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世界と戦える日本のテクノロジー、世界へ飛び出す日本のスタートアップ――Microsoft #InnovationDay パネルセッションから

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本稿は、4月23日に東京で開催された Microsoft Innovation Day の取材の一部である。 先月、マイクロソフト東京本社で持たせていただいたパネルで、4つのスタートアップの創業者やエグゼクティブメンバーに集まっていただいた。なるべく、他の場所では見られないトピックを取り上げようということで、THE BRIDGE のミッションの一つでもある、世界へ挑もうとする、または、世界に挑める…

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本稿は、4月23日に東京で開催された Microsoft Innovation Day の取材の一部である。

先月、マイクロソフト東京本社で持たせていただいたパネルで、4つのスタートアップの創業者やエグゼクティブメンバーに集まっていただいた。なるべく、他の場所では見られないトピックを取り上げようということで、THE BRIDGE のミッションの一つでもある、世界へ挑もうとする、または、世界に挑める可能性のあるスタートアップにスポットを当ててみることにした。

グローバルなスタートアップという言葉はよく耳にするものの、世界のどこでも通用するサービスを作り出すのはなかなか難しい。言葉や文化の違いもさることながら、市場の成熟度や社会が求めているもの(英語圏の投資家や起業家は、スタートアップの定義として、よくその社会の「pain を解決するもの」と表現している)が国によって異なるからだ。しかし、なかでも、今までに無かった概念や価値を新しく創り出すスタートアップは、グローバルな展開の可能性が高いと考えてよいのではないだろうか。

そのような思いを胸に登壇者にお声がけしたところ、お集まりいただいた方々の顔ぶれが、図らずもフィンテックかフィンテックに近いスタートアップとなった。これらのスタートアップが届ける価値は、世界の随所にニーズがあると考えられるので、ローカリゼーションの努力により、世界中の企業や消費者に受け入れられる素地があると言えるだろう。

彼らのこれまでの軌跡と今後の戦略をお聞きし、日本をグローバルなスタートアップ・ハブに育て上げていくための方法を共に考えた。

このパネルに登壇いただいた起業家は、

  • 財産ネット 荻野調氏
  • ドレミングアジア 桑原広充氏
  • ナレッジコミュニケーション 小泉裕二氏
  • Alpaca db. Inc 北山朝也氏

…の皆さんだ。

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財産ネット 荻野調氏

財産ネットが提供するアプリ「兜予報」は、経済ニュースが特定の銘柄の株価に影響を与えるかどうかを教えてくれるアプリだ。ニュースが発せられると、「兜予報」に参加するアナリストらは、そのニュースが株価に影響するかどうかを投票。ニュースが発せられてから実際に株価に影響が出ると言われる30分間に投票結果を集計し、その結果をユーザにフィードバックする。サービスがターゲットとするユーザは、株価を注意深く見守っているデイトレーダーたちだ。経験豊かなトレーダーでさえ60%程度と言われる株価に対する予測制度を、アナリストの集合知を活用することで、81%にまで引き上げることに成功している。

財産ネットは先ごろ資金調達を実施し、日本で「兜予報」のモバイルアプリがローンチしたところだが、荻野氏はサービスの海外展開の可能性について、「証券市場がああるところであれば海外展開できるので、海外のフィンテック企業や証券市場との協業可能性を模索していきたい」と語った。そのような可能性を見出すべく、彼は5月上旬にサンノゼで開催されたフィンテック・カンファレンス Finovate にも参加したようだ。

ドレミングアジア 桑原広充氏
ドレミングアジア 桑原広充氏

ドレミングアジアは、発展途上国における貧困格差を減らそうとする福岡発のスタートアップだ。貧困層にこそ生活や治安の安定のために金融サービスが必要だが、発展途上国においては金融サービスが充実しておらず、信用度の低い低所得者がローンでお金を借りる場合、貸し倒れ率が高くなる関係上、年利が100%、300%、なかには、1,600%など高利なサービスに選択肢が限られる。

ドレミングアジアでは、会社が月の給与の締め日を迎えていなくても、リアルタイムでその時点までの労働者の給料を計算できるペイロールのしくみを開発。労働者が給料を受け取る前でも、そのときまでに働いた給料分を担保にして、買い物ができるようにしたする。サンフランシスコのコワーキング・スペース Rocket Space に拠点を持つほか、難民対策のソリューションの一つとして、イギリス政府から招聘され、ロンドンのフィンテック・スタートアップが集まるコワーキング・スペース Level39 にも入居が決定している。

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ナレッジコミュニケーション 小泉裕二氏

ナレッジコミュニケーションは創業8年目の会社で、もともとは地方の塾やスクールが情報発信できる教育分野のコミュニティサイトを提供していた。サイトの性質上、受験シーズンにユーザトラフィックが上がることを経験していた同社は、Amazon Web Services が日本に上陸した2011年からこれをコミュニティサイトに導入、あわせてクラウドインテグレーション事業を開始した。

最近では、人工知能やディープラーニングなどを簡単に利用できるクラウドサービス「ナレコムAI」をローンチ。「ナレコムAI」では、機械学習のアルゴリズム選定を従来の4分の1である2週間に短縮し、従来データサイエンティストが必要だったアルゴリズム選定で、アルゴリズムとパラメータの総当たりにより選定プロセスの自動化を実現した。2016年の MUFG FinTech アクセラレータに参加しており、この約半年間の成果は8月に開催される同アクセラレータのデモデイで披露される予定なので楽しみにしたい。

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Alpaca db. Inc 北山朝也氏

Alpaca については THE BRIDGE でも何度か取り上げているが、深層学習を用いたトレーディング・プラットフォーム「Capitalico」を開発するスタートアップだ。北山氏によれば、一般的な投資トレーディングにおいて、利益を出せているトレーダーは全体の 5% 程度なのだそうだ。トレーディングに科学の力を取り入れることで、利益が出せる可能性を最大限に引き上げようというのが「Capitalico」の試み。。プログラミングのノウハウが無くても、トレーダーは自身のトレーディング・アイデアをアルゴリズム化でき、バックテストを高速処理し、将来的には、トレーディングに最適のタイミングでスマートフォンにプッシュ通知するしくみも備えるそうだ。

今回紹介した4社の中で、Alpaca は最もグローバルな展開を見せているかもしれない。もともと日本で始まった同社の事業だが、本社はすでにシリコンバレーにあり、CEO の横川毅氏と CTO の原田均氏もそこで業務に従事している。

世界に通じる〝我が社〟の強み

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財産ネットの荻野氏は、伊藤忠テクノベンチャーズやグリーのビジネス開発部門に勤務した経緯から、自らを「もともと、金融ではなくITの人」と表現。インターネットで活性化する人々の知見を、ファイナンスの世界に持ってくることに興味があったという。

ゲームなどと違い、金融の場合は、例えば、ユーザが1万人位いれば採算の合うサービスが作れる。動くお金が大きいので、そういうことが可能だ。「兜予報」ではユーザには課金していない。証券会社に送客をすることで、売上を上げるビジネスモデルだ。(荻野氏)

一方、ドレミングアジアは、勤怠管理や給与計算(ペイロール)を支援する HR システムを20年間にわたって作り続けてきたキズナジャパンからスピンオフした会社だ。キズナジャパンとの間には資本関係は無いので、純然たるスタートアップと呼んでよいだろう。ドレミングアジアのソリューションは、キズナジャパンが培った20年間に及ぶ知見がベースになっていることが強みだ。

TechCrunch Disrupt SF 2015 でドレミングアジアのプロダクトを発表したところ、タスクや工数別にリアルタイムで給与計算できるしくみを見て、アメリカの会計会社の担当者は驚きを隠せなかった。アメリカではペイロールをアウトソーシングしているケースがほとんどで、会計システムや銀行システムと連携できる点について、特に評価が高かった。(桑原氏)

ナレッジコミュニケーションは、最新技術をいち早く取り込んで咀嚼し、それを顧客が簡単に使えるようにすることが価値だと考えている。技術が速いスピードでコモディティ化していく中で、API などをいち早く開発し、それをすぐに顧客に使えるようにすることで価値をユーザに還元しているとのこと。この技術レベルや社員の意識を維持するために、ナレッジコミュニケーションの技術陣は3年ほど前から、「ナレコム AWS レシピ」という技術ブログを執筆しており、恒常的に技術を調査し、それらを整理して情報発信するという活動を心がけているそうだ。

Alpaca の北山氏は、

特に我々が手がけるサービスの業界は、パフォーマンスが数字で出てくる。(業界トップの座の)エベレストに誰が最初に登れるか、というような競争になるので、基礎力が無いと勝負にならない。

と語った。共同創業者で CTO の原田氏は、Pivotal のプロフェッショナルで PostgreSQL のメジャーコントリビューター。さらに、データベース業界で〝スピード狂〟の異名を持つ、Greenplum CTO の Luke Lonergan 氏は Arpaca のアドバイザーを務めるが、運と縁で、このような素晴らしい人材が〝出会ってしまった〟のだという。

