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Facebook Payの可能性は「現代のガレージセール」にあり

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ピックアップ:Facebook’s new payment service will let you send money without fees across Facebook, Instagram, WhatsApp, and Messenger ニュースサマリー:Facebookは12日、送金・決済サービス事業の一環として「Facebook Pay」を開始することを発表した。同…

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ピックアップFacebook’s new payment service will let you send money without fees across Facebook, Instagram, WhatsApp, and Messenger

ニュースサマリー:Facebookは12日、送金・決済サービス事業の一環として「Facebook Pay」を開始することを発表した。同サービスはFacebook、Facebook Messenger、Instagram、WhatsApp上にて、シームレスに利用できる統一決済サービス。

Facebookは2015年より「Payments」と呼ばれる送金サービスをメッセンジャー上にてすでに開始していた。しかし同サービスは、基本的に銀行口座間における送金のみの対応となっていた。対してFacebook Payではクレジットカードを通した決済も可能となるのが特徴だ。

プレスリリースによれば、Facebook Payは今週より米国ユーザー向けに提供が開始される。まずはFacebook上における小口資金調達、ゲーム内課金、イベントチケット購入、マーケットプレイスでの取引、個人間決済を対象としてサービスが提供される。

話題のポイントFacebookはブロックチェーンプロジェクト「Libra」でも取り上げているように、金融文脈で世界を変えていくことに大きな意欲を持っています。

しかし、Facebookが決済市場において存在感を示すのはそう簡単でなかったようです。事実、競合のPaypalやVenmoに押されてP2P決済領域で数歩出遅れていました。その中で登場してきたFacebook Payは、Facebook内マーケットプレイス上の売買を前提としたP2P決済サービスといえます。

たとえばマーケットプレイスの利用シーンとして大学が挙げられます。アメリカでは大学授業の教科書を中古で安く手に入れられる場所としてFacebookの「Buy-Sell」グループ(マーケットプレイス)が利用されています。ユーザーの所属大学グループに入り、自分の欲しい商品を見つけたら持ち主とメッセンジャーを通して交渉を始めます。最終的に交渉がまとまり次第、都合のいい場所で待ち合わせて直接取引をする流れです。

メルカリのように配達ベースではなくFace to Face取引が可能なのは、Facebookプロフィールを通じてある程度信頼のおける相手であると担保されている点や、車社会といった背景があるのだと考えられます。また、ガレージセール(自宅の前でフリーマーケットのように格安で不用品を販売、基本近所の人向け)といった文化も相性が良かったといえるかもしれません。

大学の事例を取り上げましたが、住んでいる町ベースでの「マーケットプレイス」もよく見かけます。私が住んでいるシアトルにもメジャーなグループだけで10個ほどあります。

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こうした複数のローカルコミュニティーがFacebookのプラットフォーム上にたくさん存在し、その中で取引をするというのが一般化されてきました。Facebookが所有するグループ・コミュニティー経済圏におけるシームレスな決済システム構築のためにも、Facebook Payは必要不可欠だったといえるでしょう。

なかでもInstagram上での売買はFacebook Payを通じてこれから増えていくことが予想できます。今年3月よりInstagramはアプリ内で決済が行える機能「Checkout」をリリースしており、これがFacebook Payに統一されるかもしれません。このような流れから、Facebookは新機能「Facebook Pay」を各種アプリ内マーケットプレイス取引の促進剤として導入すると考えます。

さて、これから個人による国際取引・決済が当たり前な世の中になっていくことが予期できます。デジタル決済が国境・通貨を越えて当たり前となっていくことで、市場に流動性がさらにもたらされることになるでしょう。加えて、個人の作品がブロックチェーンのシステムに載った形で取引され、取引価値に応じてユーザーの信頼度が測られる新たな評価経済が訪れると感じます。

Facebook Payは、Libraが目指すブロックチェーン経済圏とは関係ないと公式に言及されています。しかし上述したような世界が訪れることを考えれば、LibraとFacebook Payが完全に独立した形でサービス展開されるとは思えません。少なくとも長期的には何らかの連携がなされるでしょう。

person holding smartphone taking picture of bridge during daytime
Photo by Jeremy Levin on Pexels.com

ここでLibraとFacebook Payの将来的な連携像をInstagramを例にとって考察してみたいと思います。

最近、Instagramがいいね!の数を見えにくくする動きを試験的におこなっています。言い換えれば、いいね!の数で影響力の価値を可視化するのが難しくなっていると考えてよいでしょう。インスタ映えする写真をたくさん投稿して、いいね数を膨大に稼いだとしても、必ずしもユーザー個人の価値を正しく評価できているとは思えなくなっている証拠です。

そこで新しい指標として注目されるのがNFT(Non-Fungible-Token: 代替不可能なトークン)を介した経済圏の構築だと考えます。従来の暗号通貨(Fungible-Token)とは異なり、トークン一つ一つが固有性を持つ別々のアセットとして機能します。個人の価値を表現し、それを他社が「享受」できるスキームです。詳しくは以下の記事で解説されています。

