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究極のネイティブ広告「生活広告」は実現するか

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※本記事は.HUMANS社が運営するメディア「THE .HUMANS MAGAZINE」からの要約転載 先頃発表された新型iPad Pro。 ARを強く押し出した機能満載で、すぐにでも店頭で触ってみたかったのですが、残念ながら現在は閉鎖中。そこで、オンラインストアの「ARで見る」ボタンを押し、自宅で手軽に製品の大まかな雰囲気を味わいました。同じ体験をした人も少なくないのではないでしょうか? まさに…

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Image Credit: Ryff

※本記事は.HUMANS社が運営するメディア「THE .HUMANS MAGAZINE」からの要約転載

先頃発表された新型iPad Pro。

ARを強く押し出した機能満載で、すぐにでも店頭で触ってみたかったのですが、残念ながら現在は閉鎖中。そこで、オンラインストアの「ARで見る」ボタンを押し、自宅で手軽に製品の大まかな雰囲気を味わいました。同じ体験をした人も少なくないのではないでしょうか?

まさにSF映画のような話ですが、.HUMANSが信じるのはこうした近未来が実現され、そこに普及するサービスを作ること。そして最近、Spatial(空間的コンピューティング)時代を前提として見る中、現実解としてどのようなサービスが誕生しているのかを探っており、1つのサービスに出会いました。LA拠点の「Ryff」です。

CMをなくす新業態

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Image Credit: Ryff

Ryffは米国ロサンゼルス・ハリウッドに拠点を持つAI技術を持つスタートアップです。2019年12月、500万ドルの資金調達に成功しています。Ryffが参入する市場は「Product Placement」という、映画やテレビ番組のシーンに商品を配置して広告する業態です。

同社はAIを駆使して映像内の空間にまるで存在するかのような3Dオブジェクトを設置し、自然に見える形で商品を広告するサービスを展開しています。バーチャルオブジェクトであることから、複数の商材パターンを展開することが、いつでも可能となります。たとえば予定通りの放送時には商材A、再放送時には商材B、DVD用には商材Cのようにいくつかの商材を配置できます。

Statistaの市場データによると、米国市場規模は2019年で約100億ドル規模。2012年の47.5億ドル規模からほぼ倍増していることから、YoYは10%ほどと言ったところでしょう。別データによると、市場内訳として70%がTVコンテンツが占めており、そのほかデジタルコンテンツはたった3%。YouTubeやNetflixの市場のりしろを考えれば、まだまだ伸びる可能性を秘めます。

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Image Credit: Ryff

さて、Ryffが挑むのは「映像/動画内に配置された商材は一度撮影してしまうと変更できない」という業界の常識です。この常識を逆手に取って「撮影後であっても何度でも変更可能、時代や投稿場所を超えて様々な形で配信できる」形式へと変えました。

たとえばNetflixで放送される番組内に配置される商材を、個々の視聴者や居住地域、日付などの様々な変数に基づいて調整することができます。コストはかかりますが、映画も上映地域によって商材を変えることができますし、TV番組も放映地域に最適化させた展開ができるはずでしょう。

広告出稿者がしばしば求める「パーソナライズ」のニーズに応えたのがRyffなのです。

技術面に軽く触れておくと、Ryffは3Dオブジェクトを配置するために映像内に商材を認識させるためのマーカー(QRコードのように読み取れるもの)を置き、空間の役割をAIパターン認識で特定させています。仕組みはARKitやARCoreで作成するARアプリと似ていますが、空間に合わせた質感や角度、光の反射などを加えるテクスチャマッピングを、かなりの高精度で行なっている点が差別化になっているようです。

創業者兼CEOのRoy Taylor氏はNvidia出身、CTOのSusan Hewitt氏はARM出身であることから、レンダリングを最小電力・最効率で行うためのAIチップの利用方法を知っていると考えられます。IP(知的財産)を多く持っているRyffの肩書きはダテではありませんね。

Spatial時代のパーソナライズ空間

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Photo by Andrea Piacquadio on Pexels.com

ここから話をSpatial時代へと飛躍させます。Spatial時代ではARグラスが普及した世界を前提とします。

現在のRyffの技術では、大容量メモリーを搭載したパソコンを使ったレンダリングを必要としますが、5〜10年のスパンで見れば小型化したARグラスでも同様のタスクをこなせるようになるはず、と考えます。言い換えれば、現在Ryffが展開する本物そっくりの3Dオブジェクトをほぼリアルタイムに目の前に登場させる技術が確立するかもしれません。

