タグ 特集:マイクロツーリズムの世界

Amazonが提供するオンラインツアー体験「Amazon Explore」

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ピックアップ:Amazon launches a virtual tours and experience platform, Amazon Explore ニュースサマリー:Amazonは9月末、体験型プラットフォーム「Amazon Explore」を発表した。同プラットフォームはオンライン体験・ツアーサービスを予約・購入できるマーケットプレイスで、現在は同社に承認されたホストのみがサービス公開…

日本の観光コンテンツも・Image Credit : Amazon Explore

ピックアップ:Amazon launches a virtual tours and experience platform, Amazon Explore

ニュースサマリー:Amazonは9月末、体験型プラットフォーム「Amazon Explore」を発表した。同プラットフォームはオンライン体験・ツアーサービスを予約・購入できるマーケットプレイスで、現在は同社に承認されたホストのみがサービス公開可能な状況だ。

話題のポイント:Amazon Exploreは、オンラインツアリズム市場に乗り出したAirbnbの「Airbnb Experience」と非常に近いUXを提供しています。Amazon Exploreでは、価格帯を最低10ドルから最大で210ドルのレンジで公開しておりその経験の貴重さで値段の調整がされているようです。もちろん街中を巡るバーチャルツアーも数多く提供されていますが、Airbnb Experienceと同じように例えば異国のカルチャーを学べる経験「コスタリカでのコーヒー生産の仕組み」や「日本酒を日本のバーから学ぶ」など、まさに実際の観光ツアーが組まれそうなコンテンツもあります。

小売りのプラットフォームであるAmazonにてこうした「体験サービス」を立ち上げられるようになれば、いずれはマーケットプレイスに参加する小売企業から個人まで、幅広い人が教育・旅行・小売など多岐にわたる分野で体験サービスを立ち上げられるようになるはずです。実店舗の売上が厳しくなっている中、店舗からライブ配信をして、その場で商品を世界中に売るようなライブ配信ショッピングのような形にまで手を伸ばせる大きな可能性を秘めています。

今までも、例えばPrime Dayなどではライブ配信で商品の実演と販売を実施するなど動画と商品購入を結びつける動きはありました。しかし、あくまでAmazon Exploreは「経験」をすることが前提にあり、それに応じた商品購入フローが用意されているという点から両者は一線を画すと言えるでしょう。Amazonがオンライン体験に乗り出したことで、Airbnbなどにどういった影響を与えていくのか気になります。

共同執筆:「.HUMANS」代表取締役、福家隆

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Airbnbが正式にIPO申請へーー生まれ変わったエアビーの強さ

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ピックアップ:Airbnb Announces Confidential Submission of Draft Registration Statement ニュースサマリー:Airbnbは現地時間19日、SECに対しIPO申請に必要な手続きを開始したと発表した。同社は今までもIPOが近いと噂されていたが、パンデミックへの対応に追われ、時期が不明瞭なままであった。具体的な株式発行数や公募価格は公…

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Brian Chesky氏はTwitterで創業した際の取材記事をTweetしていた(8月12日)

ピックアップ:Airbnb Announces Confidential Submission of Draft Registration Statement

ニュースサマリー:Airbnbは現地時間19日、SECに対しIPO申請に必要な手続きを開始したと発表した。同社は今までもIPOが近いと噂されていたが、パンデミックへの対応に追われ、時期が不明瞭なままであった。具体的な株式発行数や公募価格は公表されていない。

話題のポイント:まだSECへ申請を開始した段階ではあるものの、昨年から噂され続けていたAirbnbがついにIPOに関して正式リリースを出しました

Airbnb創業者でCEOのBrian Chesky氏が先日同社の創業12周年を迎えた11日にエモーショナルなツイートをし、IPOの発表が近いことを匂わせていました。それから約1週間後、正式にIPO申請の発表となったわけです。

パンデミックの深刻さがわかり始めた3月頃より、Airbnbを含めUberなどのシェアエコはその特質上逆風を受け続けてきました。

関連記事:COVID-19で逆風にさらされるAirbnb

Airbnbも予約されていた旅の多くがキャンセルとなり、ユーザーへの全額返金対応を強いられていました。また、キャンセル続きによって収入源となったホストへ向け総額1700万ドル規模の救済基金を立ち上げるなど、旅が回復するまでエコシステムを存続させるため、あらゆる施策を講じてきています。

そうした中、7月中旬には4カ月ぶりに100万以上の宿泊予約を記録。「人の移動」に伴うAirbnbの利用シーン復活の兆しが見えつつあり、また、ホームページの仕様も長期滞在のオプションを前面に出すなど、能動的な利用機会の増加にも努めています。新機能「Kindness Card」のように、今まで泊ったことのあるホストとの結びつきを強めプラットフォーム内で「再来訪」が生まれるフローを作り出そうとする動きもそういった活動のひとつです。

3月時点でAirbnbはキャッシュフローの観点や将来的な不安定要素が多く、IPOに踏み込めない状況でしたが、なんとか盛り返したようで何よりです。無事、株式が公開されることを祈ります。

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Airbnbはいまどうなっている?ーー新施策「Kindness Card」は、ゲスト再来へのきっかけになるか

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ピックアップ:Airbnb is getting ripped apart for asking guests to donate money to hosts ニュースサマリー:Airbnbは新しいCOVID-19対応策「Kindness Card」を開始している。この取り組みは、ゲストが過去に宿泊したことのあるホストに寄付(ドネーション)ができるというもの。対象となるゲストには、メールで通知が…

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Photo by John-Mark Smith on Pexels.com

ピックアップ:Airbnb is getting ripped apart for asking guests to donate money to hosts

ニュースサマリー:Airbnbは新しいCOVID-19対応策「Kindness Card」を開始している。この取り組みは、ゲストが過去に宿泊したことのあるホストに寄付(ドネーション)ができるというもの。対象となるゲストには、メールで通知が届いて寄付に参加できる仕組みを取る。過去に4つ星・5つ星のレビューをしたホストにのみ「Kindness Card」を送ることが可能だ。

話題のポイント:COVID-19対応で、Airbnbはあらゆる対応をホスト・ゲスト両者に向けて施してきました。今年3月には、医療従事者向けに無償で宿泊先を提供し、合計2万件以上のホストが協力を申し出る結果となりました。また、ホストの救済を目的とした「スーパーホスト救援基金」では創業者であるBrian Chesky氏を含む従業員が中心となり総額1700万ドルを寄付金として用意し話題となりました。

