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食品流通「SEND」や生産者向け資金繰り支援「FarmPay」運営のプラネット・テーブル、シリーズDで大和証券グループなどから約6億円を調達

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食糧の流通やビッグデータを扱うフードテックスタートアップのプラネット・テーブルは29日、シリーズ D ラウンドで約6億円を調達したと発表した。このラウンドに参加したのは、大和証券グループ本社と、その100%子会社である大和フード&アグリ(DFA)、Spiral Ventures Japan。 この資金調達には業務提携を伴っており、プラネット・テーブルは、農業者・畜産者・水産事業者、食関連事…

食糧の流通やビッグデータを扱うフードテックスタートアップのプラネット・テーブルは29日、シリーズ D ラウンドで約6億円を調達したと発表した。このラウンドに参加したのは、大和証券グループ本社と、その100%子会社である大和フード&アグリ(DFA)、Spiral Ventures Japan。

この資金調達には業務提携を伴っており、プラネット・テーブルは、農業者・畜産者・水産事業者、食関連事業者(「生産者」と略す)に向けたファイナンス・プラットフォームの共同設立に向けた検討を始めるとしている。今回のラウンドは、プラネット・テーブルにとって、2016年8月に実施した4億円、同年1月に実施した1億円の資金調達に続くものだ。

今回の資金調達にを受け、プラネット・テーブルでは農畜水産物の流通プラットフォーム「SEND」、生産者向け資金繰り支援サービス「FarmPay」のさらなる成長を加速させ、2019年上半期に「流通・物流」と「決済・金融」における新サービスの開発とリリースを予定している。

2015年8月にリリースした SEND では、国内5,000軒を超える生産者が出荷する生鮮品等を、主に都市部の優良飲食店等へ自社配送にて届けている。プラネット・テーブルでは今回提携した大和証券グループと共に、生産者へ事業資金等を提供するファンドの設立と運営、農畜水産・食に関するクラウドファンディング商品の共同組成、農畜水産・食に関するインキュベーション、アクセラレーター活動の推進を実施する計画だ。

via PR TIMES, Planet Table

食品流通「SEND」運営のプラネット・テーブルが水産物流通に本格参入、11月には品川に2200平米の流通センター開設も

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食糧の流通やビッグデータを扱うフードテックのプラネット・テーブルは10月31日、水産業流通サービス「SEAFOOD by SEND(以下、SEAFOOD)」を開始すると発表した。生産者と選定されたレストランをつなぐ流通サービス「SEND」はこれまで主に野菜や食肉を中心に取り扱っており、2015年8月のサービス公開以降、生産者の登録件数は4500軒、配達先のレストランは3700軒にのぼる。今回公開さ…

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食糧の流通やビッグデータを扱うフードテックのプラネット・テーブルは10月31日、水産業流通サービス「SEAFOOD by SEND(以下、SEAFOOD)」を開始すると発表した。生産者と選定されたレストランをつなぐ流通サービス「SEND」はこれまで主に野菜や食肉を中心に取り扱っており、2015年8月のサービス公開以降、生産者の登録件数は4500軒、配達先のレストランは3700軒にのぼる。今回公開されたSEAFOODは魚介類専門の流通サービスで、同社としては水産業への本格的な参入となる。

SEAFOODもSEND同様に水産物を生産者から直接レストランなどに対して直販するオンライン流通サービスを提供する。365日無休で、配送料は無料。プラットフォームの利用料金として所定の手数料がかかる仕組みになっている。配送エリアについては東京都内環状7号線の内側が主要な配送エリアで、生産者および配達先のレストランは全て登録制。商品は一尾、切り身一枚単位で注文・購入ができる。

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同社代表取締役の菊池紳氏によれば、30軒の水産事業者で開始し、取り扱う水産物の種類は50ほどになるそうだ。また、SEAFOODでは水産資源の持続性に注目しており、自主的な資源管理や漁獲規制をかけている事業者などを中心に登録を進めるとしている。

