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「物議を醸す場所にこそ、ビジネスチャンスがある」——サン・マイクロシステムズ共同創業者Scott McNealy氏が語る、起業成功の条件〜ITV起業塾から

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伊藤忠テクノロジーベンチャーズ(以下、ITVと略す)では、同社の投資先スタートアップの経営者を対象に「ITV起業塾」という勉強会を定期的に開催している。これまでにマネックスの松本大氏や Fab.com CEO Jason Goldberg 氏など錚錚たる顔ぶれが講師として招かれている。 今週、都内で開催された「ITV起業塾」には、サン・マイクロシステムズの共同創業者 Scott McNealy 氏…

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伊藤忠テクノロジーベンチャーズ(以下、ITVと略す)では、同社の投資先スタートアップの経営者を対象に「ITV起業塾」という勉強会を定期的に開催している。これまでにマネックスの松本大氏や Fab.com CEO Jason Goldberg 氏など錚錚たる顔ぶれが講師として招かれている

今週、都内で開催された「ITV起業塾」には、サン・マイクロシステムズの共同創業者 Scott McNealy 氏の姿があった。ITV の出資先でもある WHILL は今年9月、500 Startups、NTTドコモ・ベンチャーズ、Jochu Technology らから1,100万ドルを資金調達しており、このラウンドの投資家の中には Scott McNealy 氏も名を連ねている。

世界のワークステーション市場を席巻した経営の神様は、日本の起業家にどんなヒントを与えてくれるのだろうか。WHILL の杉江理氏をはじめ、クラウドワークスの吉田浩一郎氏、Fringe81の田中弦氏、ユーザベースの梅田優祐氏、ラクスルの松本恭攝氏、Tokyo Otaku Mode亀井智英氏ら、ITV が出資するスタートアップの経営者達が McNealy 氏の話に耳を傾けた。

物議を醸す場所にこそ、ビジネスチャンスがある

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新しいビジネスを興すと、そこに物議を醸し出されることはよくあること。逆に言えば、物議を醸すくらいでなければ、そのスタートアップに将来の可能性は無い。McNealy 氏は一つの好例として UBER を挙げた。読者なら承知の通り、UBER は世界各国で、地場のタクシー業界や運転手の組合などとの間で物議を醸している。しかし、それを乗り切るのはビジネスのスピードだ。ビジネスのスピードを速めるには、とにかく意思決定を素早くやること。それが CEO に求められる最も大きな責務の一つと言える。

スタートアップのコミュニティでは、よく皆で仲良く一緒に成長しよう、なんて風潮があるが、私に言わせれば、そんなのは有り得ない。

資本主義には、勝者と敗者があるのみだ。その業界のナンバー1とナンバー2のプレーヤーを引っ張り出す。ナンバー3より下はどうでもいい。ナンバー1とナンバー2とあなたのスタートアップとで、three-way dogfight(三者格闘)をするんだ。

話を聞いていた経営者の一人から、市場シェアを獲得する上での秘訣は何かと尋ねられ、McNealy 氏は物事を短期的に捉えることだと答えた。

必要なものを手に入れるにも、買うのではなくて、借りてくるんだ。長期的には考えないこと。

スタートアップにとって、多額の投資を必要とする〝所有〟という行為は資産にはつながらず、ピボットを妨げる要因になりかねない。むしろ、優秀な人材こそ、企業価値を生み出す源泉となる資産と言えるだろう。

優秀な人材確保は難しいことだ。GE の Jack Welch に会ったとき、彼もそう話していた。サン・マイクロシステムズを創業したとき、Bill Joy や Andy Bechtolsheim といったスーパースターを創業メンバーに迎えられたことは幸運だった。

そして、一つ言えることは、サン・マイクロシステムズの最初の100人を雇用するとき、彼らの面接に経営者である自分も参加していたということだ。面接は人事部がアレンジしたが、私も人事部に自分の意見を伝えていた。

これまでに何度か会社を創業した経験上、筆者も採用面接の大変さは理解できる。多くの業務タスクに追われる経営者にとって、面接は意外なほどに時間と体力を求められるものだ。しかし、社員の採用を人事部任せにすべきではない。特に最初の100人は、経営者が自ら立ち会って面接すべきだという話は、日本の企業創業者の口からもよく耳にする。

