タグ 大阪

今年6回目を迎えるHackOsaka、ピッチコンテスト「Hack Award 2018」に社会貢献や健康テーマのチーム10社が世界中から集結

SHARE:

大阪市は27日、年次のスタートアップ・カンファレンスである「HackOsaka 2018」を開催し、日本内外から投資家・起業家・メディアなど総勢約数百名が参加した。2013年からスタートしたこのイベントも今回で6回目を数え、世界中のスタートアップ・エコシステムの動向を関西の起業家に紹介する姿勢には、なお一段と磨きがかかっているようだ。 イベントの終盤では、日本内外から集まったスタートアップ10チー…

大阪市は27日、年次のスタートアップ・カンファレンスである「HackOsaka 2018」を開催し、日本内外から投資家・起業家・メディアなど総勢約数百名が参加した。2013年からスタートしたこのイベントも今回で6回目を数え、世界中のスタートアップ・エコシステムの動向を関西の起業家に紹介する姿勢には、なお一段と磨きがかかっているようだ。

イベントの終盤では、日本内外から集まったスタートアップ10チームがピッチを行なった。審査員を務めたのは、以下の6名の方々だ。

  • 西村淳子氏(シルバーエッグ・テクノロジー共同創業者)
  • Oko Davaasuren 氏(Techstars アジア太平洋地域ディレクター)
  • Oscar Kneppers 氏(オランダ Rockstart 創業者)
  • Gidi Schmerling 氏(イスラエル テルアビブヤッファ メディア担当部長)
  • Shan Lu 氏(LeaguerX=力合鋭思 創設パートナー兼最高執行責任者)
  • Allen Miner 氏(サンブリッジ 代表取締役会長兼 CEO / HackOsaka スーパーバイザー)

MC は、元 Tech in Asia 日本編集長で Best Beer 創業者の Peter Rothenberg 氏が務めた。

Gold Prize: dot(韓国)

dot は点字が表現できるスマートウォッチを開発。視覚障害者がスマートウォッチのように使え、メッセージのやりとりやソーシャルネットワーク上の投稿を読める。通常の点字キーボードは5,000ドル程度するが、dot は290ドルで提供できるため、視覚障害者へのギフトとしても最適。30の特許により、dot 上の点字表示部の小型化に成功している。昨年、SLUSH TOKYO のピッチコンテストで優勝

Google の協力を得て点字表示ができるタブレット「Dot Pad」(950ドル)に加え、Dot Pad の簡易版(教育用、200ドル)である「Dot Mini」を開発。1,000万人の視覚障害者がいるインドで数百万台を投入予定。次なるプロジェクトとして、ドバイのスマートシティプロジェクト向けに点字キオスクを開発に着手、平昌オリンピックでも試験展開した。現在アメリカと中国で事業展開しており、日本市場にはまもなく上陸予定だ。

Silver Prize: Eye Control(イスラエル)

ALS(筋萎縮性側索硬化症)で身体が動かせない患者は世界中に160万人いるとされ、その人口は増加傾向にある。彼らがコミュニケーションに使う装置が高価であること気づいた Eye Control のチームは、ウエアラブルで、値段が安く、使いやすいデバイスを開発することにした。

Eye Control はカメラを使って患者の瞳孔の動きを細くし、それを小型コンピュータに送信して伝えたい内容を解析、BLE 経由でスマートフォンを通じ伝えたい内容が発声されたり制御されたりするしくみ。大きな表示スクリーンを使う煩わしさが無いのが最大の特徴だ。2011年の Starupboocamp から輩出、昨年にはイスラエルのテックメディア Geektime の Next Future Technology 賞を受賞した。

Bronze Prize: Carbyne(イスラエル)

110番や119番などの緊急電話サービスは、近年いくつかの問題を抱えている。通話が長くなること、ニセ電話が増えていること、通報場所が正確でないこと、複数の連絡が寄せられたときに優先順位づけができないこと、現場把握のための映像が無いことなどだ。

Carbyne では110番や119番にかかってきた通話を Carbyne のシステムに転送し、緊急電話を受信するセンターで現場の位置情報・画像情報など、より整理された詳細な情報を把握することが可能になり、より的確で迅速な救助や事後対応につなげることができる。メキシコの通信会社 América Móvil、ホンジュラスやフィリピンの国家プロジェクトなどで既に導入が始まっている。

Bronze Prize: Nature Remo(日本)

Nature は、エアコンをスマート化する IoT プロダクト「Nature Remo」を開発している。2016年に発表された Nature Remo は、Kickstarter、Indiegogo、Makuake の3サイトでのクラウドファンディングを通じ、総額2,200万円以上を調達。昨年には神戸市と500 Startups が開催した、アクセラレーションプログラム「500 Kobe Accelerator」に採択され、先ごろ大和企業投資から1億円を調達した。

開発・製造体制が安定したこともあり、ビックカメラ・コジマ・Amazon での販売が開始。アーリーアダプターでなくても、市中の家電量販店で手軽に買えるようになったのは、最近の大きな動きだ。関西電力との協業では、インターネットとセンサー技術を活用し、分散型電源を普及させ、ピーク時に活用できる電力供給源の代替としてエネルギーを自給自足出来るバーチャルパワープラントの実証事業に参画している。

Bloodhero(フィリピン)

事故や手術で必要となる献血は全人口の1%相当分程度が必要とされるが、実際には提供血液が不足している。結果として、血液を必要とする患者の家族が、ソーシャルメディアで「○型の血液の提供をお願いします」などと助けを求める投稿が後を絶たない。Bloodhero は、血液が必要な人に血液を届けるソーシャルプラットフォームだ。

献血をするごとにポイントが貯まり、貯まったポイントに応じてステイタスが付与される。献血者はステイタスレベルに応じて、スパの無料優待などの特典が得られる。Bloodhero を導入した病院では、献血者のリテンションレートが23%増加する効果がみられているという。2018年10月から12月期で、5万件の献血実績到達を目指す。

Ouireward(フランス)

飛行機の欠航や遅延を経験する人々は、年間に世界で100万人に上るという。一方、ヨーロッパでは欠航はもとより、3時間以上の遅延が発生した場合、航空会社が搭乗客に補償することが EU261 法で求められている。距離にもよるが一般的に最高700ドルのキャッシュバックを受け取ることができるが、搭乗客が権利主張をするには、航空会社との交渉が必要になる。この交渉プロセスには、多くの書類提出が必要だったり、数ヶ月必要が待つ必要があったり、挙句の果てには拒否されたりして、非常に厄介で面倒だ。

Ouireward では、3分間で記入可能なオンラインフォームをユーザが登録することで、この交渉プロセスを代行してくれる。成功報酬ベースで Ouireward がキャッシュバック金額の25%を手数料徴収する。6ヶ月前にローンチし、37カ国の顧客のリクエストを受け、79の航空会社と交渉し、総額16万ドルのキャッシュバックを徴収代行した。航空会社との提携も視野に入れており、現在200万ドルの資金調達、日本の航空会社や保険会社との提携を求めている。

Yiyuan/宜遠(中国)

Yiyuan(宜遠)は、モバイルアプリを使って写真を撮影することにより、人工知能が皮膚の状態を評価し障害を診断するサービスを提供している。アプリを通じてアドバイスを行い、人の顔の部位にランドマーキングを行うことで、治療の前と後の状態をディープラーニングで自動診断し、快方に向かっているか追加治療が必要か、などを患者に伝える。

将来的には、化粧品店舗向けの API や SDK の提供、電話応対サービスなどを拡充しマネタイズするようだ。
これまでに QF Capital(啓賦資本)と清華大学が支援するアクセラレータ LeaguerX(力合鋭思)からエンジェル投資を受けている。

Travelio(インドネシア)

インドネシア版 Airbnb とも称される Travelio は、通常のバケーションレンタル以上に高品位なサービスの提供を狙っているようだ。不動産会社が保有する物件などの管理も代行し、掃除やリネン交換などホテル基準のサービスを長距離滞在、レジャー、出張ニーズの顧客に提供する。

現在インドネシア国内25都市でサービスを提供しており、取扱物件数は3,000件。国内ユーザと海外ユーザの比率は、65%:35%。ユーザは1回あたり平均4.95泊しているということで、コストパフォーマンスが追求されやすい長距離滞在に人気があるようだ。ジャカルタ市内では多くの物件が建設される一方、売れていない物件も相当あるようで、不動産デベロッパに対して、それらの物件のマネタイズに貢献するという側面もあるようだ。

BackTech(日本)

BackTech2016年にリリースした「ポケットセラピスト」は、京都大学大学院医学研究科の研究成果である腰痛タイプ判定アルゴリズムを用いて、ユーザーに最適なエクササイズの提案や腰痛タイプに合わせた優良治療院を紹介する。サイバーエージェントから資金調達を受けている。

腰痛は多くの労働者が抱える問題だが、労働者にとっては健康問題であると同時に、雇用する企業にとっては生産性を下げる一因となる。ポケットセラピストはアプリを通じて、セラピストからアドバイスを受けられる環境を提供、費用は雇用者である企業や保険会社などが負担する。

Protectiq(ロシア)

Protectiq は、シェアリングエコノミーを応用した P2P 保険サービスだ。発展途上国などで保険の未整備により、腫瘍疾病やガンが原因で死亡する人が少なからずいることに着目。保険料収入、保険料支払のプロセスにはブロックチェーンが利用されており、一連のお金の流れが透明化されることにより安価な料金体系を実現している。

具体的には、ユーザは年間一律の20ドルの保険料を支払う。保険料は第三者の献金者や、社会奉仕を宣言する企業に支払ってもらうこともできる。Protectiq はユーザからの申告に基づき、最大で35万ドルまでの保険金を支払う。特に、18歳〜40歳の若年層の、あまり裕福では無い人々をターゲットにしている。

BRIDGE Members

BRIDGEでは会員制度「BRIDGE Members」を運営しています。会員向けコミュニティ「BRIDGE Tokyo」ではテックニュースやトレンド情報のまとめ、Discord、イベントなどを通じて、スタートアップと読者のみなさんが繋がる場所を提供いたします。登録は無料です。
  • テックニュース全文購読
  • 月次・テーマまとめ「Canvas」
  • コミュニティDiscord
  • イベント「BRIDGE Tokyo」
無料メンバー登録


Monozukuri Hardware Cupでファイナリスト8チームがピッチ登壇——QDレーザ、PLENGoer、VAQSOは米本家イベントへの出場・出展権を獲得【ゲスト寄稿】

本稿は、「Monozukuri Hub Meetup」を主宰する Makers Boot Camp  のコミュニティマネージャーの二神麻里氏とよる寄稿を再構成したものである。 Makers Boot Camp は京都を拠点とするハードウェアに特化したスタートアップアクセラレータである。本稿における写真は、tumiki photo の松浦未希氏による撮影。 Monozukuri Hardware C…

mari_futagami 本稿は、「Monozukuri Hub Meetup」を主宰する Makers Boot Camp  のコミュニティマネージャーの二神麻里氏とよる寄稿を再構成したものである。

