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現実世界をデジタル化する地理空間技術スタートアップ英SenSat、シリーズAラウンドで1,000万米ドルを調達——Tencent(騰訊)がリード

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インフラ事業向けに実在する場所をデジタル化する地理空間技術のスタートアップ SenSat は、中国のテック大手 Tencent(騰訊)がリードするシリーズ A ラウンドで、1,000万米ドルの資金を調達したことがわかった。同ラウンドは、ロシアの投資会社 Sistema Venture Capital も参加した。 2015年にロンドンで設立後、SenSat は建設、鉱業、エネルギーなどの業界で活躍…

インフラ事業向けに実在する場所をデジタル化する地理空間技術のスタートアップ SenSat は、中国のテック大手 Tencent(騰訊)がリードするシリーズ A ラウンドで、1,000万米ドルの資金を調達したことがわかった。同ラウンドは、ロシアの投資会社 Sistema Venture Capital も参加した。

2015年にロンドンで設立後、SenSat は建設、鉱業、エネルギーなどの業界で活躍する企業がインフラ事業に関わる場所の「デジタルツイン」を作成できるよう準備を進めている。実在世界を機械認識できるバージョンに変換するため、人工知能(AI)システムの学習に適していると、同社は述べている。

このデジタルツインは、ウェアラブルや地上の資産に接続しているセンサーから作られたリアルタイムデータ、そして交通データや衛星、LIDAR、ドローンからキャプチャされた3D画像を含む、様々なデータタイプを駆使し構築される。また、イギリス民間航空局(CAA)のライセンスを取得しており、パイロットから最大12km離れた場所、つまりパイロットの視程範囲を超えて固定翼のドローンを操縦する許可を得ている。それも手伝って、同社は英国最大のドローンデータプロバイダの1つとなった。

SenSat のプラットフォーム「Mapp」のスクリーンショット

SenSat の共同設立者兼 CEO である James Dean 氏は、以下のように語っている。

SenSat には、シンプルかつ大きな目標があります。それは、現実世界をAIが理解できるバージョンに変換可能なインテリジェントなエコシステムであるサードプラットフォームを構築することです。

この目標を実現するのは、Mapp と呼ばれるクラウドベースのプラットフォームである。Mapp は、各場所を介して接続されているすべてのデータセットを取り込み、デジタル形式で現実世界を再現するために使用される。これにより、企業はいつでも特定の場所(建設現場など)の仮想バージョンや、そこで起きているあらゆる事象にアクセスすることができる。

これらのデータを正しい方法で組み合わせると、個々よりも大きな価値を生み出します。この情報は、現実世界の静的描写を動的なものに変え、形状はもちろんのこと、現実の世界で起こっている周囲の状況も正確に描写します。(Dean 氏)

これにより、事業を手掛けるプロジェクトマネージャーは進行状況をトラッキングでき、地上で起こっていることを把握することで、現場で使われている設備の予知保全の解析を行える可能性があるという。

SenSat がまず最初にインフラ企業へ重点を置いたということは、建設などの産業に悪影響を及ぼす非効率性払拭に取り組む、テック企業の動きに乗ったと言える。

例えば、サンフランシスコに拠点を置くOpenSpace は最近、ナビゲート可能な建設現場の360度写真を自動的に作成するAIプラットフォームの開発に向け、1,400万米ドルを調達した。また、Cape Analytics は保険会社がより適正に不動産を評価できるようになる画像解析と地理空間画像を組み合わせたプラットフォームを開発すべく、多額の資金を調達した

当該記事の執筆時点で、SenSat は英国の17都市を地図化している。これは、空間ビッグデータのインデックス作成アルゴリズム、変動調査、3D コンピュータービジョンに関する研究開発に役立つものだ。Dean 氏はこう続けた。

これらをすべて活用することで、最終的にインフラのユースケースへとたどり着きます。SenSat の目標の1つは「現実世界の状況を機械により深く理解させる」ことであり、何が起こっているかを説明する様々なデータがあるため、都市は素晴らしいテストベッドなのです。(Dean氏)

ビッグデータ

SenSatは「異なる膨大なデータをかみ合わせ、誰もが認める有意義な洞察力を生み出す」というテクノロジー部門における別の成長トレンドの一部を担っている。その他の企業として Alphabet の Sidewalk Labs は最近、Replica と呼ばれる新会社を分社化した。プランナーが匿名化された位置情報で「仮想人口」を作成することで、人々が都市をどのように移動するかを把握できる世界を、Replica は実現させようとしている。

Near という会社は、サードパーティの情報源からデータセットをプールし、顧客が現実世界の人々の行動属性を見極められるよう支援をしている。Streetlight Data はモバイルアプリデータを集約して都市の交通量を測定できるよう支援する。そして、世界の出来事からデータを取得し、Uber や航空会社などの企業が需要の急増を予測するのに役立つ PredictHQ がいる。

SenSat は、ヒースロー空港や不動産開発会社 Berkeley Homes などインフラに焦点を当てた英国の複数の団体と提携し、Berkeley Homes のために1万件の新しい住宅を建設する開発プロジェクトに先立ち、現地の環境を再現したと述べた。

SenSat 創業者の2人、Harry Atkinson 氏と James Dean 氏

現在より前は約500万米ドルの資金を調達していた SenSat だが、今回調達した資金を使って、データサイエンティスト、数学者、ソフトウェア開発者および「クリエイティブに問題を解決する者」を中心に、来年中にロンドン拠点のスタッフを3倍にし90人まで増やすと、同社は述べている。また、国際的なプレゼンス向上も目指していくという。

インフラに多くの資金投入を行い、かつ既存の顧客がいるネバダ州、テキサス州、ニューメキシコ州、アリゾナ州に焦点を当て、今後数ヶ月以内に米国でのローンチを計画しているという。実際、SenSatはすでに米国企業の顧客9社、今後数年間で同社を他の市場に開放する数社の多国籍企業がいるとしている。

さらに最新の投資ラウンドでは、Tencent がリードしたことも特筆すべきことだ。昨年、企業再編の一環として Tencent は、「クラウドとスマート産業グループ」と呼ばれるクラウドコンピューティングと AI にまたがる産業インターネット戦略を担当する新しいビジネス部門を立ち上げた。主に小売、医療、教育、輸送などの業界のスマート化を支援することを目的とする。おそらくこれは、将来的に SenSat の持つテクノロジーを活用することを示唆しているのではないだろうか。

Tencent のヨーロッパ代表であり、現在 SenSat の役員でもある Dr. Ling Ge 氏は、以下のように語った。

SenSat は、まだデジタル革命に関与していないオフライン業界に大規模なデジタルオートメーションを導入できる立場にあると考えています。そして、SenSat の手掛けたプラットフォームがスマート産業に幅広く適用させることを楽しみにしています。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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