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Ripple急騰の裏側とは? 仮想通貨の値上がりに投資家大混乱

ブロックチェーン企業の Ripple のほぼ5年間価値に変動のなかった仮想通貨 XRP が、たった3週間で15倍も価値が上がったというニュースが飛び込んできた。Forbes によると、今週(1月第1週) Ripple の共同設立者である Chris Larsen 氏の純資産が Mark Zuckerberg 氏をもわずかに上回ったという。 Ripple が有名となったのは、創立44年のグローバルな…

Image credit: artmagination / 123RF

ブロックチェーン企業の Ripple のほぼ5年間価値に変動のなかった仮想通貨 XRP が、たった3週間で15倍も価値が上がったというニュースが飛び込んできた。Forbes によると、今週(1月第1週) Ripple の共同設立者である Chris Larsen 氏の純資産が Mark Zuckerberg 氏をもわずかに上回ったという。

Ripple が有名となったのは、創立44年のグローバルな金融メッセージサービスで200ヶ国の1万1,000以上の機関が利用する Swift では3日間かかるところの国際決済が、たった10~15秒で行えるという取引の処理能力だ。しかしこれが昨今の仮想通貨騒ぎの原因となった Ripple プラットフォームの価値への信頼につながっているわけではないようだ。突如として起こった XRP への関心の原因はどうやら世界中の一般人の間にある恐れ、仮想通貨への投資で得られるはずだった利益を失うのではないかという恐れのようだ。

こう考える理由として XRP の取引が急増した時期がある。2013年に流通が始まった XRP は、流通開始以来1セントの価値を超えたことはなかった。しかし夏ごろ、ビットコインが急騰を始めたのとほぼ同時期になると突如価値が上がり始め、35セントにまで上ったのち20、10セント台へと戻った。日本と韓国の銀行でも仮想通貨の試験運用が始まったのちの12月13日あたりになるとまたも急騰が起こった。2日後の12月15日には金融サービス大手の Bloomberg が XRP をターミナルサービスで通貨の価格データを提供する4つの仮想通貨(他には大手のビットコイン、Ether、Litecoin が選ばれている)と認めたことで、XRP に新たな信頼性が与えられたと Fortune が発表。XRP はそれから1,500%の価値の高騰を記録し、今週(1月第1週)に入って3.84米ドルにまで上った。

興味深いことに、Bloomberg が XRP を選んだのは市場の慎重な予測ではなく偶然による結果だったようである。Ripple のバイスプレジデント Asheesh Birla 氏が VentureBeat に対して語ったところによると、Bloomberg は新たな情報源としてルクセンブルクに拠点を置き、歴史の長く、グローバル規模の信頼のある仮想通貨取引所の Bitstamp を加えた。そして Bitstamp は2013、2014年の Ripple による取引参入のための活発な宣伝活動の結果として数少ない仮想通貨のリストに XRP を選んだのだ。

Ripple への投資者も通貨のことがわかっていない可能性も

もし投資家が Ripple からもビットコインと同じような利益が戻ってくると期待しているのだとしたら、もしかしたらその通貨の性質を誤解していると言えるかもしれない。XRP にはビットコイン程の希少性がないのである。ビットコインの発行数が2,100万であるのに対し、Ripple は1,000億もの通貨を発行している。

そして Ripple は世界中の数々の銀行が認めているのだから良い投資先に思えるかもしれないが、この時点で実際に XRP を使用している銀行はその中のたった1行だと Birla 氏は VentureBeat に語る。Ripple は取引先に通貨を利用してもらおうと必死だが、果たしてどれだけ使用してもらえるかは不明だ。親会社の Digital Currency Group が Rippleの持ち株を所有する CoinDesk は昨日(1月4日)の記事で、Ripple の XRP を利用した取引サービスの RippleNet ではなく、「Ripple の取引先の銀行が同社の有名なメッセージプラットフォームである xCurrent を使用している」ことに関心を持っていると明らかにした。

