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2015年の世界スタートアップ・エコシステム・ランキングが発表

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本レポートのフルバージョンは、こちらからダウンロード。 世界スタートアップ・エコシステム・ランキングへようこそ。前回のスタートアップ・エコシステム・レポート発表となった2012年11月から約3年の月日が流れたが、それ以降もスタートアップ・セクターは良いペースで成長を続けている。 2015年のランキングのポイントは、内容を刷新したコンポーネント・インデックスで、世界中の20のスタートアップ・エコシス…

本レポートのフルバージョンは、こちらからダウンロード。

世界スタートアップ・エコシステム・ランキングへようこそ。前回のスタートアップ・エコシステム・レポート発表となった2012年11月から約3年の月日が流れたが、それ以降もスタートアップ・セクターは良いペースで成長を続けている。

2015年のランキングのポイントは、内容を刷新したコンポーネント・インデックスで、世界中の20のスタートアップ・エコシステムの情報をランキングしている。このインデックスは、パフォーマンス、ファンディング (資金調達)、タレント(人材)、マーケットリーチ、スタートアップ・エクスペリエンスの5つの主要なコン ポーネントでランキングしたものだ。

1. スタートアップ・エコシステムにおける、社会経済影響度の上昇

20年前、ほとんどのテック・スタートアップはシリコンバレーやボストンのようなスタートアップ・エコシステムで設立された。今日、テクノロジー起業は世界的な現象であり、シリコンバレーのようなスタートアップ・エ コシステムも世界中で急速に成長を見せている。互いにつながりあった、世界的なスタートアップ・コミュニ ティが形成されつつあり、この新しい経済の世界をナビゲートしてくれる術を誰も提供してくれない中で、我々は頼りになるようなデータや数字を集めた。

2011年9月、起業が活発化し、それが生じる背景についてブログを書いた。現在はその真っ只中にあって、起業家がスタートアップをスケールさせ、これまでにないスピードでユニコーンへと成長させるための、さまざまなツール、リソース、市場条件が整い、またとないタイミングと言ってよいだろう。

世界中のスタートアップ・エコシステムの隆盛は、現在起きている社会経済構造の変換の一つとして見られるべきだ。情報時代のビジネスは経済成長を支配する源となり、これまでの時代の多くの工業やサービスビジネスを自動化したり、別のものに取って代わったりしている。この構造変化の部分々々を別の表現で説明する人も少な くない。Marc Andreessen は Wall Street Journal のエッセイの中で「ソフトウェアが世界を飲み込む理由」と書き、Deloitte の Center for the Edge が半年に一度発表するレポート「Shift Index」、Richard Florida の Creative Class Group は「クリエイティブ・クラスの隆盛」など、このテーマに関して多くの書籍を出版している。

テクノロジー・スタートアップが情報経済で重要な役割を占めることを考えれば、健全なスタートアップ・エコシステムこそが、将来において重要性を増してくる。このレポートでは、起業家、投資家、立案者に対しては、我々が収集分析したデータ無しには回答が難しい重要な問題に答え、一般の人々に対しては、スタートアップ・エコシステムにおける社会経済の重要性が増していることを気づいてもらい、世界中のスタートアップ・エコシステムの発展を加速させたいと考えている。

このレポートの主な目標の一つは、さまざまな業界関係者が、以下のような質問に答えやすくすることだ。

a) 起業家に対して

「新しい会社を始めるとしたら、どこがよいか?」
「準備はできているが、私のスタートアップの2つ目のオフィスはどこに開設すればよいか?」

b) 投資家に対して

「ただ身近にあるというだけで、自分の地元のスタートアップ・エコシステムにのみ投資するのではなく、世界中に投資機会を見出すにはどうすればよいか?」

「新興のスタートアップ・エコシステムに関する情報が無いため、新しい投資機会を見出す上で、どの市場にフォーカスすべきかをどう判断すべきか。」

c) 立案者に対して

「自分の地域のスタートアップ・エコシステムの成長を最大化する上で、どのイニシアティブを優先すべきか?」
「このようなイニシアティブの進展をどのように計測すべきか?」

d) 他のすべての業界関係者に対して

「私のいるエコシステムで、全般的な活気や起業家精神を高めるための最良の方法は何か?」

2. 世界スタートアップ・エコシステム・ランキング2015

難しい話は抜きにして、ランキングと分析をご紹介しよう。

重要な事項として、このインデックスには中国、台湾、日本、韓国のスタートアップ・エコシステムは含まれていない。言語障壁の問題から、我々の力ではランキングに必要な情報を十分には集められなかったからだ。今年後半のランキングには、これらの国々のエコシステムの情報も含めたいと考えている。

