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デジタルアイテム売買「miime」が実施した「セキュリティー監査」って何?ーー本田圭佑氏ら出資の米企業が実施

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ピックアップ:Quantstamp、メタップス運営デジタルアイテムのマーケットプレス「miime」のスマートコントラクト監査を完了ーーブロックチェーンセキュリティーの『NEW STANDARD』をNFTから目指す ニュースサマリー:9月27日、ブロックチェーンやスマートコントラクトにおける、ハッキングの脆弱性・安全性を担保するセキュリティー監査企業「Quantstamp」  が、メタップスアルファ…

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ピックアップ:Quantstamp、メタップス運営デジタルアイテムのマーケットプレス「miime」のスマートコントラクト監査を完了ーーブロックチェーンセキュリティーの『NEW STANDARD』をNFTから目指す

ニュースサマリー:9月27日、ブロックチェーンやスマートコントラクトにおける、ハッキングの脆弱性・安全性を担保するセキュリティー監査企業「Quantstamp」  が、メタップスアルファが開発するブロックチェーンを活用したデジタル資産(NFT)マーケットプレイス「miime」のセキュリティー監査を実施したことを発表した。

Quantstampは、人力のコードレビューと、セキュリティー自動監査ツールを用いたコードレビューを用いてハッキング脆弱性を監査するサービスを提供する。他にも、アーキテクチャー・レビューや機能面のテストなどを通し、総合的なセキュリティー向上をおこなう。今回、miimeに対しこうしたセキュリティー監査を実施した形だ。

miimeは9月11日からクローズドβ版を公開しており、9月26日にオープンβ版をローンチしているマーケットプレイスサービス。今回のQuantstampへの監査依頼に関して、事業担当者の青木氏は以下のようにコメントしている。

NFTの売買環境を提供するマーケットプレイスでは、セキュリティーの向上は必要不可欠です。miimeで活用するスマートコントラクトのセキュリティー監査を実績の豊富なQuantstampに行っていただいたことで、安全性を高められたと考えております。

セキュリティ監査企業であるQuantstampは「Y combinator」や本田圭佑氏の個人ファンド「KSK Angel Fund」からの支援を受けている。

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話題のポイント:NFT(Non-Fungible-Token)とは、日本語に置き換えると“代替不可能なトークン”と表現できます。他の仮想通貨(Fungible-Token)とは異なり、トークン一つ一つが固有性を持つ別々のアセットとして機能します。

NFTの活用が見込まれる領域としては、不動産やゲームアセット、アート市場などが挙げられます。その中で現在、それぞれの資産の行使権・所有権の証明を簡易化できる手段として研究開発が進んでいます。

「miime」はNFT資産を売買できるマーケットプレイス。ユーザーが売買を行うための画面や出品情報はmiimeのWebアプリケーション側が提供し、購入時の仮想通貨(ETH)支払いやデジタルアイテム(NFT)の所有権移転は、ブロックチェーン上のスマートコントラクトによって実行される仕組みです。

miimeで行われる売買は2通りあり、一つが一般的な売買、そしてもう一つがオファーによる売買。一般的な売買においては、購入者が既に出品済みの商品を購入する流れ。一方でオファーによる売買においては、購入者はmiimeのマーケットに未だ出品されていない資産に関して、販売者に対して販売依頼(オファー)を出すことが可能。オファーが承認されれば、取引は実行されます。

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Dapp Radarの事例をみると、現在NFT利用が進んでいる分野の一つにゲーム領域があることが分かります。今後は不動産やアート、またロイヤリティーの行使や金融業界への応用も進んでいくと予想されます。

<参考記事>

miimeのようなNFTマーケットプレイスは、上記のどの領域におけるNFT活用においても、重要な構成要素の一つとして必要とされ続けるでしょう。こうした展望を踏まえ、QuantstampはNFTのマーケットプレイスのセキュリティー向上に早い段階から取り組んでいると解釈できます。

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Quantstampブロックチェーンエンジニア、岡洋平氏が目指すPoCの先