たとえば街を歩いていたり、店舗に立ち寄った際、各ユーザーによって置かれている商品が違ったように見える世界が想像されます。家に帰れば、生活必需品以外のインテリアや高級な家具は、全て自分好みの3Dオブジェクトとして配置されています。

開発が噂されているFacebookやAppleのARグラスが爆発的に普及したり、実際に開発が進められているARコンタクトレンズのように、四六時中装着していられる端末が誕生すれば、デジタル世界と「常時接続」する生活が待っています。そこではRyffの技術が映像コンテンツ市場から私たちの日常生活へと進出するのではないかと考えています。

「生活広告」 : 究極のネイティブ広告

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Photo by Skitterphoto on Pexels.com

.HUMANSの考えるRyffをベースとしたSpatial時代では、ほぼリアルタイムに自分が欲しいと思っていた商品に囲まれる世界が展開されます。これを仮に「生活広告」と呼んでいます。

生活広告は、ロケーションベースで本物そっくりの3Dオブジェクト商材を配置するSpatial時代の新広告業態です。肝となるのは「生活充実度」と「広告収益」の両立です。

家具やインテリアのように置いておくだけで生活満足度を上げる3Dオブジェクトがユーザーの元へ届けられます。同時に、グラス端末上で計測されるImpressionに応じた広告収益を広告出稿者から徴収するモデルです。

つまり、ユーザーは3Dオブジェクトのある日常生活を送るだけで充実度を高められ、かつ企業も様々なアプローチから高い転換率を保ちつつ広告でき、プラットフォームは広告収益を上げられるWin-Win-Winな、究極のネイティブ広告業態が想像できるわけです。

最初にiPadの事例を出したように、私たちはすでに自室で3Dオブジェクトの商品を呼び出し、眺めることに抵抗がなくなり始めています。こうした慣れの延長線上でRyffの技術がぶつかれば、常時広告商材を楽しむ生活が待っていると思います。これが生活広告の概念です。

私たちの私生活と広告領域が自然な形で融合することで、何がフェイクなのかわからない倫理的な問題も議論されるかもしれません。ただ、都市開発に十分活かせるでしょうし、Pockemon Goのような周回型コンテンツを得意とする企業にとっては新たなAR広告収益源となるはずです。

本稿は次世代コンピューティング時代のコミュニケーションデザイン・カンパニー「.HUMANS」代表取締役、福家隆氏が手掛ける「 THE .HUMANS MAGAZINE」からの要約転載。Twitterアカウントは@takashifuke。同氏はBRIDGEにて長年コラムニストとして活動し、2020年に.HUMANS社を創業した

バーチャルヒューマンたちはどのようにして生まれる

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※本記事は.HUMANS社が運営するメディア「THE .HUMANS MAGAZINE」からの要約転載 ニュージーランド拠点の「Soul Machines」が今年公表したバーチャルヒューマンは、CESで披露されたサムスン傘下のスタートアップ「NEON」と並ぶ、近未来的なアシスタントとして話題になりました。 同社はAI、脳計算モデル、経験学習を組み合わせて自動アニメーションプラットフォームを開発。ユ…

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Image Credit : The Soul Machines

※本記事は.HUMANS社が運営するメディア「THE .HUMANS MAGAZINE」からの要約転載

ニュージーランド拠点の「Soul Machines」が今年公表したバーチャルヒューマンは、CESで披露されたサムスン傘下のスタートアップ「NEON」と並ぶ、近未来的なアシスタントとして話題になりました。

同社はAI、脳計算モデル、経験学習を組み合わせて自動アニメーションプラットフォームを開発。ユーザーと面と向かって話すことができるほどの個性と性格を持つ、まるで生きているかのように感情を表わすことのできる「デジタルヒーロー」、つまりバーチャルヒューマンを作り出します。

<参考記事>

表面的な「人間らしさ」はいざ知らず、肝心の中身はどのようにして成立するのでしょうか?そのひとつの鍵となるのがAIアシスタントの存在です。

英国オックスフォード大学の社会・コンピュータ科学部門であるオックスフォード・インターネット研究所(OII)は、Googleと提携して、AIに関するまとめサイト「The A-Z of AI」を公開しました。A-Zの26個の項目が並んでいます。

選ばれた26のトピックから本記事ではARグラスが普及した時代「Spatial Computing(空間コンピューティング)時代」に向けて応用できる項目を4つほど選び、バーチャルアシスタントの具体像に迫ってみたいと思います。

