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Japan Startup Awardにノミネートされた3つのEコマースアプリ、MONOCOとrinkakとBASEを比べてみる

※本稿は、Mona Nomura(もえ/@mona)によるゲスト寄稿だ。彼女はサンフランシスコ・ベリアで育ち、ロサンゼルスに短期滞在しながら、ニューヨークで約11年生活した。これまで、常にテクノロジー、スタートアップのメンタリングやアドバイスに関わってきた。最近、東京に移住し、日本での生活を初めて楽しんでいる。イベントで彼女を見かけたら、ためらわずに声をかけてほしい。 この記事は英語で書かれた記事…

Mona Nomura※本稿は、Mona Nomura(もえ/@mona)によるゲスト寄稿だ。彼女はサンフランシスコ・ベリアで育ち、ロサンゼルスに短期滞在しながら、ニューヨークで約11年生活した。これまで、常にテクノロジー、スタートアップのメンタリングやアドバイスに関わってきた。最近、東京に移住し、日本での生活を初めて楽しんでいる。イベントで彼女を見かけたら、ためらわずに声をかけてほしい。


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この記事は英語で書かれた記事を日本語訳したものです。英語版の記事はコチラから
本稿は、Japan Startup Award にノミネートされたスタートアップのレビューの一部だ。
検索やレコメンドは、特にEコマースにおいては難しい分野だ。過剰な情報にさいなまれる中、我々のニーズにマッチする情報を見つけるべく技術開発が続けられている。ユーザは、自分よりも先に、サイトやサービスが欲しいものを見つけてくれることを期待する(例えば、Amazon や Netflix のレコメンド・アルゴリズムのように)。これは住む場所に関わらず解決を必要とする問題で、スタートアップが消費者ニーズに取り組む上で、そこには大きなビジネスチャンスが存在する。

MONOCOrinkak は、デザイナーを消費者と結ぶことを標榜している。日本版の EtsyFab と考えればよいだろう。一方、BASE は、Squarespace、Shopify、Strikingly のローカル版との言える。ここで紹介する3社は、今日の日本のEコマースで興味深いスタートアップであり、海外のEコマースが直面しているのと同じ難題を解決しようとしている。

MONOCO

monoco-screener-280x227MONOCO は、限定販売のファッションや工芸品を販売するEコマースサイトだ。商品は世界中のバイヤーによって集められる。同サイトは2012年4月から運営されており、これまでに約87,000人のユーザと、世界中に1,100人のデザイナーを擁する。

販売期間と数量が限られているだけであれば、他のフラッシュサイトと MONOCO は同様に説明できるかもしれない。しかし、サイトを見てみれば、この見せ方に意味があることがわかる。

ログオンすると、プロが撮影した高品質の写真によって出迎えられる。商品は注意深く選定されており、マグ、電話アクセサリー、ハンドバック、洋服など、よくある品物にユニークな一ひねりが見受けられる。多くの商品を見ているうちに、我を忘れて画面をスクロールしてしまうことだろう。

プロダクトのページは、ユーザ登録が完了していないと価格が表示されない。ユーザ登録を促す上で、極めて賢明なやり方だ。

販売期間と数量が限られていることで、ユーザに早く購入しなければという心理状態を生み出し、プロダクトの販売がうまく回転し、デザイナーを露出することにつながる。レコメンデーションとは異なり、新しい商品を見せることで、ユーザが頻繁にサイトを訪れてもらえるようにしている。

MONOCO は7月に、シリーズAラウンドの資金調達を発表している。調達金額は明らかにされていない。

rinkak

rinkak-screener-280x172rinkak は、Shapeways 日本版とも言える 3D プリントのマーケットプレイスだ。9月に公開された。

すべての人に、自分のプリントデザインの 3D データが販売できるプラットフォームを提供する。Shapeways と同様に、プラスティック、陶器、金属など、さまざまな材質のプロダクトを扱う。

3D プリンティングは、ようやくアーリーアダプターの枠を越えて、ユーザを集め始めたようだ。2007年に設立された Shapeways は、先頃、Andreessen Horowitz からシリーズCラウンドで3,000万ドルを調達、これまでの通算調達金額は4,730万ドルに上る。リアルのショップとニューヨークには配送センターを開設し、3D プリンティングのアプリの開発を促進すべく API を公開、アメリカのスタートアップ界では、明らかに 3D プリティング・マーケットプレイスのリーダー的存在だ。rinkak をやろうとしていることは、Shapeways と似ているのか、似ていないのか、楽しみに見守りたいところだ。rinkak の詳細は、我々の 9月の記事(英語のみ)を参照してほしい。

