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三井不動産「31 VENTURES」、85億円規模のCVC2号ファンド組成を発表——アーリー〜ミドル期出資注力へ

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ベンチャー共創事業「31 VENTURES」を展開する三井不動産(東証:8801)は16日、都内で戦略発表会を開催し、この席上、85億円規模となる新ファンド「CVC 2号」の組成を発表した。 2016年に発表した CVC 1号がシード〜アーリーステージを対象としていたのに対し、2号では—アーリー〜ミドルステージを対象とする。より成熟したスタートアップを対象とするため、必然的に1ショットのチケットサ…

左から:三井不動産 ベンチャー共創事業部 グループ長 小玉丈氏、三井不動産 執行役員ベンチャー共創事業部長 金谷篤実氏、ファンドを共同運用するグローバル・ブレイン代表取締役の百合本安彦氏
Image credit: 31 Ventures

ベンチャー共創事業「31 VENTURES」を展開する三井不動産(東証:8801)は16日、都内で戦略発表会を開催し、この席上、85億円規模となる新ファンド「CVC 2号」の組成を発表した。

2016年に発表した CVC 1号がシード〜アーリーステージを対象としていたのに対し、2号では—アーリー〜ミドルステージを対象とする。より成熟したスタートアップを対象とするため、必然的に1ショットのチケットサイズも以前より大きくなる見込み。投資テーマは、Real Estate as a Service、デジタルトランスフォーメーション、スマートシティ、新事業領域のビジネスの発掘の4つで、三井不動産の本業との関係性をより意識したものに設定された。

Image credit: 31 Ventures

投資領域については、CVC 1号では不動産テック、IoT、サイバーセキュリティ、シェアリングエコノミー、E コマース、フィンテック、環境・エネルギー、ロボティクス、AI・ビッグデータ、ヘルスケアの10領域だったが、2号ではこれらに加え、モビリティ、宇宙商用化、食品、農業、エンターテイメントの5領域を追加。これまでの活動を通じて社内でもスタートアップとの共創に対する理解が高まり、ファンドを共同運用するグローバル・ブレインと国内外のネットワークを拡大できたと評価した。

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Image credit: 31 Ventures

三井不動産では、これまでに CVC 1号から39社に対して投資を実行、また、2017年に運用を開始したミドル〜レイターステージのスタートアップを対象とした300億円規模のファンド「31 VENTURES-グローバル・ブレインーグロースI」からは2社に対して投資を実行していたことを明らかにした。うち、リビングスタイル、CrediFi、Enlighted、マテリアルコンセプト、ライフロボティクス、SiteWare の6社はイグジットしている。

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Image credit: 31 Ventures

31 VENTURES が本格始動した2015年以降、三井不動産では東京・日比谷ミッドタウン「BASE Q」の展開、プロトスターとの「“E.A.S.T.”構想」の発表、起業家育成コミュニティ「Swing-By」の運用を通じて、起業家やスタートアップとの連携が深まってきたと強調。戦略発表会では、三井不動産が持つ不動産や顧客アセットを活用したスタートアップとの共創事例も紹介された。同社では今後、これまで以上に三井不動産の新事業を創出を加速し、スタートアップの事業ブーストも共に支援強化させていくとしている。

三井不動産とプロトスター、サラリーマンが副業で起業準備できるアクセラレータとCxO育成プログラムを開始

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三井不動産(東証:8801)とプロトスターは25日、都内で記者会見を開き、昨年9月に発表した日本橋周辺にスタートアップを集積するプロジェクト「“E.A.S.T.”構想」の一環として、新たにコミュニティを立ち上げることを明らかにした。新しいコミュニティの名前は「Swing-By」で、募集の対象となるのは企業に所属している社会人。 Swing-By は、アクセラレータプログラム「Moonshot」と …

左から:プロトスター COO 山口豪志氏、三井不動産ベンチャー共創事業部 光村圭一郎氏、プロトスター 栗島祐介氏、三井不動産ベンチャー共創事業部 塩畑友悠氏、プロトスター CEO 前川英麿氏
Image credit: Masaru Ikeda

三井不動産(東証:8801)とプロトスターは25日、都内で記者会見を開き、昨年9月に発表した日本橋周辺にスタートアップを集積するプロジェクト「“E.A.S.T.”構想」の一環として、新たにコミュニティを立ち上げることを明らかにした。新しいコミュニティの名前は「Swing-By」で、募集の対象となるのは企業に所属している社会人。