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Quantstampはイーサリアムのスマートコントラクトにおけるハッキングの脆弱性、安全性を事前に発見するためのセキュリティー監査プロトコルを提供している。 2017年にはY Combinatorのアクセラレータプログラムに採択され、2018年2月にはプロサッカー選手・本田圭佑氏のファンドKSK Angelから資金調達を完了させるなど、ブロックチェーン業界をリードしているスタートアップだ。 初回の…

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Quantstamp Forward Deployed Engineer 岡洋平氏

Quantstampはイーサリアムのスマートコントラクトにおけるハッキングの脆弱性、安全性を事前に発見するためのセキュリティー監査プロトコルを提供している。

2017年にはY Combinatorのアクセラレータプログラムに採択され、2018年2月にはプロサッカー選手・本田圭佑氏のファンドKSK Angelから資金調達を完了させるなど、ブロックチェーン業界をリードしているスタートアップだ。

初回の創業者でCEOのRichard Ma (リチャード・マー)氏、前回Quantstamp Japan代表の小田啓氏に続いて最終回となる本稿ではQuantstampにてForward Deployed Engineerを務める岡洋平氏にブロックチェーンにたどり着くまでのストーリーを伺った。

ブロックチェーンとの出会いは仮想通貨のアービートラージ

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昨年開催のブロックチェーンカンファレンス、NodeTokyoにて

岡氏が初めて仮想通貨と出会ったのは、大学時代。クラスメートに誘われ、日米間の取引所における仮想通貨のアービトラージを始めたことがきっかけだった。

岡氏:初めてブロックチェーン・仮想通貨を知ったのは2013年の秋ごろでした。米国の大学に通っていたんですが、たまたま大学の友達が日本のマーケットとアメリカのマーケット間で仮想通貨のアービトラージが出来ることに気が付いて。僕が日本人で、日本の口座を作れたので、参加することにしたんです。ちなみに、その時作った口座はマウントゴックスでした(笑。

2013年頃には既に仮想通貨やブロックチェーンに投資という形で触れていた同氏。ただ、その時点では単なる投機対象のデジタル通貨という認識で、特に大きくかかわることなく大学卒業を迎える。そしてその後はボストンのスタートアップにて、エンジニアとして働く。

岡氏:大学卒業後はスタートアップにて3年ほどエンジニアとして働きました。卒業後、仮想通貨とのかかわりはなかったんですが、エンジニアとして実践的な力も付いてきた2017年頃から仮想通貨取引の自動化ボットの作成に取り組み始めました。

大学時代は手作業で全て取引していたので毎回”このアドレス、本当にあってるのか?“と緊張しながら取引していたのが懐かしいです。その時価格的にアービートラージがしやすい通貨を色々と探して取引を試していました。その中の一つが、イーサリアムだったんです。

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岡洋平氏とリチャード・マー氏

その流れで、イーサリアムが持つスマートコントラクトの根本的なシステムについて興味を持ち、これを契機にブロックチェーンについてそもそもの存在意義を考えだすようになったという。

岡氏:自分が取引していた仮想通貨の裏にあるブロックチェーンという技術。これを理解すればするほどインターネットが流行りだした時のテクノロジーに近いものがあるなと思ったんです。

インターネットとブロックチェーンとの間に技術的に通ずる何かを感じつつ、その頃は、ボストンのスタートアップを離れ、シアトル本社のAmazonにて無人コンビニとして著名なAmazonGo(アマゾンゴー)の開発に携わっていた。

岡氏:シアトルにいた当時は、Amazonの中でも1,2位を争う未来的なプロジェクトAmazonGoに関わっていました。もちろん、そのプロジェクトはエンジニアとしてすごく楽しくかかわれていたのですが、ブロックチェーンに対する興味やベンチャーの楽しさに戻りたいという考えがあったんです。そういうこともあって、AmazonGoが2018年1月にパブリックローンチを終えた段階で退職する決断をしました。

なぜQuantstampを選んだかーーWHY QUANTSTAMP--

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左・岡氏、右・小田氏

2018年1月にアマゾンを離れる決断をした彼はQuantstampと出会い、メンバーとして活動していくことになる。

岡氏:まずは、そもそものブロックチェーンに関する知識を貯めるためにフリーランスとしてDApps(分散型アプリケーション)の開発などをしつつ、ミートアップなどに参加していました。日本に戻ってきて一番感じたのが、仮想通貨取引所でマネタイズしている企業は多いけど、実際にDAppsなどを開発してマネタイズを目指している企業が少なかったことでした。