さて、新たな施策「Kindness Card」はホストの金銭的・精神的な手助けを目的として始まっています。しかしSNSでは、高評価を出したゲストですら「なぜゲストがホストに寄付しなければいけないのか?」という批判も出ている状況です。

実際のところ「寄付」の部分はオプショナル(メッセージのみでホストへ送れる)なため、お金を添えなくても構いません。また、「Kindness Card」という名前からもわかる様に、どちらかといえば「感謝と応援」を直接メッセージで送れる機能がメインだと言えるでしょう。

AirbnbはCOVID-19に関わる理由に限り、ゲストへキャンセル料を課さない対応を提供してきました。そのため、ホスト側にとっては本来予定されていた収益が完全になくなる日が続いているのが現実でしょう。

そうした意味では、今回の新施策「Kineness Card」は将来的なゲストの再来へ繋げる目的が大きかったのではないかと思います。Airbnbからのメールにも「We hope these cards will make hosts smile, and bring a little joy your way」と記載のあるように、あくまで過去に宿泊したホストとゲストとのコミュニケーションの入り口を提供するというスタンスで、ホストの損失をゲストへ負担の強要しているわけでは全くありません。

さて、今月14日にAirbnbは4カ月ぶりに100万泊以上の宿泊予約を記録したことを公開しています。そうした予約の特徴には「都会以外」が多いことを挙げており、ソーシャルディスタンスを意識した新しいAirbnbの形が生まれ始めていることが分かります。

つまり、今までのAirbnbは「~という街を観光するからAirbnbを利用する」というユーザー行動が一般的でした。しかし現在はむしろ、「このAirbnbの家に泊まりたいから、~という街に行ってみよう」と逆のフロー化しているケースが増えてきているように感じます。

そうなると、今まで以上に気に入ったAirbnb施設があれば積極的にホストとコミュニケーションを取り、また訪れたいという気持ちが強くなることは間違いありません。だからこそ、遠く離れたホストとフランクに繋がれる「Kindness Card」は経済的援助という側面以外で役に立つことが想定されます。

確かに、考え方次第ではお金を送れる機能が備わったことでゲストがホストを助けることを強要しているような誤解が生まれてしまいました。しかし、Airbnbが向かいつつある方向性からも分かるように「Kindness Card」はあくまで「再来訪」の入り口としての役割を期待した施策なのだと思います。

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Airbnb創業者の言葉で辿る「旅の新たな価値創造」

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ピックアップ:Interview with Brian Chesky ニュースサマリー:Airbnbの共同創業者Brian Chesky氏は4月下旬、トラベルスタートアップメディアSkiftとのオンラインインタビューに臨んだ。この中で同氏はCOVID-19対策で同社が講じている施策や、トラベル市場の今後の展望を中心に今後の展望を語っている。 ※こちらの記事の内容はPodcastで聞くことも可能です…

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オンラインインタビュー(左からAirbnbのBrian Chesky氏・Skift創業者のRafat Ali氏)

ピックアップ:Interview with Brian Chesky

ニュースサマリー:Airbnbの共同創業者Brian Chesky氏は4月下旬、トラベルスタートアップメディアSkiftとのオンラインインタビューに臨んだ。この中で同氏はCOVID-19対策で同社が講じている施策や、トラベル市場の今後の展望を中心に今後の展望を語っている。

※こちらの記事の内容はPodcastで聞くことも可能です。

話題のポイント:Airbnbは5月5日、全従業員の25%を占める1900人程度のレイオフを実施することを発表しました。同社ブログにChesky氏が従業員へ送った「レター」を公開するという形で話題になっています。

今回取り上げたインタビューは、同社がレイオフ実施を発表するより約2週間ほど前のものです。5日に公開されたレターでは当初、Airbnbとしてはレイオフを議論にしていなかったという記述がありますが、インタビューを通して聞くと、Chesky氏はこの時点である程度レイオフの決断を決めていたのだろうなと思わせる回答が続いていました。

原点回帰

インタビューは冒頭の、「(COVID-19による)危機によってビジョンが縮小(contract)しましたか?それとも逆に拡大(expand)しましたか?」という質問で、同社創業時の「human connection」を大事にするビジョン「Travel like a human(人間らしく旅をしよう)」が今後どう変化していくのか?について問われるところから始まります。

Crisis gives you clarity why you do what you do.「危機に直面すると、いったい自分が何に向かって今この取り組みをしているのか、改めて気づかせてくれます」(Chesky氏)。

彼は今現在の「成功」していたと思われるAirbnbは順調すぎたことで、自由に選べる選択肢を持ちすぎていたと語っています。「Airbnbはそもそも、不動産やトラベル市場の開拓や問題解決をするために始まった会社ではなく、『human connection』を満たす何かを探した結果である」と、創業時のストーリーを示し、今回の危機を機に、改めて始まりの頃のスタンスへ目線を向きなおすといった覚悟のメッセージを示していました。

つまり、多岐に渡っていた同社のプロジェクトを一度縮小し、改めて創業時ベースの想いに沿った事業へ原点回帰を考えているのだろうなと個人的には感じました。当然ですが、それに伴うレイオフは避けられないということです。

禁じられた「Human Connection」から見えるもの

Chesky氏はコロナ後・共存の世界だからこそ、「Human Connection」を感じられる環境価値は高くなるだろうという考えを示しています。そもそも、この言葉はいわゆるサブスクやD2Cなどのトレンドワードではなく、人間が生まれながらにして持っている性質であり、禁じられれば禁じられるほど、求めることが意欲的になっていくと話しています。

もちろん、今現段階においてはソーシャルディスタンスを取ることが重要なため、今まで私たちが定義してきたような「human connection」の欲求を満たすことは避けるべきです。だからこそ彼は「人類史上初めて禁じられたその欲求を満たすためにあらゆる手段を考え、その解決策を講じる時間を与えられている」と考えるべきだとしています。

確かに、私たちがCOVID-19によって他者との接触がネガティブなものであるとレッテルを張られた結果、例えばZoomを通して会話をしたり、なんとかして誰かと繋がっていたい欲求を満たすソリューションを考えに考え続けた約2カ月間を過ごしています。