Swing-By は、アクセラレータプログラム「Moonshot」と CxO 育成プログラム「AWAKE」の2つで構成される。それぞれの内容は、以下の通り。どちらも、ディナーミーティングを中心とした場の醸成や機会創出が主な提供内容となる。

<Moonshot> 最大10プロジェクト(チーム)を募集

  • アイデアを持つ2名以上のチームであり、チームリーダーが25歳以上であること。
  • 仲間を集め、サイドプロジェクトとして開始し、軌道に乗ったら起業または事業化する意思があること。
  • プログラム期間中(1年間)参加できること。
  • 毎月2回開催するディナーミーティングに参加できること。
  • 2ヶ月ごとの進捗共有会(オフサイトミーティングなど)に参加できること。

<AWAKE> 最大40名を募集

  • 個人の参加であること。
  • アイデアを持っていないが探している。または、仲間を探している。25歳以上であること。
  • 毎月2回開催するディナーミーティングに参加できること。
  • Moonshot プログラムへ進む意思、または、挑戦者チームに参画する意思があること。
  • 基本的には、参加本人があきらめるか、何らかのチームへの参画が決まるまでは、プログラムは卒業できない。

Moonshot と AWAKE は、共に募集受付を開始しており、締切は10月末日。11月中に選考が行われ、今月12月から2020年3月末までをプレ期間として、運用するという。なお、これらのプログラムは、プロトスターが独自に運用してきたコミュニティ兼アクセラレータの「StarBurst」とは異なるとのことで、StarBurst は今後も今まで通り継続運用される予定(ただし、StarBurst は昨年8月を最後に、公開されたデモデイは開催されていない模様)。

Image credit: Protostar

プロトスターの栗島祐介氏によれば、主に30代後半〜50歳前後の、レガシーなビジネスを経験した人が集まることを期待しているという。全米経済研究所(NBER)が昨年発表したレポートは、創業時にミドルエイジであった起業家のほうが若年層よりも成功を収める傾向にあるという調査結果を明らかにした。XTech Ventures のようなミドルエイジにフォーカスしたファンドも現れており、起業成功率の向上や潜在起業家層の掘り起こしという観点で、このようなアプローチには合点が行く。

“E.A.S.T.”構想のコアコンテンツになると見られたスタートアップイベント「E.A.S.T. RUSH 2019 Spring」は、準備する過程で一部資料が ICC パートナーズが作成したものに酷似しているとの追及を受け、イベントの中止と栗島氏の  CCO 退任を余儀なくされた。結果として、発表から約1年間にわたって、この構想に関連した動きは皆無に等しかったと言えるが、今回発表された Swing-By で事実上の仕切り直しを図るとみられる。

Beyond Next Venturesら、東京・日本橋にライフサイエンス系スタートアップ向けシェアラボ「Beyond BioLAB TOKYO」開設を発表

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<30日20時更新> 本稿初出時、アクセラレータプログラム「Blockbuster TOKYO」の発表としましたが、「Blockbuster TOKYO」は今夏開始済で、本発表はシェアラボ/ウエットラボ「Beyond BioLAB TOKYO」に関するものでした。タイトル・本文・スラグを修正しました。 ライフサイエンス系 VC/アクセラレータの Beyond Next Ventures (BNV)…

左から:Beyond Next Ventures 代表取締役社長 伊藤毅氏、三井不動産 常務執行役員 植田俊(たかし)氏、LINK-J 事務局長 曽山明彦氏
Image credit: Masaru Ikeda

<30日20時更新>

本稿初出時、アクセラレータプログラム「Blockbuster TOKYO」の発表としましたが、「Blockbuster TOKYO」は今夏開始済で、本発表はシェアラボ/ウエットラボ「Beyond BioLAB TOKYO」に関するものでした。タイトル・本文・スラグを修正しました。

ライフサイエンス系 VC/アクセラレータの Beyond Next Ventures (BNV)、同分野のスタートアップのコミュニティ運営を行う LINK-J、三井不動産(東証:8801)は30日、都内で共同記者会見を開催し、 日本橋ライフサイエンスビルディングの地下にシェアラボ/ウエットラボ「Beyond BioLAB TOKYO」を開設することを明らかにした。