一方、Ripple のライバルとなる銀行間ネットワークの Swift は、同じくブロックチェーンを利用したサービスの開始へと真剣に取り組んでおり、これが実現すれば RippleNet の業績に大打撃を与えることになる。

XRP の魅力は入手の容易さと安さにあり

RippleNet の流動性を売りにしようとする Ripple は、XRP を世界中の取引所で入手可能とした。同社のサイトによれば XRP は世界中の約50の取引所で取引ができるという。そしてこれもまた XRP の驚くべき急騰の要因の一つである。現在何百もの仮想通貨が存在しているが、実際に公開の取引所で取引できるものはごくわずかである。さらにその中から信頼のおける取引所を選ぼうとすると、並の投資家にとっての選択肢はさらに狭まってしまう。

XRP はビットコインや Ethereum が急騰した夏の時期において数ヶ所ある主要な取引所で最も安く手に入る通貨となった。新参の仮想通貨投資家が取引所になだれ込んだ12月中頃(あまりの新規参入者の多さに、Bittrex などの一部の取引所は新規参入を禁止したほどである)、ビットコインは1万7,000米ドル、Ethereum は500米ドル、Litecoin は240米ドルの値がついていた一方で XRP はバーゲン価格の25セントであった。

この関心の波は「仮想通貨によってそれぞれ供給元やマーケットキャップへの影響が違うにもかかわらず、ミスリードされてしまった」と仮想通貨管理会社 NextBlock の CIO、Charlie Morris 氏は VentureBeat に語った。

しかし比較的新規参入の投資家が自分の置かれている状況を理解しているかどうかはわかりません。(Morris 氏)

3米ドル台に到達した現在でもなお XRP は主要な取引所で最も安く手に入る通貨である。唯一「もっと安い」通貨を提供しているのが香港の Binance(幣安)で、その通貨である TRON は、実際のところ、取引数では XRP が8億500万米ドルなのに対し39億4,000万ドルと大幅に XRP を上回っている。

韓国の巨人

XRP の取引が最も盛んなのは韓国の取引所 Bithumb で、ここ30日間の XRP 取引の26%をこの取引所が占めている。興味深いことに、Bithumb の投資家は夏の時期に最も XRP に投資していたが、現在その取引量は減っているのだ。韓国の Coinone、香港の Bitfinex や Binance など他の取引所は12月になってから XRP への投資に乗り出し、急騰を後押ししているようだ。

この「バーゲン中」の通貨にいったい誰がひきつけられているのか?

韓国内ではまさしく値打ちのある通貨に投資しているすべての主婦、大学生、おばあちゃんの世代です。

韓国でアクセラレータ SparkLabs を運営する Bernard Moon 氏は VentureBeat にそう語った。

ある匿名の韓国の仮想通貨専門家は次のように語っている。

Ripple はマーケティングに多大な費用を費やし韓国の仮想通貨取引所に直に売り込みを行っていました。現在、ビットコインは値が高すぎると見切り、単位全体を所有できるような仮想通貨を探している投資家が韓国には大勢います。そして複数の通貨を買い、ある通貨が値上がりすれば投資を増やし、値下がりを始めたら売るという傾向があります。ですので、ある通貨の価値が上がれば、韓国からの投資は増え、価値が下がれば投資は減ります。投資を継続的に受けている通貨は Ethereum のみで、Ripple に投資をしている韓国の平均的な投資家は Ripple の詳細を知りません。

そして韓国の大手仮想通貨投資ファンド Hashed の共同設立者 Simon Kim 氏はこのように語る。

Ripple は韓国において長い間人気の通貨でした。初心者の投資家の多くは単に安いからといって Ripple の価格が今後さらに伸びると信じ込んでいました。12月には、Ripple は数多くの金融会社との提携を結んだというニュースを韓国コミュニティにも宣伝しました。それに、集中化された Ripple の通貨が政府の規制からも安全だという見方もありました。最後に、Ripple は長い間値上がりしていなかったがゆえに「もう上がる時期だ」と思わせてきました。この状況から、Rippleは高い注目を得ることとなりました。ご存知の通り、韓国にはとても結束力の高い国民性があり、一度火がついてしまうと止めることはできないのです。