Makers Boot Camp は京都を拠点とするハードウェアに特化したスタートアップアクセラレータである。本稿における写真は、tumiki photo の松浦未希氏による撮影。


Monozukuri Hardware Cup 2017 が、2017年2月9日に Hack Osaka 2017 の共催で初開催されました。Monozukuri Hardware Cupは、「世界を舞台に活躍する日本のモノづくりスタートアップ企業」の登竜門となるべく、モノづくり起業推進協議会が主催するピッチコンテストです。

モノづくり起業推進協議会は Darma Tech Labs(京都)、FabFoundry(ニューヨーク)、TechShop Japan(東京・港区)の3社により立ち上げられています。このコンテストは2015年から米国で開催されている「National Hardware Cup」の日本地区予選という位置づけになっています。さまざまなな全国大会と言うのは東京で行われる場合が多いですが、今年を含めた今後3年間は関西で Monozukuri Hardware Cup を開催することが決定しています。

Hardware Cup Final は米国ピッツバーグで2015年より開かれていますが、地方都市であるピッツバーグで開かれるのには理由があるのです。もともと鉄鋼の街として栄えたピッツバーグですが、1970年代に安価な輸入鉄鋼により、地方経済は致命的なダメージを受けました。カーネギーメロン大学を始め優れた大学を有する学術都市としての一面もあるピッツバーグは、産業基盤をハイテク産業をはじめ、保健、教育、金融へと転換し、1980年から徐々に新しい都市に変貌を遂げました。

Google、Apple、Facebook などのイノベーション部門が集まり、さらに創造的な環境へと発展を続けています。そんなピッツバーグを本拠地とし、Seed Accelerator Rankings Project で全米Top 20にも選出されたハードウェア専門のアクセラレータ AlphaLab Gear が Hardware Cup Final を主催しています。AlphaLab Gearはキープレイヤーとして学術界、産業界、VC などとピッツバーグに有機的なエコシステムを作り上げています。

AlphaLab Gearの Ilana Diamond 所長は、Hardware Cup を開催する理由を次のように語っています。

米国では、ハードウェア・スタートアップは、ウェブやアプリ・スタートアップと比べて、出資を受けるのに苦労している。投資家やメディアの理解が得られていない。

ピッチとブース出展

今回参加したスタートアップ8社の開発製品を直接体験してもらえるブースを用意して、来場者にも体験してもらいました。実際に手に触れて、体験してもらうことでハードウェア開発への理解がより深まり、同時にスタートアップ同士の交流も進んでいたようです。

1社4分間の持ち時間でプレゼンし、5分間の審査員からの質疑にすべて英語で対応しつつ、米ピッツバーグで開催される決勝大会の切符を争うことになります。これは米国ファイナルと同じ形式で、本選を見据えた戦いとなりました。

アトモフ

アトモフ共同創業者兼CEO 姜京日氏

最初の登壇者は京都のアトモフです。アトモフは世界初のスマートなデジタル窓「Atmoph Window」を開発し、家庭に新たな旅行体験を広げることを目指しています。創業者兼CEOの姜氏が米国で窓のない環境を変えたいと思った経験からアトモフを開発したそうです。

液晶ディスプレイに世界中の風景動画と音が流れ、ハワイやニュー ジーランド、スイスやパタゴニアなど、まるでそこにいるような気分が味わえるそうです。窓専用の映像はすべて独自に提携カメラマンらによって4Kで撮影され、アプリ上から購入することが可能です。世界30カ国から500以上の画像が現在アップされているそうです。また天気予報や時間など日常生活で必要な情報も表示が可能となっています。

今後はヘルスケアやホームハブとしても応用利用も視野に入れているそうです。

<関連記事>

Dendama

Dendama CEO 大谷宜央氏(右)

Dendama は、対戦できるけん玉「電玉」として世界展開を目指しています。けん玉の競技人口は、日本だけで300万人とも言われており、世界中でブームとなっています。Dendama は、アプリと連結した複雑な技の判別も可能なセンサーを搭載したけん玉で、世界中のプレイヤーと対戦することが可能となります。

今後は Kickstarter や SXSW への出展を計画しており、ARとの連携も視野において活動を行っていく予定だそうです。

Lightflyer

Lightflyer CEO 柿沼薫氏

東京大学発のスタートアップで、13年間に及ぶ「マイクロ波ロケット」のノウハウを活かしたテクノロジーを利用した超小型衛星打ち上げサービスを行っていく計画です。Lightflyer のロケット打ち上げ装置は、既存装置による場合のコストの1/100、具体的には超小型衛星1機に対して、数百万円程度にまで抑えることが可能です。

超小型衛星を低軌道投入出来る装置の完成に向けて、東京大学や Carnegie Mellon University と連携し研究開発の体制を整えるそうです。

mille-feuille

mille-feuille の河吉成氏

誰でも回路図が自動で作れる自動回路図生成ツール「mille-feuille(ミルフィーユ)」を使い、プログラマやアーティストが自由に自動でカスタム回路を作れるようにサポートします。mille-feuille はベース基板、モジュール基板、デバイス基板で構成されており、デバイス基板部分はオープンハードウェアとし、回路設計者も自由に参加し販売できます。

基本的には基板の販売が同社の最初の利益となりますが、回路図(及びそのファームウェア)生成ツールは Web ツールなので、個別にカスタマイズし企業にライセンス販売することも計画しています。また、デバイス基板のマーケットプレイスを用意して、Google Play のようなサービスへも応用できるそうです。

PLENGoer Robotics

PLENGoer Roboticsの富田敦彦氏

オリジナルなパーソナルアシスタントロボットを開発している PlenGoer Robotics。CES でも出展した、カメラ機能や家電をコントロールしてスマートホームに変換できるパーソナルアシスタントロボットを今回ピッチで紹介してくれました。

これまでのカメラは、自分でシャッターを押すものでしたが、PlenGoer Robotics のカメラはシャッターチャンスを認識するため、自動で自然な写真を撮影することができます。

<関連記事>

QD レーザ

QDレーザ 視覚情報デバイス事業部 事業開発マネジャー 宮内洋宜氏

QD レーザはフレームの内側に内蔵したレーザープロジェクタから、装着者の網膜に直接映像を投影する網膜走査型レーザアイウェアを開発しています。全盲ではないものの、ぼやけた世界の中で暮らしている視覚障害者(ロービジョン)は日本国内に約150万人、途上国も含めれば世界で2億5千万人いるといわれており、QD レーザの開発は彼らの生活の質を上げる可能性を秘めています。

特別に設計された光学系により、視力やピント位置など目の調節機能に関係なく、鮮明な映像を投影でき、この特性を用いて主に前眼部(角膜や水晶体)に起因する視覚障害者が、視覚を取り戻すための医療機器、福祉用具としての開発を進めているそうです。さらに、AR(拡張現実)やスマートグラスといった今後の拡大が期待される用途への応用も可能であるとのことです。

Secual

Secual COO 西田直樹氏

Secual(セキュアル)」は、IoT を活用した新しいホームセキュリティの実現を目指し、2015年6月に設立されたスタートアップです。Secualのデバイスは簡単に設置可能で、窓やドア等の振動をセンサーが検知し、ゲートウェイ経由で弊社システムに情報を送信・解析し、スマートフォン・アプリに通知してくれます。

デバイスは1万円台から購入可能、配線工事不要で簡単に設置可能なため、価格の高さや賃貸住宅暮らしで設置工事が出来ない等の理由でホームセキュリティの導入をあきらめていた潜在ユーザ層へアプローチし、月額使用料(税抜980円~)での収益化を狙っています。

Secual と連携した新しいデバイスも開発中で、外部組織との連携を深めて養護施設での活用等のビジネス展開を目指していくそうです。

VAQSO

VAQSO CEO 川口健太郎氏(右)

VAQSO が開発しているのは VR(バーチャルリアリティ)から匂いを出すデバイスで、HMD(ヘッドマウント・ディスプレイ)に装着して使用します。VR のコンテンツと連動して複数のリアルな香りを表現することが可能となり、よりリアリティのあるVR体験が可能になります。市販品のすべてのヘッドセットに、取付可能だそうです。

<関連記事>

アワードセレモニー

優勝を勝ち取った QDレーザ

ピッチコンテストはカジュアルな雰囲気のコミュニケーションエリアで開催されましたが、表彰式はメインアリーナへ移動して行われました。

3位はVRにアタッチできる香りのデバイス VAQSO が、2位はパーソナルアシスタントロボット P LENGoer Robotics が勝ち取りました。そして栄えある優勝は網膜走査型レーザアイウェアの QD レーザに決まりました。

(左から)審査員の Jeffrey McDaniel 氏、高橋ひかり氏、 藤田修嗣氏

審査員長を務めた Jeffrey McDaniel 氏(米 AlphaLab Gear のアクセラレータ「Innovation Works」の Executive -in-Residence)からは「英語での発表は海外の投資家などに訴える大きな一歩だ。日本のモノづくりの土壌を活用して成長を」と日本のハードウェアスタートアップにとって励みとなるコメントをいただきました。

審査員の藤田修嗣氏(EO Osaka 会長)と高橋ひかり氏(BRAIN PORTAL 共同ファウンダー)からは、参加8社がビジネス発展していくための助言をコンペティション終了後にいただくなど、日本の起業文化を支えるべく素晴らしい支援を提供いただきました。

副賞

トラベルスポンサーを務めた、全日空 デジタルデザインラボ チーフディレクター 津田佳明氏

日本予選の優勝者 QD レーザには、4月19日〜20日にピッツバーグで開催される Hardware Cup Final へのピッチ出場権、トラベルスポンサーの全日空から日本→ニューヨークの往復チケット、旅費補助として30万円が贈られました。

2位入賞の PLENGoer Robotics と3位入賞の VAQSO には、Hardware Cup Final のデモエリアでの展示と旅費補助(2位20万円、3位10万円)が送られました。さらに上位入賞者にはニューヨークやピッツバーグでの、Hardware Cup Demo Day への参加権利なども授与されます。

今回初めての開催となった Monozukuri Hardware Cup 2017 ですが、24社の応募から書類選考を経て8社がファイナリストとして登壇を許され、独自技術を持つ製品とビジネスプランで、 Hardware Cup Final への挑戦権を得るべく激しい戦いを繰り広げました。

Monozukuri Hardware Cup の関西での継続的な開催が、日本のハードウェアスタートアップの更なる発展に寄与するとともに、モノづくりエコシステムを作り上げていくための足がかりとなることを祈るばかりです。