Beyond BioLAB TOKYO のグランドオープンは2019年2月1日で、運営や機器整備などは BNV が行う。現在運用中の、東京都によるライフサイエンス系スタートアップ特化アクセラレータ「Blockbuster TOKYO」の第2バッチにはスタートアップ21社が採択されており、その約半数が Beyond BioLAB TOKYO を活動拠点として利用する見込み。第2バッチのデモデイは、2019年3月27日に予定されている。

Beyond BioLAB TOKYO
Image credit: Beyond Next Ventures

BNV は先ごろ2号ファンドの組成を発表している。2号ファンド単体の運用規模は開示されていないが、「55億円規模だった1号ファンドよりも規模は大きい(BNV 代表取締役社長 伊藤毅氏)」ようだ。伊藤氏はまた、1号ファンドから投資が実行された23社中、15社については医療ヘルスケアスタートアップだったことも明らかにした。

伊藤氏は、サンフランシスコのアクセラレータ IndieBio(SOSV が運営)やアメリカ7拠点でシェアラボを運営する Biolabs の事例を挙げ、ライフサイエンス系スタートアップの育成に都市型シェアラボの存在が重要だと強調、Beyond BioLAB TOKYO のもたらす可能性に意欲を見せた。

プロトスター、31 VENTURESと連携し日本橋周辺にスタートアップを集積するプロジェクト「“E.A.S.T.”構想」を始動

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プロトスターと三井不動産(東証:8801)は19日、都内で記者会見を開き、三井不動産のベンチャー共創事業「31 VENTURES(サンイチベンチャーズ)」と、プロトスターによる「“E.A.S.T.”(イースト)構想」で連携を図ると発表した。プロトスターは、シードアクセラレータプログラム「StarBurst(スターバースト)」を運営しており、前回のデモデイを三井不動産の「BASE Q」で開催するなど…

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左から:三井不動産ベンチャー共創事業部 定塚敏嗣氏、三井不動産ベンチャー共創事業部長 菅原晶氏、プロトスター CCO 栗島祐介氏、プロトスター COO 山口豪志氏、プロトスター CEO 前川英麿氏
Image credit: Masaru Ikeda

プロトスターと三井不動産(東証:8801)は19日、都内で記者会見を開き、三井不動産のベンチャー共創事業「31 VENTURES(サンイチベンチャーズ)」と、プロトスターによる「“E.A.S.T.”(イースト)構想」で連携を図ると発表した。プロトスターは、シードアクセラレータプログラム「StarBurst(スターバースト)」を運営しており、前回のデモデイを三井不動産の「BASE Q」で開催するなど、三井不動産との関係を深めつつあった。

E.A.S.T. 構想(E.A.S.T.= Empowering Ambitious Startups in Tokyo)とは、東京の東側に位置するスタートアップの日本橋エリアへの集積を促進し、同時に大企業とのオープンイノベーションを図るプロジェクト。31 VENTURES では「Clip ニホンバシ」など日本橋エリアを中心に、スタートアップハブの集積を図っている。今回の連携は、この動きをさらに加速することが狙い。

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プロトスターが作成した、日本橋周辺のスタートアップマップ
Image credit: Masaru Ikeda

東京の副都心では、大手不動産デベロッパ各社がスタートアップハブの確立に向け、互いにしのぎを削っている。渋谷では東急不動産、大手町・丸の内では三菱地所、六本木や虎ノ門では森ビル、八重洲では東京建物、日本橋兜町では平和不動産などがそれぞれ、スタートアップのコミュニティスペースを開設したり、自社ビルテナントへのスタートアップの招聘に注力したりしている。

渋谷に代表される城南エリアや東京西部は、スタートアップが多くオフィスを構え、ジェントリフィケーションの結果として、オフィスの賃料が高かったり、希望する条件に合致したスペースの確保が難しくなったりしている。スタートアップのオフィスエリアとしての可能性や、日本橋に代表される東京東部に本社を構える大企業とのオープンイノベーションの文脈において、このイニシアティブの今後の動向が注目される。

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会見するプロトスター CCO の栗島祐介氏
Image credit: Masaru Ikeda

移転・新装オープンした「Clipニホンバシ」に潜入【ゲスト寄稿】

本稿は、THE BRIDGE 英語版で翻訳・校正などを担当する “Tex” Pomeroy 氏の寄稿を翻訳したものです。オリジナルはこちら。 三井不動産のベンチャー共創事業「31 VENTURES」が運営する「Clip ニホンバシ」が先ごろ新装オープンした。人工衛星スタートアップのアクセルスペースも、ここに拠点を構えている(Clip ニホンバシの上層階)。このコラボレーションやミーティングが行える…