このメンバーなら正攻法で行けそうという確信。一番スゴイところにいたら、(別のスタートアップにいた逸材が、次の仕事を探しているとき)また現場復帰したいから、といって声をかけてきてくれたりする。そのような点からも、優秀な人材を確保するには、自分たちが常に技術のエッジにいることが大切だ。(北山氏)

海外でやりたい今後の展開

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財産ネットでは、今後、中国の市場分析を念頭に中国人のアナリストが求めたいとのこと。また、年内には、海外のいずれかの国のフィンテック企業とジョイントベンチャーを立ち上げたいとしている。ターゲットとする国は、アメリカやイギリスはもとより、フランス、ドイツ、オーストラリア、中国などだ。

ドレミングアジアは、アメリカに拠点を置いた理由として、知財への投資額が大きいことと、決済事業系の会社が多いことだと説明。また、先にも書いたように、難民対策向けに事業展開すること、税制面の優遇措置、世界の四大銀行がスタートアップに近いポジショニングを取っていることから、イギリスの拠点も積極的に活用していきたい、とのことだった。

ナレッジコミュニケーションは、現在のところ、開発拠点を熊本に置いているが、将来的には海外展開も考えているとのこと。すでに、東京と熊本をつないでの業務を恒常的に行っており、エンジニアが国境を越え、場所にとらわれない働き方を実現できる日は近いかもしれない。

Alpaca は、グローバルの強みと日本の強みを、うまくかけあわせて成長していきたいと強調。グローバルでやることを前提にしていたのでシリコンバレーに本社を置くことは自然な流れだったとしながらも、敢えて東京にオフィスを残している理由として、市場の大きい日本の金融機関へのアクセスや、優秀なエンジニアが確保しやすいことを挙げた。


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グローバルとは「ローカルの集合体の総称」という表現をよく耳にする。サービスを提供するクライアントやユーザなどの市場環境のみならず、資金調達する投資家の有無、開発エンジニアのハイヤリングなど、さまざまな条件は国や場所によって異なる。それゆえ、グローバルなスタートアップを作るには、世界中のスタートアップ・シーンの知見を結集する必要があるのだ。

日々、THE BRIDGE で取り上げている数々の情報のピースが集まった時、グローバルな展望を持つスタートアップにとって、戦略を練る上での一助となれば幸いである。

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今年のMicrosoft Innovation Awardをにぎわせた、入賞7チームをご紹介 #InnovationDay

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本稿は、4月23日に東京で開催された Microsoft Innovation Day の取材の一部である。 「ソフトウェアによるイノベーション」をキーワードに、革新的なアイデアをカタチにしたソフトウェア、サービスを表彰するマイクロソフトのアワードプログラム「Microsoft Innovation Award」。これまでに、導電性インクで電子回路をプリントできる AgIC、手術室の画像閲覧操作を…

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本稿は、4月23日に東京で開催された Microsoft Innovation Day の取材の一部である。

「ソフトウェアによるイノベーション」をキーワードに、革新的なアイデアをカタチにしたソフトウェア、サービスを表彰するマイクロソフトのアワードプログラム「Microsoft Innovation Award」。これまでに、導電性インクで電子回路をプリントできる AgIC、手術室の画像閲覧操作をジェスチャーコントロールできる Opect、新世代楽器KAGURAを開発したしくみデザイン、テレビの視聴の質を測定する TVI-Identifier を開発するTVISION INSIGHTS などが受賞をしてきた。

今年は、ハードウェア、人工知能、IoT などのスタートアップ16社がファイナリストとして登壇し、人と人をつないで筋電の変化を共有できる、筑波大学/人工知能研究室の bioSync が最優秀賞/日本航空アントレプレナー賞を受賞した。審査員を務めたのは、

  • 経済産業省 新規事業調整官  石井芳明氏
  • マイクロソフト デベロッパー エバンジェリズム統括本部長  伊藤かつら氏
  • 電通 CDC 部長事業開発ディレクター 中嶋 文彦氏
  • TechCrunch Japan 編集長  西村賢氏
  • アーキタイプ プリンシパル  福井俊平氏
  • ウフル 上級執行役員 兼 IoTイノベーションセンター所長 八子知礼氏

最優秀賞および各スポンサー賞を受賞した7つのスタートアップを以下に紹介する。なお、ここに掲出したスポンサー賞以外に、ファイナリスト各チームには弥生とマイクロソフトから各社提供の賞が贈呈された。

【最優秀賞/日本航空アントレプレナー賞】bioSync by 筑波大学/人工知能研究室

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bioSync は、身体をハッキングすることで次世代のリハビリにつなげるデバイス。筋電変化を読み取るセンサーデバイスと、その信号を受け取って、電位変化として伝えるデバイスからなり、双方のデバイスをイヤホンケーブルと同等のケーブルで接続することで、身体の動きに障害がある患者の感覚的特性の理解に活用したり、健常者の筋活動の感覚を障害のある人に伝えて効果的なリハビリを実現したりする。ユースケースとしては、例えば、身体に不自由のあるパーキンソン病患者に使い易いスプーンの開発などに成功している。

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【審査員特別賞】【The BRIDGE 賞】The VOICE by Hmcomm

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Hmcomm は産総研の技術移転ベンチャーで、クラウドプラットフォームによる日本語音声エンジン「The VOICE」を開発している。長年にわたり、音声認識は開発・研究が続けられる中で、完全実用レベルまでには程遠い。一方、2010年に入りハードウェアやネットワークが著しい進化を遂げたことで音声認識の処理性能を飛躍的に向上させる素地が整い、コミュニケーション・ロボットの台頭により市場がふくらんでいる。同社は、クロストークやノイズがある場所での認識ができないなど、既存の音声認識技術の課題解決も目指している。

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【審査員特別賞】科学を加速させるAI〜クラウドを活用したライフサイエンス研究画像解析〜 by エルピクセル

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近年発表される論文の約9割には画像がつくようになっているが、一方で論文を執筆する研究者のほとんどは、画像処理を学んだことがない。エルピクセルが提供する LPixel では、小学生でも使える簡単な操作により、短時間で大量のデータを高精度に解析し、画像出力し、そのアウトアプットを論文に貼ることができる。人工知能を研究アシスタントにできるのがコンセプト。3つの特許を有しており、LPixel ImageJ Plugins はダウンロード数3万件を突破している。

【オーディエンス賞】【PR TIMES 賞】Secual by Secual

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Secual は、インターネットにつながるスマートホームセキュリティ。Wi-Fi 接続可能な人の侵入センサーとクラウドサービスを安価で提供し、ユーザはスマートフォンにより、出先にいても自宅の異常を知ることができる。2015年6月にウィルグループインキュベートファンドからシード資金を調達、2015年12月に賃貸住宅事業を展開するAMBITIONと民泊事業を展開するアドベンチャーから約6,000万円を調達、2016年3月にはインベスターズクラウドと戦略的資本提携した。

【展示オーディエンス賞】ロボットハンド/筋電義手 by メルティンMMI

電気通信大学インキュベーション施設から輩出されたスタートアップであるメルティンMMIは、ロボットハンド/筋電義手を展示した。同社は今年1月、ユーグレナSMBC日興リバネスキャピタルとグローカリンクから資金を調達、3月にはリバネス主催のリアルテックベンチャー・オブ・ザ・イヤー 2016 スタートアップ部門賞を受賞している。

【サムライインキュベート賞】KAGURA by しくみデザイン

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KAGURA は、距離認識やジェスチャー認識などをベースに、身体を動かすだけで楽器演奏が行えるプラットフォーム。Intel®RealSense™3Dを採用しており、Windows 版に続き、昨年7月には Mac 版をリリースしている。KAGURA を開発元のしくみデザインは、Intel® Perceptual Computing Challenge 2013 でグランプリを獲得

<関連記事>

【Tech in Asia 賞】Milbox Touch by WHITE

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安価なバーチャルリアリティ(VR)ゴーグルとして、スマートフォンを段ボールなどでできたケースに入れ、没入感を味わうことのできる商品がいくつか紹介されているが、これらの欠点は、スマートフォンそのものを触ることができないため、スクリーン上でのスワイプ・スクロール・タップなどの操作ができない点。Milbox Touch は微弱電流をつたえられる電極シールを開発し、その部分を指で操作することで、電流変化をスマートフォンに伝え操作が可能になる。

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このシールは特許出願しており、Google Cardboard など、他のVRゴーグル向けにも OEM 供給したい考え。現在、VR で楽しめるパックマンを開発しており、ゲームへの組み込みが可能な SDK も無償で提供する。SDK は Unity、Xamarin、iOS、Android に対応。シールのOEM供給、SDK、PacMan VR は2016年4月末のリリースを予定している。

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データで語るヘルスケアとHR:Microsoft Innovation Award 2015で語られたこれからイノベーションが起きる分野の最前線とは #BizSparkJP

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「ソフトウェアによるイノベーション」をキーワードに、革新的なアイデアをカタチにしたソフトウェア、サービスを表彰するマイクロソフトのアワードプログラム「Microsoft Innovation Award」。Microsoft Innovation Award 2015(MIA2015)の表彰式が、先日開催され、受賞者たちによるプレゼンテーションが行われ、最優秀賞、オーディエンス賞などが決定した。 …

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Licensed under CC BY-SA 2.0. Image by A Health Blog.