たしかに当時(2018年1月)は、仮想通貨に対する投資の熱が最も高まっていた頃だ。仮想通貨といえば、もはや取引所のイメージしか一般的には浮かばなかったかもしれない。

岡氏:取引所にエンジニアとして入ることは、なんとなくAmazonを離れた理由がなくなってしまう気がしたんです。そんな中、2018年4月ごろのミートアップに偶然Quantstampが参加していて、そこでリチャードと会いました。その1か月後位にKeiさん(小田啓氏)と会うことになって。

お互いが海外で育ったバックグラウンドを持っていることもあってすぐに意気投合でき、そこでQuantstampにジョインすることを決めました。

続けて同氏は、Quantstampに提示されたポジションはまさに自分が求めているような存在だったと語る。

岡氏:まずブロックチェーンに関わる上で、マスアダプションに繋げるという意味でもセキュリティーに対して需要と課題があると思っていました。Quantstampとしてオファーされたポジションは、もちろんエンジニアとしてスマートコントラクトの監査をすることが第一にあります。だけれど、ただコードを書くだけでなくそこには”エンジニア+新規市場開拓”といったビジネス面での役割も同様に求められています。まさに、スタートアップ的ななんでもやる感あって楽しそうだな、こう思ったことが最大の決め手でした。

Quantstampとして成し遂げたいこと

PoCからPoCじゃなくなる、そんなプロジェクトを増やしていきたいーーそう語る岡氏は、Quantstampとしてエンジニアとしてセキュリティーを支えていくことはもちろんのこと、PoCを超えていくプロジェクトを手助けしていきたいと話す。

岡氏:いろいろな企業がブロックチェーンを用いたPoCに踏み出しています。だけど、結局PoCが成功して実際に普及していかなければ実証実験の意味がない。ユースケースを一気に沢山生み出すのではなく、まずは一つ “これぞ!“というものを作る。その一歩が大事だと思っています。

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いかにしてPoCを越えて「これぞ」というユースケースを作り出し、セキュリティー監査という役割で支え続ける。岡氏はインタビューの終わり、これからの挑戦についてこんな言葉を残していた。

岡氏:よく、PoCの段階で”ブロックチェーンである理由は?“と言われることがあると思います。試験的に導入して、何かしらのサービスを使ってもらって、何回も改善を繰り返す。その中で、ブロックチェーンである理由というものが見つかるということでもいいのかなと。

正直、これから先100%ブロックチェーンという技術がみんなが期待するほど社会全体的に導入されるか、確信は自分の中にはないんです。だけど、ある程度の割合でユースケースは増えてくると思っていて。だから、僕はブロックチェーンにBETしています。

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海外で育った僕にとって、誰も日本に興味を持ってくれなかったのが悔しかったーーQuantstamp日本代表、小田啓氏が語る「ブロックチェーンをやる理由」

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Quantstampはイーサリアムのスマートコントラクトにおけるハッキングの脆弱性、安全性を事前に発見するためのセキュリティー監査プロトコルを提供している。 2017年にはY Combinatorのアクセラレータプログラムに採択され、2018年2月にはプロサッカー選手・本田圭佑氏のファンドKSK Angelから資金調達を完了させるなど、ブロックチェーン業界をリードしているスタートアップだ。 前回の…

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QuantstampにおいてJAPAN/APEC Leadを務める小田啓氏

Quantstampはイーサリアムのスマートコントラクトにおけるハッキングの脆弱性、安全性を事前に発見するためのセキュリティー監査プロトコルを提供している。

2017年にはY Combinatorのアクセラレータプログラムに採択され、2018年2月にはプロサッカー選手・本田圭佑氏のファンドKSK Angelから資金調達を完了させるなど、ブロックチェーン業界をリードしているスタートアップだ。

前回の記事では、創業者でCEOのRichard Ma (リチャード・マー)氏に「なぜ日本がブロックチェーンにとって世界から注目されているのか」を中心に同社の日本市場進出のバックグラウンドストーリーを聞いた。

