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食のC2Cアプリ「ポケットマルシェ」、シリーズBで8.5億円を調達——オレンジページや丸井らが参加、OMOや都市〜地方の関係深化を促進

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全国の農家や漁師などの生産者と消費者をつなぐアプリ「ポケットマルシェ」を運営するポケットマルシェは、シリーズ B ラウンドで8.5億円を調達したと発表した。このラウンドに参加したのは、丸井グループ(東証:8252)、オレンジページ、東北スタートアップ支援特化の MAKOTO キャピタル、せとうち DMO(せとうち観光活性化ファンド)、岡山拠点の農業機械メーカー小橋工業、インスパイア PNB パート…

Image credit: Pocket Marche

全国の農家や漁師などの生産者と消費者をつなぐアプリ「ポケットマルシェ」を運営するポケットマルシェは、シリーズ B ラウンドで8.5億円を調達したと発表した。このラウンドに参加したのは、丸井グループ(東証:8252)、オレンジページ、東北スタートアップ支援特化の MAKOTO キャピタル、せとうち DMO(せとうち観光活性化ファンド)、岡山拠点の農業機械メーカー小橋工業、インスパイア PNB パートナーズ。

ポケットマルシェにとっては、2017年9月にユーグレナ、メルカリ、インスパイア PNB パートナーズから調達した1.8億円、2019年8月に電通、小橋工業、インスパイア PNB パートナーズから調達した3.3億円に続くものとなる。開示されているものだけで、ポケットマルシェの創業以来の調達総額は13.6億円に達した。

ポケットマルシェは2015年2月、岩手県議会議員を2期にわたり務めた高橋博之氏により創業(創業時の社名は KAKAXI)。2013年に前身となるNPO法人東北開墾を設立し、震災で疲弊した東北の生産者と全国の消費者をつなぐメディア「東北食べる通信」を運営。その生産者コミュニティをより具体的に繋げる仕組みとして2016年9月に生まれたのがポケットマルシェだ。農業や漁業などに携わる生産者と消費者をつなぐ産直 C2C などを展開する。

ポケットマルシェ 創業者 兼 CEO 高橋博之氏
Image credit: Pocket Marche

上場企業からスタートアップまで農作物や水産物を取り扱う産直 C2C は増えたが、ポケットマルシェが目指すのは、産直 C2C を媒介とした生産者と消費者、ひいては、地方と都市をつなぐプラットフォームであり、産直を通じて、都市に住む住民が生産現場である地方を訪問することを促したり、いわゆる〝デュアラー〟のような第二の故郷を持つ生活観を提案したりしている点で、他サービスと性格を異としている。

新型コロナウイルスの感染拡大に伴う「巣篭もり消費拡大」の影響もあり、1年前に約1,600名だった登録生産者数は約3,200名に倍増、ユーザに至っては、約4万名だったのが約21万名へと1年で5倍超に増加した。ユーザの定着率やリピート注文も増えているそうで、これは単に産直 C2C という利便性のみならず、さまざまな災禍を受けて、生産者と消費者が互いの繋がりを求めた結果で、同社では両者が共助の関係性を育み始めた兆しだと評価している。

コロナ禍の産直 C2C 需要急増で、ロジスティクスのキャパシティオーバーから、新規注文を一時的に取りやめた企業がいたことも事実。しかしポケットマルシェは、以前から分散化されたロジスティクスを組んでいたこともあり、ほぼ影響を受けておらず、さらに需要が増えたとしてもキャパシティに余裕がある。(高橋氏)

都市部の飲食店店頭にポップアップ的に開設される無人直売所「ポケマルスタンド」
Image credit: Pocket Marche

ポケットマルシェでは今回調達した資金を使って、C2C プラットフォームの拡充、生産者サポートの強化(SNS を活用した販売力強化セミナーなどのコンテンツ充実)、オンラインとオフラインの融合(OMO)、関係人口(地方から見て、その地域に関わる都市住民を含めた人々のこと。高橋氏の造語。)の創出促進を行うとしている。

特に OMO については、ポケットマルシェでは飲食店の店頭で生産者直送の食材を購入できるポップアップ企画「ポケマルスタンド」を展開しており(今月は東京・広尾と南大塚で開催予定)、丸井グループとは、このような OMO 分野で協業するようだ。丸井グループは近年、D2C ブランドをテナント出店させるなど、OMO に対する動きを積極化させている。

オレンジページはレシピを提供するサイトとして有名だが、JR 東日本(東証:9020)の連結子会社であるため、ポケットマルシェとはレシピサイトを通じたオンラインでの共同企画の展開のほか、JR 東日本やグループ会社が持つ鉄道関連施設や商業施設などを活用したオフラインでの共同企画の展開も期待できる。