しかし、彼はそうしたオンライン上のみの「human connection」はこれから先もずっと続くとは思わないという見解を示しています。だからこそ、「human connection」の本質を考え、本当に大切なものは何だったのか?という問いを世界的に考えるタイミングであるといえるのです。ちなみにChesky氏は本当に大切なものは、家族、友達、恋人など他者と自身の関わり合いと示しています。

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Airbnbが開始したオンラインアクティビティ

Air bed and Breakfast、変わりゆく「旅」のリーダー

Chesky氏は2008年、投資家に向けてAirbnbの前身となる「Air bed and Breakfast」のピッチをする際、必ず言われた言葉があると語っています。

「Hey Brian!経済がこんなにも落ち込んでいて、成功するのが確実なスタートアップにも投資できないこの状況で、どこの誰がAir bed and breakfastに投資すると思っているんだい?!」。

そして彼らの言葉は全く間違ってないとしながらも、「不況」だからこそ忘れてはいけないポイントが2つある、そう述べています。

  • In a recession, people are gonna be looking for new ways to make money.
    (不況時、人間は新しい稼ぎ方を見つけ出す)
  • In a recession, you are gonna see many major shifts – multi decades transition is gonna happen in weeks.
    (不況時、数十年・数百年の単位で変化を遂げるはずだった事柄が、たったの数週間で変化してしまう)

では、COVID-19による不況はどのように世界がラディカルに変容を遂げるポイントとなるのでしょうか。 まず、彼は次世代の旅における価値観は以下のように変化を遂げるとしています。

smaller city, smaller community. smaller cowed, but more intimate. NOT BAD THING.(小さな都市へ、小さなコミュニティーとの関わり合いに。そして、より混んでいない場所が理想となるが、今までより一つ一つの出逢いが親密なものとなっていくだろう。そんな世界も悪くはないさ)。

また、旅という概念は常に変化を遂げてきたものだったと歴史を振り返っています。第二次世界大戦後、旅というものは当初ラグジュアリーなカテゴリーでした。しかし、ひとたび世界経済が発展するとビジネストラベルが旅行業界の重要なセクターへと変化を遂げました。

確かに、昔から旅という考えはあれど、その都度市場を牽引するドメインは変わっていたのです。Airbnb自体も、同社の法人向け事業は大きなビジネスドメインとなっていました。今後の流れとしては、全員に当てはまらないとしながらも以下のような考えを示しています。

The more you stay home, the more you desire to leave home… People started to think I don’t need to live in this city to do this job,  I can live any city to do this job. (StayHomeすればするほど、人間は家を離れたくなる(中略)そして人は、ある特定の場所に定住する必要性を問いだすのだ)。

現在のAirbnbはCOVID-19以降、30日以降のロングタームステイにプラットフォーム構造を切り替えています。

ショートステイ中心だったAirbnbにとって、ロングステイへの変換は大きな出来事です。私は当初、彼らが創業当初に思い描いていた「人」を中心とした「belonging and connection」とは限りなく違う方向性へ歩みだしたのではないかと考えたことがあります。

しかしインタビューを聞く限り、彼にとってはそんな「ズレ」などなく、これも歴史が辿ってきた「旅の変化」のひとつなのかもしれません。

オンラインエクスペリエンスが成功した理由

Airbnbは「#StayHome」が世界的に始まってから、同社のホストによるアクティビティー事業を完全にオンライン限定の方向へとシフトしました。Chesky氏によれば、このアイデアはそもそもホスト側からの提案であったことを明かしています。このオンラインエクスペリエンス事業は同社プロダクトの中で最も成長スピードが早いプロダクトとなったことも明かしています。

要因として、価格とそのシンプルな内容が釣り合ったことを挙げています。そもそも、トラベルは「High-consideration purchase(高価な買い物)」で、旅の予定を立てフライトやホテルを取り、当日まで幾多の準備期間を経てやっと体験できるものでした。

しかし、オンラインエクスペリエンスは「Lower-consideration purchase」に該当するものです。精神的な決断に加え、価格的にもフィジカルなエクスペリエンスが平均50ドルほどだったものが、オンライン化することで平均17ドルほどまでに抑えられたことが成長の要因だとしています。

この点に関しても、彼が思い描くこれからの旅の形と辻褄があっていると感じました。Chesky氏は今後、ミレニアル世代やそれ以降の世代による、「Budgetトラベル」が主流になるだろうという考えを示しています。そのため、旅行体験がさらに身近なものとして広がるには、価格面で今までの水準を大きく破壊する必要があったのです。

ということで彼のインタビューからいくつかポイントを整理してみました。私はここ数日のAirbnbの動きで、今後の旅の形というものの輪郭がはっきりしてきたように感じています。

Airbnbのビジョン「Travel like a human(人間らしく旅をしよう)」と、コロナ後・共存の私たちの生き方を考えることはおそらく、同じ道筋にあるのだと思います。

以前の記事「旅が復活しても、もう違うものになるーーAirbnb「共同創業者からの手紙」が大切にしたもの」でも、今後の旅は自然と調和した「オフロード」となっていくとしました。ここからさらに踏み込んで、私たちの生活様式と旅の境界線は薄くなり、最終的には融合された形となって再び私たちの目の前に現れてくれるのではないかと信じています。

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旅が復活しても、もう違うものになるーーAirbnb「共同創業者からの手紙」が大切にしたもの

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ピックアップ:A Message from Co-Founder and CEO Brian Chesky  ニュースサマリー:Airbnbは5日、COVID-19による先行き不透明な経営状況のため約25%規模のレイオフを実施することを明らかにした。現従業員7500名の内、約1900名が対象となる。人員削減により、今後の主要事業転換に向け体制を整える狙いがある。 ニュースレターの購読 注目すべき記…

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ピックアップ:A Message from Co-Founder and CEO Brian Chesky 

ニュースサマリー:Airbnbは5日、COVID-19による先行き不透明な経営状況のため約25%規模のレイオフを実施することを明らかにした。現従業員7500名の内、約1900名が対象となる。人員削減により、今後の主要事業転換に向け体制を整える狙いがある。

COVID-19以降、Airbnbは医療従事者向けに住居の無償提供や旅行キャンセル者への100%の返金など対応に追われてきた。先月には10億ドルをデッドファイナンスにより調達したが、主要事業の絶対的利益減少によりレイオフが避けられない状況となった。