BRIDGE Members

BRIDGEでは会員制度「BRIDGE Members」を運営しています。会員向けコミュニティ「BRIDGE Tokyo」ではテックニュースやトレンド情報のまとめ、Discord、イベントなどを通じて、スタートアップと読者のみなさんが繋がる場所を提供いたします。登録は無料です。
  • テックニュース全文購読
  • 月次・テーマまとめ「Canvas」
  • コミュニティDiscord
  • イベント「BRIDGE Tokyo」
無料メンバー登録


HackOsaka 2017が開催——米英から論客を招き、街のルーツを生かしたイノベーションを紹介/10チームがピッチ参戦し、今年からHWカップも

SHARE:

大阪市は9日、年次のスタートアップ・カンファレンスである「HackOsaka 2017」を開催し、日本内外から投資家・起業家・メディアなど総勢約数百名が参加した。 イベントの前半には、ベルリンや台湾への海外進出を図るグッドパッチの代表取締役の土屋尚史氏による基調講演。DeNA の南場智子氏の言葉に促され、事業を始めるに至った経緯を語った。このあたりは、THE BRIDGE のこれまでのグッドパッチ…

大阪市は9日、年次のスタートアップ・カンファレンスである「HackOsaka 2017」を開催し、日本内外から投資家・起業家・メディアなど総勢約数百名が参加した。

イベントの前半には、ベルリンや台湾への海外進出を図るグッドパッチの代表取締役の土屋尚史氏による基調講演。DeNA の南場智子氏の言葉に促され、事業を始めるに至った経緯を語った。このあたりは、THE BRIDGE のこれまでのグッドパッチに関する一連の取材に詳しい。

土屋氏の講演に引き続き、イギリス・ブリストルから Engine Shed の Nick Sturge 氏、アメリカ・ピッツバーグから Innovation Works の Jeffrey McDaniel 氏、Politemachines.com の Ajay Revels 氏、大阪市経済戦略局理事の吉川正晃氏を交えてのパネル・ディスカッションが持たれた。モデレータは、京都工芸繊維大学の特任准教授 Sushi Suzuki 氏が務めた。

Struge 氏は、ブリストル市とブリストル大学が共同で進めている、長期的かつサステイナブルな経済成長目指すコラボレーション・プログラム「Engine Shed」ののディレクターを務めている。Sturge 氏によれば、ブリストルは歴史的に製品の輸入で潤って来た街で、近年ではロールス・ロイスに買収された Bristol Aeroplane Company の流れを引いて航空機産業が盛んなほか、80年前に BBC がここに本局を構えたことに起因し、世界中の自然史に関わる番組の35%がブリストルで作られているのだそうだ。

街中には早くから WiFi が整備されており、郵便ポストとインタラクションを交わすような遊びもできるようになっている。Struge 氏は「三人寄れば文殊の千恵」という日本の諺を引用して、異なるセクターの人々が交わることで生まれるイノベーションの価値を強調した。

左から、大阪市経済戦略局理事の吉川正晃氏、Innovation Works の Jeffrey McDaniel 氏、Engine Shed の Nick Sturge 氏、Politemachines.com の Ajay Revels 氏、モデレータの京都工芸繊維大学特任准教授 Sushi Suzuki 氏

McDaniel 氏は、Innovation Works の Executive in Residence で、ピッツバーグに創設されたハードウェア・スタートアップ・アクセラレータ AlphaLab Gear を通じて起業家の育成に力を入れている。

McDaniel 氏は、3つの河川に囲まれ、橋の街と称されるピッツバーグの街の特性について語った。かつては鉄の街と言われたピッツバーグは、製鉄産業の斜陽と共に姿を変え、ハイテクを生かした産業モデルへの移行を成功させた。その背景には、カーネギーメロン大学やピッツバーグ大学といった、アカデミアが集積した街だったことも多分に影響しているだろう。

McDaniel 氏によれば、AlphaLab Gear がある前の通りも製鉄工場街で、製鉄産業が華やかな時代が過ぎ去ってからは閑古鳥がないていたそうだ。現在はそこがイノベーションを生み出すハブとなり、鉄の街だったルーツを生かして、鋳造や金属加工ができる 3D プリンター ExOne などが生まれている。

Revel 氏は、企業やスタートアップにユニークなイノベーション機会を提供すべく、戦略的デザイン研究を行っている人物だ。彼女は日本への造詣も深く、天気、セラミックス、小説文学、医療などさまざまな分野で日本で生まれた新しいコンセプトが世界を牽引していることを紹介。また、スタートアップ・エコシステムと構成組織の役割を活性化するために、「スタートアップ教育」が必要であると提唱、その上で、ソーシャルインパクトがスタートアップをプロモートする上で、重要な要素になることを強調した。

イベントの後半では、デジタルヘルス、トラベルテック、スマートシティをテーマに、日本内外から集まったスタートアップ10チームがピッチを行なった。審査員を務めたのは、以下の4名の方々だ。

  • Allen Miner 氏(サンブリッジ 代表取締役会長兼 CEO / HackOsaka スーパーバイザー)
  • 平石 郁生氏(サンブリッジ 代表取締役社長)
  • Nick Sturge 氏(Director, Engineshed)
  • Ajay Revels 氏(Politemachines.com)

【Gold Prize】Docquity(シンガポール)

副賞:賞金50万円

アジアでは、医師が継続的医療教育(CME; Continual Medical Education)を受けるのには大きな障害を伴う。また、具体的な症例事案をオープンなソーシャルメディアなどで議論することも法律で禁じられている。その結果として、インドネシアでは、2016年に医師免許を更新できなかった医師が5,000人に上るという。

Docquity は東南アジアやインドの医師を対象とした、プライベートでセキュアな学習ネットワークを構築した。このプラットフォーム上には60万人分の認証医師のプロファイルが登録されており、週毎のユーザセッション数の成長率は32%。医療科目や症例毎に開設されたスペシャルグループでは医師同士の議論が繰り広げられ、医師の特性(例えば、ある地域の医師は、特定の症例に対し、特例の薬を処方する傾向があるなど)のデータを取ることも可能だ。

今後は、製薬会社がスポンサーについた継続的医療教育プログラムなどを増やし、マネタイズを図っていきたいとしている。

<関連記事>

【Silver Prize Winner】Holiday-Sitters(オランダ・アムステルダム)

副賞:賞金30万円

Holiday Sitters は国際都市アムステルダムにふさわしい、マルチリンガル環境でベビーシッターを見つけることができるマッチングプラットフォームだ。現在アムステルダムで利用可能で、60言語に対応できるベビーシッターが登録している。

条件に基づいてベビーシッターを検索し自己紹介動画を確認。1時間あたり15ユーロで、最大3人までの子供の面倒を見てもらうことができる。将来的には、旅行や出張に出て長期不在となる両親のための、プレミアムサービスのローンチも計画している。

【Bronze Prize Winner】MARUI Plugin(日本・大阪)

副賞:賞金10万円

MARUI-PlugIn は、CG やアニメの既存の制作ソフトウェアを、HTC Vive や Oculus Lift といった HMD に接続し、バーチャルリアリティ空間で、直感的に操作・コンテンツ制作できる環境を提供するプラグイン。SaaS モデルで月間2,000円で提供されている。

昨年11月にβ版を公開した。VR ゲームメーカーに対してプラグインを販売することで成長を目指し、ユーザからのフィードバックをもとに、プロダクトマーケットフィットを追求することで、さらにユーザの獲得を図る。現在、デベロッパを募集しており、シードラウンドで資金調達中。

以下は入賞しなかったものの、素晴らしいピッチを繰り広げた7チームだ。

Mimi Hearing Technologies(ドイツ・ベルリン)

Mimi は、聴覚機能に関するソリューションの開発に取り組むスタートアップで、自分の聴覚機能を簡単にチェックできる「Mimi Hearing Test」や、自分の聴覚にあわせて iTunes、Spotify、Sound Cloud などで得た音源を聴ける「Mimi Music」といったアプリをリリースしている。

現在、さまざまなデベロッパが自社アプリに Mimi の機能を連携できる SDK を開発中で、年内にはスマートフォンの OS レベルでのインテグレーションができるよう、スマートフォン製造会社と協業したいとしている。Mimi と同じくベルリンを拠点とする Capsule.fm がパートナーとなっている。

<関連記事>

あっと(日本・大阪)

毛細血管の血流を見ることができれば、その人の健康状態を容易に判断することができる。毛細血管は皮膚の表皮直下にあるため、皮膚を切開したり、血液を採取したりする必要もない。あっとは大阪大学との共同研究により、容易に毛細血管の血流を観察できるデバイス「血管美人」を開発した。血流をリアルタイムに観測できるようにすることで、ユーザに食生活や運動不足を見直してもらい、健康維持のための指標としてもらうのが狙いだ。

すでに日本の内外に、血管美人のデバイスは700台近くが販売されているのだという。今後は血管美人を IoT 化し、クラウドサービスに対応したバージョンを開発したいとしている。

Caption Hospitality(インドネシア)

チェーンやフランチャイジーに属さず、独立経営のゲストハウス・ホステル・ホテルなどは、客の流入をオンライン旅行会社や飛び込み客に頼っていることがほとんどだ。Caption Hospitality は、このようなアコモデーションデザイナーが、テクノロジーに関する特別なスキル無しで、簡単に宿泊在庫の管理やプロモーションができるしくみだ。

2016年9月にローンチして以来、1,682件の予約を取り扱い、月間15,360件の宿泊在庫を取り扱っている。

ハカルス(日本・京都)

ハカルスが開発しているのは、栄養管理をするためのiOSアプリだ。アプリを利用し、自分や家族が日々取得している栄養成分を記録、管理する。データの記録や管理は何名でも追加することができ、家族や食事管理が必要な施設でも利用できる。

栄養成分の管理には独自のアルゴリズムを開発。ユーザの目的に沿ったアドバイスが行われる。最近開発した専用のキッチンスケールは、食材を乗せて重さを測る際に、食材の名前をスマートフォンに向かって声で読み上げると、音声を認識したアプリが栄養成分を計算して、クラウドに記録してくれる。

<関連記事>

Cardiomo(アメリカ・ニューヨーク)

世界的に見て人に死を招く最も多い要因は心血管疾患だ。2人に1人は、程度の大小はあれ何らかの心血管疾患を持っているとされる。これらの人々の心臓の活動を継続的にモニタリングすることで、年間1,580万人もの人々の命を救えるとするデータも存在する。

Cardiomo は家族や親類のバイタルサインをモニターし、危険な兆候があった場合に通知してくれるサービスだ。デバイスを使って計測、そのデータをもとに分析し、病気を未然に防ぐための生活習慣のコントロールやレコメンデーションを教えてくれる。

現在はニューヨークに拠点を置いているが、もともとはウクライナ出身のスタートアップのようだ。昨年、モスクワの Starta Accelerator がニューヨークで開催したデモデイにも登壇している。

Timescope(フランス・パリ)

