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Beyond MaaSを見据えた「理想的な移動社会」への挑戦ーービジネス効率化の旗手たち/MasS Tech Japan代表取締役CEO 日高 洋祐氏 #ms4su

本稿は日本マイクロソフトが運営するスタートアップインキュベーションプログラム「Microsoft for Startups」による寄稿転載。同プログラムでは参加を希望するスタートアップを随時募集している 前回からの続き。本稿では、エンタープライズSaaSやインダストリークラウドに注目したサービスを展開するスタートアップにインタビューし、どのような生産性向上の取り組みがあるのか、その課題も含めてお伝…

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本稿は日本マイクロソフトが運営するスタートアップインキュベーションプログラム「Microsoft for Startups」による寄稿転載。同プログラムでは参加を希望するスタートアップを随時募集している

前回からの続き。本稿では、エンタープライズSaaSやインダストリークラウドに注目したサービスを展開するスタートアップにインタビューし、どのような生産性向上の取り組みがあるのか、その課題も含めてお伝えしています

MaaS (Mobility as a Service) 領域において事業展開を進める、MasS Tech Japan代表取締役CEO日高 洋祐氏にお話を伺いました(太字の質問は全て筆者)。(取材・編集:増渕大志

MaaS Tech Japanが解決していること:「移動する」「移動させる」「移動の先の目的」の3つの概念を統合したMaaSデータプラットフォームおよびサービスを通じて価値あるMaaSの社会実装を目指している

この連載では「ビジネス効率化の旗手たち」として、効率化を図っているクラウドサービスを取材しています。手掛けられているMaaS業界をターゲットとしたサービスについて、具体的に教えてください

日高:「移動する」「移動させる」「移動の先の目的」の3つの概念を統合したデータプラットフォームおよびサービスを開発しています。MaaSおよびMaaSの先、Beyond MaaS領域のソリューション群となります。現段階では公表できていませんが、今秋から複数のMaaS実証実験プロジェクトを予定しています。また、2020年に向けてより大きなプロジェクトを実施できるよう計画しています。

3つの概念である移動する、移動させる、移動の先の目的について詳しく知りたい。Uberのコンセプトもこれに入るのでしょうか

日高:UberやLyftなどのライドシェアサービスは、移動したい人と移動する人を位置情報を持つスマホで繋げ、自動車での移動に効率性を持たせたものです。ただ、移動手段は車だけでなく電車やバス、その他交通機関など多岐に渡ります。

3つのコンセプトは、移動に複数の選択肢をもたせ、さらにそれを効率化させ包括的に「移動」のアップデートを目指していくことを意味しています。そのため弊社では、一般ユーザー向けのMaaSに加え、交通事業者向けや商業施設向けのMaaSソリューションも展開することで根本的な移動効率性解決に取り組んでいます。

なるほど。交通で交通の解決を目指しているのがUberならば、事業者向けMaaS事業はあらゆる移動手段を組みあわせ、それをビッグデータ化させ分析し、根本的解決を目指していくということですね

日高:そうですね。我々が分析するのは、車の動きだけではありません。根本的な交通改善をしていくには、車のデータに加え、家やビルなど一つ一つのプロパティーを含めた俯瞰的な視点でデータ化を進めなければなりません。例えば、この地区の渋滞はこのマンション・工場の人が自家用車を多用していて交通網を悪化させている。だから、そのソリューションとしてオンデマンドバスを走らせたらどうだろう、そういったデザイン設計が求められています。

ただ、事業者側からすれば渋滞解消のために費用を使う理由はないので、これらをどう社会的課題として地域一丸となって取り組むかなどまだまだ課題は残っています。

MaaSによって解決される課題には具体的にどのようなものがありますか

日高:日本においては、高齢者の方の運転事故のほか、人口減少や、それに伴う運転士などの若手労働力の担い手不足の問題があります。

そのために必要な要素は

日高:まずは、MaaSによってその地域や産業課題を解決していくことが求められますが、サービス自体を作ることよりも、これまでにない連携スキームを構築し、地域や業界の合意形成をもって新しい産業構造を作るということが真のチャレンジだと思います。

交通サービスの悪化など地域の衰退・消滅に至る未来を変え、これまでと同等かそれ以上の、持続可能な生活・社会を実現することがMaaSに携わるプレイヤーには求められます。

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その観点でいえば、MaaS先進国フィンランドは国家単位で交通問題に取り組んでいるイメージです

日高:フィンランドでは、自家用車の所有比率を下げるために、公共交通乗り放題+カーシェア・タクシーを定額制で提供するMaaSが提唱されました。その前にはオンデマンド交通での解決が試みられましたが、単一のソリューションでは限界があり、前述のような形に辿り着いています。日本においても、鉄道だけ、バスだけ、自動車だけのソリューションでも価値を生み出せるかとは思いますが、それらを統合して、課題解決にあたることの価値も大きいと思います。

確かに移動を組み合わせることでサービス利便性向上に繋がる

日高:民間事業者で競争原理が働きやすい状況だからこそ、連携が未開拓であるケースが多く、その部分に貢献できればと考えています。現在は、交通系のデータがインターネットおよびクラウドに集約されつつあり、デジタル化も進んでいます。そこにスマートフォンという利用者との接点創出がなされ、シェアリングエコノミーや端末決済手段などMaaSに必要なパーツがそろってきたことで、それが可能になりつつある状態だと考えます。

MaaSに特化したスタートアップを国内であまり耳にしないが市場規模は

日高:MaaS市場自体はグローバルでは100兆円産業ともいわれますが、すべての既存サービスが新しいものに置き換わるわけではなく、また他産業に与える影響を鑑みると市場規模の算出は大変難しくあまり意味のあるものでないかもしれません。

例として、小さな地域でも一台のオンデマンドバスを運行すると諸々含めて年間で数千万かかっていることもあります。MaaSは単一ソリューションでなく、移動にかかわる全ての交通手段を統合し、選択し、最適なソリューションとして提供する概念です。その効果は無駄や可視化が出来ていないケースほど大きいものと考えます。最終的には新しい理想的な移動社会を目指してR&Dを進めています。

MaaS事業を通して目指す、「新しい理想的な移動社会」について具体的なビジョン等あれば

日高:新しい理想的な移動社会、これに関しては特定のイメージを持っているわけではありません。1つ言えるのは、私たちがモビリティテック企業として、そのテクノロジーと知識をきちんと社会へ届けていくことがその世界観を作り出す近道であると思っています。

せっかくスマホで位置情報が分かって、それがビッグデータとなるにも関わらず現状そこまで分析して有効活用されている印象は少ないです。生活が便利になるテクノロジーがあるのなら、それを社会変遷に合わせてしっかり届ける、これが私たちが目指す「理想的な」移動社会に最も近づける道だと思います。

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開発から実証実験フェーズに入る今、特に苦労している観点

日高:地域や業態ごとに異なる交通事業者の考え方や関係性、データ・システムの違いに苦労していますが、それらを効率的に統合する仕組みを考える必要もありますので、日本国内においては正しい苦労と努力が出来ていると思います。

また、今後クロスインダストリーで別の産業とデータ連携するときのノウハウを今から蓄積していると思えば、成長性も担保できる苦労であると考えています。直近では、いよいよ実証実験フェーズへ突入しており、経済産業省・国土交通省が進めるスマートモビリティチャレンジの一つ、上士幌町(かみしほろちょう)における自動運転×MaaSの実証実験に参加することが決まっています。SBドライブ社が自動運転を、MaaS Tech JapanがMaaS部分を担当します。

海外市場では自動運転の実験も多く、国内との差をどのように認識されていますか

日高:海外と日本における「実証実験」の意味合いには違いがあると思っています。例えば、中国のスマートシティーと呼ばれる雄安新区などでは、AI・自動運転・交通コントロール・MaaSなどあらゆる分野のテクノロジーを融合させ実証実験をしています。その反面、日本ではFintechはA地区、自動運転はB地区、MaaSはC地区のように分野別で区切られてしまうことが多い。

今回私たちが参加する北海道での自動運転の実証実験も、実は「無人で走る」こと自体にはあまり意味がなく、その事実がどう街を変化させるのか、そもそも無人である必要があるのか等アウトプットを分析することが重要となってきます。海外のように親和性の高い技術をあわせて取り組むために参画を決めました。

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BeyondMaaSについて。MaaSが社会的に確立しサービスとして成り立った先に見据える世界観や特に着目する分野は何かありますか

日高:エネルギーマネジメントと不動産、物流、医療分野に着目しています。移動とは都市の機能が物理的に離れているからこそ生まれる行為であり、それ自体が目的ではありません。そうすると、目的側、つまり生活の基盤に近い業界などから効率化の恩恵を受ける可能性があり、その〇〇側の要請をモビリティ側がどれだけ受け入れられるかの勝負になります。そのためにも分野横断的なデータ利活用のプラットフォームの存在と、その上にアプリケーションが作りやすいオープンな開発・協業体制が重要となります。

なるほど。今後、MaaSが浸透するタイムラインやそのターニングポイントとなる出来事をどう捉えていますか

日高:海外では、MaaSというよりオープンデータやスマートシティーの観点で、モビリティーと他業界の融合は当たり前のように行われています。その中でもターニングポイントとしては、現在ダボス会議でも議論されている国境を越えたデータの利活用(Data Free Flow)がどのように行われるかであろうかと思います。

日本ではDFFにwith Trustを加えたモデルということで、国家的な統合管理とも民間事業者に過度に依存したデータ連携とも異なるスキームの構築が目指されています。MaaSもその一角を担う要素であるので、どのように協調領域が構築され、どのような産業やサービスができるのかについては日本としても考える部分で、その成功事例を一つでも多く生み出したいです。

ありがとうございました!

