昨年9月、引き出物宅配サービス「POSTAL」を開始した LEMO がまた新たなサービスをローンチした。新型コロナウィルス感染拡大によって、予定していた結婚式・披露宴の中止や縮小、延期に悩む新郎新婦に対し、離れていてもウェディングを実現できる新サービス「ギフトウェディング」だ。 POSTAL が結婚式・披露宴の参列者への引き物を置き換えるサービスだったのに対し、ギフトウェディングは結婚式・披露宴そ…
POSTAL が結婚式・披露宴の参列者への引き物を置き換えるサービスだったのに対し、ギフトウェディングは結婚式・披露宴そのものを代替するものだ。デザイナーがオンラインで新郎新婦にヒアリングし、希望に合わせてメッセージカードやプロフィールブックを作成する。
メッセージカード、プロフィールブック、ギフト一式は木箱に詰められ、親族・友人・世話になった人に郵送される。希望に応じて、プロフィールムービーの QR コードへの登録、前撮り写真の利用、手作り・手書きのペーパーアイテムの同梱、祝儀の受取れる送金用 QR コードの表示などにも対応できる。
LEMO では、2020年6月末までに相談した新郎新婦には、サンプルとして通常1,500円(税別)のバウムクーヘン入りの POSTAL 実物を無料進呈。成約に至った場合は、カタログギフト最大1万2,000円分、ギフトウェディングのデザイン料・制作費通常5万5,000円(税別)を無料にする。送料は別途必要。
そんな Gift Kitchen を運営する LEMO の創業者で CEO の小川学氏から久しぶりに連絡をもらった。苦難の道を乗り越えつつユーザの声に耳を傾け、ピボットにピボットを重ねた結果、行き着いたサービスが順調なのだという。
デジタルからアナログへのシフト、引き出物需要を取り込む
Gift Kitchen(画面は2012年当時のもの) Image credit: Lemo
Gift Kitchen が紹介された7年前、贈られる側だけでなく贈る側にとってもギフトを自由に選べるというコンセプトは画期的に見えたが、小川氏によれば、サービスローンチから数ヶ月経ってもユーザのトラクションは絶望的で、マネタイズには程遠い状況が続いたのだという。
筆者の記憶が正しければ、幅広いラインアップを揃えるために、Gift Kitchen はいくつかの E コマースサイトからスクレイピングして商品を陳列していたはずだ。仕入れチャネルも少なく、ユーザからオーダーを受けると、小川氏らが自ら E コマースサイトで商品を購入し、それを代わりに発送する、という時期もあったのだそうだ。小売価格で仕入れているわけで、当然利ざやはない。
バーチャルリアリティ(VR)を使った会合やパーティーを支援するスタートアップも現れる中、例えば、より多くの人に祝ってもらうために、結婚式や披露宴は VR 空間で開催し、それにまつわるお祝いの品は POSTAL でやりとりするということも可能だろう。POSTAL の中に決済のための QR コードを入れておけば、新婚夫妻は祝儀を受け取ることも現実的だ。