今回は、QuantstampにてAPACリード並びに日本法人の代表を務める小田啓氏に今後の活動方針やビジョン、そして今までの経歴からなぜブロックチェーンにたどり着いたのかなど話を聞いた。

“ブロックチェーン”との出会い

「海外で育った僕にとって、誰も日本に興味を持ってくれなかったのが悔しかった」ーーこう切り出した小田氏は、Goldman Sachs(以下、GS)にて16年間債券トレーダーとして活躍した経歴を持つ人物。2000年のGS入社組の同氏は、2007年から2011年の世界が一番荒れたといえる「金融危機」や「欧州危機」の経験者だ。

小田:債券トレーダーという立場で金融領域にいたので、物事を常にマクロ的に見る必要がありました。そのため色々な各国の出来事や、新しいテクノロジーに対して常に興味を持って観察する機会が多かったんです。

そして、2010年くらいに初めて”ビットコイン”という存在を目にしました。その時点では”どうせ詐欺でしょう“という感覚でしかとらえていなかったのが正直なところです。ただ、それがきっかけで調べようと思ったのは間違いないですね。

2010年に初めてビットコインと出会ったという同氏。それをまたぐかのように、2007年の金融危機、2011年には欧州危機を経験した。ただ、当時はビットコインを仮想通貨の一種としかとらえておらず、そこからブロックチェーン的に事象を考えるまでには進んでいなかったという。

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Bitcoin Price Chart, 2013

同氏によれば、そんな状況が変わったのは2013年頃。そう、初めてビットコインが1000ドルを超えようと急成長を見せ始めた時期だ。

小田:存在を何となく知っていた状態から、本気でリサーチしてみようとなったのは、知らない間にビットコインの価格が1000ドルを超えだしたことがきっかけでした。仮想上のコインという概念に、なぜそんな価値が付いているのか。金融トレーダーとしてはもう放置できない状態でしたね。

GSの同僚には後にbitFlyerを創業することとなる加納裕三氏がいたりと、ビットコインや仮想通貨といった話題は同社内でも一般的になっていたと話す。

そして、2017年頃になるとビットコインが「BTC」として世界的通貨としての役割を担いだす。小田氏はそこあたりでGSを退職し、遊び感覚で少額のビットコイントレードを始めた。ただ、その時点でも同氏のビットコインに対する考えは単なる通貨に留まっていて、ブロックチェーン的な思考までには至っていなかった。

小田:ビットコインが世界通貨として価値を持ち出していることは理解していました。ただ、正直そのバックグラウンドは”アナーキストが大好きそうなもの“的な考えに留まっていたんですよね。しかし、イーサリアムとの出会いでその考えは大きく変わることとなります。

リチャードの言葉を借りるならば、ビットコインは「Donation(One-Way)」的。そしてイーサリアムは「Bidirectional」的。イーサリアム・スマートコントラクトの持つDISRUPT性を、この観点で感じ取ったと同氏は語る。

小田:ブロックチェーンを使ったアプリケーションが、単なるダークウェブ用のもので終わらないことにイーサリアムと出会って気が付きました。特に金融機関にいた私にとっては、ファインナンスの世界に大きなムーブメントを起こすだろうな、と。

ただ、何より日本が海外からブロックチェーン市場として注目されていたことが嬉しかった。今まで、日本はどんな分野だろうと、ある程度の影響力は持つけれど、世界的注目度をここまで集めることはできなかった。初めてそういう逆回転が起き始めていると感じたんです。それが2017年の半ば頃でした。

なぜQuantstampを選んだか ーーWHY QUANTSTAMPーー

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BUIDL SEOULにて

では、どのような経緯で数ある”ブロックチェーンプロジェクト”の中からセキュリティー監査企業Quantstampと運命の出会いを果たしたのか。同氏は以下のように語る。

小田:2018年頃、毎週いくつものICOが世界中で開催されているような時期に、ドットコムバブル時の雰囲気とすごい重なるものを感じたんです。インターネットのバブル時代、結果的に最後まで生き残ったのはインフラやセキュリティー系の企業が多かった。そう考えていた時、ちょうどコインチェック事件が起きた。