<参考記事>

paintings in side room
Photo by JULIO NERY on Pexels.com

従来、いいね!の数や認知度に比例してアカウントに価値が付与され、そこにスポンサーからのお金が集まってくるという流れでした。しかしNFTが一般化すれば、これらInstagramに投稿する写真そのものがデジタルアセットとして取引可能となり、今までフィジカルなアセットを前提として行われてきた絵画アートなどの市場と同等の価値表現をすることが可能となります。

こうしたNFTが活用される可能性の背景にあるLibraの存在は大きいと言えます。Libraが金融文脈からブロックチェーンサービスを提供していくことで、ブロックチェーンによって個人のデータ、さらに言えば評価データを扱うことも一般的になる可能性があります。

その次世代SNS経済圏が誕生するまでの間、Facebook Payを通しプラットフォームにおけるボーダレスな決済を当たり前のものとして拡大させることを狙っているとも言えるのではないでしょうか。

現在はそれぞれ独立したサービスとして立ち上げが期待されていますが、いずれはFacebookが描く“The Future is Private”というミッションのもと、誰もが安心して使えるSNSの主軸としてLibraとFacebook Payが据え置かれると感じます。

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融合進む「株×暗号通貨」投資、ソーシャルトレーディングのeToroが暗号通貨関連企業を買収

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ピックアップ:Investment platform eToro acquires crypto portfolio tracker app Delta ニュースサマリー:ソーシャルトレーディング・サービス「eToro」は6日、暗号通貨ポートフォリオアプリケーションを運営する「Delta」を買収したと発表した。買収額は公開されていない。eToroは株式、暗号通貨の取引・管理を同時に可能とするコミッ…

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Image Credit: eToro

ピックアップ:Investment platform eToro acquires crypto portfolio tracker app Delta

ニュースサマリー:ソーシャルトレーディング・サービス「eToro」は6日、暗号通貨ポートフォリオアプリケーションを運営する「Delta」を買収したと発表した。買収額は公開されていない。eToroは株式、暗号通貨の取引・管理を同時に可能とするコミッションフリーな取引所を運営している。

プレスリリースによればDeltaは6,000以上もの暗号通貨、180以上の取引所に対応しているという。また、アプリダウンロード数はeToroによって買収される現時点までに150万を記録していた。

話題のポイント:従来、投資というと初心者には使いにくいインターフェース、そして難しい専門用語がずらりと並んでいるというのが第一印象でした。しかし、トレードの自動化が一般的になるにつれ、特に知識がなくとも興味のある業界や自分の好きな企業名を入力するだけで自動でポートフォリオを選んでくれるサービス形態も増えてきています。

その中でもeToroはSNS要素を要り交ぜた「ソーシャルトレーディング」を特徴としている企業です。ソーシャルトレーディングはコピートレーディングともいわれているように、プラットフォーム内で戦績の高いユーザーのポートフォリオを参照したり、投資戦略についてディスカッションするコミュニケーション要素が高い点が特徴です。

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Image Credit: eToro

eToroのコピートレーディング画面は上図のようにデザインも新鮮でモダンな印象を受けます。いわゆるSNSインフルエンサーのように、アカウント一覧が表示されており、彼らのポートフォリオを参照することが可能です。

さて、eToroは従来の株式投資プラットフォーマーとして運営を続けてきました。しかし近年、暗号通貨に大きく注目していることを伺わせる動きを見せています。Facebookが主導するLibraとの取り組みも大きな例として挙げられるでしょう。

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Image Credit: eToro

上図は同社がコピーポートフォリオとして打ち出しているLibraのパートナー企業群に投資可能な商材です。最低投資価格も2,000ドルからと、比較的参加は厳しくない条件ではないでしょうか。

eToroの説明によれば、Libraメンバーに変更があった際はポートフォリオも自動的に更新されるとしており、投資における圧倒的な自動化を目指している象徴であるともいえます。機能だけを見れば株式と暗号通貨を同時に取り扱える便利なプラットフォームですが、両者を掛け合わせたことが可能となってくると投資の概念が大きく変わるきっかけになるかもしれません。

いずれにしろeToroが今回Deltaを買収したことで、今後も同プラットフォーム内における暗号通貨セクションの強化は実施され続けるのは確実でしょう。Delta買収をきっかけにeToroという企業の存在感が膨れ上がる契機となるのではと思います。

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ブロックチェーンで勃発する「中国元」vs「米ドル」戦争

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ニュースサマリー:中国国家主席を務める習近平氏は25日、中国共産党中央政治局にてブロックチェーンをイノベーションの中枢とする趣旨の発言をした。 従来、中国はビットコインをはじめとする暗号通貨には否定的な姿勢を見せてきていた。しかし、同国でWeChatなどを展開するテンセントが19日にブロックチェーンホワイトペーパーを公開するなど、中国におけるブロックチェーン市場の展望が少しずつ動き出しているようだ…

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ニュースサマリー:中国国家主席を務める習近平氏は25日、中国共産党中央政治局にてブロックチェーンをイノベーションの中枢とする趣旨の発言をした。

従来、中国はビットコインをはじめとする暗号通貨には否定的な姿勢を見せてきていた。しかし、同国でWeChatなどを展開するテンセントが19日にブロックチェーンホワイトペーパーを公開するなど、中国におけるブロックチェーン市場の展望が少しずつ動き出しているようだ。