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需要予測で物流の過剰在庫を解消せよーービジネス効率化の旗手たち/ニューレボ代表取締役・長浜氏 #ms4su

本稿は日本マイクロソフトが運営するスタートアップインキュベーションプログラム「Microsoft for Startups」による寄稿転載。同プログラムでは参加を希望するスタートアップを随時募集している。今回インタビューに答えてくれた長浜氏は6月14日のミートアップにも登壇予定 前回からの続き。本稿では、エンタープライズSaaSやインダストリークラウドに注目したサービスを展開するスタートアップにイ…

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本稿は日本マイクロソフトが運営するスタートアップインキュベーションプログラム「Microsoft for Startups」による寄稿転載。同プログラムでは参加を希望するスタートアップを随時募集している。今回インタビューに答えてくれた長浜氏は6月14日のミートアップにも登壇予定

前回からの続き。本稿では、エンタープライズSaaSやインダストリークラウドに注目したサービスを展開するスタートアップにインタビューし、どのような生産性向上の取り組みがあるのか、その課題も含めてお伝えしています。

本稿ではスマホをベースとしたバーコード読み取りで、検品や物流管理が行えるソフトウェア「ロジクラ」を開発するニューレボ代表取締役でCEOの長浜佑樹氏にお話を伺いました(太字の質問は全て筆者)。(取材・編集:増渕大志

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ニューレボが解決していること:無料で使える在庫管理ソフト「ロジクラ」を活用し、物流業界における過剰在庫に対するソリューションを提供している。また、今後はAIによる需要予測や動産担保融資による在庫の現金化、在庫売買のマーケットプレイスなど「ロジクラ」をベースにビッグデータの活用施策を提供予定

この連載では「ビジネス効率化の旗手たち」として、効率化を図っているクラウドサービスを取材しています。手掛けられているサービスは、物流業界における「過剰在庫」へのソリューションということですが、具体的なサービス内容について教えていただけますか

長浜:無料で基本機能が利用できることをコンセプトに、在庫管理ソフト「ロジクラ」を提供しています。商品の入荷、在庫、受注から出荷までの物流管理をSaaSの形で利用することが可能です。

スマホのカメラからバーコード読み取りによる、入出荷処理や在庫確認が可能な点や、プラットフォームを利用し、複数ユーザーや複数拠点における在庫管理が可能なことが特徴になっています。長期的にはビッグデータを蓄積し「AIによる需要予測」を通した事業者コスト削減、過剰在庫の削減に挑んでいきます。

物流市場でなぜ、過剰在庫が発生するのでしょうか

長浜:現場で過剰在庫が発生する理由はシンプルに「需要の予測が出来ていないから」です。現在庫数が把握できていないことによる、過発注や配送リードタイムを考慮したオーバーストックが大きな背景になっていますね。単に発注担当者の感や経験に頼った発注フロー、競合の進出によるマーケットの変化など、様々な背景があるのも事実です。

日本国内における過剰在庫に関する市場規模はどのぐらいあるのでしょうか

長浜:まず、日本国内の流通販売額(卸売・小売の合計年間販売額)は約455兆円と世界的に見てもかなり大きいです。ただ、それに比例するように「過剰在庫」市場も拡大を続け、経済産業省の調べでは2017年において約54兆円といわれています。

当たり前ですが、在庫過多の状態が続くと、会社のキャッシュフローを圧迫し資金繰りの悪化を招きます。私たちニューレボは、そのような大きな社会問題の解決を目指しています。

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需要予測ができないことで過剰在庫が発生する、ということでしたが、この課題がこれまで解決されなかった理由はどこにありますか

長浜:物流市場において「バーコード」はデータを正規化させ、物流管理をするためのインフラ的役目を果たしています。このバーコードは数字のデータしか保有してませんが、それを商品情報と結びつけることで商品の管理をすることが可能です。

ただこのバーコード、読み取るためのハンディーターミナル赤外線端末の導入コストは非常に高く、一般的に1台40万円ほどのコストがかかるとされています。そのため、物量が安定しない状況で導入を進めることが容易ではありません。つまり、バーコードの有効活用が出来ていない、というより有効活用を進める段階にも立てない状況下だったというのが現実でした。

なるほど、それでスマホでバーコードを利用できるようにしたんですね

長浜:そうです。まず、その観点で事業者の初期投資におけるコストを大幅に削減することに成功できたと感じています。入出荷検品のみならず、出荷指示もできます。

フリーミアムのビジネスモデルを選択した理由は

長浜:今後3つのデータ活用事業を進めるにあたり、在庫・販売データを大量に蓄積するという観点からフリーミアムモデルを採用しました。実はこの事業領域でフリーミアムを採用しているサービスは少ないんです。

2018年11月の無料版リリース以降、毎月700社の新規アカウント獲得ペースで累計5000社の法人事業者に利用して頂いています。このことからも、顧客の潜在ニーズを大きく引き出せたと感じています。今後は様々な通販システムやOMS(受注管理システム)との連携機能など、市場の需要に応じて有料版の導入を検討中です。

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では、具体的にどのようにして過剰在庫の問題を解決していくのでしょうか

長浜:ロジクラで蓄積したデータを活用し、以下3つの事業領域に進出を考えています。

1) AIによる需要予測(適正在庫量の算出)
2) 動産担保融資による在庫の現金化(在庫の換金化)
3) 在庫売買のプラットフォーム(在庫の流動性)

「AIによる需要予測」は、過剰在庫に対する直接的ソリューションです。これまで現場の勘や経験に頼ってきたことで、引き起こされた過発注をAIによる需要予測により限りなく0に近づけていきます。

AIで需要予測できてしまえば、今回の問題は解決に向かいそうな気がしますが

長浜:その通りです。小売大手企業で、過去の販売データを時系列分析し人間よりも精度の高い需要予測を行なっている企業はすでに存在します。ただ弊社では、これをパッケージとして提供し全ての企業がAIの恩恵を受けられるようにするという考え方です。需要予測が大衆化される世界観を作り上げることを目指しています。

他に挙げている2つは

長浜:しかしそれでも過剰在庫は発生します。そこで「動産担保融資」は需要予想の上で生じる、過剰在庫の「出口シナリオ」の一つとして在庫を換金化できる環境を想定したものです。さらに「過剰在庫のマーケットプレイス」は、それら在庫に流動性を持たせるための仕組みとして、B2Bの形で在庫売買プラットフォーム構築を考えています。

在庫予測してそれでも余ったものについて企業間でマッチングして売買するマーケットプレイス的なものはイメージつきやすいのですが「動産担保融資」とは具体的にどのようなものですか

長浜:これまで企業が融資を受ける際の価値評価としては不動産担保がメインでした。しかし近年諸外国では、新しい企業評価の一つとして在庫などの動産担保が注目され始めています。これもIT化による、販売ビッグデータが蓄積されてきた事による、市場の移り変わりであると捉えています。

なるほど、全て在庫データで可視化されているので、資産として評価しやすい

長浜:はい、今後当社では、在庫(棚卸し)データに加えて登録商品が実際にいくらで、どの程度売れているのかの販売データを加えることにより「在庫評価」を行うエコシステムを作り上げています。これまでは、実際に人間が現場に赴き行なっていたプロセスを、ITとビッグデータ活用することで、スピード感並びに信頼価値の向上を目指していきます。

在庫売買のプラットフォームも理想的ですが、既存の流通エコシステムでも在庫処分などの仕組みがあるのではないでしょうか。ロジクラが手がけることによるメリットは

長浜:現状、事業者が在庫を多く抱えてしまった場合、セールを行い定価より大幅に値下げをし過剰在庫を処理するフローが一般的とされています。それでも余った商品は二次流通に流させる、または破棄をするしかないというのがリアルな実情です。

当社では、日ごろから物流管理として利用して頂く「ロジクラ」に、そのままB2Bマーケットプレイスを構築することで、シームレスに在庫流動性を作り上げることが出来るのではと考えています。