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3. 5つの重要な発見

1. エコシステムは互いにつながりあい、スタートアップ・チームはより国際的になっている。

a) スタートアップに対する投資において、地元からではなく世界から出資がなされる割合

トップ20のエコシステムのすべての資金調達のうち37%は、少なくとも一つ以上の他のエコシステムからの投資家を受け入れている。北米においては41%。

すべての投資ラウンドのうち27%は、少なくとも一つ以上の投資家を海外から受け入れている。(北米20%、ヨーロッパ38%、アジア太平洋地域29%)

b) 世界に散らばるスタートアップ・チーム

トップ20のエコシステムのうち、スタートアップの拠点を置くエコシステム以外に設置されたセカンド・オフィスの数(別の場所で設立され、移転してきたスタートアップ)は、2012〜2014年で8.4倍に増加している。

c) 国際チーム

スタートアップにおける外国人雇用者の数は、トップ20のエコシステムで平均29%(シリコンバレーでは45%)。

2. グジット・バリュー

トップ20のエコシステムでのイグジット・グロースの合計数は、2012〜2014年で年間78%増加している(40% は IPO、60% は買収)。

イグジット・バリューの成長率を見てみると、シリコンバレーではこの2年間で47%上昇しており、他のエコシステムではこの値はさらに著しいスピードで上昇している。

ロンドンは同じ期間で成長率が4倍、ベルリンは20倍に成長している(これは主に、Rocket Internet と Zalando による2つのIPOの影響を受けたもの)。

<イグジット・グロース一覧表>

平均より2倍以上の成長を見せたエコシステム
Berlin 20倍
Bangalore 5倍
Amsterdam 4倍
London 3倍
Tel Aviv 2倍
平均より1.5倍以上の成長を見せたエコシステム
Seattle 1.5倍
Austin 1.5倍
Boston 1.5倍
平均的な成長を見せたエコシステム
Singapore 1倍
Vancouver 1倍
比較的穏やかな成長を見せたエコシステム
Los Angeles 0.5倍
Silicon Valley 0.5倍
New York City 0.5倍
停滞気味のエコシステム
Paris 0倍
Moscow 0倍
Chicago 0倍
Sydney 0倍
Toronto 0倍

ヨーロッパ 対 アメリカ

アメリカの上位エコシステムよりも、ヨーロッパの上位エコシステムの方がイグジット・バリューの成長スピードは著しく速い。2012〜2014年で比べてみると、アメリカの1.5倍に対して、ヨーロッパの4.1倍だ。2014年で見てみると、イグジットの規模では、ヨーロッパよりもアメリカは平均34%大きい値となっている。

分析

他のエコシステムが短期的には速いペースで成長しながらも、従来からある8対2の力関係の均衡に向けた収束への期待から、今後数年間にわたり、シリコンバレーは現在の位置に君臨を続けると考えられる。つまり、シリコンバレーは全体のイグジットの30〜50%をつかみ、次なる3つのスタートアップ・エコシステムが全体の30〜50%をつかみ、さらに、次なる16のスタートアップ・エコシステムが残りの20%を分け合う、という図式だ。

3. スタートアップ・エコシステムにおける、VC投資のトレンド

トップ20のエコシステムにおけるVC投資は、2013〜2014年にかけて、全体で95%上昇している。

a) VC の成長

VC 投資の際立ったエコシステムは、ベルリンの12倍、インド・バンガロールの4倍、アメリカ・ボストンの3.7倍、オランダ・アムステルダムの2倍、アメリカ・シアトルの2倍だった。一方、シリコンバレーは2013〜2014年にかけて93%成長と概ね倍の成長を遂げており、CrunchBase によれば、シリコンバレーにおける VC の増加の多くは、アーリーステージよりも、レイトステージのシリーズ B からシリーズ C+ にかけてのものである。この傾向は比較的鈍化している。

b) シードラウンドの増加

この2年間で、シードラウンドの数において、最も年間成長の速かったスタートアップ・エコシステムは、インド・バンガロールの53%、オーストラリア・シドニーの33%、アメリカ・オースティンの30%だった。アメリカ・ボストンのほか、カナダのバンクーバーやモントリオールも、わずかながら値を伸ばしている。