世界的企業を作り上げた成功者が語る、シリコンバレーの魅力

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グローバルなスタートアップ・コミュニティは、なにもシリコンバレーだけではない。日本にも素晴らしいコミュニティがあり、素晴らしい市場がある。それでも、世界のスタートアップはシリコンバレーを目指すべきか、との筆者の質問に対し、McNealy 氏はイエスと答えた。

その理由には3つある。英語が通じるということ。そして、シリコンバレーの気候がすばらしいということ。それに、Stanford、UC Berkley をはじめ、数々の大学や研究機関が集結している。スタートアップをやるには、シリコンバレーは素晴らしい場所だ。

アメリカの起業家や投資家に会ったとき、筆者は努めて、アメリカと日本のスタートアップを比較した意見をもらうようにしている。アメリカのスタートアップと違って、日本にはビジネス・インテリジェンスのサービスにフォーカスしたスタートアップが少ないのではないか、と尋ねたところ、McNealy 氏は筆者の質問を一蹴した。

日本には、ソニーの盛田昭夫氏(故人)に始まり、三木谷浩史氏や孫正義氏など素晴らしい起業家が多くいるじゃないか。私は、日本からも(ゲームなどに限らない)多くのビジネスが生まれていると思うし、今後もそうなると思う。

McNealy 氏が我々が感じている以上に、日本のスタートアップ・シーンや起業家の動向に魅力を感じているようだ。彼のような、世界の一大産業を築いた人物が、投資などの機会を通じて日本のスタートアップに積極的に関わるケースが多く生まれることを願ってやまない。

<参考文献>

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Scott McNealy 氏と記念撮影に臨む「ITV起業塾」の参加者ら。
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【投資家・起業家対談】「勝利のためならちっぽけなプライドなんてくれてやる」ーー伊藤忠テクノロジーベンチャーズ河野氏×VASILY金山氏(後半)

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投資家と起業家の関係は興味深い。特にシード期の投資家と起業家は共同で経営にあたり、資金だけでない特別な関係を結ぶことが多い。そこにはどのようなやり取りや葛藤があるのだろうか。このインタビュー・シリーズでは、投資家と起業家のお二人に対談形式で「二人だから語れる」内情に迫る。◉前半はこちらから VASILYの道のり 2008年11月:VASILY設立 2010年4月:iQONリリース 2010年10月…

投資家と起業家の関係は興味深い。特にシード期の投資家と起業家は共同で経営にあたり、資金だけでない特別な関係を結ぶことが多い。そこにはどのようなやり取りや葛藤があるのだろうか。このインタビュー・シリーズでは、投資家と起業家のお二人に対談形式で「二人だから語れる」内情に迫る。◉前半はこちらから

VASILYの道のり

2008年11月:VASILY設立
2010年4月:iQONリリース
2010年10月:資本金を200万円に増資。渋谷区恵比寿1丁目に本社移転
2011年5月:伊藤忠テクノロジーベンチャーズとGMO VenturePartnersに第三者割当増資実施、1.4億円調達
2012年2月:iQONのiOS版リリース、1カ月後に100万人月間訪問達成
2013年2月:グロービス・キャピタル・パートナーズ、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ、GMO VenturePartnersに第三者割当増資実施、3億円調達

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ーー前半からの続き

無駄に起業家の時間を奪うのは好きじゃないです

TB:プライベートで会うことは?

金山:プライベートはぜんぜん会わない。ていうか俺にプライベートなんてないよ。睡眠と、トレーニングは仕事でしょ。ないのよ。家に帰っても30分で寝るし、起きてすぐルーチンが始まる。プライベートではほとんど飲みにいかないし。

河野:アルコールは脳細胞破壊されるっていってますもんね(笑。私も無駄に起業家の時間を奪うのは好きじゃないです。そりゃもちろん採用の時に一緒に食事するとか、そういう必然性はありますけどね。メンバーとは定期的に飲み会もありますから。

金山:誕生日ぐらいか。

河野:誕生日ってアレでしょ、ここ(オフィス)にきて20キロの鉄アレイを渡された上に死ぬほど飲まされてタクシーで帰ったという。

TB:関係って変わりました?