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データを一元管理しているのでやりやすい

長浜:加えて、在庫売買にはもう一つ大きなハードルが存在しています。商品マスタの整備と呼ばれ、いわゆる「商品情報を1つ1つ作成する」という作業です。EC事業者など商品マスタを整備(商品名や商品画像など)しなければならない事業者にとってはそれほどハードルでもないですが、商品マスタが整備されていない事業者にとっては在庫売買を行う前段階で大きな整備コストがかかります。当社はこの領域を在庫データと商品データのビッグデータ活用により進めることを考えています。

最後に、今後の物流市場のアップデートへ向けた期待があれば

長浜:「AIによる需要予想」というと、販売データを大量に持っているAmazonや楽天、Yahoo!ショッピングがやれば良いのではないか、と考える方が多いかもしれませんがそれは違うんです。

Amazonも楽天も、小売も卸も、全てのデータを把握することで物流における「AIによる需要予想」は可能だと考えています。販売チャンネルに依存する販売データではなく、バイアスを取り除いたデータが物流には集まり、そのビッグデータこそが物流市場に眠っている現状活用されていない「情報」だと信じています。

将来的には、社会全体で10%の過剰在庫削減を目指していきます。過剰在庫を削減し、企業のキャッシュフローを向上させ、中小企業が持続的に生存・成長していける社会的土台を作り上げること、これが私たち事業の社会的意義だと思っています。

ありがとうございました!(取材・編集:増渕大志

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情報銀行時代「自分のデジタルデータは自分で管理」するScalar DLTーービジネス効率化の旗手たち/Scalar代表取締役・山田氏/深津氏 #ms4su

本稿は日本マイクロソフトが運営するスタートアップインキュベーションプログラム「Microsoft for Startups」による寄稿転載。同プログラムでは参加を希望するスタートアップを随時募集している 前回からの続き。本稿では、エンタープライズSaaSやインダストリークラウドに注目したサービスを展開するスタートアップにインタビューし、どのような生産性向上の取り組みがあるのか、その課題も含めてお伝…

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本稿は日本マイクロソフトが運営するスタートアップインキュベーションプログラム「Microsoft for Startups」による寄稿転載。同プログラムでは参加を希望するスタートアップを随時募集している

前回からの続き。本稿では、エンタープライズSaaSやインダストリークラウドに注目したサービスを展開するスタートアップにインタビューし、どのような生産性向上の取り組みがあるのか、その課題も含めてお伝えしています。

改ざん検知性・スケーラビリティーの両立を実現する分散型台帳ソフトウェア「Scalar DLT」の開発を進めるScalar代表取締役でCEO/COOの深津航氏、同じくCEO/CTOの山田浩之氏にお話を伺いました(太字の質問は全て筆者)。(取材・編集:増渕大志

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Scalarが解決していること:高い改ざん検知性と高いスケーラビリティを有し、電子的な契約を実行するためのデータベース基盤であるScalar DLTを開発・提供するScalar。一つのユースケースとして、近年関心が高まりつつある「情報銀行」の提供を目指す事業者に対し、パーソナルデータの利用等に関する契約を管理するソリューションテンプレートを提供する。

この連載では「ビジネス効率化の旗手たち」として、効率化を図っているクラウドサービスを取材しています。手掛けられているサービスは、分散型台帳ソフトウェアを活用された個人情報のオーナシップマネージメントということですが、具体的にどの様な特徴を持ったものなのでしょうか

深津:Scalarでは「Scalar DLT」という高いスケーラビリティーと改ざん検知性を両立させた分散型台帳ソフトウェアのR&D・販売をしています。Scalar DLT自体はプラットフォーム型でご提供させて頂いており、その上にドメイン特化型でミドルウェアやソリューションテンプレートの研究開発を進めている段階です。

「分散」というキーワードを聞くと、社会トレンド的にはブロックチェーンが思いつきます。関連性はあるのでしょうか

山田:概念的には、Scalar DLTを始めとする分散型台帳とブロックチェーンは近いものです。双方において、暗号学的ハッシュ関数や電子署名を用いてデータ構造自体に改ざんを検知できる機構をもっていたり、システムの管理を分権することにより改ざん性を高めるという発想です。僕らのScalar DLTは、ビットコインのような誰もが参加できるパブリックなネットワークではなく、データベースを構成するネットワークへの参加者が事前に決まっているプライベートネットワークにおける利用を想定しているものです。

プライベートブロックチェーンとScalar DLTとの差異は

山田:そもそもScalar DLTの開発を始めたきっかけとして、現在あるプライベートブロックチェーンにおける実装の多くは、設計や原理がパブリックブロックチェーンの発想に引きずられすぎており、データベースの歴史が無視されているという課題意識がありました。改ざん検知性自体は面白い観点ですが、そこにとらわれ過ぎていて、スケーラビリティー等その他必要不可欠な部分がおろそかになっているんです。

そこで、ブロックチェーンがもつ高い改ざん検知性をもちつつ、スケーラビリティーを可能な限り高いレベルで実現する基盤として「Scalar DLT」の開発をはじめました。つまり、他のブロックチェーンとの大きな違いの一つは、「高いスケーラビリティーがある」というところです。例えば、計算機資源の追加によってほぼリニアに処理のスループットが向上します。

深津:ビジネス的な観点でも、Scalar DLTはユースケースを見据えて設計しているという点が特徴的です。例えば、情報銀行等におけるパーソナルデータの利用等に対する契約管理や、サブスクリプションや保険などのエビデンス管理など、電子的な契約が利用者の増加によって増えるような、スケーラビリティーと改ざん耐性の両方が求められるユースケースに特化しています。

分散型台帳(DLT)がどのようにパーソナルデータと結びつくのでしょうか

深津:ユースケースの一つには、世界的に話題となっているパーソナルデータにおける同意の管理があります。欧州ではGDPR、米国カリフォルニアではCCPA、日本では個人情報保護法の改正と「情報銀行」がこれに当たります。ヨーロッパにおけるGDPRの動きが分かりやすく、パーソナルデータを人権の一つとして捉え、オーナシップを付与させようという取り組みです。この領域において、同意を管理する仕組みとして、弊社のScalar DLTをもとにした情報銀行ソリューション・テンプレートの提供を始めています。

タイムリーな話題でいうと、LINEが個人情報の登録で1000円分のコインを配っていますね。300億円かけているとか

深津:まさにパーソナルデータの1つである本人確認の事例です。一般的に、クレジットカードなど本人確認にかかる手数料は1人あたり3000円と言われています。しかし、現在は基本的に人の手を介してこれらの作業は行なわれているんですよね。

例えば保険業界でも、契約書類などはマイクロフィルムに入っていることが多く、ビルや倉庫を利用した保存方法となっています。しかし、これらを参照する機会はほぼない。それにも関わらず、デジタル上にデータを保存することは、改ざんされる危険性があるため電子的に保存するためには、いくつかの障壁があります。

ドキュメントのワークフローを効率化する仕組みなどで、「ガイドワイヤー」などが導入されていますが、大きなシステム投資をしてデジタル化した方が効率的であるということなんだと思います。

なるほど。ユースケースは他にどの様な分野を想定しているのでしょう

深津:パーソナルデータ以外にも、サブスクリプションにおけるユースケースを想定しています。今は定額サブスクリプション型が多いのですが、今後は従量課金型も多くなっていくと予測しています。利用者が「自分が本当に利用したのか」を確認する仕組みが必要であり、そこにうまくはまると思っています。

サブスクリプションエコシステムにおける、分散型台帳の活用がなかなか想像つきません

深津:例えばNetflixのような動画視聴サービスにコンテンツを提供していた場合、コンテンツ提供事業者は、自身が提供したコンテンツがどの程度利用されているかは、動画視聴サービスを提供している企業を信用するしかありません。一方、利用者は個別に課金されるコンテンツの利用によって追加課金を要求された場合、現段階で「そのコンテンツを私は見ていない」と証明する方法は存在していません。

この動画視聴サービスの例でいえば、自身の利用履歴というパーソナルデータを、動画視聴サービス提供企業以外が正しく運用されているのか管理できる仕組みに需要が出てくると考えています。

プロダクトの話に移らせてください。Scalar DLTは既に実用可能な段階なのでしょうか

山田:Scalar DLTは既に実用可能な状態です。MVPである1.0の実装は完了し、改ざん検知性やスケーラビリティの検証を丁寧にしてきました。また、内部で実行するトランザクションが本当にどのようなケースでも正しく実行できるのかというところにかなりの時間を使って検証してきています。ネットワークを構成するノードがクラッシュしても、ネットワークが分断しても、ノードの時間がバラバラでも、システムが正しく動き続けるというのは実は非常に難しいのですが、1年くらいかけて検証し続けてきた結果、問題等は起こらなくなりました。このような分散システムの検証に注力しているところも他のブロックチェーン企業とは大きく違うところかなと思っています。

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システム導入までに際し、何か大きな課題などあったのでしょうか

