BRIDGE

タグ Soceity5.0

MaaSで注目したい13のケーススタディー

SHARE:

2018年、日本政府によって閣議決定された「未来投資戦略2018」。 同戦略では、インターネットの発展によって生じたあらゆるデータやAIを効率的に活用し、生活の最適化を推し進めていく考え「Society5.0」が語られています。具体的には、Society5.0の定義は次のようなものになります。 「サイバー空間とフィジカル(現実)空間を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立…

Capture.JPG
Image Credit: Finnish Ministry of Transport &di Communications, 2016 

2018年、日本政府によって閣議決定された「未来投資戦略2018」。

同戦略では、インターネットの発展によって生じたあらゆるデータやAIを効率的に活用し、生活の最適化を推し進めていく考え「Society5.0」が語られています。具体的には、Society5.0の定義は次のようなものになります。

「サイバー空間とフィジカル(現実)空間を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)」- Society 5.0とは – 内閣府

Society5.0を目指していくうえで重要となるセクターは以下の5つに分解されます。

  1. フィンテック/金融分野
  2. モビリティー
  3. コーポレート・ガバナンス
  4. スマート公共サービス
  5. 次世代インフラ

最もイメージしやすいのはフィンテックの分野でしょう。QRコードによるモバイルペイメント合戦など、日本においても金融文脈から実際に手に触れる機会が年々増えてきています。

一方、“モビリティー”と聞いても、日本では具体的なイメージは湧かないのではないしょうか。

海外に目を向ければ、たとえばUberやLyftによるタクシー市場のP2Pマーケットプレイス化、LimeやJUMPなどによるドッグレス型電動スクーターが街に浸透し始め、目に見えた変化でトレンドを負いやすい環境にあると思います。

また、「自動運転」技術に関してもこれからのモビリティーを大きく先導していくのは間違いないでしょう。最大手ともいえるテスラは今年末にCybertruckを発表したことで話題になりましたが、2020年度からは自動運転の配車サービス「robotaxi」にも着手することが既に発表されています。

自動運転タクシーに関して言えば、Google発のWaymoが今年末にセーフティードライバー無しの実証実験へ着手し始めるなど、2020年がターニングポイントとなることが予想できます。

ただ、Society5.0を前提としたモビリティーサービスはライドシェア、スクーター、自動運転以外にも数多く存在し、大きなインパクトを社会にもたらす可能性を秘めています。

今回は2019年に筆者がピックアップしたスタートアップの中でも、2020年以降盛り上がるだろうと考える「MaaS × 〇〇」のエリアに取り組むスタートアップを振り返っていきたいと思います。

海外

1. Miles

参考記事:排気ガスを出さない「理由」を作るMilesーー環境と「移動に価値を付ける」そのアイデアとは

  • Miles」は環境問題とモビリティーを融合させたリワード型アプリケーションを提供。ユーザーは様々な移動手段の中で徒歩や自転車など、CO2削減に貢献するほどリワードとして「マイル(ポイント)」を還元率高く獲得することが可能。たとえば徒歩移動をした際は実際の距離の10倍、自転車であれば5倍、Uberであれば2倍のポイントを獲得できる。

Milesは移動手段を利用して、環境問題への寄与を上手にわかりやすく価値化できていると思います。同社では積極的に市町村と共同でCO2削減プロジェクトを立ち上げ、街を挙げて「移動」のあり方をユーザーに訴求しています。

移動に対するインセンティブ設計をどう施すかが最大の難点でしたが、環境問題の解決につながるMilesのサービスを市町村にプログラムとして提供し、補助金として資金を得ることでエコシステムを作り出そうとしています。

2. Swiftly

参考記事:街の渋滞をビッグデータで解決、公共交通機関向けMaaS「Swiftly」が1000万ドル調達

スクリーンショット 0001-06-14 9.56.11.png

  • Swiftly」はバスや電車などの公共交通機関向けにMaaSプラットフォームを提供。位置情報ビッグデータを利用し、渋滞改善に対するルート改善策を企業・団体へ提供する。

Swiftlyは個人の「位置情報」に目を付け、街の流れを根本的に改善することを目指しています。特筆すべき点は、ロケーションデータを分析・可視化し、なぜ特定の場所で渋滞が起きているのかを探れる点にあるでしょう。