「ソフトウェアによるイノベーション」をキーワードに、革新的なアイデアをカタチにしたソフトウェア、サービスを表彰するマイクロソフトのアワードプログラム「Microsoft Innovation Award」。Microsoft Innovation Award 2015(MIA2015)の表彰式が、先日開催され、受賞者たちによるプレゼンテーションが行われ、最優秀賞、オーディエンス賞などが決定した。

ここでは、MIA2015の表彰イベントで、THE BRIDGE 企画でデータドリブン・スタートアップを集めたパネルディスカッションを2本行った。2本のパネルセッションには、THE BRIDGEの池田将がモデレートを行った。

パネル1:データの力で、ヘルスケア・アプリやプラットフォームはどう変わるか?

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右から、Microsoft砂金信一郎氏、Skype映像にてHealint CEO Francois Cadiou氏、Noom Japan 宜保陽子氏、FiNC 代表取締役社長CEO 溝口勇児氏

ヘルスケア・スタートアップは、ビッグデータをどのように活用するのか?トークには、FiNC 代表取締役社長CEO 溝口勇児氏、Noom Japan 代表 宜保陽子氏、シンガポールからSkypeにてHealint CEO Francois Cadiou 氏が登壇した。

Healintは、片頭痛に悩む人々から記録データを集めるモバイルアプリ「頭痛ろぐ」を開発。片頭痛の症状を記録することで、医者に対して症状を細かく報告することができる。Healintはユーザから集積したデータをもとにビックデータ解析を行い、その情報を製薬会社や研究機関に販売・提供することで新薬開発や医療向上に役立ててもらう。日本でも人気のアプリで、「精神神経系はなかなか把握しづらいものだからこそ、日々の管理と記録をもとに、医者に行く前に適切な情報を集め、その情報をもとに最適な治療方法を見出すことべきだ」とCEOのCadiou氏は語る。

FiNCは、モバイルヘルスのテクノロジーベンチャーで、常勤で医師や薬剤師、インストラクターなどの予防領域に携わる人材を抱えている。最近では、ヘルスヘアのニュースアプリ「WellnessPost」をリリースするなど、適切な情報発信を心がけている。また、栄養士やトレーナーなどの予防医療のクラウドソーシングなど、専門家のリソースを活かすプラットフォームづくりを行っている。

NY発のテクノロジーベンチャーのNoomは、消費者やエンタープライズ向けに予防医療のソリューションを提供する会社で、2008年と創業は早い。最近では、スマートAIによるパーソナルコーチ「Noom Coach」の開発や​主治医やトレーナーが、アプリに蓄積される食事や運動の履歴をもとに患者の状況を的確に把握し、適切な指導を行う「Noom Health」によって、低コストで精度の高いカウンセリングを、遠隔で多数の患者へのケアを行っている。

ヘルスケアのデータ活用はこれからが本番

まずはじめに、なぜそのビジネスを始めたか、という議題から話は進んだ。HealintのCadiou氏は自身の臨床開発の経験から、紙からウェブやセンサーに移行することでさまざまな展開ができると見据えた。そこで、シンガポールを拠点に研究開発を進め、データサイエンティストとプログラマーをベースに取り組んだという。

現在、世界各地でヘルスケアベンチャーが誕生している。そうした動きについてFiNC溝口氏は、「ヘルスケアは世界共有の悩み。だからこそ、グローバルに展開しやすい市場」と語る。Noomは、NYでヘルスケアに特化したアクセラレータを通じて事業を成長させた経験がある。宜保氏は「ヘルスケアは業界全体として参入障壁が高く成長も難しい。だからこそ、大企業とデジタルヘルスケアを結びつけるアクセラレータの存在の意義は大きく、Noomもさまざまな医療機関と連携を図ることができた」と語り、エンタープライズ向けにサービスを提供し始めたことによって事業も大きく成長したという。ヘルスケアという分野自体も、いままさにイノベーションを生み出そうとする動きが起きているとし、世界的にみてもヘルスケア市場は注目の市場と言えるだろう。

三社とも、ユーザのヘルスケアに対するデータをもとにさまざまな分析を行い、サービス開発に活かしている。こうした集まったビックデータをどう有効活用するかが求められる。しかし、まだまだ集まっているデータはヘルスケアデータとしては少なく、保険会社や患者へのデータ提供も始まったばかりと宜保氏は指摘。データをもとに保険会社に対してフィードバックをするといった事業モデルもこれから開拓されていくものと言えるだろう。

溝口氏は「実証実験のオファーも多く、自治体と取り組みを始めた」など行政なども関心を寄せているという。「日本では始まったばかりでまだまだデータやエビデンスも少ない。ユーザが許諾してくれるなら、データ活用をオープンにして、利活用する仕組みづくりがほしい」とも語った。「生体情報や位置情報、行動履歴などと通信、パーソナルデータをもとに、一人ひとりに最適な医療サービスが提供できる時代がくるかもしれない。多くの人を幸せにするためのデータ活用をこれからも模索してきたい」

トークセッションに参加したMicrosoftの砂金氏は「これまでMicrosoftはゲームやエンターテインメントとのつながりが多かったが、Kinectが登場して医療分野などの人たちから要望が増えた。つまり、テクノロジーによる可能性にそうした人たちが気づいた、と言えるかもしれません。現在、力を入れているのはメディカルやセキュリティ。クラウドを通じてさまざまなデータを活用した新しいサービス開発づくり、Microsoftと組んでやってみたいと考えるスタートアップは常に募集している」と語った。

宜保氏も、ヘルスケアの市場自体はまだまだアーリーステージと指摘。Microsoftなどと企業とコラボしながら、エンタープライズ向けのチャネルを開拓することによって、新たな道が開かれるのでは、と語った。そうしたさまざまなデータ活用やエンタープライズ向けを提供した先に、「健康に関して、心配しない社会を目指す。自分で身体を理解し、最適なコントロールができる環境にしていくことがヘルスケアの目的」とCadiou氏はヘルスケアの未来についてコメントした。

パネル2:仕事を探す時代から自分を見つけてもらう時代へ、データドリブン・スタートアップが変える就職・転職活動の最前線

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右から、Microsoft砂金信一郎氏、grooves 代表取締役 池見幸浩氏、アトラエ 取締役兼エンジニア 岡利幸氏。

個人が持つスキルやキャリアをデータ化し、それを雇用主のニーズとマッチすることで、就職先や転職先を提案するデータドリブンなハイヤリング・プラットフォームについて、grooves 代表取締役 池見幸浩氏、アトラエ 取締役兼エンジニア 岡利幸氏が登壇した。

アトラエは、これまでに求人サイトのGreenなどを運営。最近では、ビッグデータ分析のブレインパッドと協働で人工知能とビッグデータ分析を活用した人材マイニングサービス「TalentBase」をローンチした。これは、これまでのビジネスプロフィールに基づくレジュメではなく、データ解析によって人間関係をもとにしたレファレンスデータを作成するものだ。人とのつながりや互いの評価などをもとに企業とのより良いマッチングを目指す。

groovesは、エンジニアのためのポートフォリオサイトforkwellや、3500社の大企業含めた求人企業のマッチングを行うCrowdAgentを運営している。16000以上もの紹介事業者をネットワーク化し、全国の求人情報のポータルを目指している。また、最近では人材採用領域における人工知能やビックデータ解析技術の活用の研究を行う「grooves HRTech 研究所」を設立。研究所のプリンシパルには、コンピテンシーや人材育成に関する国際標準化(ISO)に携わってきた、HR-XML 分野の第一人者である平田謙次氏が就任している。

HR市場自体が、いままさに大きな変化を求められている

求職者と求人のマッチングは、企業においては永遠のテーマと言えるが、そこにデータを用いてAIを活用したマッチングという分野が盛り上がってきた。それぞれのサービス開発の理由について話を伺った。

岡氏は、それまでの人材紹介はアナログで、そこから成功報酬型求人メディアが誕生しオンラインへと移行したが、それでも多くの人材ビジネスにおいて肝といえる求人データがオープンになっていなかったことが問題だと指摘。「人材のタレントデータを隠し、そのデータを価値として商品にしながら求人につなげるビジネスが隆盛だったが、現在は実名をベースにしたSNSも一般的に使われており、名前を検索すればすぐに出てくるようになっている。人を仲介するのに、隠す意味がなくなってきている。だからこそ、オープンなビジネスマンのマッチングが必要では」と考えたという。

池見氏は、人材ビジネス市場自体が国内で7兆円、世界で見ると44兆円という大きな市場にもかかわらず、戦前からのビジネス構造が変わっていないことを指摘。テクノロジー企業として、日本発でHR分野を拓くサービスを作りたいと考え起業したという。そのなかでも、企業と人とのマッチングの多くが「たまたま」だと指摘。結婚や恋愛のような人との出会いと同じく、セレンディピティによるマッチングが多いのではと仮説した。「ビックデータのなかから最適なマッチングも良いが、物語のあるセレンディピティのあるマッチングを提案したい」