金山:時間がたっても俺たち2人の関係は変わってないし、河野さんのスタンスも一切ぶれてない。やれって言われたことも、やめろとも言われたことない。俺がこれやるって言ったことを徹底的にサポートしてくれる。「やりたい、わかったやろう、どうする?俺動くわ」って感じ。

河野:意見は言うけどね。こういう考え方はあるよねとか。意志決定に関係するような情報を提供することはあっても意志決定そのものに介在することはほぼないね。24時間プライベートなしで会社のこと考えてるわけだから一般論なんて通用しないんじゃないかなと思ってて。投資したからには信じてまかせる。

金山:でもおもしろいよね。毎週金曜日のミーティングはアジェンダないのに、ランチいこうとかそういう時はアジェンダあるの。会う目的があるからついでに飯食べる?みたいな。なんとなく食事いったりはないね。

河野:ないですね。

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起業家と投資家の関係

TB:起業家と投資家の関係って面白いですよね。投資契約に確かに協力しましょう的な文言はあるけど、気が付いたら一緒に歩き出してあうんの呼吸になってる。バンドみたいなものですか?

金山:バンドよりも結婚かな。バンドは会社って感じ。演奏したい曲=事業があって、そのイメージを具現化するように必要なプレーヤー=社員を集めて。バンドだったら音楽性の違いとかでメンバーが変わったりすることがあるけど、資本政策ってほぼ不可逆でしょ。お互いなかなか離れることができない。だから結婚。

ところで河野さんはたくさん結婚してるよね。

河野:12社になりました。

金山:ホントだよ。アラブの大富豪だよ。

河野:関与の仕方は企業の性質もあるし、フェーズも違うから柔軟に変えてますよ。濃淡があるというか。ただ、全部共通してるのはなんでもかんでもやりすぎないことかな。起業家自身の力を最大化させることの方が大切ですね。資金調達や採用は全力でやるけど、それ以外はやらないですね。だから段々離れていくことになる。

金山:最初の頃は新婚ほやほやでご飯とか用意してあるのに段々「チンして」に変わって、最後はお金だけ置いてある…

河野:(笑。確かに最初はおやつとか持ってきたりしてたね。ただ最近は顔と名前が段々一致しなくなってきてる。新しい人が入ってくるとうれしさと一抹の寂しさが。

金山:河野さんが会社に来ると新しいメンバーはあの黒ヒョウ誰ですか?借金取りですか?って(笑。

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河野:最近河野さんきてくれないですけど、ってメンバーの方に言ってもらえるのはうれしいですね。

TB:こういう関係って明確な終わりのタイミングってあるんですかね。

河野:上場すれば「業」としての関係はなくなるかもしれません。けど、そこに至る過程は密度が濃いのでその先に新たなスタートがあるんでしょうね。そのタイミングがくれば、また伴走者としてついていきたいと思ってますよ。関係は発展することはあってもなくなることはないし。

金山:イグジットした後も人月計算に入ってるから使うからね。

河野:本当に相当使うからね(笑。でも嬉しいよね。それぐらいの気概でやってくれないと困るし。遠慮して使えるモノも使えないようじゃこの異種格闘技には勝てない。

金山:実際に採用は河野さんに相当な人月動いてもらってるし。

河野:人事部長だ(笑。

金山:確かに(笑。でもなんだろう。女房役かな?

河野:投資家たるもの「信じて寄り添う」これですかね。

サービスは毎日それに触れて死ぬ気でやってる方がいるわけですし、私たちは365日24時間をここだけのために使うことはできない。だからこそ一緒の船に乗ってくれる仲間をつれてくることは大切なことだし、そのために必要な資金を引っ張ってくることも大事なんですよ。そういうことは相当やってきましたし。

金山:そうだね。

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経営者としての考え方、投資家の役割の変化

河野:ところで僕らが投資した時って取締役入れて数人。でも今はこれだけのメンバーがいる。経営的な考え方って変わった?

金山:変わった。昔はやっぱり俺がプレーヤーとして1番だったらそれだけで十分だと思ってた。そこの部分は今もそうだけど、一番じゃないといけないし、仕事量も品質も最高じゃないといけない。だから企画するのも画面遷移を書くのもなんでもやるって感じだったけど、採用方針として自分より優秀な人を採用するっていうのを本当に意識してからそれは変わったね。

優秀な人の才能を解き放つために必要な武器を彼らに配る。会社のメンバーが最高のパフォーマンスがでる環境を用意する。その方が会社としてはスケールする。

河野:すっぱり切り替えられました?