Ripple「値上がりには正当性がある」

Ripple の Birla 氏は XRP がアジア市場で最も盛んに取引されているのには納得だという。

韓国はデジタル投資の分野全般においてとても熱狂しています。最初に物事を動かすのは決まってアジアの投資家です。(Birla 氏)

Birla 氏は XRP を取り巻く様々な憶測については心配していないと付け加えた。

誰も関心を持ってくれなかった4年前に比べたらましですよ。ビットコインにせよ、Ethereum にせよ、XRP にせよ、投資するということはその通貨に使い道があることに賭けているのです。Ripple には国際支払い以外にもいくつもの使い道があります。(Birla 氏)

そのいくつもの使い道とは、Birla 氏によると、Ripple のブロックチェーン上に構築される多数のサードパーティー製アプリケーションにあるという。VentureBeat はプラットフォームに導入されるというアプリケーションの具体例をうかがったが、Ripple からの返答はいまだ得られていない

更新情報:Ripple から一つ具体例を得ることができた。ウォレットアプリ「GateHub」だ。

Ripple はサンフランシスコに拠点を置く。Pitchbook によれば、同社が最も最近公式に投資を受けたのは2017年9月のシリーズ B ラウンドで SBI Holdings らから5,500万米ドルを調達。投資前の評価額は3億5,500万米ドル。同ラウンドには Standard Chartered、Accenture ventures、Hard Yaka SCB Digital Ventures、NKM Capital、Santander Innoventures、CME Ventures、Abstract Ventures、Kaplan Group Investments、Seagate Venture Fund、ThirdStream Partners、Venture51も参加した。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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誰かにジッと見られていることを教えてくれる奇妙な肩装着型ウェアラブル「Ripple」

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<ピックアップ> Crazy shoulder wearable wants to help you attract a mate 上半身に装着する「Ripple」は、誰かにジッと見られていることを教えてくれるウェアラブルだ。これには、肩に付けられた2つのカメラを使う。 ジッと見られていることは、肩掛けホルスターが振動することで伝わる仕組み。ジッと見ている相手がいる方角をただしく向くことができると…

via. Ripple

<ピックアップ> Crazy shoulder wearable wants to help you attract a mate

上半身に装着する「Ripple」は、誰かにジッと見られていることを教えてくれるウェアラブルだ。これには、肩に付けられた2つのカメラを使う。

ジッと見られていることは、肩掛けホルスターが振動することで伝わる仕組み。ジッと見ている相手がいる方角をただしく向くことができると、Rippleは胸をタップすることで教えてくれる。

若干不気味な形で“お相手”を見つけてくれるRippleは、自然界の求婚や求愛に基づいているとデザイナーは話す。

仕事などに追われて周囲にゆっくり注意を払う暇すらない現代人に、第三の目をあたえてくれるかもしれない。とはいえ、こんな奇怪なものを肩に乗せていれば、誰でもこちらを凝視してしまいそうで本末転倒なのでは…。

via. The Next Web

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Jack Dorsey氏、ブロックチェーン、金融サービスの未来〜ラスベガスで開催されたフィンテックイベント「Money 20/20」から

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金融サービス産業において、巨大だが遠い存在でどこか神秘的な存在としてブロックチェーンは不気味に出現した。一部の先進的な銀行マンはそれを真摯に受け止め、自分たちの利益にするにはどうすればいいか解き明かそうとしている。誰もがブロックチェーンについて聞いたことはあるがほとんど何も知らず、静観を決め込んでいる。 ブロックチェーンでは10年前に PayPal で犯したミスと同じ轍を踏みたくない、ということに…

Bitcoin: Crypto Imperator via Flickr by Microsiervos
Bitcoin: Crypto Imperator via Flickr by Microsiervos

金融サービス産業において、巨大だが遠い存在でどこか神秘的な存在としてブロックチェーンは不気味に出現した。一部の先進的な銀行マンはそれを真摯に受け止め、自分たちの利益にするにはどうすればいいか解き明かそうとしている。誰もがブロックチェーンについて聞いたことはあるがほとんど何も知らず、静観を決め込んでいる。