<参考文献>

農家や漁師が使う「産直フリマ」ポケットマルシェ1.8億円調達、メルカリ、ユーグレナと資本提携

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農家や漁師など生鮮食品を扱う事業者が直接スマホから出品・販売できるマーケットプレース「ポケットマルシェ」は9月29日、ユーグレナ、メルカリ、インスパイアが運用するASEAN市場向けファンド(PNB-INSPiRE Ethical Fund 1 )を引受先とする第三者割当増資の実施を公表した。調達した資金は1億8000万円で払込日や投資比率などの詳細は非公開。 ポケットマルシェの創業は2015年2月…

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農家や漁師など生鮮食品を扱う事業者が直接スマホから出品・販売できるマーケットプレース「ポケットマルシェ」は9月29日、ユーグレナ、メルカリ、インスパイアが運用するASEAN市場向けファンド(PNB-INSPiRE Ethical Fund 1 )を引受先とする第三者割当増資の実施を公表した。調達した資金は1億8000万円で払込日や投資比率などの詳細は非公開。

ポケットマルシェの創業は2015年2月。2013年に前身となるNPO法人東北開墾を設立し、震災で疲弊した東北の生産者と全国の消費者をつなぐメディア「東北食べる通信」を運営。その生産者コミュニティをより具体的に繋げる仕組みとして2016年9月に生まれたのがポケットマルシェで、1年間運営した時点での利用生産者は330名に拡大している。

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これら生産者はポケットマルシェの審査を経たプロで、出品から商品管理、入金確認、顧客コミュニケーションまでをスマホだけで完結できる業務アプリが提供される。消費者側がウェブサイトから商品を購入すると、運送会社から販売した分の配送伝票が直接届けられる仕組みになっている。システムの利用料金等は不要で、事業者は販売代金の15%を手数料として支払うほか、1配送あたり87円の伝票発行料が必要になる。

同社では今回の増資によりポケットマルシェの開発と生産者拡大を進めるほか、メルカリとユーグレナについてはサービスIDの連携も含めた生鮮食品のダイレクトコマース事業について協業を推進するとしている。

生産者との食を通じたコミュニケーション

「旬のお魚と、船長が推す魚「ニギス」と「カナガシラ」つけてお届けします。この2種は、とてつもなく脂がノって美味すぎるお魚です。しかし脂がノっている魚は脂が酸化しやすいため鮮度が下がりやすく、市場には敬遠されます。その結果、最高のクオリティを持っていながら安く買い叩かれている魚たちです。

でも、新鮮な状態で食べると最高なんです!浜で食べるこの味を、ぜひ知ってもらいたい。通年とれる魚ですが、いつでも獲れる訳ではないのでお待ち頂く場合があります。ご了承下さいm(_ _)m」

これはポケットマルシェに掲載されているとある漁師さんの商品コメントだ。

商品はいつでも購入できるわけではなく、その希少性や生産者の個性もあって眺めるだけでも楽しい。運営する同社取締役の本間勇輝氏に話を聞くと、そこにはインターネットという新しい仕組みをどう取り組もうか悪戦苦闘する生産者の姿が見えてくる。

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「メルカリもフリルも他の産直サービスも使ったような情報感度が高い方が多いですね。そういう方々が戦える場所を作るのが自分たちの仕事だと思っていて、ここはスーパーの売り棚ではなく、ファン獲得を目指したプラットフォームなんです」(本間氏)。

きっかけは震災だ。「獲れたものを流通に流せばいい」という形式的な世界観は足元から崩れ落ち、自分たちだけでなんとかしなければならないという機運が高まった。もちろん現実は厳しく「ネットの世界で勝てるわけないという思い込みやリテラシの問題」は相応にあったようだ。しかしポケットマルシェはその前身から続けている「東北食べる通信」で培った生産者とのコミュニケーションを武器に、その活用範囲を広げていく。

結果、運営から1年足らずで冒頭にあったような生産者の生き生きとしたプラットフォーム利用が進むようになった。一件ずつ審査を経て利用登録するこだわりもポケットマルシェの魅力に繋がっている。

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本間氏はこの事業を続ける意味をこう語る。

「新規就農する方というのは実は増加しているんですが、5年経過すると3割の方が辞めてしまわれるんです。なぜか。それは経済合理性がついてこないからです。考えてみてください。私たちが食べている食糧は誰がこれから作るのでしょうか?若い方々が継続的に生産を続けられる仕組みが必要なんです」。

国内の食糧事情は世界と少し異なり、大量の廃棄(フードロス)が問題になっている。年間で600万トン以上の廃棄を生み出しているのは業界内構造であり、こういった産直の仕組みが広がることで「もったいない」ことをしてしまう機会も減少する。

そして何より食を通じて様々なコミュニケーションを生み出すことが生産者、消費者双方にとって「食べる」ことの価値を再発見させることにつながるのではないだろうか。