TimeScope は該当におけるバーチャルリアリティ・ターミナルだ。TimeScope の共同創業者2人が、イタリアの古代都市ポンペイを訪れたところ、観光シーズンで人の多さに幻滅、古代を知る由も無かった。一般的なバーチャルリアリティは、位置計測の設備の関係から屋内である必要があり、ヘッドマウントディスプレイを装着するために誰かの助けを借りる必要がある。TimeScope は屋外における双眼鏡ターミナルの形をとることで、誰でも手軽に時代を遡って楽しめる環境を提供する。

最初の1台目となる TimeScope はパリ市内のバスティーユ広場に設置され観光客を楽しませている。TimeScope を使うにあたり、観光客はスマートフォンでサイトを訪問し、2ユーロを支払う仕掛けだ。将来的には、過去に遡るだけでなく、都市計画に基づいて、将来がどのような風景になるかを TimeScope を使って再現してみせる計画もあるという。

Parkisseo(フランス・トゥールース)

車がひしめき合う都市部において、どこに駐車場があるか、どの駐車場が空いているかを知るのは一苦労だ。Parkisseo では、駐車場に置くことで空き状態を検知できる小さなデバイスを開発、その状態をユーザに伝えられるほか、駐車場オーナーはモバイルやデスクトップのダッシュボードを使って、時間の経過に伴う専有率を 把握することができる。

2016第3四半期に POC のバージョン1の開発を完了、2017年第1四半期にはフランスを中心に多拠点の駐車場への導入を予定している。電源に内蔵バッテリーを使っているため、デバイスを駐車場に設置する際に一切工事が不要で、1個あたり10分程度と短時間でで設置が完了するのが強みである。


今回の HackOsaka では、京都で Makers Boot Camp を運営する Darma Tech Labs、ニューヨークの FabFoundry、東京の TechShop Japan が共同で立ち上げたモノづくり起業推進協議会の主催によるピッチコンテスト「Monozukuri Hardware Cup 2017」が開催された。

Monozokuri Hardware Cup の優勝者には、ピッツバーグで AlphaLab Gear  が毎年開催する「National Hardware Cup」に、ロサンゼルス、ボストン、オースティン、デンバー、ワシントンDC  からの予選通過者と肩を並べ、ファイナリストとして登壇する権利が与えられる(AlphaLab Gear の運営母体である Innovation Works の Jeffrey McDaniel 氏によれば、今回の日本勢のジョインに伴い「International Hardware Cup」に改称するとのこと)。また、入賞3位までのチームにも同イベントにツアー参加する権利が与えられる。

【1位】QD レーザ

QD レーザは、富士通や東京大学の共同研究からスピンアウトしたスタートアップで、量子ドット技術を活用し、さまざまな分野に応用できる量子ドットレーザを開発している。今回は、レーザープロジェクトから装着者の網膜に直接映像を投影する網膜走査型レーザアイウェアを紹介した。この技術により、全盲ではないものの、ぼやけた世界の中で暮らしている視覚障害者の QOL を高められる可能性がある。

視力やピント位置などに関係なく鮮明な映像を網膜に投影できるので、角膜や水晶体に起因する視覚障害者が、視覚を取り戻すための医療機器、福祉用具としての開発を進めている。また、AR(拡張現実)やスマートグラスといった用途への応用も可能とのこと。

【2位】PlenGoer Robotics

<関連記事>

【3位】VAQSO

<関連記事>

はか

BRIDGE Members

BRIDGEでは会員制度「BRIDGE Members」を運営しています。会員向けコミュニティ「BRIDGE Tokyo」ではテックニュースやトレンド情報のまとめ、Discord、イベントなどを通じて、スタートアップと読者のみなさんが繋がる場所を提供いたします。登録は無料です。
  • テックニュース全文購読
  • 月次・テーマまとめ「Canvas」
  • コミュニティDiscord
  • イベント「BRIDGE Tokyo」
無料メンバー登録


近畿経済産業局、関西発の起業家・ベンチャーエコシステム活性化に向けアクションプラン「NEXT INNOVATION」を始動

SHARE:

経済産業省近畿経済産業局は8日、関西の起業家・ベンチャーエコシステムの構築プロジェクトモデル事業のアクションプラン「NEXT INNOVATION」を明らかにし、これを発表するイベント「NEXT INNOVATION Conference」を大阪市内で開催した。このアクションプランでは、神戸大学大学院科学技術イノベーション研究科教授の忽那憲治氏をプロジェクトリーダーに迎え、産官学や起業家コミュニテ…

大阪イノベーションハブで開かれたアクションプラン「NEXT INNOVATION」の記者会見
左から:横田智之氏(ナンガ代表取締役社長)、渋谷順氏(スマートバリュー代表取締役社長)、忽那憲治氏(神戸大学大学院教授)、大西逸朗氏(近畿経済産業局 産業部 創業・経営支援課長)、松尾泰貴氏(近畿経済産業局 創業・経営支援課 創業支援係長)

経済産業省近畿経済産業局は8日、関西の起業家・ベンチャーエコシステムの構築プロジェクトモデル事業のアクションプラン「NEXT INNOVATION」を明らかにし、これを発表するイベント「NEXT INNOVATION Conference」を大阪市内で開催した。このアクションプランでは、神戸大学大学院科学技術イノベーション研究科教授の忽那憲治氏をプロジェクトリーダーに迎え、産官学や起業家コミュニティを横断してアクションを実行していく。

カンファレンスの開催に先立って、大阪イノベーションハブで開かれた記者会見で、忽那氏はピータードラッカーの名著「イノベーションと起業家精神」の日本語版序文を引用し、イノベーションを起こすには、スタートアップのみならず、既存の一般企業や公的機関も起業家精神をもってイノベーションに臨むべきと強調した。近畿経済産業局では、関西の産業集積など地の利を活かした事業や地域経済への波及効果の高い事業を重点的に支援するとし、プロジェクトの支援対象を以下の3つに整理している。

Techvator(テック系ベンチャー)

技術系ベンチャーで破壊的イノベーションを起こすようなビジネスモデルや、成長性の見込める新製品、新サービスの開発に挑戦する起業家

Renovator(ベンチャー型事業承継)

先代から受け継いだ有形・無形の経営資源を活用し、永続的な経営を実現するための新たな領域に果敢に挑戦し、社会に新たな価値を生み出す若手後継者

Genovator(地域課題解決型ベンチャー)

地元の資源の活用や地元の課題を解決するために、社会性と事業性を併せ持つビジネスを展開する若手経営者、起業家

アクションプランの内容について、具体的には、平成29年度中に、ポータルサイトの構築、SNS の活用、経済産業省本省や NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)との連携、大学などと連携したベンチャー型事業承継講座の実施、自治体や地域支援機関と連携したクラウドファンディング活用のビジネスプランコンテスト兼交流会の開催、「NEXT INNOVATION Conference」の年一回開催など。

カンファレンスでは、前出した支援対象の3つのカテゴリを代表し、関西を代表する起業家らがパネルディスカッションに登壇した。

左から:中野慎三氏(日本ベンチャーキャピタル協会地方創生部会長/伊藤忠テクノロジーベンチャーズ代表取締役社長)、金谷元気氏(akippa 代表取締役 CEO)、菅原俊子氏(ハート・オーガナイゼーション 代表取締役)

関西からのイノベーション創出をテーマにしたパネルでは、akippa 代表取締役 CEO の金谷元気氏が、関西のスタートアップ・コミュニティを活性化するために、より C 向けサービスの成功事例が関西から生まれることで、学生らが関西に留まり起業への意識を高められるのではないかと述べた。日本ベンチャーキャピタル協会地方創生部会長で、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ代表取締役社長の中野慎三氏は、山形県鶴岡市が慶應大学を誘致して繊維スタートアップのスパイバーが生まれたことを紹介し、それまで何もなかったところにスタートアップ・ハブを構築したり、大企業とスタートアップの間での人材流動を活性化したりすることの必要性を強調した。

左から:渋谷順氏(スマートバリュー代表取締役社長)、横田智之氏(ナンガ代表取締役社長)、山田岳人氏(大都 代表取締役)

ベンチャー型事業承継をテーマにしたパネルでは、ともには経営者として三代目ながら、事業そのものは創業時から完全に違った形で経営を続けている関西を代表する3人が登壇。3人の起業家からは、事業内容は変化しながらも、スタートアップや企業にとって重要な「なぜ、その事業を自社がやっているのか?」というストーリーや、市場への新規参入時に獲得するのが困難な商流を先代から引き継ぐことができたのは、大きな有形・無形資産として役に立っているという意見が述べられた。79年前に工具の問屋業で創業、現在は東京や大阪で DIY の体験型ショップや Eコマースを運営する大都代表取締役の山田岳人氏は「古い業界ほどイノベーションが起こしやすい。失敗しても失うものは小さいので、新しいチャレンジをしてほしい」と聴衆の起業家予備軍や学生らを鼓舞した。

経済産業省の関西におけるプロジェクトの方向性を説明する石井芳明氏(経済産業省 経済産業政策局 新規産業室 新規事業調整官)

BRIDGE Members

BRIDGEでは会員制度「BRIDGE Members」を運営しています。会員向けコミュニティ「BRIDGE Tokyo」ではテックニュースやトレンド情報のまとめ、Discord、イベントなどを通じて、スタートアップと読者のみなさんが繋がる場所を提供いたします。登録は無料です。
  • テックニュース全文購読
  • 月次・テーマまとめ「Canvas」
  • コミュニティDiscord
  • イベント「BRIDGE Tokyo」
無料メンバー登録


ABBALab、Makers Boot Camp、HWTrekが、IoTエコシステムの新トレンドを語る〜次世代ものづくり会議から【ゲスト寄稿】

本稿は、「Monozukuri Hub Meetup」を主宰する Makers Boot Camp でマーケティングを担当する Sabrina Sasaki 氏による寄稿を翻訳したものである。オリジナルはこちら。 Makers Boot Camp は京都を拠点とするハードウェアに特化したスタートアップアクセラレータである。本稿における写真は、京都を拠点とするシステム生物学者の Tugi Guene…

sabrina-sasaki-150x150本稿は、「Monozukuri Hub Meetup」を主宰する Makers Boot Camp でマーケティングを担当する Sabrina Sasaki 氏による寄稿を翻訳したものである。オリジナルはこちら

Makers Boot Camp は京都を拠点とするハードウェアに特化したスタートアップアクセラレータである。本稿における写真は、京都を拠点とするシステム生物学者の Tugi Guenes 氏による撮影。


jisedai-monozukuri-kaigi-20161004-2
左から:モデレータの 多賀谷 元氏(大阪産業創造館)、小笠原治氏(ABBALab)、牧野成将氏(Makers Boot Camp)、Roger Wu/巫荣展氏(HWTrek)、Alan Jung 氏(HWTrek)