ブロックチェーンでは10年前に PayPal で犯したミスと同じ轍を踏みたくない、ということにはおそらく誰もが同意するだろう。PayPal のことは当初完全に無視され、消えるのをただ待っていたのが、成長して脅威になって驚かされたからだ。

ブロックチェーンは一企業というわけではなくテクノロジーの分野全体を指し、何千もの人々、そして何百の企業から受け入れられる活動である。その脅威は、新手の銀行となったに過ぎない PayPal がもたらしたものよりはるかに大きい。金融サービス産業に従事している者でもどう対処すればいいか理解している人はほとんどいない。

これが、今週(10月第5週)ラスベガスで開かれた金融テクノロジーに焦点を当てたカンファレンス Money 20/20で私が持ち帰ったメッセージである。私がそのカンファレンスに参加したのはこれが初めてであったが、Money 20/20は設立されて4年で巨大に成長した。1万1,000人の参加者と400以上の出展者が Venetian および併設される Sands コンベンションセンターを埋め尽くした。チケットは一枚およそ3,000米ドルで、スポンサーがつかなくても膨大な利益が得られる。設立者が1年前にこのイベントを i2i に売ることができ、その価格が1億米ドルと報じられているのも驚きではない。

イベントの大半はブロックチェーンには焦点を当てていない。ほとんどの銀行員にとっては、EMT(チップカード)やモバイルアプリへの移行の方がずっと想像しやすいだろう。しかし、ブロックチェーン企業を呼んだセッションやブロックチェーンの技術、将来についての議論もたくさんあった。

Bitcoin の背景にある技術的コンセプトであるブロックチェーンは夢物語ではない。いろんな意味で、たくさんのパソコンに分散している取引データベースにデータを保存するという手法は、クラウド技術の手法によく似ている。Money 20/20の基調講演でそう語るのは Square の CEO、Jack Dorsey 氏だ。どちらも「分散型であり、冗長性があり、安全であり、遍在している」という。

誰もが「ブロックチェーン」について話しているが、Bitcoin のブロックチェーンについて言っているのでない限り、単一のブロックチェーンのことではない。暗号通貨やスマートコントラクトのプラットフォームもそれぞれ独自のブロックチェーンを利用している。端的に言うと、「ブロックチェーン」とは公に分散している取引台帳である。公になっているため取引を拒否することはできず、同じ値は二度と使用することができない。公開台帳が記録し、誰でもそれをチェックできる。分散しているため(コピーはインターネットのあらゆる場所で保持されている)、どこか一点だけ操作することはできず、障害も起こらない。

そして、理論上では非常に堅牢である。Money 20/20でも複数の登壇者が指摘していたように、Bitcoin のブロックチェーンは設立後のおよそ8年間で一度も不正アクセスを受けたことがないということを述べておく。Bitcoin を利用したアプリケーションや取引がセキュリティ侵害を受けたことはあるが(その際数百万米ドルの損害があった)、基盤となるブロックチェーンは途絶えることなく無傷でオンラインだった。素人には専門的すぎると思えるかもしれないが、重要なことだ。

Above: Bitcoin prices in U.S. dollars over the past year.
過去1年間のBitcoinの価格推移(米ドル)

実際のところ、Bitcoin 自体はある程度成熟してきた。Bitcoin はかなり変動の激しい通貨であり、リスクは承知の上で保有しなければならない。しかし、両替の手段としてはかなりうまくいっているようだ。世界中の Bitcoin による支払いのかなりの部分を担っている BitPay の Sonny Singh 氏は、別の通貨が出てきているにも関わらず、Bitcoin はブロックチェーン取引市場のおよそ99%を占めている、と私に教えてくれた。そして、BitPay の顧客の多くは Bitcoin に全く触れてすらおらず、Visa のように BitPay を支払手段として利用しているだけだという。Bitcoin で支払いを行うと、BitPay は取引を精算し、お金を顧客のアカウントに振り込むのである。Singh 氏は、BitPay の商業取引量は去年の3倍にまでなり、15秒毎に1回の取引がある、と述べた。

では将来何が待ち受けているのだろうか?