また、池見氏はHR-XMLに日本が導入しなかったことが、求職市場に大きな影響を与えたと指摘。アメリカでは、求人媒体よりもクローラー型の求人サービスが注目されており、その理由が求人情報の共通化を図るHR-XMLの普及が進んでいるからだという。HR-XMLによって求人媒体や企業サイトの求人情報で扱われる求人票項目(=Job Description)が統一化されているため、オートメーション化やデータを通じたマッチング、パーソナライズ化した求人情報がレコメンドされる、などがあるという。しかし、日本はどの共通化を採択せず、独自の路線を走ったことから現在のような人的リソースを活用した求人マッチングが広がったのだ。こうしたことから、海外の優秀な人材を日本に集めることも、逆に日本にいる優秀な人材が世界に出て行く機会を損なっているのだという。「日本において新しいJob Descriotionを実現していきたい」とコメントした。

では、これまで人間が行ってきたことが機械にリプレイスされるのか、というと、岡氏は人工知能でキャリアコンサルタントができるとは思っていない、と語る。岡氏は、TalentBaseを通じて人と企業とのマッチングよりも、その企業の内部にいる人と人とがつながる場を作りたいとし、人と人との関係性を再構築することで、これまでの年収や地位のようなステータス以外で職場を選ぶ選択肢ができるのでは、と考えているという。そこには、データだけではない人と人との関係という、ある種の非合理性が社会においてあるからこそ、という考えが岡氏にはある。

砂金氏も、Microsoftに在職している中で、「求人をしても、同じベンダーからは同じ属性の人しか集まらない。企業自体が変革を求めるなか、それまでリーチしてきて人たちとは違った層にリーチするための人材とマッチングできる場をどう作るか、まさに現代に企業が抱える課題」とコメント。ヘルスケアと同じく、世界の企業が抱える課題だからこそ、グローバル企業のうまくいくことで、グローバルの事例を生み、サービス自体を世界に展開できる可能性を秘めていると語った。

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革新的なアイデアとプロダクトでイノベーションを創りだす:「Microsoft Innovation Award 2015」を授賞した13チーム #BizSparkJP

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「ソフトウェアによるイノベーション」をキーワードに、革新的なアイデアをカタチにしたソフトウェア、サービスを表彰するマイクロソフトのアワードプログラム「Microsoft Innovation Award」。これまでにも、導電性インクで電子回路をプリントできる AgIC、手術室の画像閲覧操作をジェスチャーコントロールできる Opect、新世代楽器KAGURAを開発したしくみデザインなどが受賞をしてき…

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「ソフトウェアによるイノベーション」をキーワードに、革新的なアイデアをカタチにしたソフトウェア、サービスを表彰するマイクロソフトのアワードプログラム「Microsoft Innovation Award」。これまでにも、導電性インクで電子回路をプリントできる AgIC、手術室の画像閲覧操作をジェスチャーコントロールできる Opect、新世代楽器KAGURAを開発したしくみデザインなどが受賞をしてきた。

そんなMicrosoft Innovation Award 2015(MIA2015)の表彰式が、先日開催され、受賞者たちによるプレゼンテーションが行われた。

今回のMIA2015では、優秀賞として7社がエントリーされ、そのなかから最優秀賞が選ばれる。また、おしくも優秀賞には選ばれなかったが、テクノロジーの観点から斬新なアイデアをもとにサービスを開発したチームを表彰する「テクノロジーエッジ賞」が急遽作られ、6社がテクノロジーエッジ賞に選ばれた。イベント会場には、会場の席数から溢れるほどの参加者が集まり、そのプレゼンテーションに魅入っていた。

ここでは、テクノロジーエッジ賞、優秀賞を受賞した各チームの紹介を行う。審査員による最優秀賞1社と、オーディエンスから最も支持されたオーディエンス賞1社、それぞれが授与される。

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オーディエンス賞は、動画やウェブを高速化するMistCDN/MistPrefetchを開発するMistTechnologies、最優秀賞はテレビの視聴の質を測定するTVI-Identifierを開発するTVISION INSIGHTSが授賞した。

テクノロジーを武器に斬新なアイデアを形に:テクノロジーエッジ賞に選ばれた6チーム

no new folk studio:IoTによるパフォーマンスシューズOrphe

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IoT×アートを軸に、光と音と動きをシームレスに変換するスマートシューズ「Orphe」を開発している「no new folk studio」。「Orphe」は、スマートフォンやタブレットにBluetoothで接続し、様々なアプリケーションと連携しながら運動に応じて制御したりスマホで色を切り替えたりできる靴だ。ダンスと連動したモーションに同期した映像を切替たりなど、パフォーマーの動きを通じて照明や楽器などさまざまな用途で使用することができる。Orphe Cloudでは、クラウドを利用したユーザデータのシェアできるようにし、今後は、オープンソースで誰でもアプリを開発できるようにしたいという。ファッション、スポーツ、VR、ヘルスケアなどさまざまな場面に向けたアプリを展開し、コミュニティを拡大していく

CFlat:ARプラットフォームのFigmy

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Figmyは、3Dフィギアをマチに持ち出すARプラットフォームだ。カメラを通して、等身大のキャラクターをARで表現し、キャラクターと並んで写真撮影などを行うことができる。また、キャラクターはキャラクターホルダーと連携し自由に切り替えをすることができる。さらに、キャラクターを自由にカスタマイズによって3Dフィギアの新しい形を模索する。今後は、3Dプリンターへの展開によって3Dとして印刷可能なものにしたり、ビューワーとしての需要などがある。HoloLensを用いることで、アニメ『電脳コイル』の世界を実世界に実装できる可能性があるかもしれない。

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jThird:HTML5共創プラットフォームjThird

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VRやARのコンテンツのプラットフォームのjThrdは、Web3D開発を誰でもできるプラットフォームだ。描画エンジンをオープンソースにし、Web3Dプログラミングをシンプルにする。これによって、Oculus Rift 用のコードも従来よりも短縮した行数でできるという。また、3Dで踊っているキャラクターのその瞬間の様子を3Dプリンター用にデータ変換することができるなど、3Dに特化したプラットフォームと言える。3D表現における新たなプラットフォームとなることを目指している。

Twinface開発チーム:手術の表情をKinectで確認できるTwinface

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顎変形症という病気の治療を行っている先生らによるチームだ。顎変形症とは、顎の骨の形や大きさの異常や位置バランスの崩れが原因によって、顔の見た目やかみ合わせによって上手く噛めなかったり、上手く話せない、といった症状がある。そうした患者たちの治療のために、治療後の顔がどのように変わるのかを、事前に確認することが一般的だが、それまではシミュレーションを通じて無表情な顔が表現されていた。そこで、Kinectを通じて本人の顔の表情を読み取り、表情シミュレーションによって患者の手術後の顔を笑顔な表情で患者に共有できるという。

今後は、CTを使わずに従来のシミュレーションよりも導入コストを抑えるためのコスト削減の方法を模索したり、笑顔だけではないさまざまな顔の動きのモデル化、精度の検証や向上、カラー化、歯や目の組込、そしてKinectの医療用機器としての認証を取るための活動をしていくという。

Mist Technologies:動画やウェブを高速化するMistCDN/MistPrefetch

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通信によるサーバー負荷を減らすために、同じウェブサイトや動画を視聴しているユーザ同士をP2Pネットワークでつなぎ、サーバー負荷を90%以上削減するMistCDN。今回は、さらにユーザが次にどのウェブページを開くかを先読みし、表示速度を高速化するMistPrefetchを開発している。MistPrefetchは、統計的予測アルゴリズムによってアクセスログを独自に取得し、予測アルゴリズムを動的に変化させながら、ディスプレイに表示されているリンクに絞り込み、マウスの進行方向、速度、加速度などからクリックするリンクを算出するなどのユーザ行動をモニタリングし、先読み予測を実現しているという。

E2D3.org:エクセルにグラフ描画表現力を追加するE2D3

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データビジュアライゼーションや、データジャーナリズムなどの手法が話題を呼ぶと同時に、いままで、データの可視化はプログラムできる人しかできなかった。そこで、誰もが使うエクセル上で、データ可視化ができるツールを開発した。E2D3は、オープンソースプロジェクトとして展開され、数多くのエンジニアやデザイナーが関わりながら開発されている。また、E2D3上で作られたデータを共有することで、データの可視化の助けとするなど、すべての人がデータ可視化ができる世界を目指している。

新たなイノベーションを目指して:優秀賞に選ばれた7チーム

情報基盤開発:紙のデータ集計を効率化するAltPaper

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画像認識とデータベースを得意とする情報基盤開発は、昨今のビックデータの時代のなかで、データ生成という市場に発展の余地があると考えた。そこで、データ入力支援ソフトAltPaperを開発。紙に書かれた情報を自動で入力、集計する。従来のOCR製品に比べて安価に導入でき、紙で集めた情報をすべてデータ化することができる。2015年12月からはストレスチェックキットが義務化される。グローバル企業においては、情報漏洩の観点から、モバイルではなく紙などを通じて情報共有や入力を行うところも多い。紙というメディアの特性を活かした新たなデータ生成分野で道を拓いていくという。

