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シード期の「波乗り」に優れた4社、彼らの資金調達方法とは

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スタートアップにおける初期のマイルストーンにPMFがあります。いわゆるプロダクトが自走する段階で、市場がその価値を認めてサービスを利用・購入し、かつ、オーガニックにその利用数が伸びていく状況です。KPIは明確で、経営陣はもとよりチーム全員が毎日何をやれば自社の資産が積み上がるか理解しています。P/LよりもB/Sが積み上がるイメージです。 一方でここまでに至るには、市場の痛みを発見し、そこに対して誰…

Photo by Gary Barnes from Pexels

スタートアップにおける初期のマイルストーンにPMFがあります。いわゆるプロダクトが自走する段階で、市場がその価値を認めてサービスを利用・購入し、かつ、オーガニックにその利用数が伸びていく状況です。KPIは明確で、経営陣はもとよりチーム全員が毎日何をやれば自社の資産が積み上がるか理解しています。P/LよりもB/Sが積み上がるイメージです。

一方でここまでに至るには、市場の痛みを発見し、そこに対して誰よりもよい体験を提供しなければなりません。ここ最近大きく話題になった音声ソーシャルの市場は日本国内でも数年前からあるあると言われながらなかなかトレンドには至っていませんでしたが、コロナ禍における人恋しさやClubhouseのバイラルの巧みさなどが相まって一気にトレンド入りしたのはご存知の通りです。

市場ペインや提供体験、そしてトレンド・テクノロジーなど複雑すぎるほどの変数がピッタリと重なるタイミングを見つけるのは本当に奇跡です。スタートアップが難しいと言われる所以はここにあります。

では起業家はどのようにしてこのタイミングを見つけるのでしょうか。ひとつの答えに「波が来るまで待つ」という方法があります。シード期に必要な資金はチーム構成にもよりますが、業務委託など含めて4〜5人を回すにはやはり年間で最低でも数千万円必要になります。飴を舐めながら我慢してという方法もかつてはありましたが、今はステージも変わっています。

そしてこのシード期には明確な「終わり」があります。つまり、資金が尽きた時です。

私はここ1カ月ほど幾つかのスタートアップを取材したのですが、それぞれのプロダクトの素晴らしさはもちろん、同時に彼らは「波の待ち方・乗り方」が大変優れた数社でもありました。ここにケーススタディを共有することで、これから起業する方の参考になればとまとめてみようと思います。

圧倒的な総合力で間合いを詰めたLayerX

LayerX社内での開発風景(写真提供:LayerX)

ブロックチェーンという可能性が語られ出したのはやはりビットコインによるトレードが大きかったのではないでしょうか。一方で、この自律分散の仕組みが実際に社会実装されるまでには数年の時間を要することになりました。ここにチャレンジしているのがLayerXです。

Gunosy共同創業者である福島良典さんを中心にLayerXを設立したのは2018年8月。GunosyとAnyPayによる合弁会社で、両社が50%ずつを出資し福島さんが代表取締役社長に就任しました。その1年後の2019年7月に福島氏は1株3万円でGunosyが保有する5,000株の内4,500株を譲受するMBOを実施(その後、AnyPay保有分も経営陣にて買取)しています。この時開示されたLayerXの2019年3月期決算状況は売上高1億400万円で営業利益100万円、純利益は0円でした。

福島さんが独立した際、どのようなプロダクトでこの自律分散の技術を社会にデビューさせるのか、私も含め多くの人が興味を持っていたのではないでしょうか。当時はビットコインの大きな暴落などがあり、いい意味で変な熱狂が去った後です。DiFiやDEXなどのプロダクトを予想していましたが、彼らが取った戦略は協業や合弁会社を作る、というものでした。

MBOを成立させた直後の2019年11月には三菱UFJフィナンシャル・グループと協業し、翌年4月には三井物産らと共同で三井物産デジタル・アセットマネジメント(三井物産 54%、LayerX 36%、SMBC日興証券 5%、三井住友信託銀行 5%)を設立しています。

ここで証券のデジタル化(STO)を推進するサービス・プロダクトをリリースするのかと思いきや、出てきたのはもっと現実味のある「業務デジタル化」に関連するものでした。資産管理サービスにおける差別化は手数料です。業務を効率化すれば手数料を軽減させ、競合との差別化要因にすることができます。これを実際にJVを作り、アセットマネジメントの業務に関わる実務を「自社ゴト」として経験し、そこで得られた非効率を改善するというアプローチを取ったのです。

