Axiata は今月初め、同社傘下の Digital Ventures が提供するサービスを売却したと発表したが、デジタル部門である Axiata Digital Services は三井物産(東証:8031)から戦略的マイノリティー出資を受けたことを発表した。この出資において、Axiata Digital Services はそのコアデジタル事業を受け、バリュエーションを5億米ドルと評価された。
先週はじめ、Axiata は傘下の Digital Ventures が提供するサービスを バリュエーション1億4,000万米ドルで Pegasus 7 Ventures に売却した。今回の三井物産からの出資は、Axiata Digital Services のコア部分に対するものだ。また、Axiata は先週、カンボジアのスタートアップ2社(SALA と GoGames)にも出資している。Axiata は現在、Boost を通じてデジタル決済に、API を開発する ada や Apigarte といった企業を通じてデジタル広告に注力しつつある。
三井物産は今回の出資を通じて Axiata Digital の戦略的株主となり、また、今後コア事業分野においてビジネスパートナーとなる見込み。Axiata Digital は調達した資金を、コア事業の成長を次のフェーズに進めるために使う計画だ。
三井物産の執行役員で ICT 事業本部長である森安正博氏は、次のように述べている。
Axiata との戦略的提携の拡大により、カンボジアの最大モバイル通信会社 Smart Axiata に引き続き、Axiata Digital への今回の出資を大変うれしく思う。Axiata Digital と三井物産の密接な協業関係を拡大することで、さまざまな業界で、我々のパートナーや顧客が新しい価値を創造したり、デジタルトランスフォメーションを加速させたりするのを支援できると確信している。
Axiata Digital は、Axiata の顧客のデジタルライフスタイル支援を目的として2013年末に設立、その後、提供するサービスのブランドは30にまで成長した。2017年から、同社は戦略的デジタル事業のオペレータになることに特化し始めた。
Axiata Digital CEO の Mohd Khairil Abdullah 氏は、次のように語っている。
SilentLog Analytics は、顧客の位置情報を AI で分析し、今までになかった行動分析を可能にするマーケティングサービスだ。企業は顧客を知りたい、消費者は事業者に自分のことを知ってもらい最適な提案をしてほしい、と思っているが、現実にはオフラインで買い物したのと同じものを、オンラインでレコメンドされるというような問題が生じる。
アグリゲートと三井物産の両社は、今回のディールにおける出資金額を明らかにしていないが、前回ラウンドの調達規模や関係者の情報などから、調達ラウンドはポストシリーズ A ラウンドで、調達金額は数億円規模と推定される。株式取得比率が開示されていることから、必然的に同社の現在のバリュエーションは数十億円の前半規模と推測される。
三井物産は、野菜流通の〝川上〟(市場とのネットワーク)、〝川中〟(中間流通の卸会社)、〝川下〟(セブンイレブンへの出資や FC 展開)のすべてに強く、「旬八青果店」の FC 展開にあたって、三井物産が持つノウハウやネットワークが生きてくる可能性は高い。商社の強みを生かして、2020年以降には、「旬八青果店」を海外展開させる計画もあるようだ。
アグリゲートは新規業態の開拓にも余念が無い。野菜をふんだんに取り入れた弁当は、1日に作られる2,400食のうち400食以上がオフィスにデリバリされている。六本木ヒルズに入居する IT 系企業やテックスタートアップなどで人気を集めているようだ。東京・新虎通り(旧・マッカーサー道路)に森ビルが10月18日に開業する「新虎通り CORE」には、新業態となるイートインスペース「旬八キッチン&テーブル」を出店する予定。これまでの住宅街だけでなく、オフィスエリアでのタッチポイント増も期待される。
三井物産は、シンガポールのビッグデータ・アナリティクスサービスを提供するスタートアップで、インドのチェンナイでも事業を行なっている Crayon Data に対し、非公開額の投資を行った。 公式発表によると、この出資は Crayon Data の海外進出を加速することに役立つことが予想される。 この投資には、Crayon Data 製品の日本でのローンチを三井物産がサポートして顧客層を広げる、とい…
Crayon Data のチームと三井物産の関係者
三井物産は、シンガポールのビッグデータ・アナリティクスサービスを提供するスタートアップで、インドのチェンナイでも事業を行なっている Crayon Data に対し、非公開額の投資を行った。
公式発表によると、この出資は Crayon Data の海外進出を加速することに役立つことが予想される。
この投資には、Crayon Data 製品の日本でのローンチを三井物産がサポートして顧客層を広げる、というビジネスサービス契約も含まれる。Crayon Data は日本の銀行、ホテル、広告、放送出版会社との提携を狙っている。