インターネットバブル時代とブロックチェーンICO全盛期を比較し、どの分野が今後も生き残るのかを分析した同氏。そして、アプリケーションの実需用を増やしていくためにもセキュリティーはインターネット時と変わりなく重要な役割を担っていることを再認識した。そのような出来事を経て、最終的にQuantstampへと同氏の道は繋がっていたようだ。

小田:ブロックチェーンにおけるセキュリティーという観点で、Quantstampの活動については、元々自分なりにリサーチをしていました。いくつか直接聞いてみたい疑問があったので、彼らが参加するカンファレンスに行ってみたんです。そしたらリチャードやその他のメンバーと話す機会があって。自分が考えるブロックチェーンのこれからや、市場において求められるセキュリティーのサービスなどを議論していたら、最終的に“Quantstampにジョインしないか?”とその場でリチャードが誘ってくれたんです。

もちろんそんなつもりで会いに行ったわけではなかったし、まさかオファーが来るなんて思っていませんでした。 そんな急な展開でしたが、Quantstampが日本市場進出を大きく考えていることや彼らのブロックチェーンに対する考え方を聞いて、その場でジョインすることを決めました。彼らの考え方に共感できたのはもちろん、自分が協力できることがそこには絶対あると思ったことが、決断の一番の理由でした。

Quantstamp・APACヘッドとしてのVisionとこれからのブロックチェーン

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Quantstampのメンバーが集合した際に撮影

「”ブロックチェーン”を理解しないとサービスが使えないなら、マスアダプションは厳しい」ーー小田氏は、このように考える理由を、再度インターネットの発展を振り返りながら以下のように説明してくれた。

小田:世界はこれからもっと、デジタル化が進んでいくと思っています。そのファーストウェーブには、ハンドリング可能な情報量が増えてきていることがありました。今まさに4Gから5Gへと移り変わろうとしていますよね。

これを超えると今までとは桁違いなデータ量を扱えるようになります。だけど、たった25年前を振り返れば、Emailですら送信するのに莫大な時間がかかっていた。もはや手紙を走って持って行った方が速いレベルだったのが、今やここまで進化を遂げているんです。

インターネットの発展を分解していくと、4Gから5Gへの移り変わり、つまりハンドリング可能な情報量の増加はその発展の中でも大きな意味を持ってくる、と。ではそのトランスフォーメーションの中で、ブロックチェーンはどのような立ち位置として見ているのだろう。

小田:扱えるデータ量が増えていく中で、もちろんそれをどう生かすかは人間次第。だけれど、それをどう安全に守ったり、信頼性を検証していくかはプログラムが担当していくと思っています。その分野こそ、まさにブロックチェーンやスマートコントラクトが適任な技術となってくるのだと考えています。

つまり、インターネットが進化しデータ量が増えていく中で、ブロックチェーンのユースケースは増えてくる、そう考えています。その観点でいえば、一つのユースケースとして最初に広まったのは仮想通貨だったけど、10年先の未来になったら普段使っている電話のアプリとかがブロックチェーン上で何事もないように動いていても不思議には感じないと思います。

同氏は続けて、将来的にブロックチェーンがマスに対してどういう存在になっているべきかを語る。

小田:近い将来では、ユースケースが増えたとしてもブロックチェーンを使っている、なんて感覚になることはないんだと思います。インターネットだって、例えばストリーミングの技術がどういうバックグラウンドでサポートされているのかなんて普通は知らないし興味もない。逆に言えば、ブロックチェーンもその裏の仕組みが分からなければ利用できない状態なのであれば、きっとマスアダプションは厳しい。

つまり、”ブロックチェーンさが無いブロックチェーンサービス“をどう生み出していくか、が問われている、と。

この実現を長期的視点で目指していく市場として「日本は世界的にも貴重な環境」と前回のインタビューでリチャードが述べていたことが思い浮かぶ。最後に小田氏は日本市場を担うことへの期待を語ってインタビューを締めくくってくれた。

小田:そういう風になっていくと思っている中で、日本やAPACは特にブロックチェーンを持ちいたビジネスアプリケーションに熱を持っている印象を受けています。そんな環境で、ビジネスを広げていくという役割は本当に楽しいし、ワクワクします。