また同社では11月から品川に2200平米の大型流通センターを新設し、各産地からの輸送ゲートとして従来の生鮮食品を流通させるほか、今回開始する水産物の鮮度維持や取り扱い食品全体のロス低減に向けた取り組みを強化する。これまで流通センターとして活用していた目黒の拠点は今後、販売店舗として活用されるという。

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さて、水産物のオンライン直販や流通サービスはフーディソンや八面六臂などの事業者が先行している。菊池氏にそれらとの差別化について尋ねたところ次のように回答してくれた。

「棲み分けとしては市場や卸さんを使わない、持続可能な水産しか流通させない、漁協だけじゃなく、個別の養殖事業者さんからも積極的に取る、送料も相変わらず無料という点があります。特に私たちらしさでもあり、重要なのは二つ目のポイントでして、生産者の支援とはいえ、天然資源を奪うだけの漁業は持続的ではないし、「水産」の「産」が抜けていると思っています。資源管理や漁獲規制をしたり、養殖や繁殖に取り組んで「人が食べるものは、人が守り、育てて、増やす」に取り組んでいくべきだと思います。農業や畜産業と同じですね」(菊池氏)。

一応、開示も含めてお伝えしておくと、菊池氏は私たちの開催する勉強会にて食品流通、特にフードロス問題について監修をしてくれている。年間で600万トンという膨大な量の食品を無駄に廃棄している日本にあって彼は「食べる分だけ予約して食べる」「あるものを食べる」という解決方法を示してくれた。そのためにもSENDのような複雑なサプライチェーンを介さない仕組みを活用することは、双方の需給をわかりやすくさせる意味においても意義深い。

菊池氏は「将来的には世界中の沿岸部が養殖場として栄え、あらゆる魚種が育てられ、わざわざ遠洋でコストをかけて天然資源を根こそぎハンティングしなくて済む社会が理想」ということで、陸上養殖などの販路開拓や、生産支援も手掛けていくそうだ。

 

IoTデバイスで流通過程を「可視化」して食品を守れーープラネット・テーブルとスカイディスクが共同で実験を開始

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通信型センサデバイスを提供するスカイディスクと、農産物流通プラットフォームを提供するプラネット・テーブルは9月1日、農産物や食品の流通可視化を目的としたサービスの開発・実験を共同で進めると発表した。 流通過程で発生する食品ロスを抑えるのが目的で、物流過程における温度変化、衝撃、滞留などの状態を集荷ボックス内に設置した特別センサーで計測。出荷時の状態と集荷時の状態を写真で比較し、状態が悪化した際の過…

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通信型センサデバイスを提供するスカイディスクと、農産物流通プラットフォームを提供するプラネット・テーブルは9月1日、農産物や食品の流通可視化を目的としたサービスの開発・実験を共同で進めると発表した。

流通過程で発生する食品ロスを抑えるのが目的で、物流過程における温度変化、衝撃、滞留などの状態を集荷ボックス内に設置した特別センサーで計測。出荷時の状態と集荷時の状態を写真で比較し、状態が悪化した際の過程を見える化してくれる。リアルタイムで可視化を可能にするため、データ通信部分についてはソラコムの提供する3G通信サービスが利用される予定。

「食品には地域で集めても東京に送るまでのリスクが発生するんです。輸送時のトラブルについては配送事業者が物流保証でカバーしてくれるのですが、証拠写真などがないとダメなんですね。そこでこの物流可視化センサーを使うことでボックス内の温度や湿度、滞留している時間も分かる。これによって梱包方法の改善などもできますし、食品ロスが減るのであれば保険的なビジネスも可能になると考えています」(プラネットテーブル代表取締役の菊池紳氏)。

両社は9月から試験を開始し、出荷側となる生産者に「物流可視化センサ」を配布して得られる実証データを元に、2017年度の利用便・梱包等の提案サービスなどの展開を目指す。

