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ウォータールー~カナダの小都市が世界的なスタートアップハブになりえた理由(1/3)

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本レポートはCompass(元 Startup Genome)の最新レポートであり、エコシステム・ライフサイクルモデルを最初に紹介し、世界中のスタートアップとエコシステムのリーダーが活用できる教訓を提供している。2015年グローバルレポートのために編纂された膨大なデータを用いてエコシステムを深く解析した本レポートは、中小のエコシステムがトップクラスのそれらと対等に戦うための指針を提供している。 C…

本レポートはCompass(元 Startup Genome)の最新レポートであり、エコシステム・ライフサイクルモデルを最初に紹介し、世界中のスタートアップとエコシステムのリーダーが活用できる教訓を提供している。2015年グローバルレポートのために編纂された膨大なデータを用いてエコシステムを深く解析した本レポートは、中小のエコシステムがトップクラスのそれらと対等に戦うための指針を提供している。

Compass.coサイトで貴社の成長性の指標を即座に知ることが可能である。こちらのリンクを参照されたい。

レポート全文はこちらのリンクからダウンロード可能である。

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中心部の King Street を南側へ臨む。(Image Credit: Wikipedia

スタートアップ革命は世界的に起きている現象である。スタートアップが世界中で雇用創出と経済成長を加速させる主役となっているのに対して、大企業は資産に対する利益の低下を補うために、雇用を減らし続けている。

しかし、多くの都市はスタートアップ・エコシステムの成功の仲間入りをすることに難儀しており、世界から起業家や投資家を呼び込む競争で多くの困難を強いられている。彼らはシリコンバレーのような、トップクラスのスタートアップ・エコシステムの成功談の多さに惹かれて集まるものである。

幸いなことに、いくつかの中規模の都市は、「殻を打ち破る」ことができ、先頭に踊り出ている。人口200~300万規模であるテルアビブのスタートアップ・エコシステムは、世界5位にランクインしており、オースチンおよびバンクーバーも、トップ20の一員である。どれも目覚しい功績といえる。

<関連記事>

現実世界のダビデとゴリアテといえるのがカナダのウォータールー地域であり、人口50万人に過ぎないのに、2015年のグローバルスタートアップ・エコシステムランキングで25位にランキングされている。ウォータールーのスタートアップ密度はシリコンバレーに次ぐ2位であり、3位以下を優に50%上回っている。このような小規模の都市が、リオ、アトランタ、ローマといった10~30倍の規模の都市と争えるのだろうか? 革新的な技術およびスタートアップを生み出せる生産性や効率はどこから来るのだろうか?

ここでウォータールーから得られる教訓は、スタートアップ・エコシステムと経済の成長を目指す世界中のステークホルダー、つまり投資家、ビジネスリーダーから、政策立案者、経済学者の誰にも意義のあるものである。

ウォータールーのトップクラスのタレント、コミュニティの深い理解、比肩しがたいステークホルダー間の協業やコーディネーションが、成功の要因となっている。ウォータールーが、以下に説明するような、スタートアップが「グローバルを目指し」成長していくため、そしてファンディングの差を埋めるための(パフォーマンスが低いエコシステムに共通の)課題を解決することができるなら、世界に通用するサクセスストーリーとなるだろう。

技術人材

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ウォータールー大学(Image credit: University of Waterloo)

ウォータールー地域は、トップクラスの才能の技術者を輩出することで世界中で評価されてきた。世界一だという人も多い。それにより、都市の規模に不釣合いなほどに多数の革新的な技術やスタートアップが生まれ、世界でも最大規模の企業、名前を挙げるならGoogleなどの研究開発センターが設立されていった。このような実績のもとになっているのは、同地域が高レベルの教育、特にウォータールー大学などを設立してきたことである。

シリコンバレーの有名なスタートアップアクセラレーター、Y Combinator の共同創業者である Paul Graham 氏は、2013年に次のように述べている。

ウォータールーでは何かが起きています。応募してくる学生の中で、他のどの大学よりも、ウォータールー大学の学生は優秀なのです。

同大学の協業プログラムはそのひとつの要因であり、学生は最長2年間の就業経験をつんだ後に卒業していく。強い起業家精神を持つ同大学の卒業生は、シリコンバレーで雇用される数が、スタンフォード大学に次ぐ2位である。

同地区のエコシステムの高いパフォーマンスはまた、エコシステムのコーディネーターとしてのイノベーションセンター、コミュニテック(Communitech)によるところも大きい。これはアクセラレータープログラムや、スタートアップその他の組織がインキュベーターを見つけるためのスペースを提供したり、非公式、公式のメンタープログラムの提供も行っている。

エコシステムのパフォーマンス

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ウォータールー市役所(Image Credit: Wikipedia

ウォータールー地域は、誇るべき多くの偉業を成し遂げてきたが、パフォーマンス指標は、エコシステム価値、アウトプット(スタートアップの数)の両者において世界トップ20から転落している。また、成長指標2.4というのも、世界平均の2.35よりわずかに高いだけである(世界最速で成長するエコシステム、ベルリンを10としたスケール)。

これらの数値が重要なのはなぜか? グローバル・スタートアップ・エコシステムランキングのための調査でわかったことは、スタートアップ・エコシステムについていえば、大きいことは良いことだ、ということである。より多くのスタートアップ、リソース、そして経験が、スタートアップ・パフォーマンスを高め、イグジットをより大きくしている。結果として投資家、起業家、そしてタレントがエコシステムにひきつけられてゆき、成長を加速するという、成功の好循環を引き起こすのである。

当然、中小規模のエコシステムのリーダーや政策立案者は「エコシステムが好循環を生み出す最初のきっかけはどうすればできるでしょう? 我々はどうしたら成長を加速できるでしょう?」と聞いてくる。

その答は、エコシステムの各段階においてすべて異なっており、Compass の 3年にわたる調査により、エコシステム・ライフサイクルモデルを構築し、課題と解決策を説明することが可能になった。

エコシステム・ライフサイクル

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図1: エコシステム・ライフサイクル

スタートアップ・エコシステムは当初、アクティベーションの段階において、「追いつくための成長」により形成されていく。オーガニック(自社内の)リソースの生産性は、世界最良のエコシステムのステークホルダーとの交流により、ノウハウを持つタレントをひきつけることで成長していく。この段階においては、地元のステークホルダーは、世界的な成功例から加速度的に学んでいく。テクノロジー・スタートアップで具体的に言えば、シリコンバレーのスタイルのベンチャー投資や、Steve Blank 氏のカスタマー開拓手法である。

エコシステムが、最良の成功例を通してオーガニックリソースを最大限活用するようになると、マイケル・ポーターの言うところの生産性のフロンティアに到達したことになる。世界でもここまで到達できるスタートアップ・エコシステムは多くない。それができたエコシステムは、その州、地域、国の他のエコシステムより多くの、高額のイグジットを生み出すようになる。

このようなイグジットは、エコシステムがインテグレーションの段階に移行するきっかけとなる。ここからは、エコシステムの成長はノンオーガニックの成長率まで加速し、外部リソース(起業家、タレント、投資家)がその地域中、国中から流入し始める。もし国際的にも魅力的なイグジットを生み出したり、ユニコーンが生まれれば、流入は世界中からとなる。スタートアップリソースにとっての、訪れるべき名所となるのである。

時とともに、エコシステムはそのオーガニックリソースだけで可能なサイズより大きく成長していく。エコシステムはマチュリティ(成熟)段階に入り、その成長率は、分母が大きくなり続けるために、低下していくことが避けられない。

このモデルは、エコシステムのリーダーや政策担当者が、モデル各段階においてその成長をさらに伸ばすための行動のためのガイドとなる。アクティベーション段階のエコシステムに対しては、近日発行されるCompassの香港スタートアップ・エコシステムレポートにおいて、エコシステムの発展と成長のための指針を提供する予定である。

エコシステム・ライフサイクルモデルによれば、ウォータールーの成長&魅力指標は、同地域がマチュリティ段階に入ったことを示唆している。より具体的に言えば、成長率と「域内&国内」魅力の分野において、マチュリティの領域の上端部分に位置している。

インテグレーション、マチュリティの両段階では、域内&国内の魅力の分野におけるエコシステムの主要な目標は、非常に大きい、国際的にも魅力的なイグジットを生み出し、スタートアップリソースにとって国際的な名所となるきっかけを作ることでなければならない。この目的を達成するために解決すべき重要な点は、スタートアップパフォーマンスである。

(続編はこちら

【via Compass】 @startupcompass

【原文】

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2015年の世界スタートアップ・エコシステム・ランキングが発表

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本レポートのフルバージョンは、こちらからダウンロード。 世界スタートアップ・エコシステム・ランキングへようこそ。前回のスタートアップ・エコシステム・レポート発表となった2012年11月から約3年の月日が流れたが、それ以降もスタートアップ・セクターは良いペースで成長を続けている。 2015年のランキングのポイントは、内容を刷新したコンポーネント・インデックスで、世界中の20のスタートアップ・エコシス…