BASE

日本版 Shopify と称される機会が多い BASE は、モバイル決済を実現したいという、創業者のビジョンに基づいて開発された、マーケティング・プラットフォームだ。これまでに473万ドルを調達しており、チームは12人から20人に増えた。同社の CEO はこの一年間で5万件の小売業者が加入したと述べており、前回のインタビューでは毎月の成長率が10%に上ると述べている

同社の急速な成長は、日本の中小小売業者が楽天や Amazon 以外の Eコマースソリューションを求めている証拠だ。BASE のユーザの70%はスマホからアクセスしており、これもまた、日本のEコマースの動きが変化していることを物語っている。

以下で、BASE のプロモーションビデオをチェックできる。

火曜日の夜の Japan Startup Award で、これら3社のスタートアップに幸運があることを願いたい。

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〈東京スタートアップ・オフィスツアー〉MONOCOの新ショールームを訪ねて

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※この記事は英語で書かれた記事を日本語訳したものです。英語版の記事はコチラから。 本稿は、「東京スタートアップ・オフィスツアー」シリーズの一部だ。 最近、フラッシュ・セールを展開するeコマースサイト MONOCO がフジ・スタートアップ・ベンチャーズから資金調達したニュースを取り上げた(調達額は非公表)。その際、同社は渋谷にショールームを開設することを明らかにしたが、ありがたく我々は招待を受けるこ…

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※この記事は英語で書かれた記事を日本語訳したものです。英語版の記事はコチラから

本稿は、「東京スタートアップ・オフィスツアー」シリーズの一部だ。

最近、フラッシュ・セールを展開するeコマースサイト MONOCO がフジ・スタートアップ・ベンチャーズから資金調達したニュースを取り上げた(調達額は非公表)。その際、同社は渋谷にショールームを開設することを明らかにしたが、ありがたく我々は招待を受けることができた。MONOCO は世界中のデザイナーが調達したアイテムを販売するが、その商品の一部をこのショールームで見ることができる。ショールームの開設によって、MONOCO はオフィススペースを拡大したが、美しい家具が配置されているので、仕事に適した場所を見つけるのは大変かもしれない。

読者の多くは、MONOCO が以前、Flutterscape という名前だったことをご存知だろう。MONOCO の共同創業者で CTO の Ari Awan 氏に、ビジネスを変更した経緯について聞くことができた。彼によれば、その理由は非常にシンプルだったようだ。

Flutterscape を2011年2月にスタートしましたが、(一年後の)2012年の2月には、うまく行かないとわかったんです。ユーザ成長はよかったのですが、取引数や売上が伸び悩んでいました。そのままでは新たな資金調達は難しく、何か手を打たなければならなかったんです。

Flutterscape は、インディーのデザイナーやメーカーに製品を輸出してもらう C2C モデルだった。しかし、この市場は次第に大きなものではなくなった。同社のアドバイザーの一人が、Ari に Fab を一つの可能性があるモデルとして紹介した。同社は既に多くのデザイナーを集めていたので、B2C の領域に転換できると考えたのだ。

言うまでもなく、ビジネスは往々にしてシンプルなものではない。Ari は新しいビジネスを経営陣に説明したが、経営陣は乗り気ではなかった。Ari は特に背が高くないものの、ケンカの相手にはしたくないような雰囲気を醸し出す人物だ。後に起こるかもしれない悪いことに備えて、このとき彼の本領が発揮された。

週末、経営陣をオフィスに集め、誰かがなんとかしなければ、会社が潰れてしまうと言いました。外部には公表せず、2週間かけて MONOCO の開発を進めました。MONOCO で商品の販売を始めたところ、運営しているのが我々(=Flutterscape)だと気づく人はいませんでした。MONOCO 2週間分の売上は、Flutterscape の一年分に匹敵するものでした。

