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課題の克服:Meta(旧・Facebook)が取り組む「触覚センシング」(2)

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(前回からのつづき)Facebook(訳注:旧社名・新社名はMeta)の研究員マネージャーであるAbhinav Gupta氏とポスドク研究員のTess Hellebrekers氏によると、ReSkinの目的は、物体の分類など、さまざまなタッチベースのタスクでAIを進化させるために役立つ接触データのソースを提供することだ。 Gupta氏とHellebrekers氏は、ReSkinを使用して開発された…

Above: Facebook’s ReSkin sensor used to measure tactile forces. Image Credit: Facebook

(前回からのつづき)Facebook(訳注:旧社名・新社名はMeta)の研究員マネージャーであるAbhinav Gupta氏とポスドク研究員のTess Hellebrekers氏によると、ReSkinの目的は、物体の分類など、さまざまなタッチベースのタスクでAIを進化させるために役立つ接触データのソースを提供することだ。

Gupta氏とHellebrekers氏は、ReSkinを使用して開発された触覚感知スキルを持つAIモデルは、ヘルスケアの現場で活躍したり、柔らかい物体を把握したりできる可能性があると語る。また、ReSkinは他のセンサーと統合することで、視覚、聴覚、触覚のデータを収集し、マルチモーダルなデータセットを作成することができるため、これまでよりも物理的にリアルな世界のモデルを構築するのにも役立つとしている。

「私たちの触覚は、周囲の世界をナビゲートするのに役立っています。触覚は軽いか重いか、柔らかいか硬いか、安定しているか安定していないかなど、私たちが靴を履くときや食事の準備をするときなど、日常的に使用する物体に関する情報を集めることができます。現在のAIは、視覚や聴覚などの感覚を効果的に取り入れていますが、触覚は現在も課題となっています。これは、自然界での触覚データへのアクセスが限られていることが原因のひとつです。その結果、触覚をモデルに組み込もうとするAI研究者は人間のように触覚の豊かさや冗長性を利用することに苦労しているのです」(Gupta氏とHellebrekers氏のブログより)。

磁性粒子を埋め込んだ変形可能なエラストマーであるReSkinは、Digitが1,000個の製造で15ドルであるのに対し、100個の製造で1個あたり6ドル以下とさらに低価格だ。また、厚さはDigitの18mmに対して2~3mmで、5万回以上のインタラクションに対応できるとGupta氏とHellebrekers氏は語る。

「また、ReSkinは高周波の3軸触覚信号を提供することができるので、滑る、投げる、捕まえる、叩くなどの高速操作タスクにも対応できます。消耗した際には、簡単に剥がして新しいものと交換することができます」(同ブログより)。

課題の克服

DigitもReSkinも、この種のタッチセンサーとしては初めてのものではない。他にも、OmniTactや、MITのコンピュータサイエンス・人工知能研究所が開発したGelFlexというロボットグリッパーは、LEDと2つのカメラによって人間のようなニュアンスのある感覚を実現している。また、シンガポール国立大学では、Intelの試作チップを使って、タッチセンサー付きのロボット「skin」を開発した

しかし「ソフトスキン」と呼ばれるものは、使用中に生じるばらつきのために、大量生産が難しいとされている。また、各センサーの反応を確認するためには、それぞれのセンサーにキャリブレーションの手順を踏まなければならない。さらにセンサーの素材は時間の経過とともに変化し、使用状況によっても変化するため、キャリブレーションもその変化に対応しなければならない。

ReSkinは柔らかい素材と計測用の電子機器を電気的に接続する必要がないため、これらのハードルを克服することができる。センサーの磁気信号は近接性に依存しているため、電子機器は接続されていなくても近接していればよいのだ。さらにReSkinは複数のソースから得られたデータをもとに学習したマッピング機能を用いて、従来のマッピング機能よりも汎用性が高く、「手堅い」なマッピングを実現している。さらに、このセンサーは教師なしモデルを使用して、少量のラベルなしデータを使って自動的に(継続的に)微調整を実行する。

教師なし学習では、事前に定義されたカテゴリーやラベルが存在しない「未知」のデータに対してアルゴリズムが適用される。一方、教師あり学習では、特定の出力を得るために注釈が付けられた入力データを用いてアルゴリズムを学習し、根本的な関係を検出できるようになるまで学習する。ReSkinのような教師なし機械学習システムは、ラベルのないデータを分類することを自ら学ぶ必要があり、データを処理して、アノテーションからではなく、データ固有の構造から学ぶ。

「ReSkinのような機械学習システムではアノテーションではなく、データの構造から学習するようにデータを処理しなければなりません。例えば、3つの接触点のうち、物理的に近い2つの接触点では、より似通った触覚信号が得られることがわかっています。ReSkinは、既存のシステムでは実現できない、多様でスケーラブルかつ安価な触覚モジュールの可能性を広げてくれます。既存のカメラベースの触覚センサーは、表面とカメラの間に最小の距離を必要とするため、デザインが大きくなってしまいます。それに比べて、ReSkinは人間やロボットの手や腕の上に重ねて設置することができるからです」(Gupta氏とHellebrekers氏)。

