Image Credit : Stake Technologies
ニュースサマリー :独自ブロックチェーン構築フレームワークであるSubstrateの処理性能を向上させる技術「Plasm Network 」を研究・開発する企業「Stake Technologies 」が「Web3 Foundation 」から世界最多となる4度目(注1)の助成金を獲得した。
背景
世界的なブロックチェーン財団であるWeb3 Foundationは、「Polkadot (注2)」のエコシステムに貢献するプロジェクトに対して助成金を付与している。Web3 FoundationはEthereumの共同創業者兼元CTOであるGavin Wood氏が設立した財団であり、次世代のWebであるWeb3.0の実現をビジョンに据え置いている。
本助成金に関して
第4回目となる今回の 助成金は、Stake Technologiesの開発するPlasm Networkに対して付与された助成金であ り、 「 Cryptoeconomics Lab (注3)」 と共同で獲得したものである。
今回の実装内容としては、Substrateで開発しているPlasm Networkの新しいインセンティブ設計(DApps開発者がDAppsを開発することで、ブロック生成報酬からベーシックインカムがもらえる(注4))及びOVM(注5)である。OVMに関しては Cryptoeconomics Lab と共同して開発を行う。
上記で述べた財団や企業、プロジェクト名の関係図は以下の画像のように関係をまとめられる。
Image Credit : Stake Technologies
話題のポイント :Plasm NetworkはPolkadotに初期に繋がることを想定したブロックチェーンであり、処理性能の向上に特化したレイヤー1のブロックチェーンです。Polkadotの本体はスマートコントラクトをあえてサポートしていないため、Polkadotに接続するブロックチェーンにおいて処理性能の高い基盤が必要とされています。
Image Credit : Stake Technologies
Plasm Networkはこうした要望に答えるためのブロックチェーンであり、DApps開発者はPlasm Network上にアプリケーションをデプロイすることによって、Polkadotに接続さてている異なるブロックチェーンと相互に運用性を持つことになります。
たとえば、処理性能向上に特化したPlasm Netwrokとステーブルコインに特化したブロックチェーン、プライバシーに特化したブロックチェーンがPolkadotを経由して繋がった場合、高速匿名ステーブルコイン決済などの応用例の実現が見込まれています。
上記の例において、処理基盤として処理性能の高さは不可欠であるため、Plasm Netwrokが求められることになります。ちなみに、Pokadotネットワークは未だ実験段階で、メインネット・ローンチ時期は今年2020年の初旬頃とされています。
今回の助成金獲得について、Stake Technologies創業者兼CEOの渡辺創太氏 は、本誌インタビューに対し以下のようにコメントしています。
今回、世界最多の4回にわたりWeb3 Foundationからご支援をいただき非常にありがたく思います。Stake Technologies社はWeb3.0の実現をミッションに置く会社です。同じ志を持つWeb3 Foundationと協力しつつ、Web3.0を実現するインフラを我々が引き続き作っていきたいと思います。 Foundationからの期待を背負いつつ、この大きなムーブメントに日本のスタートアップとして最前線で勝負できるようにこれからもがんばります。応援よろしくお願いします。
現時点でPolkadotエコシステムにおいて4度の助成金を獲得しているプロジェクトは、同社の他にはわずか数社しかおらず、またGavin Wood氏によって同エコシステム内における注目のプロジェクトTop3に選ばれていることからも、Plasm Networkのポテンシャルの高さが伺えます。
今後Substrateがブロックチェーン業界で広く普及した際に、その処理性能向上インフラとして、同社の技術もまた広く利用されていく未来がくるかもしれません。今後の同社の発展に期待が高まります。
なお、現在Plasma Networkは テストネットローンチ を終え、世界中からバリデータ(ネットワーク検証ノード)を募集しています。
<参考記事>
(注1)グラント: 1回目 、2回目 、3回目
(注2) Polkadot : Web3 Foundationがリード開発をするPolkadotとは、異なるブロックチェーン間を繋ぐためのブロックチェーンであり、Web3.0の基盤となることが想定されている。6月時点で約1300億円 の時価総額を持ち、今後が期待されるブロックチェーン・プロジェクトの1つである。
(注3) Cryptoeconomics Lab : Ethereumブロックチェーンの処理性能向上を目指すレイヤー2ソリューション「Plasma」を研究開発する日本企業。
(注4) 参考: Dapps 開発者がマネタイズするためのブロック生成報酬とは
(注5) OVM : OVMとはブロックチェーンにおけるレイヤー2ソリューションを構築するためのフレームワークであり、PlasmaやLightning Networkなど様々なソリューションを実装することができるようになることが予想されている。