本稿は、THE BRIDGE 英語版で翻訳・校正などを担当する “Tex” Pomeroy 氏の寄稿を翻訳したものです。オリジナルはこちら


三井不動産のベンチャー共創事業「31 VENTURES」が運営する「Clip ニホンバシ」が先ごろ新装オープンした。人工衛星スタートアップのアクセルスペースも、ここに拠点を構えている(Clip ニホンバシの上層階)。このコラボレーションやミーティングが行えるスペースは以前、近くの日本橋の CM ビルにあったが、夕方6時以降はビルが閉まってしまう上、6階にあるというものだった。

現代的なガラスで覆われた施設は、受付、カンファレンスルーム、ロッカースペース、それに小さなカフェ風スペースで構成され、〝社会意識の高い〟スタートアップによって運営されている。ロケーションも主要道路に面しており便利だ。会員向けに90席ほどが利用可能で、大きなイベントが開催されるときは100人ほどが入ることができる。

三井不動産は、秋葉原と東京の北東部にある科学都市つくばを結ぶ、つくばエクスプレスの柏の葉駅前にある KOIL のほか、街中の神谷町や霞が関などにも似たような施設を整備している。アクセルスペースが最初に本社を構えたのも、つくばエクスプレス沿いの街だった。

Clip ニホンバシからさほど遠くないところには、日本橋ライフサイエンスハブもある。近隣には、アステラス、第一三共のほか興和やゼリア新薬といった主要な製薬企業のオフィスが集まっている。武田薬品は、Clip ニホンバシの面する通り(日本橋室町の仲通り)沿いに新しい本社ビルを建設中だ。

Clip ニホンバシへは、東京メトロの銀座線や半蔵門線の三越前駅からも近く、東京駅から一つ目の JR 新日本橋駅の真上にある。JR 神田駅のほか、東京メトロ・都営地下鉄の日本橋周辺の駅からも歩いていくことが可能だ。

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三井不動産、グローバル・ブレインと共同で50億円規模のCVCファンドを設立

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ベンチャー共創事業「31 VENTURES」を展開する三井不動産(東証:8801)は今日、都内で記者会見し、東京のスタートアップ向け VC であるグローバル・ブレインと共同で、総額50億円規模のコーポレートベンチャーキャピタルファンド(以下、CVC ファンド)を設立すると発表した。 運用期間は10年間で、日本を中心として、北米、欧州、イスラエル、アジア諸国のバイオおよび創薬以外のセクターの、シード…

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左から:グローバル・ブレイン 代表取締役社長 百合本安彦氏、三井不動産 取締役専務執行役員 北原義一氏、三井不動産 ベンチャー共創事業部長 菅原晶氏

ベンチャー共創事業「31 VENTURES」を展開する三井不動産(東証:8801)は今日、都内で記者会見し、東京のスタートアップ向け VC であるグローバル・ブレインと共同で、総額50億円規模のコーポレートベンチャーキャピタルファンド(以下、CVC ファンド)を設立すると発表した。

運用期間は10年間で、日本を中心として、北米、欧州、イスラエル、アジア諸国のバイオおよび創薬以外のセクターの、シード、アーリー、ミドル・ステージのスタートアップが投資対象。重点投資領域として、不動産、IoT、セキュリティ、環境、エネルギー、シェアリングエコノミー、eコマース、フィンテック、ロボティクス、ライフサイエンスを設定している。

31 VENTURES からは 500 Startups および Draper Nexus Ventures へも出資する予定で、ファンド・オブ・ファンドの性格も持っている。スタートアップの海外展開支援の一環として、ニューヨークのシードアクセラレータ「Entrepreneurs Roundtable Accelerator」、シンガポール国立大学のベンチャー企業育成部門「NUS Enterprise」とも事業提携する。

これまでに、三井不動産では、柏の葉オープンイノベーションラボKashiwa-no-ha Open Innovation Lab、略称:KOIL)などを中心にオープンイノベーションを展開。ユーグレナなどを主導とするリアルテック・ファンドに出資しているほか、「アジア・アントレプレナーシップ・アワード(AEA)」を毎年開催し、日本内外のスタートアップ・エコシステムの形成に注力している。