金山:事業の成長が最重要事項だと思っているから全然すっぱりいけたよ。いざとなればプレーヤーとして一番だと思ってるし、その努力は怠ってないから。リーダーシップの姿としてアクターからアーキテクトにっていう話があるけど、まさにそれだね。

河野:最近の事業テーマでいうと、昨日も電話で話してたよね。

金山:目線上げていこうってね。それでいいの?こういう可能性もあるんじゃないの?って。トップラインを上げていく話はするよね。KPIを管理しているエクセルのグラフも桁をひとつ変えるだけで綺麗なホッケーカーブがぺったんこになる。小さい桁の成長で満足なんてしないぜ!ってね。

河野:そうそう。いいねぇ、こっからまたぐっといこうかってなる(笑。

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金山:最近はiQONスタート時に想定していたビジネスモデルが軌道にのり始めて、国内外のファッションブランドやナショナルクライアントと呼ばれるような広告主のみなさんに出稿して頂けるようなサービスになってきた。

次にやれるビジネスの選択肢が増えてきていて、可能性を感じている。

河野:確かに初期の頃はクライアント紹介したりしてたけど、最近はもっぱらチームに任せてるし、ね。

金山:立ち上げ当初は全然気にしてなかったiQON経由でのECサイト売上がかなり伸びてて、月間の流通額が億単位になってる。そうなるとECサイトに対してのインパクトが強まるから、iQONを使ってもっと何かできるんじゃないか?と考えられるようになってきてる。

具体的にはここをもっと深堀するかどうか検討してるのよね。さらにユーザーの利用頻度や深度もどんどん深くなってきているので、そこの部分に対してもビジネスとして広がりを持たせれるんじゃないかと思っている。

河野:それにひも付くファイナンスだったり人材戦略もね。このオフィスもそろそろ移転しなきゃいけないし。

大切なのは上場じゃない。その時の「姿」だ

TB:上場も噂され始めてます。

河野:上場時の姿ですよね。どういう見せ方をして出ていくか。実現している姿で出ていくのと、これから実現しようとしている姿を見せて出ていくのと。もちろん余裕なんて全然思ってませんし。

金山:ベストの姿を思い描いて追い込まないとベストにならないからね。

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TB:事業としての天井は?例えばアマゾンは本から始めて今では何でも売ってるようになりました。

金山:今やサーバー売りまくってるからね(笑。いけるとこまでいくでしょ。次にやることはファッションだけじゃなくても究極いいと思ってる。ただ、何かひとつでぶっちぎって1番にならないかぎり次はやらないと決めてもいるんだよね。

日本で1番高い山の名前は知っていても2番目に高い山はそんなに知られてない。1番と2番は絶対値としては1しか離れていないけれども、その間には大きな違いがある。それに何かで1番になれないようなヤツは何やってもなれないから、まずはiQONで1番になりたい。

河野:ファッションって洋服だけじゃないし、ライフスタイルってことを考えるとカメラを持ってる女子を含めてファッションだし、ディズニーみたいなコラボレーションも十分ありうる。何かしら自分の人生を彩ってくれるところに常にiQONがある、そんなイメージかな。さらに言えばそれはiQONじゃないかもしれないよね。会社名とサービス名を一致させててない理由はそこにもある。

持ってる起業家、持ってる投資家

河野:VASILYにはまだまだ必要なものは沢山あるんですよ。人だったりその原資であるカネだったり。それをいかにして集めてくるか。もちろん汚い手を使うつもりはさらさらないけど、僕は何としてでも集めてこないといけないわけです。

いや、刺されるかもしれませんよ。でもそれに代えてでも「集めてくる」という使命感があるんですよ。

金山:手段は問わないというのは、俺たちが最終的に関わった人にはみんな幸せになってなってもらいたいからだよね。ビビって遠慮したり、体裁とかプライドとかで道を諦めるようなことはしないよね。そんなの関係ねぇって。

河野:俺たちの勝利のためならちっぽけなプライドなんてくれてやる(笑。

金山:昨日の電話会議はそういう話だったね。

河野:必死ですからね、綺麗ごとだけではないので。プライドのかけ方が違うんですよ。

金山:必要だったら灰皿で酒飲むよ(笑。

河野:投資する時、よくわからないけど持ってるかどうかって信じてて、その人ってなんだか変な引力があったりするんですよ。世の中だったり人として求められているというか。

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TB:河野さんは持ってる?

