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シンガポールの人工肉・魚介類生産スタートアップGrowthwell、Temasekなどから800万米ドルを調達

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シンガポールを拠点とし、植物由来の肉・魚介類を製造する Growthwell Groupは28日、シンガポールの Temasek がリードした資金調達ラウンドで800万米ドルを調達したことを発表した。

このラウンドには、DSG Consumer Partners、Insignia Ventures、Genesis Ventures、Brandify、Credence Capitalの Koh Boon Hwee 会長などが参加している。

Photo credit: Growthwell Group

1989年に設立された Growthwell は、食品・飲料企業向けに肉製品を排したワンストップソリューションを提供するスタートアップだ。同社は植物由来の代替食品に加え、物流サポートや顧客サービスも提供している。同社は今回の資金調達により、代替タンパク質や将来のフードソリューションの開発、事業加速が可能になると述べている。

同社は成長プランの一環として、2021年第1四半期までにシンガポールに植物性タンパク質の研究開発のための特設技術センターを設立する予定だ。声明によると、同施設にはフードテックアプリケーションや水分押出機能、自動生産ラインを備えており、同地域における生産を拡大することができるとしている。

Growthwell Group のエグゼクティブディレクター Justin Chou 氏は、肉や魚介類に代わる植物性の代替食品に対する世界的な需要増加の波をチャンスと捉えていると話す。マーケットリサーチ会社 Ariztonによると、世界の植物由来肉製品市場は、2020年から年率約9%の成長を遂げ、2025年には70億米ドル以上に達すると予想されている。しかし、アジア市場はほとんどが未開拓のままである。

新型コロナウイルスは、食品サプライチェーンの脆弱性を明らかにした。シンガポールでの工場建設は、食糧の安全保障上の懸念が高まっている昨今、非常にタイムリーかつ適切なソリューションだと考えている。(Justin Chou 氏)

Growthwell Group の2世代にわたる経営陣(左から):エグゼクティブディレクターの Justin Chou 氏(息子)、マネージングディレクターの Chou Shih Hsin 氏(父)、コマーシャルディレクターの Colin Chou 氏(息子)
Photo credit: Growthwell Group

同社はまた、今回の調達資金の一部が、イスラエルのフードテックスタートアップ ChickP との資本業務提携に充てられると述べた。ただし財務詳細は明らかにされていない。

この協業では、両社は植物性タンパク質を開発し、植物ベースの乳製品や肉類の代替品として特別に設計された、90%ひよこ豆タンパク質分離製品を発売する。また、Growthwell は現在、アレルゲン、グルテン、乳糖、ホルモンを含まないひよこ豆タンパク質をベースとした魚介類代替品の開発も進めている。

同社は、中国やオーストラリアなどの主要アジア太平洋市場で、ChickP 製品の販売を拡大することを目指している。また、2021年には、ひよこ豆ベースのミルクやアイスクリームなどの新製品の開発にも取り掛かる予定だ。

声明によれば、同社は既に Country Foods をメインの流通パートナーに選出済みだ。

【via Tech in Asia】 @Techinasia

【原文】

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3Dプリントで作るシーフードが店頭に並ぶ日

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ピックアップ:BlueNalu Raises $20M in Series A Financing ニュースサマリ:2020年2月26日、魚の細胞から魚介類を作り出す「BlueNalu」が2000万ドルのシリーズAラウンドの資金調達を完了した。Stray Dog Capital、CPT Capital、New Crop Capital、Clear Current Capitalが共同でリードを担当…

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ピックアップ:BlueNalu Raises $20M in Series A Financing

ニュースサマリ:2020年2月26日、魚の細胞から魚介類を作り出す「BlueNalu」が2000万ドルのシリーズAラウンドの資金調達を完了した。Stray Dog Capital、CPT Capital、New Crop Capital、Clear Current Capitalが共同でリードを担当し、Nutreco、Griffith Foods、Pulmuone、Sumitomo Corporation of Americas、Rich Products Ventures、KBW Venturesが参加した。

同社は2018年にカリフォルニア州サンディエゴで創業。魚から採取した細胞を増殖させ、3Dプリンター(バイオプリント)を利用して魚介類を成形する技術を持つ。現在はブリの切り身の成形に成功しており、様々な調理に対応できる(競合他社は身が分解するため限られた調理方法しか対応していないとしている)。

今回の資金はサンディエゴ適正製造基準(GMP)のパイロット生産施設開発、チームの拡大、グローバルな運用と流通のための戦略的提携に使われ、市場投入に向けた準備に使われる。

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Image Credit:BlueNalu(2019年12月に実際に振舞われた料理デモンストレーション)

 

話題のポイント:「人工肉」が「天然」「養殖」に続く第3の選択肢として名乗りを上げたのは最近のことです。日本においては導入例が少ないため、知名度がある「Beyond Meat」「Impossible Foods」の植物由来の加工肉だけが人工肉だと認識している人も多いと思います。

人工肉は製造方法で2種類に分けることができます。一つは、Beyond MeatsとImpossible Foodsが作る植物性たんぱく質を元に味・食感を模倣した疑似肉。もう一つは、動物の細胞から食用部位だけを作り上げるラボ肉です。

作るもの(牛・豚・鳥・魚・甲殻類・軟体動物)、作り方(植物由来・細胞由来)の組み合わせでそれぞれスタートアップが新しい市場を作るために挑戦をしている状況です。

では、なぜ植物由来の牛・豚・鳥の人工肉だけが成長してみえるのでしょうか。

消費者の味覚に合わない、価格が高いなどのレベルの高い理由ではありません。単純に供給体制が整っていない、もしくはまだ技術的な課題が残っているため、成長しているかどうかを議論する段階ではないのです。逆にいうと供給が開始されれば十分成長見込みがあります。