確かに、ブロックチェーンはまだ技術的に解決しなければならないことは多いし、まだ『画像をダウンロードするのに数分かかる時期』。だけれど、インターネットの25年より早くアダプションの時間軸は進んでいくと思うし、なによりそれを少しでも早められるように牽引していきたいと思っています。

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ブロックチェーン・スマートコントラクト監査「Quantstamp」が日本市場を狙う理由【CEOリチャード・マー氏インタビュー】

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「ビットコインが”Donation“的なら、スマートコントラクトは”Bidirectional“的。つまり、実際にビジネスが起きる世界と最高の組み合わせだと思うんだ(Quantstamp CEO, Richard Ma)」。 Quantstampはイーサリアムのスマートコントラクトにおけるハッキングの脆弱性、安全性を事前に発見するためのセキュリティー…

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左からCEOのRichard Ma氏, Kei Oda氏, Yohei Oka氏

「ビットコインが”Donation“的なら、スマートコントラクトは”Bidirectional“的。つまり、実際にビジネスが起きる世界と最高の組み合わせだと思うんだ(Quantstamp CEO, Richard Ma)」。

Quantstampはイーサリアムのスマートコントラクトにおけるハッキングの脆弱性、安全性を事前に発見するためのセキュリティー監査プロトコルを提供している。

2017年にはY Combinatorのアクセラレータプログラムに採択され、2018年2月にはプロサッカー選手・本田圭佑氏のファンドKSK Angelから資金調達を完了させるなど、ブロックチェーン業界をリードしているスタートアップだ。

創業者でCEOのRichard Ma (リチャード・マー)氏はブロックチェーン文脈において「日本は世界的に見ても独特な市場」と語る。裏付けするようについ最近、日本市場への本格的参入をリリースした。

リチャードがなぜ日本をブロックチェーンにとって独特な市場とみるのか、そして彼が今後目指していく先には何があるのかについて取材を実施した。まずは、彼とブロックチェーンとの出会いの歴史を語ってもらった。

スマートコントラクトの一番の特徴は「Bidirectional」なところ

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Neutrinoでイベント登壇時のリチャード

元々金融機関にてアルゴリズムトレーダーとしての経験を積んできたリチャード。プログラマーとして、毎日何百万ドルという金額のアセットをトレードしていく中で、ブロックチェーン領域に進むこととなったのには、どんなきっかけがあったのだろう。同氏は、キーパーソンとしてAdamという元同僚の話をしてくれた。

「アルゴリズムトレーダーとして働いていたころ、同僚にAdamというポーランド人がいたんだ。彼とは公私ともに仲良くて、話す機会が多かったんだけど彼は当時(2011年頃)からビットコインのマイニングをしてたんだよね。それが今思い返してみれば、僕にとって初めてブロックチェーンという概念を知るきっかけだった。ただその時点では、イーサリアムも存在していなかったし、仮想通貨がここまでのスピード感で世界に知れ渡っていくなんて想像もしていなかった」。

リチャードはそんなきっかけでひょんなことから、ビットコインのホワイトペーパーを特に何も考えず読んだ。そうすると、彼が当時職務として担当していた「Programming for Finanical Technology」に近い考え方やコンセプトが、BTCのホワイトペーパーには書いてあることに気が付いた。

「この内容が、限りなく僕が担当していた金融領域におけるプログラミングの適用と近いコンセプト設計を持っていたんだよね。それから数年経って、イーサリアムが発表され、2016年初めにはDAOが登場した。ビットコイン自体は、どちらかというと通貨としての要素が強かったけど、DAOでは”Stock(株式)“的要素が生まれていたから、僕にとってはすごくそのコンセプトと可能性を理解しやすかった」。

DAOの登場で、株式的な要素を持たせることができるのに気が付いたリチャード。それから、リチャードは2万5000ドルをDAOに投資したと語る。それからの出来事は、知っての通り。THE DAO事件と呼ばれるハッキングが起きる。

「僕の投資判断は結局間違ってたのかもしれないね(笑。だけど、この出来事が起きたことで、ブロックチェーンにおけるセキュリティーの重要性に気が付くことになった。それと、もう一つ気が付いたことがあって。THE DAO事件が起きたのにイーサリアム自体の価格にほぼ変動は生じていなかったこと。