Fakes

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Photo by Carolina Castilla Arias on Pexels.com

ディープフェイクは現実世界の画像や音声を研究、詳細にマッピングおよび操作をして、不気味なほど忠実なフィクション作品を作成することで機能します。

ほんの数年前には不可能と考えられていたこれらの技術は、ハリウッド映画のCGIから音楽制作、ポルノに至るまで、幅広い分野で応用されています。多くは娯楽や想像力をかきたてることを目的としていますが、不適切な使い方をすれば、社会に有害な誤報を生み出す可能性もあります。

Fakes文脈で注目しておきたい事例は2つです:「Ryff」と「Pokemon Go」。

たとえばGoogleが提供する3D検索では、動物のリアルなオブジェクトをその場に表示できます。ただ、未だ一瞬で3Dであると見破れる完成度に留まっています。

DeepFake技術が進めば、カメラが現実世界の環境条件を認識し、リアルタイムでとても高精度の3Dオブジェクトがレンダリングされる世界が実現するでしょう。すでにLA拠点の「Ryff」は映像市場で超高精度のAI画像およびパターン認識を活用したユースケースを提供しています。

次世代フェイクの概念も知っておくべきでしょう。Pokemon Goは仮想世界に住むポケモンとのやり取りをスマホのカメラ越しに実現させました。そしてイベントがあれば街の至る所でユーザーたちが画面を見つめながら必死にモンスターボールを投げている光景を見かけます。

しかし、現実世界に住む私たちから見れば、何をしているのかわからない“小さいコミュニティ”にしか見えません。こうした仮想・虚構の存在に導かれて発生する「フェイクコミュニティ」を今後頻繁に見かけることになるでしょう。昨年、筆者も参加したAppleが主催のARを楽しむウォーキングイベント「[AR]T Walk」でも、複数の参加者が、街行くに人にはわからない3Dオブジェクトを眺めるという楽しい体験がありました。このように、同時多人数でARを楽しむコラボレーション体験が増えるほど「フェイクコミュニティ」の発生数も増してきます。

Image Recognition

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Photo by Torsten Dettlaff on Pexels.com

コンピュータビジョンとして知られている画像認識システムは、提供された参照画像を調べるだけで、個人から有名なランドマーク、ペットまで何でも認識できるようになります。このシステムは、スマートフォンの写真を整理するなどの日常的な作業を楽にします。例えば、旅行に行った後に休暇の写真の新しいアルバムを自動的に提案します。

それぞれの画像は指紋のようなものです。AIシステムは、色や形などの識別機能を見つけ出し、何千もの画像と相互参照して正確に認識し、ラベルを付けるように訓練されています。また、ランドマークやグループ旅行の写真を認識できるのと同じ技術は、外国語の警告標識を翻訳したり、オンライン上の露骨なコンテンツから子供たちを保護したりするのに役立ったりと、他の場所でもより深く活用されています。

Spatial Computing時代は、ARグラスが広く普及した世界を前提に話が進みます。この時代では一人称視点の高性能カメラを手軽な価格で手にすることができます。そこでは、かつてGoogle Glassが登場した際に人気を集めた視覚障害者向けの音声サービス「Envision」のようなスタートアップが再興するはずです。

画像認識技術が進んでいることや、昨今のGoogle Map ARナビゲーション機能実装のことを考えると、Envisionと比較して、かなりの付加価値を持った市場展開がなされると考えています。

さらに、Google Glassは2Bを中心に市場戦略が進んでいるため、Envisionが手をつけられていないユーザーは多くいると思います。そこで、今のうちから中国の安価ARグラス「Nreal」などを提供しながら、自社音声サポートサービスなどを展開すれば大きな成長が望めるのではないでしょうか。

Speech Recognition

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Photo by Tyler Lastovich on Pexels.com

音声認識システムは、ディクテーションソフトウェアから言語翻訳ツール、音声起動型スマートスピーカーまで、あらゆるもののバックボーンを形成しています。機械は音声を認識することはできても、人間と同じように理解できるわけではありません。人間は、文脈がなくても、文章がごちゃごちゃしていても、言葉を理解することができます。しかし、機械はそれが難しいのです。

“自然言語処理 “は、人間の複雑な話し方をよりよく理解するために、AIが文法的なルールを引き出し、生きた音声を分析することを可能にする、最近の音声認識の進歩である。これにより、AIシステムは、トーンやユーモアなどの何かが文章の意味をどのように変えてしまうのかを把握することができるようになります。

