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医師不足の南アフリカで医療ネットワークを構築する「Vula Mobile」

重要なポイント:アフリカの多くの国と同じく医師不足が深刻な南アフリカでは、周囲に専門的な知識を持つ医師のいない状態でコミュニティヘルスワーカーと呼ばれる人達が病人のケアや簡単な治療を行なうケースが多くある。医療従事者向けアプリVula Mobileはこういった人達の抱える問題を解決し、南アフリカ全体での効率的な医療ネットワークを構築、同国の医療問題解決に貢献している。 詳細な情報:2019年度に南…

Image Credit : Vula Mobile

重要なポイント:アフリカの多くの国と同じく医師不足が深刻な南アフリカでは、周囲に専門的な知識を持つ医師のいない状態でコミュニティヘルスワーカーと呼ばれる人達が病人のケアや簡単な治療を行なうケースが多くある。医療従事者向けアプリVula Mobileはこういった人達の抱える問題を解決し、南アフリカ全体での効率的な医療ネットワークを構築、同国の医療問題解決に貢献している。

詳細な情報:2019年度に南アフリカのアプリアワード MTN Business App of the Year Awards のベストヘルスアプリ賞を受賞した医療従事者向けアプリVula Mobileは今年、新型コロナウィルスの感染の広がる南アフリカで全国的な「Doctors-on-call hotline」として治療にあたる医療従事者を支援、改めてその価値を証明した。

  • 医師不足の南アフリカでは、人口10万人あたりの医師の数が都市部で53.3人、それ以外では39.8人程度となっている。日本は206.3人
  • 都市部以外に住む多くの人は簡単にアクセス出来る場所に病院が存在せず、代わりにトレーニングなどを経て、限られた医療行為のみ許可されたコミュニティヘルスワーカーと呼ばれる人々が中心となって各地での病人のケアや薬の処方などにあたる。そのほか、地方の病院には医師であっても経験の浅い医師が1人だけで診療・治療の対応にあたっている施設もある。
  • Vula Mobileは主にこのような医療従事者を対象としたアプリで、53以上の診療科目で必要とする時に医師の専門的な意見やアドバイスをもらうことができる。医療従事者が症状などを元に照会をかけると、条件に合致した症状のある患者の匿名化された診療記録や当時の診断画像を含むフィードバックが15分以内に受け取れる。必要に応じて専用のチャットラインを使用した1対1の相談も可能。
  • 対象となる分野には、眼科、心臓、耳鼻咽喉、やけど、常備薬、HIV/エイズ、整形外科などが含まれ、現在4,000人を超える医師が月に1万9,000人を超える患者のサポートにあたっている。
  • また、これまで医療施設間で重病患者の他院への紹介はそれぞれの判断によって行われていたため、数の少ない高度な設備を持つ医療施設に他の医療施設でも治療可能だった患者が集中してしまい、診療までの待ち時間が長くなってしまうという問題も起こっていたが、Vula Mobileはこの問題も解決する。
  • 2019年のSouth African MedicalJournalの論文 で行われたVula Mobileを利用した本機能の調査によると、約7ヶ月の期間に39の施設238人のユーザーから2,275人の患者の紹介に関しての相談を受け、患者の3分の1はアドバイスを受けて当初の病院で治療が行われた。

背景:Vula Mobile創業者であるWilliam Mapham博士は、エスワティニ(旧スワジランド)の地方にある同国唯一の眼科で働いている時に、地方のコミュニティヘルスワーカーが困難な問題に直面した際に医師からのアドバイスをもらうことの困難さを知り、この問題を解決しようとVula Mobileの開発を始めたバックグラウンドを持つ。

南アフリカ保健省のPillay博士によると、「アプリにより不要な(医療機関から別医療機関への患者の)紹介が最大31%削減されたほか、臨床部門の責任者は同アプリのオンラインダッシュボードを使用して、リアルタイムの臨床ガバナンス、月次レポートの生成、調査などに利用していることが明らかになった」とのことで、効率的な医療ネットワークの構築だけでなく、Vula Mobileを基軸とするデータは副次的にも南アフリカの医療に役立っている。