そしてここから生まれたのが請求書業務の「受け取り」を効率化するサービスでした。LayerXインボイスを自社の資産管理業務だけでなく、より幅広い企業のペインにも対応するものとしてデビューさせたのです。

こうしてLayerXは創業から約3年という期間に「請求書AIクラウド LayerXインボイス」によるDX(デジタルトランスフォーメーション)事業、ブロックチェーン技術を活用した不動産・インフラなどのアセットマネジメントを三井物産デジタル・アセットマネジメントと共同で推進するMDM事業、ブロックチェーンや秘匿化技術の技術開発、社会実装などを長期目線で研究開発する「LayerX Labs」の運営という3つの柱を立てることに成功しました。今年3月には共同代表制に移行して体制もモリモリ強化しています。

LayerXの3年間はこうやって言葉にすると綺麗ですが、実際どこまでを計画して動いていたのかはわかりません。ただ近年のスタートアップの中では抜群のタイミングで事業を組み立てた例であることは間違いないと思います。

意味のある受託で波を掴んだ3Sunny

3Sunnyが公開しているカルチャーデック

いやいや、ファンタジスタ福島さんたちのプレーは参考にならないよ、という方もいらっしゃると思います。私もそうです。そこでお聞きいただきたいのが3Sunnyのケースです。こちらについてはポッドキャストでも語っていただいていますが、創業のタイミングで全く地の利のない業界(しかも非常に難しい医療分野)へのチャレンジをされています。さらにリクルートやグリーなどの大手を経験したメンバーで30代後半のスタートアップというそれなりにバーンが高いチームです。

どうやってシードを乗り切ったのでしょうか。

彼らの創業が2016年7月でANRIからの出資金が2,000万円でした。ヒットをようやく掴んだCAREBOOKの誕生が2018年5月、この状況をみてANOBAKAが追加出資に応じたのが2018年12月(5,000万円)なので、創業からの約2年間は最初の出資金である2,000万円でやりくりしなければなりません。ただ20代の学生起業家ならいざしらず、30代家庭持ちを加えた構成ではまあ、無理でしょう。

答えは受託なんですが、やり方が興味深かったです。創業しているメンバーが3人いらっしゃって、代表の志水文人さんが新しいプロダクトについて考える役で、それ以外の2人の取締役が資金が足りなくなりそうになると「どこからか」関連する仕事をとってきてくれていたそうです。その額は1億円を下らないそうで、結果、CAREBOOKはトレンドの波を掴んで浮上に成功します。あと、志水さんたちテレアポがすごく上手だったというのも聞き逃せない重要スキルと感じました。

受託がよいという話ではありませんが、創業メンバーがもし1人とかだとこういったチームプレーができません。また、創業メンバーがそれぞれ自分ゴトとして取り組んでいなければ「外らからカネを引っ張ってくる」という感覚を持てないかもしれません。特にシード期の投資サイドが「チームを見る」と言われる所以かなと。

応援団と一緒に旅をするアル

画像クレジット:「プロセス・エコノミー」が来そうな予感です」より

B向けのサービスで受託開発をきっかけに業界内ペインを探しつつ、プロダクト化に成功する事例がLayerXと3Sunnyであれば、 C向けはどういうケースがあるでしょうか。メディアビジネスのように、まずはユーザーとインプレッションを最大化させてNo.1を取り、そこから広告などのビジネスを展開する「Jカーブ」タイプのモデルが一般的とされてきました。一方、同じような戦略を取る企業が増えてしまい、いつまでカーブを堀つづけるのか分からない不安に駆られるケースもあると思います。

そういう意味で、漫画さがしアプリ「アル」を展開する古川健介さんの「プロセスエコノミー」はひとつのモデルだと思います。メディアによるアフィリエイトなども多少はあると思いますが、それ以上に際立った方法が「アル開発室」というコミュニティの存在で、そこでは毎日、自分たちの開発に関わるエピソードやノウハウをメンバーに共有することで、それを会費という形の売上にしています。現在は非公開のようですが、月額980円で私が拝見した数週間前には2,000人ほどの参加者がいらっしゃいました。

彼らは常時接続ソーシャルの「00:00 Studio」も展開しており、クリエイターや漫画好きがロイヤリティの高いファンとして存在しています。彼らに対して参加できる場所を提供し、一緒に応援してもらいながら開発を続けている、というわけです。学生起業家で最近取材した動画関連事業のTranSe(トランス)さんも同様の方法を採用していたので、C寄りのサービスでロイヤリティの高いファン層から集める方法としては今後、メジャーになるような気がしています。