同社の今年度収益は2019年度の半分以下になると予想されている。

※こちらの記事の内容はPodcastで聞くことも可能です。

話題のポイント:AirbnbはCOVID-19以降、シェアリング事業者の中でも迅速に各方面への対応を進めている印象がありました。過去にも自然災害や人道支援の観点で取り組んできた住居の無償提供に始まり、急激なキャンセルにより経済的な困難に直面するホストへ向けた救済基金の設立、長期化を見据えた10億ドルの調達などできる限りの対応を進めていたと思います。

特に最大で5000万ドルの支援を実施するスーパーホスト救援基金は「Airbnbらしさ」を顕著に表した取り組みでした。総額1700万ドルの内100万ドルをAirbnb従業員、900万ドルを共同創業者で負担し、残りの700万ドルを投資家の寄付で用意。自社負担のホスト基金2億5000万ドルとは別で、Airbnbエコシステムに関わる全員が「寄付」という形で手を差し伸べたのがAirbnbらしさを物語っています。

Capture
エコシステムをステークホルダー全員で支える基金

みなさんはご存知でしょうか?

Airbnb立ち上げ当初のキャッチフレーズは「Travel like a human(人間らしく旅をしよう)」といったものでした。

今回公開されたBrian Chesky氏のレターでも言及されているように、Airbnbはもちろん旅に関わるプラットフォームですが、それ以上に、常に「人」を中心とした考えを持ち続けてきました。だからこそ「ビジネスライクにホストを救済する」と発表するだけでなく、繋がりを持つ全員が一丸となって助けようという姿を示したのだと思います。

加えて、今回のレイオフに際してもAirbnbは「完全な透明性」をベースに意思決定と情報伝達をしていくと強調しています。レイオフの詳細と仮定は公開可能な状態になる段階で隠すことなく全て公開するとしており、「部分的な透明性」は状況を悪化させるだけだという認識を示しています。

レイオフされる従業員へのアフターケアに関しても全てレター上にて明確に公開されています。簡単にまとめると以下の通りです。アフターケアを大事にする「人」を中心とした企業カルチャーがにじみ出ていることがわかります。

  • 退職金
    – 米国における従業員は14週間の基本給に加え、Airbnb勤務年数ごとに1週間の追加
    – 米国外における従業員は割いてでも14週間の基本給、加えて各国ごとに準じた追加金
  • 持ち株(ストックオプション)
    – 公平性担保のため過去1年間に雇用された従業員の株式行使期間(1年)の取り下げ
    – 退職者は全員5月25日に権利が付与される
  • ヘルスケア(健康保険)
    – 米国ではCOBRAを通じた12か月間の健康保険のカバー
    – 米国外では2020年内における健康保険のカバー
    – KonTerraを通じた4か月間のメンタルヘルスケアサポート
  • ジョブサポート
    – 退職者に向けウェブサイトを通じた新しい職場と出会う機会のサポート
    – 2020年度におけるAirbnb採用担当者の実質的退職者の新規職場探しサポート
    – 「RiseSmart」転職活動に特化したサービスを4カ月間にわたりサポート
    –  残り続ける社員による、退職者の新規職場探しサポートプログラム
    – 貸与していたラップトップPCの譲渡

さて、レターではBrian Chesky氏がAirbnbを創業した当初のキーワードを「belonging and connection(帰属と繋がり)」と表現しています。

Airbnb創業当初、同社の名前が「Air Bed and Breakfast」であったことは有名です。これは、エアベットと朝食が提供される簡易宿泊施設という意味で、まさにショートステイという「誰かとのちょっとした共同生活」を通し、人との繋がりを持つことが意図されていました。そして最終的には、現在の民泊という形へたどり着きます。

Capture
創業期のAirbnbサイトより

しかしまさに、COVID-19による世界的なソーシャルディスタンスでランダムな「人」との繋がりが実質的マイナスであるという概念が生まれてしまったのです。しかも、世界同時に。

現在のAirbnbはショートステイをプライオリティーから外し、ロングターム型民泊へとコンセプトを切り替え始めていました。もちろん。#StayHome が叫ばれる世の中でショートステイの需要がない分、ビジネス的に選ばざるえない選択だったのは明らかです。しかしこれは、創業当初に思い描いていた「人」を中心とした「belonging and connection」とは限りなく違う方向性へAirbnbが歩みだした瞬間だったのではと感じてしまいます。

Airbnbがその「らしさ」を捨てて全く違う企業へ生まれ変わってしまうのかといえば答えはNOでしょう。

同社も述べている通り、新型コロナショックによる売り上げは年次比較で50%以下が見込まれており、おそらく旅行業界をマクロ的に見ればそれ以上のマイナス成長となることは避けられません。だからこそ、まずはその時代を戦い抜くための、新しいビジネス構造をいち早く創り上げようとしているのは正しい選択です。

では実際どこまで、旅行市場は危機を迎えているのでしょうか。レターでは今までのような旅を取り戻すことはできないとまで言及してます。以下がその抜粋部分です。

  • We don’t know exactly when travel will return. (旅がいつ、ごく日常のものとして帰ってくるのかはハッキリしない)
  • When travel does return, it will look different. (仮に旅が復活しても、今までのそれとは違うものとなるだろう)

私もですが、みなさんも今までの日常はいつか帰ってきて、当たり前のように飛行機に乗り、全く違う文化の国へ旅をすることができるだろう、そうした思いがどこかにあったかもしれません。しかし、ホスピタリティー・トラベル業界をけん引してきたAirbnbがこうした考えを持っているとなると、やはり事態は難しい状況にあるのだと再認識させられます。

では、今後Airbnbはどのような形へシフトしていくのでしょうか。

上述したように、ロングタームへのシフトやオンライン型のエクスペリエンスなどコロナ後・共存の世界観に対応させた仕組みを作りを目指しているのは明らかです。しかしこの世界経済混沌な中、まだ具体的な方向性は定まっていないのが実情なのでしょう。そのため、人員削減はどうしても避けられない意思決定だったのです。

This crisis has sharpened our focus to get back to our roots, back to the basics, back to what is truly special about Airbnb — everyday people who host their homes and offer experiences. (日々、自宅を提供し特別な体験を提供するーー今回の危機は、Airbnbが真に特別としていたもの、そもそもの原体験に我々を引き戻させてくれた)