10月4日、Makers Boot Camp は、大阪市が大阪イノベーションハブで開催した「次世代ものづくり会議」に参加し、ハードウェア・エコシステムのキープレーヤーとともに、新世代の起業家に新しいトレンドを紹介した。

メインの講演は、東京を拠点とするハードウェアインキュベータ ABBALab の CEO 小笠原治氏が行った。台湾 HWTrek のチームメンバーで、サブライチェーン担当 VP の Roger Wu(巫荣展)氏、日本市場ビジネス開発担当の Alan Jung 氏は、中国や台湾での製造に関する国際的な専門知識を、また、我々の CEO 牧野成将は Makers Boot Camp の京都試作ネットとのパートナーシップについてプレゼンテーションした。京都試作ネットは、プロトタイプの専門知識(量産化設計)に特化して、日常的な産業における困難に対峙すべく、ビジネスにおける強みを掛け合わせる、100社以上の地元製造業者の集まりだ。

jisedai-monozukuri-kaigi-20161004-5
左から:モデレータの 多賀谷 元氏(大阪産業創造館)、小笠原治氏(ABBALab)、牧野成将氏(Makers Boot Camp)、Roger Wu/巫荣展氏(HWTrek)、Alan Jung 氏(HWTrek)

このパネルディスカッションの目的は、ハードウェアにおける協業が、中小企業がメリットを享受できる win-win のビジネス環境の創造につながるという、新しい方法に関するものだった。メインの話題として、小笠原氏から、最近の日本における IoT のトレンドを牽引していることや、ABBALabDMM.Makeさくらインターネットに至るまで、彼のシリアルアントレプレナーとしての経験が紹介された。

<関連記事>

DMM.make AKIBA

小笠原氏は、中小企業の産業や彼らのニーズに特化して、新しい市場の常識を変える上での困難について話した。インターネットが情報産業に革命を起こしたように、製造業もデジタル世代を追っており、市場の新しい要求に対してより早く開発を進め適応できる中小企業にとっては、現在の産業構造において大きな事業機会が存在することになる。

この動きに加えて、製造を伴う起業家が深圳に集まっている中国の動きなど、自動化の進化や 3D プリンタを使う工場は、より規模も拡大し成長を続け、小ロットやコネクティッドデバイス向けのターゲットがカスタマイズされた製品など、新しい製造方法に着手している。

hwtrek-expert-lists

コネクティッドデバイスや IoT(Internet of Things)は、我々が現在抱える問題の多くを解決する、新しい機会をもたらしてくえる。大企業はその構造が堅牢で、我々が待てるよりも長い時間を変化に要するため、コネクティッドデバイスや IoT を扱うことができない。スタートアップはアクティブかつ絶え間なく活動を続けており、イノベイティブな役割を担い、新しいことを試すことに自由な中小企業には、このソリューションの機会が残されることになる。

jisedai-monozukuri-kaigi-20161004-3
HWTrek 日本市場ビジネス開発担当の Alan Jung 氏

Roger 氏は起業家に対して、自分の作ったプロダクトや技術に別の活用方法を見出すために、〝新しいクリエイターたち〟と話すことに時間とエネルギーを投資するよう促した。世界中の多くのハブから新しいプロダクトが生み出される中で、HWTrek のプラットフォームは、クリエイターと専門家のパートナーシップが、新しいアプローチや別のソリューションの創造につながることを証明している。

聴講に訪れた百社ほどの中小企業担当者らは、常識をどう変え、新しい IoT 市場をどう捉えるか、つまり、製造業の新しいビジネスモデルについて、自分たちの洞察の共有に関心を持っていた。ネットワーキングセッションでは、IoT における新ビジネスのイノベーティブな事例が HWTrek から紹介された。これは、日本の地元企業とつながることを目的として、11月に来日するクリエイターを紹介するものだ。

<関連記事>

jisedai-monozukuri-kaigi-20161004-4
HWTrek サブライチェーン担当 VP の Roger Wu(巫荣展)氏

Makers Boot Camp は、次回の Asia Innovation Tour 2016 を HWTrek と共催する。このツアーは11月2日に深圳で始まり、日本には11月7日に到着する。日本では以下の2つのイベントが公開で行われる。

量産化設計についてより深く知りたければ、10月12日に MTRL 京都で開催される我々の次回のミートアップに参加してほしい。この回では、パリと京都をつなぎ、日本とフランスの maker の人たちを招いて、製造に必要な心得について語ってもらう予定だ。

<関連記事>

BRIDGE Members

BRIDGEでは会員制度「BRIDGE Members」を運営しています。会員向けコミュニティ「BRIDGE Tokyo」ではテックニュースやトレンド情報のまとめ、Discord、イベントなどを通じて、スタートアップと読者のみなさんが繋がる場所を提供いたします。登録は無料です。
  • テックニュース全文購読
  • 月次・テーマまとめ「Canvas」
  • コミュニティDiscord
  • イベント「BRIDGE Tokyo」
無料メンバー登録


HackOsaka 2016: 日本のスタートアップの課題はグローバル化への準備不足〜竹村詠美氏へのインタビューから

SHARE:

本稿は「HackOsaka 2016」の取材の一部である。 「今年は自分に再投資する機会の年なので、何か新しいことを拙速に始めようとは思いません」と、日本を拠点とするイベントチケットのプラットフォーム会社 Peatix の共同創業者である竹村詠美氏は e27 とのインタビューの中で述べた。 彼女は自己変革を求めて Peatix を離れ、教育関係で新しいビジネスを始める計画を立てているが、その間も …

emi-takemura-final

本稿は「HackOsaka 2016」の取材の一部である。

「今年は自分に再投資する機会の年なので、何か新しいことを拙速に始めようとは思いません」と、日本を拠点とするイベントチケットのプラットフォーム会社 Peatix の共同創業者である竹村詠美氏は e27 とのインタビューの中で述べた。

彼女は自己変革を求めて Peatix を離れ、教育関係で新しいビジネスを始める計画を立てているが、その間も Unreasonable Institute でソーシャルエンタープライズアクセラレータを運営している。これは、世界最大のソーシャル、環境の課題解決をターゲットとしたプログラムだ。

<関連記事>

彼女は今日(原文掲載日:2月17日)、日本の大阪で開かれているグローバル・イノベーションカンファレンス HackOsaka で講演する。演題は「グローバル化の課題」だ。

これまでの彼女の経歴、そして日本のスタートアップエコシステムについての考えを聞くために私たちは竹村氏にインタビューを行った。

以下はその概要である。

自己紹介をお願いします。どのようにしてキャリアを始められたのですか?

大学卒業後、私は投資銀行の CS First Boston に日経平均先物・オプションのセールストレーダーとして入社しました。数字やスプレッドシートは好きでしたが、ここの職場は合わないとすぐに感じました。

1年後、Monitor グループという小さいコンサルタント企業に入りました。ここは多国籍企業の市場参入など、戦略的なプロジェクトにフォーカスしたところでした。

Monitor、McKinsey でコンサルタント業務をしていた頃、幸いにもいくつかのテック関係の顧客を担当したのですが、私はそこでインターネットの将来に魅了されました。

コンサルタント業務を4年ほどした後、エキサイト株式会社というインターネットメディア企業に取締役兼事業開発部長として入社する機会に恵まれました。それ以降、Peatix の共同設立を含めてインターネット業界で働いています。

Peatix を設立されたきっかけは何ですか?

私たち4人の共同設立者は Amazon Japan で出会いました。様々なメディア事業のプロダクトマネージャーとして働いていた時、作家や音楽家といった多くのクリエイティブな人たちが生計を立てるのに苦労していることを知りました。パッケージ化されたメディアの売上減に加えて、セールス側からは少ないマージンしか受け取っていなかったからです。

強い目的意識をもって、私たちはターゲットとするオーディエンス、つまり私たちの文化を新たなレベルに引き上げてくれるクリエイティブな人たちのためにインターネットの力を示せるような企業を創る決意を固めたのです。

いくつかの製品を試行した後、私たちはライブ体験に力を与える決意をして Peatix.com を立ち上げました。

Peatix の運営に際し一番の課題は何でしたか?

大きな課題は優れたチームを作ること、製品・市場のフィットを見つけること、そして健全な財務の維持でした。製品・市場のフィットに関しては、当初はとても困難でした。イベントやライブの体験を始めようとしている人を見つけるのが大変だったからです。

イベントを運営する人はたくさんいます。でもコミュニティレベルではごく少数です。ですから全ての市場に私たちは参画したのですが、最初は大変でした。潜在的なイベント運営者の目にとまるよう、一から大きなコミュニティを作らなければいけなかったのです。イベントプラットフォームを探している人を見つけることではありませんでした。

人材に関しては、4か国で国際感覚をもった人を集めるのが課題でした。例えば当初、私たちはシンガポールやマレーシアの知り合いが誰もいませんでした。ですから人材供給元として第三者からの紹介に頼ることができなかったのです。その代わり、幸いにも東南アジアで優れた人材確保を手助けしてくれるスタートアップコミュニティサポートを利用することができました。

最後に財務に関してですが、これには魔法のような回答はありません。ただ、当社の目的に賛同してくれる投資家を見つけるのはたくさんの時間とエネルギーを費やしました。昨年まで CFO がいませんでしたので、特に CEO からすれば実に長い時間がかかりました。

Peatix を離れた理由は何ですか?

企業が成熟していくにつれて、設立者がその会社を辞めてしまうのは珍しいことではありません。私の場合はいろいろと理由はあったのですが、主な理由はマネジメント構造をよりスリムにしたかったことです。

新しいプロジェクトとはどのようなものですか?

今はまだ詳細をお話できませんが、将来世代の教育に多くのエネルギーを注ぐつもりです。他方で日本にある Unreasonable Institute でソーシャルエンタープライズアクセラレータを運営しています。Unreasonable Lab Japan といいます。

今年は自分に再投資する機会の年なので、何か新しいことを拙速に始めようとは思っていません。

今回大阪で講演をされますね。スタートアップを大阪で運営するのと東京で運営するのとでは何が違いますか?

大阪は伝統的に東京よりも多くの起業家の方がいるところです。でもテックのスタートアップに関しては正反対のようです。

大阪生まれの方でテックの起業家の方はほとんどいません。東京、もしくは海外生まれの方が多いです。

主な違いとしては、資本へのアクセスの容易さ、潜在的な顧客の幅と深さ(特に大企業や広告主を相手にしたい場合)、そしてテック関係の人材プールではないでしょうか。

エコシステムの構築が進むにつれて大阪のスタートアップ環境は良くなってきていますが、まだ東京に水をあけられています。

日本の多くのスタートアップ企業にとっての課題は何でしょうか? どのようにすれば解決できますか?