深津:たとえば、情報銀行の導入検討においては、単なる同意の管理だけではなく、システムのログまで保全として欲しいという要望がありました。また、保険契約の仕組みにおいては、規約上書面で確認するという形になっていました。このため、デジタルの仕組みだけでは構築できない領域があります。そのため、法制度の改正も見据えて提案しなければならない領域があることもわかりました。

山田:大きな課題というほどのものではないですが、ソリューションテンプレートを作るにあたってクライアントをどうやって実装するかが少し悩ましかったです。スマホアプリにすると処理の内容やUI/UXの柔軟性は高いですが、開発に時間がかかるしアプリのダウンロード数や生存率をあげるためのコストが意外に高いので、初期はブラウザで始めたいという要望が多くありました。この実現のため、Scalar DLTのスマートコントラクトをブラウザから実行できるようにする機能追加するなど、諸都合に応じた工夫が必要でした。

なるほど。市場規模の想定は

深津:パーソナルデータを用いたデータ流通市場は、国内では現在約2兆円の市場があると考えています。今のところこの分野は、データブローカーやアドテック企業が主なプレーヤーとなります。これらのプレイヤーの全世界の総売上を人口で按分すると、年間$240/人になります。これを日本における18歳以上の人口に掛け合わせると、約2.4兆円となるという算出方法です。

これから個人情報への需要が上がるにつれ、市場規模も拡大が期待できる

深津:そうですね。さらに、また、VRM(=Vender Releationship Management)市場の成長も捉えると約60兆円の市場が立ち上がると言われています。このうち同意の管理の部分を弊社が獲得していくことを狙っています。また、その他にも、改ざん耐性や完全性の証明を必要とするe文書法などの法律に対する事業領域があります。こういった市場を含め、直近2年間で数億円の売上を目指していきます。

最後に、DLT関連事業のプロトコルレイヤー開発企業として感じる、今後の業界トレンド予想について聞かせてください

山田:ブロックチェーンや分散型台帳の利用においては利用者やアプリがそれぞれの方法で秘密鍵を管理することが推奨されていますが、実はそこが結構面倒なので普及が進みづらく、課題であると思っています。ただ、FIDO2等が普及することにより、秘密鍵を利用者側で保持することがブラウザとして標準になってくると、この辺の敷居が一気に低くなると思っています。

深津:今後3年くらいは決済は小口化、大量トランザクションに向かう傾向が続くと感じています。一方で、サブスクリプション型のビジネス市場の拡大も進んでいます。これにより、決済は月次にまとめて行う形が一般的となります。その結果、決済は大口化、トランザクションは減少して収束していきます。

一方で、各種サービスにおける利用実績のエビデンス収集領域にも着目しています。つまり、サブスクリプション提供企業がサービス提供企業に対し、自社サービスの利用実績を証明し自動的に支払いを実行する、スマートコントラクト市場の可能性が大きく成長すると感じています。

ありがとうございました!(取材・編集:増渕大志

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AIのHEROZやエクサウィザーズらが語る「スタートアップとエンタープライズの共創」ーー6月14日ミートアップ開催、参加者募集 #ms4su

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日本マイクロソフトは6月14日、都内でインキュベーションプログラム「Microsoft for Startups」のミートアップを開催する。シード期からの成長スタートアップやベンチャーキャピタル、企業の新規事業者が対象で新規事業の共創がテーマ。参加費は無料。100名規模での開催を見込んでおり、イベントの参加や登壇者などの詳細はこちらのページを参照されたい。 前回イベントではLinkedInカントリ…

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初回ミートアップの様子

日本マイクロソフトは6月14日、都内でインキュベーションプログラム「Microsoft for Startups」のミートアップを開催する。シード期からの成長スタートアップやベンチャーキャピタル、企業の新規事業者が対象で新規事業の共創がテーマ。参加費は無料。100名規模での開催を見込んでおり、イベントの参加や登壇者などの詳細はこちらのページを参照されたい。

前回イベントではLinkedInカントリーマネージャーでプロダクトヘッドの村上臣氏が「変革期に生きる私たちに必要なマインド」という題目で基調講演を披露した。

<参考記事>

2回目となる今回、予定しているセッションプログラムでは物流クラウドのニューレボ、AIプラットフォームを手がけるHEROZおよびエクサウィザーズが登壇し、スタートアップとエンタープライズのマッチングについてその裏側を語る。

<参考記事>

その他、スタートアップのピッチステージなどのプログラムも用意される。なお、THE BRIDGEもメディアパートナーとして参加する予定。現在連載中の「Microsoft for Startups」はこちらから。

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数千項目の監視業務をAIが自動設定、「将棋」で培った機械学習を産業の力にーービジネス効率化の旗手たち/HEROZプロデューサー・大井氏 #ms4su

本稿は日本マイクロソフトが運営するスタートアップインキュベーションプログラム「Microsoft for Startups」による寄稿転載。同プログラムでは参加を希望するスタートアップを随時募集している 前回からの続き。本稿では、エンタープライズSaaSやインダストリークラウドに注目したサービスを展開するスタートアップにインタビューし、どのような生産性向上の取り組みがあるのか、その課題も含めてお伝…

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本稿は日本マイクロソフトが運営するスタートアップインキュベーションプログラム「Microsoft for Startups」による寄稿転載。同プログラムでは参加を希望するスタートアップを随時募集している

前回からの続き。本稿では、エンタープライズSaaSやインダストリークラウドに注目したサービスを展開するスタートアップにインタビューし、どのような生産性向上の取り組みがあるのか、その課題も含めてお伝えしています。

今回お話を伺ったのはAI領域にて、これまで人間には解決できなかった諸問題へ取り組む自社プロダクト「HEROZ Kishin Monitor」を提供するHEROZ、プロデューサーの大井恵介氏です(太字の質問は全て筆者。回答は大井氏)。(取材・編集:増渕大志

HEROZ Kishin Monitorが解決していること:データの時系列分析・未来予想に基づいて、AIによる自動監視・異常検知ツールである「HEROZ Kishin Monitor」を法人向けに提供し、IoT時代における諸サービスの向上・予兆保全を支援している

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HEROZさんといえば将棋のアプリが第一に思い浮かびます

大井:消費者の方に一番身近な私たちのプロダクトかもしれませんね。将棋対戦アプリ「将棋ウォーズ」はAI×エンターテイメントを軸に展開しているアプリケーションです。毎日24万人ほどのオンライン対戦、総ユーザー数では500万人を突破しています。また、当社エンジニア開発の将棋人工知能である「Ponanza」も搭載されており、2013年には史上初プロ棋士に勝利しました。

AIという概念が世間一般に知れ渡るきっかけになったのを覚えています。さて、本連載ではテクノロジーで社会を効率化するソリューションを取材しています。法人向けにはどのような展開を実施されていますか

大井:2015年頃から法人向けに「HEROZ Kishin」サービスの提供を開始しました。その中の1つのプロダクトとして、「HEROZ Kishin Monitor」を展開しています。HEROZ Kishin Monitorは「○○×AI=世界を驚かす」をテーマに、様々な業界とのコラボレーションで社会課題の解決ソリューションを提供しています。データの時系列分析・未来予測に基づく、AIによる自動監視・異常検知を可能としていることが特徴です。現在では他社のエンターテイメント関連を始め、建設関連やIoT関連業界との引き合いが増えています。

法人のAI需要の高まりを感じた具体的なケースについて教えてください

大井:そうですね。当初ウェブサービスのセキュリティー面での監視が当社事業のスタートでした。AzureやAWS等の監視において、重視していたのは「いかに人手をかけずに監視するか」という観点でのシステム設計です。

ただ、イベント等であらゆる業界の方とお話を進めていくと、製造系やインフラ系、またIoT関連のお客様からサービスに関してお問い合わせいただく機会が多くなってきたんです。そんなお話を繰り返しているうちに、様々な分野で私たちの技術が役に立つ可能性があるのでは、と考えるきっかけになりました。

建設業界から需要があるのは新鮮でした

大井:そうなんです、実は建設業界ではセキュリティーや安全面の保証において我々のサービスが有効活用される予定です。現場のメーターに対して画像認識を組み合わせ読み取ることで、設備点検や予兆保全などに適応が可能です。

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なるほど。IoT領域では特にセキュリティー面の担保に需要がありそうです

大井:そうですね、特にIoT周りでは空調システムやデバイスなどから時系列データを元に異常検知を可能にしています。

従来のAIを用いた異常検知では、正常系データと異常系データの両方を学習させなければならず、異常系データが少ないというご相談をお受けすることが数多くありました。HEROZ Kishin Monitorでは、異常系データが無い場合でも学習が可能となっているのが特徴で、私たちが提供するプロダクトの特徴だと思います。そのため、今後はIoTなど新しい概念の領域でも活用事例が進んでいくと考えています。