話題のポイント:中国市場で暗号通貨取引が規制を受けたのは2017年。政府は市場に対し否定的な立場を取っているのではないかと思いがちですが、今回習近平氏の発言にもあるように、ブロックチェーン技術の研究・開発に関して積極的な姿勢を見せ始めています。

日本の中央銀行に当たる中国人民銀行では「元」をデジタル化させ、デジタル人民元としてブロックチェーンを軸に管理する構想を抱いているとされています。ではなぜこのタイミングで中国がブロックチェーンというキーワードを、それも国家主席という立場を通した発言で強調してきたのでしょうか。

ブロックチェーンを利用したデジタル通貨という枠組みで見れば、デジタル人民元にとって一番のライバルは現時点ではFacebookのLibraに相当します。

同プロジェクトをリードするDavid Marcus氏は17日の米Bloombergにて、デジタル人民元がグローバルに成長すると発言。加えて、米国がLibraを規制する構えなのに対し、中国では今回のように国家が主体となって進めている状況だとも述べています。

まさに、この発言を裏付けたのが今回の動きです。習近平氏の声明は少なくともLibra、さらには米国政府を牽制しているともいえるでしょう。もっと言えば、いま市場を握ってしまう絶好のチャンスとも考えられます。

<参考記事>

access app application apps
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米国政府は以前取り上げたように、Facebookのプライバシー問題からLibraの信憑性を問い続けています。また、2020年に迫った米国大統領選に民主党より出馬候補予定のElizabeth Warren氏はFacebookの “解体” を政策にあげるなど、非常に強気な姿勢を見せており、仮想通貨構想に関しては中国とは真逆とも言える流れが出来てしまっているのが現状です。

もちろん今までもITと政治は切っても切り離せない関係性でしたが、今後、中国 vs アメリカ、さらには「中国元」 vs 「米国ドル」まで考えたとき、ブロックチェーンという金融に近いテクノロジーをどこまで政府が利用できるかに焦点が集まるでしょう。

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米政府によるFacebook「Libra」潰しが始まるーー脱退を発表したVisa、Mastercard、Stripeに送られた“脅迫文”

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ピックアップ:Signed letter re Libra to Patrick Collision, Ajaypal Banga, and Alfred Kelly ニュースサマリー:10月11日、Facebookが主導する暗号通貨プロジェクト「Libra」より、メンバーとして参加が予定されていたVisa、Mastercard、Stripeが同プロジェクトからの脱退を発表した。先週4日に脱退を先…

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ピックアップSigned letter re Libra to Patrick Collision, Ajaypal Banga, and Alfred Kelly

ニュースサマリー:10月11日、Facebookが主導する暗号通貨プロジェクト「Libra」より、メンバーとして参加が予定されていたVisa、Mastercard、Stripeが同プロジェクトからの脱退を発表した。先週4日に脱退を先立って発表したPayPalを含め「創設メンバー」とされていた企業の内5社が抜けたことになる。これはLibra Association発足から4カ月足らずでの出来事だ。

また、10月8日には米上院議会から脱退を決めた企業に送付されたとみられる公文書も公開されている。同文章では米政府がLibra、またFacebookへ懸念の意を持っていることが述べられている。

話題のポイント:Libraが発表された当初、Facebookのみならず数多くのテクノロジー企業や大手決済企業が運営に参加していることが話題となりました。特に当時のFacebookは、プライバシー保護など数多くの問題を抱えていたため、ブロックチェーン領域に複数企業と共に参加してきたことは大きな衝撃でした。

以下は、創設が発表された当初に公開されたメンバーリストです。

<参考記事>

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Libra

しかし、たった数カ月でその様相が根本的に変わろうとしています。まず、そもそもLibraは何を問題と捉え世界を変えようとしているのか。そのミッションは以下のように説明されています。

Libra is a global, digitally native, reserve-backed cryptocurrency built on the foundation of blockchain technology. People will be able to send, receive, spend, and secure their money, enabling a more inclusive global financial system.  – Libra Mission

Libraの最終目的地は世界統一通貨を生み出し、金融産業におけるインフラストラクチャーを抜本的に変えていくことを目指しています。

ブロックチェーン業界における今までのスタートアップも、同じようなビジョン・ミッションを持ちプロジェクトを作り上げることは多くありました。しかし、特に金融領域において抜本的変化を目指そうとすると、既存機関との衝突やコミュニケーションが取れずプロジェクトが進まないという壁にぶつかってきました。

そのため、既に知名度もありプラットフォームも所有しているFacebookが既存金融機関をリードしプロジェクト遂行を図るという面で、ブロックチェーン業界からも大きな期待が集まっていたのは間違いないでしょう。(もちろんネガティブな批評も数多くありますが)

しかし、Libra Association発足から4カ月が経過し、進展として発表されるのは(少なくともパブリックに)メンバーの脱退ニュースのみ。特にLibraにおいて最も金融領域とつながりがあるといえる「Payment(決済)」の枠組みで参加を表明した企業達が脱退を始めていることに非常に危機感が募ります。