社内ベンチャーからステップしたMyRefer

社内ベンチャー制度から3年でスピンアウトしたMyRefer(写真は切2018年のもの、一番左が代表取締役の鈴木貴史氏)

LayerXにも似た手法なのですが、ここ最近スピンオフ(連結から外れて独立)の話題をポツポツと聞くようになりました。事例としてはMyReferやミラティブなどがあり、親会社の連結を外れて切り出した後にスタートアップ資金を注入する方法が一般的なようです。連結を外れることで柔軟な資本政策・業務提携を可能にし、かつ、スピンアウトのように切り出した子会社のままではなく明確に上場(外部資本のイグジット)を目指す点が特徴になります。

MyReferについてはこの記事で詳しく書いておきましたが、初期はパーソルホールディングスの社内ベンチャーとして2015年に創業し、1億円の資金とパーソルブランドの信用を背景にビジネスを展開します。3年ほどの事業展開で370社10万人の導入実績が付いたことからスピンアウトとして切り出し、外部資本として当時のグリーベンチャーズ(現在のSTRIVE)とパーソルHDが出資する形で再スタート。この判断は正しく、今年3月にはシリーズBの大型調達に成功しています。

この方法の魅力はやはり大資本・信用力でビジネスが展開できる点です。一方、ガバナンスなどを社内ベンチャーとして積極的に切り分ける方法を上手にやらないと、スピード感のない「起業ゴッコ」で終わる怖さもあります。

大企業の新規事業のあり方は「社内、買収、オープンイノベーション」と言われています。この中で難しいとされるのが社内なんですが、実は大企業には優秀な人材が多く在籍しており、単にやり方が整ってなかったのではないかというのが私の最近の仮説です。この件については別途取材しているものもあるので、またどこかでまとめてみたいと思います。

ということで、シード期の乗り切り方を幾つかのパターンでまとめてみました。色々な立場で新規事業に取り組まれていると思いますが、何かの参考になれば幸いです。

※補足:タイトルに「資金調達方法」としていますが、増資によるものではなく、新規事業を立ち上げるために何らかの方法で資金を引っ張ってっくるという意味合いで付けています。一応補足までに。

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スピンアウトから6億円増資へーー700社採用の「MyRefer」に見る大企業の新しい事業の作り方

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ニュースサマリ:リファラル採用プラットフォームのMyReferは2月25日に第三者割当増資の実施を伝えている。引受先になったのはグローバル・ブレイン、博報堂DYベンチャーズ、STRIVEの3社。調達した資金は6億円でラウンドはシリーズB。出資比率が株価などの詳細は非公開。調達した資金は人材採用、プロダクト開発、マーケティングに投資される。同社の累計調達額は9.6億円となった。 MyReferは企業…

写真左から三人目:MyRefer代表取締役の鈴木貴史さん

ニュースサマリ:リファラル採用プラットフォームのMyReferは2月25日に第三者割当増資の実施を伝えている。引受先になったのはグローバル・ブレイン、博報堂DYベンチャーズ、STRIVEの3社。調達した資金は6億円でラウンドはシリーズB。出資比率が株価などの詳細は非公開。調達した資金は人材採用、プロダクト開発、マーケティングに投資される。同社の累計調達額は9.6億円となった。

MyReferは企業が社員の人的な繋がりを使って新たな人材を紹介・獲得する「リファラル採用」を活性化させるクラウドサービス。リファラル採用を始めたい企業の人事担当は紹介してくれる社員をクラウド上で登録し、それら社員が自分の知り合いに採用情報を紹介してくれた活動を把握することができる。人事担当はこういった活発に会社のことを紹介してくれる社員を「ファン」として捉え、その度合いに応じたリワード(インセンティブ)の提供などを実施することができる。

2015年からサービスを開始し、現在の利用は大手含め700社、40万人の従業員に上る。同社によるとこのプラットフォームを通じて生まれる転職・就職マッチングは年間2,000名以上で、今回の増資を機にさらに機能を拡充したHR Techプラットフォームへと進化させるとした。

話題のポイント:2015年からいち早くリファラル採用を主軸に事業展開してきたMyReferさんがシリーズBの増資を成功させました。C;lubhouseで久しぶりに代表の鈴木貴史さんと雑談混じりにお話しましたが、積み上がっている実績がいつもの謙虚な声にも出ていましたね。