Plant-Based Meat Market Growth 2017 to 2019
Image Credit:
The Good food

今回取り上げたBlueNaluは、現段階で明確に供給を意識した戦略を取る数少ないスタートアップです。とりわけサプライチェーンに最適化するための商品企画力、販売力を手に入れるのにシリーズAという機会を上手く利用しました。

原材料に関する専門的なノウハウを持つNutreco、食品業界の世界的製品開発力を持つGriffith Foods、そのほかにも運営、販売、流通に関する専門知識を持つ企業を投資家として迎え入れています。そしてすでにNutrecoとは戦略的パートナーシップを発表しました。資金調達した2000万ドルも大規模生産施設の建設に使われます。

投資家に補完関係にある企業を選び、エクイティによる金銭的な関係を築きつつ戦略的パートナーシップを提携することで、供給に向けて事業計画を一気に進めたいのが読み取れます。

とても順調に見えるBlueNaluですが、驚くべきことに会社設立時に必要な技術を持ち合わせていませんでした。それにも関わらず、創業2年という短い期間で大きな成長を果たしています。その背景には他社とは違う技術選択がありました。

競合他社の全てが採用するラボ肉は作り方は、動物から幹細胞を採取して部位に成長させます。中にはへその緒を元にiPS細胞にしてから作りたい部位を自由に作る方法を開発しているスタートアップもありますが、広義には同じです。

<参考記事>

それに対して、BlueNaluの作り方は部位に成長させる方法を取りません。幹細胞を採取して細胞の役割毎に分離した後に増殖させて、それをインクとして3Dプリンターで部位を成形します。バイオプリントと呼ばれるものです。

再生医療をきっかけに急成長したこの分野の技術には、魚介類の製品を作るのには十分な基幹技術があります。製品の95%が筋肉であるため、臓器ほどの複雑な構造を作らなくてもいいところも相性が良かったのです。

さらに、3Dプリンターの成型方法の中でも1980年代に提案された実績ある手法を採用している点も技術開発の速度を上げ、コストを下げる要因となると考えられます。最近はAmazonでも数万円で3Dプリンターが手に入りますが、BlueNaluが採用している方法は基本的にこれと同じ手法なのです。

BlueNalu7
Image Credit:UT San Diego「Lab-grown fish just got real. San Diego startup shows off first slaughter-free yellowtail

 

大規模生産施設の構想設計が始まったのが1年前であることを踏まえると、会社設立から1年で基幹技術の目途が立っていたと思われます。技術がなかったからこそ、柔軟に他分野で実績がある技術を流用し、お金をかけて開発しなければいけない要点を絞り切れたのでしょう。

この技術選定が競合他社とBlueNaluを分け、シリーズAにして供給力の強化にエクイティとキャッシュを振り切れた理由と言えます。

BlueNaluは大規模生産施設の開発フェーズ1に入ったばかりですが、5年後には完成します。そしてこの施設を一人当たりの魚介類消費量が多い北米、アジア、ヨーロッパで数十の場所に複製して供給基盤を盤石なものとする計画です。

BlueNalu1
Image Credit:BlueNalu

 

2050年までに100億人に達すると予想される世界人口において、魚介類を含むタンパク質の需要の増加は当たり前にくる未来です。この需要を持続可能な形で満たすための手段として細胞由来の人工肉は妙手と言えるでしょう。

ここまでは順調なBlueNaluは本当に「天然」と「養殖」に続く3番目の選択肢を代表する企業になれるのか、今後も注目していきたいです。

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ベルリン発の都市農業ソリューション「Infarm」、JR東日本から資金調達し日本市場進出——スーパー「紀ノ国屋」で、屋内栽培の農作物を販売へ

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 ※この記事は英語で書かれた記事を日本語訳したものです。英語版の記事はコチラから。 デジタルエージェンシーのインフォバーンは26日、ベルリンのスタートアップカンファレンス Tech Open Air(TOA)のワールドツアーイベント東京版「TOA WORLD TOUR Tokyo」を都内で開催している。この席上、基調講演に登壇したベルリン発の都市農業(アーバンファーミング)ソリューション「Infa…

左から:Erez Galonska 氏(Infarm CEO)、堤口貴子氏(紀ノ国屋 代表取締役社長)、山下俊一郎氏(ムロオ代表取締役社長)、表輝幸氏(JR 東日本 執行役員 事業創造本部副本部長)、平石郁生氏(Infarm Japan マネージングディレクター)
Image credit: Masaru Ikeda

 ※この記事は英語で書かれた記事を日本語訳したものです。英語版の記事はコチラから。

デジタルエージェンシーのインフォバーンは26日、ベルリンのスタートアップカンファレンス Tech Open Air(TOA)のワールドツアーイベント東京版「TOA WORLD TOUR Tokyo」を都内で開催している。この席上、基調講演に登壇したベルリン発の都市農業(アーバンファーミング)ソリューション「Infarm」の 創業者で CEO の Erez Galonska 氏は、同社が JR 東日本(東証:9020)から出資を受け、JR 東日本傘下の高級スーパー「紀ノ国屋」で Infarm の仕組みを使った屋内(店内)栽培の農作物の販売を今夏開始することを明らかにした。