現実を目の当たりにして、もはや MONOCO へのピボットは、経営陣が反対する話ではなくなった。MONOCO には合計8.7万人のメンバーが居て、平均的なユーザの年齢層は25〜40歳だ。1,100人を超えるデザイナーと提携し、その多く(約1,000人)は日本国外に居る。結果的に、MONOCO が扱う5万点に及ぶ商品の多くは日本国内では販売されておらず、デザイン好きの消費者が他に無い商品を求めて MONOCO を訪れるようになった。5万点を超える商品のうち、人気があるのはファッション・アクセサリー、Tシャツ、ポスター作品、スマートフォン・アクセサリーなどの分野だ。

MONOCO のイベントにはデザイン業界から多くの人が参加していたが、Ari と CEO の柿山丈博氏が、ショールームを披露した金曜の夜に謝辞を述べた。Ari は MONOCO のミッション・ステートメントとして「広くデザイン・コミュニティに尽くしたい」と述べた。

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Monoco CTO, Ari Awan

従来からあるデザインの小売やサプライチェーンを破壊する存在として、我々を見る人たちも居ます。確かにそういう側面もあるでしょうが、我々の狙いは、人々のデザインに対する既成概念を取り払うことです。デザインについて話す人が増えれば、デザインに対する人々の意識も高まるでしょう。その意識が広まれば、デザイン業界全体の市場規模も大きくなると考えています。

MONOCO がそのミッションを達成する道のりに注目したい。これまでの発展を見る限り、彼らの将来に望みを見出せない理由はないだろう。

以下に、このイベントでの写真を掲載した。ショールームでは、多くのデザイン商品がスポットライトを当てて紹介されていた。

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CEO 柿山丈博氏

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デザインコマースのMONOCOがフジテレビと連携へーーフジ・スタートアップ・ベンチャーズからの出資も

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会員制のファッションアイテムを販売するMONOCOは9月13日、フジテレビ系列のスタートアップ向けファンド、フジ・スタートアップ・ベンチャーズからの出資を受け入れると発表した。 出資額などの詳細は非公開で、今後両社はテレビ番組での協業やオリジナル商品などの共同制作や販売などを計画するとしている。また、9月27日にはリアルショールームとなるMONOCO Showroomもオープンが予定されて…

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MONOCOで販売されている商品例

会員制のファッションアイテムを販売するMONOCOは9月13日、フジテレビ系列のスタートアップ向けファンド、フジ・スタートアップ・ベンチャーズからの出資を受け入れると発表した。

出資額などの詳細は非公開で、今後両社はテレビ番組での協業やオリジナル商品などの共同制作や販売などを計画するとしている。また、9月27日にはリアルショールームとなるMONOCO Showroomもオープンが予定されている。

MONOCOは順調に成長しているようだ。

MONOCO代表取締役の柿山丈博氏をインタビューしたのが(※リンク先はCNET JAPANでの取材記事)2012年の4月。FlutterScapeからの転換を模索してMONOCOを立上げたばかりの頃で、そこから約1年半の時間をかけて今年7月にはKDDIとの数億円規模と予想される業務資本提携にこぎ着けた。

以前この記事にも少し書いたが、MONOCOはイベント販売の手法で、提携するデザイナーの「大量生産の既製品でもない、しかしながら一品ものほどの敷居の高さもない」というポイントを突いた商品群を提供しているのが特徴だ。

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MONOCOで販売されている商品例

柿山氏に現在の状況を聞いたところ会員数は8万人に到達、売上はまだ非公開ながら、提携デザイナー数は国内外で1,100名、総取扱商品点数は5万点を超えたのだそうだ。スタート時には5名だった社員数も現在22名にまで拡大している。

今回のフジテレビとの連携もこういった基盤が整いつつある状況での展開のひとつなのだろう。ただ、柿山氏に具体的な協業の内容について聞いたがまだ検討中のものが多いとのことだった。

さておき、MONOCOにとってはお手本のような存在となるのが米Fabだ。こちらも先日、伊藤忠商事等から500万ドルの資金調達を経て2014年の日本上陸を計画中と発表している。少し古い情報だが、TechCrunchが昨年6月にCEOのJason Goldbergへインタビューした内容をみると、2012年の販売商品点数は180万点予想、売上は1億4000万ドルを目標にしているのだという。

