らの中でいうと一番分かりやすいのはLUXA(ルクサ)等になるかと思います。ルクサってファンド(KDDI Open Innovation Fund)から投資をして、コマース関連で支援し続けて売上が二桁成長しまして、その結果M&Aに繋がったケースなんです。さらにコマース事業を大きくするために協業パートナーであった「DeNAショッピング」をM&Aして、双方を融合する形でKDDIとしてコマースの本部を作ったわけです。

これも最初の小さなきっかけでいうと、スタートアップの支援から始めたっていう所じゃないですか。スマホ特化のコマースが来るっていうのは必然だったのであまり驚きはないかもしれませんが。

逆に僕が本当は注目していて、もっと頑張ればよかったと思うのは「じぶん銀行」だと思っています。

これは三菱UFJ銀行さんとKDDIが合弁でモバイルネットバンク(現・auじぶん銀行)を作ったのが始まりです。それこそガラケーの時代です。携帯電話番号だけで振り込みができる、それこそ今「Pay戦争」なんて言われてる機能を実はもう十数年前にじぶん銀行だけが実装していたんです。世界的にも先進的でアイデアも素晴らしく、金融庁のすごく難しい規制も突破して、「電話番号で振り込む」ということを簡単なUIで実現していた。

ただそこから一気に社会を席巻、とまではいかなかった。モバイルバンキングとしては老舗で十分大きくなっているのですが、今みたいに「Payが全てのお客さんとの接点」であるというような世の中には持って行けなかったわけですよね。そこに対して最初から仕掛けられていたら、グローバルだって取れていたかもしれないし、Alipay(アリペイ/支付宝)と戦えたかもしれない。

振り返ってタイミングを逃してしまった要因は

中馬:短期の投資回収を優先した例かなと思っています。

どこにでもみんな使ってくださいよとやっていれば、リアル店舗にも普及し気が付いた段階で日本独自のSuicaのような独特の文化ができたかもしれません。だからこそ長期ビジョンが必要で、少なくとも短期の計画だったら絶対できませんよね。短期の回収を優先したがゆえに、利益は出ているけど小さくまとまってしまったわけです。そうではなくて、世の中のプラットフォームになるんだ!デファクトを取るんだ!っていう「中期の目線」をまずどこまで合わせられるかなんです。

かなりトップクラスで腹を決めないと現場は揺らぎそうですね

中馬:見えてる未来が一致するかどうか、これに尽きます。僕なりのやり方は常に、この人とだったら同じ絵が書けるというキーマンを見つけることから始めるようにしています。基本は経営者同士、トップが握れるか同じ道を描けるかっていうことに尽きると思います。非合理だと言われちゃいそうですが、基本はそうだと思いますよ。

一方で僕は大企業同士のアライアンスにも力を入れようとしてるわけです。

ここに実は案外チャンスがあるかなと思っているのが、大企業ってお互いもうびっくりするぐらいアセットを持ってるので、もしかすると新しく作っていく、あるいは次に仕掛けていくものはそれぞれが覚悟さえあれば、設備投資をすることなく大きな事業が作れたりするんですね。

例えばですよ、デベロッパーさんっていうのは場所も建物も山ほどあって、建て替える予定地とかいくつもあるわけじゃないですか。もともと発注するべきものもたくさんあって、何かその元々の計画の中、既存アセットの中に仕掛けるだけでも随分と大きなものを作れるんじゃないかと思っています。この「現物出資」という可能性は十分にあるんじゃないかなと妄想的に思っていて、あとはどこまでダイナミックにできるかどうかですよね。

こういうダイナミズムは日本的企業がなかなか苦手なところと言われてます

中馬:日本的慣習をどこまで排除できるか、というのもありますよ。

例えばなんですけど、私たちが特定の業界の人とエクスクルーシブに新しいビジネスモデルを作りましょうとなった場合、先方社内からは他の通信会社を「敵に回したくない」という反対意見が噴出したとしたら、結果として非常に部分的な事業提携で終わってしまいます。これは成熟した日本社会に於いての一つの弊害ではないかと考えています。(次回につづく)

