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メコンデルタのスタートアップ・シーン——2.4億人が生み出す経済、エコシステム、その将来性を紐解く

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メコン地域は、タイ、べトナム、ミャンマー、カンボジア、ラオスから成り、絶えず発展している。 徐々に門戸を開きつつあり、経済成長が芽生え始めているミャンマーは、「目的に適った」経済であると見なされている。その一方で、べトナムは東南アジアの手工業の中核として海外の投資家から大いに注目されている。 スタートアップの環境はまちまちだろうが、こうしたメコン市場に参入しようとするスタートアップのために、将来性…

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CC BY-SA 2.0 via Flickr by Jean-Marie Hullot

メコン地域は、タイ、べトナム、ミャンマー、カンボジア、ラオスから成り、絶えず発展している。

徐々に門戸を開きつつあり、経済成長が芽生え始めているミャンマーは、「目的に適った」経済であると見なされている。その一方で、べトナムは東南アジアの手工業の中核として海外の投資家から大いに注目されている。

スタートアップの環境はまちまちだろうが、こうしたメコン市場に参入しようとするスタートアップのために、将来性を示す経済的要因やエコシステムに特化した要因に触れ概要を短くまとめてみた。

メコンの玄関口、タイ

「メコン地域への玄関口」として知られる、6,800万人の市場(世界銀行調べ)でありインドネシアに続いて東南アジア第2位の経済大国は、継続的に打ち寄せる政治不安にも関わらず、順調に進んできている。最近では、「タイの巨大なファイアーウォール」になると脅かした、提案中のシングル・ゲートウェイ政策は、地元のICT業界にとって強力な脅威となった。

かつて成長著しいエレクトロニクス産業の本場であったタイの製造業指数は、近隣国市場がより低コストを提供しているため、22ヶ月連続で落ち続けている。

それでも、歴史の浅いエコシステムは前途有望なテクノロジーシーンになる素質を持っている。Bangkok Entrepreneurs によって作成された包括的な国の報告書によると、タイは、シンガポールについで2位となる150%の携帯電話普及率を保持し、ソーシャルメディアで3,200万人のユーザを誇っている。

かなり早い時期に成功を収めた地元のスタートアップの話として、ホテル予約を扱う巨大企業Agodaがある。Agoda は1997年にバンコクで設立し立ち上げられ、2007年に Priceline に買収された。他の注目すべき取引は、Tencent(騰訊) が1,000万米ドル以上で株の50%を買収したウェブポータルのSanook.comだ。このスタートアップは1998年に設立し、取引は2010年にまとまった。ごく最近では、Yello Digital Marketing Group によるバンコク拠点のスタートアップComputerlogyの買収があった。

タイのエコシステムにおいて最も豊富な資金を持つスタートアップに関しては、電子出版プラットフォームの Ookbee が、2回の調達ラウンドで今日までに900万米ドルを調達した。他には、シリーズAレベルで1880万米ドルを調達した、eコマースソリューションプロバイダーの aCommerce がある。

この国には、500 Startups の1,000万米ドルのマイクロファンド 500Tuk Tuks や、通常一度に最大1200万米ドルを投資する Ardent Capital、一度に最大250万米ドルを投資する Inspire Ventures をはじめとする、5つのベンチャー投資会社がある。

ベトナムは巨大なアウトライアーなのか?

東南アジア第2位の最大市場として、ベトナムは、過去および現在の問題にも関わらず、新興市場における「巨大なアウトライアー」と見られている。

ベトナムは、電気通信業界において早期急成長のチャンスを握っていたが、結局、市場が過飽和状態となったため、投資家たちは2012年に手を引いてしまった。それが数年前のことだ。しかし現在、ベトナムの経済背長に重くのしかかっているのは、不良銀行融資との長引く戦いである。その戦いにようやく3年経って見通しがつき始めている。

今後数年で9,000万人の人口を抱える同国は、好景気に沸く製造業のおかげで、GDP が6~8%の拡大を見るかもしれない。事実、3台の Samsung 電話機のうちの1台はベトナムで製造され、東南アジアの国ベトナムはスマートフォン製造業者の世界的供給チェーンの重要な一環を担っている。典型的な例として、Samsung は、これまでにベトナムを拠点とする製作所や組み立て工場におよそ90億米ドルを投資している。

2つの活気のあるスタートアップエコシステム、ハノイとホーチミン市があるベトナム、そのベトナムの2つのテクノロジーシーンは、北部からの技術人材と南部からのビジネス志向の起業家が交じり合う場となっている。ハノイを拠点とするエコシステム起業家 HATCH! がまとめた報告によると、ベトナムは、34%の携帯電話普及率があると同時に4000万人近くのインターネットユーザを保有し、スマートフォンユーザの60%は、モバイル機器を介して買い物をするという。