4. 2012年からのランキング変化:勝者と敗者

大きな跳躍を見せたスタートアップ・エコシステムは、ニューヨーク、オースティン、バンガロール、シンガポール、シカゴだった。ニューヨーク市は、常連組の中でも著しい成長を見せ、5位から2位の座へと上昇。テキサスのオースティンは、3年前のランク外の状態から14位の座へと駆け上がった。バンガロールは19位から15位、シンガポールは17位から10位、ベルリンは15位から9位、シカゴは10位から7位へランクアップした。

大きなランク下降を見せたエコシステムは、バンクーバー、トロント、シドニー、シアトルだ。バンクーバーはトップ10位から脱落し、9位から18位へ。トロントは8位から17位へ、シドニーは12位から16位、シアトルは4位から8位にランクダウンした。これらのエコシステムは過去3年間成長はしているが、他のエコシステムほどスピードが速くないため、取り残されてしまう危険をはらんでいる。

2012年以降、完全にランク外に落ちてしまったエコシステムは、チリのサンチアゴ、オーストラリアのメルボルン、カナダのウォータールーだ。サンチアゴは当初は著しい成長を見せたが、すぐにそのピークを見せ始め、メルボルンやウォータールーの成長はそれぞれ、シドニーやトロントといった近接する大きなスタートアップ・エコシステムの影響を被った。性格の似通った小規模なエコシステムはしばしば、近接する大きなエコシステムに人材や資本が飲み込まれる傾向にあるため、成長を続ける上で難しいことがある。

5. スタートアップ創業者における、男女の共同参画

すべてのスタートアップ・エコシステムにおいて、男女の共同参画は不足傾向にある。心理学者や社会学者が 50/50 こそ求めるべきもの、として議論を続ける一方で、男性と女性の創業者割合が同じになりつつあるエコシステムは存在しない(フロリダ州立大学の心理学教授 Roy Baumeister 氏による、この記事を参照のこと)。

概して言えば、女性起業家のトレンドは上昇傾向にある。世界のスタートアップ・エコシステムにおける女性起業家の数は、この3年間で80%増加した。トップ20のエコシステムのスタートアップを見てみると、2012年にはスタートアップの10%に女性起業家がいたが、現在では世界平均で18%に伸びている。女性創業者が30%を占めるシカゴでは、トップ20のエコシステムの中でも女性起業家の割合が最大数を占めている。

4. 2012年から何が変わったか? その背景は?

CrunchBase や他のデータ供給元、60以上のローカル・パートナーの協力により、多くのデータをもとにして、2015年のレポートは利益をもたらした。このレポートは、それぞれのエコシステムに対して、より内容が濃く、より正確な評価を可能にするだろう。スタートアップ・エコシステムがどのように機能し、どのように発展しているか、専門家の視点を反映した、より適合性の高い数学的モデルの開発も実現できるだろう。この高品質なモデルは、より改善されたスコアリング・ランキング手法の礎となるものだ。

今回のレポートでは、(従来版に比べ)我々の計測・分析手法に以下のような変更を加えた。

a) エコシステム価値(イグジットや資金調達における、スタートアップ企業価値の合計金額)の追加

b) より改善された見積数の包含(エコシステムにおけるスタートアップの合計数)

c) パフォーマンス・インデックスから、「人口一人当たりに対するスタートアップの数(スタートアップ密度)」を削除

これらの変更は、テルアビブもそうであるし、カナダのウォータールー地域が55万人しかいないにもかかわらず、比較的高い成長率を保っているためだ。しかも、これらの地域は2012年版よりも2015年版において、ポジションを下げている。ニューヨーク市が高いポジションにつけていることにも説明がつく。

【via Compass】 @startupcompass

【原文】

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起業家精神のセレブ化は危険なものか?