これらの技術は、私たちが何を言うかだけでなく、何を意味するかを理解するために着実に進化しています。AIの設計チームは、システムにより多くのニュアンスを組み込む方法を継続的に模索しているため、人々はこれまで以上にAIとシームレスで自然なやりとりをすることができるようになっています」とのこと。

筆者は直近まで音声サービスのアイデアを模索していたこともあり、今後タイピング入力から音声入力、ジェスチャー入力といったUIへと大きく転換する予感がしています。ARグラスを用いた体験では、スマホのスクリーン上で行うような高速タイピングは想定されていません。その上で、入力コストを圧倒的に下げて、ユーザーが検索したいことを即座に反映させる入力は音声が現実的でしょう。たしかに公共の場で声を発しづらいなどの解決すべき根本課題が存在しますが、何かしらの解決策が登場するのではないかと思います。

音声UIがARグラスと共に台頭することを考えれば、現在のFace IDやTouch IDに並び、「Voice ID」の重要性が高まると考えます。

すでにAmazon Echoは空間内で特定の人物を認識できますが、より音声認識技術が発展すれば、各ユーザー特有の発生をIDとして活用できるようになるかもしれません。冒頭で説明したFakesに絡み、フェイク音声技術はすでに確立しつつあり、いずれバッティングするかもしれませんが、こうしたセキュリティ上の市場課題を乗り越えれば、非常に大きなニーズを獲得するでしょう。この分野では大型スタートアップが登場しそうです。

Virtual Assistants

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Virtual Assistantsは、基本的には人間のアシスタントをデジタル化したものです。最もよく知られている例は、スマートフォンやスマートスピーカーを介して話す音声アシスタントです。

これらのアシスタントは日常的に、オンラインで情報を検索したり、音楽を再生したり、基本的な質問に答えたりするのに役立っています。人々の生活や家庭がより接続されるようになるにつれ、バーチャル・アシスタントは、新しいタスクをより簡単に実行するのに役立つようになります。

話しかけられたコマンドに反応することで、これらのアシスタントを簡単かつ効率的に使用できるだけでなく、読み書きの問題や障害、その他の理由でキーボードに困難を感じる人にもメリットがあります。AI機会学習を利用して、バーチャルアシスタントが質問の文脈を理解し、人間の声を解釈するために使用する自然言語システムは、人とそのデバイスの間に、より自然な会話を生み出しています。

説明文にもあったように、現在のVirtual Assistantsの好例はSiriやGoogle Assistantに代表される音声アシスタントでしょう。ただ、今後はここまで紹介してきた「Fakes」「Image Recognition」「Speech Recognition」の集大成のような新たなアシスタントが登場します。

それが冒頭で紹介したようなバーチャルヒューマンたちです。

たとえば、GucciやLouis Vuittonのような高級ブランドの背景や世界観を汲み取った音声と容姿をした本物そっくりのバーチャルヒューマンが開発されれば、話す内容や口調はそれぞれのブランドに最適化されたものになるはずです。

ARグラスを通じ、こうした仮想世界のブランドキャラクターとやり取りすることもSpatial時代の特徴です。高いAI画像認識・音声認識を元に、高精度のフェイクヒューマンとコミュニケーションを取る時代がSpatial Computing時代とも言えます。

本稿は次世代コンピューティング時代のコミュニケーションデザイン・カンパニー「.HUMANS」代表取締役、福家 隆氏が手掛ける「 THE .HUMANS MAGAZINE」からの要約転載。Twitterアカウントは@takashifuke。同氏はBRIDGEにて長年コラムニストとして活動し、2020年に.HUMANS社を創業した

拡張時代の到来で起こる「3つのこと」

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Facebook創業者のマーク・ザッカーバーグ氏は2020年の年明け、自身のブログ投稿にて今後のロードマップを発表しました。内容は4つのトピックに分かれて紹介されています。 本記事では最初にFacebookのロードマップを簡単に解説し、その上でSpatial Computing(空間コンピューティング)が普及した世界における3つのシナリオ展開を考察していきます。 最後に、完全リモートかつマルチタス…

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Facebook創業者のマーク・ザッカーバーグ氏は2020年の年明け、自身のブログ投稿にて今後のロードマップを発表しました。内容は4つのトピックに分かれて紹介されています。

本記事では最初にFacebookのロードマップを簡単に解説し、その上でSpatial Computing(空間コンピューティング)が普及した世界における3つのシナリオ展開を考察していきます。