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新・企業共創時代:共創を突き動かすもの – KDDI 中馬和彦 Vol.2

本稿はKDDIが運営するサイト「MUGENLABO Magazine」に掲載された記事からの転載 前回までの会話で、日本企業がなぜ共創・オープンイノベーションを必要としなければならないのか、時代背景やコロナ禍の影響などを重ねて共創プラットフォーマー役割やあり方について話を聞いてきました。続いてはモチベーション・サイクルについてです。協業は異なる企業がそれぞれの思惑を合致させなければ正しく回りません…

KDDI 経営戦略本部 ビジネスインキュベーション推進部長/KDDI ∞ Labo長 中馬和彦氏

本稿はKDDIが運営するサイト「MUGENLABO Magazine」掲載された記事からの転載

前回までの会話で、日本企業がなぜ共創・オープンイノベーションを必要としなければならないのか、時代背景やコロナ禍の影響などを重ねて共創プラットフォーマー役割やあり方について話を聞いてきました。続いてはモチベーション・サイクルについてです。協業は異なる企業がそれぞれの思惑を合致させなければ正しく回りません。一方、新たな事業というのは実現するまでのプロセスが複雑かつ長期に渡る場合があります。

複数の企業の中にあって、共創を実現させる人たちは何を力の源とすべきなのでしょうか。引き続き中馬和彦氏に訊きます。(文中の質問者はMUGENLABO Magazine編集部、回答はKDDIビジネスインキュベーション推進部長 中馬和彦氏、文中敬称略)

中馬を突き動かすもの

共創というややアテのない「余白」を大いに含んだポジションでは、人は迷いがちです。中馬さんを突き動かすモチベーションの源泉はどこに

中馬:個人的なことも含めて、やっぱりトラウマはあると思うんですよね。ガラケー(フィーチャーフォン)の時、私はハンドセット部門にいたのですが、通信会社でハンドセットってど真ん中のど真ん中だったんです。あの当時はやっぱり垂直統合モデルの中心っていうのはガラケーそのもので、端末をキャリアがOSも兼ねて運営していました。サービスも組み込みのアプリベースで全て生まれていた時代です。

そこの責任者でずっとやっていて、ある日スマホが出てきたんですね。これはちょっとやばいぞと思ってAndroidの方に舵を切ろうとしたんです。日本で最初のAndroidの学会があって、そこのキーノートでガラケーじゃなくこれからはスマホだ!って言ってるんですけど、当時は色々あって結局プロダクトが分かれてしまい、スマホの担当からは外されてしまいました。その後僕らのスマホシフトが遅れをとってしまったことは、今でもトラウマになっているんです。

あの時、auってフィーチャーフォンのOSまで作って全部提供していたんですよ。髙橋ともよく話すんですが、完成度が高すぎた故にどうしても手放せなかった。あの時のことが頭にあって、今またエコシステムが大きく変わろうとしている中で、もう同じことをしちゃいけない。

分かれ道が出たら「必ず新しい方へ行こう」っていう。もうこれは、今までの歴史が証明してくれてるものなんです。

共創における情報発信がなぜ重要なのか

ーースマートフォン・シフトの荒波からエコシステムの中心が、キャリアから別の場所に移り、新たなモデルを積み上げる必要性が出てきたのが2010年頃です。そこで当時のKDDIはスマホアプリをゼロから集めるべく、KDDI ∞ Laboの原型となるインキュベーションのアイデアにたどり着きます。いわゆる「Y Combinator」スタイルと呼ばれるいくつかのプログラムが立ち上がる中、KDDIはここに大きく投資をしていくことになります。

KDDI ∞ Laboは、スタート当時からイベントを大型ホールで開催するなど、大きく投資をしていました。情報発信や啓蒙に対する熱量はその後も継続して今に至ります。情報発信を重要視する理由はどこにあるのでしょうか