金山:持ってる。

河野:起業家の直感を信じてて、最後迷ったら直感で決めてくれっていつも思ってる。

金山:ところで直感って直感じゃないよ。脳が言語化できてないだけでこれまで得た経験だったり情報だったりを直感とか、虫の知らせっていう感じでシグナルとして返してるだけ。

河野:何もないところからの思いつきじゃなくて、過去の積み上げとかをベースに自分の中で固まってる決意みたいなものかな。採用でもさ、最後に決まりかけてたのに「なんか違うな」って思ったら大概正しいのよね。じゃあごめんなさいしようとなる。

TB:なんなんでしょうね?

金山:不断の努力だよ。人に与えられている時間は1日24時間。その間にどのぐらい脳みそ動かしていれるか。24時間自分の全てを事業に捧げることができるか。ずーっとぼーっとしてる人が持ってるわけないし。持っているというのは後天的に獲得できると信じている。

長時間お話ありがとうございました。お時間になりました。

◎前半はこちらから

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【投資家・起業家対談】「武闘派の経営陣なんです」ーー伊藤忠テクノロジーベンチャーズ河野氏×VASILY金山氏(前半)

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投資家と起業家の関係は興味深い。特にシード期の投資家と起業家は共同で経営にあたり、資金だけでない特別な関係を結ぶことが多い。そこにはどのようなやり取りや葛藤があるのだろうか。このインタビュー・シリーズでは、投資家と起業家のお二人に対談形式で「二人だから語れる」内情に迫る。 今回は伊藤忠グループのVCカンパニーである伊藤忠テクノロジーベンチャーズ(以下、ITV)からパートナーの河野純一郎氏と、スマー…

投資家と起業家の関係は興味深い。特にシード期の投資家と起業家は共同で経営にあたり、資金だけでない特別な関係を結ぶことが多い。そこにはどのようなやり取りや葛藤があるのだろうか。このインタビュー・シリーズでは、投資家と起業家のお二人に対談形式で「二人だから語れる」内情に迫る。

今回は伊藤忠グループのVCカンパニーである伊藤忠テクノロジーベンチャーズ(以下、ITV)からパートナーの河野純一郎氏と、スマートフォン時代のファッションメディア「iQON」を運営するVASILY代表取締役の金山裕樹氏が対談する。VASILYの初回投資ラウンドでリードインベスターを務めたのがITVであり、両者はiQONの成長を二人三脚で見守ってきた関係だ。

私もまた彼らのデビュー当時から取材している関係もあり、ざっくばらんとした雰囲気で進めさせて頂いた。(文中敬称略、聞き手は筆者)

◎公開した後半はこちらから

VASILYの道のり

2008年11月:VASILY設立
2010年4月:iQONリリース
2010年10月:資本金を200万円に増資。渋谷区恵比寿1丁目に本社移転
2011年5月:伊藤忠テクノロジーベンチャーズとGMO VenturePartnersに第三者割当増資実施、1.4億円調達
2012年2月:iQONのiOS版リリース、1カ月後に100万人月間訪問達成
2013年2月:グロービス・キャピタル・パートナーズ、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ、GMO VenturePartnersに第三者割当増資実施、3億円調達

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ーーお話はお二人のトレーニング談義から始まる

河野:VASILYも2014年にIPOする会社の特集に出てたよね。

金山:そうそう。でも2014年はちょっと早いかもね、っていうかこんな感じでいいの?この対談(笑。これであの内容になるの?前回の(高宮氏/古川氏対談)見た?

河野:見ました。あの感じにしなくていいですよね(笑。

TB:高宮さんとけんすうさんの時は少し違います。今日は筋肉談義を期待してますので。

金山:やっぱ身体鍛えないとだめっしょ。キゴヤマさんは ゴールドジムだよね?ていうかあそこガチじゃない?俺怖くて無理だよ。あそこで裸になるなんて無理無理。

TB:はい、ロシアの方とか怖いです。ではなぜお二人は身体を鍛えるのかというお話からお願いします。

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起業家と投資家が体を鍛える理由

金山:真面目に話するよ(笑。やっぱり起業してからマジで鍛えるようになったのね。仕事だったり会社のステージが上がっていくと、労働集約的なものは段々少なくなってくるの。

逆に一発の重大な意志決定とかクリエイティブに関わるものが増えてくる。既存の枠を壊すような新しいビジネスモデル考えるとか。風邪をひいていたり、体調がよくないとベストな判断をすることはできない。身体が健康な状態でないといいものは出てこないよ。

TB:ある投資家が北米の投資家は全体的にムキムキで、起業家に威圧感を与えるから俺は鍛えてるんだと話した方がいらっしゃいますが河野さんもやはり?