本レポートのフルバージョンは、こちらからダウンロード。

世界スタートアップ・エコシステム・ランキングへようこそ。前回のスタートアップ・エコシステム・レポート発表となった2012年11月から約3年の月日が流れたが、それ以降もスタートアップ・セクターは良いペースで成長を続けている。

2015年のランキングのポイントは、内容を刷新したコンポーネント・インデックスで、世界中の20のスタートアップ・エコシステムの情報をランキングしている。このインデックスは、パフォーマンス、ファンディング (資金調達)、タレント(人材)、マーケットリーチ、スタートアップ・エクスペリエンスの5つの主要なコン ポーネントでランキングしたものだ。

1. スタートアップ・エコシステムにおける、社会経済影響度の上昇

20年前、ほとんどのテック・スタートアップはシリコンバレーやボストンのようなスタートアップ・エコシステムで設立された。今日、テクノロジー起業は世界的な現象であり、シリコンバレーのようなスタートアップ・エ コシステムも世界中で急速に成長を見せている。互いにつながりあった、世界的なスタートアップ・コミュニ ティが形成されつつあり、この新しい経済の世界をナビゲートしてくれる術を誰も提供してくれない中で、我々は頼りになるようなデータや数字を集めた。

2011年9月、起業が活発化し、それが生じる背景についてブログを書いた。現在はその真っ只中にあって、起業家がスタートアップをスケールさせ、これまでにないスピードでユニコーンへと成長させるための、さまざまなツール、リソース、市場条件が整い、またとないタイミングと言ってよいだろう。

世界中のスタートアップ・エコシステムの隆盛は、現在起きている社会経済構造の変換の一つとして見られるべきだ。情報時代のビジネスは経済成長を支配する源となり、これまでの時代の多くの工業やサービスビジネスを自動化したり、別のものに取って代わったりしている。この構造変化の部分々々を別の表現で説明する人も少な くない。Marc Andreessen は Wall Street Journal のエッセイの中で「ソフトウェアが世界を飲み込む理由」と書き、Deloitte の Center for the Edge が半年に一度発表するレポート「Shift Index」、Richard Florida の Creative Class Group は「クリエイティブ・クラスの隆盛」など、このテーマに関して多くの書籍を出版している。

テクノロジー・スタートアップが情報経済で重要な役割を占めることを考えれば、健全なスタートアップ・エコシステムこそが、将来において重要性を増してくる。このレポートでは、起業家、投資家、立案者に対しては、我々が収集分析したデータ無しには回答が難しい重要な問題に答え、一般の人々に対しては、スタートアップ・エコシステムにおける社会経済の重要性が増していることを気づいてもらい、世界中のスタートアップ・エコシステムの発展を加速させたいと考えている。

このレポートの主な目標の一つは、さまざまな業界関係者が、以下のような質問に答えやすくすることだ。

a) 起業家に対して

「新しい会社を始めるとしたら、どこがよいか?」
「準備はできているが、私のスタートアップの2つ目のオフィスはどこに開設すればよいか?」

b) 投資家に対して

「ただ身近にあるというだけで、自分の地元のスタートアップ・エコシステムにのみ投資するのではなく、世界中に投資機会を見出すにはどうすればよいか?」

「新興のスタートアップ・エコシステムに関する情報が無いため、新しい投資機会を見出す上で、どの市場にフォーカスすべきかをどう判断すべきか。」

c) 立案者に対して

「自分の地域のスタートアップ・エコシステムの成長を最大化する上で、どのイニシアティブを優先すべきか?」
「このようなイニシアティブの進展をどのように計測すべきか?」

d) 他のすべての業界関係者に対して

「私のいるエコシステムで、全般的な活気や起業家精神を高めるための最良の方法は何か?」

2. 世界スタートアップ・エコシステム・ランキング2015

難しい話は抜きにして、ランキングと分析をご紹介しよう。

重要な事項として、このインデックスには中国、台湾、日本、韓国のスタートアップ・エコシステムは含まれていない。言語障壁の問題から、我々の力ではランキングに必要な情報を十分には集められなかったからだ。今年後半のランキングには、これらの国々のエコシステムの情報も含めたいと考えている。

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3. 5つの重要な発見

1. エコシステムは互いにつながりあい、スタートアップ・チームはより国際的になっている。

a) スタートアップに対する投資において、地元からではなく世界から出資がなされる割合

トップ20のエコシステムのすべての資金調達のうち37%は、少なくとも一つ以上の他のエコシステムからの投資家を受け入れている。北米においては41%。

すべての投資ラウンドのうち27%は、少なくとも一つ以上の投資家を海外から受け入れている。(北米20%、ヨーロッパ38%、アジア太平洋地域29%)

b) 世界に散らばるスタートアップ・チーム

トップ20のエコシステムのうち、スタートアップの拠点を置くエコシステム以外に設置されたセカンド・オフィスの数(別の場所で設立され、移転してきたスタートアップ)は、2012〜2014年で8.4倍に増加している。

c) 国際チーム

スタートアップにおける外国人雇用者の数は、トップ20のエコシステムで平均29%(シリコンバレーでは45%)。

2. グジット・バリュー

トップ20のエコシステムでのイグジット・グロースの合計数は、2012〜2014年で年間78%増加している(40% は IPO、60% は買収)。

イグジット・バリューの成長率を見てみると、シリコンバレーではこの2年間で47%上昇しており、他のエコシステムではこの値はさらに著しいスピードで上昇している。

ロンドンは同じ期間で成長率が4倍、ベルリンは20倍に成長している(これは主に、Rocket Internet と Zalando による2つのIPOの影響を受けたもの)。

<イグジット・グロース一覧表>

平均より2倍以上の成長を見せたエコシステム
Berlin 20倍
Bangalore 5倍
Amsterdam 4倍
London 3倍
Tel Aviv 2倍
平均より1.5倍以上の成長を見せたエコシステム
Seattle 1.5倍
Austin 1.5倍
Boston 1.5倍
平均的な成長を見せたエコシステム
Singapore 1倍
Vancouver 1倍
比較的穏やかな成長を見せたエコシステム
Los Angeles 0.5倍
Silicon Valley 0.5倍
New York City 0.5倍
停滞気味のエコシステム
Paris 0倍
Moscow 0倍
Chicago 0倍
Sydney 0倍
Toronto 0倍

ヨーロッパ 対 アメリカ

アメリカの上位エコシステムよりも、ヨーロッパの上位エコシステムの方がイグジット・バリューの成長スピードは著しく速い。2012〜2014年で比べてみると、アメリカの1.5倍に対して、ヨーロッパの4.1倍だ。2014年で見てみると、イグジットの規模では、ヨーロッパよりもアメリカは平均34%大きい値となっている。

分析

他のエコシステムが短期的には速いペースで成長しながらも、従来からある8対2の力関係の均衡に向けた収束への期待から、今後数年間にわたり、シリコンバレーは現在の位置に君臨を続けると考えられる。つまり、シリコンバレーは全体のイグジットの30〜50%をつかみ、次なる3つのスタートアップ・エコシステムが全体の30〜50%をつかみ、さらに、次なる16のスタートアップ・エコシステムが残りの20%を分け合う、という図式だ。

3. スタートアップ・エコシステムにおける、VC投資のトレンド

トップ20のエコシステムにおけるVC投資は、2013〜2014年にかけて、全体で95%上昇している。

a) VC の成長

VC 投資の際立ったエコシステムは、ベルリンの12倍、インド・バンガロールの4倍、アメリカ・ボストンの3.7倍、オランダ・アムステルダムの2倍、アメリカ・シアトルの2倍だった。一方、シリコンバレーは2013〜2014年にかけて93%成長と概ね倍の成長を遂げており、CrunchBase によれば、シリコンバレーにおける VC の増加の多くは、アーリーステージよりも、レイトステージのシリーズ B からシリーズ C+ にかけてのものである。この傾向は比較的鈍化している。

b) シードラウンドの増加

この2年間で、シードラウンドの数において、最も年間成長の速かったスタートアップ・エコシステムは、インド・バンガロールの53%、オーストラリア・シドニーの33%、アメリカ・オースティンの30%だった。アメリカ・ボストンのほか、カナダのバンクーバーやモントリオールも、わずかながら値を伸ばしている。

4. 2012年からのランキング変化:勝者と敗者

大きな跳躍を見せたスタートアップ・エコシステムは、ニューヨーク、オースティン、バンガロール、シンガポール、シカゴだった。ニューヨーク市は、常連組の中でも著しい成長を見せ、5位から2位の座へと上昇。テキサスのオースティンは、3年前のランク外の状態から14位の座へと駆け上がった。バンガロールは19位から15位、シンガポールは17位から10位、ベルリンは15位から9位、シカゴは10位から7位へランクアップした。