中馬:今世の中には情報が溢れかえっていて、その中で「確からしい」情報をみんな求めていると思っています。やっぱりただの仮説とか思いつきじゃダメだし、また歴史みたいなところっていうのは必ずしも同じにはならないんだけれども、少なくとも何かしらの気付きはある。

私たちがやってきた経験、みたいなところが説得力に繋がってみなさんの活動がショートカットされればいいなと。日本全体が盛り上がらないと結局、僕ら国内の通信事業は日本と共にシュリンクしていく運命にあるんです。それ自体は望ましいことではないので、国全体がやっぱり栄えてほしい、というのが根底にあります。

本来であれば利益率が20%ない会社っていうのは、グローバルでいえば市場から退場させられる、そういう厳しい環境じゃないですか。収益性を必ず維持してるからこそ未来への投資ができて、将来に対する耐性が生まれるんですよね。そういった会社はどんどんとトランスフォームし続けて、二十年企業、五十年企業という風になっていくと思うんですね。

情報発信って一見すると無駄なものじゃないですか。収益を直接生まないし。だけど、新規事業とか未来の柱になるようなものって、積み上げの理屈から出てくるものではないんです。「Unknownなもの」に対してチャレンジし続けなきゃいけないし、ハンドルの“遊び”みたいなものだと思っていて、だから、ある程度の社会的位置付けのある会社であれば、その遊びみたいなところをいかに許容するかって大切なんです。

本当に無駄なものと、必要だけど無駄なもの、この「違い」を判断する力は相当に重要ですね

中馬:やはり社員じゃないでしょうか。将来のことを見ている、外を見ている社員をいかに増やすかが大事で、自分のことをヨイショしてくれる部下じゃなくて、そこからいろんなことを教えてくれて苦言を呈してくれる。そういう部下をたくさん作れるかっていうところがやっぱり企業の新陳代謝の源じゃないかと思っているんですよね。

また情報はもちろんないと判断のしようがないと思うんですけど、それ以上にやっぱり新しいことにチャレンジする遺伝子を抱えるかっていうことじゃないかと思っています。

そしてその遺伝子をどこまで泳がせられるか。これはすごい難しくて、これまで日本って高効率性を追い求めているし、個より集団とか、減点主義とか全てのこれまでの価値基準が今の大きなダイナミックな変化には向いてないと思うんです。ことごとく、全てが足かせになっていると思うんです。日本の企業ってボトムアップだったんですよね、基本的に。だからこのままいくとうまく行かないんじゃないかと思っています。

企業の経営者はこの変化の時代、動き出そうという人が増えていると思うんです。情報を求め、新しい遺伝子を育てる、これは重要なステップだと思うんですが、具体的にどこから手をつけるべきなんでしょうか

中馬:僕は今のオープンイノベーション部門や流行りの“出島”組織が増えている傾向は、非常に良いことだと思っています。結局、本業がすごいしっかりして利益を稼いでくれていれば、新規事業とかそういうところへ「出島なる部分」から大きく投資ができると思うんです。つまり「関係ないところに対して張り続けられるかどうか」っていうのが大事なんだと思います。

一方で、誤解を恐れずに言えば、大半の企業が出島組織に対してまだまだ本気になっていないんじゃないでしょうか。本業と同じくらい出島の活動も、両方本気でやることが大事なんです。

なぜならば、「関係ないところ」についてよく分からないままに、いつの間にか市場から排除させられることがあるからです。関係ないと思っていた成長分野に出会わなかった、これをなくす方が大切なんです。まあ、出会っていたとしても入るタイミングを逃した場合は・・・飲みながら反省すればいいと思っています。(笑

(次回につづく)

関連リンク:新・企業共創時代:変化の時代、その理由 – KDDI 中馬和彦 Vol.1

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SORACOMはどうやって共創環境を立ち上げたのか – ソラコム 玉川憲氏 Vol.2

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本稿はKDDIが運営するサイト「MUGENLABO Magazine」に掲載された記事からの転載 グループ入りを果たしたIoTプラットフォームのソラコムは、KDDIとの共創によって買収時に8万回線だった契約数を200万回線にまで押し上げることに成功します。前回のインタビューではグループ入りという選択肢を選んだスタートアップの成長に必要な「余白」の考え方と、そこからさらに視座を上げる「スウィングバイ…