KDDIに続いてフジテレビという大型のパートナーの後ろ盾を得て、MONOCOは今後どのような勝負をかけていくのだろうか。

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メディア化するECが変える「発見」と「体験」

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「10万店舗を超えたときに面白いことが起こると思うんです」ーーある会食でBASE代表取締役の鶴岡裕太氏と家入一真氏にたまたま出会い、最近の状況を聞いたらこんなことを話してくれた。 リリースして約3カ月、勢いはそのままに2月20日現在の店舗数は1万5000店舗を超えたそうだ。毎月5,000店舗を積み重ねるとして、この「面白いこと」は17カ月後に起こることになる。 ここ数カ月だろうか、ECのような、ソ…

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「10万店舗を超えたときに面白いことが起こると思うんです」ーーある会食でBASE代表取締役の鶴岡裕太氏と家入一真氏にたまたま出会い、最近の状況を聞いたらこんなことを話してくれた。

リリースして約3カ月、勢いはそのままに2月20日現在の店舗数は1万5000店舗を超えたそうだ。毎月5,000店舗を積み重ねるとして、この「面白いこと」は17カ月後に起こることになる。

ここ数カ月だろうか、ECのような、ソーシャルネットワークのような、それでいてメディアのような形態をいくつか複合したサービスが好調だという話を耳にする機会が増えた。ビジネスモデルもマーケティングやシステム課金、ECの手数料やアフィエイトなど様々で、これも複合している場合が多い。

海外では、EtsyやFab、Fancyといったマーケットプレースぽいもの、ソーシャルネットワーク上で公開したコンテンツに課金ができるPheedも一時期少し話題になったし、ECではないけれど送客機関としてのPinterestやTumblrは華麗なコンテンツ製造装置として大きくユーザーを獲得した。

国内でも大型の調達をしたiQONや、スマートフォンとマーケットプレースの複合的なフリルは注目されているし、前述のBASEやStores.jpなども単純なショッピングカートとは少し雰囲気が違う。何よりこれだけサービスが溢れる中、彼らが支持を集めて成長している事実は注目すべきだろう。

一見すると多種多様なカテゴリのようだが、私はこれらのサービスにある共通点があるのではと考えるようになった。それが「発見」と「体験」に関するものだ。そのことについて具体的なサービスを挙げて考察してみた。

型番商品「以外」の発見方法ーーMONOCOの「コンシェルジュ」的発想

Fabが伸びている。総額で1億7,100万ドルを調達し、TechCrunchが昨年6月にCEOのJason Goldbergへインタビューした内容をみると、2012年の販売商品点数は180万点予想、売上は1億4000万ドルを目標にしているのだという。

そして日本国内で同様の手法を展開するのが、MONOCOを運営するフラッタースケープ代表取締役の柿山丈博氏だ。

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MONOCOはFab同様、刺激的な商品を毎日「イベント」という手法で販売する。柿山氏みずから足を運んで交渉し、見つけてきた数百人のデザイナーからもたらされる商品は、大量生産の既製品ではない。しかしながら一品物のような敷居の高さもない、丁度いいポイントを狙っている。Fabと手法は同じでも商品は国内デザイナーのテイストが生きたものになっている。

彼らはこの商品をコンテンツにまとめ、クローズド会員に向けてメールやサイトを通じて毎日「お勧め」する。

世の中は物にあふれている。「突き刺さる位にエッジが立ってなければ勝てない」ーーそう語る柿山氏が重要なポイントと考えるのがバイヤーの存在だ。ほぼ外国人で組織されたMONOCOのメンバーは毎日ヘッドホンで大音量をかけながら、自分がイケてると信じる商品をイベントに仕上げ、クローズドの会員に向けて販売する。現在は毎日6〜7イベントを開催し、常時500〜1000点の商品がサイトに並ぶようになった。

柿山氏は彼らのことを「コンシェルジュ」的な存在とみる。ただ物を探してきて整理してまとめる人ではなく、自信を持ってお勧めする人。結果、彼らの売上は順調に成長し、1日に100万円以上を売上げる日も出てきた。

ファッションは文字では探せないーーiQONのファッションディスカバリー

iQONを公開直後に見たとき、私は女性誌を思い浮かべてそれに関する質問ーー例えばiPadに対応させるのかとか、女性誌のマーケットを狙うのかとかーーそういう話をした覚えがある。そして今、彼らが提供するiPhoneアプリは雑誌の体験性を「再現」していると思っている。