TVISION INSIGHTS:テレビ視聴の質を捉えるTVI-Idenfifier

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テレビ番組のの面白さを測定する一つの方法に、視聴率がある。しかし、視聴率はいわば視聴の量であり、ユーザがどのように視聴しているか、という視聴の質を図ることはできない。しかし、番組コンテンツを考えたときには、テレビの見られ方などが重要だ。そこで、TVISION INSIGHTSが開発したTVI-Idenfifierは、Kinectと人体認識技術を用いたアルゴリズムによって、ユーザがどれだけテレビに夢中になって視聴しているか、などの視聴の質を測る。視聴の態勢を理解することで、それにあわせたテレビ番組コンテンツづくりが可能だ。今後は、データにもとづいたレコメンドやユーザ心理をリアルタイムで理解した最適なコンテンツ提供などが可能だ。

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ウサギィ:ディープラーニングに依存しない判定器、画像解析できるマン

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画像解析できるマンは、スマホで撮った写真をアップロードし、ごはんはどうかを瞬時に判定する。判定には、10万点以上の特徴から正しくない例の特徴を抽出し、機械学習をさせる。他にも、画像解析技術をもとに、不適切な写真の投稿を事前に禁止したり、工場での不良品の発見、画像に写っている企業商品の識別しウェブサイトへの誘導などが可能だ。画像解析、音声認識、文章認識、最適化の研究も展開しており、ポジティブな文章か、ネガティブな文章か、書いた人の年齢や性別の判定も分かるという。

Brand Pit:画像認識型SNS分析ツールBrand Pit Analytics

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現在のSNSには、毎日18億の画像があるが、80%以上がハッシュタグがついておらず、マーケティングとして活用できないでいる。そこで、Brand Pitは画像をスキャンし、その情報を抽出。ブランドがどのように消費者と関わっているかを分析する。これによってターゲットセグメントや消費者行動の把握、市場拡大時の市場調査、キャンペーンやプロダクトローンチ時の効果測定などを、従来のテキストベースのSNS解析ではなく、画像ベースのSNS解析を行うことができる。また、一般ユーザの投稿画像の認識に特化しているため、画質が撮影技術の高くない画像にも対応。ユーザが意図せずに写っている製品やロゴも認識でき、よりブランドとユーザとの関わりを分析することができる。

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SPLYZA:残像動画を自動で生成するClipstro

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スポーツ番組などでよく見かける残像動画を、30秒動画をiPhoneで撮影するだけで自動で生成するClipstro。三脚も編集も不要だ。人の動きの軌道やゴルフのスイングなどの弾道も撮影できる。すでに20ヵ国でリリースされている。7月にはAndroid版もリリースする。また、企業のプロモーションにも使われるなど、スポーツ用途だけでなく、YouTubeやInstagram上でのおもしろ動画作成といったエンターテインメントの分野や、製造業の機械操作、リハビリなどの分野にも応用できるのではという。

サイトセンシング:属性や反応を自動計測するFG-サイネージ

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産総研ベンチャーのサイトセンシングは、映像から顔検出を行い、視聴者属性や反応を自動計測するFG-サイネージを開発した。FG-サイネージは、高速演算によって一度に20人を超える顔検出を行い、90%以上の確率で年齢などを把握。単なる笑顔検出だけでなく、笑顔の度合いも提示する。また、実年齢ではなく見た目年齢を測定し、購買パターンを判定する。デジタルサイネージにカメラが一体となったものを開発し、コンテンツ視聴状況や注目度を自動計測するためのサービスを開発していく。

フリックテック:正確渋滞分析を行う、渋滞ナビ

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実際に自動車が走行した位置や車速などの情報を用いて生成されたプローブ情報をもとに、正確な渋滞分析を行う渋滞ナビ。ユーザ参加型の渋滞マップで、ユーザそれぞれの方向位置などをマッシュアップし、渋滞情報を把握することができ、渋滞を知り、回避し、将来を予測することができる。プローブ情報の投稿や共有、渋滞解析からさまざまなルート検索が可能。すでに300万ダウンロードされている。

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MIA2015プレビュー:6/25のイベントでは、今を駆けるデータドリブン・スタートアップによるパネルを開催

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既報の通り、6/25(木)に開催される Microsoft Innovation Award 2015(MIA2015)の表彰イベントでは、THE BRIDGE の企画により、データドリブン・スタートアップを集めたパネル・ディスカッションを2本お届けする予定だ。 このイベントへの一般参加は既に満席となっており、あいにく、これから申し込んでもらうことはできないが、当日の模様は THE BRIDGE …

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Licensed under CC BY-SA 2.0. Image by A Health Blog.

既報の通り、6/25(木)に開催される Microsoft Innovation Award 2015(MIA2015)の表彰イベントでは、THE BRIDGE の企画により、データドリブン・スタートアップを集めたパネル・ディスカッションを2本お届けする予定だ。

このイベントへの一般参加は既に満席となっており、あいにく、これから申し込んでもらうことはできないが、当日の模様は THE BRIDGE でカバーする予定だ。パネル・ディスカッションのテーマとともに、登壇してくれるスタートアップの皆さんの顔ぶれをご紹介したい。

パネル1: データの力で、ヘルスケア・アプリやプラットフォームはどう変わるか?

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ウエアラブル・デバイスやクラウドを使った多くのプラットフォームが誕生する中で、ヘルスケアの領域は、これまでの健康維持を目的としたものから、予防医療といった人間にとってより必要不可欠なサービスを提供するものに変化しつつあります。

ヘルスケア・スタートアップは、ビッグデータをどのように活用するのか?ビジネスモデルはどのように変化するのか? 人々の生活は変化していくのか?

ヘルスケア特化型アクセラレータの事例なども交えながら、ヘルスケア・スタートアップの未来を考えます。

<登壇者(社名アルファベット順)>

  • FiNC 代表取締役社長CEO 溝口勇児氏
  • Healint CEO Francois Cadiou 氏
  • Noom Japan 代表 宜保陽子氏

<関連記事>

パネル2: 仕事を探す時代から自分を見つけてもらう時代へ、データドリブン・スタートアップが変える就職・転職活動の最前線

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勤務条件を入力して仕事を探していた時代は終わりました。個人が持つスキルやキャリアをデータ化し、それを雇用主のニーズとマッチすることで、就職先や転職先を提案する、データドリブンなハイヤリング・プラットフォームが増えています。

元来、これらのサービスは、転職斡旋サービス会社などが人の手でマッチングさせていたものですが、ビッグデータの実用化により、人工知能が自分に最適な仕事を見つけてきてくれるようになりつつあります。

就職・転職市場をディスラプトすべく、最新技術を使って、この分野に果敢にチャレンジしようとするスタートアップを招き、雇用や就職・転職がデータの力でどのように変わっていくのかを占います。

<登壇者(社名アルファベット順)>

  • アトラエ 取締役兼エンジニア 岡利幸氏
  • grooves 代表取締役 池見幸浩氏

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MIA2015プレビュー:6/25のイベントでは受賞チームのピッチ&表彰のほか、今を駆けるデータドリブン・スタートアップによるパネルを開催

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今月25日、マイクロソフト東京本社で Microsoft Innovation Award 2015(MIA2015)の表彰式が開催される。募集されていたエントリの受付は先週締め切られ、これからマイクロソフト社内で厳正な審査が行われる運びだ。 MIA2015 で最優秀賞の座に輝くと、さまざまな副賞のほか、Microsoft Ventures London を訪問できるマイレージが日本航空から贈呈さ…

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今月25日、マイクロソフト東京本社で Microsoft Innovation Award 2015(MIA2015)の表彰式が開催される。募集されていたエントリの受付は先週締め切られ、これからマイクロソフト社内で厳正な審査が行われる運びだ。

MIA2015 で最優秀賞の座に輝くと、さまざまな副賞のほか、Microsoft Ventures London を訪問できるマイレージが日本航空から贈呈される。Microsoft Ventures が世界7都市で展開するアクセラレータのうち、IoT に特化したロンドンの拠点では FOVE、セキュリティに特化したテルアビブの拠点では Capy など、日本のスタートアップもこれまでにプロダクトのブラッシュアップを行っている。世界のスタートアップの息吹が感じられる場所で、サービスのグロースに向けた思いを新たにしてみるには、良い機会と言えるだろう。

25日夜に開催される表彰式イベントでは、MIA 最優秀賞(1チーム)や優秀賞(3~5チーム)の受賞チームが披露表彰されるほか、THE BRIDGE が協力させていただき、2015年上半期を賑わせたデータドリブン・スタートアップを招いて、パネル・ディスカッションを2本立てでお送りする予定だ。

当日のアジェンダは次の通り。

  • 17:30 受付開始
  • 18:00-18:10 オープニング
  • 18:10-19:00 基調講演・最新の技術動向
  • 19:00-20:00 Microsoft Innovation Award 2015 受賞企業 ピッチ
  • 20:00-21:00 パネル・ディスカッション (Powered by THE BRIDGE)
  • パネル1: データの力で、ヘルスケア・アプリやプラットフォームはどう変わるか?(仮題)

ウエアラブル・デバイスやクラウドを使った多くのプラットフォームが誕生する中で、
ヘルスケアの領域は、これまでの健康維持を目的としたものから、予防医療といった
人間にとってより必要不可欠なサービスを提供するものに変化しつつあります。

ヘルスケア・スタートアップは、ビッグデータをどのように活用するのか?ビジネスモデルはどのように変化するのか? 人々の生活は変化していくのか?