私たちが目にするだろうことは、Bitcoin およびブロックチェーンに基づいた証券取引である。規制により正確には「取引所」とは呼べないかもしれないが、T0のように株式の売買ができる場所を指すのに他にどんな単語を使えばいいのかわからない。初期から Bitcoin を採用し T0の生みの親でもある Overstock.com は今週(10月第5週)、T0のプラットフォームで一部の株式の売買を開始することを発表した(Overstock の計画については昨日=10月24日の記事を参照のこと)。長所として、これまでの株式市場では決済まで通常3日かかっていたが、それが10分で完了することが挙げられる。

これは従来の株式市場にとって脅威となるだろうか?その通りだ。

私たちは従来の株式市場を焼き払ってそこに再建しているんです。(Overstock.com の Judd Bagley 氏)

大手銀行はブロックチェーンを国際送金用として考えている。Visa は Money 20/20で Visa B2B Connect と呼ばれる新サービスを発表した。このサービスではブロックチェーン技術を持つ Chain のシステムを利用している。その詳細な機能はよくわかっていないが、法人顧客が国境を超えて B2B 取引をするためのカスタムブロックチェーンネットワークで、Visa が運営するものだ。

Visa だけではない。主だった金融機関の少なくとも3分の2は、今後3年以内にブロックチェーンを利用したサービスを展開できるよう取り組んでいる。

当然コスト削減できる可能性が考えられる。多くの国際銀行では総取引額の数%が振替手数料として課される。Western Union を利用したら8%支払わなければならない。PayPal の場合は3.5%だ。ブロックチェーンを利用した取引システムだとはるかに安くなるはずだ(例えば BitPay は世界中のどこで利用してもたった1%しか課さない)。

企業は異なるブロックチェーンをつなぎ合わせようとしている。すでに書いた通り、Bitcoin は唯一のブロックチェーンというわけではない。Ethereum は有力な代替企業として急成長しているが、通貨取引としてだけでなくスマートコントラクトを可能にするツールとしても有力視されている。また、暗号通貨も他にたくさん出てきている。別々のブロックチェーン間での取引を促進するにはどうすればいいだろうか?現時点では、何らかの媒介通貨や貯蓄を使った手形交換所である取引所を利用する必要がある。ブロックチェーン同士で直接やり取りできるようにする何らかのプロトコルを作った方が良いだろう。こういったプロトコルを Ripple が開発した。今やオープンソースとなった Interledger Protocol である。しかし他にも開発中のものが確実にある。この相互接続問題をきちんど解決すれば、TCP/IP の発明、すなわちインターネットの誕生に匹敵する成果になるだろう。

Above: Ethereum founder Vitalik Buterin on stage with author Don Tapscott at Money 20/20.
Money 20/20に登壇したEthereum設立者のVitalik Buterin氏(左)と作家のDon Tapscott氏

Ethereum はまだ進行中のプロジェクトだが、設立者である Vitalik Buterin 氏は明らかに天才である。また非常に若く、野暮ったい男でもある。彼は野心があるにも関わらず、Ethereum の成功に驕るようなところはない。作家の Don Tapscott 氏とステージ上で行った会話で Buterin 氏は、DAO と呼ばれる分散化した1億6,000万米ドルの投資資金から5,000万米ドルを奪い取ることが可能になるような弱点を覆すよう彼が Ethereum に当てたパッチについて、物議を醸してはいるものの楽観的であった。批評家はこれについて、ブロックチェーンの不変性への挑戦であり、Ethereum のシステムの信頼性を落とすとみている。しかし Buterin 氏は「不変性は絶対的なものではなく」、社会的な目的を果たす必要がある、と考えている。現在のところ、Ethereum を展開するという需要はブロックチェーンの不変性を遵守するという需要より大義である、と彼は述べた。Ethereum はゆくゆくは成熟するだろうが、「それまでは、不変の芸術品ではなく進化していくエコシステムと考えるべきだ」と彼は述べた。