最も顕著なのは、日本のスタートアップはグローバル化への準備ができていないことでしょう。

日本の市場は今でも相当な規模があるので、日本市場向けに超ローカライズされたサイトやアプリを構築した後に国際的な市場を相手に最適化を図るのは困難です。

サイトやアプリを多言語に「翻訳」するのは簡単なことですが、日本のスタートアップの多くは一定以上の規模の国際事業がありません。これに関しては、初めから国際的な人材を揃えるか、設立時にかなりの時間を海外で過ごすことで簡単に解決できると思います。

日本にずっと住んでいるとすぐに視野が狭くなってしまいます。でもかなりの期間を海外で過ごすと、ヒューリスティック(問題発見的)な見方ができるようになります。私は30か国以上を旅してシンガポールにも住んだ経験がありますが、グローバルな考え方、世界中の人と一緒に仕事をするコミュニケーションスキルの習得にとても役立ちました。

【via e27】 @E27sg

【原文】

BRIDGE Members

BRIDGEでは会員制度「BRIDGE Members」を運営しています。会員向けコミュニティ「BRIDGE Tokyo」ではテックニュースやトレンド情報のまとめ、Discord、イベントなどを通じて、スタートアップと読者のみなさんが繋がる場所を提供いたします。登録は無料です。
  • テックニュース全文購読
  • 月次・テーマまとめ「Canvas」
  • コミュニティDiscord
  • イベント「BRIDGE Tokyo」
無料メンバー登録


HackOsaka 2016: ピッチコンテスト入賞者が決定——金融・建設・物流など既存エコノミーのディスラプターが上位を独占

SHARE:

2月17日、大阪のスタートアップ・コミュニティ拠点である、大阪イノベーションハブ(OIH)と大阪市経済戦略局は、グランドフロント大阪で年次のスタートアップ・カンファレンス「HackOsaka 2016」を開催した。本稿はその取材の一部だ。 HackOsaka 2016 のクライマックスとなる最後のセッション「International Pitch Contest」では、スタートアップ10社がピッチ…

hackosaka2016-allpresenters-onstage

2月17日、大阪のスタートアップ・コミュニティ拠点である、大阪イノベーションハブ(OIH)と大阪市経済戦略局は、グランドフロント大阪で年次のスタートアップ・カンファレンス「HackOsaka 2016」を開催した。本稿はその取材の一部だ。

HackOsaka 2016 のクライマックスとなる最後のセッション「International Pitch Contest」では、スタートアップ10社がピッチを行った。ピッチに参加した全スタートアップと、そのサービス内容について紹介したい。

※ これまでに開催された、HackOsaka 2015 の模様HackOsaka 2014 の模様はこちらから。

International Pitch Contest の審査員は、

  • 竹村詠美氏(Peatix.com 共同創業者、Unreasoable Lab Japan 日本事務局長)
  • William Tanuwijaya 氏(Tokopedia 創業者兼CEO)
  • James Riney 氏(500 Startups Japan 代表)
  • Allen Miner 氏(サンブリッジ グローバルベンチャーズ取締役会長)
  • Daniel O’Duffy 氏(WeWork Labs ディレクター)
  • Alex Farcet 氏(Startupbootcamp 共同創業者・最高経営責任者)

…の6人が務めた。(敬称略)

Gold Prize: Pawnhero(フィリピン)

副賞:賞金50万円と、日本航空からマイレージ50万マイルを3人分贈呈

hackosaka2016-pawnhero-winning-gold-prize

一般的な質屋は月利6%~10%と高利で、質草も宝石などに限られる。これに対し、PawnHero はモバイルを使った質屋サービスだ。ユーザは質入れしたい商品をスマホで撮影し見積を取得、宅配便でセンターに送ると商品が評価され、現金を手にすることができる。

質草の評価はセンターに集約されているため、利回りも低く宝石以外にも様々な商品が取扱可能だ。ユーザには、ATM で現金が引き出せたり、公共料金の支払、オンラインショッピング、モバイル通話料のトップアップ、他者に送金ができたりするカードが発給される。

hackosaka2016-pawnhero

Silver Prize: Podaris(イギリス)

副賞:賞金30万円と、日本航空からマイレージ50万マイルを2人分贈呈

hackosaka2016-podaris

都市のインフラ建設が複雑化する中で、複数の建設プロジェクトをコラボレーションさせられるプラットフォームを展開。ブランデブルグ空港、カリフォルニア高速鉄道など、世界では着手されながらも突然中止されたり、予算が超過したりするなど、毎日無駄になっている費用は世界で5億ドルを超える。

インフラプロジェクトには、政治家、エンジニア、建築家などとの多くのコーディネイトが必要になるが、Podaris はこれらの作業をオンラインで完結できるプラットフォーム。公共プロジェクトは無料で利用できるフリーミアムモデル。2015年8月に Startupbootcamp から輩出。Autodesk などの建築に関わる他のソフトウェアとも連携する。資金調達中。

Bronze prize: Shipwise(スペイン)

副賞:賞金10万円と、日本航空からマイレージ50万マイルを1人分贈呈

hackosaka2016-shipwise

ほとんどの物流はコンテナで実施されているが、これらは書類による非常に非効率な方法でやりとりされている。Shipwize はこれらやりとりをクラウド化し、可能なプロセスを自動化することで効率的な運送を実現するプラットフォーム。フリクションをなくし、ブロックチェーンを使い、サプライチェーンにつながるすべての情報を一つのプラットフォームの上で管理できるようにする。

AWS Prize: チカク(日本)

副賞:Amazon Web Services 提供 Amazon Fire タブレット

hackosaka2016-chikaku

チカクは 子供の姿をスマホで撮影し、インターネットで遠く離れた家族とをつなぐ IoT デバイス「まごチャンネル」を開発。スマホの操作が不得意な祖父母は「まごチャンネル」をテレビにつなぐだけで、離れて住む孫の成長をテレビで見ることが できるようになる。2030年に65歳以上の人は世界で10億人を超えると言われており、世代間によるデジタルデバイドを解決する。

<関連記事>

Special Prize: meleap(日本)

hackosaka2016-meleap-2

meleap が提供するHADOは、空間認識技術に加え、スマートフォンを使ったヘッドマウントディスプレイ(HMD)、腕につけるモーションセンサーなどの技術を組み合わせて、仮想的に空間を生み出す技術を使ったスポーツゲームを提供。10人までが同時にゲームに参加でき、当面はレジャー施設向けの B2B モデルでビジネス展開。IncubateCamp 7th から輩出

hackosaka2016-meleap-1

<関連記事>

Fabelio(インドネシア)

hackosaka2016-fabelio

Fabelio は南ジャカルタを拠点とし、カスタマイズ可能な家具に特化した Eコマースプラットフォームを展開。中間所得層に向けて、デザイン性の高い高品質の家具を提供する。そのような家具が欲しい中間所得層はこれまで、価格の高いショップ、デザインを作って向上に依頼するか、IKEA のようなショップに行くしかなかった。家具は注文後無料で配達され、2週間以内であれば無料で返品が可能だ。

<関連記事>

Budo Finder(モンテネグロ)

hackosaka2016-budofinder

Budo Finder は合気道、剣道、柔道、空手に関するコミュニティ・マーケットプレイス。剣道の講師として、ヨーロッパの武術の競技大会に参加してきた創業者が設立。ヨーロッパのアクセラレータ One of 11 から2015年5月に輩出された。日本製の武術道具の販売に特化し、グローバルなマーケットに向けて展開する。

ACPAD Creator(ドイツ)

hackosaka2016-acpad-1

ギタリストがパーカッションなどの音を出す場合 MIDI コントローラを使うことになるが、通常の MIDI コントローラは結線が大変になる(下の写真)。ACPAD Creator はギターの表面に装着可能なワイヤレスな MIDI コントローラで、Kickstarter でローンチから3週間で1,200件以上の予約注文を獲得した。現在はアコースティック・ギターに特化している。

ACPAD のマネジメント・チームはベルリンに拠点を活動しており、技術チームはインドを拠点に活動している。現在、300万ユーロを資金調達中。

hackosaka2016-acpad-2

hackosaka2016-acpad-3

YesBoss(インドネシア)

hackosaka2016-yesmyboss

現在の大手Eコマースに共通するのは、対話型コマースだ。アジアのコマースでは特に、チャットが販売者と購入者の間の信頼関係の構築に寄与し、それが販売につながる。一方で、チャットはワントゥワンのコミュニケーションであるため、スケーラブルではない。

YesBoss は人工知能の活用により、人的な労力が必要となる部分の省力化を図り、SMS を使ってのメッセージのやり取りから、各種ベンダーやEコマースプラットフォームへの送客を図る。

これまでに70万件のメッセージをやりとりしており、62,000件に及ぶ取引を仲介した。ベンダやEコマースプラットフォームから成約した取引に対して、2〜20% の手数料を徴収するビジネスモデル。

Play Until Dark(日本)

hackosaka2016-meetmydog

MeetMyDog は、犬を飼う気の合う人間同士をマッチングするモバイルアプリ。ユーザ自身と、飼っている犬のプロフィールや写真を登録することで、近隣にする人を検索し、つながり、デートすることができる。有料プロモーションをしない状態で、毎月1,000人の新規ユーザを獲得しており、これまでに25,000人のユーザを獲得している。

BRIDGE Members

BRIDGEでは会員制度「BRIDGE Members」を運営しています。会員向けコミュニティ「BRIDGE Tokyo」ではテックニュースやトレンド情報のまとめ、Discord、イベントなどを通じて、スタートアップと読者のみなさんが繋がる場所を提供いたします。登録は無料です。
  • テックニュース全文購読
  • 月次・テーマまとめ「Canvas」
  • コミュニティDiscord
  • イベント「BRIDGE Tokyo」
無料メンバー登録


日本のスタートアップ・エコシステム支援への思い——シリコンバレーVC校條浩氏へのインタビュー【ゲスト寄稿】

本稿は、Richard Solomon 氏が Beacon Reports に寄稿したインタビューを日本語に翻訳したものである。 This article was authored by Richard Solomon and originally published in English on Beacon Reports. The Bridge translated and reproduce…

本稿は、Richard Solomon 氏が Beacon Reports に寄稿したインタビューを日本語に翻訳したものである。

This article was authored by Richard Solomon and originally published in English on Beacon Reports. The Bridge translated and reproduced the article under the approval from Beacon Reports.


hiroshi-menjo
写真提供:Beacon Reports

日本のスタートアップ・エコシステムは、シリコンバレーよりも15年から30年遅れている。インフラの不足が日本経済に重くのしかかる。スタートアップを支援する経験豊かな起業家、メンター、資金提供する個人や組織からなる堅固なネットワークがなければ、新しいビジネスの形成は、他の適合の早い国に取り残されることになる。シリコンバレーのベンチャーキャピタリスト兼アドバイザーの校條浩(めんじょう・ひろし)氏は、この状況を変えたいと願っている。

<関連記事>

校條氏は最近、Hack Ventures を立ち上げた。大阪市と共同で運用する48億円のベンチャーキャピタルファンドだ。このファンドは、日本の主要都市やシリコンバレーに拠点を置く、将来性のある IoT のスタートアップに50万ドルから100万ドルを投資する。