大きなランク下降を見せたエコシステムは、バンクーバー、トロント、シドニー、シアトルだ。バンクーバーはトップ10位から脱落し、9位から18位へ。トロントは8位から17位へ、シドニーは12位から16位、シアトルは4位から8位にランクダウンした。これらのエコシステムは過去3年間成長はしているが、他のエコシステムほどスピードが速くないため、取り残されてしまう危険をはらんでいる。

2012年以降、完全にランク外に落ちてしまったエコシステムは、チリのサンチアゴ、オーストラリアのメルボルン、カナダのウォータールーだ。サンチアゴは当初は著しい成長を見せたが、すぐにそのピークを見せ始め、メルボルンやウォータールーの成長はそれぞれ、シドニーやトロントといった近接する大きなスタートアップ・エコシステムの影響を被った。性格の似通った小規模なエコシステムはしばしば、近接する大きなエコシステムに人材や資本が飲み込まれる傾向にあるため、成長を続ける上で難しいことがある。

5. スタートアップ創業者における、男女の共同参画

すべてのスタートアップ・エコシステムにおいて、男女の共同参画は不足傾向にある。心理学者や社会学者が 50/50 こそ求めるべきもの、として議論を続ける一方で、男性と女性の創業者割合が同じになりつつあるエコシステムは存在しない(フロリダ州立大学の心理学教授 Roy Baumeister 氏による、この記事を参照のこと)。

概して言えば、女性起業家のトレンドは上昇傾向にある。世界のスタートアップ・エコシステムにおける女性起業家の数は、この3年間で80%増加した。トップ20のエコシステムのスタートアップを見てみると、2012年にはスタートアップの10%に女性起業家がいたが、現在では世界平均で18%に伸びている。女性創業者が30%を占めるシカゴでは、トップ20のエコシステムの中でも女性起業家の割合が最大数を占めている。

4. 2012年から何が変わったか? その背景は?

CrunchBase や他のデータ供給元、60以上のローカル・パートナーの協力により、多くのデータをもとにして、2015年のレポートは利益をもたらした。このレポートは、それぞれのエコシステムに対して、より内容が濃く、より正確な評価を可能にするだろう。スタートアップ・エコシステムがどのように機能し、どのように発展しているか、専門家の視点を反映した、より適合性の高い数学的モデルの開発も実現できるだろう。この高品質なモデルは、より改善されたスコアリング・ランキング手法の礎となるものだ。

今回のレポートでは、(従来版に比べ)我々の計測・分析手法に以下のような変更を加えた。

a) エコシステム価値(イグジットや資金調達における、スタートアップ企業価値の合計金額)の追加

b) より改善された見積数の包含(エコシステムにおけるスタートアップの合計数)

c) パフォーマンス・インデックスから、「人口一人当たりに対するスタートアップの数(スタートアップ密度)」を削除

これらの変更は、テルアビブもそうであるし、カナダのウォータールー地域が55万人しかいないにもかかわらず、比較的高い成長率を保っているためだ。しかも、これらの地域は2012年版よりも2015年版において、ポジションを下げている。ニューヨーク市が高いポジションにつけていることにも説明がつく。

【via Compass】 @startupcompass

【原文】

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Startup Genome:シンガポールはスタートアップ資金は豊富だが、文化的な弱点を抱えている

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【翻訳 by Conyac】【原文】 世界中のスタートアップエコシステムをランク付けするStartup Genomeは、最新版レポートで多くの数字や事実、統計を公開した。しかし、これら都市の起業家たちにとってどんな意味があるのだろうか? シンガポールの場合、しばしば同国で言われてきたことがレポートで裏付けされている。政府や活発なプライベートセクターからのスタートアップ資金が豊富なのにも関わらず、滞…

【翻訳 by Conyac】【原文】


世界中のスタートアップエコシステムをランク付けするStartup Genomeは、最新版レポートで多くの数字や事実、統計を公開した。しかし、これら都市の起業家たちにとってどんな意味があるのだろうか?

シンガポールの場合、しばしば同国で言われてきたことがレポートで裏付けされている。政府や活発なプライベートセクターからのスタートアップ資金が豊富なのにも関わらず、滞った流れは解消されていないようだ。抜本的な改善が見られない限り、シンガポールのイノベーションが生み出す収益は投資額に見合わないままだ。主要なインフラ整備と考えてみれば、例えば高速道路なんかは、それほど利用がないのに巨額の経費を費やしている。

この問題を最初に取り上げたのはStartup Genomeではない。Inseadが発行した昨年のGlobal Innovation Index(世界イノベーションランキング)では、シンガポールの各機関による投資とイノベーションの結果の間に生じている大きなギャップについて特筆している。レポートによると、「シンガポールのイノベーションの効率指数ランクは低く(高収入国で37位、全体では94位)、相対的にパフォーマンスの弱い収益副指数にも現れているように、全体で17位(科学分野収益で17位、クリエイティブ分野収益で33位)である」。

続きを見る前に反論したい。Startup Genomeは様々なソースから500のスタートアップに関するデータを集めている。それは重要なことのようにも見えるが、データの信憑性については不透明だ。Startup CompassとCrunchbaseやAngelistといった公的なデータソースからどうやって情報を集めたのか、配布されたデータはどこまで完全なのか、アジアのスタートアップにはシリコンバレーのスタートアップに比べてどれだけ透明性があるのかがわからない。

しかし、Startup Genomeがデータを精査する間に既に私たちが知り得た情報から洞察してみてはどうか。それが不完全なものであるかもしれないのと同様に、現時点ではStartup Genomeが完全に公式なデータソースなのかもしれない。そしてこれがシンガポールに関するレポートだ。エコシステムは現在20都市のうち17位、資金と才能では高いスコアが出ているが(両方とも8位)、その他は全てほぼ最下位である(16位から20位)。最高水準の中で遅れているというのは悪いことではないが、それは筋が違う話だ。吟味すべきなのは、資金や才能と起業家活動のあいだにあるギャップなのだ。

少し話を掘り下げよう、シンガポールの起業家は特にアーリーステージでは投資も助成金も選びたい放題なのだ。Startup Genomeの定義では、相応の経験と専門性を備え、リスクを軽減する能力があり、スタートアップの成功事例もある有能な人々なのだ。

シンガポールの起業家も仕事熱心だ。1日あたり平均11時間の労働時間はシリコンバレーの9.95時間をはるかに凌いでいる。トップ20のエコシステムの中で、バンガロールを除いて10時間を超えたところはない。

しかしこれ程仕事に打ち込んでも相応な利益は得られていない。シンガポールは起業家全体の活動を測るStartup Output Index(スタートアップ収益指数)で最下位で、パフォーマンスとスタートアップの潜在性を測るPerformance Index(パフォーマンス指数)では19位である。また、設立者の熱意や柔軟性、リスク選好度を測るMindset Index(思考指数)でも最下位だった。総合すれば、これらの指標はシンガポールが飛躍できない根本的な問題、文化的弱点を表している。

私の言葉を信じないでほしい。Plus Eight StarのCEOで設立者のBenjamin Joffe氏に聞いてみよう。彼は「シンガポール人はスタートアップエコシステムの鍵となるインフラとポリシーを理解しています。アーリーステージでは資金は用意されているので、後の段階でグローバルファンドが投資してくれる良い企業を探せばいいのです。まだ何が足りないかって?文化的要素です。リスクを恐れず失敗に耐え、より良い模範と自己PRスキル、そして鍵となる市場への強力なアクセスです」。

シンガポール人は賢い人々である。シンガポールには最高級の教育システムがあり、有能な人材を輩出しており、彼らは自身の行動に誇りを持っている。しかし、奇想天外なアイデアに賭けて、それを数十億ドルの会社にしようというような人が少なすぎる。そして、手厚い政府の仕事や多国籍職業の快適さを好む学者が多すぎる。勇気を持って一歩踏み出そうとする人たちは、シリコンバレーの同業者のような洞察力に欠けている。

最終的には、つまり数の勝負ということになるのだ。ハイリスク選好者を育て、成功できる起業家を育てられる社会が勝者なのだ。

自国の文化的欠損を認識しているシンガポール政府も同じ数の勝負をしている。最近、国務大臣のTeo Ser Luck氏が政府がスタートアップハブとして指定し、起業家がひとつの建物に集まって協働できるBlock 71を視察した際に同行した。

この場所はシンガポールのスタートアップ志願者たちの展示室である。ガレーのような環境は、かつては各国要人を驚かせた。中にはイスラエルのスタートアップエコシステムに多大な影響を与えた書籍を著した有名なイスラエル系アメリカ人ジャーナリストもいた。

しかし、Block 71は解決策の一部に過ぎない。ある起業家が言うように、コミュニティがあるためには環境は想像性が伴わなければ生かされない。Block 71は居住者の基準を上げることしかできない。