Infarm の運営会社 Indoor Urban Farming(ドイツ法人)は昨年、ロンドン拠点 VC の Atmico をリードインベスターとして、合計1億米ドルのシリーズ B ラウンドを完了したことで話題を呼んだ。同社の創業以来の累積調達金額は1億3,450万米ドル。今回、JR 東日本が参加した調達ラウンドは、JR 東日本および紀ノ国屋との協業と日本市場進出に向けて設定されたもので、ラウンドステージは定義されていない。BRIDGE の取材に対し、Infarm は今回調達額の開示をしなかった。

Infarm は2013年、イスラエル生まれの Galonska 兄弟(Guy Galonska 氏、Erez Galonska 氏)、 Osnat Michaeli 氏の3人により創業された。冬の寒さで農作物の育たないドイツにおいて、通年、環境に左右されず新鮮な野菜を手軽に食べられるようにするアイデアを実現した。BRIDGE で初めて取り上げたのは、サンブリッジ グローバルベンチャーズが開催していた世界のスタートアップショーケースイベント「Innovation Weekend Grand Finale 2015」で優勝した際のことだ。

Osnat Michaeli 氏(CMO)、Erez Galonska 氏(CEO)、Guy Galonska 氏(CTO)
Image credit: Robert Rieger, FvF Productions UG

Infarm のソリューションでは、室内の温度や湿度、光、pH などが常時クラウドを通じて最適制御され、気候を問わず、ハーブやレタスなどの葉野菜を安定的に栽培できる。電気、水、WiFi さえあれば稼働可能で、モジュール式であるため配置場所についても非常に柔軟だ。現在は種付けなどを Infarm の施設で行い、出荷できるようになった株が半自動的に搬出される。当該株は店内の Infarm 設備に運搬・ストックされるので、消費者は野菜が育っている最中にある新鮮な状態のまま店頭で購入できる。

現在までに、Infarm は本拠地であるドイツはもとより、フランス、スイス、ルクセンブルグ、イギリス、デンマーク、カナダ、アメリカに進出しており、Irma(デンマーク)、Kroger/QFC(アメリカ)、Marks and Spencer(イギリス)、Metro(ヨーロッパ各国)、Edeka(ドイツ)といった現地スーパーと提携し、屋内(店内)栽培の農作物を販売している。世界で600以上の Farming Units を店舗や流通センターで展開し、毎月の植物収穫量は25万株以上。紀ノ国屋での販売は日本においてはもとより、アジアでも初の試みとなる。日本国内では、紀ノ国屋のいずれかの店舗で今夏にも Infarm による農作物販売が開始される見込みだ。

Infarm は日本市場の進出にあたり、日本法人 Infarm Japan を設立する。Infarm Japan のマネージングディレクターには、前出の Innovation Weekend Grand Finale 2015 の主催者で、現在はファンド運用やスタートアップの市場進出などを支援するドリームビジョン代表取締役社長の平石郁生氏が就任する。なお、ドリームビジョンはサンブリッジ グローバルベンチャーズのファンド運用を引き継いでおり、Infarm のシードラウンドにおける投資家である。

Infarm のアーバンファーミングソリューション「Inhub」
Image credit: Infarm

また、国内最大のチルド物流ネットワークを持つコールドサプライチェーン企業ムロオが物流面で協力する。ムロオの代表取締役社長である山下俊一郎氏は、平石氏が法政大学経営大学院(MBA)で客員教授を務めていた際の教え子であり、ムロオのコールドサプライチェーンが Infarm が日本国内で拠点展開する上で施設配置をしやすいとの判断からだ。

Erez Galonska 氏は BRIDGE のインタビューに対し、次のように語ってくれた。

日本市場に進出できることをうれしく思っている。食糧ロスの多さ、台風などの自然災害に見舞われサステイナブルな農業が難しいこと、農家の高齢化などの問題を抱える日本においては、半自動的に新鮮な野菜を届けられる Infarm の進出は意義深い。(中略)

JR 東日本や紀ノ国屋がイノベーションを探していたことからも、今回、Infarm は彼らと組むことでシナジーが見出せると考えた。日本進出にあたり、商品の品揃えもローカライズする。水菜、パクチーなどアジアの野菜を扱うことも考えられるだろう。

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水産養殖技術のウミトロン、愛媛の海でブランド魚を育てる赤坂水産とクラウドファンディングを開始

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シンガポールと日本を拠点に水産養殖技術を開発するウミトロンと、愛媛・西予を拠点にヒラメや真鯛の養殖業を営む赤坂水産は10日、「READYFOR」上でクラウドファンディングを開始した。目標調達金額は、60日間で300万円。両社では調達資金を使って、赤坂水産の養殖生簀にウミトロンのスマート給餌機「UMITRON CELL」の最新モデルを設置、この取り組みを通じて養殖魚の成長評価や支援者へのリターンを行…

赤坂水産の三代目(予定)赤坂竜太郎氏
Image credit: Akasaka Suisan

シンガポールと日本を拠点に水産養殖技術を開発するウミトロンと、愛媛・西予を拠点にヒラメや真鯛の養殖業を営む赤坂水産は10日、「READYFOR」上でクラウドファンディングを開始した。目標調達金額は、60日間で300万円。両社では調達資金を使って、赤坂水産の養殖生簀にウミトロンのスマート給餌機「UMITRON CELL」の最新モデルを設置、この取り組みを通じて養殖魚の成長評価や支援者へのリターンを行う。

赤坂水産は1953年の創業。当初はヒラメ漁をしていたが、天然資源が減っていくことを懸念した初代が養殖事業に転換。現在は二代目と三代目(予定)が白寿真鯛と横綱ヒラメというブランド魚を作り出した。給餌作業の最適化と省人化のため、三代目は当初自らスマート給餌機の開発を検討していたが、その過程でウミトロンと出会ったという。

