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Y Combinator出身の映像分析スタートアップVidyard、日本で思わぬ成功をつかむ

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アジア市場をターゲットにした、もしくはピボットした欧米出身の起業家にまつわる話は多数存在する。Vidyard の共同設立者で CEO を務める Michael Litt 氏について言えば、あるとき、Vidyard の全ユーザのうち5%が日本にいると気づき、いつの間にかアジアに放り込まれていた、という具合だ。 Michael Litt 氏は Tech in Asia に対し、このように述べた。 Vi…

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Image credit: Vidiyard

アジア市場をターゲットにした、もしくはピボットした欧米出身の起業家にまつわる話は多数存在する。Vidyard の共同設立者で CEO を務める Michael Litt 氏について言えば、あるとき、Vidyard の全ユーザのうち5%が日本にいると気づき、いつの間にかアジアに放り込まれていた、という具合だ。

Michael Litt 氏は Tech in Asia に対し、このように述べた。

Vidyard は5万人のユーザを抱えています。そしてその16.3%はAPAC(アジア太平洋地域)にいます。

その点について、彼は以前から APAC(特に日本人)のユーザが必要になるのでは、と感じていた。Y Combinator が投資(2011年夏)した彼の事業である e メール動画マーケティングシステムは、現在1日あたり5%成長している。

アメリカとの国境近く、カナダの「テクノロジートライアングル」と呼ばれる地域にあるオンタリオ州ウォータールーで事業を発展させたカナダ人にとって、2016年は多くのことを精力的に行い、そして学んだ年であった。今年、彼は香港と日本を訪れ、東京の会議室から語ってくれた。

Salesforce ポートフォリオ企業である Vidyard はこれまでに6,000万米ドルを調達している。

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再び e メールに連携性を

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今月、Salesforce World Tour Tokyo 2016 登壇のため、東京を訪れていた Viyard CEO Michael Litt 氏
Image credit: Masaru Ikeda

「e メールは自らの成功の犠牲になった」と Michael 氏は言う。受信トレイの中の e メールを実際に一つずつ読む回数を考えてほしい。さらに、その e メールに貼ってあるリンクを実際にクリックする回数を考えてみよう。そうすると、企業が大量に送信する e メールのうち、1%でも読んでもらえたりリンクを開いてもらえたりすれば御の字であることに気付く。

さまざまなものが自動化されていく時代にあって、人はカスタマイズを求めるようになる、と彼は言う。特に、一人の人物が e メールの受取人に対して語りかけるような場合、動画が役に立つ。そして、動画の重要性はどんどん増している。例えば Facebook のフィード上の短い動画や、動画を用いたマーケティングキャンペーンが大量にあることからもそれは明らかだ。しかし、人は動画をどうやって作ればいいのかわかっていない。

Michael 氏と彼のチームは、カスタマーセールスとカスタマーサービスにおける動画のあり方を理解しようとする過程で、いまだに動画制作が多くの人にとって難しいことなのだということに気が付いた。もちろん、多くの人が撮影機能のついたスマートフォンを持ち歩いているが、なかなか出来栄えの良い動画は撮影できない。また、相手に自分で撮った動画を送ることは、ただ文章を送ることほど簡単ではない。

そこで、Michael 氏らは ViewedIt を開発した。このツールを使えば、短いメッセージ(スクリーンシェアを含む)を撮影し、それを e メールで送信することができる。そして、その e メールを誰が開き、動画メッセージをどのくらいの時間視聴したのか追跡することができるのだ。

彼はデモンストレーションとして、Tech in Asia のウェブサイト上でスクロールして撮影した短いスクリーンシェアを使用した。私に e メールで動画が届き、私は彼が記事をスクロールしていくのを見ることができた。その撮影された動画の画面の隅で彼は私に話しかけてきた。私が動画を視聴している間、彼の方には私が視聴しているという知らせが出ているらしい。

撮影者の側から説明すると、まず動画を撮影、シェアリンクを取得、e メール作成ツールでシェアリンクを埋め込み、サムネイルを作成する。ユーザはシステムを動かすためのコードを知らなくてもよく、YouTube を含めたさまざまなチャネルにクロスポストできる。ダッシュボードの利用により、さまざまな場所に配置された動画のパフォーマンスを追跡しやすくなり、すべての動画を削除するなど多様なアクションが可能になる。

世界中でビジネスするには、個別の言語へのローカリゼーションはそれほど必要ではないのだ。

スキーで Y Combinator へ

Michael 氏がこのアイデアを得たのは、まだ彼がフリースタイルスキーヤーを目指していた頃だった。

私たちはスポンサーを獲得するために、よくスキーでばかなことをやっては撮影し、個別にプレイヤーを作り、それをスポンサーにそれぞれ送りつけていました。(Michael 氏)

視聴数が0から1に変われば、彼と友人らはターゲットを絞ることができるという仕組みだ。そしてこれが、チームが動画メトリクスに注力するきっかけとなった。

ウォータールーの学校を卒業後、彼らは動画市場は巨大だが、制作された動画の質は及第点に達していないと思ったという。Michael 氏と、共同設立者であり動画制作の経験を持つ Devon Galloway 氏は、動画制作事業を立ち上げて「高品質な動画で、より良いストーリー」を作ることができるのではないかと考えた。そして2010年、Vidyard の前身となる Redwoods Media を設立した。

ViewedIt は主に1対1のコミュニケーション向けに設計されたものであれば、無料で利用することができる。ユーザにライセンスを付与したい場合、企業は50米ドルの料金を支払う。Vidyard の顧客のうち LinkedIn や Citigroup を含む1,000社は、カスタマイズ版を利用するために年間6,000米ドル~数百万米ドルを支払っている。

価格によって動画の良し悪しが決まるとは限らない。彼はそう言って、誤解(彼の言葉で言うところの「スーパーボウル症候群」)があることを強調した。

日本では15秒の動画1本に50万米ドルもかけます。ゴールデンタイムに配信するならもっとかかるでしょう。(Michael 氏)

最終的な値段は動画1本で250万米ドルというバカげた数字になる。

動画はそういうものじゃなくても良いんです。なぜなら、今の時代人々は、したコトにお金を支払うのではなく、それをする理由に対してお金を支払うのですから。(Michael 氏)

結局、差がついてくる要因は、制作コストがものすごく高いとかいう話ではなく、たまに顧客に届く CEO からの短いメッセージなのではないだろうか。

【via Tech in Asia】 @TechinAsia

【原文】

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