政府もこのことを認識しており、将来への展望から、最近中学生以降に対して起業家精神を向上させるための新しいプログラムがローンチされた。理にかなったわかりやすいプログラムだが、失敗した場合は企画が悪かったのではない。やり方が悪いのだ。

それでも、シンガポールに欠点があっても同国は適切な方向に向かって進んでいるようだ。起業家精神はこれまで以上に擁護され、鉄板碗(すべての国民に保障された基本的生活水準)という考え方は今も魅力的である一方で、シンガポール人は今や同僚や家族のサポートを得て夢を追うための適切でより大きな環境を手にしている。

シリコンバレーは世界一のスタートアップエコシステムという地位を固めるのに何十年もかかったが、それと比較すると、シンガポールは幾度もの悪い出だしを経験した後に、その旅路を6年前に始めたばかりだ。そんな短期間でトップ20にランクインしたのは悪い結果ではない。

Startup genomeの詳細を、チェックしてみよう。

【via SGE.io】 @SGEio

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Startup Genome:オーストラリアにスタートアップは豊富だが、十分な支援は受けられず

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【翻訳 by Conyac】【原文】 Startup GenomeとPollenizer、Deloitte Privateらがコラボし、オーストラリア初のエコシステムレポートが先日発表された。1,000以上ものスタートアップのデータを伴うこのレポートは「Silicon Beach — Building Momentum(Silicon Beachに弾みをつけよ)」と題され、オーストラリアにおけるエ…

【翻訳 by Conyac】【原文】

Startup GenomePollenizer、Deloitte Privateらがコラボし、オーストラリア初のエコシステムレポートが先日発表された。1,000以上ものスタートアップのデータを伴うこのレポートは「Silicon Beach — Building Momentum(Silicon Beachに弾みをつけよ)」と題され、オーストラリアにおけるエコシステムスタートアップの写真が掲載された。

データが示すのは、オーストラリアにおける起業家精神が活発であるにもかかわらず、起業家たちはスタートアップを次のレベルへ引き上げるために必要な支援を受けることができないということだ。

Startup Genomeのグローバルランキング(下記参照)を見てみると、オーストラリアのスタートアップは世界で有数の才能ある人々と肩を並べ、結果を出して差別化を図れるはずである。シドニーはトレンドセッターとして世界No.1にランクしている。


しかし、まだエコシステムは起業家の力量を最大限活かせていないようだ。オーストラリアのスタートアップは前向きで最先端を走っているものの、シリコンバレーのスタートアップに比べて100分の1しか稼げていない。

政府の助成金と研究開発費減税処置にもかかわらず、スタートアップの39%しかこれらを利用していない。政府はもっとスタートアップに働きかけるべきである。税金によって企業シェアオプションを従業員に与えることが難しく、リスクを冒してまで従業員に報酬を与えることが困難となっている。

これらが洞察思考と高いリスク耐性、パフォーマンスにおけるオーストラリアのランクの低さにつながっている。オーストラリアのレポートは補足として、同国のスタートアップは統合的なタイプで高い確証性、プロダクト中心、中小企業向けビジネスといった消費者発のアイデアを企業向けに移行する傾向があると付け加えている。

最後に、レポートではエコシステム改善のために出資者ができることについていくつかの提言をしている。起業家はもっと大志をもつよう努力し、政府はスタートアップの補助金申請をより簡単にし、企業はターゲット獲得のとめにスタートアップを探し出すということだ。

【via SGE.io】 @SGEio

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起業家精神のセレブ化は危険なものか?

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【原文】 テック起業そのものがセレブ化しつつあることは明らかである。以下は、アメリカ全体のレベルで見た実情を手早くまとめたものだ。 セレブによるスタートアップ投資が生み出したもの Facebook 創業への道のりが、長編ハリウッド映画「ソーシャル・ネットワーク」の中で描写されている。Ashton Kutcher、Justin Timberlake、MC Hammer、Lady Gaga、Justi…

【原文】

テック起業そのものがセレブ化しつつあることは明らかである。以下は、アメリカ全体のレベルで見た実情を手早くまとめたものだ。

セレブによるスタートアップ投資が生み出したもの

Facebook 創業への道のりが、長編ハリウッド映画「ソーシャル・ネットワーク」の中で描写されている。Ashton Kutcher、Justin Timberlake、MC Hammer、Lady Gaga、Justin Bieberなど、ハリウッドのセレブたちがテック・スタートアップに投資、シリコンバレーでその名を定着させつつある。主要なテック・スタートアップによる雇用機会増大で、ホワイトハウス承認Startup America Partnershipなどのプログラムが増加。Bloombergがニューヨーク・バージョンのTechStarsと称されるアメリカンアイドル風のテレビ番組を制作し、Bravoも「Silicon Valley」という本格的なリアリティショーを制作している。そして、FacebookからZynga、Groupon、Pandora、LinkedInまで、株式上場する新たなテック企業が増えている。

このような注目の結果、TechCrunchが「役に立たない、新時代のシリコンバレー(The New Silicon Valley Douchebag)」と呼ぶ現象まで起きた。今は誰も彼もがエンジェル投資家で、起業家のセレブ化が進むばかりだと言っても過言ではない。

起業家精神のセレブ化は、諸刃の剣

さて、この諸刃の剣をどう扱うのかという話から始める必要がある。そうすれば、シリコンバレーの精神が注目の熱で消えてなくならずにすむからだ。

セレブ化がどうして諸刃の剣なのか? ある面で、セレブ化は世界中から才能のある人を新たに数多くシリコンバレーに惹き付け、多くの多感な若者にウォール街の銀行マンやハリウッドスターになるよりも起業家になりたいと思わせる。これは間違いなくとても良いことだ。シリコンバレーの気質は、ほとんどの若者が世界中で聞かされる話よりもはるかに力を与えるものだ。数ヶ月前、私たちのオフィスにはデンマークの起業家団体が訪れていた。彼らによれば、デンマークの若者が世界を変えたいと話をすると、ほとんどの人がその若者たちに「世界を変えようとするあなたは誰ですか? 座って机に向かいなさい。学校へ行き、仕事に就きなさい。まずは自分を知りなさい。」と言うらしい。

そんなよく聞かされる話を、完全になくしたいと私は思う。だが、社会の流れを逆方向に動かしたりせず、起業は誰にでもできて、すぐにお金持ちで有名人になれるという幻想を広めるのはやめよう。Eric Ries氏は最近、「起業はクールじゃない、魅力的でもないし、本当に厄介だ。退屈で疲れる。こういうことは絶対に映画のシーンにはない。」と好んで言うようになった。私も、そういうことがBravoのリアリティ番組で取り上げられるとは思わない。

セレブ化の影響によって、あるタイプの人たちが突如として急増している。私たちはその人たちを「スターに憧れる起業家」と呼んでいるのだが、こういう人たちが急増していことは、健全なスタートアップのエコシステムにとっては実に危険だ。数ヶ月前、College Humorが「スターに憧れる起業家」についての面白い風刺ビデオを発表した。悲しくも、少し痛いところを突いている。

スターに憧れる起業家

「スターに憧れる起業家」には2つのタイプがあるようで、1つめはハリウッドから来た何もしない「アイデアマン」で、次世代のソーシャルメディア・アナリティクス・プラットフォームでびっくりさせようとする。あるいは、MBAを取得したばかりの自称「ビジネスモデルとマネタイズのエキスパート」なのかもしれない。このタイプは嫌らしいほどほら吹きだが、害は比較的少ない。

2つめのタイプはさらに危険だ。このタイプにはテックプロダクトの構築に豊富な才能を持つエンジニアやデザイナーが含まれるのだが、彼らはセレブ化の熱に影響され、「こんにちは。私はXXアプリの創設者でCEOです。」と言おうとする野心を抑えている。だから、大きな問題を実際に解決し、将来ビッグになるような企業に彼らの才能を活かす代わりに、誰も欲しがらない退屈なiPhoneアプリをまた作ってしまう。その結果、ビッグになりうるスタートアップの多くが、雇用する人も見つからず、機能しないチームに悩まされている。

この「スターに憧れる起業家」ウィルスを、伝染する羞恥の病、もしくはもっと悪い状況になる前に、駆除する必要がある。このウィルスがなぜそんなに致命的なのかという理由は、うわさや混乱の高まり、モチベーションの低下、才能の不適切な活用によって、 アーリーステージのスタートアップ・エコシステムが起業家の経済的可能性および社会的影響を容赦なく制限してしまうからだ。

幸い、2つの「スターに憧れる起業家」タイプには同じような治療方法がある。私は、社会学的で方法論的という2重の長期的アプローチを勧める。(「スターに憧れる起業家」は経済的影響においても長期的な社会への影響においても何も達成していない。)

 

「スターに憧れる起業家」を撲滅する方法

「スターに憧れる起業家」ウィルスの撲滅に効くアプローチの1つは、その感染者を無視することだ。スターに憧れるという自己愛性人格障害者から活力、すなわち、「注目されるということ」を奪う。