以下は現在Libraのホームページに掲載されているメンバーの図。上図と見比べると有名どころの決済企業が姿を消しているかが分かります。

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Libra Partner

ではなぜ、4か月前までは参加にポジティブだったVisa、Mastercard、Stripe、eBay、そしてPayPalまでもが脱退を決めることに至ったのでしょうか。その背後にはFacebookのプライバシー問題において一悶着あった米政府との対立がありました。

以下の文章は、アメリカ合衆国上院からStripe、Mastercard、Visaへ送付されたものです。

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US Senate

同文章は、ほぼ米政府から上述企業への「脅迫メール」といえる内容で構成されています。

以下は冒頭の文章です。

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特に着目したいのは4行目からの「We urge you to carefully consider how your companies will manage these risks before proceeding, given that Facebook has not yet….」の部分。要約すれば「プライバシー保護もままならないFacebookという企業が率先する、金融プロジェクト『Libra』に参加する””リスク””を理解しているか?」と受け取れます。

同文章が送付されたのが10月08日。そして、上述企業は10月14日に脱退を表明。

この時間軸を考えるに、米政府による「脅し」が脱退へ大きく起因した理由になっているのは間違いないでしょう。

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PayPalがFacebook「Libra」に脱退宣言、Visa・Masterも続く可能性ーーLibraに漂う暗雲と世界のデジタル通貨動向を考察する

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ピックアップ:PayPal Withdraws From Facebook-Led Libra Crypto Project ニュースサマリー:10月4日、暗号通貨・ブロックチェーン専門誌であるCoindeskは、大手決済企業「Paypal」がFacebook主導の暗号通貨プロジェクト「Libra」への参加を辞退したと報じた。厳密には、スイスに拠点を置くLibraプロジェクトの運営・管理主体「Li…

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Image Credit : Pexcel

ピックアップ:PayPal Withdraws From Facebook-Led Libra Crypto Project

ニュースサマリー:10月4日、暗号通貨・ブロックチェーン専門誌であるCoindeskは、大手決済企業「Paypal」がFacebook主導の暗号通貨プロジェクト「Libra」への参加を辞退したと報じた。厳密には、スイスに拠点を置くLibraプロジェクトの運営・管理主体「Libra協会」からの脱退をする。Coindeskのインタビューに対し、今回の突然の脱退についてPaypal側は以下のように回答している。

「未だ金融にアクセスすることのできていない人々に対する機会提供に務める」という、自社のミッションを優先・継続します。

なお、Libraの広報担当者は、Paypalから不参加の通知をメールで受け取り済みだという。一見、完全に袂を別ったかのような事件だが、Paypal側のコメントは以下のように続く。

私たちはLibraプロジェクトを支持し続け、将来的な協力を楽しみに、対話を続けていきます。 FacebookはPayPalの長年にわたる価値ある戦略的パートナーであり、今後もさまざまな形でサポートしていきます。

建前としてのコメントの可能性もあるが、サポートしたい気持ちもある一方で、規制当局からの抵抗に立ち往生する同プロジェクトを一旦手放すことが、Paypalにとっていま最も無難な意思決定なのかもしれない。

<参考記事>

話題のポイント:今回、Paypalだけが正式な形で脱退を表明しましたが、大手決済国際ブランドであるVisaとMasterの2社も脱退を検討しているとの報道があります。そのため今後、Paypalに続く形でLibra協会メンバー企業による脱退劇が始まる可能性も考えられます。

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Image Credit : The Block

改めて、発表当時のLibra協会のメンバー企業26社(Facebook・Calibraを除く)を振り返ってみると、改めて錚々たる規模のパートナーシップであったことが分かります。

しかし今回Paypalが脱退を表明し、かつその後にVisa・Materと続くことになれば、決済分野のパートナーが「Stripe」及びオランダの決済企業「PayU」だけになってしまいます。

Libra協会にとって、特に金融機関の脱退は将来的に大きな損失です。というのもPaypalやVisa、Masterなどの大手金融企業の存在は、各国の規制当局から信頼を勝ち取るために不可欠な資産だという見方もできるからです。

一方、Libra協会メンバーの金融企業からしてみれば、Libraへの参加は規制当局とのポジティブな関係性に傷をつける危険性があります。その点が今回のPaypalの脱退やVisa・Masterの躊躇の要因の一つであることは明らかであり、Bloombergによれば、PaypalやStripe、Visa、MasterはそもそもLibraに対する正式な参加署名はしていないとの情報もあります。

米国規制当局はLibra発表直後から断固としてプロジェクトに反対しており、またフランスやドイツの規制当局も、ヨーロッパ各国の貨幣主権や、市民のプライバシーを懸念して反対声明をしていました。

<参考記事>

今年6月にLibraプロジェクトが発表されて以降、そのインパクトとは裏腹に、上述したようなネガティブなニュースは後を立たちません。またLibraの存在意義を脅かす可能性のあるプロジェクト構想がいくつか立ち上がっています。

8月には、世界最大級の暗号通貨取引所であるBinanceが、Libra同様に複数のパートナー企業と協同して組成されたネットワークによって、独自ステーブルコインである「Vinus」をローンチするとの構想を発表しています。