最後に、完全リモートかつマルチタスクな世界のなか、.HUMANSがどのようなアプローチでSpatial Computingに取り組んでいくのかを紹介していきます。(※本記事は.HUMANS社が運営するメディア「 THE .HUMANS MAGAZINE」からの要約転載)

Facebookはどうなる

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Photo by Markus Spiske on Pexels.com
  • A New Private Social Platform: プライバシー重視のSNS
  • Decentralizing Opportunity: 機会の平等化
  • New Forms of Governance: デジタル世界の政治
  • The Next Computing Platform: 新たなコンピューティング

最初に掲げられたビジョンは「A New Private Social Platform」の構築。プライバシーファーストな世界です。

大規模コミュニティが作られると新たな課題が発生します。それは、誰もに情報をさらけ出すような環境ではなく、自分と親密な関係の人たちとのやり取りを重視しようとする動きです。社会インフラとして働くFacebookは、より小さなコミュニティに主眼を置いた開発が求められています。

2つ目は「Decentralizing Opportunity」。

小さなコミュニティを活性化させるにFacebookが注目しているのがお金です。お金が動けばFacebook経済圏が形成されます。経済圏の中でもあらゆるモノ・コトの受け取りが発生するでしょう。ユーザーが求めるものが徐々に増え、様々な物事が世界中のFacebookユーザーに提供されるようになります。こうした世界を機会平等化されたビジョンとして描いています。

3つ目に紹介するのは「New Forms of Governance」。

Facebookの機会平等の戦略は、小さなコミュニティが積み重なり、今以上に多くのサービス機能を与えられたユーザーが作り出す巨大コミュニティとなります。ちなみに小さな集まりがベースとなった巨大コミュニティを指して「ハイブ(ミツバチの巣箱)」と呼びます。

ハイブの中は蜂の巣のように多層なコミュニティによって構築されています。従来のFacebookはあらゆるユーザーが誰もに繋がる単層コミュニティを目指してしまったことから、昨年話題になったプライバシー問題が指摘されてしまいました。この点、小規模な友人間の繋がりを重視した「Snapchat」や今はなき「Path」の戦略が優っていたと感じます。

いずれのコミュニティ形成のやり方であっても、Facebookのような世界的なネットワーク網ができれば、既存の政治形態に変わる、デジタル世界の新たな民主主義が登場するとザッカーバーグ氏は睨んでいます。そこでプライバシー重視のハイブ戦略に基づいた政治を考えるのが今後のロードマップとなります。

新たなコンピューティング

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ここからが本題である「The Next Computing Platform」の紹介です。

「The Next Computing Platform」を説明するためには、2017年のFacebookの開発者会議イベント「F8」で紹介された、上記で説明してきたロードマップとは別の3つのプランを説明する必要があります。

それがすなわち「Connectivity」「AI」「VR/AR」です。

超高速Wifiや5Gネットワーク、衛星を活用することでインターネット接続環境を世界中にばらまく「Connectivity」、画像認識やビックデータ解析に基づいた環境分析・解析環境を指す「AI」、ブレインコンピューティングやAR、Oculusシリーズが進んだ世界「VR/AR」。

3つの要素が次世代ネットワーク環境が整えば、あらゆるやり取りやタスクを即座に完了できる世界が実現されます。そこでザッカーバーグ氏はブログ記事にて、2020年代内に画期的なARグラス端末を投入するだろうと明言しています。

モバイルの次として期待されるARグラスは、空間全てがユーザーとインタラクティブにやり取りされます。これを実現する次世代コンピューティングを「Spatial Computing」と呼びます。また、次世代コンピューティングを実現させるには空間データがクラウド上にデータ保存される「ARクラウド」の概念が必須となります。現実世界がデジタル世界に生き写しとなるコンセプトから「ミラーワールド」や「デジタルツイン」とも称されます。

FacebookはSNS企業と大半の人が考えていることでしょう。しかし、今や同社は「Spatial Computing」時代への移行を睨み、ARグラス端末開発をAppleと並び率先的に進めている企業です。5〜10年後には結果が見えてくるでしょう。

拡張時代の到来で起こる「3つのこと」

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次世代グラス型端末は、人間の能力や機能を“拡張”するものであると.HUMANSでは考えます。

モバイルの登場とともに、スマホカメラはライブストリーミングをあらゆる場所で可能にし、ユーザーの存在を遠隔に飛ばすことを可能としました。Google MapのARナビゲーション機能は地図の読めない人であっても、矢印を辿れば目的に到着させ、視覚情報の拡張を行いました。VRヘッドセットでの体験は企業研修で用いられ、オペレーション作業の学習時間を格段に短くし、ユーザーの認知能力を強化させました。