もっと深刻な場合には、もっと強硬なアプローチを用いる方がいいかもしれない。妄想的な陰謀者のまねをして、「確認」「中傷」「無効」「消滅」という4段階のアプローチを通じて戦おう。「スターに憧れる起業家」からアイデアを聞くとき、微笑んだり、うなづいたり、(たとえ冗談でも)「すばらしいアイディアだ」と言ったりしてはいけない。彼らのアイデアはつまらないと言おう。もしくは、少しはっきり言い過ぎだと思うなら、少なくとも、取り組みの中でそれが本当に一番重要なことなのか、一生砂糖水を売りたいのか、それとも世界を変えたいのかと聞いてみる。

ハリウッドの栄光を忘れ、現実世界に戻って考えてみる

秩序立てて言えば、投資家も起業家も企業がスタートアップのライフサイクルのどこに位置するのかをよりよく認識し、結果を見守る必要がある。(Startup Genomeはスタートアップライフサイクルの成長段階を「発見」「承認」「効率」「拡大」と呼んでいる。)「発見」と「承認」の段階を通過する必要性を標準化すれば、特に、何ということもない新たな「to-do リスト」アプリを誰も欲しがっていないことが数ヶ月で明らかになるだろう。そして投資家は適切な額の投資をすることができ、起業家らもロープを隠し持って自分の首をつることもない。このアプローチは実践的で、人は起業する権利を持つべきではないという非現実的な権威主義を回避する。これは、「スターに憧れる起業家」に空想を追い求めるなと言っているのではない。力で素早く、彼らと彼らのハリウッドの栄光を現実の世界に引き戻し、実際に重要である仕事をさせるようとするだけだ。これによって、明日の経済を動かすスタートアップ・エコシステムのガラクタは片付く。

テック起業界は、継続的な経済繁栄につながる、世界で最良の道筋の1つとして、当然、多くのメディア、注目、お金を引き寄せている。だが、真に世界を変えるような企業を作っている人たちだけに、称賛が与えられるということを学ばなければならない。さもないと、「スターに憧れる起業家」ウィルスが蔓延してしまう。

起業家のパワーが高まるにつれ、私たちがどうして起業するのかという理由を、社会が必死で思い出そうとするのを見たいものだ。名声、称賛、お金のためではない。それは、世界を変え、人類を前進させるプロダクトを構築するためなのだ。

【via Startup Compass】 @startupcompass


著者紹介:マックス・マーマー

マックスは、Startup Genome の創業者で、イノベーションや経済成長の論客であり、スタートアップの失敗率の高さについて言及している。Startup Compass は、世界1万6千社以上のスタートアップに採用されている。 Twitter アカウントは @maxmarmer.

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減りゆく「アイデアの変革」—スタートアップ創業メンバーに必要な〝ドメイン・エキスパート〟の存在とは?

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【原文】 これは、HBR(ハーバード・ビジネス・レビュー)の「起業精神の変革 (Tranformational Entrepreneurship)」シリーズの第2稿の再掲である。シリーズ第1稿では「起業精神の変革」の定義と、本稿で引用した「社会経済学の価値創造のマトリクス」について記述している。 投資に対するリターンは減少し、ファンドは干上がり、ビッグアイデアを推進する起業が減っていることを懸念す…

【原文】

これは、HBR(ハーバード・ビジネス・レビュー)の「起業精神の変革 (Tranformational Entrepreneurship)」シリーズの第2稿の再掲である。シリーズ第1稿では「起業精神の変革」の定義と、本稿で引用した「社会経済学の価値創造のマトリクス」について記述している。

投資に対するリターンは減少し、ファンドは干上がり、ビッグアイデアを推進する起業が減っていることを懸念するベンチャーキャピタリストは少なくない。ベンチャーキャピタリストである彼らは、「すべての起業家に対して、紙くずのような会社を設立することをけしかけ、Googleに2500万ドルで買ってもらえることを期待してきた」と、エンジェル投資家を非難するようになった。

ベンチャーキャピタリスト達は「このような物事を小さく考える姿勢が、次のGoogleやMicrosoftを作れる起業家に対し、つまらないものを作らせるようになった」と言う。スタートアップ・エコシステムに対しても、「全員負ける。IPOも無し。テック業界には、2万人の職は生まれない。未熟なスタートアップには新たな買い手もつかない」という暗示を送っている。

残念ながら、このベンチャーキャピタリスト達は、因果関係をはき違えている。エンジェル投資家が、起業家に物事を小さく考えさせているわけではない。物事を小さく考える起業家が多いだけのことだ。その理由は、起業コストが驚くほど低くなっていて、全く新しい層の起業家が会社を作るようになっているからである。

「紙くずのような会社」を作る創業者は、次世代を担う数十億ドル規模の会社を始める創業者とはタイプが異なる。前出の創業者は世界を変えたいわけではない。彼らは、自分の家族を養ったり、車を買ったり、自由を得たりするのに必要なお金を得たいだけなのだ。これらの人達は、情報経済の中でパパママの零細企業を経営しているに過ぎない。昔のレンガやモルタル職人より、テクノロジーのおかげで収入が多いだけのことだ。レストランや美容院を始める代わりに、彼らは何千とあるレストランや美容院に使ってもらうクーポンアプリを作るのだ。

このこと自体は、スタートアップのエコシステムや経済にとって悪いことではない。むしろ逆だ。ファットヘッド(訳注:ロングテールの対義語、ニッチをやらない)の企業しかいない社会と違って、何百万の「Yというニーズに対してXが欲しい」というニッチな要望を叶える、何千万という小企業がロングテール状に生み出されることになるからだ。

そして、時として、彼らはニッチな市場が、当初思っていたより大きいとわかる。リビングルームにエアマットレスを敷いて貸し出すサービス(訳注:AirBnBのこと)が、旅行レンタル市場やホテル業界を揺るがす程の数十億ドル規模の企業に成長することが想像できただろうか。見識のある多くの投資家でさえ知る由がなかったことを、私は知っている

ロングテールの台頭がベンチャーキャピタリストに与えた唯一の悪影響は、ノイズが増えた環境の中で、投資対象の選別能力を高めなければならないことだ。現在、スタートアップのエコシステムが、「パパママ零細起業家」と「次世代の数十億ドルビジネスを作る、成長力あふれた起業家」を選別することができず、多くの人の時間と労力を浪費せしめている。

ビッグアイデアの欠如は、誰のせいか?

ビッグアイデアが減少していることで、ベンチャーキャピタリストがエンジェル投資家を責めることは間違っているし、スタートアップの起業コストが低下したので、物事を小さくしか考えられなくても起業家になれた人は多いが、一方、ビッグアイデアを持つ起業家の絶対数が少なくなっているという、ベンチャーキャピタリストの指摘は的外れではないと思う。

しかし、原因は少し違うところにあると思う。私は、ソフトウェア企業のビッグアイデアが減っている原因は、シリコンバレーの創業者チームが画一的になってきているからだと考えている。創業者チームが市場に極めて合致した顔ぶれでないかぎり、数十億ドル規模の企業は実現しない。(現在では、「創業者の市場適正化(Founder Market Fit)」と呼ばれる)

これまで、成功を導く魔法の方程式は、一人か二人のエンジニアと一人のビジネスマンで成り立っていた。多くの大成功はこのパターンに従った。Hewlett氏とPackard氏(Hewlett Packard)、Jobs氏とWozniak氏(Apple)、Gates氏とAllen氏(Microsoft)、Ellison氏とMiner氏(Oracle)、Larry氏とSergey氏(Google)、Thiel氏とLevchin氏(PayPal)など、リストは延々と続く。

これらの企業を数十億ドル規模にした革新は、コンピュータ・ハードウェアやソフトウェア・インフラストラクチャの分野に限られた。彼らは、計算機、パソコン、データベース、検索エンジン、決済システムを作った。この方程式は上手くいった。テクノロジーの天才と雄弁で催眠術をかけられるセールスマンが手を組めば、数十億ドル規模のテクノロジー企業のDNAを持つことになる。

しかし時代は変わった。これらの斬新なアプリケーションは今日のインフラとなり、さらなる数十億ドル規模の会社をもたらす新しい波を作った。この7年で、テクノロジーの天才と催眠術をかけられるセールスマンだけでは、十分ではないことが明確になった。この世代の成功する創業者チームのDNAには、新たな能力が現れ始めた。

それはデザインだ。デザインはどこにでもある。デザイン思考デザインカンファレンスデザイナーファンドデザインセレブ。全て揃っている。もし、デザインを競合との差別化のカギとしている企業を挙げる必要があるなら、その企業を見つけるのはそう難しいことではない。一例を上げるなら、MintSquareQuoraAsanaPathなどがそうだ。

デザインとは、美しいインターフェイスだけを言っているのではない。デザインとは、エンドユーザのモチベーションと能力を深く理解し、複雑なテクノロジーを統一された直感的なプロダクト体験に取り入れることを意味する。

なぜ、今デザイナーの時代なのか?