<参考記事>

競合とまでは言えませんが、9月には、中国がブロックチェーンを用いたデジタル・キャッシュを構想しているとの報道がありました。中国の中央銀行にあたる中国人民銀行決済部門の副部長の口から「我々が発行するデジタル通貨は、FacebookのLibraに似たものになる」という言葉が飛び出したことも話題のポイントになっています。

<参考記事>

中国は以前から国際経済の基軸通貨である米ドルに対抗する形で、巨大経済圏構想「一帯一路」の賛同国と共に、米ドルに依存しない国際金融システムをブロックチェーン技術を用いた形で構築する取り組みを行っています。そのため長期的にはデジタルキャッシュを一帯一路の文脈に持ち込む可能性、そして独自通貨がLibraと競争関係になる可能性もゼロではありません。

Libraと同じく、Binanceや中国のプロジェクトも現時点で構想中であることは変わりません。そのため、現段階で競争関係の優越をつけることは非常に難しいですが、改めてLibraを取り巻く世界のデジタル通貨動向の状況を整理するとなると、上述した形になります。

数々のプライバシーに関するスキャンダル、及び法定通貨主権の保護を理由に世界中の規制当局からは信頼を勝ち取れず、また脱退を表明するパートナーも現れているFacebook及びLibraプロジェクト。

当初は2020年初頭とされていたローンチ予定日も、2020年末にリスケジュールされています。来年中のローンチも厳しいのではないかと思わされるほどですが、どのようにこの現状を打破するのか、今後も動向が注視されます。

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フランス政府、ヨーロッパでFacebook仮想通貨「Libra」の禁止に向け動き始める

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フランス経済相 Bruno Le Maire 氏は、ヨーロッパにおける Facebook の仮想通貨 Libra の開発を阻止すべくフランス政府が動き出していることを打ち明けた。Libra には経済の安全性と安定性を脅かす懸念があるという。 フランスの Le Figaro 紙によると、リスクがあまりにも高い上にFacebook に対する信用度は非常に低いと、Le Maire 氏は仮想通貨に関する …

フランスの経済・財務金融大臣 Bruno Le Maire 氏
Image Credit: VentureBeat/Chris O’Brien

フランス経済相 Bruno Le Maire 氏は、ヨーロッパにおける Facebook の仮想通貨 Libra の開発を阻止すべくフランス政府が動き出していることを打ち明けた。Libra には経済の安全性と安定性を脅かす懸念があるという。

フランスの Le Figaro 紙によると、リスクがあまりにも高い上にFacebook に対する信用度は非常に低いと、Le Maire 氏は仮想通貨に関する OECD 会議の中で言及した。

Le Maire 氏は次のように述べている。

このような状況ではヨーロッパ内で Libra の開発を承認することはできないことを明言しておきたいと思います。

同氏はさらに、悪影響の可能性についても次のような厳しい警告を発している。

ヨーロッパ各国の貨幣主権が Facebook に乗っ取られようとしています。

Le Maire 氏はここ数か月、Libra に対する反対意見を積極的に発信している。同氏はヨーロッパすべての国を一枚岩にまとめたいと考えているようだが、どのような組織体や仕組みによって大陸レベルの禁止措置を実現するかは同氏の発言からは伺い知れない。

ただし、Facebook に対して大きな疑念を抱いていることは同氏の発言からもわかる。

Facebook が自社の仮想通貨 Libra発表したのは6月のことで、Libra はジュネーブを拠点とする28の組織からなる国際協会によって管理されるという。仮想通貨の流通を可能にする Libra ネットワークは2020年から稼働予定だ。

Facebook は、同社の Messenger と WhatsApp サービスで使えるデジタルウォレットなど、Libra の金融サービスを補完する Calibra も開発している。

Calibra の トップ David Marcus 氏は声明で次のように語っている。

Libra は、より包括的でオープンな金融エコシステムに世界中の人々を導くことができる可能性を秘めています。Libra ネットワークに設立メンバーとして参加して、Calibra を通じて Libra へのアクセスをコミュニティに提供できることを今から楽しみにしています。旅はまだ始まったばかりですが、世界中の人々に恩恵をもたらすシンプルなグローバル通貨と金融インフラを構築するという Libra のミッションを共に達成したいと思っています。

しかしながら、Libra を発表して以降、Facebook は国内外の政治家や金融庁からさまざまな非難を浴びている

7月の公聴会ではアメリカの上院議員が Libra 計画を激しく非難した

民主党上院議員で上院銀行委員会の有力メンバーでもある Sherrod Brown 氏は次のように述べた。

Facebook は信頼に値しないことを数々のスキャンダルが証明しています。Facebook に民間人の銀行口座で実験させるなど正気の沙汰ではありません。

英国の当局者たちも疑念を示しているが、その疑念を積極的に声に出しているのがフランスだ。

フランスは今年の夏にかけて、Libra などの仮想通貨の影響や中央銀行が仮想通貨を規制できるのかを研究すべく、G7 のタスクフォースの構築を主導していた

Le Figaro 紙の報道によると、20億人のユーザを抱える企業が通貨を独自に運営するというリスクに悩まされていると Le Maire 氏は発言したという。

Libra の準備金を管理するうえで、流通に失敗したりするととんでもない金融上の混乱が起きかねません。

同氏はまた、非合法活動や暴力的活動の国際的な資金源を断つための最近の活動が Libra のような通貨によって阻害されるとも発言した。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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FacebookのLibraはインドの規制下では運営が困難ーーインド中央銀行(RBI)という高い壁