ウミトロンの共同創業者でマネジング・ディレクターの山田雅彦氏は、今回のクラウドファンディング開始について、BRIDGE のインタビューに次のように答えてくれた。

ウミトロンは養殖向けに技術提供することで生産の効率化に取り組むことから始めたのですが、業界を知れば知るほど、既存商流の問題や消費者への認知不足からサプライチェーンの末端にいる生産者にあまりお金が落ちていないという問題を感じるようになりました。

ウミトロンとしても技術提供をしようとするとどうしても、財源のある大手企業が中心となり、こだわりを持って生産に取り組む中小規模の事業者の支援はなかなか難しいというのが実態です。

これからは生育支援に加え、テクノロジーを起点にこだわりを持って育てられた魚について正しく消費者に伝え、生産者にとっても消費者にとってもプラスな仕組みを作っていきたいと思い、クラウドファンディングへの着手に至りました。

Image credit: Umitron

赤坂水産では熟成魚の旨味を引き出せると究極の血抜き法「津本式」を採用しているが、今回のクラウドファンディングのリターンとして、津本式を考案した津本光弘氏が参加する養殖生簀で釣りをするツアーも提供される。赤坂水産では、UMITRON CELL の採用で、AI 化で地方と水産業が抱える人手不足の壁に挑むとしている。

本稿執筆時点で、本クラウドファンディングへの支援総額は21万円超に達している。

ウミトロンは2018年、産業革新機構、D4V、藤代真一氏、松岡剛志氏のほか、未来創生ファンドなどからなどから総額12.2億円を調達している。昨年には、米州開発銀行(IDB)グループの IDB Lab から総額200万米ドルを調達し、ペルーのチチカカ湖で UMITRON CELL を使ったサーモントラウト養殖の効率化による地域経済活性化支援を開始した。また、世界最大のエビ養殖事業者である CP Foods と提携し、エビ養殖場での PoC を開始した。

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iPS細胞から“本物のお肉”をつくる「Meatable」の衝撃

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ピックアップ:Dutch startup Meatable is developing lab-grown pork and has $10 million in new financing to do it ニュースサマリ:12月6日、養殖肉スタートアップ「Meatable」がシードラウンドで1,000万ドルの資金調達を発表した。すでに投資していたBlueYard Capital、Transfe…

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Image Credit: Meatable

ピックアップ:Dutch startup Meatable is developing lab-grown pork and has $10 million in new financing to do it

ニュースサマリ:12月6日、養殖肉スタートアップ「Meatable」がシードラウンドで1,000万ドルの資金調達を発表した。すでに投資していたBlueYard Capital、TransferWise社CEOのTaavet HinrikusやAlbert Wengerらエンジェル投資家から700万ドル、欧州委員会から300万ドルである。

同社は2018年にオランダで創業。1つの細胞からと殺(家畜などの獣類を、肉・皮などを取るために殺すこと)を必要としない肉の生産技術を持つ。今回の資金は小規模バイオリアクターの開発と生産コスト削減チームの拡大に使われ、2020年夏に計画される最初のポークチョップの開発を加速させる。

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Image Credit: Meatable

話題のポイント:Meatableが作る肉はいわゆる「人工肉」のくくりです。しかし、最近話題の「Beyond Meat」、「Impossible Foods」が植物由来の加工肉であるのに対して、Meatableは100%本物の人工的な食肉である点が大きく異なります。

一見矛盾してる「本物の人工的な食肉」とは一体なんでしょう。それは牛または豚からサンプルを採取して生み出したマスター細胞を基に、脂肪と筋肉を成長させて作り出す食肉のことです。本物の食肉を作れるため、植物由来の人工肉ようにひき肉メニューに縛られることはありせん。

さらに家畜による環境負担、動物愛護の観点から人工肉を選択したい人には、Meatableの人工肉の生産プロセスに抗生物質が含まれない分、魅力的にみえるでしょう。

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Image Credit: Meatable

ここからは先述した「本物の人工肉」を支える大きな2つの技術を紹介したいと思います。

一つ目は、日本人なら多くの人がご存知の「iPS細胞」です。2012年に京都大学の山中伸弥教授がノーベル賞を受賞したことは記憶に新しいと思います。

細胞の中には、幹細胞とよばれる様々な部位を作るための大本となる細胞に分化する能力を持つ細胞が存在します。この幹細胞は成熟してしまうと、肺だけを作る、神経だけを作るなど機能が固定される特徴があります。逆に言えば、初期の幹細胞だけがどの部位にでもなる可能性を持つのです。

マスター細胞ともいえる初期の幹細胞に再生医療を実現する可能性があることはよく知られていましが、胚でしか採取できないため入手の困難さが大きな課題だったのです。

2006年、山中教授は成熟した幹細胞を初期の幹細胞に変換できる特定の遺伝子を発見します。これにより、胚ではなく皮膚からでもマスター細胞を作り出せるようになりました。この偉業をたたえてノーベル賞が贈られたのです。

ただ、iPS細胞にも実用化に向けて解決できていない課題があります。それがiPS細胞が成熟した幹細胞に成長するのに時間がかかりすぎる点です。この点を解決したのがMeatableが持つ2つ目の技術です。

2017年、ケンブリッジ大学のMark Kotter博士は「Inducible and deterministic forward programming of human pluripotent stem cells」という論文で、OPTi-OXという技術を発表しました。この手法を用いるとマスター細胞が人間の脳細胞に変化するのに普通なら3カ月以上かかるところを数日に短縮できるようになります。牛であれば、と殺するのに十分なまで成長するのに3年かかるところを3週間で済むそうです。