これは、レターにて述べられていた今後のAirbnbを形作っていくことになる一文です。「旅の形は変わりゆくある。しかしhuman connectionを求める人間本来の性質は変わらない。だからこそ、私たちは、原点に戻って『Travel like a human(人間らしく旅をしよう)』を応援していく」、そういった思いが込められていると感じます。

COVID-19により、あらゆる分野で常識と思われていたことが変化を遂げつつあります。

例えば、オフィスの必要性や都会に住むことの必要性が問われるなどが挙げられるでしょう。逆に言えば、東京など人が多く集まる場所にフィジカルに生活する意味合いを取り戻すことはもはやできないかもしれません。つまり、これから田舎や人の少ない過疎地域を中心に自然との共同生活様式が望ましいとする世界観へと変化していく可能性も大いにあります。

そうした意味では「Travel like a human (人間らしく旅をしよう)」というフレーズの最終地点は、自然との共同生活様式でライフスタイルを創り上げる(旅をする)と繋がっていくのかもしれません。

人間らしく旅をするーー。

観光地をバスで詰めに詰めたスケジュールで回りきることでしょうか。おそらく、その正解は上述した「自然」と共に生活しながら、忘れられない経験を見つけ出していくことにあるのだと考えます。

今までのメジャーな旅は、アスファルトで補正された「オンロード」な旅でした。

しかし、これからの世界では何も補整されていない自然な「オフロード」な中で、人間らしく旅をすることが日常に溶け込んでいくのではと思っています。

Airbnb共同創業者であるBrian Chesky氏が同様な考えを持っているかは定かではありません。しかし、適度に人とのつながりがあり、自然と現代社会が上図に調和された中で生きていくことは少なからず訪れる世界のフォーマットであると思います。

少なくとも、キャッチフレーズ「Travel like a human (人間らしく旅をしよう)」を基に、あのBrian Chesky氏らがAirbnbを率いている限り、同社はコロナ後・共存の世界でも「人」を中心として新たな生活様式を創り上げる中心にいることは間違いないと、信じています。

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長期滞在にリモートワーク利用、Airbnbに起こる劇的変化ーー資金はさらに10億ドルを調達

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ピックアップ:Airbnb Announces $1 Billion Term Loan ニュースサマリー:Airbnbは14日、COVID-19に向けた対策の一環としてシンジケートローンを利用した10億ドルの資金調達を実施したと発表した。リード投資家はプライベートエクイティーファンドのSilver Lakeが務め、BlackRock、Eaton Vance Corp、Fidelity Inves…

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Image Credit : Airbnb

ピックアップ:Airbnb Announces $1 Billion Term Loan

ニュースサマリー:Airbnbは14日、COVID-19に向けた対策の一環としてシンジケートローンを利用した10億ドルの資金調達を実施したと発表した。リード投資家はプライベートエクイティーファンドのSilver Lakeが務め、BlackRock、Eaton Vance Corp、Fidelity Investment、T.Rowe Price Group Incも参加している(総勢20以上)。

同調達はファースト・リーン(第一順位の抵当権付ローン)で実施される。つい先日には、今回のラウンドにも参加するSilver Lake、またSixth Street Partnersから同額の10億ドルを調達していた。このラウンドはセカンド・リーン(第二順位の抵当権付ローン)と株式で構成されている。

話題のポイント:Airbnbは今月始め、COVID-19に応じて長期滞在を受け入れるホストの割合が増加していることを同社ブログにて公表していました。それによれば、全体の80%以上がロングタームでの貸し出しを許可し、その内50%が長期滞在ディスカウントを提供しています。

今まで民泊のロングターム利用といえば、ビジネストラベラーを中心とした利用者層が割合を多く占めていました。「ビジネストラベラー版Airbnb」と称される2nd Addressや、Lyricなどは急激な成長を遂げ、また、ホテルの空き部屋等をマンスリーベースで貸し出すプラットフォームAnyplaceの成長も著しく、フレキシブルにワークベースを創り出す手段として注目されている状況です。

Airbnb本体にも、Airbnb for Workと称し、ビジネストラベラーに特化したサービスの展開を進めていました。しかし、今回のパンデミックで一気に「ビジネストラベラー」の需要は減り(物理的な移動を要するビジネストラベラー)、逆に緊急で中長期にわたり居場所を確保する必要が伴う層からの需要が増したことが伺えます。

Airbnb product screenshot showing a modal window that introduces host to a tool that that helps them set up their listing(s) for longer term stays.
長期滞在を促すポップアップ

さて、同社が医療従事者向けに住居の提供を始めていることに加え、例えば米国では、大学のオンライン授業への移行で寮が一時封鎖されるケースが目立ち始めています。それに伴った一時滞在の場所として賃貸契約が生じない民泊、Airbnbのロングターム利用へのシフトが大きく始まっています。

また、ビジネストラベラーは減少傾向にあるものの、AirbnbをWork From Home環境としてロングターム利用する需要が高まっている気配を感じます。例えば東京の物件では「リモートワーク向け」といった文言が強調され始めているなど、そうした需要の可能性をコミュニティーが感じ始めているのだと思います。

元々同社は「C2C型・ショートステイ」として目まぐるしい成長を遂げてきました。そのため、全てのステイをロングステイベースと変化を遂げていくには、企業・ホスト両社にとってカルチャーが大きく変わるターニングポイントとなりそうです。

同社は先日、今までホストがフィジカルに提供してきた「Airbnb Experience」を完全オンライン型にするなど、#StayHome の流れに積極的な貢献姿勢を見せています。

同社共同創業者であるBrian Chesky氏は「冒険し、だれかと繋がり、新しい経験をし、「家」という心地よい場所を持ちたいという欲求は何があろうと普遍的かつ永続的なものです。私たちが進むべき道はこれからも変わりません」とリリースで述べており、彼らの信念は何があろうと簡単には変わらないことが伝わります。

ホスピタリティー・トラベル業界が苦しんでいる中でも、総額20億ドルの資金を集めることができる強さはこの辺りにあると感じます。

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パッションエコノミーから考える「旅」の価値とスタートアップチャンスについて