このタイミングで、ビットコインとイーサリアムを根本的にどう違うのか考えだすようになったんだ。そして分かったことは、ビットコインはある意味ドネーション的な”One-Way“なやり取りという点。その反面、イーサリアムは常に”Bidirectional“なやり取りが生じる、これは大きな違いだと感じたんだ」。

リチャードは「特にビジネスの世界では両者間でのやり取り(Bidirectional)が生じる」という話をしてくれた。そして、そのトランザクションの動きをビットコインのコンセプトではカバーしきれないが、イーサリアムは違ったと語る。

何よりリチャードは「スマートコントラクトを使ったビジネスモデルなんて、ちょっと前まで全く存在していなった。そんな市場を開拓していくのはすごいワクワクする」と話す。

THE DAOで自分自身が資金を失った原体験や、Bidirectionalなシステム構築が出来るイーサリアムのスマートコントラクト。これらが組み合わさりブロックチェーン・スマートコントラクトのセキュリティー監査企業「Quantstamp」が誕生した。

日本市場進出までのストーリーを全て語る – The Background Story –

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Quantstampチームと本田圭佑氏

Quantstampが日本市場へのエントリーを正式に発表したのは、2月25日のこと。同社はサンフランシスコに本社を、そしてトロントやニューヨークにもオフィスを構えている。その中で、なぜTOKYOという場所正式に合同会社を設立することに至ったのか。これについてリチャードは以下のように語っている。

「Quantstampは元々Y Combinatorにバックアップされていたこともあり、サンフランシスコがベースの活動拠点だった。ただ活動をグローバルに広げていく中で、私たちに興味を持ってくれる2人の日本人と出会ったんだ。一人目がObiさんという方。彼とは2017年11月にタイで開催されたBeyond Blockcsというカンファレンスで会ったんだよね。彼は当時から、日本でブロックチェーンの活動をしていて、私たちにもいくつかの日本企業を紹介してくれたんです」。

かなり早い段階で日本という市場と縁があったという同氏。そんな中で、日本をもっと身近なマーケットへと近づけた、ある人物との大きな出会いがあった。

「2人目がサッカー選手の本田圭佑さん。彼はY Combinatorのリストに載っていた我々の名前を見つけてくれて、連絡を来れたんです。話しているうちに、お互いのビジョンや考えている方向性に近いものを感じて。結果的に、彼が運営するKSK Angelから資金を調達することになりました」。

QuantstampがYCに採択され、その認知度が広がるきっかけになったことは間違いない。ただ、まさか本田圭佑氏との出会いを引き起こすきっかけになるとは思ってもいなかっただろう。続けて同氏は、自身の日本とのかかわり以外にも、日本がブロックチェーン業界から非常に注目度が昔から高かったと話す。

「日本には実際にカンファレンスに参加したり、元々ブロックチェーン関連で来ることは多かったんだよね。それだけ日本のブロックチェーン市場は世界から注目されていることをずっと感じてはいたんだけど、実際にエントリーするとなることになったのは、2人との出会いが大きかったと今考えると思うな」とリチャードは語る。

DIgital Garage

実際に来日し、日本におけるブロックチェーンの盛り上がりと雰囲気を感じ取っていく中で、進出を後押しするかのようなObiさんや本田圭佑さんとの出会いがあった。

そんなきっかけを通して、Quantstampは積極的に日本企業に対しコラボレーションの声掛けを始めた。市場進出はもちろん簡単ではなかったが、時間をかけて準備を着実に進めてきた。

そして2019年02月25日、Quantstampは米国本社に対する出資を野村ホールディングスまたデジタルガレージインキュベーションから完了させ、無事日本法人設立を発表した。長い道のりは今始まったばかりだが、最高のスタートを切れたといえそうだ。

世界を魅惑する日本のブロックチェーン市場

ではなぜ、日本がブロックチェーン業界にとって注目されている市場となっているのだろう。リチャードは、日本市場が「ビジネスサイド寄り」な特徴を持っていると表現していた。逆に、北米では技術によってしまって完全な「Permissionless」なブロックチェーンを現段階で作り上げようとしまっている、と。