MyReferの特徴はリクルーティングに関わるリワードと社員エンゲージメントの設計です。鈴木さんもお話されてましたが、通常、こういったリファラル採用にいわゆるインセンティブ設計だけを持ち込んでもうまくワークしないそうです。社員の半数以上はシンプルに友人の役に立ちたいという気持ちがあり、ボーナス的な魅力は11%程度ということでした。結果としてのインセンティブは嬉しいですが、それ自体が目的になると確かにいろいろ歪みそうです。

ポイントはストーリー設計で、社員一丸となって企業価値向上を目指して一緒にやろうよという考え方がしっかりと共有・発信できている企業はリファラル採用に強い印象があります。MyReferではこういった活動に貢献してくれている社員エンゲージメントを社員の活動履歴や興味関心、係数で可視化してくれる、というわけです。

一方、やはり大手中心にまだまだ導入のハードルは高いようです。度々高額な手数料が問題になる紹介などに比較してROIがよいのは確かで、人事採用の担当者レベルではやりたいものの「社員を巻き込む」という一点で社内の決済フローが従来の求人広告やダイレクトリクルーティングなどと異なるケースがあるのだとか。確かにソーシャルメディアの活用は想像の斜め上を行く結果をもたらすことがあるので、企業としてのルール整備が難しいのはなるほどと。

鈴木さんたちが持ち込んでから2年越しで導入になったケースもあるようなので、カルチャー含めてじわじわ変わってどこかで一気に動くパターンになるんでしょうね。

彼らが狙うHR Techの市場は採用・転職(求人広告や紹介エージェント)で1兆円のポテンシャルがあるというお話です。リファラル関連ではビジネスソーシャルのWantedlyが年成長5.9%の約30億円(2020年8月期)、エンゲージメント領域ではカオナビが四半期ベースで年成長29.4%の8.8億円(2021年3月四半期)なので、金額規模はまだまだですが成長率で見るとやはりゲームチェンジャー候補になるのは間違いなさそうです。

MyReferが発表したプラットフォーム構想。エンゲージメント領域が強化される印象

リファラル活動を通じて社員のエンゲージメントデータが蓄積されると、当該人材のジョブ・ディスクリプションなどの情報と合わせて、その人が定量的に可視化されていきます。MyReferでは社員の繋がりをベースにHR Tech領域でのプラットフォーム構想を発表していますが、この辺りは多くの競合が狙っている市場でもあるので、またどこかで全体像をまとめたいなと思います。

スピンアウトからシリーズBへ

MyReferを語る上でもう一つの視点が大企業における新しい事業創出の方法と「ジレンマ」についてです。鈴木さんがサービスを考案した2015年当時、リファラル採用という言葉はあるものの、人材市場におけるネット・クラウドの活用は随分と進んでいる状況でした。リクルートが求人リスティングのIndeedを買収したのが2012年ですから、リファラル採用は手法として目新しいものの、タイミングとしての見極めは難しかったのではないでしょうか。

実際、鈴木さんもスタートアップ的に外で独立してプロダクトドリブンに勝負するやり方ではなく、パーソルホールディングスの中の社内起業の仕組みを使い、2015年に1億円の出資金で事業をスタートさせます。大変面白いのはこの後です。

順調に事業が伸びると企業としては当然、そのまま連結の対象として置いておきたくなるはずです。一方、主力の求人広告やエージェントの事業とどこかでバッティングする可能性も出てきます。そこで選んだ方法がスピンアウトでした。当時の取材でもお話されている通り、出資比率は非公開ながらパーソルの連結や持ち分法適用に当たらない独立性を担保した形での切り出しです。

新会社として切り出し、改めてそこに対してグリーベンチャーズ(現在のSTRIVE)とパーソルHDが出資する形で2018年に3.6億円の増資を実施しています。ここでさらに痺れるのがU-NEXTの宇野康秀氏個人が出資している点ですね。鈴木さんも計画とか戦略の提出だけでは無理だったと当時を振り返ってお話されていましたが、このレベルは確かに経営陣がかなり気合い入れたんじゃないでしょうか。外出しするにも関わらず、設立に当たってはパーソルHDの経営企画から財務、子会社など30名規模で手伝ってくれたそうです。

結果、700社40万人が利用するサービスに拡大しているので、当時の経営陣の判断は正しかったと言えるでしょう。MyRefer自体も現在、40名規模だそうですが、これを倍増させる予定だそうです。