2016年4月には「31 VENTURES クラブ」を設立し、幕張・霞が関・日本橋(Clip ニホンバシ)・KOIL の4つの拠点に入居するスタートアップが、拠点を横断して施設を利用でき、ハンズオン支援が受けられるコミュニティを形成する。加えて、神谷町や日本橋には新たなスタートアップ入居施設を設立し、このうち、日本橋の拠点(Life Bridge ニホンバシ)では、は特にライフサイエンスに特化したスタートアップを誘致するとしている。

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オープンイノベーションの新しいカタチ〜三井不動産とリクルートらが市民参加型「柏の葉ッカソン」を開催

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8月の最終土曜日、柏の葉スマートシティのイノベーション拠点「KOIL」で、市民参加型のハッカソン・プログラム「柏の葉ッカソン」が開催された。 このイベントにはリクルート・ホールディングス傘下各社(以下、リクルートと略す)の社員80名、三井不動産の社員4名、柏市の市職員5名、市民活動団体から8名が参加。リクルートの社内新規事業制度 Recruit Ventures で集まった30件のビジネスアイデア…

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8月の最終土曜日、柏の葉スマートシティのイノベーション拠点「KOIL」で、市民参加型のハッカソン・プログラム「柏の葉ッカソン」が開催された。

このイベントにはリクルート・ホールディングス傘下各社(以下、リクルートと略す)の社員80名、三井不動産の社員4名、柏市の市職員5名、市民活動団体から8名が参加。リクルートの社内新規事業制度 Recruit Ventures で集まった30件のビジネスアイデアを、アイデア考案を考案したリクルートの社員自らが街へ出て披露、市民にアイデアを叩いてもらおうという試みだ。

このイベントに先立ち、一般応募(リクルート社内以外の一般市民からの応募)から最優秀賞、優秀賞の受賞者表彰が行われた。

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  • 最優秀賞「子育てコンシェルジュチルドレンズセンターの開設」 加藤裕希氏
  • 優秀賞 「Kids Scout(キッズ・スカウト)—学びの基地—」 水上哲也氏
  • 優秀賞 「ルイーダの酒場」 大串寿人氏
  • 優秀賞 「柏の葉ベビランプロジェクト」 平岡健次氏

一般応募の受賞者表彰の後、ワールドカフェの方式により、リクルートのアイデア考案者がアイデアを聞いてくれる人のテーブルをまわる形でハッカソンが開始された。各テーブルにはグラフィックレコーダーが待機し、考案者とテーブルホストの間の対話を迅速にまとめていった。

先にも書いた通り、Recruit Ventures のプログラムからは30件のアイデアが披露されたが、そのすべてをここで紹介するのは難しいので、興味深かったアイデアを5つばかりピックアップしてみたい。

Si-star

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大病院に通う「軽症患者」と、経験豊富な「大病院出身のクリニック医師」をつなぐサービス

  • 大病院が混雑し、重症患者の対応が遅れている。
  • 姉妹病院制度で、大病院から軽症患者を地域のクリニックへ送客する。
  • 紹介状を書くのが手間。医師が簡単に紹介状を作れる仕組みが必要。

カシポ

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空き時間を何かに使ってもいいよという人が福祉をお手伝いし、Rポイントや柏の葉ポイントを得るサービス

  • 人材不足、社会保障に関わる財政不足の解消が目的。
  • 介護に求められるのは排泄と入浴。それをやってもらうことができるのか?

リクルートエナジー

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再生可能エネルギー設備または再生可能エネルギーの一括購入、および、そのシェアを提供するサービス

  • 再生エネルギーを導入するためにかかるコストが高く踏み切れない。興味はあるが価格がボトルネック。
  • 1軒の屋根でできる発電量で分配までできるか?

OpenKids

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子供を学童保育に通わせられない家庭と、近隣住民で時間を提供できるカスタマ(シニアや専業主婦)を結びつけ、子供の学童保育を地域で代替するプラットフォーム

  • シニア層が子供と付き合いが増えることで、アクティブなまちづくりができる。
  • 共働き世帯は学童保育に支払う費用の増加に悩む。

every delivery

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新聞配達業者によるITサービスと連動した日常的な消費財の配送サービス
(例えば、Cookpad で検索した料理の食材を予約すると、翌朝届けてくれる)

  • 一人で住んでいる人の確認連絡サービスは提供できるか?
  • 新聞を読む人が減っているとは言え、さらに荷物を持てるか?
  • ネットスーパーと戦えるのか?