現在、Kotter博士はMeatableの役員を務め、OPTi-OXの技術はケンブリッジ大学の技術移転部門であるCambridge Enterpriseを通じてMeatableにライセンス提供されています。

上記2つの技術を使うと、食肉を生み出すために必要な物は「へその緒」だけです。これをIPS細胞に変換させて、OPTi-OXで筋肉および脂肪細胞に成長させれば、と殺することなく、一頭から取れる何倍もの安定した食肉を確保できるというわけです。

Meatableは目下、従来の食肉と同等の価格にできるか挑戦中です。今回の調達した資金は主に価格を落とすための製造プロセス開発に使われます。ここが技術的な最後の壁となるでしょう。

地球上の人口が増え続けるのに対応するため、持続可能な食料源を開発することは急務な課題です。意識を高く持ち、合理的な判断で食肉から離れる人だけでなく、多くの人に選ばれる選択肢となるのか、引き続き「人工肉」周辺の動向に注目です。

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水産養殖技術のウミトロン、チチカカ湖でAI給餌機「UMITRON CELL」の設置を開始——サーモントラウト養殖の効率化で地域経済活性化を狙う

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シンガポールと日本を拠点に、水産養殖技術を開発するウミトロンは30日、ペルーの養殖業者 Piscifactorias de los Andes(Piscis)が所有するチチカカ湖の養殖場で、AI 搭載のスマート給餌機「UMITRON CELL」の設置を開始したことを明らかにした。同社は昨年12月、米州開発銀行(IDB)グループの IDB Lab から総額200万米ドルを調達、チチカカ湖でのサーモン…

チチカカ湖に実装された「UMITRON CELL」
Image credit: Umitron

シンガポールと日本を拠点に、水産養殖技術を開発するウミトロンは30日、ペルーの養殖業者 Piscifactorias de los Andes(Piscis)が所有するチチカカ湖の養殖場で、AI 搭載のスマート給餌機「UMITRON CELL」の設置を開始したことを明らかにした。同社は昨年12月、米州開発銀行(IDB)グループの IDB Lab から総額200万米ドルを調達、チチカカ湖でのサーモントラウト養殖の効率化プロジェクトを受託していた。今回の UMITRON CELL 設置はその第一歩となる。

チチカカ湖は、ペルーでサーモントラウト生産地として発展してきた。UMITRON CELL 設置先の Piscis は今回のプロジェクトのパートナーであり、チチカカ湖に生産拠点を要するペルー最大のサーモントラウト養殖生産者の一つで、サーモントラウトの生産およびアジア・北米・欧州市場への輸出事業を展開。チチカカ湖で他の生産者への養殖技術の共有にも取り組んでおり、ウミトロンの技術をトラウトサーモン養殖に付加することで、地域全体の生産性向上と高付加価値化に繋がるとしている。

UMITRON CELL を使うと魚の食欲解析→給餌が自動化され、養殖経営においてコストの70%を占めるとされる給餌作業を自動化を実現する。日本国内では、愛媛県愛南町の水産養殖現場に導入、遠隔での餌やりなどの機能を提供してきた。これまで UMITRON のデバイスが実装されるのは、海洋の近海養殖施設が多かったが、湖という淡水環境での実装は今回が初めてとなる。

チチカカ湖に実装された「UMITRON CELL」
Image credit: Umitron

チチカカ湖での UMITRON CELL が意味するところを、ウミトロンの共同創業者でマネージングディレクターの山田雅彦氏に聞いた。

地理的に標高3800m、琵琶湖の13倍の湖に実装したというのが新しい点になります。チチカカ湖は淡水ですが広大な湖のため、リモートコントロールの需要が高い。酸素濃度が薄いので、魚の酸欠を防ぐためにきめ細やかな給餌の必要性と、湖という閉空間での無駄餌をなくすことでの環境負荷を減らす。

また、標高の関係から、生産者の溺死も発生する地域での現場作業を減らすことで、養殖労働環境の安全性の改善などを目指しています。こういった持続可能性の高い技術提供が評価されて IDBLab から問い合わせを頂いたのがプロジェクト始動の背景にあります。

チチカカ湖に設置された UMITRON CELL は、最大400kg の飼料を搭載できる。ソーラーパネルとバッテリーで自律的に発電・蓄電ができ、コンピュータ、カメラ、モーターを持続的に洋上で稼働させることが可能だ。インターネットと接続しているため、魚の状態はスマートフォンや PC などで遠隔環境で確認でき、必要に応じて養殖魚への給餌量も遠隔で調整できる。

ウミトロンは昨年、産業革新機構、D4V、藤代真一氏、松岡剛志氏、未来創生ファンドなどから総額12.2億円を調達している。

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“培養肉”の川上を攻めるFuture Meatーー次世代食ビッグビジネスと地球の持続可能性

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ピックアップ:Lab-grown meat could be on store shelves by 2022, thanks to Future Meat Technologies ニュースサマリー:イスラエルの培養肉スタートアップ「Future Meat」が、シリーズAラウンドにて、S2GやTyson Venturesなどを含む6つの投資家から合計で1,400万ドルを調達した。 本資金は培養肉…

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ピックアップLab-grown meat could be on store shelves by 2022, thanks to Future Meat Technologies

ニュースサマリー:イスラエルの培養肉スタートアップ「Future Meat」が、シリーズAラウンドにて、S2GやTyson Venturesなどを含む6つの投資家から合計で1,400万ドルを調達した。