「日本市場は世界的に見てもすごく独特だと感じている。現段階でアプライ可能な技術を使って、実際のユースケースを探そうという雰囲気。例えば北米では、技術に特化したプロジェクトやプロトコルレイヤーのプロジェクトが乱立してしまっている。もちろんそれが悪いということではないけれど、我々としては長期的に見たときのビジネスユースケースを作り出す企業とコラボレーションしていきたい考えが強い。そう考えたとき、日本はスタートアップに限らずエンタープライズ企業が積極的にブロックチェーンを使って、既存ビジネスモデルにどう組み込もうかと模索していることに気がついたんだ」。

なるほど。確かに、安直な考えで日本=仮想通貨の取引大国のように連想させるが、ビジネス面で見ると実はエンタープライズ企業が積極的にブロックチェーンの導入を検討しているという特徴がある。海外に目を向けると、大体がスタートアップの話題に比べ、日本はエンタープライズ企業によるリリース量も負けていない印象を受ける。

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リチャードとチームメンバーのYoheiさん

「完全なDecentralizedを現段階では目指さず、長期的目線でステップを設けてブロックチェーンの導入を試験的に進める。そして、いかに既存のビジネスモデルと組み合わせることが出来るのかのR&Dを進められる環境、これは世界でも本当に希少なんだよね」。

続けて同氏は、そんな市場でなぜQuantstampが重要なロールを担っているのか説明してくれた。

「彼らがステップを進めていくにあたって、最も重要なのがアプリケーションが本当に信頼できるかどうかのセキュリティー面。Quantstampは、ブロックチェーンにフォーカスしたセキュリティー監査企業として、アカデミックにもキャリア的にも多才なバックグラウンドを持ったメンバーが集まっている。

ブロックチェーンに限らず、セキュリティーに担保がないサービスが導入されることはないよね。その前提で、お互いがお互いの強みを生かしてプロダクトを長期的に、同じ目線で作り上げてくことが可能な体制を作り上げていけていると感じているよ」。

また、リチャードは「既存ビジネスモデル内に多くのユーザーを抱えているエンタープライズ企業とR&Dを、セキュリティー監査という立場で進められていけることは、私たちにとっても非常に貴重な経験」とも語る。

リチャードは、ブロックチェーン・スマートコントラクトのセキュリティー監査企業として企業と共にステップを進めていくうえで、特に着目している3つの業界があると説明してくれた。

「日本に限ったことではないんだけどQuantstampとして、3つの大きな指針を持って取り組みを進めているんだ。1つ目はGaming領域。日本ではまさに最近リリースされたフィナンシェさんなどのサポートをセキュリティー面で関わらせてもらっています。

2つ目がFinTech領域。日本でもリアルテック企業など数社をサポートさせて頂けている状況。最後の3つ目がMobility領域、つまり自転車などに対するブロックチェーン・スマートコントラクトのアプローチ。これに関しては、まだまだコンフィデンシャルなことが多いんだけど、あらゆるユースケースが生まれることを目指して取り組んでいる最中なんだ」。

ある「本」との出会いと長年の夢

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インタビューの終わり、リチャードはある一冊の本を引き合いにこんな話を共有してくれた。

Founders At Work – Stories of Startupという本を皆さんはご存じだろうか。これは、Y Combinator創業者のJessica Livingstoneさんが書き記した、YC卒業生へのインタビューで構成されている名著。リチャードにとっても、この本によって得た影響は計り知れないと語る。

「僕にとって、本の中のインタビュイーはみんなヒーローのような存在だった。大学へ通っているときは、常にバイブルとしてこの本を持ち運んでいたのが懐かしいです。だから、すごく長い間、YCと起業家として関係性を持つことは長年の夢だった。

それが、結果的にはブロックチェーン業界としては初めてQuantstampがYCに採択されることになった時は、本当にうれしかった。ただ、採択されるて何をしていくかが重要なわけだから、これからも初心を忘れずに励んで行くよ」。

Quantstampチーム、日本での挑戦はこれから始まったばかりだ。

Quantstamp創業者・CEOのRichard Maさん、Quantstamp Japanチームのお2人(Keiさん、Yoheiさん)、またインタビューの機会を作ってくれたObiさんに、深く感謝します。

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