パラパラと女性誌(私は男性なので男性誌だが)をめくった時に発見できる体験や感動。iQONにはPC版に小さなキーワード検索窓がついているが、スマートフォンアプリには見当たらない。あくまでイメージをタッチすることで自然と絞り込みができるようなフローになっている。

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雑誌の再開発が電子書籍を示す場合もあるが、本当の意味で「雑誌の体験性」を再現しているのは、このiQONのような「イメージによる発見」を実現しているサービスだと思う。そしてさらにスマートフォンというモバイル環境の制約も大いに考慮すべきだろう。文字よりもタッチするだけでイメージと出会える世界観の方が圧倒的に有利だからだ。

ここから導線を貼った店舗では月間で2000万円を売り上げた店も出てきているというから、おそらくここでの偶然の出会いはより雑誌のそれに近づいているのだろう。しかも雑誌をみて、店舗に足を運んで、というのではない。その場で買ってしまうのだ。文字で検索して価格を比較して、店舗で手にとってネットで買う。そんな導線設計もよく語られていたが、ここの流れはそうではない。きわめて直感的な動き方だ。

そういう視点で周りを見渡すと、文字で検索できない商品はごまんとある。ファッションだけでない、イメージからものを見つけて(イメージ検索ではない)自分の趣味にあった物との出会いを作り出す。ここには大きなビジネスチャンスがまだまだ潜んでいると思っていいだろう。

BASEが売っているものは商品ではなく「体験」

現在、楽天に出店している店舗数は約3万9000店舗(※1)、ショッピングカート大手のカラーミーショップを導入している店舗は3万6800店舗(※2)だという。前述の通り、昨年11月末に立上がったBASEは1万5000店舗にまで伸びている。しかしこの比較は正しいだろうか。

BASEというサービスをどうみるか、色んな意見があって面白い。安い(というかタダなんだけど)ショッピングカートという人もいるし、ホームページ作成サービスの亜流のような捉え方、Gumroadのようなコンテンツ指向もあるし、Etsyのようなマーケットプレースかもという話もある。

私はTumblrに近いと思っている。楽天やショッピングカートとの比較に違和感はあるけど、Tumblrのようなプラットフォームと比較すればあまりおかしく感じない。なぜか。彼らが作っているのがショッピングページというよりはコンテンツに近いからだ。彼らは同じくポータルを持たない。

以前私はこのような記事を書いた。彼らに近しい友人が「エビストラップ」や「自画像」を販売している。ひとつは手渡しで、ひとつは売ってるにも関わらず、ダウンロードが可能だった。真面目に文章で書くのもアレだが、このことに関連して家入氏が「モノというネタを通じてコミュニケーションを楽しんでいる」と話していたのが印象的だった。

彼らはポータルを持っていないので、BASEで売っている商品を探すことは出来ない。探す必要がないからだ。全く文脈を知らない人がいきなり似顔絵を出されても訳が分からないし、購入なんてしないだろう。あくまで購入という行為は販売者と近い関係にある人から広がった「輪」に存在する。

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そうやって小さい輪から口コミで広がり、例えばこの「自分の名前を入れた和歌を作ってくれる」ショップは数十件の注文が入って現在注文を止めているそうだし、「月間で数百万を売上げるショップも出てきている」(鶴岡氏)という結果につながっている。

友人のTumblrを眺めているとたまに感動的なモノに出会うことがある。コメントをしたりリブログしたりリアクションする。BASEはこの体験の上に「買える」というアクションが追加されたものではないだろうか。

ーーーこれらのサービスは文字で商品を検索させ、値段という数字で比較をさせない。イメージを駆使し、自分の価値観を人に勧める。モノによるコミュニケーション、買ったことへの話題づくりという体験を付加価値にビジネスしようとしている。このような「メディア化するEC」サービスはこれからも出てくるのではないだろうか。

※1:※2012年度実績 出店店舗数 約39,000店舗
※2:導入店舗数3万6,800店舗。国内主要ショッピングカートASPサービス中首位。(2012年3月末時点「主要ショッピングカート利用状況調査」)
出典:(株)日本流通産業新聞社「日本ネット経済新聞2012年5月24日号」/カラーミーショップサイトより

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