たとえば同社のプラットフォームを利用し、ある公共交通機関の停車駅と信号の位置が効率よく配列されていないことから渋滞が起きていることを突き止め、実際に解消させることも可能です。

3. Lilium

参考記事:2025年に空飛ぶタクシー実現目指す「Lilium」が描く“街と大自然を20分でつなぐ”生活

Capture.JPG

  • Lilium」は飛行型で電気自動運転車の開発・研究を実施。いわゆる「空飛ぶタクシー」を開発する同社は価格帯を重要視しており、誰でも利用できる料金設定で2025年を目途に商用利用を目指す。

空飛ぶタクシーの最大の魅力は、都市問題・人口集中問題解決へ向けたソリューションを期待できる点にあります。同社CEOの発言にもある様に、低価格な空飛ぶタクシーが当たり前となれば、森に囲まれた家を持ちながら都会で働くことが実現できます。また、新たな交通手段が増えることで都心で深刻化する渋滞問題の解消も期待できるでしょう。

空飛ぶタクシーはUberもUberAirプロジェクトで実証実験段階に入るなど、市場全体では5年を目途に実用段階へ入る雰囲気を見せています。2025年ごろには今の私たちがUberを使うような感覚で(金額的にも)空を移動手段に利用できるのも夢でないかもしれません。

4. Blackbird

参考記事:プライベートジェットを民主化するBlackBird、「空のシェアエコ」はどのような経済圏を生み出すか

Capture

  • BlackBird」はプライベートジェットやパイロットをユーザーとマッチングさせ、航空機のシェアリングプラットフォームを提供。短中距離の移動手段に特化しており、低価格かつ短時間の空移動の体験の実現を目指している。

BlackBirdも空の移動に目を付けたスタートアップです。参考記事のタイトルにもある様に、プライベートジェットの民主化を図るため「空のシェアエコ」の概念を作り出した先駆けと言えます。たとえばアメリカのように、距離としてはそこまで遠くないが、山越えがあり車だと時間がどうしてもかかってしまう際の、最適な移動ソリューションとなる、といった具合です。

5. Aero

参考記事:オンデマンドプライベートジェット「Aero」が1,600万ドル調達ーーBlackJetの失敗を教訓に、空路のシェアエコ再挑戦

  • Aero」はミレニアル世代やジェネレーションZ世代をターゲットとしたオンデマンド型プライベートジェットのマッチングプラットフォームを提供。同社は飛行機を管理せず、プライベートジェット運用企業とパートナシップを組む。利用者は大手エアライン利用者に使われる空港ではなく、プライベート空港から飛行機に搭乗する。

Aeroは一見上述したBlackBirdと類似しています。しかし、BlackBirdでは移動がメインのため航空機もヘリコプター型に近いものが多いですが、Aeroでは私たちがイメージする通りの「プライベートジェット」を提供しています。

Blackbirdが2〜4人ほどの航空機であるのに対し、Aeroでは飛行機型で数十人搭乗できる設計となっています。インテリアもBlackBirdが簡易的であるのに対し、Aeroでは内装を重視し「空の移動+体験」な空間を作り出していると言えます。

価格帯はカリフォルニア州オークランドから、コロラド州テルライドまで2時間のフライトを予約した場合一人当たり約900ドルとなっており、通常フライト価格の3〜4倍となってます。

国内

1. Whill

参考記事:WHILLが仕掛ける「歩道版Uber」、50億円を調達して新たなMaaSビジネスを開始へ

Capture.JPG

  • Whill」は高齢者や障害を持った、移動に問題を抱える層をターゲットとしたモビリティー製品を提供。年齢や障害を理由に「移動」が制限されない世の中を目指す。

Whillでは電動車いすを開発します。加えて、MaaSプラットフォームとして公共交通機関とタッグを組み、利用者がシームレスな移動を経験できる仕組みを作り上げているのが特徴的といえます。同社HPでは、MaaSプラットフォームとのコラボレーション先として病院、空港、ミュージアム、ショッピングモール、歩道(サイドウォーク)、テーマパークを挙げており実用化が期待されています。

2. LUUP

参考記事:人口減少時代を「移動」で救え!C2Cサービスの移動インフラを目指す「LUUP」ーー電動キックボードのシェアリング事業で5自治体が連携

luup_002

  • LUUP」は日本で電動キックボードのシェアリングサービスを展開。2019年末には、沖縄のリゾート施設にて初の実証実験を開始し、国内マイクロモビリティーをリードしている。