昨年、ベトナムのエコシステムにいくつか注目すべきことがあった。5月に、シリコンバレーのクラウドゲームプラットフォームWeebyはソーシャルネットワークアプリ Tappy を株と現金で構成された7桁額で買収した。

また、グローバルVCである 500 Startups は最近、ベトナムに向けたマイクロファンドを立ち上げ、Binh Tran 氏と Eddie Thai 氏をベンチャーパートナーとして迎えた。Tran 氏は昨年2億米ドルでイグジットした Klout の共同設立者兼CTOであった。Thai 氏は Fortune 500 の経験豊かなストラテジストである。日本のサイバーエージェント・ベンチャーズと IDG Ventures など他のグローバルVCもベトナムで活動している。

今後、ベトナムは2013年の Flappy Bird 現象に加えて、もっとたくさんの興奮を味わうことになるだろう。

ミャンマーは、最後のフロンティア

6,000万の人口のうち4,600万人が労働年齢であるミャンマー(ビルマ)は、半世紀の軍事政権による支配を経てついに鎖国状態を解かれた。「最後のフロンティア」と見なされるミャンマーはモバイルファーストの国であり、Telenor と Ooredoo という外国の通信会社が2013年にライセンスを取得して以来、現代的な世界に一足飛びで参入した。これまでのところ、ミャンマーは外資で80億米ドルを受け入れている。

McKinsey の報告によると、ミャンマーが焦点を絞るべき4つの地域やその成長を停滞させるリスクがあるということである。

まずはこの国にデジタルテクノロジーを取り入れること。それには、とりわけ電気通信セクターを中心にかなりの技術インフラ投資が必要になるだろう。 次に、成長に向けて製造業を重視すること。このセクターは国外から20億米ドルもの投資を引き出したからだ。最後に、ミャンマーでは多くの人が地方に住んでいるため、この国は都市化に向けた準備をしつつ地方自治に移行する計画を策定しなくてはならない。

ミャンマーは未開の地であるため、新興市場で操業するという経験を多くの企業にもたらした。ノルウェーの電話会社 Telenor に加えて、ドイツのベンチャービルダー Rocket Internet も、ミャンマーの市場が開放されるとすぐさま複数のeコマースプラットフォームを携えて参入してきた。Google によると今年早くにはミャンマーの人が Gmail を利用できるようになったという。

資金調達案件に関しては、昨年ミャンマーで2社のeコマーススタートアップがマレーシアのベンチャーキャピタルである Frontier Digital Ventures から資金を調達した。このラウンドは非公表のものだが、その重要性が認められている。デジタルスタートアップの NEX もまた、シンガポールの Blibos Group より15万米ドルのスモールラウンドで資金を調達した。

エコシステムのビルダーに関して言えば、最も活動的なのは Phandeeyar だ。この会社はコミュニティ(デベロッパー、デザイナー、ジャーナリスト、技術者など)を1ヶ所にまとめることを目指してコワーキングスペースやハッカソンを運営しており、今はサイロを仕事場としている。

エコシステムの運命はあと数週間で決まるだろう。 この国では50年で初めてとなる総選挙が実施される予定だからだ。

テックよりソーシャルのカンボジア

他のメコン市場と比べると、カンボジアは人口が1,500万人と少なく、この点で不利である。シンガポール同様、この国を拠点とする起業家は最初から国境を越えることを考えなくてはならないが、英語を使いこなせる現地設立者が少ないために、なかなか厳しいだろう。

We Are Socialによる報告によれば、一見したところ現在の市場は、テック系スタートアップにとって特に有望というわけではない。スマートフォンのアクティブユーザはわずか220万人で、インターネットのアクティブユーザは380万でしかない。それでもなお、成長の数字には可能性が秘められているように見える。昨年1月以来、インターネットユーザは414%と急増しているのである。スマートフォンユーザもまた、同時期に100%急増している。

ソーシャルメディアに関して言えば、カンボジアのユーザ数は現在240万人で、2012年時の60万人から増加した。

リソースについては、カンボジアのテック業界にはテックブログの Geeks があり、モバイル、ガジェット、ソーシャルグッドなどのトピックをカバーしている。KOTRA(大韓貿易投資振興公社) などのテックインキュベータもこの業界に出てきているが、サポートしているプロジェクトはITやソフトウェアから気候変動、グリーンエネルギーに及ぶ。見たところ力が入っているのはほとんどがソーシャル起業に関するもので、テックの起業家精神ではない。