インターネットとテクノロジーは、あまねく前向きに進化する。インフラの上にインフラが作られ、今まで不可能だったことに対して新しい可能性を開く。デザイナーの価値が上げるには、きれいな「AJAXの魔法のショー」を支えるために、ウェブに速さと強さが必要だった。

デザイナー達は、美しく直感的なユーザ・インターフェースに喜んでお金を払ってくれる、数十億人の消費者をインターネット上に迎える必要があった。史上最大のしくみ(=インターネット)から利益を得ていた白人のエグゼクティブ・マネージャーは給料が下がり、テクノロジー企業は、もはや長い付き合いの主要顧客ではなくなった。

しかし、私は、デザイナー主導のチームも、市場に不適応になりつつあると考えている。インターネットは必要なインフラを整え、世界中の産業を創造し直し変化させ、世界レベルのユビキタスを実現した。しかし、シリコンバレーの考えでは、閉塞感を打ち破るのに、数人の「ロックスターエンジニア」と「スーパースターデザイナー」が居れば十分だ。

このようなタイプのチームは部屋に閉じこもり、ビッグアイデアを考え、それを実行していくことができた。今では、エンジニア2人とデザイナーを一緒にして、新しいスタートアップのアイデアを考えさせたとしても、50%以上の確率でモバイル用の写真共有アプリを作り出すのが関の山だろう。このチームの能力は、デジタル業界の次なる進化が一般消費者向けに直感的なソフトウェアを作り出していたとき、医者が指示したことに他ならない。このチームは今、創造力の限界にぶち当たり続けている。

次はどうなる? 革新的なアイデアは使い果たしてしまったのか?

問題は、我々が既知のモノを新しいモノに変化させることで〝創造〟をする一方、エンジニアが理解しているのは、クラウド、モバイル、ソーシャル、ビッグデータのような新しいテクノロジートレンドでしかない、ということだ。これはチームが解決しようとしている問題が、根本的にテクノロジーの問題であるうちは問題が無かった。

しかし、現在、「純粋な情報テクノロジー」が可能にした領域では、変革が起きる可能性は限界に達している。ソフトウェアの新境地は、高度に進化した、そして導入しやすくなった技術スタックを、ビジネスの新しい領域に取り入れていくことだ。そういった領域では、テキストエディタを駆使したり、LAMP スタックを新しいものにするだけでは問題をを解決できない。

革新の行き詰まりから脱却するには、創業者チームの多様化しか道はない。私は、変革する企業の創業者チームのDNAに足りないのは、彼らが変化を起こそうとしている、産業分野の実情を良く知る〝ドメイン・エキスパート(特定分野の専門家)〟であると考えている。ドメイン・エキスパートなしでは、アイデアはイマジネーションのないものとなり、話が実現につながらない。

教育、ヘルスケア、ビジネス、アート、政府など、テクノロジースタートアップが変えることのできる産業は多く存在する。「ロックスター・エンジニア」や「スーパースター・デザイナー」とチームが組めるドメイン・エキスパートはどこにいるのだろうか。

彼らの多くは、本、講演会、大学の授業、コンサルティングセミナー等で自分のアイデアを広めようと放浪していて、彼らのアイデアをソフトウェアのアプリに落とし込める可能性にまだ気づいていない。アプリこそ、人々の生活を変え、社会に影響を与える可能性が驚異的に高いアプローチであるのにもかかわらず。

この考察に至ったのは、私がStartup Genome チームにおける、よい肩書きを付けるのに悩んでいる時だった。チームの中で、私の重要な役割は、革新のプロセスやビジネスの進化を説明できる、モデルやフレームワークを構築することだ。ならば、私の肩書きには何がふさわしいか? よい言葉が見つからなかった理由の一つは、私がやっていた昔ながらの仕事が、学術書や本に書かれていそうなものだからだと気づいた。

最近になって、この知識をソフトウェア・プロダクトに落とし込める要素が揃って来た。これが実現すれば、何百万という企業やビジネスの、日々の意思決定を向上させることができる。

今では、私はコラボレーションの機会を多く逸していたことがわかった。世界にはたくさんの素晴らしいドメイン・エキスパートと、たくさんの良いソフトウェアを作れる人がいるが、彼らが互いに話すことは稀だし、無論共に仕事をする機会も少ない。

  • 個人向けの金融ソフトウェアを作っている人が居るが、彼らはNew York Times でベストセラーとなった、Ramit Sethiの大変効果的な6週間の個人金融講座のことを知らない。

  • 個人の成長と精神的な豊かさをもたらすソフトウェアを開発しようとしている人が居るが、彼らは Integral Life Practice のことを知らない。
  • 生産性を上げるアプリを開発している人が居るが、彼らは GTD や さらに重要な Energy Managementについて知らない。

商品開発チームは、革新的な変化をもたらす上で、友達作り、フォロー、共有といった、〝本日のスープ〟のようなテクノロジーの機能だけで十分と考えている。初歩的で誰をインスパイアすることもないセオリーが、商品のデザインを侵蝕してしまっている。

この世界は素晴らしい研究やセオリーに満ちている。それらのアイデアを、日の目を見ない文書や日常的でない場所から引っ張り出し、電子化し、社会の力となるソフトウェア・ツールにする時が来ている。

シリコンバレーでは、変革のアイデアに取り組むチームは減少しており、これが画一的な創業者チームばかりが生まれる最大の理由だ。我々 Startup Genome は、ビジネスマンとエンジニアという、ダイナミックな二人で始まった。

最近になり、デザイナーも加わった。数十億ドル規模の企業に成長させられるような、創造的なプロダクトを作り出し、何千という雇用を作り出し、社会を変えるには、〝ドメイン・エキスパート〟をテクノロジー企業の創業者チームのDNAに組み入れる必要があるだろう。

この話題を取り上げたのは、「アイデアの変革」が欠如しているからだけではない。既存の科学常識との対立や、長期に及ぶ考察を嫌って、科学や技術においてもブレイクスルーが減ってきていることも議論に値する。これらのことは、The Innovation Starvation(仮訳:枯渇するイノベーション) や、In Search of Black Swans(仮訳:ブラックスワンを探せ)に記述されている。

【via Startup Compass】 @startupcompass


著者紹介:マックス・マーマー

マックスは、Startup Genome の創業者で、イノベーションや経済成長の論客であり、スタートアップの失敗率の高さについて言及している。Startup Compass は、世界1万6千社以上のスタートアップに採用されている。 Twitter アカウントは @maxmarmer.

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スタートアップ・ゲノムが「インベスター・コンパス」を開始、スタートアップはデータで経営する時代へ

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【原文】 過去一年間にわたり、スタートアップ・ゲノムは、スタートアップがより良い判断を行い、さらなる成功をおさめるためのフレームワーク、レポート、ツールを開発した。私たちの目標は、起業家たちの知恵をシリコンバレーに集め、より多くのストラクチャー、科学、データをスタートアップ・ゲノムというプラットフォームに注ぎ込み、神話と事実をうまく切り離し、学んだことを世界中の人々と共有することである。確実性が低…

【原文】

過去一年間にわたり、スタートアップ・ゲノムは、スタートアップがより良い判断を行い、さらなる成功をおさめるためのフレームワーク、レポート、ツールを開発した。私たちの目標は、起業家たちの知恵をシリコンバレーに集め、より多くのストラクチャー、科学、データをスタートアップ・ゲノムというプラットフォームに注ぎ込み、神話と事実をうまく切り離し、学んだことを世界中の人々と共有することである。確実性が低いということ、また世の中はめまぐるしく変化することから、起業は「お絵かきのような」簡単なアクティビティには絶対になり得ない。だが、スタートアップ・ライフサイクルの行程にもあるように、フレームワーク、初期段階での規模拡大などの失敗例、スタートアップ・コンパスのようなベンチマークツールを起業家に提供することで、起業家の洞察力と、事業に必要な情報を理解する力を改善することができる。

だが、スタートアップは単独では成功できない。子を育て上げるには村の力が必要であるように、スタートアップの構築にもエコシステムの力が必要となる。しかし、ちょうど起業家の例のように、スタートアップのエコシステムを構成している投資家、アドバイザー、サービスプロバイダーは、スタートアップを評価し共に仕事をする上で、多くの場合、直感的なパターン認識に頼っている。そして彼らは定期的に時間をかけて数百もの問いを起業家に投げかけ、投資判断を行う上での何らかのヒントを探り出そうとする。

私たちは、スタートアップと投資家のやり取りの多くは、スタートアップ・エコシステムに関わる者がスタートアップとよりうまくやってけるような、合理的なものであると考えている。そして今、これらの問題を解決すべく新しいスタートアップ・ゲノム・ツールの「インベスター・コンパス」をプライベートベータ版で開始した。