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ピックアップ:Facebook may abort Libra launch in India   ニュースサマリー:2020年に発行が開始される予定のLibra(Facebookが主導するブロックチェーンプロジェクト「Libra」上で発行されるステーブルコイン)は、インド市場で流通できないかもしれない。 THE ECONOMIC TIMESがインドの暗号通貨規制に精通している関係者の話…

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ピックアップFacebook may abort Libra launch in India

 

ニュースサマリー:2020年に発行が開始される予定のLibra(Facebookが主導するブロックチェーンプロジェクト「Libra」上で発行されるステーブルコイン)は、インド市場で流通できないかもしれない。

THE ECONOMIC TIMESがインドの暗号通貨規制に精通している関係者の話として6月20日に伝えているもので、現在のインドでは、銀行取引に該当するようなビジネスをブロックチェーン事業者が実施することはできないという内容になる。

具体的には、もしLibraが法定通貨と自由に交換可能になると、実体経済と大きく互換性をもち、AML(アンチマネーロンダリング)や税制上のリスクが高まってしまう。そのため当局がライセンスを与える可能性は低いという。

話題のポイント:この報道がポストされたのはLibraプロジェクトの公式情報発表の2日後である6月20日です。こちらの記事でも触れましたが、Libraは現在米国議会より開発停止要求を受け、かつ7月中に当局に対し公の場でプロジェクトに関しての質疑・応答を行うことになっています。

風向きは、国を変えても大して変わらないということです。ただでさえ、インド中央銀行(RBI)は2018年4月に、国内の暗号通貨取り扱い業者に大して、一斉に業務停止声明を発表し、国内の取引所などのスタートアップの多くはサービス停止又は廃業に追い込まれています。まだ公式にインド規制当局がLibraについて発言したという報告はありませんが、そのような規制環境のなかで、インド政府又はRBIがLibraの業務開始を簡単に受け入れるとは思えません。

Libraの参加企業の一つに、Calibraという、Facebook子会社のカストディ企業があります。仮にFacebookがインドで大きなシェアを誇るチャットアプリWhatsAppやMessengerでLibraの流通を試みる場合、ユーザーはCalibraに登録する必要があります。しかし現時点でCalibraが認可をもらえる確率は低いでしょう。

WhatsAppに関しては現在ペイメント機能の実証実験をスタートさせていますが、現時点では、WhatsAppのペイメント機能もRBIには認可をとっていない状態です。もしCalibraを導入した場合、上述した規制環境のもとでは、その認可をもらうハードルはさらに高まると推測できます。

さらに言及するのであれば、Libraの設計上、LIbra発行のためにユーザーから預かった法定通貨は各国中央銀行の預金あるいは政府短期国債に投資されるため、業務形態上はマネー・マーケット・ファンドに該当し、これにより証券業の認可も必要となる確率が高いです。ちなみに、もちろん他のLibra Association企業(VisaやUber)も同じく同様の要件を求められることになります。

 

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仮想通貨取引所の流出を防ぐLibraメンバー「Anchorage」の可能性ーーVISA・a16zから4000万ドル調達

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ピックアップ:Visa Pours Millions into Cryptocurrency Startup Anchorage ニュースサマリー:ブロックチェーンスタートアップ「Anchorage」は11日、シリーズBにて4000万ドルの資金調達を実施したと発表した。リード投資家はBlockchain Capitalが務めている。また、既存投資家のVISAとAndreessen Horowitz…

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ピックアップVisa Pours Millions into Cryptocurrency Startup Anchorage

ニュースサマリー:ブロックチェーンスタートアップ「Anchorage」は11日、シリーズBにて4000万ドルの資金調達を実施したと発表した。リード投資家はBlockchain Capitalが務めている。また、既存投資家のVISAとAndreessen Horowitz(a16z) も同ラウンドに参加している。

同社は機関投資家向けに暗号通貨のカストディーサービスを提供する、ブロックチェーン領域に特化したスタートアップ。Anchorageのカストディーモデルは生体認証を元に構築されており、一般的なコールドストレージ(コールドウォレット:オフライン状態)による保管より安全性・流動性に優れていることが特徴だ。

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同社および彼らの投資家でもあるVISA・a16zは、先月Facebookより発表があった世界共通通貨を作り出すプロジェクト「Libra」の創設メンバーでもある。

話題のポイント:暗号通貨を語る上で常に話が付きまとうセキュリティーの話。つい先日も、日本の暗号通貨取引所が管理していたホットウォレット(オンライン上のウォレット)が不正に流出するなど、機関投資家向けに限らず、暗号通貨を扱うためのセキュリティー改善が必須な状態です。

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ではLibraメンバーでもあるAnchorageが提供するカストディーサービスは、なぜ既存システムより「安全」な設計と主張しているのでしょうか。同社のサービスは「Smart Strage(スマートストレージ)」と呼ばれており、ホットウォレット・コールドウォレットのメリットはそのままに、デメリットの観点のみを排除した設計をしていると同社は説明しています。