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今回の市民らからのフィードバックを受けて考案者はアイデアをブラッシュアップ、リクルートでは9月16日に一次審査会を実施し、実証実験を経て2016年4月1日に事業化の可否が決定される。晴れて事業化が決定されたときには、考案者はそのビジネスに異動・配属となる見込みだ。

比較的よく見かけるオープン・イノベーションの形としては、大企業が持つアセットとリソースを拠出し、そこにスタートアップが持つアイデアを掛け合わせるというものだ。リクルートは大企業ながらもアイデア創出の社風を伝統的に持っている組織であるため、今回のような試みが可能だったのかもしれない。市民から先進的なアイデアに活発な意見が上がったのも、東京と学研都市つくばの中間に造された、柏の葉という街の土地柄が深く関与しているのだろう。今後このような試みがが、日本各地からも生まれてくるのを楽しみにしたい。

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「アジア・アントレプレナーシップ・アワード(AEA)」が目指すもの——イベントの立役者、三井不動産ベンチャー共創事業部に話を聞いた

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日本の学術研究都市と言えば、西のけいはんなに、東のつくば。けいはんなにはオトナロイドやコドモロイドの開発拠点となった ATR があり、つくばにはサイバーダインに代表されるロボティクス・ベンチャーや数々のスタートアップが集結している。東京とつくばを結ぶほぼ中間地点には、三井不動産が中心となった開発を進める次世代都市地区「柏の葉スマートシティ」があり、ここでは、自動車の運転をスマート化するスタートアッ…

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三井不動産ベンチャー共創事業部 事業グループ長の松井健氏(右)と、主査の加藤慶氏(左)

日本の学術研究都市と言えば、西のけいはんなに、東のつくば。けいはんなにはオトナロイドやコドモロイドの開発拠点となった ATR があり、つくばにはサイバーダインに代表されるロボティクス・ベンチャーや数々のスタートアップが集結している。東京とつくばを結ぶほぼ中間地点には、三井不動産が中心となった開発を進める次世代都市地区「柏の葉スマートシティ」があり、ここでは、自動車の運転をスマート化するスタートアップ「スマートドライブ」の実証実験が実施されたことでも記憶に新しい。

柏の葉スマートシティの中心部、つくばエキスプレスの駅周辺には、柏の葉オープンイノベーションラボ(Kashiwa-no-ha Open Innovation Lab、略称:KOIL)があり、毎年ここを会場として「アジア・アントレプレナーシップ・アワード(AEA)」が開催されている(昨年の模様にこちらから)。

昨年のイベントの記事をご覧いただいた読者は、AEA が日本で開催される典型的なスタートアップ・カンファレンスとは少し毛色が異なることに気づくだろう。ピッチに登壇するのは、IT に特化したサービスに限定されず、基礎技術から重工業の需要を対象とした製品まで分野は多岐にわたる。

今年の AEA は5月24日~26日に開催されるが、イベントに先立って、AEA の目的や開催までの経緯について、三井不動産ベンチャー共創事業部事業グループ長の松井健氏に話を聞いた。

AEA はこうして生まれた

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東京・秋葉原とつくば学研都市を結ぶ、つくばエクスプレス(略称:TX)が開通したのは2005年のこと。次第ににその周辺には、技術を冠したベンチャー企業が集まり始めた。三井不動産は柏を中心に不動産開発を進めてきた兼ね合いがあり、2010年前後からこの地域のベンチャー企業の活動を支援したきたが、そんな中で松井氏らには、気になることがあった。

つくばエクスプレスの沿線には技術が多くあり、ベンチャー企業を応援するためにベンチャー支援団体も作った。しかし、彼らは日本国内の市場しかみていないというか、大きなエクスパンションを見ていない人が多かった。もっと言えば、あまり欲が無い。(松井氏)

数あるベンチャーをもう一歩向こうのステージへと推し進められないかと思案する中で、松井氏は同じような考えを持つ人物に出会った。東京大学教授の各務茂夫氏だ。アジアの熱い風を日本のベンチャーコミュニティに送り込めないかと考えていた各務氏と松井氏らが手を組み、約1年間の準備期間を経た2011年、桜の咲く頃に柏の街にアジアのベンチャーが十数チーム集まった。AEA の誕生だ。