Hack Ventures を通じて、校條氏はシリコンバレーのソフトウェア開発の力と、日本が長けている〝ものづくり文化〟をつなぎたいと考えている。大半の起業家が拠点としている東京以外にも日本のスタートアップ・エコシステムを拡げ、シード資金後の調達ラウンドとなるシリーズAの資金供給不足を助けたいと考えている。最も重要なのは、日本が他人とは違った考え方をする人を受け入れるようになってほしいと、校條氏が願っていることだ。

校條氏は若いころ、教師や上司たちから、彼の遠慮の無いダイレクトな表現の話し方が好きではない、日本社会にそぐわないと言われた。ボストンの MIT(マサチューセッツ工科大学)で、彼と同じく率直な表現をする人が多いクラスメイトらと共に修士号の勉強をした後、彼は日本文化をより広い視野で考えるようになった。MIT では、彼は完全に受け入れられた。後に校條氏はシリコンバレーに戻り、アメリカに移り住んで32年が経った今、彼は「自らのキャリアを築く上で学んだ知識を、日本の若い起業家の道を開くために使うべきだという、義務感のようなものを持つようになった」と語っている。

校條氏は1978年にコニカに入社し、写真フィルム技術の化学エンジニアとして勤務していた。1981年、ソニーが世界初のフィルムを使わないカメラ「マビカ」を発表したとき、彼のもとで警鐘が鳴った。校條氏はデジタル技術が、いつの日か写真フィルムを衰退させるだろうと悟った。ムーアの法則に基づいて、IC はその能力を2年毎に倍増させているのとは対照的に、写真に関わる光化学は100年間変化していない。さらに、デジタルがアナログを超えるのは30年以内だろうと考えたわけだ。

校條氏はコニカの経営陣にこの脅威を伝え、従来からの写真フィルムの代替となる技術研究に配置転換してくれるよう懇願した。その願いもむなしく、彼は従来のフィルム研究に従事し続けるよう言われた。

君の仕事は、この会社で他の仕事より100倍いい。仕事を楽しみなさい。

校條氏の不安は高まった。

これを本当に研究しなければならないんです。

彼はそう言って、今儲かっているビジネスが目前にあるために、新しい技術の開発が遅れ、会社全体のダメージとなることを恐れた(俗に言われる、「イノベーションのジレンマ」という症状である)。

その先見性にもかかわらず、校條氏は反逆者のレッテルを貼られるようになった。彼は上司と仲違いし、3人からなる小さな R&D チームに配置転換され、液晶ディスプレイの研究をすることになった。最先端の液晶ディスプレイ技術を学ぶため、彼はボストンの MIT に派遣してくれるよう会社を説得した。これは思いがけない幸運だった。1983年、MIT のキャンパスに到着して1週間も経たないうちに、彼は日本では変に見られていた行動が、MIT ではごく当たり前に見られることに気付いた。

物議を醸す発言は尋常ではない、といつも言われてきた。しかし、MIT では皆、私のこと極めて普通だと考えてくれた。

ベル研究所をはじめ、MIT の教授たちが校條氏の眼をイノベーションへと開かせた。

材料科学の修士号を取得した後、校條氏は日本のコニカの勤務へと戻った。しかし彼はほどなく、上司にうんざりさせられることになる。校條氏は先進的な液晶ディスプレイの研究のために、会社に1,000万ドルを投資してクリーンルームの開設してほしいと考えていた。彼が上司に嘆願すると、上司の答えは「わかった、その話をまたの機会に聞こう」。一年後再び同じ質問をしても、答えは同じだった。そのままさらに一年を無駄にするのはやめ、校條氏は「イノベーションの最先端で生活すべく、コニカを離れることにした」と語った。

ボストンコンサルティンググループで世界企業を顧客にコンサルタントとして勤務した後、校條氏はシリコンバレーに移住し、これまで24年間にわたって IT 分野に従事してきた。共に仕事をした人々の中には、Steve Jobs 氏がアップル初の PC を開発するのを手伝った Regis McKenna 氏などがいる。

2012年の終わり、大阪市の橋下市長に起業家精神の拡大に手を貸してほしいと頼まれ、校條氏は大阪市のアドバイザーに就任した。そして後に、48億円のベンチャーキャピタルを共同で立ち上げることになったわけだ。このファンドの10%は、大阪市からの出資である。

お役所仕事と向き合い、役所向けの報告書づくりに手間のかかる業務を敢えて引き受けようとした理由について、校條氏は、日本には東京以外の多くの都市にも、活気あるスタートアップ・エコシステムが必要だからだ、と説明した。

シリコンバレーに住み、グローバルな経験をした稀な日本人として、義務感を持っている。日本経済すべてに対して、重要なことだ。

BRIDGE Members

BRIDGEでは会員制度「BRIDGE Members」を運営しています。会員向けコミュニティ「BRIDGE Tokyo」ではテックニュースやトレンド情報のまとめ、Discord、イベントなどを通じて、スタートアップと読者のみなさんが繋がる場所を提供いたします。登録は無料です。
  • テックニュース全文購読
  • 月次・テーマまとめ「Canvas」
  • コミュニティDiscord
  • イベント「BRIDGE Tokyo」
無料メンバー登録


HackOsaka 2015: Hack Osaka Award入賞者が決定——関西出身スタートアップに加え、欧州勢が健闘

SHARE:

2月10日、大阪のスタートアップ・コミュニティ拠点である、大阪イノベーションハブ(OIH)と大阪市経済戦略局は、グランドフロント大阪で年次のスタートアップ・カンファレンス「HackOsaka 2015」を開催した。本稿はその取材の一部だ。 HackOsaka 2015 のクライマックスとなる最後のセッション「International Pitch Contest / Hack Osaka Awar…

hackosaka2015-allpresenters-onstage

2月10日、大阪のスタートアップ・コミュニティ拠点である、大阪イノベーションハブ(OIH)大阪市経済戦略局は、グランドフロント大阪で年次のスタートアップ・カンファレンス「HackOsaka 2015」を開催した。本稿はその取材の一部だ。

HackOsaka 2015 のクライマックスとなる最後のセッション「International Pitch Contest / Hack Osaka Award 2015」では、スタートアップ10社がピッチを行った。入賞上位に輝いたスタートアップと、そのサービス内容について紹介したい。

※ 昨年開催された、HackOsaka 2014 の模様はこちらから。

International Pitch Contest の審査員は、

  • Don Burton(Techstars マネージング・ディレクター)
  • Tim Romero(創業者、投資家、ポッドキャスター、著述家)
  • 堀江愛利(Women’s Startup Lab CEO)
  • Khailee Ng(500 Startups マネージング・パートナー)
  • Allen Miner(サンブリッジ グローバルベンチャーズ取締役会長)

…の5人が務めた。(敬称略)

Gold Prize (Hack Osaka Award 2015) : mClinica(フィリピン・マニラ)

副賞:現金50万円、ボーナスマイル5万マイル×3人分(日本航空提供)、Amazon Kindle(Amazon Web Services 提供)

hackosaka2015-gold-prize-winning-mclinica
(左から)Hack Osaka Award 2015 審査委員長を務めたアレンマイナー氏、MC のダイアン吉日氏、mClinica CEO Farouk Meralli 氏。

mClinica CEO の Frouk Meralli はカナダ出身だが、フィリピン・マニラで活動している。フィリピンの独立系薬局は組織化されていないし、POS も入っていないし、インターネットともつながっていない。したがって、製薬会社が、マーケティングや販売データの確保のために、薬局にアプローチするのは至難の技だ。

mClinica を使えば、薬を買う患者は自身の電話番号を提供するのと引き換えに、薬局で薬を買う際に代金の割引を受けられる。この割引した金額は薬局と精算する形で結果的に製薬会社が負担するが、どの薬局でどのような薬が売れているかの情報を取得することができる。製薬会社や薬局は、患者であるユーザに対して、薬に関するプロモーション情報などを配信することができる。

現在、ロシュやファイザーなど大手製薬会社をクライアントに抱えており、ローンチから6ヶ月間で薬局1,400店舗、患者2,000万人をユーザとして獲得した。昨年10月には、500 Startups、フィリピンの Kickstart Ventures、日本の IMJ Investment Partners から資金調達している

hackosaka2015-mclinica-1

hackosaka2015-mclinica-2

Silver Prize: Blaze(イギリス・ロンドン)

副賞:現金30万円、ボーナスマイル5万マイル×2人分(日本航空提供)

hackosaka2015-blaze-1
Blaze CEO Emily Brooke 氏

夜間の自転車の運転は危険であり、車との接触事故や出会い頭衝突などで、イギリスにおいても多数の事故や犠牲者が発生している。Blaze はシティサイクリストのためのレーザーライトを開発、走る自転車の進行方向前方地面に自転車のシンボルを投影することで、脇道から来る他の人や車に対して注意を促し、事故を未然に防ぐことを意図している。

東京のメーカーのレザーチップを使用しており、通常の利用であれば、バッテリの充電は月に一度でオーケー。イギリスで Kickstarter で5.5万ポンド(約1,000万円)の資金調達に成功し、その後、Index Ventures や Branson Family などから150万ポンド(約2.7億円)を調達した。オンラインでは47カ国に販売、イギリス最大の自転車チェーン店のほか、ニューヨーク近代美術館による MoMA Store では店頭で取り扱いがある。

hackosaka2015-blaze-2

Bronze Prize: Up Performa(日本・京都)

副賞:現金10万円、ボーナスマイル5万マイル×1人分(日本航空提供)

hackosaka2015-upperforma
Up Performa CEO 山田修平氏

Up PerformaFounder Institute Kansai から生まれたスタートアップだ。プロフェッショナルのスポーツにおいては、ウエアラブルなどを用いてデータや分析が多用されている。それらのテクノロジーをアマチュアスポーツにも取り入れようという試みが Up Perfoma で、位置情報や動きを表すヒートマップ、走行距離やスピードなどを測定し表示する。

Up Performa のスポーツ・ウェアラブル・デバイスは、2015年中にクラウドファンディングに出品が予定されている。

Crosscorp Prize: SmartCheckups(ドイツ・ベルリン)

副賞:シンガポール、デリー、ジャカルタ、マニラ、東京、ホーチミンシティのいずれかにあるクロスコープ・オフィスの一年間利用権。

hackosaka-2015-smartcheckups_screenshot

不動産事業者や不動産管理会社は、貸出にあたって、物件内部の様子についてレポートを作成する必要があり、そのためには非常に多くの写真を撮影し整理する必要があるため、煩雑な作業となる。SmartCheckups では、あらゆる種類の物件について、あらかじめ調査すべき箇所がテンプレート設定されており、それに沿って写真を撮影したり、状況の確認をすることで作業を簡略化できる。