ヘルスケア特化型アクセラレータの事例なども交えながら、ヘルスケア・スタートアップの未来を考えます。

  • パネル2: 仕事を探す時代から自分を見つけてもらう時代へ、データドリブン・スタートアップが変える就職・転職活動の最前線(仮題)

勤務条件を入力して仕事を探していた時代は終わりました。個人が持つスキルやキャリアをデータ化し、それを雇用主のニーズとマッチすることで、就職先や転職先を提案する、データドリブンなハイヤリング・プラットフォームが増えています。

元来、これらのサービスは、転職斡旋サービス会社などが人の手でマッチングさせていたものですが、ビッグデータの実用化により、人工知能が自分に最適な仕事を見つけてきてくれるようになりつつあります。

就職・転職市場をディスラプトすべく、最新技術を使って、この分野に果敢にチャレンジしようとするスタートアップを招き、雇用や就職・転職がデータの力でどのように変わっていくのかを占います。

※ 登壇スタートアップは調整中です。近日発表予定。ご期待ください。

  • 21:00- 表彰式、懇親会

【主催】 日本マイクロソフト
【協力】 B Dash Ventures、THE BRIDGE、デジタルヘルスコネクト、Eight- Your business network、freee、ごちくる、GUGEN、ISAO、日本航空、サムライインキュベート、SITE PUBLIS(ABC順)

マイクロソフトでは現在、このイベントへの一般参加を受け付けている。参加費は無料だ。

MIA2015 の受賞チームは、どのような顔ぶれになるだろうか。パネル・ディスカッションとあわせ、参加を希望する読者は、このページから申し込んでほしい。定員になり次第、応募は締め切られる。

※ アジェンダの内容は予告なく変更される場合があります。予めご了承ください。

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ロンドンのインド人街 Whitechappel にある、Microsoft Ventures London の建物の一つ。Fintech 専門の Barclays Accelerator、コワーキング・スペースの Central Working と同居している。1Fはカフェ。

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〝革新的なアイデアでグロースを目指すチームよ、来たれ〟〜マイクロソフトが「Microsoft Innovation Award 2015」への参加チームを募集開始

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「ソフトウェアによるイノベーション」をキーワードに、革新的なアイデアをカタチにしたソフトウェア、サービスを表彰するマイクロソフトのアワードプログラム「Microsoft Innovation Award」。これまでに、導電性インクで電子回路をプリントできる AgIC、手術室の画像閲覧操作をジェスチャーコントロールできる Opect、新世代楽器 KAGURA で知られる しくみデザイン など、世を賑…

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「ソフトウェアによるイノベーション」をキーワードに、革新的なアイデアをカタチにしたソフトウェア、サービスを表彰するマイクロソフトのアワードプログラム「Microsoft Innovation Award」。これまでに、導電性インクで電子回路をプリントできる AgIC、手術室の画像閲覧操作をジェスチャーコントロールできる Opect、新世代楽器 KAGURA で知られる しくみデザイン など、世を賑わす日本のチームやテクノロジーが最優秀賞や優秀賞を獲得してきた。

今月に入って、マイクロソフトは Microsoft Innovation Award 2015 へ応募エントリを開始している。応募資格はスタートアップに限定されず、個人事業主や学術機関、一般企業の新規事業部門なども対象だ。審査の結果、ファイナリストに選ばれたチームは、6月25日に開催される表彰式に招かれ、最優秀賞(1チーム)には賞金50万円、優秀賞(3〜5チームを予定)には賞金5万円が授与される。

また副賞として、最優秀賞を受賞した企業には、ロンドンや北京をはじめ世界各地の Microsoft Ventures Accelerator 訪問に利用可能なマイレージ(提供:日本航空)、freee よりクラウド会計ソフト「freee」の20万円分のライセンス(提供:freee)、さらに全受賞企業には、名刺管理アプリ「Eight」のプレミアムクーポンと Eight VIP スキャンが提供される(提供:Sansan)。

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昨年は、東京・品川のマイクロソフト本社を飛び出し、都内のホテルでの2日間の開催(Microsoft Ventures Meetup)だったが、今回は会場を本社内に戻し、平日の夜(6月25日)にイベントを開催する。原点回帰する理由について、Microsoft Innovation Award 2015 のプロデューサーを務める砂金信一郎氏(日本マイクロソフト デベロッパー エバンジェリズム統括本部 オーディエンス テクニカル エバンジェリズム部 部長)は次のように説明してくれた。

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砂金信一郎氏(昨年の Microsoft Ventures Meetup から)

このイベントには、一般の方々にも参加いただけるのはもちろんなのですが、一方、マイクロソフトの社内でエンタープライズ商品を開発したり販売したりしている社員に、「こんな技術やスタートアップがあるんだ」ということを気づいてもらえる機会として捉えています。

たとえば、うちの営業に「このスタートアップをあのクライアントに紹介できるかも」とか、披露された技術を既存のマイクロソフトのソリューションとインテグレートして提案を考えてもらうとか、そういう機会にしたい。(砂金氏)

マイクロソフトにはベンチャーキャピタルの機能を持つ Microsoft Ventures を始め、世界6拠点のアクセラレータなど、スタートアップに投資や育成支援を行う環境が整っているが、スタートアップもビジネスである以上、顧客が獲得し、サービスを利用してもらい、ユーザから対価をいただくことが何より肝要。マイクロソフトが社内に持つアセットやリソースを最大限に活用し、スタートアップを稼げるビジネスに育て上げることが目標というわけだ。

なお、いつもの通り、応募対象となるテクノロジーやサービスは、マイクロソフトの開発基盤や環境を使ったものには限定されないので、MVP(実用最小限商品)やプロトタイプが完成していて、技術・商品開発やマーケティング展開の加速を望むチームは、この機会を積極的に活用するとよいだろう。応募締切は6月5日だ。

6月25日に開催される Microsoft Innovation Award 2015 の表彰式では、ファイナリストによるピッチ、審査結果による表彰のほか、THE BRIDGE が協力する形でスタートアップのパネル・ディスカッションも予定している。表彰式への一般参加についても、近日募集が開始される予定とのことなので、乞う御期待。

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キーマン4人が語る、マイクロソフト流スタートアップ・コミュニティとの付き合い方 #MSVJP

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本稿は、5月29日から2日間に渡り開催された日本マイクロソフト主催のカンファレンス、de:code と同時開催となった Microsoft Ventures Meetup の取材の一部である。2日間のプログラムの最後のセッションでは、モデレータの砂金(いさご)氏曰く、「日本のマイクロソフト社内で、最もキャラクタの濃い人物を上位から並べたら、このような顔ぶれになった」という面々が、マイクロソフトがス…

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左から:澤円氏(マイクロソフトテクノロジーセンター センター長)、池照直樹氏(Dynamicsビジネス本部 テクノロジーストラテジスト)、加治佐俊一氏 (業務執行役員 最高技術責任者)、砂金信一郎氏(Microsoft Ventures Tokyo 代表)

本稿は、5月29日から2日間に渡り開催された日本マイクロソフト主催のカンファレンス、de:code と同時開催となった Microsoft Ventures Meetup の取材の一部である。2日間のプログラムの最後のセッションでは、モデレータの砂金(いさご)氏曰く、「日本のマイクロソフト社内で、最もキャラクタの濃い人物を上位から並べたら、このような顔ぶれになった」という面々が、マイクロソフトがスタートアップ・コミュニティに何を提供できるか、何を期待するかについて議論した。

登壇者は、

  • 日本マイクロソフト株式会社マイクロソフトテクノロジーセンター(MTC) センター長 澤円(さわ・まどか)氏
  • 日本マイクロソフト株式会社 Dynamicsビジネス本部 テクノロジーストラテジスト 池照直樹(いけてる・なおき)氏
  • マイクロソフト ディベロップメント株式会社 代表取締役社長 兼 日本マイクロソフト株式会社 業務執行役員 最高技術責任者 加治佐俊一(かじさ・しゅんいち)氏

…の方々、モデレータはMicrosoft Ventures Tokyo 代表 砂金信一郎氏が務めた。

スタートアップ・コミュニティを支える、インターン出身者の存在

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加治佐俊一氏

加治佐氏が社長を務めるマイクロソフト ディベロップメントは、マイクロソフト製品を使う開発会社の支援や技術の取りまとめを行っているマイクロソフトの子会社だが、毎年夏期には多くのインターンを採用している。インターンとはいえ、各人には担当プロジェクトがアサインされ、社員さながらに本気でプロジェクトに従事することが求められるので、インターン期間を終える頃には、彼らの多くは、普通に英語でプレゼンテーションできるようになるのだそうだ。