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  旅の経験をもっと可視化することはできないでしょうか。 というのも、旅から得られる経験はオリジナリティー性が強く、個人に依存するため、旅人一人ひとりが価値を創出できる可能性を秘めていると感じているからです。また「旅のストーリーが個人を強くする時代」でも触れたように、パッションエコノミーの機運が高まるにつれその傾向はさらに強まると考えてます。 旅に出ることのハードルが低くなっていることも…

 

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Photo by Belle Co on Pexels.com

旅の経験をもっと可視化することはできないでしょうか。

というのも、旅から得られる経験はオリジナリティー性が強く、個人に依存するため、旅人一人ひとりが価値を創出できる可能性を秘めていると感じているからです。また「旅のストーリーが個人を強くする時代」でも触れたように、パッションエコノミーの機運が高まるにつれその傾向はさらに強まると考えてます。

旅に出ることのハードルが低くなっていることも要因のひとつです。(時期的には難しいですが)Airbnb・LCCの浸透で、金銭的にも思い立った時にどこか異国の地へ旅立つことが容易となりました。また世界300都市で利用可能なスーツケースの民泊「BagBnb」や、旅先にレンタル形式で必要な服を配達してくれる「TRVL Porter」が台頭してきています。これらにより、旅に出るための物理的な事前準備さえも必要なくなる未来が見えてきています。

<参考記事>

旅のアウトプットといえばYouTubeでVlogを残したり、記事ブログを書いたりすることが一般的です。もちろんそういった活動も、旅を通した価値の可視化であることに間違いありません。ただ、こういった手法では旅をした人の価値を社会に還元させる、とまではいかなさそうです。何らかの新たなアウトプット手法はないものでしょうか。

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Image Credit:PokemonGo

答えの一つとして、一世を風靡(び)した位置情報スタートアップ「Foursquare」の存在が挙げられます。同社は位置情報 × SNSの事業領域にゲーム性を付け加えることで、リアルRPGのような感覚を世界へ普及させました。ユーザーの位置情報を移動した後も所有し続ける環境をSNS上で整えたのです。今ではインスタのストーリーが彼らと同じ価値提供者になっていたり、NianticのPokemonGoもその延長線上と言えるでしょう

また、P2P型の旅人マーケットプレイスを提供する「TRVL」では「Together we’ve been everywhere」をビジョンに、旅のエキスパートが集まる市場となることを目指しています。同マーケットプレイスでは、旅のエキスパート(旅先に関しての知識が豊富)が個人のエージェントとなれ、旅へのアドバイス・予約までを担当しコミッションフィーを稼げる仕組みとなっています。今まで旅人を自称しTripAdvisorなどでコメントをたくさん書いていた層と考えると分かりやすいでしょう。

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もうひとつの答えとして旅を通じた人材を育成しようという動きもあります。日本のトラベルスタートアップ「TABIPPO」はちょっと変わったキャリア育成プログラムをスタートさせました。TABIPPOが昨年より実施する人材育成プログラム「POOLO」の定義は、「旅をした経験を社会に還元する、次世代を創るアンバサダーコミュニティー」です。まさに「旅 × パッションエコノミー」を体現したものと言えます。

具体的には、旅の経験が豊富な参加者が集まり、議論する場を通してグローバルで活躍すために本当に必要なマインドセット・スキルを共有していくプログラムとなっています。世界中を旅した個人だからこそ得られる価値観や視点ではないでしょうか。

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POOLOが考える旅を通じたグローバル人材の定義

さて、旅人がその場その時で感じたある場所での経験は、表現の仕方によっては身分証明書と同じような「信頼」になるのではと感じています。

いくつかのトラベル・スタートアップたちは旅人である価値を表現し始めています。パッション・エコノミーがこれからさらに注目されることになれば、その市場には魅力的なチャンスが生まれることになるのは確実でしょう。

しかしこの市場に特化したスタートアップは多くありません。先日a16zから発表のあった「The a16z Marketplace 100」におけるトラベル領域もそのほとんどが、OTAと民泊でした

とはいえ、私たちがAirbnbを既に珍しがらなくなったように、市場は既に新しい価値提供ができるサービスを求めています。この点において、パッションエコノミー文脈とつながりの強い、「旅の価値表現」は注目され始めるのではないでしょうか。

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旅行中のお部屋を「即現金化」するLeavy.co、そのカラクリを考えてみた

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ピックアップ:Leavy.co, the app for millennials who want to rent out their room while travelling, discloses $14M funding ニュースサマリー:パリに拠点を置くトラベルスタートアップ「Leavy.co」は26日、シードラウンドにて1,400万ドルの資金調達を実施したと発表した。リード投資家はPri…

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Image Credit: Leavy.co

ピックアップ:Leavy.co, the app for millennials who want to rent out their room while travelling, discloses $14M funding

ニュースサマリー:パリに拠点を置くトラベルスタートアップ「Leavy.co」は26日、シードラウンドにて1,400万ドルの資金調達を実施したと発表した。リード投資家はPrime Venturesが務めた。Index Venturesも同ラウンドに参加している。

Leavy.coは旅行者が旅に出ている間、自宅またはアパートメントを短期賃貸として貸し出せるプラットフォームを提供している。利用者は宿泊者とやり取りする必要なく、プラットフォーム上からオンデマンドで物件を探すことができる。鍵の受け渡しなどは該当地域の物件管理を担当するオンデマンド・ホストが代行する。

最大の特徴は、部屋を貸し出すオーナーの報酬受け取りまでの早さにある。同社では物件をリスティングした時点で代金が支払われる。そのため、貸し出すユーザーは旅に出る前に資金を手元に置くことが出来る。また、結果的に予約者が獲得できなかった場合でも、通常の金額がそのまま支払われる。価格自体は需要と供給に従った、ダイナミックプライシングによって設定される。

話題のポイント:Leavy.coのコンセプトは「旅するミレニアルを増やすこと」。しかし旅をするために多額の借金を背負っていては元も子もありません。このギャップを埋めるために「旅をしながら稼ぐ」手段としてLeavy.coのアイデアに行き着いたと同社のホームページで語られています。

たしかに旅をする = 普段住んでいる家が空くため、その部屋を民泊化する手段は真っ先に思いつくマネタイズ方法です。とはいえ、信頼できる友人がいるなら別ですが、貸し出すとなればトラブル対応に備えてその場にできるだけ居合わせたり、細かくやり取りをしなければならない煩雑さがありました。