Rocket Internetも今年早く、eコマースサイトの Kaymu をローンチしてカンボジアに進出している。

東南アジアのバッテリー、ラオス

「東南アジアのバッテリー」となる準備をしているため、ラオスはメコン川下流に、海外投資家に興味を持たせる多数のダムを建設し、今後も建設を行う予定である。海洋生物およびメコン川の産業の支障となるため物議を醸しているこれらプロジェクトは、タイやベトナムへの主要輸出国になろうとするラオス政府の計画の一環だ。

ラオスの水力発電の将来性は一部の海外投資を呼び込んでいる。主に、合計51億米ドルを投入し、昨年同国のトップ投資家になった中国からの投資である。

人口660万のラオスは、まだデジタル時代への一歩を踏み出したばかりである。We Are Socialの報告によれば、ラオスにはアクティブユーザがたった85万人でソーシャルメディアユーザは68万人しかいない。しかし、2014年1月以来、インターネットユーザは20%急増し、ソーシャルメディアユーザは62%急増した。

非常に初期段階ではあるものの、テック活動もいくつか存在している。駆け込みホテル予約アプリ HotelQuickly は2014年10月にラオスに進出し、ラオス国立大学はテック系スタートアップを支援するラオスITビジネスインキュベータセンター(LIBIC)をローンチした。

メコン川流域地区のテック業界メンバーが一堂に会する Echelon Thailand  2015は11月26日と27日、午前8時30分から午後5時30分まで開催され、夜遅くまで参加者限定のパーティも開かれる。このイベントの主催はBangkok International Trade & Exhibition Centre(BITEC)。チケットはここからで入手できる。

【via e27】 @E27sg

【原文】

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母国語対応の携帯電話開発に奮闘する、ラオスのスタートアップ XY Mobile

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【翻訳 by Conyac】 【原文】 ほとんどの人々は、自分が好む言語設定ができる携帯電話をもっている。ここで、自分の携帯の設定がすべて外国語設定になっていると仮定してみてほしい。ほとんどの人は困惑してしまうことが私には容易に想像できる。そして、それが実際にラオスの人々が感じてきたことなのだ。 今、携帯電話でラーオ語に対応しているものはない。しかし、Allan Rasmussen 氏 とXY M…

【翻訳 by Conyac】 【原文】

ほとんどの人々は、自分が好む言語設定ができる携帯電話をもっている。ここで、自分の携帯の設定がすべて外国語設定になっていると仮定してみてほしい。ほとんどの人は困惑してしまうことが私には容易に想像できる。そして、それが実際にラオスの人々が感じてきたことなのだ。

今、携帯電話でラーオ語に対応しているものはない。しかし、Allan Rasmussen 氏 とXY Mobileの彼のチームは、そんなラオスでの状況を変えるべく苦心している。ラオスは、タイとベトナムの間に位置する小さな国で、人口は約650万人。ラーオ語が公用語だが、タイ語、英語、そしてその他の民族語も話されている。

ラオスは非常に小規模な人口で、人々の消費も小規模だ。したがって、多くの携帯電話ブランドが、自社製品の機能をラオス向けにカスタマイズしない。ビジネス的には成立しないからだ。

しかし、ラオスの人々に選択肢はあるのか? ないのが現状だ。ラオスの人々は、彼らの公用語であるラーオ語に対応していない電話を泣く泣く使用するしかない。多くの人々は、Nokia と Samsung を使用しているが、ラオスの電話市場では、Android や iPhone などのスマートフォンも勢いをみせている。これらの電話は、タイ語もしくは英語での表示になっており、ラーオ語は新しい機器からも外されてしまっているのだ。


モバイル機器を通じての情報伝達は非常に難しい。タイ語もしくは英語を理解しないラオスの人々の多くは、SMSを送る際、ラーオ語の音を英語の文字を入力している。そして予想されるとおり、人々の間で理解不能なSMSが飛び交うことになる。Allan 氏と彼のチームの例を挙げてみよう。最初の文面はラオス語、その後の文面は英語の文字を使ってラオス語の発音を打ち込んだもの、そして文面の英語での意味になる。

Allan 氏が指摘したもう1つの問題は、ラオスの電話会社が、ユーザ向けに提供できるような多くのモバイルコンテンツを持ち合わせていないということだ。このため、タイの国境付近に住むラオスの人々の多くは、より多くのアプリとモバイルコンテンツへのアクセスを得るため、タイの電話会社と契約している。いっそう多くの人々がタイ語と英語を使用するにつれて、ラーオ語を使用する人々の数は減少している。Allan 氏は、ラオス政府がようやく問題を理解し、ラーオ語に対応した電子機器の導入に向けての政策を発表した、と語った。これは始まりであり、まだまだやるべきことはたくさんある。