ガバナンスはグレーゾーンだ。Buterin 氏は、いかなるシステムにおいても協働する人のグループによる何らかのガバナンスが必要である、という考えに同調するようだ。完璧なプロトコルをつくり、それ以降は全てを処理できるようにする、と言うのは無茶だろう。政治が必要でありまた避けられないことは彼も承知している。ブロックチェーン空間にいる他の人と同じく彼も現実世界に直面しており、そこではいずれ監視者が何が起こっているのかを理解し、制限を課すようになるだろう。

加えて、匿名性はブロックチェーン取引に必須の特性というわけではないことにも言及しておこう。実際、Silk Road を運営していた Ross Ulbricht 被告が数年前に後悔の念を示したように、ブロックチェーンでの取引の不変性は匿名性とは反対に働く。ブロックチェーンは個人の過去がわかる記録である。BitFury Group の Jamie Smith 氏がパネルで指摘したように、多方面から切り出すことができる。「不変の記録を持っているなら、独裁政権もそれに非常に興味を持つでしょう。」

いまだに世界中の監視者は一般的にブロックチェーンに対して、初期の仮想通貨(E-Gold のような)よりもはるかに熱狂的であるが、世界の金融規制がブロックチェーンの世界を制限するときがくるだろう。例えば、国境を超えた取引プラットフォームの運営者は、薬物取引やマネーロンダリングなどに利用されていないかなど、銀行と同等の保証をすることが必要になるだろう。少なくとも法の範囲内で運営したければそうしなければならない。

チャンスは大きい。「20年毎に本当にすごいものが現れるんです。これがそうです」BitFury の Smith 氏はそう述べた。今後数年で、地球上の誰もが何らかの携帯デバイスを持つようになる。そして何らかのユビキタスな、地球のどこからでもアクセスできるインターネットが可能になるだろう。これら2つを結びつけると、速い・便利・取引手数料が安い、という方向に世界が傾かない訳がない、と彼女は述べた。

Above: Bobby Lee of BTCC wears a hat that says “Make Bitcoin Great Again.” Image Credit: Dylan Tweney
BTCCのCEO、Bobby Lee氏の帽子には「偉大なBitcoinを再び」と書かれている.Image Credit: Dylan Tweney

Bitcoin 自体についてはどうなるかというと……どうなることやら。パネリストの一人、Blockstream の Eric Martindale 氏は、Bitcoin の価値は今後12ヶ月で10倍、6,000米ドル以上になると予測した(現在の Bitcoin の価格はおよそ653米ドル)。彼が冗談を言っているのか、自分の保有している Bitcoin の資産価値を上げようと大げさに言っているのか、あるいは本当にそう信じているのか、私にはわからない。そこまで相場は上がらないと思われる。実際のところ、Bitcoin 自体はもっと柔軟で拡張可能なブロックチェーンに追い越されて終わってしまうかもしれない。基幹となるテクノロジーは、詳しい人に言わせると理にかなったものであり、Bitcoin を事業計画に組み込むか否かは別として、将来的にはブロックチェーンを基にした企業がさらにたくさん出てくることに疑いの余地はないだろう。

最大の障害はユーザビリティである。Bitcoin やブロックチェーンは、消費者はもちろん大多数の銀行員が充分理解できるようになるまで前途遼遠である。しかし、現在の金融システムと結びつけられるよう多くの人が取り組んでおり、そちらの方向に進んでいくように思われる。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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世界をにぎわす2つの仮想通貨、BitcoinとRippleを比べてみる

※本稿は、中東・北アフリカの起業家向けメディア「ワンダ(ومضة)」からの転載である。転載にあたっては、原著者グライ・オズカンからの許諾を得た。 彼女の過去の寄稿はこちらから。Sd Japan has reproduced this under the approval from the story’s author Gülay Özkan. 先月のデジタル通貨 Bitcoin に対する見事なまで…

wamda_logo_ar※本稿は、中東・北アフリカの起業家向けメディア「ワンダ(ومضة)」からの転載である。転載にあたっては、原著者グライ・オズカンからの許諾を得た。 彼女の過去の寄稿はこちらから。Sd Japan has reproduced this under the approval from the story’s author Gülay Özkan.