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【原文】 テック起業そのものがセレブ化しつつあることは明らかである。以下は、アメリカ全体のレベルで見た実情を手早くまとめたものだ。 セレブによるスタートアップ投資が生み出したもの Facebook 創業への道のりが、長編ハリウッド映画「ソーシャル・ネットワーク」の中で描写されている。Ashton Kutcher、Justin Timberlake、MC Hammer、Lady Gaga、Justi…

【原文】

テック起業そのものがセレブ化しつつあることは明らかである。以下は、アメリカ全体のレベルで見た実情を手早くまとめたものだ。

セレブによるスタートアップ投資が生み出したもの

Facebook 創業への道のりが、長編ハリウッド映画「ソーシャル・ネットワーク」の中で描写されている。Ashton Kutcher、Justin Timberlake、MC Hammer、Lady Gaga、Justin Bieberなど、ハリウッドのセレブたちがテック・スタートアップに投資、シリコンバレーでその名を定着させつつある。主要なテック・スタートアップによる雇用機会増大で、ホワイトハウス承認Startup America Partnershipなどのプログラムが増加。Bloombergがニューヨーク・バージョンのTechStarsと称されるアメリカンアイドル風のテレビ番組を制作し、Bravoも「Silicon Valley」という本格的なリアリティショーを制作している。そして、FacebookからZynga、Groupon、Pandora、LinkedInまで、株式上場する新たなテック企業が増えている。

このような注目の結果、TechCrunchが「役に立たない、新時代のシリコンバレー(The New Silicon Valley Douchebag)」と呼ぶ現象まで起きた。今は誰も彼もがエンジェル投資家で、起業家のセレブ化が進むばかりだと言っても過言ではない。

起業家精神のセレブ化は、諸刃の剣

さて、この諸刃の剣をどう扱うのかという話から始める必要がある。そうすれば、シリコンバレーの精神が注目の熱で消えてなくならずにすむからだ。

セレブ化がどうして諸刃の剣なのか? ある面で、セレブ化は世界中から才能のある人を新たに数多くシリコンバレーに惹き付け、多くの多感な若者にウォール街の銀行マンやハリウッドスターになるよりも起業家になりたいと思わせる。これは間違いなくとても良いことだ。シリコンバレーの気質は、ほとんどの若者が世界中で聞かされる話よりもはるかに力を与えるものだ。数ヶ月前、私たちのオフィスにはデンマークの起業家団体が訪れていた。彼らによれば、デンマークの若者が世界を変えたいと話をすると、ほとんどの人がその若者たちに「世界を変えようとするあなたは誰ですか? 座って机に向かいなさい。学校へ行き、仕事に就きなさい。まずは自分を知りなさい。」と言うらしい。

そんなよく聞かされる話を、完全になくしたいと私は思う。だが、社会の流れを逆方向に動かしたりせず、起業は誰にでもできて、すぐにお金持ちで有名人になれるという幻想を広めるのはやめよう。Eric Ries氏は最近、「起業はクールじゃない、魅力的でもないし、本当に厄介だ。退屈で疲れる。こういうことは絶対に映画のシーンにはない。」と好んで言うようになった。私も、そういうことがBravoのリアリティ番組で取り上げられるとは思わない。

セレブ化の影響によって、あるタイプの人たちが突如として急増している。私たちはその人たちを「スターに憧れる起業家」と呼んでいるのだが、こういう人たちが急増していことは、健全なスタートアップのエコシステムにとっては実に危険だ。数ヶ月前、College Humorが「スターに憧れる起業家」についての面白い風刺ビデオを発表した。悲しくも、少し痛いところを突いている。

スターに憧れる起業家

「スターに憧れる起業家」には2つのタイプがあるようで、1つめはハリウッドから来た何もしない「アイデアマン」で、次世代のソーシャルメディア・アナリティクス・プラットフォームでびっくりさせようとする。あるいは、MBAを取得したばかりの自称「ビジネスモデルとマネタイズのエキスパート」なのかもしれない。このタイプは嫌らしいほどほら吹きだが、害は比較的少ない。