Anchorage Official Medium

つまり、ホットウォレットのデメリットであるセキュリティーの脆弱性、またコールドウォレットの流動性の低さをカバーすることで「セキュアで流動性の高い」サービス設計を達成しているというわけです。同社のサービス根幹には、「Hardware Security Modules (HSMs)」というシステムが存在しています。

このシステムを深堀する前に注目すべきなのは、Anchorageのシステムがコールドウォレットよりも安全性が高い位置(右側)となっている点。これは、インターネットに繋がっていないコールドウォレットでも組織内部によるオペレーションミスで流出に繋がる不安があることを意味しています。

つまり、同社サービスの根幹にあるHSMsは内部オペレーションミスによる脆弱性対策を施したものというわけです。ただ、同社によれば一般的なカストディー機関では既にHSMsが導入されているとしており、同システムがAnchorageの優れている点であるというわけではなさそうです。

Anchorage Official Medium

同社は既存HSMsの問題点を上図で指摘しています。①~③のフローが示している通り、一度ハッカーがサーバーのアクセス権限を獲得しビジネスロジックを変更してしまうと、HSMsが完全に乗っ取られてしまい資産が容易に引き出されるということになります。では、Anchorageはこの問題をどう解決しているのか。下図がその仕組みです。

Anchorage Official Medium

同社のHSMsでは、事前にクライアントごとにquorumと呼ばれる、分散システムにおいてトランザクションを実行するために必要な人物を決定しておきます。つまり、トランザクションを実行するためには上図の②と③のフロー間において、事前に定めたquorumによる認証が必須となるわけです。

誰が認証権限を持つかは、資産を預けるクライアント側が最初の段階で決めることが可能で人数などもフレキシブルに設定できるそう。認証権限を持つユーザーは、各自がプライベートキーを所持し、並行して生体認証のステップを導入することでセキュリティーを二重に堅実なものとしているとしています。このフローに加え、Anchorageでは同社が独自に開発したトランザクションレビューを導入しています。仮にプライベートキー・生体認証を通したアクセスでも不正と判断されると、この段階でトランザクションは停止されられるというわけです。

同社はこのフローを構築することで、ホットウォレット・コールドウォレットを組み合わせたともいえる環境を作り上げています。現状、基本的には機関投資家に向けてサービスを展開していますが、FacebookのLibraプロジェクトの創設メンバーということも考えれば、Libraにおけるトークンとコラボレーションを進めることは明白です。

もはや、暗号通貨取引所がハッカーに資産を盗まれるニュースも「またか」となってきた今、Facebook・Libraがこの危機的状態を根本から変えられるのか、そういう視点でも注目しています。

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想像の遥か上をいくFacebook仮想通貨「Libra」のスゴさを解説するーーいきなり米国議員から開発停止要求も

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ピックアップ:U.S. lawmakers are calling for Facebook to halt Libra development ニュースサマリー:6月18日、Facebookは昨年より構想・計画してきた仮想通貨プロジェクト「Libra」の公式サイトと詳細なドキュメント(WhitepaperとTechnicalpaper)をついに公開した。国内外・暗号通貨業界内外問わず、Libra…

2019-06-19 15.17.10

ピックアップU.S. lawmakers are calling for Facebook to halt Libra development

ニュースサマリー:6月18日、Facebookは昨年より構想・計画してきた仮想通貨プロジェクト「Libra」の公式サイトと詳細なドキュメント(WhitepaperTechnicalpaper)をついに公開した。国内外・暗号通貨業界内外問わず、Libraに対しては賛否両論様々な声と議論が起こっている。

反対運動として最も大きな出来事は発表直後に起こった。それは米国の住宅金融サービス委員会に在籍する共和党員Patrick McHenry氏による書簡をきっかけとして、同委員会の議長Maxine Waters氏がLibraプロジェクトの開発停止要請を行ったことだ。Waters氏は、過去Facebookが起こしてきたデータ・プライバシーの問題に対し言及している。

声明の中で、Waters氏は以下のように述べている。

規制当局は、プライバシーと国家の安全保障上の懸念、サイバーセキュリティのリスク、および暗号通貨によって引き起こされる取引のリスクについて、この機をきっかけにより真剣に取り組むべきです。

話題のポイント:前回、筆者はFacebookによるステーブルコイン・プロジェクトについて、公開情報やネット上の議論を元にできる限りの予測と論点の整理を行ないました。しかし今回のドキュメント公開のインパクトは、それらの予想をはるかに上回るものでした。理由は主に3つあります。

<参考記事>

一つ目に、Facebookが目指すものは、単なる”通貨の創造”に止まらず、イーサリアムのようなスマートコントラクトを実行可能なブロックチェーン・プラットホーム開発だと判明したこと。

二つ目に、Libraはまず一般的なコンソーシアム型のブロックチェーンとしてローンチされる予定であるものの、中長期的にオープンなパブリックブロックチェーンを目指すという点。そして最後に、今回の発表がプロジェクト構想の発表だけではなく、パートナーシップ企業の実名公表及び開発ドキュメントの公開とその充実(既にいくつかの処理を実行可能)などの魅力を持っていた点です。