bitcoin_large先月のデジタル通貨 Bitcoin に対する見事なまでの評価の上昇と下落は、革新的な世界金融システムとは何かについて、世界中の関心をさらった。

デジタル通貨は、いくつかのハイテク企業にも見受けられるように、既に多くのEコマースサイトで受け入れられ、ウェブ標準になる最初の関門は通過したように思われる。しかし、Bitcoin の評価の乱高下を見る限り、Bitcoin が今後も生き残れるかどうかは懐疑的だ。Bitcoin の価値は、2013年の初め1単位あたり13ドルだったところから、先月には266ドルにまで上昇した。急上昇した同日に100ドルまで急落、その数時間後には160ドルになった。

いかなる政府とも関係を持たず、規制も受けず、アメリカの反マネーロンダリング法の遵守も求められられ無い通貨には、懸念材料も多い。

しかし、ベンチャーキャピタリストは、Bitcoin に対して真剣に向き合っている。2013年の4月11日にエンジェル・ラウンドを完了した、アメリカのオンライン通貨プラットフォーム Ripple(XRP)は、Andreessen Horowitz、FF Angel TV、Lightspeed Venture Partners、Vast Ventures、Bitcoin Opportunity Fund など、主要な金融プレーヤーを魅了した、OpenCoin は Ripple プロトコルを開発している企業で、資金調達した資金は同プロトコルを広めるために使われることになる。

Bitcoin、Ripple の機能比較

Ripple にとっては古くからのライバルである Bitcoin は2009年に開発された。正体不明の中本哲史氏の名のもと、個人やグループが考案した Bitcoin は、大変複雑なコンピュータ・プログラムの上に成り立っている。言うまでもなく、商品やサービスへの支払に、利用を認めた人々の間同士、オンラインで交換ができる仮想通貨だ。現在のところ、Bitcoin が利用可能なサイトは概ね1,000サイトほどである。

Bitcoin はゆるやかにデジタルマイニング、すなわち、今ある Bitcoin の通貨供給に新しい Bitcoin が追加される形で増えて行き、複雑なアルゴリズムによって決定される。現実社会では、政府は経済の安定を図るため、市場で取引される商品の量に基づいてレートを決定し、新しい通貨を発行する。Bitcoin 経済では、自分のコンピュータでマイニング・プログラムを起動することを了承した個人ユーザに、新しい Bitcoin が進呈される。(マイニングについてはこのビデオを見て、通貨供給量が制御されるしくみについて考えてほしい。)


 

決済取引は、中央集約されていないピア・ツー・ピアのネットワークで管理されている。これは Bitcoin を制御する銀行や監督官庁が存在しないことを意味し、ここで生じる大きな問題は、政府が課税をできないことだ。Open Transactions と呼ばれる「利用のしやすい金融暗号化、デジタルキャッシュ、決済ライブラリ」などからなる取引プラットフォームは、Bitcoin を完全に追跡できない決済手段にしてしまい、これまでの法律システムには挑戦的と見られてしまうのだ。

これまでに、約1,005万個の Bitcoin が流通しており、それらは1億もの小さな単位に分けられて、マイニング・プロセスにより決定されている。市場には最大で 2,100万個の Bitcoin が存在することができる。Bitcoin を買うには、東京にある Bitcoin の最大交換業者 Mt. Gox のような企業に、リアルな通貨を送金し。携帯電話やコンピュータ上に、Bitcoin を貯めるためのウォレットを作成する。(この点については、以下に PandoDaily のビデオで概要を紹介されている。)


 

一方、Ripple は、E-LOAN や Prosper の創業者である金融技術のパイオニア Chris Larsen(関連記事)と、ベテラン開発者の Jed  McCalebが率いるシリコンバレー・スタートアップ OpenCoin が開発した。Jed McCaleb は、もともと東京の Bitcoin 交換業者 Mt.Gox を作った人物だ。