2つめのタイプはさらに危険だ。このタイプにはテックプロダクトの構築に豊富な才能を持つエンジニアやデザイナーが含まれるのだが、彼らはセレブ化の熱に影響され、「こんにちは。私はXXアプリの創設者でCEOです。」と言おうとする野心を抑えている。だから、大きな問題を実際に解決し、将来ビッグになるような企業に彼らの才能を活かす代わりに、誰も欲しがらない退屈なiPhoneアプリをまた作ってしまう。その結果、ビッグになりうるスタートアップの多くが、雇用する人も見つからず、機能しないチームに悩まされている。

この「スターに憧れる起業家」ウィルスを、伝染する羞恥の病、もしくはもっと悪い状況になる前に、駆除する必要がある。このウィルスがなぜそんなに致命的なのかという理由は、うわさや混乱の高まり、モチベーションの低下、才能の不適切な活用によって、 アーリーステージのスタートアップ・エコシステムが起業家の経済的可能性および社会的影響を容赦なく制限してしまうからだ。

幸い、2つの「スターに憧れる起業家」タイプには同じような治療方法がある。私は、社会学的で方法論的という2重の長期的アプローチを勧める。(「スターに憧れる起業家」は経済的影響においても長期的な社会への影響においても何も達成していない。)

 

「スターに憧れる起業家」を撲滅する方法

「スターに憧れる起業家」ウィルスの撲滅に効くアプローチの1つは、その感染者を無視することだ。スターに憧れるという自己愛性人格障害者から活力、すなわち、「注目されるということ」を奪う。

もっと深刻な場合には、もっと強硬なアプローチを用いる方がいいかもしれない。妄想的な陰謀者のまねをして、「確認」「中傷」「無効」「消滅」という4段階のアプローチを通じて戦おう。「スターに憧れる起業家」からアイデアを聞くとき、微笑んだり、うなづいたり、(たとえ冗談でも)「すばらしいアイディアだ」と言ったりしてはいけない。彼らのアイデアはつまらないと言おう。もしくは、少しはっきり言い過ぎだと思うなら、少なくとも、取り組みの中でそれが本当に一番重要なことなのか、一生砂糖水を売りたいのか、それとも世界を変えたいのかと聞いてみる。

ハリウッドの栄光を忘れ、現実世界に戻って考えてみる

秩序立てて言えば、投資家も起業家も企業がスタートアップのライフサイクルのどこに位置するのかをよりよく認識し、結果を見守る必要がある。(Startup Genomeはスタートアップライフサイクルの成長段階を「発見」「承認」「効率」「拡大」と呼んでいる。)「発見」と「承認」の段階を通過する必要性を標準化すれば、特に、何ということもない新たな「to-do リスト」アプリを誰も欲しがっていないことが数ヶ月で明らかになるだろう。そして投資家は適切な額の投資をすることができ、起業家らもロープを隠し持って自分の首をつることもない。このアプローチは実践的で、人は起業する権利を持つべきではないという非現実的な権威主義を回避する。これは、「スターに憧れる起業家」に空想を追い求めるなと言っているのではない。力で素早く、彼らと彼らのハリウッドの栄光を現実の世界に引き戻し、実際に重要である仕事をさせるようとするだけだ。これによって、明日の経済を動かすスタートアップ・エコシステムのガラクタは片付く。

テック起業界は、継続的な経済繁栄につながる、世界で最良の道筋の1つとして、当然、多くのメディア、注目、お金を引き寄せている。だが、真に世界を変えるような企業を作っている人たちだけに、称賛が与えられるということを学ばなければならない。さもないと、「スターに憧れる起業家」ウィルスが蔓延してしまう。

起業家のパワーが高まるにつれ、私たちがどうして起業するのかという理由を、社会が必死で思い出そうとするのを見たいものだ。名声、称賛、お金のためではない。それは、世界を変え、人類を前進させるプロダクトを構築するためなのだ。

【via Startup Compass】 @startupcompass


著者紹介:マックス・マーマー

マックスは、Startup Genome の創業者で、イノベーションや経済成長の論客であり、スタートアップの失敗率の高さについて言及している。Startup Compass は、世界1万6千社以上のスタートアップに採用されている。 Twitter アカウントは @maxmarmer.

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減りゆく「アイデアの変革」—スタートアップ創業メンバーに必要な〝ドメイン・エキスパート〟の存在とは?