執筆:椛澤かおり/編集:岩切絹代・増渕大志

サムライインキュベート、アフリカのスタートアップ向けに20億円規模の新ファンドを組成

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※この記事は英語で書かれた記事を日本語訳したものです。英語版の記事はコチラから。 【9日18時更新】赤字部分を追記、訂正線部を削除。 東京を拠点とする VC であるサムライインキュベートは9日、ケニア・南アフリカ・ナイジェリアのスタートアップ向けのファンドを組成したと発表した。ファンド名は「Samurai Africa Fund 2号」で、ファンド規模は最終的に20億円を目指す。対象となるスタート…

左から:久保浩成氏(サムライインキュベート シニアマネージャー ファンドコントローラ)、米山怜奈氏(サムライインキュベート シニアマネージャー 兼 サムライインキュベートアフリカ マネージングパートナー)、 榊原健太郎氏(サムライインキュベート代表取締役社長 兼 サムライインキュベートアフリカ 代表取締役社長)、 小池直氏(サムライインキュベート マネージャー)、本間良広氏(サムライインキュベート執行役員 コーポレートグループ)
Image credit: Samurai Incubate

※この記事は英語で書かれた記事を日本語訳したものです。英語版の記事はコチラから。

【9日18時更新】赤字部分を追記、訂正線部を削除。

東京を拠点とする VC であるサムライインキュベートは9日、ケニア・南アフリカ・ナイジェリアのスタートアップ向けのファンドを組成したと発表した。ファンド名は「Samurai Africa Fund 2号」で、ファンド規模は最終的に20億円を目指す。対象となるスタートアップのステージはシードからシリーズ A ラウンドで、ワンショットのチケットサイズは500〜5,000万円。投資対象領域は、金融・保険、物流、医療・ヘルスケア、小売・EC、エネルギー、農業、交通・モビリティ、エンターテインメントに設定されている。

Samurai Africa Fund 2号 と名乗るからには、同ファンドの1号はいつ組成されたのか気になる読者もいるだろうが、サムライインキュベートと共同出資で同社出身の寺久保拓摩氏が2018年5月に設立した Leapfrog Ventures のファンド(5億円)を指しているようだ。なお、サムライインキュベートの沿革によれば、2019年6月に Leapfrog Ventures はサムライインキュベートアフリカとして社名を変更している。

サムライインキュベートアフリカの代表は、2019年6月の段階では寺久保氏が務めていたことが確認できるが、現在は、サムライインキュベート代表の榊原健太郎氏に変更されている。事実上、サムライインキュベートの完全子会社(またはアフリカ向け投資ビークル)になったと理解できる。寺久保氏は独自にアフリカ向けファンドを組成する準備に入っているとの消息筋の情報もあり、氏の動向については機会を改めて詳報をお伝えしたい。

2号ファンドの運用にあたっては、日本政策投資銀行や国際協力銀行出身で、JICA(国際協力機構)モロッコ事務所で駐在員アシスタント企画調査員、TECHFUND のディレクターなどを務めた米山怜奈氏がマネージングパートナーとして就任する。なお、サムライインキュベートアフリカは JICA から起業促進やスタートアップエコシステム形成に関する調査を受託している。なお、サムライインキュベートアフリカでは、「JICA 当該調査の委託は、いかなる意味においても本ファンドの評価を示すものではない」としている。

1号ファンドではルワンダ、ケニア、タンザニア、ウガンダ、南アフリカを投資対象地域に設定していたが、2号ファンドではルワンダ、ウガンダ、タンザニアは外され、ナイジェリアが追加された(サムライインキュベートアフリカでは、ルワンダ、ウガンダ、タンザニアを表記から外しただけで、運用上の投資対象地域からは外していないとのこと)。サブサハラ地域(サハラ砂漠以南のアフリカ地域)最大の市場を誇るナイジェリアは成長が著しいため、サムライインキュベートアフリカでは経営資源の選択と集中を図ったものとみられる。なお、1号ファンドは組成時に80社程度への出資を目標に掲げていたが、これまでに約4分の1に相当する18社への出資が完了したことが明らかになった。