監視業務の自動化は業務改善の中でも影響範囲が大きそうです

大井:そもそも開発のきっかけは、自社サービスを監視するためのツールを探していたということでした。AIなどを活用し、効率的に監視してくれるようなサービスを探していましたが、人によるチューニング作業が必要なものが多く、運用工数が増大してしまうことが課題と感じていました。

そんな時に「なければ作ればいいじゃないか」という発想で生まれたのが『HEROZ Kishin Monitor』です。自社の課題を解決できるものを作ったからこそ、実用的な自動監視を実現しています。

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莫大な監視項目自体をAIで効率化した

大井:安心できるサービスを提供するためには、監視や異常検知にて担保を図るのは必要不可欠な存在だと思います。ただ、実際にはどの業界でも後回しになっていることが多いなという印象です。

私たちのソリューションであれば、時系列データを流し込むことができれば、どのような値でも扱うことができるので、サーバーのアクセスログだけでなく、不正取引やBOTの検知、製造現場のセンサー情報を基にした異常検知、予兆保全、設備点検など、各産業での維持管理の業務改革を支援できると考えています。

実際に法人向けにサービス提供を開始されて感じる、導入企業さんの反応はいかがでしょうか

大井:利用者の方からは、運用工数を大きく削減することができた、何か問題が起きた際の初動が速くなったなどの感想が届いています。

ビッグデータを扱うという面では開発面での苦労も多かったのでは

大井:リアルタイムの時系列データを収集・蓄積する基盤の開発について、大規模なデータを扱うため、データ形式の統一や処理の遅延などが課題でした。プロトタイピングでは自前でメッセージングシステムを構築していたのですが、AzureのEvent/IoT Hubなどを活用することでスムーズにデータを扱うことができるようになっています。

今後の注力分野はどこになりますか

大井:今後は、特に金融とIoTの領域で力を入れていきたいと考えています。金融については未来予測だけではなく、取引データをもとにした不正検知などに役立てていきたいと考えています。また、IoTについては、画像認識など他のAI技術と組み合わせることでアナログメーターなどの情報を時系列データとして扱うことができるようになりますので、さらに発展していくことができる領域だと考えています。

ありがとうございました!(取材・編集:増渕大志

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苦手を「見える化」して営業パーソンを育成ーービジネス効率化の旗手たち/TANREN代表取締役・佐藤氏 #ms4su

本稿は日本マイクロソフトが運営するスタートアップインキュベーションプログラム「Microsoft for Startups」による寄稿転載。同プログラムでは参加を希望するスタートアップを随時募集している 前回からの続き。本稿では、エンタープライズSaaSやインダストリークラウドに注目したサービスを展開するスタートアップにインタビューし、どのような生産性向上の取り組みがあるのか、その課題も含めてお伝…

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本稿は日本マイクロソフトが運営するスタートアップインキュベーションプログラム「Microsoft for Startups」による寄稿転載。同プログラムでは参加を希望するスタートアップを随時募集している

前回からの続き。本稿では、エンタープライズSaaSやインダストリークラウドに注目したサービスを展開するスタートアップにインタビューし、どのような生産性向上の取り組みがあるのか、その課題も含めてお伝えしています。

スマホを通して、営業パーソンのセールス指導・店舗における販売・接遇練習などの育成課題に動画を通した非属人的なソリューションを展開するTANREN代表取締役CEOの佐藤勝彦氏です(太字の質問は全て筆者。回答は佐藤氏)。(取材・編集:増渕大志

TANREN

TANRENが解決していること:動画を主体とした「マイクロラーニング」がコンセプトの企業研修サービス。基礎学習をデジタル化し、応用箇所を個々の能力に合わせ研修することが可能。スマホで指導用の研修動画を撮影し社内共有。ルーブリック(※)評価による定量分析と、タイムスタンプ評価による定性分析をもって企業における人材教育を効率化している

※ルーブリック評価:学習到達状況を段階マトリックスで確認する評価方法

この連載ではビジネスの現場で効率化を図っているクラウドサービスを取材しています。手掛けられているサービスは、アウトプット中心のセールス教育アプリということですが、具体的にどの様な特徴を持ったものなのでしょうか。

佐藤:TANRENは営業パーソンのセールス指導や、店舗における販売・接遇練習などの育成課題、特に時間がなく、属人的な教育になりがちな社内研修に対して、スマホで気軽に動画を撮影し投稿できるシステムを構築しています。

ルーブリック評価による定量分析と、タイムスタンプ評価による定性分析によって教師役と生徒役を動画でつなぐ、赤ペン先生のようなナレッジシェアが可能なことが特徴です。

ルーブリックを使った研修方法とは

佐藤:例えばこちらは現在、前田鎌利さんとの協業で行ってる「鎌利式プレゼン」の研修時に利用するルーブリックです。

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採点箇所の根拠が明確なので、認定講師間で評価のブレが生じず、かつ受講生もどこを指摘されているか納得感があります。これを複数回に渡ってTANRENを活用するとこのような結果が出ます。

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なるほど、社員の不得手な箇所が見える化されてますね

佐藤:育成データを管理していく「People analytics」的な観点が今後、HR領域では注目されていくと考えています。

タイムスタンプとは具体的にどういうことでしょうか

佐藤:簡単に言えば、動画のあるポイントに対して直接コメントを付けられるということです。例えばマニュアルにない、その店舗だけの習慣のようなサービスなどがたまにあったりするんですが、そういったものに対しタイムスタンプをつけることで、後からそのサービスを分析することが出来るようになります。

動画で共有して、さらにいつでも分析が可能

佐藤:例えば営業成績がいい店舗の動画をどの店舗でも見れるのがクラウドの利点です。ある店舗ではマニュアルになくてもサービスとして実践していることが、違う店舗では全く行われていないなんて沢山あります。この状態に気が付く「きっかけ」が重要かと。

ところで動画コンテンツの共有で教育を効率化できる、というのは理想的なソリューションですが、実際に導入した企業のオンボーディングで発生する課題や状況はどのようなものでしょうか

佐藤:そうですね。まず、言わせてほしいのが人は原則鍛錬できない、ということです。「世の中は2対8」とはよくいったもので、100社超えたあたりで、冷静に自社顧客を見た時、伴走も不要、顧客自身の目的に即した指針方針で、見事にTANRENを使い倒していただけた会社は2割程度という印象でした。

残りの8割は目的が乖離していたり、アナログ鍛錬していないのにただ続けていれば「できるようになる」と盲信されてしまったり。正直、想像以上に教育課題は根深いのだと今なお、感じています。

サービス導入だけでなく、利用する側の姿勢も重要と。研修をする企業として、どのような視点が大切でしょうか

佐藤:やはり鍛錬をするために、このサービスを使い倒すためにも「目的をたて、目標を定め、繰り返しアウトプットを行うこと」が大事です。弊社も原則、伴走支援必須モデルとして事業を捉えるようになりました。

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属人的な人材教育への問題意識はどういった経緯で生まれたのでしょうか

佐藤:元々、私は携帯販売員の育成講師を20年ほど勤めておりました。携帯を購入されるショップにて「この店員さん、セールスが上手だな」と思わず光ファイバーもセットで契約してしまった、といった経験はありませんか?そういった、セールストークに限らず根本的なサービスの提供の仕方から全てを教育する、そんな担当をしていました。

ただ、活動を進めていく中で、育成講師のワークスタイルに対する課題意識が生まれ始めたんです。講師は全国の支社支店の会議室に赴き、会議室にて50名ほどを対象に集合研修を行うわけですが、個々に各々学びたい要素が違うはずなのに通り一辺倒な講習をして終わる。

まさに公教育の現場における、教室での講義で受講生の個性や特性を殺してしまう課題と同一の問題があると感じたんです。

その課題感から、業界に対してデジタルを通したソリューションを考えた

佐藤:もちろん、講師が旧態依然なのは業務効率と教師側のリソース不足が関係するので、個別学習がやりたくとも実施できない実態があるわけです。そこでデジタルツール、クラウドを用いて何とか解決できないかと考えました。

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この分野ではEラーニングが先行していた印象があります

佐藤:確かに教育をデジタルにするだけであれば、Eラーニングで十分だと思います。しかし、それではインプットを磨くだけであり、営業や販売のフィールドではアウトプット(知識をどう生かすか)が重要となるため、非効率になってしまいます。

インプットで終わっては研修にならない

佐藤:そうですね。他社事例ではデジタル化させたうえでもマニュアル主導型(インプット重視)が多いと理解しています。社員向けというより非正社員向けが多いのかもしれません。ただ私たちは、その分野はAIやロボットが広がっていく領域とみてるので、より高単価でかつ高スキルをもとめられる、正社員の領域に特化してることで差別化しています。

今まで「アウトプット」主体の人材教育は存在しなかったのでしょうか

佐藤:動画を投稿するという行為自体はYouTubeにアップロードしたり、イントラのストレージに格納したりと存在はしていました。ただ、売りたい商材や強化したい接遇技などに紐づいていないので、スキル定着できたとしても育成データとしてプラットフォームに貯めるという視点はなかったのではないでしょうか。

