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米国のテック大手が2018年に買収した、欧州スタートアップ13社

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過去数年間と同様、2018年にもテクノロジー業界で多数の大規模買収劇があった。テクノロジーを強化する手段を探すアメリカ企業にとっては、ヨーロッパが格好の調達先となっている。 ここからは、今年欧米間で行われた買収劇のいくつかを紹介しよう。 Spektral(デンマーク) 10月、Apple はデンマークのスタートアップ Spektral を買収したことを発表した。Spektral はコンピュータビジ…

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Image credit: Pixabay

過去数年間と同様、2018年にもテクノロジー業界で多数の大規模買収劇があった。テクノロジーを強化する手段を探すアメリカ企業にとっては、ヨーロッパが格好の調達先となっている。

ここからは、今年欧米間で行われた買収劇のいくつかを紹介しよう。

Spektral(デンマーク)

10月、Apple はデンマークのスタートアップ Spektral を買収したことを発表した。Spektral はコンピュータビジョンと機械学習テクノロジーを使って、リアルタイムで動画から人物の部分を切り抜くことができる。iPhone のカメラに組み込まれたら便利な機能である。しかし Apple 傘下で Spektral のテクノロジーがどのような変化を遂げるかはまだ未知数だ。

契約条件は公式には明らかにされていないが、地元紙 Børsen によると契約額は約3,000万米ドルになるという。

Shazam(イギリス)

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Shazam

この買収劇が実際に発表されたのは昨年のことである。Apple は4億米ドルの入札によって、ロンドンに拠点を置く音声認識プラットフォーム企業 Shazam を買収した。欧州委員会(EC)による独占禁止法の調査が行われた影響もあり、買収完了までには10か月を要した。EC は9月になって買収を進めることを認め、その数週間後には Apple が契約完了を正式に発表した。

Apple は Shazam をスタンドアロンのアプリとして維持し続けることを表明していたが、将来的には Apple 製品に Shazam のテクノロジーが緊密に連携されていく公算が高い。

Dialog Semiconductor(ドイツ)

これについては完全な買収ではないが、いずれにせよ注目に値するものである。Apple は6億米ドルの契約を結んで Dialog の電力管理チップ事業を部分的に買収した。これには Dialog のテクノロジーのライセンス、一部のヨーロッパオフィスの所有権、そして300人のエンジニアのオンボーディングが含まれる。

Apple が iPhone の電力管理チップを Dialog Semiconductor のものから他社のものにするという報道が出て1年以上経過してから、今回の契約のニュースが発表された。この噂により Dialog の株価は約40%も急落していた。

Platoon(イギリス)

今月、Apple がロンドンに拠点を置く Platoon を買収したというニュースが伝えられた。Platoon はミュージシャン向けのクリエイティブサービスを提供している。

Apple は Platoon に関する明確な計画を決めていないが、Platoon はレコード契約の締結やツアーのサポート、独自コンテンツの作成、関連市場へのマーケティングといったアーティストの育成を得意としている。言うまでもなく、Platoon と Apple Music の相性は抜群だ。

Bloomsbury AI(イギリス)

7月、Facebook はロンドンに拠点を置くスタートアップ Bloomsbury AI の買収計画を発表した。契約条件は発表されていないが、一部の報道によると契約額は最大で3,000万米ドルに達するという。

Bloomsbury AI の自然言語処理(NLP)とマシンリーディングテクノロジーでは、非構造化テキストと文書の構文を解析して質問に答えることができる。今回の契約は企業買収によって人材を獲得するだけにとどまらない。 Bloomsbury AI はコア製品の開発を中止して GitHub でオープンソースとして開発を行う道を選んでいる。

GraphicsFuzz(イギリス)

8月、Google はロンドンに拠点を置く GraphicsFuzz を買収したことを発表した。GraphicsFuzz はモバイル画像ベンチマークツールに特化したスタートアップである。

契約条件は発表されていないが、当時発表された Google の声明によると、契約の結果、GraphicsFuzz の3人から成るチームは Android のグラフィックチームに参加してドライバーテストテクノロジーを「Android のエコシステム」に統合するサポートを行う。

Ninja Theory(イギリス)

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Senua は青いタトゥーを除けば平凡なキャラクターだ
Image Credit: Ninja Theory

6月、Microsoft は5つのゲームスタジオを買収したことを発表したそのうちの1つがイギリスに拠点を置き『Hellblade』を開発した Ninja Theory である。

過去を振り返ってみても、Microsoft は限られた数の社内スタジオしか運営してきておらず、Xbox 限定のゲームの制作ができなかった。5つのスタジオを傘下に置くことで、この状況が打開される方向に向かう。

Playground Games(イギリス)

6月に行われた Microsoft によるもう1つの買収劇が、『Forza Horizon』を開発した Playground Games に関するものである。同社は買収を経て、Microsoft 傘下で『Forza Horizon 4』を PC と Xbox で限定リリースする役割を担った。

Blue Vision Labs(イギリス)

Blue Vision Labs

2019年に IPO を計画しているライドヘイリング企業 Lyft は10月、ロンドンに拠点を置く拡張現実(AR)スタートアップ Blue Vision Labs の買収計画を発表した

この買収により、Lyft は初めてイギリス内にオフィスを持つことになる。しかし、Lyft のコアサービスであるライドヘイリングをイギリス市場でローンチする動きに出るかは発表されていない。Blue Vision Labs は Lyft の自動運転向けレベル5(完全自動運転)部門の一部となり、買収によって Lyft の自動運転車への取り組みが強化される。