本資金は培養肉製造施設の第一号パイロット製品の実現と、動物の細胞から製造されたステーキのコストを肉1ポンドにつき10ドルほどまで削減することを目的に調達された。また植物由来の人工肉(植物のみで生成・再現された肉)とのハイブリッド製品の場合、そのコストは4ドル程度にまで下げることも可能だという。

今回の調達に関してCEOのRom Kshuk氏は以下のようにコメントしている。

今回の調達を機に、我々の培養肉を実験室から工場へ、そして産業パートナーと共に市場へと運び出せることに非常に興奮しています。私たちは現在、グローバルなパートナー・投資家・専門家のネットワーク及びサプライチェーンを構築するだけでなく、2年以内に一般企業が低コストな培養肉の生産を行えるようになるためのサービス提供を目指しています。

話題のポイント:Future Meatが競合他社と異なる点は、同社は培養肉そのものを作り、消費者へ売るというビジネスではなく、培養肉の原型となる肉細胞と、その細胞を組成する製造機の2つを開発し、培養肉を売りたい業者に販売するという戦略を描いている点です。

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Image Credit : Future Meat

これにより、培養肉の製造元になりたい企業は技術がなくても、同社の特許取得済みのマシーンと肉細胞を購入するだけで事足ります。販売・流通などには注力せず、技術力を武器にマーケットの川上部分を独占することが同社の狙いです。

培養肉スタートアップの調達ニュースはここ数年で急激に増加している印象を受けます。

構想自体は2000年台から存在していた一方、その技術的難題の多さにより、長らく陽の目を浴びてきませんでした。しかし現在では見栄えも肉そのもの、かつ実際の肉と変わらない味と栄養を持つプロトタイプがいくつも公に発表されるようになっています。

多くの研究者・スタートアップが培養肉の開発に勤しむ理由は、ただの細胞から肉を再現する技術が新しく画期的だからという点だけではありません。むしろ培養肉が将来的に食肉産業のあらゆるコストを削減し、ビッグ・ビジネス化する可能性があるという点、そして資源の持続可能性という地球規模の問題にも貢献し得るポテンシャルを持っている点が挙げられます。

製造コストの削減という意味では、農場や飼育、出荷、加工に際するコストを激減させる可能性があります。たとえばFuture Meatの特許取得済みバイオ・リアクターの製造プロセスは、餌や納屋、飼育小屋、食肉加工工場などを必要としません。

世界の培養肉市場は、2025年には2億ドル、2032年までに約6億ドル規模へ達するという予測もあります。

そして資源の持続可能性という意味では、農業に起因する森林伐採・水枯渇・温室効果ガス排出という諸問題の解決に繋がる可能性があります。Future Meatの場合、既存の食肉農業に対し、使用される土地を99%、水を96%、排出される温室効果ガスを80%削減できるとしています。

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※ちなみにFAO(国連食糧農業機関)の報告では、地球全体の温室効果ガス排出の18%は畜産業(特に牛)によるものであるとしています。

近年の培養市場は話題に事欠かきません。最近のニュースでは「Aleph Farms」というスタートアップが、宇宙空間でバイオ3Dプリンターにより肉の培養を成功させており非常に興味がそそられます。また、視野を植物由来の人工肉などを含む代替肉市場全体に広げれば、Beyond Meat社は既にユニコーン企業に名を連ねています。

培養肉の背景をふまえると、バイオテクノロジーという現代の最新技術を用いて、水不足や温暖化といった持続可能性に関する地球規模の問題を解決せんと試みる、なんとも壮大で先進的なムーブメントではないかと思わされます。

今後、人類が地球人口増加と持続可能性のジレンマに差し掛かった際や、貧困層にも提供可能な低価格な食糧の提供を試みる場合などにおいて求められるのは、培養肉のような環境及び製造コストを低く抑えられる新しい食糧なのかもしれません。そしてFuture Meatは数年後その一角を担う可能性のある企業であり、今後もその動向には大きく注目する必要があります。

Image Credit : Future Meat

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水産養殖技術を開発するウミトロン、魚群食欲解析アルゴリズム「UMITRON FAI」を開発し既存顧客への実装を開始

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シンガポールと日本を拠点に、水産養殖技術を開発するウミトロンは14日、機械学習により、魚群の餌食い状況から食欲を解析するアルゴリズム「UMITRON FAI(Fish Appetite Index)」を開発し、既存顧客への実装を開始したことを明らかにした。海上自律型のスマート給餌機「UMITRON CELL」と連携することで、食欲解析→給餌の自動化が可能になる。養殖経営においてコストの70%を占め…

「UMITRON FAI」
Image credit: Umitron

シンガポールと日本を拠点に、水産養殖技術を開発するウミトロンは14日、機械学習により、魚群の餌食い状況から食欲を解析するアルゴリズム「UMITRON FAI(Fish Appetite Index)」を開発し、既存顧客への実装を開始したことを明らかにした。海上自律型のスマート給餌機「UMITRON CELL」と連携することで、食欲解析→給餌の自動化が可能になる。養殖経営においてコストの70%を占めるとされる給餌作業を自動化を実現する。

「UMITRON FAI」
Image credit: Umitron

ウミトロンはこれまでに、生け簀に設置することで魚の遊泳行動を記録・監視・解析できる IoT デバイス「UmiGarden」を開発。モバイル環境が不安定な海上環境を考慮してエッジコンピューティングの機能も搭載し、魚群データ解析により給餌コストの最適化を目指してきた。