「インベスター・コンパス」を利用することで、投資家、アドバイザー、サービスプロバイダーは、関係する企業との進捗状況をダッシュボード1つで確認することができる。彼らはスタートアップ・コンパス上に数百もの重要なデータポイントを入力しているため、各スタートアップのKPIを示すカラーコード化されたベンチマークをはじめ、初期の規模拡大におけるリスク評価とリスクを知らせるデューディリジェンス・テストなど、通常であれば多くの時間と手間がかかるさまざまな分析を、自動的に提供することができる。これにより、投資家とアドバイザーは、ポートフォリオであるスタートアップ各社を広い視点で分析することができ、それぞれのスタートアップの是非を見て、次に取るべき措置を決断することができる。

前回の記事で、世界中でスタートアップ・エコシステムが急激に増大していることを伝えた。また、個人投資家がエンジェル投資家になる例も同様に増えている。昨年、エンジェル投資家は、3万以上ものスタートアップに投資した。JOBS Act(新規事業活性化法案、詳細はホワイトハウス発表の資料を参照)の通過とエクイティ・クラウドファンディング市場の急速な伸びを受け、私たちは、さらに多くのスタートアップとエンジェル投資家のブームを目にすることになるだろう。アーリーステージ・ビジネスへの投資の拡大により、新人の投資家やベテラン投資家は、直観的かつ(データというより)社会的裏付けに基づいていた従来の投資評価ツールが、今後は使えないようになるだろう。

さらに大きなエコシステムでは、社会的裏付けの尺度がオーバーフローしてしまい、投資家はノイズの中で情報整理することが困難となり、多くの素晴らしいスタートアップが見逃される原因となってしまう。

スタートアップ資金が効率的に運用されるには、適切で一定額の資金が、より多くのスタートアップに配分される必要があるにもかかわらず、単に資金を増額する対応がとられ、この問題を増幅している。さらに、これら新しいスタートアップ投資家の多くは、良いスタートアップとはどのようなものかについて、あまり良い直観を持っているとは言えない。正しい指標と自動化されたデューデリジェンス・テストのベンチマークは、未熟な投資家の直感をより経験豊かな投資家のそれに近づけることができるし、経験豊富な投資家の貴重な時間を節約することができる。データによるアプローチは、増え続ける取扱量を迅速に処理し、測定可能な基準を構築するパズルの一つのようなのだ。

このデータ・アプリケーションの特徴は、使えば使うほど便利になることである。「インベスター・コンパス」はスタートアップ・コンパスのベンチマークを採用しており、数ヶ月前のローンチ以来、17,000社以上の企業によって使用されている。「インベスター・コンパス」を使い、多くの案件を取り扱う処理方法へのシフトは、データによるビジネス・フロンティアを開いていく、大きなステップであると私たちは信じている。

このフロンティアが早道であることを考えると、特にイノベーションの分野に適用するときは、私たちはデータツールの限界を視野に入れなければならない。まず第一に、スタートアップはどう成長していくかがカギとなり、自分自身との闘いであるから、アーリーステージでの成功を予測することは目指すべきゴールではない。各段階にはそれぞれ新しい挑戦があり、1つのステージにおける成功は、次のステージで成功する可能性を高めることにはつながらない。例えるなら、あるプロダクトがアーリーアダプターに大きく取り上げられたからといって、マーケティングや組織的な観点から、会社をうまく拡大できていることにはならない。それよりも、次のステージに到達しようとする際、起こりうる状況を予測する方が現実的だ。考えるべき内容の多くは、これまでに同じビジネス領域を進み、多くの企業が犠牲となった地雷や落とし穴をいかにして避けるか、ということになる。これこそ、スタートアップ・コンパスからパフォーマンスが振るわないベンチマークを発見することでしか気づけない話であり、「インベスター・コンパス」では、自動で行われる50回以上に及ぶデューデリジェンス・テストを用い、情報のインデックス化に着手している。この点において、成功とは、少なくとも部分的には、失敗という否定的なものの中にも存在する。それに対して、ブレークスルーした企業とは、自ら慣習を破った企業のことだと反論する人も多い。だが、もし企業が慣習ルールを破っているなら、うっかり破ってしまうべきではないし、これこそが私たちが企業に問題を認識させてあげられることなのだ。また、慣習のルールブックを全部放り捨てたからといって、イノベーションがもたらされるわけではない。むしろ、イノベーションをやる企業は、頭の中にあるいくつかの大きな仮定をひっくり返してみて、その成功に賭けている。そして、それ以外については、かなりの部分で標準を守っているのだ。

それと同時に、私たちは今までになかった新しいアプリケーションを実現するデータの力を、低く見積もるべきではない。データが流れ込んでくるようになった業界には、いずれも大きな変化が生じる。野球の世界で言えば、Billy Beaneが統計的な手法を持ち込んでから変化が起きた。ウォール街では現在、主に統計的手法で設計された高頻度取引のアルゴリズムに基づいて運用されている。なぜスタートアップの世界では、今のところデータが業界を揺るがすものではないのだろうか?

(クリックして拡大)

1) 私たちは、正しい指標を使って測定していない

定量的にスタートアップを分析する試みの多くは失敗している、なぜなら、人々は上場企業に対して伝統的に使われてきたのと同じ財務モデルを、スタートアップにも適用しようとするからだ 。しかし、スタートアップは大企業がそのまま小さくなったものではない。これは、「人形の家の迷信」(仮訳、原語=dollhouse fallacy。リーン・スタートアップの第一人者 Eric Ries が言う「スタートアップは、大企業のミニチュア版(人形の家)ではない」という考え方。)という陥りがちな間違った見方だ。収益の成長は、スタートアップにとって進歩とは見なされない。スタートアップ・ゲノムでは、スタートアップにとっての進歩とは、大企業へと成長する課程における7つの段階、すなわち、発見、検証、効率、拡大、維持、対話、縮小だと説明している。スタートアップのライフサイクルの始めの4つのステージで、進歩を測定するのに最適な指標は、どれくらい顧客がそのプロダクトについてやりとりを行ったかだ。拡大ステージの後になって、ようやく事業は財務モデルが適用できる程度に安定するのである。

2) 正しい指標を入手して、情報を集約し、分析することが難しい

今のところ、スタートアップ・ゲノムは調査を行うことで、こうした顧客が行ったやりとりについてのデータを手に入れている。しかし、このやり方をずっと続けるつもりはない。起ころうとしているビッグウェーブは、今や頂点へと達しようとしているのだ。

今日、スタートアップが利用しているソフトウェア・アプリケーションは、ほとんどすべてクラウド上で機能するものである。まもなく、このデータには、すべてAPIを通して容易にアクセスできるようになるだろう。このトレンドにスタートアップ・ゲノムは大きく賭けている。これからの1年間を使って、スタートアップがGoogle Analytics、Salesforce、Quickbooks など、多くのアプリケーションから得ているデータを、自動的に私たちと共有できるAPIを作る予定だ。データ提供の見返りとして、私たちは、よりうまく企業を運営するため、そしてより大きく成功するための、これまで以上に正確な洞察を企業へ提供する。いったんこのデータストリームが利用できるようになれば、ビジネスがデータに基づいて動くという新たな世界がすぐに到来する。こうした画期的なことを実現するため、スタートアップ・ゲノムはシードラウンドの資金調達に向け、エンジェルリストに掲載してもらっているところだ。

もし、あなたが投資家、アドバイザー、サービスプロバイダーとしてスタートアップに協力しているならば、ここからプライベートベータ版の「インベスター・コンパス」に登録することができる。そして、もしあなたが起業家なら、関係するステイクホルダーがあなたの進歩について最新情報を得ることができるよう、彼らをここから招待することができる。

どのように利用するか、どのように発展させればよいか、ぜひ私たちに意見を聞かせてほしい。あなたと共に、この可能性に満ちあふれた領域を探索できることを楽しみにしている。

【via Startup Compass】 @startupcompass

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フォーチュン1000社が「スタートアップ・ゲノム」から学べること

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スタートアップ・コンパスは、同種のスタートアップとの比較やベンチマークなどを用いて、スタートアップにより成功しやすい手法を広めるべく活動している。その研究や調査の集積は、「スタートアップ・ゲノム」というリポートにまとめられている。スタートアップ・コンパスはシリコンバレーに本拠を置き、世界にあるスタートアップ関連コミュニティと関係を締結し、知見の共有やコミュニティ間の交流に力を注いでいる。 スタート…

スタートアップ・コンパスは、同種のスタートアップとの比較やベンチマークなどを用いて、スタートアップにより成功しやすい手法を広めるべく活動している。その研究や調査の集積は、「スタートアップ・ゲノム」というリポートにまとめられている。スタートアップ・コンパスはシリコンバレーに本拠を置き、世界にあるスタートアップ関連コミュニティと関係を締結し、知見の共有やコミュニティ間の交流に力を注いでいる。