PlayCanvas(イギリス)

Snapchat を運営する Snap が、ロンドンに拠点を置く PlayCanvas を買収したというニュースが3月に飛び込んできた。PlayCanvas はウェブ向けのゲーミングエンジンを開発している。しかし、取引自体は昨年に行われていたようだ。

確認は取れていないものの、報道によると Snap は一部のゲーム機能を Snapchat アプリに実装する方法だけでなく、新たな3D 機能やバーチャルリアリティ(VR)機能を同社の看板アプリに実装する方法を探っているようだ。

iZettle(スウェーデン)

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iZettle

ヨーロッパの Square と呼ばれる iZettle は、突然目の前に現れた PayPal に22億米ドルで買収されるまで上場に向けた準備を行っていた。この買収は PayPal にとってこれまでで最高額となるものだ。

iZettle は複数のヨーロッパ市場に進出しているため、PayPal は今回の買収によって実店舗での支払いサービスで存在感を強化することになる。

買収自体は完了しているものの、イギリスの競争・市場庁である CMA は契約の調査を続けている。今後何らかの形で契約が取り消しになる可能性もあるため、今後の動向にも注目だ。

Interoute(イギリス)

2月、アメリカの通信会社でインターネットプロバイダーでもある GTT Communications は、ヨーロッパのファイバーネットワーク事業者である Interoute を23億米ドルで買収したことを発表した。

ロンドンに拠点を置く Interoute はすでにヨーロッパ最大級のファイバーネットワークを運営しており、その規模は7万キロ以上、29か国に及ぶ。つまり、今回の買収によって GTT は世界規模のネットワークを容易に拡大できるようになる。

DogBuddy(イギリス)

最も魅力的な業界というわけではないかもしれないが、世界のペット市場産業規模は数十億米ドルにも及ぶ。アメリカに拠点を置くドッグシッティングプラットフォーム企業 Rover は、今年1億5,500万米ドルを調達して国外への展開に打って出た。その一環としてヨーロッパの競合 DogBuddy を買収した

世界のペットフード消費額は700億米ドルを超えているが、その3分の2をアメリカとヨーロッパが占めており、大半は犬用ペットフードへの支出となっている

犬向けのビジネスは儲かるのである。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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PayPalが同社史上最大22億ドルで「欧州のSquare」iZettleを買収、その意図は?

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17日、PayPalはストックホルム発の決済スタートアップiZettleを、同社史上最大額の22億ドルで買収することを発表した。iZettleはいわば欧州版Square、実在店舗向けにクレジットカード端末とPOSソフトウェアを開発・提供する企業だ。 PayPalによるiZettleの買収は、22億ドルというPayPalの過去の買収事例と比べても突出して大きな額であったこと、さらにiZettle自身…

Image Credit: iZettle

17日、PayPalはストックホルム発の決済スタートアップiZettleを、同社史上最大額の22億ドルで買収することを発表した。iZettleはいわば欧州版Square、実在店舗向けにクレジットカード端末とPOSソフトウェアを開発・提供する企業だ。

PayPalによるiZettleの買収は、22億ドルというPayPalの過去の買収事例と比べても突出して大きな額であったこと、さらにiZettle自身が近々IPOする予定とみられていたことから、大きな驚きを呼んだ。さらに、iZettleのIPO評価額は11億ドル強と思われていたことから、その約2倍の買収がさらなる反響を招いている。

PayPalが22億ドルを出してまでiZettleを買収したい理由はどこにあるのだろうか?

いくつかのメディアが指摘するのは、PayPalの欧州の実在店舗でプレゼンスを高めたいという意欲が大きいというもの。スウェーデン発のiZettleはこれまで12カ国に進出しており、そのほとんどは欧州だ。iZettleの既存のマーケットを活用して、欧州進出を加速できることは魅力だろう。

また、iZettleの主な利用者は実店舗のスモールビジネスになるが、モバイル・オンライン決済が成長している今、小売店舗に対してオフライン・オンライン・モバイルとオムニチャンネルを提供したいというのは、iZettleとPayPalがつながるべき大きな理由になる。PayPal自身もPayPal Hereというカード端末を出したもののあまり拡大しておらず、カード端末には苦戦していたようだ。今回の買収は、お互いの強みを補完しあえるものになるのではないだろうか。

一方で、2010年の創業したiZettleは、これまで1億5000万ドルをベンチャーキャピタルから調達し、そのうちの4700万ドルは昨年12月に調達したばかりだった。そのうち、少なくとも8300万ドルはデットファイナンスだった。借り入れ額の大きさは、IPOとその後の経過に同社が不安を抱く一因となっていた可能性もある。また、競合のSquareは昨年には英国に進出しており、今後欧州展開を加速していくと見られていた。そうした状況も鑑みると、iZettleは今回の買収で多少肩の荷が下りる思いかもしれない。

「iZettleは今後、PayPalのスモールビジネスの店舗向けプロダクトとサービスにおいて卓越した存在となります。その点について、私はとてもわくわくしています。(中略)私たちは引き続き、すばらしい拡大の機会をもつグローバルファミリーの一員として、これまでと同じような形で仕事をしていきます」

iZettleのCEO・コーファウンダーのJacob de Geer氏は、サイト上で今後の意気込みについてこのように語っている

参照:
Why Sweden’s iZettle sold to PayPal for $2.2 billion rather than IPO / VentureBeat
PayPal will spend $2.2 billion to buy the Square of Europe — iZettle — in its biggest acquisition ever / recode

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