もちろん批判的な意見も多くあり、記事冒頭で触れた規制当局との戦いが今後加熱することからも、実現可能性という点では懐疑的にならざるをえない部分が多々存在します。しかし上記の3点を踏まえると、Facebookが構想していたものは、これまでネット上に飛び交っていた一般的な憶測の域を大きく凌駕するスケールであり、より大きなインパクトを世界に与えるものであったのではないかと見受けられます。

まずLibraの概要を整理します。Libraは、Whitepaperにも記載してある通り、何十億人をエンパワーするシンプルでグローバルな通貨と、金融インフラを作ることを目的としています。そのために、独立した非営利組織Libraが牽引する企業連合「Libra Association」を設置し、その中でコミュニティの意思決定や開発へのコミット、スマートコントラクトプラットホームとなるLibra Blockchainのバリデート(検証作業)が行うことで、LibraエコシステムとステーブルコインLibraの健全な成長を促します。

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Whitepaperで発表された初期のLibra Associationのメンバーは以下の通りです。VISAやMastercard、PayPalなどの決済機関、UberやLyft、eBayなどのプラットフォーマー、KivaやWomen’s World Bankingなどの非営利組織、a16z、USVなどのVCなどが名乗りをあげています。

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Credit : The Block

ステーブルコイン”Libra”は、各国法定通貨のバスケット通貨です。既にバスケットの担保としてはUSD、CND、JPY、GBP、EURが候補として上がっており、この点はIMFのSDR(特別引出権)を参考にしていると言います。

上記メンバーが運営するサービス以外でも、スマートコントラクト・プラットホーム上のアプリであれば誰でもLibraを利用可能です。一般ユーザーは法定通貨を預託すると、その際の裏付け資産価格やバスケット比率から換算されたレートでローカルの法定通貨建Libraを受け取ることができます。

Associationメンバー企業からSTO(証券トークン販売での資金調達)で集めた法定通貨は、各国銀行の銀行預金または政府短期国債に投資され、Libraの裏付け資産となります。これらの利子はAssociationメンバー企業に利益として還元されるか、またはAssociationの運営資金となります。Libraがメンバー企業の運営するサービス内で利用できる通貨となり、利便性向上及びネットワークエフェクトを生み出すことができた場合、Libra発行のインセンティブはより高くなります。

そしてLibraブロックチェーンのコンセンサスアルゴリズムは、ビットコインやイーサリアムのようなPoWではなく、BFT(Byzantine Fault Tolerance)と呼ばれるバリデート方式だとされており、既存のブロックチェーンより高いトランザクション処理能力を有しているとされています。そして誰でもバリデートに参加できるパーミッションレスな仕組みへ移行するために、この仕組みは5年以内にPoSモデルに移行する予定です。

スマートコントラクトについては「Move」という、従来みることのなかった新しい記述言語が採用されていることが分かりました。メインネットローンチ後はMoveを使い、誰でもLibraブロックチェーン上にアプリケーションを構築できるようになります。なお、ブロックチェーン自体はRust言語で記述されています。

以前「Facebookがステーブルコインを発行するらしい」という情報だけが出回っていた頃は、人々は「せいぜいTetherUSDCのような法定通貨を担保にした普通のステーブルコインができて、それをFacebookや傘下のチャットアプリで利用可能にするのが狙いだろう」と思っていたに違いありません。筆者もそのうちの一人であり、前回書いた記事はそのような内容がメインでした。

しかしFacebookはその予想を裏切り、あれだけの規模の複数企業との連携・相互検証の元に成り立つステーブルコインを発行しようとしており、かつ最終的にはコンソーシアムではなく、パブリックブロックチェーンに移行することから、部分的にイーサリアムやEOSと競合するようなオープンソースのスマートコントラクト・プラットホームの構築を目指しているということが分かりました。

UberやLyft、eBayなど、既に大規模なネットワークを持つ企業がLibraを利用可能にする場合、その観点では、上述した2つのブロックチェーンに対し優位を持っていると言えるでしょう。さらに開発者向けドキュメントはとても充実しており、テストネットでのビルド、Libraの送金などの処理も容易に行うことができます(筆者も既に試し済みです)。

ですが、改めて述べておくと、経済・金融・法律分野の専門家からは、バスケット通貨の複雑性やLibra通貨の証券性などに対する批判が多く散見されますし、上述した開発停止要求などの事件からも、実現可能性という意味では不確定要素が多いため、現時点でポジティブな見方をするのは時期尚早かもしれません。そしてそもそもビットコインやイーサリアムなどの元祖となるブロックチェーンと比較すれば、非中央集権性・検閲耐性・オープンさなどに欠けるネットワークであることも一つ把握しておくべき要素です。

しかしそれらの点を留意したとしても、同プロジェクトが今後規制環境の変化・開発者の増加などの面でブロックチェーン業界全体に影響を与える影響は非常に大きいと推測することができます。Facebookは2020年での発行開始を目指しており、現在はメンバー企業の募集や呼びかけ、開発、規制当局とのコミュニケーションなどに帆走しており、今後の動向に一層注目が集まります。

 

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