一説によれば、有名大学に入り、マイクロソフト ディベロップメントでインターンし、グーグルに就職する、というのが黄金のキャリアパスという話さえあるらしい。もちろん、大学卒業後に大企業に就職するのもよいのだが、そんな中からも、自分のスタートアップをローンチしている人も出て来ているので、このインターン制度がスタートアップ・コミュニティの人材育成に役立てている、というのが加治佐氏の見解だ。

マイクロソフト ディベロップメントでは今後、学生により多くの機会を提供するため、インターン枠を拡大し、夏期だけでなく冬期や通年でインターン制度を展開することも検討中とのことだ。

スタートアップ・コミュニティを活気づける上で、大学生にスタートアップという選択肢を持ってもらうことは重要であり、インターンはそれに気付いてもらうきっかけとして、絶好の機会ということができる。

スタートアップが〝箔を付ける〟ためのお手伝い

Microsoft Dynamics のテクノロジーストラテジストを務める池照直樹氏のことを、筆者も今までに何度となくテレビや雑誌で見ることがあったが、その都度、彼の肩書きは変化していた。事実、オラクル、コカコーラなど数々の有名外資系企業を渡り歩き、マイクロソフトに入社する前は自らも企業経営を実践していた人物だ。オラクルではベンチャー向けの投資ファンドマネージャーを務めていたので、大企業とスタートアップ、起業家と投資家の対極的な双方の視点を持つ、類まれな存在と言っていいだろう。

そんなバックグラウンドに裏打ちされた言葉には、彼の見た目の圧倒感を凌ぐ説得力があった。

スタートアップがプレゼンテーションをする上で、大企業とのアライアンスというのは重要な要素。かつてファンドマネージャーをやっていたとき、起業家に「何が一番欲しいか」と聞いたら、箔を付けたいという人は多かった。これは小さなスタートアップにとっては大きなこと。我々が提供できる機会もぜひ使ってもらって、箔を付けて、スタートアップには大きく育ってほしい。

その独特の風貌から、パネルでは〝キリスト〟の愛称で呼ばれていた MTC センター長の澤氏は、スタートアップに提供できるファシリティやノウハウについても語ってくれた。

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澤円氏

私のいるテクノロジーセンターも、夜は空いていることが多いのでぜひ使ってほしい。会場の造作の都合上、(ディスカッション・スペースというより)演者となって聴衆に喋るという形にはなるのだが、その分、プレゼンテーションには向く施設だ。

自分は、BizReach や Luxa の顧問もやっているのだけれど、そういうところでも、業界別の作法とか、今までに自分が体得したテクニックを多く提供している。そういうサンプルがたくさんあるので、起業家にシェアしていきたい。

企業活動において、大企業からの信頼を得ることは大きな価値である。経営者ならこの原則を頭のどこかに常に持っているだろうが、自らが目指すビジネスに邁進しすぎると、ついつい忘れがちだ。「たとえ、箔をつけるためだけでもいいから、自分達の名前や場所を利用してほしい」と言ってもらえるのは、非常にありがたい申し出だ。

相手を儲けさせれば、自分も儲かる

この数十年間、マイクロソフトに限らず、日本に参入してきた外資系IT企業の成長は、パートナーセールスの歴史である。自社製品を売ってくれる良きパートナーを見つけ、日本企業に積極的に営業展開してもらう。そのためには、自らの利益については半ば顧みず、パートナーにメリットを還元する必要があった。

ビジネスモデルにもよるだろうが、スタートアップのような企業が単独で販売チャネルを大きく拡大するのは難しい。ビジネスを成長させる上で、他社とのアライアンスやパートナーシップは必然だが、これを成功させる上での秘訣を池照氏が語ってくれた。

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池照直樹氏

私がスタートアップをしていたとき、マイクロソフトからも多くの支援をもらった。なぜなら、私がモノを売ったら、マイクロソフトが儲かったから。これは非常にシンプルなことだ。

自分が儲けたいという話はとりあえず横に置いて、どうすれば相手がハッピーになるか、相手が何を求めているかということを考えていると、そのアライアンスはすごくうまくいく。その利益は結果的に自分に返って来る。スタートアップの経営者は、ぜひそれを考えるところにエネルギーを費やしてほしい。

一方が他方を助けるというスキームだけでは、そのアライアンスの関係は長続きしない。相手が儲けることで自分も儲かるという形。相手を儲けさせるという観点をスタートアップは忘れがち。それで結果的に自分が儲からなかったら、そういうビジネスモデルを作れなかった社長がダメなだけ。(全員笑)

これは、スタートアップ・コミュニティでしきりに言われる〝Pay it forward〟、あるいは〝損して得取れ〟の商人精神に通じる考え方だ。


モデレータの砂金氏によると、マイクロソフトの社内でも、以前に比べ、スタートアップ・コミュニティに対して、いろいろな活動をすることは自由に行えるようになった。しかし、それでも、大企業の枠組みの中でスタートアップ向けの活動を行うには、さまざまな社内調整が求められることは想像に難くない。de:code の中で Microsoft Ventures Meetup を開催した意義について、彼は次のように強調した。

de:code は本来、マイクロソフトのエンタープライズ・ユーザ向けのイベント。その一角に、スタートアップ向けのイベント(Microsoft Ventures Meetup のこと)を持って来たのには意図がある。

マイクロソフトはエンタープライズ・ユーザとも付き合いがあり、スタートアップとも付き合いがある。その両者をうまく引き合わせられるのは、自分達にできることだと考えている。

ビジネス界では、しきりに「オープン・イノベーション」という言葉も聞かれるようになった。マイクロソフトのみならず、日本の多くの大企業がスタートアップとの試みに挑戦してくれることを願ってやまない。

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「自動運転車はこのセンサーがあればできちゃうんです」ーー日本のものづくり系スタートアップが語る「世界に勝つ方法」 #MSVJP

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Googleカーと同じ仕組みなんですが、実はこのセンサーさえあれば、自動運転ってできるんですーー これはあるイベントセッションでのひとコマで、先日インテル・キャピタルからの出資を発表したZMP社がさらりと紹介した自社の事例スライドだ。ぜひこちらの動画をご覧頂きたい。 あれだけ世界中を驚きに包んだGoogleの自動運転の技術と同様のものも実はここにある。ただ、このセンサーはひとつ1400万円もするそ…

Googleカーと同じ仕組みなんですが、実はこのセンサーさえあれば、自動運転ってできるんですーー

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これはあるイベントセッションでのひとコマで、先日インテル・キャピタルからの出資を発表したZMP社がさらりと紹介した自社の事例スライドだ。ぜひこちらの動画をご覧頂きたい。

あれだけ世界中を驚きに包んだGoogleの自動運転の技術と同様のものも実はここにある。ただ、このセンサーはひとつ1400万円もするそうで、ZMP社では 既存センサーを使って自動運転を実現しようとしているのだそうだ。

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5月29日から2日間開催されているMicrosoft Ventures Meetupで、私たちTHE BRIDGEはセッション企画ということで「Internet of Things(以下、IoT)」をテーマに選ばせてもらった。

登壇したのはCerevo代表取締役の岩佐琢磨氏、Sassor取締役の宮内隆行氏、ZMP代表取締役の谷口恒氏、日本マイクロソフト乗務執行役員CTOの加治佐俊一氏で、モデレーターとしてMicrosoft Ventures Tokyo代表の砂金信一郎氏がマイクを握った。

冒頭、砂金氏はひとつのスライドで進行を始めた。

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マイクロソフトとしてはこれらのバラバラのカテゴリ、ビジネス領域のものを「データ」で繋ぐという点にビジネスチャンスを考えている。「各社をデータで繋ぐと面白いものが見えてくるかもしれない」(加治佐氏)というように、例えばNestなんかは家庭の温度調節から得られるデータで燃料費の変動を予測しよう、というアイデアも聞いたことがある。

ではこのIoTというものはどう捉えるべきなのか。これについては私も過去、岩佐氏らと話をしたことがあるが、ハードウェアの形から辿る方法もあれば、ビジネスモデルから考えるアプローチもある。この分類は大変難しい。

実際、岩佐氏もここでは「ネットに繋がる全て」が対象になると話しており、「クラムシェル型、ハンドセット、タブレット、サーバーなどの形になってるもの以外は全てIoTとしてよいのでは」と、この分野のカバー範囲の広さを説明していた。

「Internet of Thingsと言われる分野は広大なブルーオーシャン。例えば靴に3Gモジュールが入ってればIoTだし、その広い海の中にぽつぽつとグラスのようなものやウェアラブルのようなものがある程度。そういうイメージ」(岩佐氏)。

つまり、ビジネスチャンスはいくらでもある状況なのだ。谷口氏も「ネットに繋がるのはもう当たり前。IoTってワードもアナリストとかが付けただけで、意識しなくなる」と、この「バズワード」の補足説明をしていた。