大企業が新規事業を作る際、内部で作るか外から買ってくるか、外の企業と協業(オープンイノベーション)するかで大きく分かれると言います。しかしこのMyReferのように内部で作ってスピンアウトし、かつ、現在のスタートアップエコシステムとうまく連携させることができれば、また新しい手法として定着するかもしれません。

※本稿はClubhouseでの取材内容をご本人に同意いただいて記事化しています

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リファラル採用で「自社をおすすめしない社員」は1割、3,000社の声からみえた“実態”と4つの成功フロー

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先日、私たちは400名以上の人事担当者を対象にしたアンケート結果を公表しました。 採用難が続く昨今、多くの担当者は新たな採用手法の検討だけでなく、会社の本質的な課題まで考える必要が出てきていると回答しています。 ニュースレターの購読 注目すべき記事、世界のスタートアップシーンの話題、BRIDGE 主催のイベントに関する情報をお届けします! Sign Up 一方、新たな手法として注目度が増している「…

photograph of men having conversation seating on chair
Photo by Helena Lopes on Pexels.com

先日、私たちは400名以上の人事担当者を対象にしたアンケート結果を公表しました。

採用難が続く昨今、多くの担当者は新たな採用手法の検討だけでなく、会社の本質的な課題まで考える必要が出てきていると回答しています。

一方、新たな手法として注目度が増している「リファラル採用」についても、その導入の現場においてよく聞かれるのが「うちの社員は帰属意識が低いから…」といった不安の声です。

私はリファラル採用の導入を支援する「MyRefer」というサービスを2015年に開始し、これまで3,000社以上の企業で社員が社員を呼び込む「社員のファン化」という現象を直近に拝見してきました。

image3.png

その経験とデータから見えてくるリファラル採用の実態は実は次のようなパターンに大きく分類されます。

  1. アクティブな社員:1割・・・進んで友人に声がけをする、会社へのロイヤルティが高くSNSなどで積極的に自社の情報をシェアする
  2. パッシブな社員:8割・・・進んで声がけはしないが、転職を考えている友人が周りにいたら紹介してもいい
  3. ネガティブな社員:1割・・・自社をおすすめしたくないから、そもそもリファラル採用をしたいと思えていない

自社を積極的に友人におすすめするアクティブな社員がいなければリファラル採用の促進が難しいと考えてしまいがちですが、実はリファラル採用の8割は「たまたま前職の同期と飲んだときに仕事の悩みを相談された」といった受動的な機会から紹介するケースがほとんどなのです。

つまり、リファラル採用を促進させるためにはこの「8割を占めるパッシブな社員」がおすすめしたくなるような組織創りが重要になってきます。重要なポイントは次の4つです。

  • 隠れている「自社ファン」の特定
  • 自社ファンをチームにする
  • 透明性の高いコミュニケーションプラン
  • 人を動かす「ストーリー」

#1 リファラルにおける自社のファン、隠れファンの特定

まずは前提でお話した社員の構造を理解した上で、自社のファンや隠れファンを特定することから始めます。ファン社員は自社を積極的に友人に語ってくれているアクティブ層、隠れファン社員は、自社を積極的に友人に語ることはないが、機会があればおすすめするパッシブ層になります。特定の方法については、下記2つのアプローチがあります。

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  • 過去のリファラル採用の紹介状況を分析し、積極的に声をかけてくれているアクティブ層、積極的ではないが、友人からの相談の機会に受動的に紹介してくれているパッシブ層を特定する
  • 社内アンケートやサーベイからリファラル採用に協力的である社員を抽出し、アクティブ層、パッシブ層を特定する

#2 ファンを巻き込んだプロジェクトチーム組成(ファンの声回収)

次に手がけるのは特定したファン、隠れファンを選別したプロジェクトチームの組成です。人事だけでリファラル採用の制度設計するのではなく「自社をなぜおすすめしたいと思うのか?」ファン社員の生の声を聞くことが重要です。過去の紹介数や友人に紹介するときの自社の魅力ポイントに基づいて、ファンベース採用を実現する仕組みを構築します。

プロジェクトチームの体制としては、役職・性別・部門を交えて多様なメンバーを選ぶことで、より本質的な声を回収することが可能になります。

#3 透明性の高いコミュニケーションプランの設計

リファラル採用の促進にあたっては、採用に関わるあらゆる情報を透明性もって流通させます。特にパッシブ層に対し、いかに採用を「自分ゴト化」してもらうかが鍵です。そのためのコミュニケーションプランを設計し、自社の採用戦略から採用計画、チャネル施策、おすすめポイントや入社者情報などを共有していきます。

例えば自社の空きポストのみを共有しても、背景がわからなければ自分ゴト化することができません。

  • 今、自社の採用はどういう状況なのか?
  • そもそも何で募集しているのか?
  • どこのポストでどういうスペックの人に声がけすればいいのか?
  • 現状の採用チャネルは何を使っていて、リファラル採用はその中でどんな位置づけなのか?