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【原文】 これは、HBR(ハーバード・ビジネス・レビュー)の「起業精神の変革 (Tranformational Entrepreneurship)」シリーズの第2稿の再掲である。シリーズ第1稿では「起業精神の変革」の定義と、本稿で引用した「社会経済学の価値創造のマトリクス」について記述している。 投資に対するリターンは減少し、ファンドは干上がり、ビッグアイデアを推進する起業が減っていることを懸念す…

【原文】

これは、HBR(ハーバード・ビジネス・レビュー)の「起業精神の変革 (Tranformational Entrepreneurship)」シリーズの第2稿の再掲である。シリーズ第1稿では「起業精神の変革」の定義と、本稿で引用した「社会経済学の価値創造のマトリクス」について記述している。

投資に対するリターンは減少し、ファンドは干上がり、ビッグアイデアを推進する起業が減っていることを懸念するベンチャーキャピタリストは少なくない。ベンチャーキャピタリストである彼らは、「すべての起業家に対して、紙くずのような会社を設立することをけしかけ、Googleに2500万ドルで買ってもらえることを期待してきた」と、エンジェル投資家を非難するようになった。

ベンチャーキャピタリスト達は「このような物事を小さく考える姿勢が、次のGoogleやMicrosoftを作れる起業家に対し、つまらないものを作らせるようになった」と言う。スタートアップ・エコシステムに対しても、「全員負ける。IPOも無し。テック業界には、2万人の職は生まれない。未熟なスタートアップには新たな買い手もつかない」という暗示を送っている。

残念ながら、このベンチャーキャピタリスト達は、因果関係をはき違えている。エンジェル投資家が、起業家に物事を小さく考えさせているわけではない。物事を小さく考える起業家が多いだけのことだ。その理由は、起業コストが驚くほど低くなっていて、全く新しい層の起業家が会社を作るようになっているからである。

「紙くずのような会社」を作る創業者は、次世代を担う数十億ドル規模の会社を始める創業者とはタイプが異なる。前出の創業者は世界を変えたいわけではない。彼らは、自分の家族を養ったり、車を買ったり、自由を得たりするのに必要なお金を得たいだけなのだ。これらの人達は、情報経済の中でパパママの零細企業を経営しているに過ぎない。昔のレンガやモルタル職人より、テクノロジーのおかげで収入が多いだけのことだ。レストランや美容院を始める代わりに、彼らは何千とあるレストランや美容院に使ってもらうクーポンアプリを作るのだ。

このこと自体は、スタートアップのエコシステムや経済にとって悪いことではない。むしろ逆だ。ファットヘッド(訳注:ロングテールの対義語、ニッチをやらない)の企業しかいない社会と違って、何百万の「Yというニーズに対してXが欲しい」というニッチな要望を叶える、何千万という小企業がロングテール状に生み出されることになるからだ。

そして、時として、彼らはニッチな市場が、当初思っていたより大きいとわかる。リビングルームにエアマットレスを敷いて貸し出すサービス(訳注:AirBnBのこと)が、旅行レンタル市場やホテル業界を揺るがす程の数十億ドル規模の企業に成長することが想像できただろうか。見識のある多くの投資家でさえ知る由がなかったことを、私は知っている

ロングテールの台頭がベンチャーキャピタリストに与えた唯一の悪影響は、ノイズが増えた環境の中で、投資対象の選別能力を高めなければならないことだ。現在、スタートアップのエコシステムが、「パパママ零細起業家」と「次世代の数十億ドルビジネスを作る、成長力あふれた起業家」を選別することができず、多くの人の時間と労力を浪費せしめている。

ビッグアイデアの欠如は、誰のせいか?

ビッグアイデアが減少していることで、ベンチャーキャピタリストがエンジェル投資家を責めることは間違っているし、スタートアップの起業コストが低下したので、物事を小さくしか考えられなくても起業家になれた人は多いが、一方、ビッグアイデアを持つ起業家の絶対数が少なくなっているという、ベンチャーキャピタリストの指摘は的外れではないと思う。

しかし、原因は少し違うところにあると思う。私は、ソフトウェア企業のビッグアイデアが減っている原因は、シリコンバレーの創業者チームが画一的になってきているからだと考えている。創業者チームが市場に極めて合致した顔ぶれでないかぎり、数十億ドル規模の企業は実現しない。(現在では、「創業者の市場適正化(Founder Market Fit)」と呼ばれる)