河野:あまりそういうのはないですよ(笑。ただ、いくらエンジンが高性能でもそれを安っぽいボディに収めたらハイパワーは出ませんよね。ハードウェアとしての身体を鍛えるのは常に「フレッシュな状態」を保つためです。例えば私はファッションが好きなので、格好良く着続けたいというのはありますよね。

金山:あと筋トレすると出てくる快楽物質のためかな。それが出てきてストレス発散になる。

河野:それはあるよね。

金山:ジムは誰かと一緒にいくといいよ。声掛け合ったり補助してもらって自分では上げられない重さを上げられるから。会社のメンバーと一緒にいったことがあるけど、カッコ悪いところ見せれないからがんばっちゃたりしてね。。

河野:手が抜けないしね。

金山:スクワットも浅いのできない。

金山:実はね、スクワットあんまりやんなかったの。ジムのお兄さんにスクワットは「キングオブエクササイズですよ」って言われちゃってさ。さすがにキングを無視できないなと。ちなみにベンチ何キロ?

河野:私も元ボディビルの日本チャンプがやってるジムに通ってて、あそこ日本最古じゃないのかな(笑。そこでもスクワットやれと言われたよ。ベンチはどうだろう。80キロぐらいかな。

金山:男たるもの最低でも自重は上げなきゃね。

河野:本当は100キロいきたいんだけど(笑。

金山:ムキムキになりたい訳じゃないでしょ?

河野:服着れなくなっちゃう。この容積で研ぎ澄ましていきたいね。

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二人三脚で「iQON」を育てた起業家と投資家

TB:さて、筋肉の話ばっかりになるとアレなのでお二人の出会いあたりをぜひ…。

河野:2009年の始めあたりですかね。TechCrunch Japanのイベントで当時ITVだった小川さん(元ITVの小川剛氏)がiQONと出会って、ファッション系だから河野さんどう?って紹介してもらったのがきっかけです。メールで連絡して当時のオフィスだった恵比寿のマンションに行ったのが最初ですね。

金山:キゴヤマさんは知ってると思うけどあの当時って俺、ファイナンスってなんですか?自分で稼げてるのに外の資金入れるなんて馬鹿じゃないですか?っていうスタンスだったじゃない。

TB:確かに。株を売るのは自分の魂を売るのに等しい蛮行だって言ってました。

金山:投資家からの連絡あっても会わなかった。でもその時ってなぜか会おうって思っちゃったんだよね。

河野:当時は確かにアプリの受託開発で好調だったし、ファイナンスは別に考えてませんっていうスタンスでしたよね。だから私もファイナンスしましょうとは積極的にはいきませんでした。ただ、これはいつか勝負する時がくるだろうという予感があったんです。

だからつかず離れずの位置をキープして半年に1回ぐらい連絡をするような関係でしたね。

金山:確かに。

河野:そしたらiQONが事業としていけそうになって、受託と平行するにはリソースが分散するからとファイナンスに流れていった。

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金山:一気にいったね。

河野:当時の会員数は2000人程だったんですよね。ただ、ユーザーの1ヶ月の被服費が4万円ぐらいあってファッション好きな女性が使ってるという兆しを感じられたんです。絶対数は多くないけど、ファイナンスかけてグロースすればファッションメディアに成長すると感じてましたよ。

TB:あれだけファイナンスとか投資家とか嫌ってたのにどうしてITVをパートナーにしたのですか?