今年初頭には UMITRON CELL を愛媛県愛南町の水産養殖現場に導入、遠隔での餌やりなどの機能を提供してきた。今回の UMITRON FAI の開発完了により、ハードウェア・ソフトウェア両面での養殖自動化の素地が整ったことになる。

モバイルを使った遠隔でのモニタリングと給餌。
Image credit: Umitron

ウミトロンでは8月20〜22日、ノルウェー・トロンハイムで開催される水産養殖技術展示会「Aqua Nor」に参加の予定(ブース出展は無し)。また、8月21〜23日、東京ビッグサイトで開催される「ジャパン・インターナショナル・シーフードショー」に出展の予定だ。ウミトロン では、UMITRON FAI と給餌船などの大型システムとの連携に向けて、システム連携パートナーを募集している。

via PR TIMES

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人工肉「Impossible Foods」が3億ドルを調達ーー肉汁滴る植物由来のハンバーガー、ビルゲイツなど多数のセレブたちも支援

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ピックアップ:Exclusive: Impossible Foods raises $300 million with investors eager for bite of meatless burgers ニュースサマリー:5月13日、動物肉を使わず植物由来の人工肉を開発するバイオテックスタートアップ「Impossible Foods」が3億ドルの資金調達を実施した。Khosla Ventur…

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ピックアップExclusive: Impossible Foods raises $300 million with investors eager for bite of meatless burgers

ニュースサマリー:5月13日、動物肉を使わず植物由来の人工肉を開発するバイオテックスタートアップ「Impossible Foods」が3億ドルの資金調達を実施した。Khosla Ventures、Google Ventures、Horizons Ventures、UBS, Viking Global Investors、Temasek Sailing Capital、Philanthropy Projectらが出資している。

また、同ラウンドにはビル・ゲイツ氏が参加しているほか、Jay-ZやWill.i.am、Jaden Smith、Katy Perry、Met Gala、Serena Williams、Kirk Cousins, Paul Georgeなどのセレブリティーも名を連ねている。

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同社は今回のラウンドを含め計7億5000万ドル以上の資金調達に成功しており、バリュエーションは20億ドルに達するとされている。また、同社競合とされるBeyond Meat社は今年5月初旬に上場に成功しており、同社のIPOも近いとされる。

話題のポイント:動物肉を利用しない「人工肉」と聞くと、その味や健康面での影響が気になるところです。

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Impossible Burgerの栄養

Imposible Foodsでは、本物に限りなく近い肉汁を含み、その味も私たちがイメージする動物肉のハンバーガーと差異がほぼないとされています。

同社は今年1月にラスベガスにて開催された「Consumer Electronics Show(CES)」で、新作ハンバーガー「Impossible Burger 2.0」を発表しました。同ハンバーグでは前作と比べて鉄分・タンパク質含有量の増加に成功し、なんと同量のひき肉と同じだけの成分を含ませることに成功しています。

Impossible Burger 2.0はグルテン、抗生物質、ホルモンを全く含まず精製しており、肉本来の味を保障しつつ完全な植物由来の食品を作り上げています。また、ユダヤ教徒用のコーシャ認証、イスラム教徒用のハラール認証もされていることも特徴の一つと言えるでしょう。

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今年4月には、Burger Kingが同社の「肉」を用いた新製品「Impossible Whopper」を発表し、全米店舗での購入が可能となるなど、製品の広がりとともに、認知度の拡大が続いています。さて、今年1月発表のCB Insightsによるレポート「Our Meatless Future」によれば、現段階で食肉製品の市場規模は900億ドルにまで拡大しているそうです。

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Our Meatless Future

加えて、国際連合が2017年に発表した統計によれば世界人口は2100年までに現時点の約2倍に当たる11億2000万人に達するという予測もあります。これは単純に考えれば、食肉製品の市場規模並びに市場からの需要は今後も増加傾向になるということです。

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Credit: United Nations, Department of Economic and Social Affairs

とはいえ、動物の絶対数やそもそもの環境変化に伴う影響を考えると、根本的な食糧供給量の増加を目指さなければなりません。そこで登場したのが、今回のImpossible Foods社のような食物由来の加工肉製品市場です。

もちろんまだ、世界的に受け入れられている概念ではないかもしれません。ただ、今後の人口増加や食料供給率の課題点を考えると必然的に市場をリードしていく存在へと変化していきそうです。とにもかくにも、まずは実際に食べてみるところから始めてみたいと思います。

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CES 2019: Impossible Foods、レベルアップしたベジタリアンバーガーを高級食料品店で販売へ

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ベジタリアンだが甘くて肉汁たっぷりのお肉の味がするハンバーガー。これこそ Impossible Foods の目指す高い目標だ。この目標を同社は「Impossible Burger」というもっともな名前の食品によって達成したようだ。このバーガーは、一昨年、昨年とアメリカ全土のレストランでヒットした。そしてこの度、料理人と消費者双方からのフィードバックを得て、レッドウッドシティの Impossibl…

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Image Credit: Impossible Foods

ベジタリアンだが甘くて肉汁たっぷりのお肉の味がするハンバーガー。これこそ Impossible Foods の目指す高い目標だ。この目標を同社は「Impossible Burger」というもっともな名前の食品によって達成したようだ。このバーガーは、一昨年、昨年とアメリカ全土のレストランでヒットした。そしてこの度、料理人と消費者双方からのフィードバックを得て、レッドウッドシティの Impossible Foodsは、Impossible Burger 2.0という名の改良版レシピを売り出す予定だ。