農畜水産物の流通をクラウド化する「SEND」運営が4億円調達、生産者数は3000件に

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食糧の流通やビッグデータを扱うフードテックのプラネット・テーブルは8月31日、SBIインベストメント、Genuine Startups、Mistletoeの三社を引受先とする第三者割当増資を実施した。調達した資金は総額で約4億円で、払込日などの詳細は非公開。 同社はこれに合わせて昨年8月に公開した農産流通プラットフォーム「SEND」の登録レストラン数が約1000件、生産者数が3000件に到達したこ…

食糧の流通やビッグデータを扱うフードテックのプラネット・テーブルは8月31日、SBIインベストメント、Genuine Startups、Mistletoeの三社を引受先とする第三者割当増資を実施した。調達した資金は総額で約4億円で、払込日などの詳細は非公開。

同社はこれに合わせて昨年8月に公開した農産流通プラットフォーム「SEND」の登録レストラン数が約1000件、生産者数が3000件に到達したことも公表している。今回調達した資金は同社が新たに設置する流通拠点「GATE Meguro(ゲートメグロ)」を中心とする配送エリアの拡大に使われる他、新たな物流モデルの構築にも挑戦するとしている。

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流通拠点「GATE Meguro(ゲートメグロ)」

また、6月にクローズドβとして関係者にのみ公開していた生産者とバイヤーの直接取引プラットフォーム「SEASONS!」についても今秋を目処に一般公開するとしている。同社では向こう1年半で人員を現在の20名程度から35名ほどに拡大させる予定。

農産流通のクラウド化とは

生産者と利用者を丁寧に繋ぐことで双方の需給データを獲得し、フードロス問題を解決しようという農産流通サービス「SEND」が大きく次のステージに向かうことになった。SENDが目指す未来像については昨年のこちらの記事を参照いただきたい。

食料生産者と需要者を「泥臭く」つなぐSEND、フードロス(食料廃棄)の解決策となるか

農畜水産物の生産者が作った食糧をいかに魅力的に、かつロスを少なくレストランなどの利用者に届けるかという一点を突き詰めた結果、彼らの流通サービスは多くの関係者に歓迎されたようだ。同社代表取締役の菊池紳氏は手応えをこう語る。

「おかげさまで(これまで渋谷の社内にあった)センターは目黒に移動しました。1年前に1台だったトラックは8台になっています。レストラン側の評価としては、最初は色々な品目が揃うとか安いとかそういうものが多かったですが、徐々に欠品しないなどの使い勝手に移っています。生産者側は同じものを今までの流通に出すよりも1.2倍ほどで購入してもらえるので、結果的に作付面積あたりの単価が倍に上るような方も出てきて喜んでもらっています」(菊池氏)。

今は逆に肉類の取り扱いを増やして欲しいなどのリクエストに追いついていない状況を解決するのが大変という様子だった。

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業務委託形式での配送網は今年で更に10台増やすそうだ

一方で流通というのは手間がかかる。彼らは物理的に流通センターやトラックを所有しており、ネットビジネスにありがちな「持たざる経営」の逆張りをしているのが特徴でもあり、リスクでもある。当たり前だが、このままトラックや配送人員を増やしていったのでは経営に重く負担がかかってしまう。

この点を解決するのが仮想的な流通網の構築だ。菊池氏は元々このプロジェクトを立ち上げた時から流通網については例えばUberのようなモデルができないかと話していた。そして今回、それを実現すべく業務委託形式での配送テストを開始している。

「配送のシェアリングモデル、と言ったらいいんでしょうか。都市部でどのようにして効率良く配送すればよいかモデルが整ってきたので、それを委託者の方に展開するテストを開始しています。地域で生産された農作物の集荷は例えば道の駅などを集荷場に設定して回ってもらうなど、いろいろアイデアを実践しています」(菊池氏)。

少し説明しておくと、生産者が作った作物をSENDはまず集荷する必要がある。「効率のよいルート」を探し出すのはシステムの最も得意とするところで想像しやすい。一方で、レストランに配達する箇所は少しテクニックが必要になる。