これまで、成功を導く魔法の方程式は、一人か二人のエンジニアと一人のビジネスマンで成り立っていた。多くの大成功はこのパターンに従った。Hewlett氏とPackard氏(Hewlett Packard)、Jobs氏とWozniak氏(Apple)、Gates氏とAllen氏(Microsoft)、Ellison氏とMiner氏(Oracle)、Larry氏とSergey氏(Google)、Thiel氏とLevchin氏(PayPal)など、リストは延々と続く。

これらの企業を数十億ドル規模にした革新は、コンピュータ・ハードウェアやソフトウェア・インフラストラクチャの分野に限られた。彼らは、計算機、パソコン、データベース、検索エンジン、決済システムを作った。この方程式は上手くいった。テクノロジーの天才と雄弁で催眠術をかけられるセールスマンが手を組めば、数十億ドル規模のテクノロジー企業のDNAを持つことになる。

しかし時代は変わった。これらの斬新なアプリケーションは今日のインフラとなり、さらなる数十億ドル規模の会社をもたらす新しい波を作った。この7年で、テクノロジーの天才と催眠術をかけられるセールスマンだけでは、十分ではないことが明確になった。この世代の成功する創業者チームのDNAには、新たな能力が現れ始めた。

それはデザインだ。デザインはどこにでもある。デザイン思考デザインカンファレンスデザイナーファンドデザインセレブ。全て揃っている。もし、デザインを競合との差別化のカギとしている企業を挙げる必要があるなら、その企業を見つけるのはそう難しいことではない。一例を上げるなら、MintSquareQuoraAsanaPathなどがそうだ。

デザインとは、美しいインターフェイスだけを言っているのではない。デザインとは、エンドユーザのモチベーションと能力を深く理解し、複雑なテクノロジーを統一された直感的なプロダクト体験に取り入れることを意味する。

なぜ、今デザイナーの時代なのか?

インターネットとテクノロジーは、あまねく前向きに進化する。インフラの上にインフラが作られ、今まで不可能だったことに対して新しい可能性を開く。デザイナーの価値が上げるには、きれいな「AJAXの魔法のショー」を支えるために、ウェブに速さと強さが必要だった。

デザイナー達は、美しく直感的なユーザ・インターフェースに喜んでお金を払ってくれる、数十億人の消費者をインターネット上に迎える必要があった。史上最大のしくみ(=インターネット)から利益を得ていた白人のエグゼクティブ・マネージャーは給料が下がり、テクノロジー企業は、もはや長い付き合いの主要顧客ではなくなった。

しかし、私は、デザイナー主導のチームも、市場に不適応になりつつあると考えている。インターネットは必要なインフラを整え、世界中の産業を創造し直し変化させ、世界レベルのユビキタスを実現した。しかし、シリコンバレーの考えでは、閉塞感を打ち破るのに、数人の「ロックスターエンジニア」と「スーパースターデザイナー」が居れば十分だ。

このようなタイプのチームは部屋に閉じこもり、ビッグアイデアを考え、それを実行していくことができた。今では、エンジニア2人とデザイナーを一緒にして、新しいスタートアップのアイデアを考えさせたとしても、50%以上の確率でモバイル用の写真共有アプリを作り出すのが関の山だろう。このチームの能力は、デジタル業界の次なる進化が一般消費者向けに直感的なソフトウェアを作り出していたとき、医者が指示したことに他ならない。このチームは今、創造力の限界にぶち当たり続けている。

次はどうなる? 革新的なアイデアは使い果たしてしまったのか?

問題は、我々が既知のモノを新しいモノに変化させることで〝創造〟をする一方、エンジニアが理解しているのは、クラウド、モバイル、ソーシャル、ビッグデータのような新しいテクノロジートレンドでしかない、ということだ。これはチームが解決しようとしている問題が、根本的にテクノロジーの問題であるうちは問題が無かった。

しかし、現在、「純粋な情報テクノロジー」が可能にした領域では、変革が起きる可能性は限界に達している。ソフトウェアの新境地は、高度に進化した、そして導入しやすくなった技術スタックを、ビジネスの新しい領域に取り入れていくことだ。そういった領域では、テキストエディタを駆使したり、LAMP スタックを新しいものにするだけでは問題をを解決できない。