今年で4回目を迎える AEA への参加条件は、工学産業系やテクノロジー系のベンチャーであること。また、未上場で設立から5年以内である必要がある。

日本の強みはテクノロジーベンチャーだが、残念ながら支援がつきにくい。そこを応援していきたいというのが AEA の狙いだ。

日本では起業してから7〜8年して鳴かず飛ばずでも許される気運があるが、アジアだと、もう大きくなっているかつぶれているかのどちらか。そのスピード感を持ち込みたかった。そこで、イベントはすべて英語でやることにした。プレゼンテーションにも同時通訳はつけないことにした。(松井氏)

AEA にはアジア12の国と地域から、各国の大学や研究機関の起業家支援者による推薦や予選を勝ち抜いたベンチャー企業30チームが集まり、上位入賞を目指して、互いの技術やビジネスモデルを競い合う。

ネットワークこそ宝

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昨年の AEA 2014 で優勝した T.Ware(シンガポール)のチーム。

AEA に参加するベンチャー企業30チームは、前夜祭を含めるとファイナル・プレゼンテーションが行われる最終日まで4日間にわたって、ほとんどの時間を同じ屋根の下で過ごすことになる。そこから生まれる人的ネットワークに、後々にビジネスを大きくする上での大きな価値を見出すチームは少なくない。

1位賞金の200万円というのも大きい。1位〜3位入賞者には、KOIL などの2年間無料使用権も授与している。しかし、彼らにとって、何よりもここから生まれるネットワークこそが宝です。

エントリーしてくるベンチャー企業の第一のモチベーションは、自分たちの力だめし。世界の中で、自分たちの技術やビジネスが、どのくらいの位置にあるのか、というのを知りたがっている。第二に、日本市場へのマーケットエクスパンション。

ベンチャー企業のイベントへの招聘にかかるコストはスポンサー企業からの協賛金で賄っており、どこまで続けられるかわからないが、小宮山さん( AEA を主催するフューチャーデザインセンター最高顧問で、三菱総合研究所理事長)とは、歯を食いしばって最低10回位まではやりたいなぁ、と言っています。(松井氏)

入賞したベンチャー企業のその後を見てみても、AEA がアジア各国の起業エコシステムに好影響を与えていることが窺い知れる。2012年の AEA に参加したフィリピンの Neugent Technologies(防犯カメラ録画技術)は準優勝の座に輝き、同社の共同創業者 David Cruz 氏は AEA からの経験で得られた自信を胸に、さらに複数の会社を起業し、切り盛りするようになった。

KOIL と TX を母体とする TX Entrepreneur Partners(TEP)のメンター組織「グローバルパートナープログラム」が手を貸してくれるので、参加チームは日本への市場エントリのみならず、アジア各国への進出においても、ローカル市場への紹介や方法論の手ほどきを受けることができる。

三井不動産のベンチャー投資

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三井不動産のコワーキング・スペース「Clipニホンバシ」 (同社ホームページから)

三井不動産は去る4月、スタートアップを始めとするベンチャー企業への投資活動を担ってきた担当部門「ベンチャー共創事業室」を「ベンチャー共創事業部」に格上げし、31 VENTURES(サンイチベンチャーズ)として事業を本格始動した。言うまでもなく、31 VENTURES の名前は〝ミツイ〟に由来するが、三井不動産のビルがある日本橋や霞が関はもとより、都内各所にベンチャー支援オフィスを31カ所作りたい、という目標を掲げている。

最近では、ユーグレナが組成したリアルテック向けの20億円ファンドへの出資、スマートロック「Akerun」との提携による空きオフィス有効活用事業などは記憶に新しい。

不動産会社がスタートアップやベンチャー企業を支援する背景には、その企業が将来成功した際のオフィス需要に期待を寄せているのも事実だが、それ以上に、不動産という目に見えるアセットを生かして、事業創出にどれだけ貢献できるか挑戦している、という見方ができる。オフィスを持たない企業は皆無であり、大会社であれ、中小企業であれ、不動産会社にはお世話になるわけで、不動産会社の持つ企業ネットワークの広大さには計り知れないものがある。海外では、香港の不動産コングロマリット Swire Properties が自らインキュベータを始めており、日本の不動産会社からもこのような動きが出てくるのに期待したいところだ。

なお、来週開催される AEA 当日の模様は、THE BRIDGE でも現地からお伝えする予定だ。お楽しみに。