つまり、みんなでファンを作って採用していくための前提としての背景情報を共有するのです。

#4 おすすめしたくなるストーリーを纏ったコミュニケーションプランの設計

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透明性の高い情報を受け取った上で必要になるのが「どうやって友人に紹介してもらうか」というHowの部分。ここでオススメするのがストーリーです。

説明的言語ではなく、Whyから始まるストーリーをもった感情的言語は語り手(社員)本人の推奨度を高め、そして聞き手(友人)の共感を高めていくことができます。さらに、ストーリーは人間の脳に長期記憶として残ります。

例えば、子どもを教育するときには、説明的にくどくど説教されるより、『アリとキリギリス』の童話を読み聞かせるほうが納得感があって記憶にも残ります。つまり、社員自身のエンゲージメントを高めておすすめを促進し、友人の意向を高めるためには、人の心を動かし共感を得るストーリーが不可欠なのです。

いかがだったでしょうか。

冒頭でも申し上げた通り、今、日本では2030年に向けて明らかな労働人口の減少が指摘されています。持続可能な企業の成長を考える上での採用、組織戦略は経営企画の喫緊の課題です。私たちはリファラル採用を通じて社員をファンにし、ファンをベースに会社を創っていくことがそのソリューションになると信じています。

<参考情報>

本稿はリファラル採用活性化サービス「MyRefer」を提供する株式会社MyRefer代表取締役社長CEO、鈴木貴史氏によるもの。Twitterアカウントは@takafumi_szk。12月10日に「社員をファンにするおすすめしたい会社創り」をテーマにしたmeetupイベント「Fanbase Recruiting Meeting」を開催予定。くわしくはこちらから。

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パーソルHDから独立したリファラル採用「MyRefer」がグリーV、宇野康秀氏などから3.6億円調達、創業時点で370社10万人の導入実績

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リファラル採用サービスのMyReferは8月6日、グリーベンチャーズ、パーソルホールディングスの2社とU-NEXTの宇野康秀氏(個人)を引受先とする第三者割当増資を公表した。調達した資金は総額3億6000万円で払込日や出資比率などの詳細は非公開。 ニュースレターの購読 注目すべき記事、世界のスタートアップシーンの話題、BRIDGE 主催のイベントに関する情報をお届けします! Sign Up MyR…

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リファラル採用サービスのMyReferは8月6日、グリーベンチャーズ、パーソルホールディングスの2社とU-NEXTの宇野康秀氏(個人)を引受先とする第三者割当増資を公表した。調達した資金は総額3億6000万円で払込日や出資比率などの詳細は非公開。

MyReferはパーソルグループの社内起業コンテストを経て独立したスピンアウト1号案件。同社代表取締役の鈴木貴史氏に確認したが、出資比率は非公開ながらパーソルの連結や持ち分法適用に当たらない独立性を担保しているという説明だった。

法人としての設立は2018年8月1日になるが、リファラル採用サービスの「MyRefer」は運用を開始して約2年半が経過している。パーソルグループ内で集まった十数名が運営しており、これまでに獲得したクライアント数は370社。リファラル採用サービスとしてこれら企業の約10万人が利用している。

MyRefer_001

いわゆる「社員紹介」による採用促進サービスで、社員が誘った友人がリファレンスをサービス内に書いた時点でその社員にギフトチケットがもらえる仕組みなど、気軽に声かけできる仕組みも提供されている。また、採用管理のシステム(ATS/アプリカント・トラッキング・システム)と連動しているため、登録された紹介者の情報や前述のリファレンスがそのまま採用時に使えるのも特徴。

紹介者となる利用社員の数によってサービスの利用価格が変動する年額課金の方式。60万円から400万円ほどの価格帯が設定されている。なお、鈴木氏の話では特にアルバイトの採用に強みを感じているという。例えばアルバイトの出入りが激しい外食産業で、導入して約1年ほどで240名ほどの採用実績が出た事例もあるそうだ。

今後同社は増資した資金で人材採用およびマーケティングを強化する。

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