そこでLeavy.coでは、アプリ内コミュニティーで気軽に「Hosts on Demand(ローカルホスト)」を募集する仕組みを作りました。オーナーはホストに諸対応を安心して任せられるため、思い立った際に気軽にリスティングできるサービス設計になっています。

また、ユーザー層にも特徴があります。Leavy.coのユーザー数は6万5000人を超え、そのうち60%がミレニアル世代の女性であるとのこと。Airbnbやその他民泊プラットフォームでは、家族が所有する自宅の一室やそもそも投機目的の部屋が主流ですが、若い女性向けの物件が出揃うことで、差別化が生まれていることが予想されます。

さて、2017年に創業したLeavy.coがたった約2年間でユーザー数6万を超えるまでに成長を遂げた理由として、冒頭で紹介した前払いシステムが挙げられます。

これ、一体どういう仕組みなのでしょうか。

上述通り、同社では物件の貸し出しの有無に関わらず、ダイナミックプライシングによって設定される価格をオーナー側へ支払う契約になっています。当たり前ですが、オーナーに対して予約者が付かずに一定額を支払い続ければ、ただ損失が積み重なるだけの仕組みです。

CEOのChaouachi氏もTechCrunchのインタビューにて「もし宿泊者を獲得できなければすべてのリスクは我々が請け負うこととなります」と語っています。裏を返せばリスティングされればほぼ確実に宿泊者が集まるという仮説で運営をしているわけです。

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Image Credit: Leavy.co

ここからは筆者の仮説です。

上図に記した305ユーロは、仮にフランス・パリにて12月23日から27日までの5日間、シングルベッドの部屋を貸し出した場合にオーナーが受け取れる金額です。旅に出ている間、1日当たり、約60ユーロ(日本円で7200円)ほど受け取れるので、旅費の足しにはなりそうです。

Leavy.coが利益を生み出すためには上記金額より高値で市場に出す必要があります。失敗すれば100%の不利益です。さてここで競合となるAirbnbのリスティングを見てみましょう。

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Image Credit: Airbnb

同じ条件におけるAirbnbのリスティング価格帯は安くて1日100ドルほどです。そうです、Leavy.coの方がざっくり40%ほどのディスカウントになっています。オーナー目線でいえば、Airbnbに高値でリスティングしても利用者が現れなければ利益はゼロですから、割安でもリスクフリーで貸し出しせるLeavy.coは魅力です。

また、空室率の問題もあります。

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D.C. Policy Center

上図はアメリカ・ワシントンD.C.におけるデータになりますが、Airbnbにおける月間貸し出し率を現したデータです。NPO法人であるD.C. Policy Centerによれば、ワシントンD.C.におけるAirbnbの貸出率はほとんどが年間20日以下であり、数多くが9日以内の宿泊であることがわかっています(同データにおけるAirbnbの物件はすべて貸し切り物件、つまりLeavy.coが提供する「家」と同じ条件。)

つまり短期滞在の物件は人気なのですね。空いていない可能性が高い。

一方、Leavy.coは一つの場所を連泊前提で利用できるため、断片的に滞在場所を変えるリスクが低く抑えられます。こういった空き状況とプライシングのデータを使い、適切な提示額を導き出すことで利用客のマッチング成功率を100%に近づけているのではと考えます。

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Image Credit: Leavy.co

 

またアプリ内ではコミュニティー通貨として「Leavy Coin」を導入し、写真投稿など、ユーザーが自身の住む町に関わることでコインを獲得できます。こうしたGoogle Mapsのローカルアドバイザーのようなエコシステムを独自に設計している点も特徴でしょう。

加えて、モバイル決済「Leavy Pay」も様々な店舗で利用でき、一つのアプリ内でコイン獲得から決済機能までを実装しています。また、オンデマンドのローカルホストとしてお金を稼ぐことも可能です。

このように、コミュニティー形成と決済機能を両立させることで、自宅を民泊サービスに掲載する機会がなかったユーザーでも継続して利用できる仕様を目指しているのではないかと思います。様々な収益ポイントを設定することで「せっかく旅にいくんだったらリスティングするか」というユーザー行動を導くことができるかもしれません。

ローカルに根付きながらお金を稼げる、もしくはローカルを抜け出して遠くに旅行をしながらでも稼げる、こういった新たな経済圏のアイデアは日本でも参考になるのではないでしょうか。

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ギリシャにみる、民泊が引き起こす経済格差とその実情

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ピックアップ:Flexible Apartment Rental Startup Blueground Raises $50M Series B ニュースサマリー:短中期アパートメント賃貸サービス「Blueground」は23日、シリーズBにて5,000万ドルの資金調達を実施したことを発表した。リード投資家としてWestCapとPrime Venturesが参加した。同社は2013年にギリシャ・ア…

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Photo by jimmy teoh on Pexels.com

ピックアップ:Flexible Apartment Rental Startup Blueground Raises $50M Series B

ニュースサマリー:短中期アパートメント賃貸サービス「Blueground」は23日、シリーズBにて5,000万ドルの資金調達を実施したことを発表した。リード投資家としてWestCapとPrime Venturesが参加した。同社は2013年にギリシャ・アテネで創業。1か月から最長5年までの短中期アパート滞在仲介サービスを提供している。8か月前に実施したシリーズAでは2,000万ドルを調達したばかりである。

過去3年間で売上を3倍に伸ばしており、現在は世界9都市(アテネ、ボストン、シカゴ、ドバイ、イスタンブール、ロサンゼルス、ニューヨーク、サンフランシスコ、ワシントンD.C.)で1,700件以上の物件を掲載する。

話題のポイント:短期宿泊サービスといえば、今年ユニコーン入りを果たした「Sonder」やAirbnbが出資する「Lyric」が思い浮かびます。Bluegroundのコンセプトやサービス内容も、SonderやLyricと限りなく近いといっていいでしょう。

<参考記事>

一方、民泊が増えることで現地の人にマイナスな影響を与えるリスクがあることも理解しておく必要がありそうです。これは筆者のギリシャ出身の友人から聞いた話です。

肌感覚ですが、ギリシャでは昔とは比べ物にならないほど軽犯罪が増えていると感じています。Airbnbを筆頭に民泊が街中で目立ってくるのと比例して、軽犯罪率や家賃相場が上昇していたのを感じました。