Ripple が Bitcoin と大きく違う点は、単一のオンライン通貨ではないということだ。1Rippleの料金を支払えば、ドル、ユーロ、円、さらに Bitcoin でさえ、金銭を送受できる。今年の4月現在、1Rippleの価値は1セントの千分の一だ。1,000億Ripple が流通した後は、新たな Ripple は作られない。つまり、Ripple は金銭取引サービスのためのトークンなのだ。

Ripple のように単一通貨からは距離を置いた方法をとれば、Mt. Gox のような中央集約的な取引市場ができてしまうリスクを回避できるかもしれない。しかし、これは同時にハッカーにアタックされやすくなることを意味する。Ripple が Bitcoin に勝るもう一つの点は、取引に10秒しかかからないことだ。Bitcoin は複雑なコンピュータ処理を介するため、これよりかなり長い時間を必要とする。今のところ、Ripple は Bitcoin に対してよい市場を提供しているが、Ripple の通貨の都合次第で、Bitcoin を潰しにかかるかもしれない。

(仮想通貨に関する詳細は、以下のビデオクリップや、New York Magazine に掲載された、Kevin Roose記事を参照されたい。)

ソフトウェア・ベースの通貨に対する信頼

新しい通貨が、世界的な金融システムに革命をもたらす可能性を提起する一方、解決されるべき難しい問題も存在する。例えば、ある通貨がソフトウェアやコンピュータ上にしか存在しない場合、技術的な障害が生じたときにどうなるのだろう。3月に起こったシステム障害の直後、Bitcoin のレートは1時間で23%下落した。すべての Bitcoin を集めると、現在の価値は15.5億ドルを超えているが、これは簡単に崩れ去る可能性をはらんでいる。

信用、制御、市場の流動性は、仮想通貨における重要な問題だ。Bloomberg の Paul Ford などは、仮想通貨のことを冗談ではないかと言っている。高名なエコノミスト Paul Krugman は、Bitcoin のことを、経済をよくするどころか、少数の金持ちを生み出し、混乱を引き起こすしくみだと批判している。彼は Bitcoin の価値が、取引滞留の結果下がったとも指摘している。

代替通貨の話は、Bitcoin と Ripple が最初のケースではない。これまでにも、Brixton Pound が2009年にロンドンでローンチ、Bavaria の Chiemgauer が2003年に、また、Credito 社はイタリアで Damanhur という名のコミューンを作った。

次のトレンドは?

P2P レンディング、Bitcoin、Ripple などは、新経済の堅固なソリューションにはならないが、エコノミスト達は特に及び腰だ。しかし、彼らの動きを見る限り、ウォール街は当初、新しい投機対象を生み出そうと、このような新しい金融ソリューションを支持していた。

それが電子通貨なのか、ハイテク企業なのかはともかく、少なくとも新しい仮想通貨の誕生により、テック起業家は、多くの昔ながらの経済プレーヤーの心を開けさせる方法を見出した。イノベーションの初めのうちから、安定したソリューションを創り出せる者など居ない。しかし、一つだけ確実なことがある。セキュリティ・リサーチャーの Dan Kaminsky が言った言葉だ。政府は Bitcoin を葬り去ることはできない。できるのは、ただ、見ていることだけ

仮想通貨市場は進化を続ける中、Eコマースが強い、もしくは、成長傾向にある市場では(アラブ社会やトルコがそうであるように)、起業家は新しい金融システムに注目する必要があるだろう。未来の通貨を理解し、これまでのしくみに変わる金融システムをサポートするために。

アメリカに比べると、中東では、仮想通貨が既存勢力から強い抵抗に合うことは免れないだろう。しかし、すばらしいのは、Bitcoin が大企業ではなく、ウェブ・コミュニティに認知される必要がある点だろう。新しい革命がもたらされるのなら、それが Bitcoin であるかどうかは問題ではない。

【原文】

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