Impossible Foods の設立者で CEO の Patrick Brown 博士は、ラスベガスで行われた2019 Consumer Electronics Show で今回の新しいバーガーを発表した。このショーで、同社は、Las Vegas Convention Center の近くに停めたキッチンカーから1万2,000個以上のパティを参加者にふるまう計画だ。

Brown 博士は次のように語った。

最新の Impossible Burger では、味、栄養、また何にでも味が合うことなど、筋金入りの肉好きたちにとって大事な条件すべてが揃っています。これは植物由来の肉で、食物連鎖における動物へのニーズをなくし、グローバルな食品システムを持続可能なものにします。

では今回の新バーガーでは何が変わったのだろうか?Impossible Foods によれば、新しい植物由来の肉は、同じ量の牛ひき肉と同じだけの鉄分とタンパク質を有しているという。さらには、この人工肉にはコレステロールが含まれておらず、4分の1ポンド当たりで脂肪分はわずか13グラム、240カロリーだという。平均的なミートパティでは、コレステロールが80ミリグラム、脂肪23グラム、290カロリーだ。

新バーガーはまた、あらゆるひき肉料理に可能な限り近づけられている。初代のバージョンの Impossible Burger はレストランで鉄板焼きするように作られていたが、新バーガーのパティでは、当初の麦タンパク質に変わって大豆タンパク質を使うことにより、調理過程を通して食感とジューシーさが維持されるという。

Impossible Burger 2.0はまた、グルテン、ホルモン、抗生物質を含まず、コーシャ認証、ハラール認証もされている。また初代バーガーと同様に、肉の脂っこい味を出す分子であるヘムを含んでいる。科学に疎い方のために言っておくと、ヘムとは、ヘモグロビン(脊椎動物の血液中で酸素を運ぶ赤いタンパク質)のうち非タンパク質部分を構成するものだが、Impossible Foods は、イースト菌を遺伝子操作し発酵させて、大豆レグヘモグロビン(ヘモグロビンの等価物)を作ることによって、ヘムだけを分離させている。

今回のバーガーは味のテストでも成功を収めている。Impossible Foods によれば、1,000人以上の西海岸、中西部、中部大西洋沿岸地域の自称「ヘビーな肉食家」たちが、目隠しをした上での味の試験で、Impossible Burger 2.0の方を好んだ。とある大手食品チェーンのよく知られた脂身20%のミートパティとの比較で、好感度を試験者たちに数値で表してもらったところ、新 Impossible Burger は牛肉由来のバーガーと同じだけの得点を得た。

Impossible Foods のチーフサイエンスオフィサーである David Lipman 博士は、次のように語った。

外部の研究者たちが行う、消費者を対象とした味のテストに加え、Impossible Foods 自社の味の科学者と感覚器官の専門家たちが、1週間に少なくとも100回の味テストを行っています。常に Impossible Burger をより良くしたいという私たちの追求はとどまることを知りません。牛肉では全く太刀打ちできないでしょう。

さて、どこで、そしていつ、Impossible Burger 2.0を手にすることができるのだろうか?同社が記者らに伝えたところによると、この新バーガーは2月4日以降、大手食品流通業者によってアメリカ国内のあらゆるレストランで楽しむことができるようになるという。

新バーガーを提供する予定のレストラン一覧は以下の通り。

  • Chef Tae Strain’s Momofuku CCDC (ワシントン DC)
  • Chef Traci Des Jardins’ Jardinière と School Night (サンフランシスコ)
  • Chef Brad Farmerie’s Saxon + Parole (ニューヨーク)
  • Chefs Mary Sue Milliken と Susan Feniger’s Border Grill (カリフォルニアとネバダ)
  • Chef Danny Bowien’s Mission Chinese Food (ニューヨーク)
  • Chef Chris Cosentino’s Cockscomb(サンフランシスコ)と Jackrabbit (オレゴン州ポートランド)
  • Chef Tal Ronnen’s Crossroads Kitchen(ロサンゼルス)
  • Chef Michael Symon’s B Spot burger restaurants (オハイオ)
  • Chef Sarah Schafer’s Irving Street Kitchen(オレゴン州ポートランド)
  • Chef Jeremy Kittelson’s Linger(デンバー)
  • Chef Tony Priolo’s Maillard Tavern (シカゴ)
  • Chefs Ken Oringer and Jamie Bissonnette’s Little Donkey(ボストン)
  • Hospitality entrepreneur Kyle Brechtel’s Copper Vine(ニューオーリンズ)
  • Chef Jennifer Carroll’s Spice Finch(フィラデルフィア)
  • Chef Pete Blohme’s Sunset Pointe(アラバマ州フェアホープ)

Impossible Foods によれば、3月までに、現在 Impossible Burger を提供している香港とマカオの100を超えるレストラン、そしてアメリカの5,000の場所(Umami Burger、Bareburger、Wahlburgers、The Counter、Fatburger、Gott’s、White Castle など)で、新しいバーガーが販売されるという。加えて、数か月後にはシンガポールにも Impossible Burger 2.0を上陸させる予定だとしている。その後さらなる市場が続く。

そして、もしも自分で調理する方が好きという方がいれば、良い知らせがある。Impossible Burger 2.0は、年内にアメリカの高級食料品店でも売られるようになる予定だ。

同社の栄養・健康部門バイスプレジデント Sue Klapholz 博士は言う。

Impossible Burger のファンは、少なくとも動物肉と同じだけ栄養のあるグルテンフリーのバーガーを食べたいという望みを、声高にはっきりと示しています。私たちの新製品は、栄養にも地球にも妥協することなく、肉の好きな人たちが求めるすべての味をお届けします。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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