具体的に効率化された例など教えていただけますか

佐藤:まず現在の状況からお伝えすると、おおよそ100社ほどのお客様にシステムや、研修パッケージをご利用いただいております。つい最近のケーススタディでは、生産性8年で1.8倍、退職者数は3年で58%減と言及いただける事例も生まれています。

ありがとうございました。(取材・編集:増渕大志

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少子高齢化時代をロボティクスで救え!ドローンで社会課題に挑戦ーービジネス効率化の旗手たち/センシンロボティクス代表取締役・間下直晃氏 #ms4su

本稿は日本マイクロソフトが運営するスタートアップインキュベーションプログラム「Microsoft for Startups」による寄稿転載。同プログラムでは参加を希望するスタートアップを随時募集している 前回からの続き。本稿では、エンタープライズSaaSやインダストリークラウドに注目したサービスを展開するスタートアップにインタビューし、どのような生産性向上の取り組みがあるのか、その課題も含めてお伝…

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本稿は日本マイクロソフトが運営するスタートアップインキュベーションプログラム「Microsoft for Startups」による寄稿転載。同プログラムでは参加を希望するスタートアップを随時募集している

前回からの続き。本稿では、エンタープライズSaaSやインダストリークラウドに注目したサービスを展開するスタートアップにインタビューし、どのような生産性向上の取り組みがあるのか、その課題も含めてお伝えしています。

DaaS型ドローンソリューションによる業務の完全自動化を目指すセンシンロボティクス代表取締役CEOの間下直晃氏です(太字の質問は全て筆者。回答は間下氏)。(取材・編集:増渕大志

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センシンロボティクスが解決していること:「ロボティクスの力で、社会の「当たり前」を進化させていく」をミッションに、労働人口が減少する中、災害などの社会課題をロボティクスを通じて解決することを掲げる。最初に手がけるのはドローンによるソリューションで、業務自動化を推進する統合プラットフォーム「SENSYN FLIGHT CORE」を核に、用途別のソリューションをDaaS(Drone as a Service)として提供している

こちらの連載ではテクノロジーで社会の課題を効率化するソリューション・スタートアップをご紹介しています。センシンロボティクスさんはドローンを活用した点検や災害などの社会課題に取り組まれてます。そもそも依頼されるユーザーの方々の課題感やペインはどのあたりにありそうでしょうか

間下:やはり、実際の業務に適用する際の「ドローンの操縦や撮影された映像の確認作業を行うためのオペレータ(人力)の不足」や「その育成・確保にかかる工数」が挙げられると思います。

ドローンは無人というだけで、実際には操縦する人や得られた調査結果の解析など、付帯する業務が多岐に渡るのでここの効率化が必要と

間下:そうですね。私たちはこういったドローン活用業務の完全自動化を推進し、実現するべくサービスのテスト運用に基づく改良を続けています。

ドローンによる業務自動化をパッケージングされているということですが、具体的にどのような仕組みでしょうか

間下:サービスの中心には「SENSYN FLIGHT CORE」という、ドローンを用いた顧客業務の自動化を推進する統合プラットフォームがあります。それに加えて先進的な技術コンポーネントを組み合わせ、用途別にパッケージ化した業務自動化ソリューションを初期費用+月額利用料のDaaS(Drone as a Service)型で提供しています。

パッケージには具体的にどのようなものがあるんですか?

間下:例えば鉄塔の点検にドローンが使える「TOWER CHECK」というコンポーネントは撮影から解析・レポート出力まで自動化してくれるものです。

同様に太陽光発電施設点検パッケージの「SOLAR CHECK」、ドローンで撮影している映像を、遠隔かつ複数拠点でリアルタイム共有・コミュニケーションが図れる「SENSYN DC」、ドローンの自動離着陸・自動充電機器を備えた完全自動運用型ドローンシステム「SENSYN DRONE HUB」などを提供しています。

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導入やPoC(実証実験)などの件数はどのぐらい積み上がりましたか

間下:これまでに120以上の企業や自治体と当社ソリューションを活用した実証実験を実施してきました。なお、現在政府では2022年度を目処にドローンの有人地帯での目視外飛行を可能とすることを目指すと発表しています。法律が変われば、当社が目指す「DaaS型ドローンソリューションによる業務の完全自動化」の実現により近づけると考えています。

なるほど、規制などの整備が進めばさらに利用する人は増えそうということですね。具体的に事業を進めてみて、どの分野の効率化に手応えを感じていますか

間下:現在サービスを提供している「点検・警備監視・災害対策」の3領域には注力しています。特に日本は戦後の高度成長期で急速にインフラを構築したため、それらの老朽化がここに来て課題として顕在化しつつあるんです。また、それらをメンテナンスする人員の人手不足が同時に発生しているという特異な環境です。

さらに少子化は進むのでさらに課題は深くなる

間下:はい。今後少子高齢化による労働人口の減少はさらに加速しますから、業務の自動化・汎用化のニーズはますます進んていくと考えております。現在サービス提供をしている領域に加え、今後、社会課題に対してニーズがある分野にも事業を拡げていきたいと考えています。

企業や自治体などの反応や課題は

間下:産業用ドローンの利用を考える企業は多いですが、実際に業務プロセスまで落とし込んで活用できているケースは現状まだ少数です。機体を購入したものの、操縦技術の習得や飛行時の許認可申請、保険、安全対策、故障時のサポートやメンテナンスなど、実際の運用を行うまでに企業の担当者が考慮すべき事項は多岐に渡ります。

便利な反面、安全性や規制面含めて非常に複雑なビジネス構造になっていますね

間下:その上まだ新しい技術だけに情報も少ないんです。当社の提供するサービスは、ドローンというハードウェアとその運用を効率化・自動化するソフトウェアを組み合わせたDaaS型ソリューションですが、たとえ良いものを作っても上記ハードルからお客様に十分ご活用いただけないケースもありました。

オンボーディングのハードルはどのようにしてクリアされたのでしょうか

間下:現在はカスタマーサクセスを重視し、現場の課題抽出から業務プロセスへの実装まで伴走する体制を整えています。その結果、顧客からのフィードバックをよりダイレクトにサービス開発へ反映できる良いスパイラルも生まれていますよ。

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インプレス綜合研究所発表:ドローンビジネス調査報告書プレスリリースより

少し話を変えて市場規模について教えてください。ドローンによる業務効率化で恩恵が受けられる範囲は災害や建設など経済インパクトでも大規模なものが多そうです。どのような視点をお持ちでしょうか

間下:ドローンの国内市場規模については、2024年に2018年の5倍以上、5000億円以上にまで拡大すると試算するレポートも出ています。中でも私たちが事業を行うサービス領域は最も成長率が高く、2018年の10倍近くにまで拡大することが見込まれています。

この中で「ドローンによる業務の完全自動化」による社会課題の本質的な解決を目指し、市場の成長を牽引していきたいと考えています。

最後に、開発についての課題も教えてください。ハードウェアも含め、非常に複雑なテクノロジーかと思います。どのあたりに苦労するポイントがあるでしょうか

間下:基本的に私たちはソフトウェアをメインに開発していますが、お客様にはドローンを含めたパッケージをDaaS型で提供しています。そのためドローンの自動飛行設定から実機の飛行、撮影データのアップロード、ソフトウェア操作までの一連の作業を自動化するUX設計が重要になります。

プラットフォームでありながら、各社への個別最適化が非常に強そうな開発現場ですね

間下:はい。業務の種類によって必要な機能やインタフェースなどが異なるわけです。それらを実際のお客様からヒアリングを行いながら開発する必要があるんです。また、ソフトウェアのデバッグではドローンのテスト飛行が必要ですが、スタッフ間のドローン操作の技術にばらつきがあったことも課題でした。

デバッグで野外に出る必要がある時点でかなり特殊

間下:そうなんです。現在は新入社員にはドローン研修を実施し、全員がドローンを飛ばせるように教育しています。実際に都内に飛行が出来る場所が限られるので、それらを確保したり国外での技術開発なども合わせて実施しています。

ならではのお話ありがとうございました。では次の方にバトンをお渡ししてきます。(取材・編集:増渕大志

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オープンイノベーション「企業間データ共有」をブロックチェーンで効率化ーービジネス効率化の旗手たち/ZEROBILLBANK代表取締役・堀口純一氏 #ms4su

本稿は日本マイクロソフトが運営するスタートアップインキュベーションプログラム「Microsoft for Startups」による寄稿転載。同プログラムでは参加を希望するスタートアップを随時募集している 前回からの続き。本稿では、エンタープライズSaaSやインダストリークラウドに注目したサービスを展開するスタートアップにインタビューし、どのような生産性向上の取り組みがあるのか、その課題も含めてお伝…