実世界での応用

Facebookの研究者は、ReSkinの有用性を実証するためにいくつかの実験を行い、手の中での操作、接触位置の特定、その他の力の測定タスクに応用できることを示した。例えば犬の靴底にReSkinと回路基板を設置して、犬が休んでいるとき、歩いているとき、走っているときにかかる力の大きさと方向を追跡している。

「一般化できる触覚センサーの研究から低コスト、コンパクト、長寿命のReSkinが生まれました。絆創膏を剥がして貼るように簡単にスキンを交換できるので、すぐに使うことができ、学習したモデルはすぐに新しいスキンでも威力を発揮してくれます。これは、研究者が海外の多様なアプリケーションに力を発揮するAIモデルを構築するのに役立つ強力なツールになると思います」(Gupta氏とHellebrekers氏)。

(次につづく)

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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Meta(旧・Facebook)が取り組む「触覚センシング」(1)

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Facebook(訳註:旧社名・新社名はMeta)は今朝(訳註:原文掲載日は現地時間の11月1日)、同社の研究者がカーネギーメロン大学と共同で開発したオープンソースのタッチセンサー合成皮膜「ReSkin」を発表した。ReSkinは機械学習と磁気センサーを活用し、安価で汎用性が高く、耐久性があり、交換可能かつ長期使用可能なソリューションとして設計されており、センサーの自動調整には教師なし学習アルゴリ…

Facebook(訳註:旧社名・新社名はMeta)は今朝(訳註:原文掲載日は現地時間の11月1日)、同社の研究者がカーネギーメロン大学と共同で開発したオープンソースのタッチセンサー合成皮膜「ReSkin」を発表した。ReSkinは機械学習と磁気センサーを活用し、安価で汎用性が高く、耐久性があり、交換可能かつ長期使用可能なソリューションとして設計されており、センサーの自動調整には教師なし学習アルゴリズムを採用している。

Facebookは本日、ReSkinの開発と並行し、おそらく内部の混乱を暴露されるのを避けるためのタイミングで、タッチセンサー用のハードウェア、シミュレーター、ライブラリ、ベンチマーク、データセットの開発を進めていることを明らかにしている。

FacebookのリサーチサイエンティストであるRoberto Calandra氏とハードウェアエンジニアの Mike Lambeta氏はブログ記事の中でこう説明している。

「私たちは通常、触るという行為を温かみや、時に気遣いを伝える手段として活用していますが、同時に周りの世界を知覚するための重要な手段でもあります。触ることは、他の感覚では得られない情報を提供してくれます。例えば、物質の温度、質感、重さ、そして時には物質の状態についてもです」。

触覚の歴史

触覚(Tactile sensing)は、人間の触覚を理解して物理的な世界で再現することを目的とした、ロボット工学の新しい分野だ。家庭や工場の床などの環境でロボットが自ら触覚を学び、使用できるようにすることで、ロボットをより効率的により安全に、より優しくすることを目的としている。

Facebookは過去数年にわたり、ロボットの把持に焦点を当てた触覚センサーを開発していた。2020年には、多指のロボットハンドに取り付けられるように設計された、高解像度で低コストの小型触覚センサー「Digit」を発表している。

Above: An exploded view of Facebook’s Digit sensor. Image Credit: Facebook

Digitは、3Dプリントと射出成形の両方に対応した筐体を持つプラスチック製のボディを備えており、3つのRGB LEDがエラストマーゲルの表面を照らす。このゲルは、堅牢性と感度のバランスをとるために、シリコンとアクリルの製造プロセスを用いてカスタム設計されている。カメラとゲルは、エラストマーなどの部品を交換できるように「プレスフィット」方式で本体に取り付けられており、レンズの焦点距離を変えられるようにハウジングを交換することができる。

Above: Facebook’s Digit sensor mounted to a robotic hand.
Image Credit: Facebook

実験では、ガラス製のビー玉を親指と中指で挟んで操作するロボットハンドを実現した。この実験では、ロボットハンドが親指と中指の間にビー玉を挟んで操作したところ、50回の実験のうち約25%の確率でビー玉を落としていた。しかしこれはDigitの設計上の問題ではなく、データの不正確さやノイズのせいだと研究者たちは考えている。

Digitのプラスチック筐体、ゲル、電子機器の製造ファイルは昨年6月にGitHubでオープンソース化されており、プログラミング用のファームウェアバイナリも公開されている。また、同社は本日、MITのスピンアウト企業であるGelSightと提携し、Digitを商業的に製造することも発表している。(次につづく)

【via VentureBeat】 @VentureBeat

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