1号ファンドからのこれまでの投資先には、アフリカで製造・流通業向け営業管理 SaaS「SENRI」を提供する アフリカインキュベーター(Afri-inc)、ケニアのソーシャルコマース/販売管理SaaS「BiasharaBot」を運営する Biashara Viral Gains、 非銀行層向け与信インフラを提供する EXUUS などがある。1号ファンドには投資枠は残存していると見られ、今後の1号ファンドの投資対象地域が従来のものを踏襲するか、2号ファンドに準拠するかは現時点で定かではない。

(「Samurai Africa Fund 1号」は、Leapfrog Ventures の当初組成額5億円に加え、「Samurai Incubate Fund 6号」(組成額34.5億円)の10%をファンド・オブ・ファンズ形式で組み入れており、投資枠は既に終了しているとのこと。投資したスタートアップ数は当初想定数の4分の1だが、1社あたりのチケットサイズが当初想定より大型化したと見られる。)

この分野では、アフリカでのコーポレートアドバイザリーやスタートアップ支援を提供する日本企業として、東京に拠点を置く Double Feather Partners などが存在する。

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Tencent が350万ドルのシードファンドをローンチ、南アフリカの中小企業のWeChat上の販売活動を支援

南アフリカでピアツーピアのモバイル財布サービスをローンチしたわずか2週間後、Tencentは火曜日、新たに350万米ドルのシードステージファンドを立ち上げることを発表した(編集部注:原文掲載12月7日)。ファンドは、中小企業やスタートアップが人気のモバイルメッセージングアプリWeChatを使って同国で商品やサービスを販売することを支援することを目的としている。 各投資案件ごとに予測される金額などの…

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南アフリカでピアツーピアのモバイル財布サービスをローンチしたわずか2週間後、Tencentは火曜日、新たに350万米ドルのシードステージファンドを立ち上げることを発表した(編集部注:原文掲載12月7日)。ファンドは、中小企業やスタートアップが人気のモバイルメッセージングアプリWeChatを使って同国で商品やサービスを販売することを支援することを目的としている。

各投資案件ごとに予測される金額などの詳細は明らかにされていない。

WeChatはすでに約6億人のユーザに利用されており、そのうち2億人はアカウントにクレジットカードを登録している。配車サービスや食品のデリバリーなど、WeChatのオンラインツーオフライン(O2O)はほぼ中国市場限定だったが、Tencentは明らかに国際市場への進出に意欲的だ。

実際、Tencentが国外での取引にモバイル決済を開始したのは先月が初めてだった。南アフリカでのWeChatモバイル財布のローンチは中国以外では初めての試みだったわけだ。

「この資金は、WeChatのプラットフォームを使って迅速な市場アクセスを手助けすることでテック主導の企業を支援するのに活用されるでしょう」とTencentはブログの中でコメントしている。

「最近、PWCとSilicon Capeによって行われた新興企業の調査によると、テック主導の企業にとって成長を妨げる最大の要因の1つは市場へのアクセスでした。」

WeChat AfricaのトップBrett Loubser 氏は、Tencentによる支援は「Naspers全体の技術統合及びコミュニケーション戦略の安定化とその他の適したチャネル」を含むと発言した。Naspersは南アフリカ最大のインターネット・メディアグループであり、さまざまな企業向けeコマースを提供している。

これに加え、Tencentは「戦略的に合うモデルを持ち、プラットフォーム力と市場での立ち位置をはっきりと示すスタートアップとの統合により注力しています。」私は、中国に限らずすでにWeChatを使っている企業を以前調査したことがある。

今回の新たなシードファンドに関連して、Tencentは何もかも全て単独で運営していく計画はない。その代わりに同社はテック系の戦略計画企業のBatstoneに依頼して、可能な取引の調達・調整をすることになるだろう(申し込みの専用ページはこちらから。BatstoneとTencentは2016年1月18日からピッチを受け入れる)。

来年から多くの南アフリカの企業がWeChatで商品・サービスを販売するのを目にすることになるだろう。ただし今のところ、全ての企業が必ずしもWeChatでの販売体験に満足しているわけではない

【via VentureBeat】 @VentureBeat
【原文】