また、宮内氏が言及していたモノとモノとの会話(M2M)は興味深く、マシン同士の会話インターフェースの研究や展開がさらに進めば、本当に人の手がどんどんかからない世界が広がる。「今はまだThing(モノ)の段階。Things という複数形になって初めてIoTの世界と言えるのでは」と付け加える。

セッションで面白かったのは、やはり彼らが日本発で世界とどう戦うか、という視点だ。

砂金氏とは企画段階でも「日本のものづくり」については欧米やアジア諸国に比較してアドバンテージを感じつつも、現実にある「ある種のギャップ」はどこにあるのか、ということが話題になっていた。

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壇上で岩佐氏は、日本のものづくりが世界に勝てる要素として人材と、ブランドがあると話す。

「例えば、この会場でイタリア製と中国製のバッグをふたつ並べてどちらでも持っていってください、としたらやはりなんとなくイタリア製を選ぶ方が多くなると思うのです。別にそのふたつに品質の差があるかどうかは分からなくても、です。

同じように日本には楽器や車、家電にも同様のブランドがあってそういった先輩たちが作ってきた強みを使わない手はないんです」(岩佐氏)。

岩佐氏はさらに、このブランドを築いてきた人材のノウハウは継承されていて、その二つが世界に勝つためのキーになると話していた。

でも実際は世界的に韓国メーカーが押してきてる現実もある。これが前述の砂金氏との会話での「もやもや」なのだが、例えば、他国のメーカーがCerevoの出した製品の完全なコピーを作って一気にマーケティングをし、安い価格でばらまかれたらどう対抗したらいいのだろうか?

この砂金氏の質問に「本当にさくっとそれをやられたら負ける」と岩佐氏。やはりそれは怖い戦法なのだ。

「だからやられる前にシェアを取っておくことが大切なんです。例えばGoProなんかはまさにその戦略で電撃戦を制したパターン。 欧米人って見せ方がうまい。あまりよくなさそうなものでもこれはグレートだぜ!って持っていくんです」(岩佐氏)。

ただ、この回答に砂金氏は「私たち…外資系なのですが」とちょっぴりはにかんでいた。

さておき、ウェブサービスオンリーのビジネスと違い、IoT関連は具体的なハードウェアを伴うため、とにかく資金力が必要になる。この点は投資サイドも動き方が変わってくるだろう。

<参考記事> 20億円規模のものづくり系ファンドもーー #IVS で聞く、Cerevo新体制が描く「国産ものづくりの未来」とは

また、谷口氏はさらに先を見据えて「ネットに繋がるのは当たり前なんですよね。それよりもRを乗っけてROT(ロボットオブシングス)にして、あらゆるものをロボット化して付加価値を高める必要がある」と、技術による差別化こそ日本が世界に勝てるキーになるとしつつ、「あまり大手がやらない技術をベンチャーが取り組んで、一緒にやれば勝てるのでは」と大企業とスタートアップの共闘を呼びかけていた。

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「日本のスタートアップ・エコシステムに何が出来るのか」ーー Microsoft Venturesが模索する国内展開を語る #MSVJP

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5月28日から2日間に渡り開催される日本マイクロソフト主催のカンファレンス、de:codeと同時開催となったMicrosoft Ventures Meetupで、Microsoft Ventuers(MSV)プリンシパルのAya Zook氏とTokyo(MSVT)代表の砂金信一郎氏が壇上に上がり、世界展開するMSVの活動を披露した。 冒頭に砂金氏は「日本のスタートアップ・エコシステムに対して何が出…

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5月28日から2日間に渡り開催される日本マイクロソフト主催のカンファレンス、de:codeと同時開催となったMicrosoft Ventures Meetupで、Microsoft Ventuers(MSV)プリンシパルのAya Zook氏とTokyo(MSVT)代表の砂金信一郎氏が壇上に上がり、世界展開するMSVの活動を披露した。

冒頭に砂金氏は「日本のスタートアップ・エコシステムに対して何が出来るのか」と投げかけ、日本マイクロソフトが国内スタートアップシーンとどう向き合うべきか模索する姿勢を示した。

MSVが世界で展開するアクセラレーションプログラムと理由

日本ではまだ開始されていないMSVのアクセラレーションプログラムは現在世界で6カ所で運営されており、3カ月から4カ月ほどで会社を一緒に作り、投資家向けのDemoDayに臨むことになる。このあたりのプログラムは一般的なものと同じだ。

特徴的なのは一つの方針として現地のエコシステムに馴染んだプログラムにするというものがあり、例えばベルリンであれば金融やファッションに強いという地域性を活かした支援体制を作っているという。

ではマイクロソフトはなぜスタートアップを支援するのだろうか。

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まず、Aya氏は起業するのが簡単になり、ボトムアップでイノベーションが起こった結果、国境なきイノベーションが可能になったと状況を語る。一方で大きな企業はイノベーションを起こさないといけない。そこで投資などの関係性を求めるようになった。

「例えば、今年の3ヶ月でUSは$10Bほど投資が実施されてるが、その30%は企業ファンド(Corporate Venture Capital, CVC)になるほど活発になっている」(Aya氏)。

「スタートアップと大企業」という中間点にポジショニングを持つマイクロソフトが、まだか弱いスタートアップを支援し、大企業へつなぐというのは理にかなっている。これが彼らの支援理由のひとつになっている。

スタートアップの支援体制

では彼らはどのような体制で支援するのだろうか。

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アーリーなステージにはBizSparkによる開発環境などの提供支援や、世界で100カ所設置されているマイクロソフトのイノベーションセンターが解放されている。ここには育成プログラムが用意されており、マイクロソフト社員のアドバイスを受けられる。日本にも4カ所設置されている。

アクセラレーションプログラムは前述の通り、バンガロールなど6カ所で展開されている。

それがない場所では200社近くのパートナーと提携して何らかの支援体制を作っている。後でAya氏に聞いたが、日本ではその役割をドコモ・ベンチャーズが請け負っているのだそうだ。

また成長ステージへの支援はファンドによる資金需要への対応の他、 マイクロソフトが所有する企業ネットワークの活用をした 「カスタマーアクセスプログラム」が興味深かった。

「Fortune500などにリストされている企業とのマッチメイク」(Aya氏)は既に成長段階にある企業にとって効率のよい企業アプローチの手段になるだろう。

残念なことに日本での展開はまだ明確なものがあるわけではない。ただ、イスラエルやドイツといった既にアクセラレーションを開始している地域へのチャレンジは受け付けてくれるそうなので、腕に自信のあるスタートアップはチャレンジしてみても面白いと思う。

支援内容は具体的にこのようなものがリストされている。

  • BizSparkに代表されるクラウド環境やVisual Sudioのような開発環境の提供
  • ウィンドウズプラットフォームへのアプリ開発者へのマネタイズ支援
  • オープンソース、LinuxやHadoopなどのオープン環境に対応したリソース、チーム支援

結果として2年間で174社を支援し、DemoDayに参加した80%の企業は追加投資を決めており、シリーズAラウンドに進んでいるのは30%なのだそうだ。

results

また、174社の内、既に11社のスタートアップがイグジットを果たしている。買収企業は米マイクロソフト、米ヤフー、米グーグルなどがある。

マイクロソフトが興味を持つスタートアップとは

まず、Aya氏は「テクノロジーフォーカスは確実に必要。ビジネスカテゴリよりはチームとしてビジネスに強い人物とテクノロジーに強い人物がファウンダーにいると対象になってくる」と最低限のレベルを伝えた上で、ローカルからグローバルにビジネスを考えられるチームが好ましいと話していた。

startups

そんなお眼鏡にかなったチームの例としてイスラエルのスタートアップが挙げられていたが、実は彼らはiOSでアプリを作っている。バックエンドがAzureなのだそうだが、特定プラットフォームの制限はない。このあたりはビジネス・ファーストに考えると当然のことかもしれない。

また、フォーカス分野はホームオートメーション、スマートクラウド(ビッグデータ、機械学習)、EdTech、モバイル。特にEdTechは日本でもEdTechキャンプを開催するなど力が入っており、教育現場に溢れるスマートデバイスに比較して、圧倒的にコンテンツが足りない、そういう市場課題を見据えてのフォーカスだと説明していた。

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日本でスタートアップシーンが盛り上がっていることがわからなかったと語るAya氏。私もセッション終了後に話を聞いたが、北米(シリコンバレー中心にスタートアップのメッカみたいな場所)の方々は日本市場を特別に注目していることはない。

各所から聞く話でもあるのだが、興味がないのではなく情報が足りないという場合が多い。これはメディアとして私たちの責任も大きい。

ただ、Aya氏は先週に札幌で開催されていた招待制のイベントでも国内スタートアップと交流を深めた(Aya氏の母親は日本人で日本語は大変流暢!)ということで、大いに日本市場、スタートアップへの興味を持ったと話してくれた。

国内では活動がこれからのMSVTだが、ぜひそのグローバルネットワークの力で日本発ー世界の事例をどんどん生み出す支援をして欲しい。

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