ソラコム 代表取締役社長 兼 共同創業者 玉川 憲氏

本稿はKDDIが運営するサイト「MUGENLABO Magazine」掲載された記事からの転載

グループ入りを果たしたIoTプラットフォームのソラコムは、KDDIとの共創によって買収時に8万回線だった契約数を200万回線にまで押し上げることに成功します。前回のインタビューではグループ入りという選択肢を選んだスタートアップの成長に必要な「余白」の考え方と、そこからさらに視座を上げる「スウィングバイ・IPO」の考え方がどのようにして生まれたかについてお伺いしました。

2回目となる今回は、ソラコムの立ち上がりについてです。SORACOMは独自のエコシステムをパートナー企業や開発者たちと構築しています。ゼロからプラットフォームを作るというのはどういうことか、引き続き玉川さんにお話を伺います。

ソラコムはどうやって共創環境を作ったのか

玉川さんたちがAWSの立役者であったことはその後のソラコムの信用に大きく寄与したのでは

玉川:この件についてのアンフェア・アドバンテージはあったと思います。そういう実績のあるチームだったので、なんかやってくれるだろう、という期待感や信頼関係というか、変なことはしない人たちだよね、というのは凄くあったと思いますね。

ただ、会社始めた時って100%の確信のようなものはありませんでした。10人ぐらいの頃ですか、初期のメンバーで話していたのは「正直できると思ってるんだけどできなかったらごめんなさい、でも僕ら食っていけるよね」と。AWSとかもやっていたし、むしろ自分たちで食べていける人だけだったので、リスクを取りに行きました。

2015年9月にイベントで一気にお披露目をしたわけなんですが、そのタイミングで既にパートナーが10社、お客さんもその時点で30社ぐらい利用いただいてたんですね。この辺りはアンフェア・アドバンテージの力だったと思います。

少し巻き戻して、そもそもソラコムというプラットフォーム自体を作る工程はどこから始まったのですか

玉川:一番最初はやっぱりプレスリリースですね。(前職のAmazonでは)伝統的に仮想のプレスリリースを書くんですが、僕は夜中に酔っ払って書いたんです(笑。で、これがなんだかもっともらしく凄そうに見える。やった方がいいんじゃないか、みたいな始まりですね。そこがやっぱり駆動力になってて、じゃあとりあえずとプロトタイプにして一番最初に投資家の方に見せたら絶賛されたんです。

ただ、その投資家に言われたのが「玉川さん、デザインは見直した方がいいよ」、と(笑。

ここから話が広がった

玉川:ソラコムを起ち上げ、お客さんや事業パートナーさん、通信キャリアのパートナーさんにプライベートベータとして持っていったんです。そしたら同じようになんか凄そうだぞと感じていただけたようで、ソラコムさん、まあちょっと一緒にやりましょうか、そんな雰囲気になっていきました。

順風満帆に見えて、でも実際は苦戦していたんですよね

玉川:やはり、ちょっと検討しますみたいなのは多かったですね。プライベートベータの時期は、やっても返事もくれないこともありましたし。ただ、やはりアーリーアダプター層、特に前職でコミュニケーションしていたAWSのコミュニティの方々は心強かったです。彼らは新しくても良いものであればサポートする精神に溢れてるんですよね。

例えばAWSを最初に使う人ってやっぱりセールスフォースも最初に使った人なんですよ。こういう方々の目利き能力はすごいものがあって、いいものはいい、むしろリスクを取って使うことの価値を知ってるんですよね。一般的に普及した後にフォロワーとして使っても別に競争力にはならないじゃないですか。リスクのある状態で使い始めるからこそ競争力になるっていうことを直感的に分かってるんですよね。

