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小売店+ライブコマースーーwithコロナの生き残り戦略は“ほぼ24時間営業”の越境EC店舗

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※本記事は.HUMANS社が運営するメディア「THE .HUMANS MAGAZINE」からの転載 小売業界が厳しい状況に追い込まれています。 Retail Driveによると、閉店した店舗舗の多くが再オープンしない動きを活発化させており、今年だけで1万5,000店もの米国小売店が閉店する可能性があるとの予測を公表しています。それ以外にもUSA TODAYは2025年までに米国で10万店もの店舗が…

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Photo by Chris Panas on Pexels.com

※本記事は.HUMANS社が運営するメディア「THE .HUMANS MAGAZINE」からの転載

小売業界が厳しい状況に追い込まれています。

Retail Driveによると、閉店した店舗舗の多くが再オープンしない動きを活発化させており、今年だけで1万5,000店もの米国小売店が閉店する可能性があるとの予測を公表しています。それ以外にもUSA TODAYは2025年までに米国で10万店もの店舗が閉鎖される可能性を伝えてますし、Reutersが伝えるところではLord & Taylorは、在庫を清算するためだけに38店舗の百貨店を再開することを計画しているそうです。

厳しい経営状況の中、実店舗を持つ大手ブランドはどのように考えているのでしょうか。The Seattle Timesによれば、Amazonにブランドが取り込まれているという動きがあるようです。

同記事では、オンライン小売業者向けソフトウェア「Feedvisor」が実施した調査を紹介。新型コロナ大流行前は約45%のブランドがAmazonで商品を全く販売しておらず、3分の1以上のブランドは、顧客にリーチする上でAmazonを必要としていないと答えています。多くのブランドや卸売業者は、Amazonが自社のマージンを圧迫し、貴重な顧客データを収集し、最も人気のある商品をコピーするのではないかと懸念していたためAmazonの手の届かないところに身を置いていました。

ところが、パンデミックでこれらの状況は一変します。

Amazonの力は、以前まで売上の大半を実店舗に頼っていた大手ブランドにまで拡大し、数少ない実店舗に代わる販売店の一つとして浮上することになったのです。パンデミックの影響でAmazonは急速に成長するという、ユニークな立場に置かれています。

店舗からライブ配信する越境EC

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Photo by Artem Beliaikin on Pexels.com

渋々Amazonへの参入を果たしている小売ブランド。これを機に、実店舗および自社ECの運用改善を行い、オンライン売上強化を図る動きが出てくるかもしれません。ただし、自社ECを前面に押し出したところで、Amazonへの勝算はほとんどないのが現実です。

それではAmazonが未だに進出しきれていない業態はどこでしょうか。

GAFAにだって弱点はあります。答えの1つがライブコマースです。あと1〜2ヶ月生き残れるのかわからない小売店舗が多数登場してきており、新たな販売チャネルニーズが高まりつつある中、ライブ配信プラットフォームの活用は期待される一手と考えます。

具体的には閉店中の店舗からライブ配信を行い、商品紹介・販売をする事業モデルが挙げられます。自粛要請が解除されたとしても向こう1〜2年は客の入りが減るリスクヘッジを考えつつ、全く使われない不動産資産および在庫を活用する考え方です。

事例として米国拠点のライブストリーミング越境ECサービスの「ShopShops」を挙げます。同社はニューヨークの店舗から中国市場向けに洋服を売るライブ配信コマースサービスを展開していました。プラットフォームはTaobao(淘寶網)です。テレビショッピング感覚でナビゲーター/キュレーターが提携店舗から商品を紹介し、店舗内の商品をお客が自国から購入していく越境ECの仕組みになっています。

平均2万弱のユーザーがリアルタイムに動画を視聴し、キュレーターが100点ほどの洋服・アクセサリーをリアルタイムに販売。北京のShopShopsチームがTaobaoのECサイトで購入を促し、米国のフォワーダーから輸出されます。LA・NYC・SF・MIAMI各都市で、毎日1回は販売イベントを開催。1店舗のイベント売り上げ平均は6,000ドルであったそうです。

ShopShopsは今はクローズしてしまっていますが、原因はタイミングの問題だったと今では感じます。withコロナの現代ではその提供価値が再認識されるのではないでしょうか。

“ほぼ24時間営業”の店舗業態

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Photo by Artem Beliaikin on Pexels.com

また今後は、店舗の価値を最大限活用する機運が高まってくるはずです。そこでShopShopsのように越境ECを事業軸に、時差を利用して店舗からほぼ24時間運用の形でライブ配信を行い、日本にいながらにして世界中に商品を販売する「店舗の販路拡張」の考えに注目が集まると感じています。時間帯によって配信先国を変える「24時間の」オペレーションです。

いわば各国ライブ配信プラットフォームにコンテンツ展開する「越境EC + ライブ配信時代の分散型メディア」のモデルで、人件費をなるべく削った形で実質24時間営業できる、無人店舗化にも繋がる事業概念です。

Airbnbが住宅の、Uberが自動車に眠る遊休資産をフル活用して成長したように、コロナで顕在化した閉店店舗および在庫資産を急成長を遂げつつあるEC市場に流す、時代に沿った越境ECのモデルに商機を感じています。

事実、閉店を余儀なくされた小売事業者が中国では、ライブ配信サービスを通じて消費者に直接商品を販売するECチャンネル化を指す「リテール・ストリーミング」の分野が成長しているそうです。

iiMedia Researchのレポートによると、中国でのライブストリームECは2019年に年間610億ドル相当の取引を達成しています。 さらに最近では、コロナウイルスのロックダウン中に人々が自宅にいるため、チャネルはさらに劇的な後押しを受けています。同じレポートでは、2020年にはリテールストリーミングの取引額が合計で1290億ドルに達すると予測。2月だけで、中国最大の小売ストリーミングプラットフォームのTaobaoは、ベンダー数719%の増加を見ているとのことです。

実店舗に人が集まらないのであれば、人が集まる場所に積極的に展開する必要があります。さらに、コスト垂れ流しの状態になっている新たな店舗運用を考える時期に、既存事業者が手軽に導入できる事業モデルを考える必要が出てきました。今回紹介した越境EC向け店舗サービスは、日本の店舗を1日でグローバル展開ブランドに変えるアイデアになるかもしれません。

本稿は次世代コンピューティング時代のコミュニケーションデザイン・カンパニー「.HUMANS」代表取締役、福家隆氏が手掛ける「 THE .HUMANS MAGAZINE」からの要約転載。Twitterアカウントは@takashifuke。同氏はBRIDGEにて長年コラムニストとして活動し、2020年に.HUMANS社を創業した