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本稿は日本マイクロソフトが運営するスタートアップインキュベーションプログラム「Microsoft for Startups」による寄稿転載。同プログラムでは参加を希望するスタートアップを随時募集している

前回からの続き。本稿では、エンタープライズSaaSやインダストリークラウドに注目したサービスを展開するスタートアップにインタビューし、どのような生産性向上の取り組みがあるのか、その課題も含めてお伝えしています。

医療現場の業務支援に続いてブロックチェーンによって企業のデータ連携を効率化するZEROBILLBANK LTD(日本法人はZEROBILLBANK JAPAN)代表取締役CEOの堀口純一氏です(太字の質問は全て筆者。回答は堀口氏)。(取材・編集:増渕大志

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ZEROBILLBANKが解決していること:ブロックチェーン技術とスマートコントラクトの仕組みを活用して企業が保有するデジタルデータをアセット(資産)として管理する技術を提供。これにより、企業間でそれぞれが保有するユーザー情報などを、安全かつ信頼性ある状態で利活用可能になり、新規事業の創出促進が期待できる

企業間データ資産のブロックチェーン・スマートコントラクトによる共有というアイデアは実は以前も別の場所で聞いたことがありました。どういった経緯でこの課題に取り組むことになったのでしょうか

堀口:IoT技術の拡大によるエンドポイントが爆発的に増加することで、企業1社単独ですべてのデータを獲得することは不可能になってきています。

それを裏付けるように、トヨタ自動車とソフトバンクがMaaS領域で”共創”モデル『MONET』を発表しています。88社の協業プラットフォームですが、大企業が自分たちが保有する”アセット”(デジタル含む)を共有してでも新たな価値を生み出そうという意思を感じますよね。

最初からこういった企業データ資産の流通というスキームでの事業を考えていたのですか

堀口:いえ、当初は企業トークンや地域通貨などを中心に事業展開を模索していましたが、2018年11月末に発表したトッパン・フォームズ社との協業で、個人情報を含むデータ流通に事業ドメインをシフトさせたんです。オープンイノベーションによる顧客ニーズや、GDPR対応などの外部環境変化とも重なってトラクションを得られている状況ですね。

やはり企業それぞれが保有するデータの相互乗り入れについてはニーズがある

堀口:はい。管理主体の異なる企業間やサービス間でのデータ連携を実現するための課題は各社お持ちで、特に大企業における新規事業やオープンイノベーションの文脈でのお話が多いです。業種や業界をまたぐユースケースにおいて、既存のITシステムを活用したデータ連携では実現しづらかった事業開発に対する要望にお応えしているという状況です。

当然、データの信頼性が問われることになります

堀口:はい。改ざん耐性もそうですし、そもそもデータは個人のものです。その管理の自主性も重要なポイントになります。

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複数企業間でのデータ活用についてもう少し詳しく教えてください。具体的にどういった利用シーン、特にエンドユーザーの何が変わるのでしょうか

堀口:特に個人のスコアに関するものが最初のケースになるでしょうね。3つほどあると思っていて、一つは与信に関するもの。次に健康。そして社会性に関わる情報です。

なるほど、お金に関する信用情報は他の業種でも使いたいでしょうし、健康情報は各社、取得しつつそれを保険などのサービスに紐づける動きはよく耳にします。複数社乗り入れの開発となると工程も複雑そうですが

堀口:サービス開発のアプローチについても各社の動きを整理すると三つほど私たちが留意している点があります。

1. 複数社間での情報共有が必要で、現状に大きな課題があるユースケースを探索&妄想
2. ユーザー目線でのUI/UXが、Before/Afterでどう変化するのかにこだわる
3. 実証実験で終わらないために、2年後の絵を見据えたプロジェクト全体ロードマップ

特に苦労するポイントは

堀口:やはり複数企業間で形成するコンソーシアム内での意志決定プロセスでしょうか。お客様によって事業化までの進め方や考え方はさまざまなので、1:N(中央集権型)からN:N(非中央集権型)への環境遷移に合わせて適切にスコープ設計やゴール定義を明確にして、プロジェクトを進めるようにしてますね。

確かに企業間連携は乗り越えるべきハードルも多い

堀口:本番運用や実用化に向けて解決しないといけない課題は少なくなく、個人情報の管理や入力データの正確性の担保、ITシステムのいわゆる非機能要件の充足などの技術的側面など山積です。さらに前述したようなコンソーシアム内における企業内外での調整、法律などの制度面など事業的側面もあり、関係者を巻き込みながら丁寧かつ迅速に解決していくことが大切ですね。

ブロックチェーンによる企業間のデータ共有というと、まだまだ新しい概念だと思うのですが、現状のトラクションは

堀口:現在、SaaSモデルで提供しているのですが、今年3月時点で利用は17社に拡大していて、特に2018年後半から管理主体の異なる環境間でのデータ連携とそのデータ流通に対するお問い合わせが加速度的に増えています。

想定している市場のインパクトはどのように考えてますか

堀口:中心になるのはやはり日本の企業のIT投資で、2019年が約27兆円です。成長傾向であり、現時点で55%の企業がクラウドに移行しています。

その中でブロックチェーンを活用したデータ流通の市場が生まれると

堀口:現時点で日本市場におけるブロックチェーンの投資はごくわずかです。しかし前述の通り、各社が自社で管理している技術やITシステム、データだけで、既存事業の成長や新規事業を産み出すことについては限界がある状況です。

この共創の文脈で、企業間でのデータ連携をブロックチェーン・スマートコントラクトが担うことになれば、将来的には企業のIT投資の数%を占めることも十分可能性としてあると考えてます。国内だけでも1兆円以上の市場が生まれるのではないでしょうか。

ありがとうございました。次の方にバトンをお渡しします。(取材・編集:増渕大志

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現役の救命医師が救うのは「医療現場の非効率」ーービジネス効率化の旗手たち/TXP Medical代表取締役・園生智弘氏 #ms4su

本稿は日本マイクロソフトが運営するスタートアップインキュベーションプログラム「Microsoft for Startups」による寄稿転載。同プログラムでは参加を希望するスタートアップを随時募集している 前回からの続き。本稿では、エンタープライズSaaSやインダストリークラウドに注目したサービスを展開するスタートアップにインタビューし、どのような生産性向上の取り組みがあるのか、その課題も含めてお伝…

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本稿は日本マイクロソフトが運営するスタートアップインキュベーションプログラム「Microsoft for Startups」による寄稿転載。同プログラムでは参加を希望するスタートアップを随時募集している

前回からの続き。本稿では、エンタープライズSaaSやインダストリークラウドに注目したサービスを展開するスタートアップにインタビューし、どのような生産性向上の取り組みがあるのか、その課題も含めてお伝えしています。

法務ドキュメント作業の非効率を解決している「Hubble」に続く今回の現場は「医療」。救急外来(ER)や集中治療室(ICU)の業務支援「NEXT Stage ER」を手がけるTXP Medical代表取締役、園生智弘氏にお話を伺います(太字の質問は全て筆者。回答は園生氏)。

NEXT Stage ERが解決していること:独自の言語処理エンジンを搭載したER・救急外来向けデータプラットフォーム。サービス提供を通じて集まるデータベースを基盤に、医療テキスト解析技術や医療現場でのAI開発、音声関連技術活用を実現する。ERを起点に病院カルテ、救急隊、PHR、クリニックカルテまで広がる医療データプラットフォームの構築を目指す

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NEXT Stage ER:TXP Medical ウェブサイトから

園生さん、現役のお医者さんなんですか

園生:今も週に数回ですが現場に行ってますよ(笑。

インダストリークラウドの話題で「事業現場のスペシャリストをどう引き抜くか」はスタートアップの話題のひとつですが、創業者が現役であれば強いですね(笑。手がけられているサービスは電子カルテの「入力補助サービス」ということですが、具体的にどのようなものですか

園生:2018年2月にリリースしたERデータシステムでERに特化した「患者情報記録管理システム」になります。多忙な臨床現場における効率的な患者情報記録や、スタッフ間の情報共有、研究用データ蓄積を同時に実現するものです。大学病院を含む救命センタークラスの大病院で12箇所の導入が内定、6箇所での稼働が実現しています。

どれぐらいの業務効率が図れるとか数字はありますか

園生:日立総合病院から私自身が発信したアンケート調査の論文では、従来両立しえなかった「カルテを短時間で書き上げること」と「臨床データ収集の効率を上げること」が本システムを用いることで両立できたとの声が8〜9割を占めていました。

命の現場だけに、データを集めるという目的が現場の業務を妨げるようではまずい、と

園生:はい、私自身のペインポイントと全国の救急医のそれが一致した、ということだと思います。

そもそもどういう経緯でこのペインポイントを見つけたのでしょうか

園生:実は医療従事者の業務の50%かそれ以上は書類業務なんです。

え、長い

園生:つまり、病院における医療情報の転記や二重登録、医師や看護師の書類業務は生産性を大きく削いでいるんですね。しかし病院の基幹システムである電子カルテはどのベンダーもこの課題を現段階では解決できていません。