ベルリンのスタートアップであるが、サービスはベルギーからスタートした。現在、ターゲットとしている市場は、ドイツ、イギリス、ベルギー、フランス、オランダだが、日本においてもパートナー企業を求めている。

hackosaka2015-smartcheckups
SmartCheckups CEO Didier Vermeiren 氏

以下は入賞には至らなかったものの、このセッションで素晴らしいアイデアを披露したスタートアップだ。出場順に紹介したい。なお、入賞の是非を問わず、本ピッチに参加したすべてのスタートアップに対して、Amazon Web Services から250ドル分のクラウド利用権が進呈された。

Cofame(日本・大阪)

hackosaka2015-cofame
Cofame COO 野口寛士氏

Cofame はモバイルアプリを使って、名刺を交換するユーザ・エクスペリエンスを新しくするスタートアップ。初めてあった人と名刺交換する動作を、モバイルアプリを使って行える。複数人とのミーティングにおいては、同時に複数人との間で名刺情報が交換できる。

また、テーブルを囲んでミーティングをしたときの配置を、アプリ上に名刺を表示する形で再現できるほか、Salesforce や Microsoft Dynamics CRM など、さまざまなコンタクト先管理ソリューション用に連絡先データをエクスポートすることが可能だ。

Cofame 創業者の野口寛士氏は、大阪市の「第一回シリコンバレー人材派遣プログラム」に選抜され、シリコンバレーを訪問後1ヶ月間のテント生活を経験。日米を含む数名のエンジェル投資家から資金調達をしている。

hackosaka-2015-cofame_screenshot

インゲージ(日本・大阪)

hackosaka2015-relation
インゲージ 代表取締役 和田哲也氏

企業において、顧客からのメール対応をおろそかにすることで発生する機会損失は、年間4,500万円に上るとの試算がある。インゲージは、グループにおけるメール共有・メール管理ソリューション「Re:lation」を開発、企業内において、返信を要する顧客からのメールに対して、社員が忘れることなくメールを返信できる環境を提供する。

一見はウェブメールの画面であるが、チームの誰かが返信メールを書き始めると、他のユーザには誰がその作業をしているかをリアルタイムで表示。既に返信を完了しているメールとあわせ、返信の作業が社員同士の間で重複するのを避けることができる。

顧客へのメール送信にあたり、上長の承認が必要な企業においては、社員が書いた返信メールの内容が保留され、上長承認とともに送信されるオプション機能も活用できる。

Cashboard(ドイツ・ベルリン)

hackosaka2015-cashboard
Cashboard CEO Robert Henker 氏

Cashboard は1,000ユーロ(約13.5万円)から投資できる、投資口座を提供する Fintech スタートアップだ。ETF(上場投資信託)だけでなく、新旧の金融商品をミックスさせて自動運用することができる(ラップ口座に近いか?)。いくつかの質問に答えるだけで、Cashboard がどの金融商品に投資すればよいか、ユーザに対するポートフォリオを作成。あとは、口座を開くだけで投資が開始できる。

2014年はVCから初の資金調達を実施。年末には Seven Ventures のピッチデイで優勝し、衛星放送で400万ユーロ(約5.4億円)分のテレビコマーシャルが流せる権利を取得しており、2015年には、これを使ってドイツ国内向けのプロモーションを強化する。2016年には2回目のVC資金調達を実施し、ヨーロッパ全域展開を予定。2017年以降、中東やアジアへの世界展開を図りたいとしている。

M Square(日本・神戸)

hackosaka2015-depago
M Square CEO 亟々美和氏

M Square の共同創業者で CEO の亟々美和(じょじょ・みわ)氏は2010年、MBA を取得するためパリに居た。仕事を得るための面接などでパリ市内を頻繁に移動したが、頼りになるのは、パリ地下鉄のICカード「NaviGo」 だ。しかし、彼女は使い方がわからず、電車に乗るたびに切符を買っていた。

ロンドンの OysterCard、シンガポールの EZ Card、香港の Octupus Card、ソウルのTカード、東京の Suica など、世界には多くの IC カードがあるが、インターオペラビリティー(相互運用性)は無い。また、複数のモバイルウォレットを持てば、それだけ多くのアプリと暗証番号やパスワードを持たなければならないし、盗まれることもある。

M Square が開発する Depago は生体認証を使った決済ソリューションだ。昨年10月から開発を始めており、今年の6月をメドにプロダクトがローンチする予定だ。

DigitAddress(日本・大阪/東京)

hackosaka2015-digitaccess-1
DigitAccess 創業者 王偉(ワン・ウェイ)氏

DigitAddress は、デジタル時代の住所暗号化ソリューションを提供。ユーザは住所に代えて、自身の住所を コード化したDAコードとして取得、商品の発送などにあたり、送付先をDAコードとして送り主に伝える。配達するオペレータは API を通じてDAコードから位置情報を取得、商品は送付先に無事に届けられる。

ドローンによる商品配達の時代を想定し、DAコードは住所よりも細かい位置情報を保持。これにより、ドローンを使った商品配達のオペレータは、地番が同じ複数の住居や建物があっても、依頼主に正しく商品を届けることができる。ユーザのプライバシーを守りながら、きめ細やかな配達先位置情報を伝えられるのが特徴。

創業者の王偉(ワン・ウェイ)氏は、物理学を学ぶため中国から来阪。経済産業省らが主催する UVGP (University Venture Grand Prix) で TOMODACHI 賞を受賞し(当時の名前は CODDRESS)、既に大手セキュリティ系企業からも資金を調達しているとのことだ。

hackosaka2015-digitaccess-2

Stamp(タイ・バンコク)

hackosaka2015-stamp-1
Stamp CEO Opie Lopansri 氏

Stamp は店舗が顧客誘導をしやすくするデバイスを開発している。電話の画面の上にそのデバイスを押し付けるだけ、紙の顧客カードでスタンプを押すのと同じことができる。導入が容易であるため、店舗にとって導入コストがかからず、操作が簡単であることが特徴。ユーザは貯めたポイントを仮想通貨として利用することができる。

Stamp は iOS / Android 向けにアプリを出しているが、あわせて SDK (Stamp Development Kit)を公開しており、サードパーティーのアプリ・デベロッパ向けが自社アプリに SDK を組み込むことにより、そのアプリを使って Stamp 導入小売店舗でサービスを享受できるようになる。

飛行機のマイル、クレジットカードのリワードポイントなど、ポイントは貯めたが下限ポイントに達していないため交換できないケースは少なくない。多種のサードパーティー・アプリや加入小売店舗を持つことで、Stamp が共通して使える Stamp のポイント通貨圏を増やすという考え方だ。2013年、シンガポールで開催されたスタートアップ・イベント Echelon 2013 のピッチに出場、2014年には ASEAN ICT Awards を受賞している。

hackosaka2015-featuredimage

BRIDGE Members

BRIDGEでは会員制度「BRIDGE Members」を運営しています。会員向けコミュニティ「BRIDGE Tokyo」ではテックニュースやトレンド情報のまとめ、Discord、イベントなどを通じて、スタートアップと読者のみなさんが繋がる場所を提供いたします。登録は無料です。
  • テックニュース全文購読
  • 月次・テーマまとめ「Canvas」
  • コミュニティDiscord
  • イベント「BRIDGE Tokyo」
無料メンバー登録


大阪大学が「起業・製品化プロジェクト」から生まれた〝光〟関連製品を披露する「フォトニクスデイ」を開催

本稿は、THE BRIDGE 英語版で翻訳・校正などを担当する “Tex” Pomeroy 氏、武田泰二郎氏による寄稿を編集部で再構成したものです。 光やレーザーに関わる先端科学技術を研究する、大阪大学フォトニクスセンターは2日、大阪・吹田キャンパスにある同施設で7回目となるイベント「フォトニクスデイ(Photonics Day)」を開催、2011年から行われている「起業・…

本稿は、THE BRIDGE 英語版で翻訳・校正などを担当する “Tex” Pomeroy 氏、武田泰二郎氏による寄稿を編集部で再構成したものです。


photonics-center-kawata
記者会見でプロジェクトの成果を発表する、大阪大学フォトニクスセンター長の河田聡氏
(撮影:武田泰二郎氏)

光やレーザーに関わる先端科学技術を研究する、大阪大学フォトニクスセンターは2日、大阪・吹田キャンパスにある同施設で7回目となるイベント「フォトニクスデイ(Photonics Day)」を開催、2011年から行われている「起業・製品化プロジェクト」から生まれた製品が複数披露された。

このプロジェクトでは、2011年に4件、2012年に3件、2013年に2件と、これまでに応募件数44件からから計9件が採択されており、いずれも大阪大学の教員や学生からの応募である。

披露された製品の中でも、特に注目を集めたのが「熱輻射スペクトルによるeco電球」だ。これは、フィラメント表面に数100nm単位の微細な穴を開けることで、熱輻射をコントロールした新しい白熱電球で、赤外線の輻射そのものが抑えられるため熱が発生せず、またLED電球以上の90%近い発光効率を達成している(LED電球では電力の50%、既存の白熱電球では10%が可視光に変換される)。

eco-light-bulb
熱輻射スペクトルによるeco電球(撮影:武田泰二郎氏)

LED電球の白さは波長が制限されているため、場合によっては人の目に〝冷たく〟映る。これに対し白熱電球は全波長が入ったなだらかなスペクトルであるため、より自然に見える。レストランなどの食品を扱う現場では未だに白熱電球が用いられることもあるという。しかしパナソニック、東芝といった大手メーカーは白熱電球の製造から撤退しているため、ここにニッチな需要を見込んでいる。

加えて、この日のイベントでは、フォトニクスセンターと協業する多くのスタートアップが出展、他社との協業や資金調達についても議論が交わされた。

フォトニクスセンター長の河田聡氏は、「イノベーションとは技術革新ではなく、新しい仕組みを作ること」というシュンペーターの概念をそのまま実行したいと述べた。既存の産学連携では異なるセクション同士が他力本願になってしまい、完結に至らない場合が多々ある。フォトニクスセンターでは型に捉われない産業創出を支援しており、発明者が自らベンチャーを起こすケース、企業とパートナーを組むケース、既にあるベンチャーの中からカーブアウトするケースなど、様々な形で製品化に成功している。

なお、今回のフォトニクスデイで発表された、「熱輻射スペクトルによるeco電球」以外の製品については、次のそれぞれのウェブサイトから確認できる。

BRIDGE Members

BRIDGEでは会員制度「BRIDGE Members」を運営しています。会員向けコミュニティ「BRIDGE Tokyo」ではテックニュースやトレンド情報のまとめ、Discord、イベントなどを通じて、スタートアップと読者のみなさんが繋がる場所を提供いたします。登録は無料です。
  • テックニュース全文購読
  • 月次・テーマまとめ「Canvas」
  • コミュニティDiscord
  • イベント「BRIDGE Tokyo」
無料メンバー登録