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SENDが扱う食材。菊池氏が全国を行脚して集めた特選素材が多い

「配送した方とはレストランが買ってくれた作物の売上をパーセンテージシェアします。なので、ただ注文されたものを持っていくだけでなく、魅力的な農作物をレストランに対してプレゼンテーションする必要があるんです」(菊池氏)。

ここで重要なのがデータだ。レストランがどういう客層で、どの時期にどういう作物を欲しがっているか、SEND側ではデータを保有している。なのでこれらを元に配送者が魅力的な提案をできるようなノウハウを提供できる、というわけだ。

生産、流通、利用、この三者を仮想的なネットワークに配置し、中心となるSENDがそれぞれをマッチングするためのデータを提供する。それぞれのリソースを抱え込むわけではないので仮想網はスケールしやすい。

この他にもSENDは流通時に発生するロスを減らす施策を用意していた。この件についてはまた後日お知らせしたい。

食糧ロスを流通の効率化で改善するフード・テックのプラネット・テーブル、CAV等から1億円を調達

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食糧の流通やビッグデータを扱うフードテック・スタートアップのプラネット・テーブルは1月8日、サイバーエージェント・ベンチャーズ、セゾン・ベンチャーズなど3社を引受先とする第三者割当増資を実施したと発表する。 調達時期は昨年12月で、調達総額は約1億円。株式比率などについては非公開となっている。同社は今回の調達で運営する流通プラットフォーム「SEND」の国内展開加速に向けて営業体制、および開発体制の…

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食糧の流通やビッグデータを扱うフードテック・スタートアップのプラネット・テーブルは1月8日、サイバーエージェント・ベンチャーズ、セゾン・ベンチャーズなど3社を引受先とする第三者割当増資を実施したと発表する。

調達時期は昨年12月で、調達総額は約1億円。株式比率などについては非公開となっている。同社は今回の調達で運営する流通プラットフォーム「SEND」の国内展開加速に向けて営業体制、および開発体制の強化を実施する模様だ。

現在展開している流通プラットフォーム「SEND」は良質な生産者と都内でも高価格帯のレストランを直接つなぐ、狭小の流通ネットワークになっている。2015年8月にはオンライン・マーケットプレースも公開し、生産者・購入者共に200ほどの事業者が利用するようになった。彼らの特徴は、このオンライン・プラットフォームだけでなく、流通網まで自社で動かしているところにある。

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一見すると非効率とも思える彼らのビジネスモデルについてはこちらの取材記事をご覧いただきたい。なかなか描いている絵は壮大だということがわかるだろう。

<参考記事>

オフィスには上記のような冷蔵庫がずらりと並び、中には出荷前の食料品がぎゅうぎゅうに詰められていた。取材したのが実は年末差し迫った日で、一瞬余ったのかなと思ったのだが、同社代表取締役の菊池紳氏によれば、この量は数日ではけてしまう量なのだそうだ。

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「これまで生産者と飲食業を中心に情報収集していました。SENDは収益事業でもありますが、同時に実証事業でもあり、大きくすることよりもいい買い手と売り手を集めることに重要性を感じていたんです。マーケットプレースという形ではありますが、なんでも売り買いできるというより、ここに来れば安心だとか、他にないものがあるということの方が大切なんです」(菊池氏)。

オンライン・マーケットプレース形式で数百社のネットワークというのは決してバカみたいに大きな数字には見えない。しかしこうやって質と独自性にこだわった場所には必ず何かを求めてユーザーがやってくる。結果としてSEND事業自体は右肩上がりに伸びているということだった。

一方で拡大がスタートアップにとっては至上命題でもある。

彼らの丁寧なやり方では関東圏をカバーするだけでも相当の人的労力が必要になるだろう。そこで菊池氏は今後の拡大計画として一部流通網についてはネットワーク化を考えているという。単純に外部事業者に流通を委託したのでは不安になる品質部分については、うまくマーケットプレースにある情報網を活用するという。