革新の行き詰まりから脱却するには、創業者チームの多様化しか道はない。私は、変革する企業の創業者チームのDNAに足りないのは、彼らが変化を起こそうとしている、産業分野の実情を良く知る〝ドメイン・エキスパート(特定分野の専門家)〟であると考えている。ドメイン・エキスパートなしでは、アイデアはイマジネーションのないものとなり、話が実現につながらない。

教育、ヘルスケア、ビジネス、アート、政府など、テクノロジースタートアップが変えることのできる産業は多く存在する。「ロックスター・エンジニア」や「スーパースター・デザイナー」とチームが組めるドメイン・エキスパートはどこにいるのだろうか。

彼らの多くは、本、講演会、大学の授業、コンサルティングセミナー等で自分のアイデアを広めようと放浪していて、彼らのアイデアをソフトウェアのアプリに落とし込める可能性にまだ気づいていない。アプリこそ、人々の生活を変え、社会に影響を与える可能性が驚異的に高いアプローチであるのにもかかわらず。

この考察に至ったのは、私がStartup Genome チームにおける、よい肩書きを付けるのに悩んでいる時だった。チームの中で、私の重要な役割は、革新のプロセスやビジネスの進化を説明できる、モデルやフレームワークを構築することだ。ならば、私の肩書きには何がふさわしいか? よい言葉が見つからなかった理由の一つは、私がやっていた昔ながらの仕事が、学術書や本に書かれていそうなものだからだと気づいた。

最近になって、この知識をソフトウェア・プロダクトに落とし込める要素が揃って来た。これが実現すれば、何百万という企業やビジネスの、日々の意思決定を向上させることができる。

今では、私はコラボレーションの機会を多く逸していたことがわかった。世界にはたくさんの素晴らしいドメイン・エキスパートと、たくさんの良いソフトウェアを作れる人がいるが、彼らが互いに話すことは稀だし、無論共に仕事をする機会も少ない。

  • 個人向けの金融ソフトウェアを作っている人が居るが、彼らはNew York Times でベストセラーとなった、Ramit Sethiの大変効果的な6週間の個人金融講座のことを知らない。

  • 個人の成長と精神的な豊かさをもたらすソフトウェアを開発しようとしている人が居るが、彼らは Integral Life Practice のことを知らない。
  • 生産性を上げるアプリを開発している人が居るが、彼らは GTD や さらに重要な Energy Managementについて知らない。

商品開発チームは、革新的な変化をもたらす上で、友達作り、フォロー、共有といった、〝本日のスープ〟のようなテクノロジーの機能だけで十分と考えている。初歩的で誰をインスパイアすることもないセオリーが、商品のデザインを侵蝕してしまっている。

この世界は素晴らしい研究やセオリーに満ちている。それらのアイデアを、日の目を見ない文書や日常的でない場所から引っ張り出し、電子化し、社会の力となるソフトウェア・ツールにする時が来ている。

シリコンバレーでは、変革のアイデアに取り組むチームは減少しており、これが画一的な創業者チームばかりが生まれる最大の理由だ。我々 Startup Genome は、ビジネスマンとエンジニアという、ダイナミックな二人で始まった。

最近になり、デザイナーも加わった。数十億ドル規模の企業に成長させられるような、創造的なプロダクトを作り出し、何千という雇用を作り出し、社会を変えるには、〝ドメイン・エキスパート〟をテクノロジー企業の創業者チームのDNAに組み入れる必要があるだろう。

この話題を取り上げたのは、「アイデアの変革」が欠如しているからだけではない。既存の科学常識との対立や、長期に及ぶ考察を嫌って、科学や技術においてもブレイクスルーが減ってきていることも議論に値する。これらのことは、The Innovation Starvation(仮訳:枯渇するイノベーション) や、In Search of Black Swans(仮訳:ブラックスワンを探せ)に記述されている。

【via Startup Compass】 @startupcompass


著者紹介:マックス・マーマー

マックスは、Startup Genome の創業者で、イノベーションや経済成長の論客であり、スタートアップの失敗率の高さについて言及している。Startup Compass は、世界1万6千社以上のスタートアップに採用されている。 Twitter アカウントは @maxmarmer.

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