6年もの戦い

XY Mobile は2010年9月に設立されたが、Allan 氏は、このラーオ語を携帯電話に導入するという大規模なプロジェクトが開始されたのは6年前にさかのぼる、と語ってくれた。当初、このスタートアップの社長である Anousak Souphavanh 氏は、ラーオ語を Linux (別名 Laonux)や、ラオス市場のその他のオープンソースプラットフォームに導入するために6年もの日々を費やしている。

当初のチームの最終的な目標は、大手携帯電話メーカーとの提携によってラーオ語を携帯電話に導入することだった。しかし、残念なことに、ほとんどの大手メーカーは、そのアイデアに乗り気ではなかった。彼らは、ラオスがどこに位置する国なのかを知らないのか、もしくは市場が小規模すぎるということで注目をあびるに値しないと考えたか、のどちらかであろう。

選択肢もなくなり、ついに XY Mobile が設立され、代わりに、独自のモバイル機器を作り出しラーオ語に対応させるという策をとることになった。問題に向けて深く突き進むにつれ、彼らはビルマやカンボジアなどその他の国々も、似たようにデジタル時代の問題に突き当たっていることを知ることになる。(ソフトウェア)開発、(ハードウェア)生産、そして(ロジスティック)配送と流通には、大きな経済的責任が伴うため、背負うには大きすぎるリスクだと考えられる。

多くの 「もし・・・」という仮説が頭をよぎっただろう。しかし、チームは突き進んだ。彼らは自腹でいくらかの資金を拠出し、またエンジェル投資家から当プロジェクトに対して14万4000米ドルもの資金調達も受けた。XY Mobile はもともと、ラーオ語をモバイル機器に導入するにあたり、発生した問題を解決するためのスタートアップであった。しかし、このスタートアップは、ギャップを埋めるということに加え、利益を得ることも視野に入れていると、Allan 氏は述べた。

「間違わないでほしいのだが、我々は企業であり、だからこそ利益を得ることを目的としている。しかし、我々は、小規模な地方をターゲットにしており、市場のターゲットを他社とは違う見方で捉えている。」


初のラオス語対応モバイル機器

携帯電話に関して言えば、XY Mobile は、年末までにローエンドの機能をもった電話と Android 搭載のスマートフォンのリリースを考えている。それに加えて、チームはAndroid 基盤のタブレットのリリースも控えているようだ。携帯電話、タブレットの両方とも、ラーオ語フォントとキーボード対応となっている。ユーザは、ラーオ語のウェブサイト、SMS 、そしてその他のモバイルコンテンツにもアクセスできる。Allan 氏は下記のように更なる詳細を述べた。

「我々は、機器の販売だけではなく、それらの機器にラオスの人々が使用できるコンテンツやサービスを実装しているということに重点を置いている。そして、プロダクトの質を妥協することなく、客層に合った料金設定をする必要がある。そして、これらの機器は、熱、湿気、ほこり、長時間の駆動に耐えうるものでなければならない。」

このプロジェクトを成功させるべく、XY Mobile は、ラオスの NAPT(郵便電気通信局)に対し、ラーオ語を利用促進や、国内のデジタルユーザ間の言語ギャップを埋めるべく、密接にやり取りをおこなっている。

ほとんどのユーザは、GSM(もしくは2G)を使用しており、3G利用ユーザは少ない。しかし、ラオスには完成された 3Gネットワークと進行中の Wimax トライアル版を兼ね合わせた上質の通信インフラが整っている、と、Allan 氏は私にそう述べた。が、ラオス市場でのコンテンツは欠乏しており、ユーザがこれらのコンテンツを消費するのは難しいと見られている。そして、これがネットワークサービスの使用率の低下につながっているということが理解できる。「例えるならば、これは、2台ばかりの竹製の自転車のみが走るスーパーハイウェイのようなもの。」Allan 氏はそう語った。

XY Mobile がこの事業に成功すれば、ラオスの開発者にとって、ラオスの人々向けのアプリ開発という新たな市場の開拓となるだろう。小規模な市場ではあるが、ラオスのモバイル開発コミュニティを活気づけるいい足がかりになる。また類似点として挙げておくが、XY Mobile は、Red Herring がアジアのテック企業ランキング100 で選んだ、ラオスを拠点とする初めてのスタートアップである。

ラオスってどんな国かって? 次の動画を見れば、ラオスの概要を十分知ることができるだろう。

【via Penn Olson 】 @pennolson

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