「これまでハンズオンでやっていたビジネスモデルを徐々にプラットフォーマーへ移行していきます。品質の担保やトラブル対応など、CSの重要性はどんどん高まると考えてます。その過程で物流もやはりクラウド化していくと思うんです。ただ、これまでは品質の高い物流を担える人材が可視化できていなかっただけなんです」(菊池氏)。

つまり、SENDというマーケットプレースで集まった生産者、レストラン事業者の好みや品質など、多種多様な需要と供給の情報を一元的に管理できれば、いつ、どこで、誰が、どのような食材を求めていて、作っているかが把握できるようになり、こういった細分化された需給を誰でも繋ぐことができるようになる、というのが彼らの考え方なのだ。

いわゆる大手がPOSでやってることをもっと細分化されたマーケットで丁寧にやっている、というのに近い。この辺りについてはいろいろアイデアを聞いているが、実際に稼働したところで具体的な結果を聞いてみたい。

食料生産者と需要者を「泥臭く」つなぐSEND、フードロス(食料廃棄)の解決策となるか

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食関連の流通プラットフォーム事業を展開するプラネット・テーブルは8月25日、食材と需要者を直接つなぐオンライン受発注サービス「SEND」を公開した。 農作物や酪農、畜産といった食材を生産する側がデータを登録すると、レストランなどの需要者が直接そこから購入することができ、更にSEND運営がそれらを一括して配送してくれる仕組み。双方の支払いについても個別に発生させるのではなく、SEND側で集金、一括支…

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食関連の流通プラットフォーム事業を展開するプラネット・テーブルは8月25日、食材と需要者を直接つなぐオンライン受発注サービス「SEND」を公開した。

農作物や酪農、畜産といった食材を生産する側がデータを登録すると、レストランなどの需要者が直接そこから購入することができ、更にSEND運営がそれらを一括して配送してくれる仕組み。双方の支払いについても個別に発生させるのではなく、SEND側で集金、一括支払いなどの管理を提供する。東京都心エリア((渋谷区、港区、新宿区、中央区、千代田区、世田谷区・品 川区の一部など)を中心に承認登録制で開始される。

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利用料金について、同社代表取締役の菊池紳氏に話を聞いたところ、配送や荷捌きなどのプラットフォーム利用手数料として食材費の20%から30%を徴収するそうで、これは将来的に食材に応じてわかりやすい固定の価格帯にするということだった。

意欲的、ということで以前ご紹介したプラネット・テーブルの3事業の内、2つ目がこのSENDだ。狭小エリアでの産直流通サービスとしてβ版を走らせていたものが、正式に開始したことになる。

「多様な生産と多様な需要を細かくつなぐのが目的です。日本には出荷してもらえない生産物が30%とか40%もある一方で、これを有効活用できる人もいるんです。形の悪いトマトであっても、例えばパスタのソースにするのであれば問題ない。彼らは形ではなく完熟のものを届けてくれればいいんです」(菊池氏)。

こういった細かいリクエストを受け付け、無駄に廃棄されていた食材に新しい使い道を提供するのがこのシステムと彼らの役目だ。

「生産者にとって私たちは配送センター。他方、シェフにとっては自前の産直食材庫に見えるようになります。これまでシェフやパティシエはトマト何個という注文をファックスにて送信していました。この作業を効率化し、オーダーシートをあらかじめ作ることができるようにしたので、あとは数量を入れるだけで頼みたい食材をオーダーできます。

レストランでは通常の買い物と違って、買いたい時にショッピングカートに入れるようなことはしません。メニューを決めた状態だと反復して使いますので一度オーダーシートを作ればそれを再利用できるようになるんです」(菊池氏)。

こういう注文様式は、8件ほどのシェフたちと検討して作った仕様なのだそうだ。ただ、SENDで受けた注文をひとつひとつの生産者に出荷依頼したのでは、大変効率が悪い。そこで、SENDで一旦これらの注文を束ねて、一定数を生産者に注文することになる。生産者は一箱まとめて食材をSENDに送ればいい。後はSEND側で荷捌きして各レストランにトラックで配送する。