金山:いまは撤退しているけど、Googleがboutique.comというサービスを始めたからってのが大きかった。Googleが本気でこの分野に参入してきたらちんたら受託をやりながら戦ってもきっと勝てない。競合はいないと思っていたけど、外圧に晒されたのは確かにある。

けど、ビジネスとしての手応えもあって、ヒステリックグラマーとか最初のタイアップが決まったのもそれぐらいの時期だったし、全く儲からないと思ってたアフィリエイトもそれなりに入ってきて「ああ、これ売れるじゃない」って感じてたのもあった。

河野:海の向こうのPolyvoreぐらいでしたもんね。

TB:当時も受託開発で結構稼いでたし、結果的にファイナンスしたけどその経験は大切ってよく言ってましたよね。

金山:やっぱりそうだよ。モノ作って納めて、契約書まであるのにお金振り込まれないとかそういうヒリヒリする経験って大事だよ。仕事「捕ってくる」っていう感覚。そういう積み重ねがあって肝が据わってくる。

TB:ただ、受託やめてiQON一本にしてから結構苦労してましたよね。確かiOSアプリ出すまで結構キツかったのでは。

河野:暗黒時代ですね。その当時は「この分野はオマエでしか勝てないんだから逆にオマエで勝てないんだったらマーケットがないんだよ。マーケットがないんだったらあきらめる。けどマーケットがあるんだったら勝てるのはオマエでいかいない。だからあきらめずやり続けるんだよ」って言ってました。

最後まで付き合うと。世の中的に明らかに白なのにオマエが黒と言い続けるんだったら俺も黒と言い続ける。そういう覚悟があったんです。そう思わせてくれる何かがあった。

捧げてもいいと。色んなものを。

金山:いろんなもの…イラナイ(笑。

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武闘派の経営陣なんです

TB:お二人はどれぐらいの頻度で会ってるのですか?

金山:毎週会ってますよ。

河野:ふたりだけじゃなくて毎週金曜日は社外取締役を含めて経営陣で経営会議と題したアジェンダのない会議をやってるんですよね。

金山:本当にアジェンダないよね。

河野:アジェンダ決めると義務的になるんですよね。そうなるとちょっと今週忙しいからスキップしようとかそういう「会議のための会議」になっちゃう。でも企業経営者って自分の中に確信に近いものがあってもそこに踏み込めなかったり、悩んでたりというのがあると思っていて、ディスカッションの機会は多い方がいいと思ってるんです。最近入ったあの方はどうですか?とか。

金山:経営会議というか取締役達を相手にした壁打みたいな感覚。日頃気になってることを思うがままに雑談する感じ。でも雑談からいいのが生まれるのよ。俺は社外取締役に入ってもらっている投資家達の脳みそに超期待してるの。ファイナンスする時もどこから出資を受けるかというよりかは誰を経営陣に入れるかっていう視点でものすごく精査したし、だからこそその優秀な脳みそは使いたい。

実際社外取締役の人たちを人月換算して計算しているようなプロジェクトもあるし、使えるものは全部全部しゃぶり尽くすね。

河野:(笑。

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金山:VASILYのファインナスに関して言えばシリーズAの時はまだまだ事業が成り立つか成り立たないかの瀬戸際なところがあるので泥水すすりながらのゲリラ戦。だから河野さんのようなブルドーザー型の人間にミクロな部分をグイグイ推進しいってもらったり、GMOVPの塩田さん(GMO VenturePartnersマネージャーの塩田幸子氏)のようにファッションが好きな女性で実際のユーザーの近い人と一緒にやるのがいいっていうのがあった。

けど、事業確度が高まりより戦略的意思決定が重要な場面が多くなるシリーズBではグロービスの今野さん(グロービス・キャピタル・パートナーズ パートナーの今野穣氏)のようなマクロな視点を持つ空爆型が必要になるんだよね。

河野:陸軍と空軍(笑。

女性的な視点では塩田さんがいて、直情型で攻撃タイプの僕がカネや人を引っ張ってくる。今野さんは全体を俯瞰しながら駒を動かす(笑。いろんな投資先に関与しているけど、チームとしてのバランスはいいよね。

金山:起業家にとっては投資家選びも社員採用と同じように選ぶ基準は人なのよ。さっきも言ってるけど、俺は社外取締役でもリソースとして人月換算してるから(笑。このチームは武闘派だと思うよ。女性向けサービスやってるのに経営チームはガチだからね。塩田さんも女性にしては武闘派だからね。

TB:それ書いていいの?

金山:否定はすると思う。うん(笑。

◎公開した後半はこちらから

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