さらに構造的に病院ってITシステムに投資しにくいという背景もあるんです。平均利益率1%と言われる病院業界にとって基幹システム以外に追加投資する余力はごくわずかと言ってよいと思います。

電子カルテは確か2000年頃から政府方針で導入が進んでいると聞きます。効率化は難しかったんですね

園生:ITによる生産性向上が電子カルテにより実現されてこなかった、むしろ電子カルテにより書類業務が増加した日本の医療業界では「IT = 入力の手間を増やすもの」という認識も根強いぐらいです。

つまり、生産性を向上させる(働き方改革にも繋がる)IT導入のモデルを示していくこと、クラウド化を含めた電子カルテ自体の変革をも促していくことが必要なんです。

なるほど。しかし既存ベンダーも仮説検証を重ねて新たなソリューションを生み出せるポジションにいたはずでは

園生:会計計算機から派生した電子カルテには「医師が必要とする臨床情報」を構造化して蓄積するコンセプトがほぼ存在しないんです。

現場オペレーションが複雑でかつ、こういった臨床情報の意義は専門家にしか理解できないものが多いため、ITベンダーの行動原理としてこの分野に参入するのは厳しいか、システムがとてつもなく高価なものになるのではと思っています。

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NEXT Stage ERの仕組み:TXP Medical ウェブサイトから

インダストリークラウド特有の課題ですね。ところでこういう入力支援だけでなく、園生さんは医療研究についても効率化を進めようとされています

園生:二つの側面(業務効率化と研究)に注目できたのも事業の特徴だと思っています。

研究課題を個人レベルで解決(研究費を取って数名のアシスタントを雇用してデータベース化)するのではなく、医療データ周りの包括的なエコノミクスで解決できればと考えました。

カルテに情報を入力しつつ、研究データも同時に蓄積できる

園生:はい。医療現場にある程度長く立って、かつ研究やシステム開発を経験している事業人材はきわめて少なく、自身が現場・研究・開発の橋渡しをする役割で価値を発揮できるのでは、と考えたのもこのスタートアップを手がけた理由です。

ちなみにビジネス的な側面ですが、市場規模の考え方はどのようなものでしょうか

園生:急性期医療データの観点で初診領域は大変重要なものになります。かかりつけ患者の継続処方の受診データでわかることと、初回受診時の詳細なデータからわかることは質的に全く異なるんです。

ちなみに私たちのサービスが稼働している6箇所を合わせると、年間救急患者10万人超、年間救急車搬送3万超の国内最大級の施設を跨いだ詳細な救急患者データベースになっています。

ここで取れるデータに希少性があるということですね

園生:また初診料算定は年間約2.5億件(厚労省発表)で、このうち病院が5000万件程度(厚労省発表)、うち救急外来は推定で3000万件程度、救急車が600万件(総務省消防庁発表)を占めます。

救急って病院と同じぐらい患者さんやってきてるんですね

園生:実は患者さんが病院に初診来院するのは「救急受診」あるいは「紹介」がほとんどなんです。なので救急隊や地域の医療連携システムとの拡張連携を考えると、外来診療の中で救急外来の市場は大きいと考えていただいて結構です。

命を預かるシステムですが、開発にあたっての苦労は

園生:AI活用やシステムの進化スピードを担保するにはクラウド運用が必須です。一方、医療情報のGLではクラウド運用が許容されていますが、病院システムのクラウド化は複合要因で進んでいません。特に当社のクライアントである大病院では顕著です。

日本マイクロソフトさんにも協力をいただいていますが、医療現場でのクラウド活用と、クラウドをベースとした医療AIによる生産性向上をいち早く急性期医療現場に見せていきたいですね。

貴重なお話ありがとうございました。

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「メール添付のWord」根絶で契約締結を効率化ーービジネス効率化の旗手たち/Hubble代表取締役・早川晋平氏 #ms4su

本稿は日本マイクロソフトが運営するスタートアップインキュベーションプログラム「Microsoft for Startups」による寄稿転載。同プログラムでは参加を希望するスタートアップを随時募集している 新元号が発表された2019年4月1日、働き方に関しても大きな変化がありました。改正された労働基準法の施行です。時間外労働の月45時間・年360時間の厳守や、過労死ラインと言われる月間80時間を超え…

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本稿は日本マイクロソフトが運営するスタートアップインキュベーションプログラム「Microsoft for Startups」による寄稿転載。同プログラムでは参加を希望するスタートアップを随時募集している

新元号が発表された2019年4月1日、働き方に関しても大きな変化がありました。改正された労働基準法の施行です。時間外労働の月45時間・年360時間の厳守や、過労死ラインと言われる月間80時間を超えないようにする取り組みなど、順次施行が始まります。

その一方、ビジネス競争の激化は反比例するように止まりません。人間が労働できる時間は限界を迎えつつある中、生産性をさらに上げるために工夫が必要なのは明らかなのです。

そのひとつの答えが、昨今生まれているクラウド・スタートアップたちです。彼らは各業界に潜む無駄をクラウドの力とアイデアで解決しようとしています。

そこで本稿では、エンタープライズSaaSやインダストリークラウドに注目したサービスを展開するスタートアップにインタビューし、どのような生産性向上の取り組みがあるのか、その課題も含めてお伝えいたします。

初回は法務関連でドキュメント作業の非効率を解決する「Hubble」代表取締役、早川晋平氏にショートインタビューを実施します(太字の質問は全て筆者。回答は早川氏)。

Hubbleが解決していること:契約書等の法務ドキュメントのやりとりに最適化したクラウドサービス。部署内、部署間のやりとりをスムーズにして、契約書の締結までの作業を効率化してくれる。法務ドキュメントでよく利用される「Word」をメール添付等でやりとりするのではなく、Hubble上で履歴確認できるのが特徴。また、クラウドサイン・DocuSign等とAPI連携しており、Hubbleからワンクリックで電子締結サービス等の他社サービスの利用が可能にもなっている

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昨年に公開されたHubbleですが、利用企業の反応などを教えてもらってもよろしいですか

早川:いわゆる「契約書のバージョン管理システム」なんですが、法務界隈ではビジネス版のGitHubとも言っていただいております。2018年10月の公開以降、2018年内にユーザーのみなさまの声をいただき、改善を重ねた結果、今年の2月から一気に導入が進んでいる状況です。

確かに法務ドキュメントというより、Wordのメール添付でのやりとりは大変煩雑で、見落としなどのミスもありました。元々はどういうきっかけでこの課題に取り組むことになったのでしょうか

早川:契約書を締結する人なら誰でも経験する思うのですが、バージョン管理とメール等のコミュニケーションって大変ですよね。私たちの100倍苦労されているのが、弁護士や法務のみなさまです。このペインを解決するために、最初はリーガルに特化したGoogle Docsのようなものを開発しようと思っていたんです。

確かにその点は私も思いました。履歴管理や情報共有はGoogle Docsなどの既存ツールでいいんじゃないのか、と

早川:しかしですね、世の中の契約書業務は「Word」で動いてるんです。私たちはそこに逆らわず、上手く利用することにしたんです。

この辺りはインダストリークラウドなどの開発者に共通したアプローチですよね。現状の業務フローをできるだけ「変えない」。

早川:結果的にプロダクトの特性上、法務の方に使っていただければ契約書を扱う事業部やリーガルチェックを担当する顧問弁護士にも使っていただけるようになりました。

どうやって導入を進めたんですか

早川:Hubbleを利用するターゲットになる方というのは契約業務が発生する全ての企業と、弁護士業界が中心です。まず、企業の法務から導入し、徐々に事業部側に利用が広がっていくという特徴があります。

なるほど、ネットワーク効果がわかりやすいモデルですね

早川:ここで肝心なのは法務の方の高い満足度です。プロダクトはもちろんなのですが、サポートも徹底しないと、うまく広がりません。そのためには、オンボーディングを体系的に行なっていくことが大事で、そこは今、まさに研究しているところです。

利用企業のフィードバックで想定していたものと異なるものはありましたか

早川:バージョン管理も格段に楽になるのですが、それよりも契約書のやりとりが早く、そして楽になったと言っていただけることが多いです。あとクラウドサービスなのですが、いつも通りのローカル環境でWordで編集できるところに、感動していただけます(笑。

クラウドなのにローカル。確かにWordですからね…。地味だけど、ここもいつもの作業フローを変えないで済むという点で共通していますね

早川:一方で契約締結に必要な作業については、クラウドサインやDocuSignのような電子締結の利用も拡大しています。Hubbleではこれらとの連携もできることから、そこからのユーザー流入があるのもひとつの傾向ですね。

取材対応ありがとうございました。次の方にバトンをお渡しします。(取材・編集:平野武士、写真撮影:増渕大志)

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