食材一覧

注文から出荷のタイムラグについてはSEND側でもある程度在庫を持って対応し、当日から翌日の対応を可能にしているという。菊池氏の話では各レストランのオーダー情報を分析することで、ここでのロスを3%以内に抑えており、更に極小化できるとしていた。

つまり菊池氏の言葉を借りれば「都内1万店舗(客単価5000円以上対象)の飲食店のためのPOSシステム」がこのプラットフォームの理想像になる。通常、コンビニなどで活躍しているアレだ。送料についても、産直の場合、10箇所に送付すると10回の送料がかかることになるが、SENDを介せば1度の送付で済む。決済についても同様でシェフは月に一回まとめて支払えばいい。

以前にも書いたが、プラネット・テーブルのやり方は非常にアナログだ。自社で配送を持っていることも、冷蔵庫や在庫を一定数持つことも、デジタル/オンライン・ビジネスの定石「持たざる経営」視点からはリスクに映る。

しかし「食べる」とか「生きる」といった事象はそもそも手のかかることなのだ。私自身、食べ物を粗末にすることがとても嫌いで、前回取材時に菊池氏が話していた年間11兆円ものフードロス(食料廃棄)は大変大きな解決すべき課題だと強く思う。

このシステムが本当にワークするところまで彼らには走りきってほしい。

世界で年間に捨てられる74兆円の食料を救う方法ーー食のQ&A「FoodQ」プラネット・テーブルの挑戦

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食関連の流通プラットフォーム事業を展開するスタートアップ、プラネット・テーブルは6月25日、食べ物に関するQ&Aサービス「FoodQ」を公開した。利用は無料で対応OSはAndroid。iOSは今後対応するとしている。 FoodQは匿名で利用可能なQ&Aアプリ。食べ物に関する安全性や健康への影響、栄養素についての質問から保存方法まで幅広いテーマについての質問を受け付け、登録している一…

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食関連の流通プラットフォーム事業を展開するスタートアップ、プラネット・テーブルは6月25日、食べ物に関するQ&Aサービス「FoodQ」を公開した。利用は無料で対応OSはAndroid。iOSは今後対応するとしている。

FoodQは匿名で利用可能なQ&Aアプリ。食べ物に関する安全性や健康への影響、栄養素についての質問から保存方法まで幅広いテーマについての質問を受け付け、登録している一般のユーザーやシェフ、生産者などのプロフェッショナルが回答する。

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プラネット・テーブル代表取締役の菊池紳氏の説明によれば、回答の安全性や精度を高めるために、同社に所属する栄養士などのチェックを経て回答を公開するフローを取っているということだった。

さて。

ここまで説明して食に特化したQ&Aアプリのどこにビジネスが隠れているのかさっぱり分からない読者も多いのではないだろうか。

私も菊池氏の話を聞きながら、このまま単なるQ&Aアプリの紹介だったらどうしようかドキドキしながら聞いていた。当然ながらそれだけだと取り上げる価値がないからだ。

ーーそしてその答えはもちろん「NO」だ。このサービスは彼らのプロジェクトのほんの一部にすぎない。

まだ構想現段階で絵空事の部分もあるのでトラクションがとれてから、という話も多いのだが、そういう状況も含めて話せる範囲で紹介してみたい。

狭小流通から得られる食の「データ」が解決する未来

プラネット・テーブルが展開する事業は今回のQ&Aアプリ「FoodQ」と狭小範囲の流通業「SEND」、それに近日中に公開を予定している未公開プロジェクトの三つだ。

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現時点で稼働しているSENDは狭小エリアで食料の生産者とレストランを直接つなぐ流通のサービス。自前で配送のトラックや冷蔵庫を所有し、野菜などの食料を比較的高単価のレストランに配達している。