ユーザーが持つ人間としての能力や機能がデバイスによって拡張される時代を、.HUMANSでは「拡張時代」と呼んでいます。

それではFacebookは拡張時代において、どのような世界が誕生すると考えているのでしょうか。改めてザッカーバーグ氏のブログに遡りながら、3つのユースケースを考察していこうと思います。

  • 存在の拡張
  • 脱都市化
  • フリーランス化がさらに加速

まずは「存在の拡張」から。

ユーザーの存在を世界各地へ飛ばす能力は、ZoomやSkypeに代表される映像電話ツールが普及した今以上に、リモート社会を促進させると考えられます。地方に住んでいても、ネットワーク環境があれば都市部へ通勤する必要もなくなってきます。

昨今、コロナウィルス流行を発端に中国では多くの行事がオンラインで開催されるようになりました。学校教育現場はオンライン動画プラットフォームへと移行、結婚式はライブストリーミングしながらお祝いする事例が発生しています。

まるでそこにいるかのように自宅から日常的にコミュニケーションを取るユースケースが発生すれば、「存在の拡張」は大きなキーとなってきます。

次は「脱都市化」に関して。

「存在の拡張」が発展すれば、住宅コストの高騰や地理的デメリットが消滅することが考えられます。では、次世代グラス端末が普及し、自分が選んだ好きな場所に住んで、他の場所の仕事に手軽に、かつ自由にアクセスできるとしたらどうでしょう。

脱都市化が進むと予想できます。

必ずしも都市部に住む必要がなくなり、人々の分散が始まります。すると、都市部の不動産価格は頭打ちとなり、住みやすい世界が実現するはずです。

小売の店舗戦略にも大きく関わってくるでしょう。1つSnapchatの事例を挙げさせてください。同社がLEGOと取り組むアパレル店舗があります。筆者は勝手に「ホワイトショップ」と呼んでいるのですが、店内に洋服は置かれていません。読み取りコードが複数置かれているだけ。

店舗導線に沿ってAR体験を楽しみ、購買に結びつけます。現実世界ではまっさらな店舗であっても、重なるように存在するAR世界では全く別世界が展開されます。なにより、在庫スペースや商品展示スペースがすっぽりと抜けることで、店舗規模を縮小しても十分に回る店舗体験を提供できるかもしれません。これは、大型出店では採算の取れない都市部への出店戦略を大きく改善する可能性を秘めています。

このように、地価にも影響を及ぼすのがSpatial Computingであり、ユーザー行動や都市開発など、一見関連のない市場にまでダイナミックに関与することが予想されます。

3つ目は「フリーランス化」について。

従来、フリーランスは動画編集やライティングのように、ある程度の汎用性のあるスキルに基づいた職業を掛け持ちする人によって構成されていました。しかし、技術の進歩により、たとえば病院診察のような高スキルな職も自宅から行えるようになると考えられます。

多種多様な情報がグラス端末に飛び込んでくることで、多くのタスクを短時間に完了させられるようになります。あらゆる種類の専門家がフリーランス化するようになり、ギグ経済はさらに加速することが予想されるでしょう。

すでにWalmartが従業員のVR教育を導入しているように、学習時間の圧倒的な短縮が図れるのもメリットです。学習インプットコストが圧倒的に短縮化され、人の「慣れ」が差別要素にならなくなる「No Learning Curve」な世界が登場すると思います。

別の展開も発生します。

「脱都市化」と「フリーランス化」は相乗効果的に相まって、本社機能を分散させます。自宅が会議室になり、オフィスの役割を兼ねるSpatial Computingの時代では、企業は「なぜHeadquarterを持つべきなのか?」と改めて考え始める可能性が出てくるでしょう。

本社機能を縮小し、各地方都市に機能移譲するかもしれません。そこでWeWorkのようなコワーキングスペースの活用にさらに拍車がかかるはず。次世代グラス端末の時代はコワーキングスペース市場にも大きな変化をもたらすと考えられるはずです。

本稿は拡張時代のコミュニケーションデザイン・カンパニー「.HUMANS」代表取締役、福家隆氏が手掛ける「 THE .HUMANS MAGAZINE」からの要約転載。Twitterアカウントは@takashifuke。同氏はBRIDGEにて長年コラムニストとして活動し、2020年に.HUMANS社を創業した