電動キックボードの規制が未だ厳しい国内市場です。LUUPは着実に実証実験の回数を重ね、自治体や観光に目を付けて同社プロダクトの浸透を進めています。マイクロモビリティーに関する国内動向を追う上で欠かせないスタートアップであることは間違いないでしょう。

3. Maas Tech Japan

参考記事:Beyond MaaSを見据えた「理想的な移動社会」への挑戦ーービジネス効率化の旗手たち/MasS Tech Japan代表取締役CEO 日高 洋祐氏

  • MaaS Tech Japan」は、MaaSに関わるデータプラットフォームを各公共交通機関や企業に提供する。経済産業省・国土交通省が進めるスマートモビリティチャレンジにおける実証実験に参加するなど数多くのPoCを進めている。

MaaS Tech Japanでは、総合MaaSソリューションを提供するため、数多くの実証実験からビッグデータを収集・解析している段階にあります。日本においては、MaaSのビッグデータを収集解析する企業は耳にすることが少なく、エンタープライズとMaaSスタートアップの貴重な架け橋になることを目指しています。

4. Carstay

参考記事:新進気鋭の起業家が大物キャピタリストとアイデアを磨きあげる合宿イベント「Incubate Camp 12th」が開催

  • Carstay」はバンライフ実現のためのバンシェアプラットフォームを提供。新しい移動の形を宿泊と結びつけている。インバウンド観光客が増える中で大きな問題となっている宿不足の問題を、移動可能な宿としてバンを共有し、車中泊体験の提供で解決しようとするスタートアップ。

モビリティーとトラベルを繋ぎ合わせる比較的珍しいスタートアップです。移動の概念を宿泊の観点を盛り込むことで根本的に変えることを目指しています。同社が参入する領域はラストワンマイルのようにMaaSにとって重要なセクターとなると思います。

番外編

JR東日本

Capture.JPG

JR東日本」はモビリティー変革コンソーシアムを結成するなど、主体的に移動の新たなコンセプト構築に取り組んでいます。身近な取り組みでいえば、朝の通勤時間帯の混雑を緩和する対策として有楽町線での「S-Train」の導入や、SUICAを中心としたモビリティーとその他観光業との融合などが挙げられます。

小田急電鉄

Capture.JPG

小田急電鉄」では中期長期計画に「モビリティ × 安心・快適」とした施策を挙げるなど、JR東日本と同様にMaaSに取り組んでいます。

MaaSの先駆けと言えるフィンランド・ヘルシンキにてWhimを運営するMaaS Globalともデータの連携やサービスのパートナシップを結んだことも今年10月には発表しました。小田急は通勤通学に多用されていますが、箱根のように東京から少し離れた観光地へアクセスす手段も提供します。そのため、外国人観光客とMaaSを組み合わせた事業も今後オリンピックを機に増えていくと考えます。

トヨタ自動車

多様な仕様のe-Palette Concept
TOYOTA

「TOYOTA」は言わずと知れたモビリティー企業ですが、自動運転の発展のためにMaaS文脈は不可欠と捉え研究開発を進めています。昨日のCESでは大きな発表もありました。

<参考記事>

昨年には、e-Palette Conceptを発表し、自動運転×MaaSをトヨタなりに提示しUberとパートナシップを結んでいます。また、2019年にはソフトバンクとの共同出資にて新会社「MONET Technologies」を設立し、人の流れや人口分布、交通渋滞や車両の走行ログなどを統合的に絡めたデータプラットフォームを活用していくことを公開しています。

MOBI (Mobility Open Blockchain Initiative)

Capture.JPG

MOBI」はブロックチェーンをMaaSで活用することを目指し設立した団体です。メンバーには既存モビリティー企業であるHONDAやFord、GMなどが参加し、IBMやアクセンチュアその他ブロックチェーンスタートアップ企業がコラボレーション可能な環境となっています。

なかでもV2X(Vehicle to Everything)文脈とブロックチェーンをうまく掛け合わせ、ビッグデータルートからモビリティー問題解決を目指すMaaSプラットフォームとは一線を画し、MaaSソリューションの最先鋒となると考えています。