ギリシャはご存知の通り、この10年近くを債務危機と隣合わせで過ごしている国です。

友人が指摘していた軽犯罪率推移は、実際は経済危機を乗り越えてから下降傾向にあるという結果もあるようなので、あくまで数字では読み取れない現地の人ならではの生活視点だといえます。ただ、家賃相場についてはインデックスを見ると、以下のように2017年を皮切りに上昇し続けていることが分かります。

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このグラフは実際の不動産価格を年間の家賃で割ったものです。そのため、上昇すればするほど家賃価格が高騰していることが表されています。国の経済が回復を遂げていれば、不動産価格が全体的に上昇することも頷けます。では実際のところ国民の生活水準は向上しているのでしょうか。ギリシャ国民の所得推移を見てみましょう。

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Image Credit: OECD

2009年から始まった経済危機以降、国民の年間収入は下降し続けており、2018年では2008年比で30%ほど減少しています。つまり家賃が上場するのと反比例して、収入が下落傾向にあることが分かりました。金銭的余裕がなくなっていることから生活水準が一段と厳しくなっていることが予想されます。

それではなぜ家賃だけが上昇を続けているのでしょうか。仮説の1つに民泊市場の成長が挙げられます。ギリシャは昔から観光地として人気を博してきた土地です。そのため、観光者は絶えず訪れており、BluegroundやAirbnbなどのサービス需要は着々と上昇してきたのです。こうした民泊市場の登場により、経済危機以降も継続して家賃が上がってきたと考えられます。

当たり前ですが、家主は家賃収入が高い方がよいわけです。

しかし、ここで問題となるのが現地の生活水準とのギャップです。

一見、観光客が多く訪れることは好経済循環をもたらす良いシグナルに見えますが、国民にとっては生活価格が観光客をベースとした設定になる懸念が出てきます。たとえば不動産オーナーが収入の低い国民を基準とするよりも、短期・中期の滞在者向けに価格設定をした方が圧倒的に儲かると考え、家賃相場を押し上げる傾向が挙げられます。これは先に紹介した家賃インデックスからも想像ができるでしょう。

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先のグラフにある通り、ギリシャの平均年間所得は2017年において約1万7000ユーロ(約200万円)程度です。一方、家賃市場平均をBluegroundのリスティングを参考に見てみると相場は1,400ユーロほど。同額で1年間住むとすると、年間1万6800ユーロを家賃に消費しなくてはならず、それだけで平均所得近くまで到達してしまいます。これでは現地の人は借りられません。

このように、観光地として認識されてしまった土地ではお金をたくさん落とす客が増えるのと比例して、家賃相場を代表とする生活水準にインフレが起こってしまい、いつまで経っても収束を見せない構図ができあがってしまっている点が指摘できます。

ギリシャ経済とAirbnbの関係性について取り上げたForbesの記事でも、Airbnbがギリシャにおいて職を作り出し、新たな収入源を生み出したことは明らかにポジティブな影響でしょう。

しかしこのポジティブな面、つまりサービス提供側からの声しか聞き入れず終わっている場合が多々あります。米国でSonderがユニコーン入りしたように、民泊の需要性が市場にあることも間違いありませんが、経済の悪循環の可能性も理解しておく必要もあるはずです。

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米国の土地60%は個人所有ーーキャンプ場版Airbnb「Hipcamp」がa16zなどから2500万ドル調達

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ピックアップ:Camping Business Hipcamp Raises $25M In Series B Funding  ニュースサマリー:キャンピングプラットフォーム「Hipcamp」は25日、シリーズBにて2500万ドルの資金調達を実施したと発表した。リード投資家のAndreessen Horowitz(a16z)を筆頭に、既存投資家のBenchmark、August Capial、O…

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ピックアップCamping Business Hipcamp Raises $25M In Series B Funding 

ニュースサマリー:キャンピングプラットフォーム「Hipcamp」は25日、シリーズBにて2500万ドルの資金調達を実施したと発表した。リード投資家のAndreessen Horowitz(a16z)を筆頭に、既存投資家のBenchmark、August Capial、O’Reilly AlphaTech Venturesも同ラウンドに参加している。

同社は2013年創業。米国におけるキャンプ地の利用権をオンライン上で買取できるマーケットプレイスを運営している。キャンプ地は公的に「キャンプ地」とされている箇所以外にも、Airbnbのように個人オーナーが自己所有内をキャンプ場として貸し出すことも可能だ。

同社によれば米国における土地は全体の60%は私有地となっているという。同社プラットフォームには、現在約30万以上ものキャンプ地のリスティングが私有地オーナーからあり、これは米国最大級になる。

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話題のポイント:ホスピタリティースタートアップは、Airbnbに始まり先日取り上げたSonder、勢力拡大中のOYOなど数多く登場してユニコーンへと進化を続けています。例えばAirbnbとSonderは「民泊プラットフォーム」という面でサービスに相違なく、Sonderはハイエンドな物件、つまり「高級部屋限定Airbnb」とすることでオリジナリティー性を生み出しています。

一方、そういったニッチ層だと難しいのが包括的にサービス展開しているライバル(Sonderの場合はAirbnb)が同様サービスを繰り広げてきたら、という点です。Airbnbがハイエンド向けのブランド「Airbnb Luxe」を始めるなど、そのプラットフォーマとしての範囲を広げつつあるのはいい例です。

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そんな中、今回取り上げる「Hipcamp」はAirbnbと一括りに市場を捉えることは難しいテーマかもしれません。同社が目につけたのは「家」ではなく「土地」そのもの。上述したように米国における土地は60%が個人所有、それらは全て住居に利用されているわけでなくただただ空き地として放置されていることも多い、この状態にメスを入れたというわけです。

同社によれば、プラットフォームでは既に全米9217件の国立公園、1万8030件のテント専用キャンプ場、36万3067件のキャンピングカー用キャンプ場のリスティングがあるとしています。

上図はサンフランシスコ周辺での検索です。住宅価格が高騰しているといわれる同市でも1泊45ドルからキャンプ場が提供されており、結構イノベーティブに感じます。このような「ランド・シェアリング」が拡大して一般的なシェアリングと同じ知名度になるのは案外すぐなのかもしれません。

 

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