「レストランのシェフは毎日の仕事が大変で、食材の注文に何十件もメールやファックスを送るのは大変な手間になるのです。私たちに依頼すれば、全国の食材が翌日に届きます」(菊池氏)。

狭小エリア(都内で数区内程度)に絞って、新鮮な食材と高級レストランを効率よくマッチングさせる、といえば何となくネットサービスぽいだろうか。

今はやりのオンデマンドビジネスのちょっと大きな店舗向けのようなイメージもあるが、正直言ってここまではほぼ従来のビジネスモデルだ。自社で冷蔵庫やトラックなどを所有しているのも「持たざる経営」が基本のネットビジネスにおいてマイナスになる可能性があり、下手をすればただの中抜き事業者にしか見えない。

興味深いのは彼らが集めているデータにある。

菊池氏の話を総合すると、SENDという流通網によって各レストランがどのような回転率でどれぐらいの来客に対応しているのかある程度把握することができるので、結果的にどの生産者のどの食品がどういった評価を受けるのか定量化することができるのだという。

例えば彼らのこれまでの検証で、同じ値段のある食品を三つの店舗のシェフに使ってもらったところ、三人がそれぞれもっとも高評価を与えたのはあるひとつの品物だった、という結果があるらしい。

色や形といった分かりやすい基準だけでなく、こういった定性的な「感覚」による評価も流通網から情報を得ることができる。これらを複合して「定量化」した情報が彼らのビジネスにとってキーとなるものなのだ。

つまり「食品の食べログ」的なプラットフォームが構築できれば、彼らの手がける流通網で、評価の高い食品を多めに入荷するなど、次回の注文予測などに使えるのはもちろんのこと、将来的には食品の正当な評価、価格などへの反映が可能になるという。

このあたりのレーティングを活用したビジネスについて、私は先物取引のような印象を得たがそれについてはまだこれから先の話ということだった。

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プラネット・テーブル代表取締役の菊池紳氏

菊池氏はコンサルティングからプライベートエクイティファンド、外食コンサルティングなどのキャリアを経てこのプラネット・テーブルを設立した人物。国と民間の共同出資で設立された農林漁業成長産業化支援機構(A-FIVE)の立ち上げメンバーも務め、国内の食品流通について造詣が深い。

「食品業界というのはある意味産業革命が起こっていないんです。分業も進んでいて、生産や流通、加工、配送とそれぞれ完全に分かれています。結果的にお互いの情報を遮断した方が儲かる仕組みになってしまったのです」(菊池氏)。

食品の出発点である生産者と終点であるレストランの双方から情報を取得し、食品の絶対的な評価を生み出す。これこそが彼らの目指すポイントになる。

冒頭のQ&Aアプリもこの情報を集める一環と考えれば理解しやすい。

もちろん課題もすこぶる大きい。そもそも流通網を構築するのはコストがかかる。流通というビジネスとセットなので投資が大きく先行するものではないが、データを集める絶対的な速度は落ちる。また、ロットの小さな食品はやはり扱うことが難しい。つまりデータのカバー率もボリューム感がでないと一気にあげることは困難だ。

彼らの狙う評価基準を作るには単なる「データ」ではなく「ビッグデータ」でなければならない。これは話を聞いていてもなかなかハードルが高いなと感じた。

しかしこういった壁があるからこそ、従来誰もやってこなかったとも言える。

「世界的な人口増加に併せて必要な食料が不足する一方、フードロス(食料廃棄)は、日本で11兆円、アメリカで13兆円、世界では74兆円と言われています。生産現場での未出荷や廃棄を入れたらこの1.5倍になるとも指摘される大きな課題です。でもみんな捨てたくて捨てているわけではなく、流通や産業構造が問題なのです。

今後人口が増え続けると、今世紀半ばにはさらに100~150兆円近くの食料が必要になると考えられますが、それに相当する量をロスしてしまうような構造は、今、日本から取り組む必要があると思っています」(菊池氏)。

彼らの壮大な挑戦は始まったばかりだ。