となると初期のコミュニティをどう作るか、これすごく重要なポイントになりますね

玉川:実際、ソラコムも最初からコミュニティーを立ち上げさせて貰ってました。大半のユーザーさんもパートナーさんもこういったコミュニティーから出てきてるんですよ。

また、本当に最初から単独ではやってないと言うか、僕らって通信のコアの部分をクラウドで作る会社じゃないですか。その時点でまずAWSに凄い依存しているんです。さらに事業をやろうと思った時に通信の基地局などをお借りしなきゃいけないので、通信キャリアさんにも最初からすごく依存してる。

お客さんでありパートナーである、でも一部では競合するかもしれない。難しい舵取りですね。しかも様々な局面でメンバーがその交通整理をしなければいけないわけですよね

玉川:ソラコムを立ち上げた時に、チームが尊ぶべき行動様式をまとめたリーダーシップステートメントっていうのを作ったんです。その中にライカビリティ(好きになってもらえる能力)というのがあって、我々はプラットフォームビジネスを指向しており、あらゆる企業や個人がお客様でありパートナー様でありえる、だから誰からも好かれるようなやり方を模索しようと。

Likability

一緒に働いて楽しい人に – どんなときもユーモアを忘れず、周囲を力づける。フェアでオープンなプラットフォーム事業を支える一員として、常にふさわしい行動をとる。引用元:ソラコムのリーダーシップ・ステートメントより

仮想のプレスリリースを現実のものとし、コミュニティを中心に垂直立ち上げに成功しました。問題はそこからですよね。どうやってこのエコシステムを回していくのか。そもそも玉川さんのプラットフォームに対する見方から少しお話いただけますか

玉川:プラットフォームの特徴ってネットワーク効果ですよね。多くのお客様やパートナーさんが集まってくると、このエコシステムがどんどん強くなる。僕らが最初にやろうとしていたことっていうのは、誰もが必要なIoTにおける通信のインフラストラクチャ部分を凄く使いやすい形にして提供することだったんです。これをみなさん自身がやろうと思ったらすごく大変なわけで、英語で言うところの「ヘビーリフティング・ワーク(泥臭い仕事)」を代行すればみんなハッピーなので、その泥臭いところをできるだけ巻き取ろうと。

大変というか、圧倒的な技術力やチームに対するアンフェア・アドバンテージのような要素もなければ、なかなか任せてもらえない部分です

玉川:さらに僕らはそこを民主化してみんなに使ってもらおう、と先に進んだんです。「SORACOM」というのはそういったインフラ自体のプラットフォーム事業なんです。

最近は「つなぐを簡単にする」っていう言い方をしているんですが、やっぱり時代が凄く移り変わってきていて、例えば2000年ぐらいからインターネットが面白くなってきたじゃないですか。それをさらに押し上げた契機ってやっぱりAWSのようなコンピューティングのインフラ自体のプラットフォームが出てきたあたりだと思うんですよね。

面白いことをできる人がより身軽に、能動的に行動できるようになった

玉川:パッションを持っていて、こんなサービスを作ってみたいな、という人がすぐそのサービスを試しに作れるようになったんです。それで世の中がどんどん良くなっていった。ただ、2012年とか13年頃でしょうか。ひと通りのサービス化されてきたみたいな感じで新しいウェブサービスの出現にも若干こう陰りが出てきて。

アプリ経済圏が出てきたり、スマートフォンシフトが発生して多様性が出てきた頃ですよね

玉川:そうすると、各業界のアーリーアダプターと言われる方々がWebサービスだけでは物足りず動き出した感があって、さらに当時は「IoT」っていう言葉が使われ始めた頃でした。例えば色んなものから取れるデータを集めて機械学習できれば、モノとモノが繋がるんじゃないか、でもそれってどうやるんだろうといった課題が出てきていたんです。IoTにおける皆にとって大変なヘビーリフティング・ワークのポイントが見えてきて、じゃあそれを僕らが肩代わりするようなサービスが作れるんじゃないかと。(次回につづく)

関連リンク:共創が生み出した「スウィングバイIPO」とはなにか – ソラコム 玉川憲氏 Vol.1

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