スタートアップ・デイティングが以前、スタートアップ・コンパスの記事(『シリコンバレーにある650社のスタートアップを研究して分かったこと』『スタートアップが失敗する一番の原因は「時期尚早な規模拡大」』)を掲載して反響が大きかったことや、アジアのいくつかのスタートアップ・コミュニティからの推薦もあり、日本でのメディア・パートナーを務めることになった。

スタートアップ・コンパスが提供してくれる情報はニュースではないが、スタートアップが生き抜いていく上で非常に有用な情報を提供してくれる。スタートアップ・コンパスや、そのアライアンス・メンバーである世界のスタートアップ・コミュニティから発せられる知見を、半定期的に日本語で提供したい。


【原文】

2011年2月、私たちはシリコンバレーの掟を破り、さらに世界中のスタートアップの成功率を上昇させる、とても挑戦的なプロジェクトを始めた。

2週間前、私たちはスタートアップ・ゲノム・コンパスを立ち上げた。これは、スタートアップのベンチマーク・ツールであり、スタートアップの初歩的な失敗となる原因の調査である。反応は予想外に大きかった。8500社以上のテック系スタートアップがこのアプリケーションを使い始め、私たちの調査レポートは25000回以上ダウンロードされた。今では15カ国語以上の言葉でかかれたブログ記事やインフォグラフィックス等をインターネット上で見つける事が出来る。世界中のいたる所にすむ何千の起業家の人生に触れられたことは、とても恐れ多いことだ。

この6ヶ月、スタートアップ・ゲノム・プロジェクトは膨大な量のスタートアップのデータを収集し、起業家の思う優秀なリーダーを総合し理論上のモデルを構築した。また、起業のプロセスやイノベーションを可視化することに挑戦した。

我々の理論上のモデルの本質は、スタートアップを環境や市場と相互作用を起こすプロダクト中心の生命体と捉えることにある。この生命体の核となる軸は、顧客、プロダクト、チーム、ビジネスモデル、ファイナンスである。スタートアップの重要な課題は、いかにこの5つの軸を実際の顧客の反応と協調させるかである。顧客との協調から早々と外れてしまう例に、プロダクトの軸を急いで進めてしまうケースがある。結果としてオーバースペックな商品となり市場に受け入れられにくくなる。

スタートアップのグループ分けやベンチマークにあたって、私たちはそれらをタイプとステージで分けた。異なるタイプのスタートアップは、顧客との関係や顧客開拓の複雑性により分類する。ステージは、スタートアップが大企業までに成長するまでのライフサイクルによって分類する。各ステージには異なるゴールがあり、また鍵となるアクティビティがある。例えば、最初のステージの「発見」では、スタートアップは主に定性的な調査プロセスを得て、問題と解決方法が適切かどうかを確認する。次のステージ「検証」では、スタートアップは、実際に動作するプロトタイプをつかってより量的な調査を行う。(より詳細な方法論はこちらから)

CC BY 2.0: via Flickr by betsyweber

我々がスタートアップ・ゲノム・プロジェクトを始めてから、多くのフォーチュン100企業の幹部が我々に接触してきた。我々のツールや調査が、彼らの仕事にも適応できないか興味を示しているのだ。当初、我々はスタートアップに注目していたが、この方法論がスタートアップの進捗のみならず、さまざまな革新的なプロジェクトの進捗を図るのにも応用できることがわかった。これらの飛躍的な考察の基礎となる理論は、クレイトン・クリステンセン(ハーバード・ビジネススクール教授。「イノベーションのジレンマ」著者)とスティーブ・ブランク(「アントレプレナーの教科書」著者)によって考えられた。

CC BY 2.0: via Flickr by Eva Blue

クレイトン・クリステンセンは、破壊的なイノベーションは起こすことは、イノベーションを続けることと本質的に異なると指摘した。異なるルール、異なるマネジメント戦略、異なるタイプの人々が必要になるのだ。スティーブ・ブランクは、この起業についての科学の話を、大企業で起きる破壊的なイノベーションに関連づけた。破壊的なイノベーションのための理想的な組織構造は、スタートアップであると気づいたからである。問題は、起業についての科学が発展しているにも関わらず、イノベーションは未だに黒魔術の類いとみなされている点である。ビル・ゲイツ、スティーブ・ジョブス、マーク・ベネオフの革新的な成果は、彼らのカリスマ性により実現されたとみられている。なぜなら、彼らが力がかなうはずもない敵や巨大マーケットに、どのようにして勝ったのか説明が困難だからである。

しかし、今、スタートアップ・ゲノムは、これらの革新的なプロジェクトが成功するか否かを明るみにし、経営や会計のイノベーションに新たなパラダイムを提供することができるだろう。

以下に、私たちの調査から得られたよりいくつかの発見と、私たちのツールや調査が役に立つ3つの例を示した。

調査からわかったこと

  • 最も成功しているスタートアップは、少なくともピボットを一度以上経験している。ピボットを一度か二度したスタートアップは、 ピボットを経験していないスタートアップと比べて 、2.5倍資金を多く調達し、3.5倍ユーザー数の伸びが良く、早まった拡大をすることが52%少ない。ピボットとは、スタートアップがビジネスの大部分の変更を決定することである。

大企業では、社内スタートアップに対してピボットを行わせない傾向にある。

  • 異なるタイプのマーケットや商品には、異なるタイプの創業者やリソースを必要とする。B2C対B2Bというのは、もう意味のある分け方ではない。インターネットは、顧客との力の関係性を大幅に変えてしまったからである。我々は、4つの基本的なスタートアップのグループを発見した。「顧客獲得」「必要とする時間」「市場リスク」「チーム構成」において異なる性質を持っていることがわかったのだ。

大企業は、彼らの本業から学んだことをイノベーション戦略に反映しようとして失敗する。

  • スタートアップの失敗の理由は、拡大が速すぎる場合が多い。我々が収集したデータの7割では、拡大が速すぎるか均整がとれていないことが失敗理由だった。均整がとれていない主な要因は、資本が大きすぎたり、チームが大き過ぎたり、チームの構成が悪かったり、テストが不足していたりなどである。ほとんどの大企業は同じようなことをしていて、計画の成功率を過信している。

結論

  1. 早すぎる拡大をして100,000ユーザを突破したスタートアップは一つもない。
  2. 早すぎる拡大をしたスタートアップの93%は、一つの基準となる月10万ドルの売上を出せなかった。
  3. 適切な拡大をするスタートアップは、早すぎる拡大をするスタートアップより20倍成長が速い。

大企業は、社内スタートアップに早すぎる拡大を強いる傾向にある。

  • 早期のスタートアップは、発見に多くの時間を費やしている。いびつなスタートアップは、自分たちのプロダクトを顧客が欲しがっていると正当化することに集中するのに対し、分別のあるスタートアップはその2〜4倍の時間を使って、顧客が誰なのかを調べている。分別のあるスタートアップは情報を調べている。そうでないスタートアップは、(調べずに)行動を起こしている。スタートアップで広く知られていることだが、スタートアップを成功させるリーダーは、とにかく調査をする人物であり、失敗させるリーダーは、調子良く見当違いなことを実行している人物だ。

大企業は最初の市場調査からすぐに実行に入り、
「発見」と「検証」という二つの重要な段階を見逃す。

  • マネタイズを急ぐスタートアップは失敗しやすい。マネタイズに躍起になると、いびつさを引き起こす。93%のいびつな状態のスタートアップのビジネス拡大時の収入は、月10万ドルにに満たない。収入は検証するのに重要な指標であるが、あまりに執着しすぎるとスタートアップにとって、機会を逸失したり、事業拡大にはつながらない機会に傾倒し、小さなビジネスや店舗のコンサルタントに変わってしまう。

大企業は、提供する新商品や新サービスの真の価値より収入に固執しがちである。
その結果、不適切な価格設定となる。

CC BY-NC-SA 2.0: via Flickr by thewoodenshoes

ユースケース

  • 私たちは大企業に対し、スタートアップを評価し、投資に最適な時期を決めるのを助けることができる。
  • 私たちは大企業の社内スタートアップを評価し、効果的な購買や構築の決定を助けることができる。
  • 私たちのフレームワークを、ビジネスの進行や制御システムの測定の指標とし、企業買収後の向上プロセスを促進する。

世の中では、70%から95%の買収が失敗している。この大きな数値は、スタートアップに大企業の財務、人事、プロダクト、マーケット、ビジネスモデルを取り入れようとして生まれた不和が原因である。買収されたとき、ほとんどのスタートアップはこれらの点に対して確信がなく、大企業の持つ、これらの一つにでも順応させようとするあまり、会社の成長を止めてしまったり、潰してしまったりする。

たとえば、親会社は、ビジネスモデルがなく、たくさんのユーザを持つスタートアップを見込み客の獲得に使いたいのかもしれない。その結果、スタートアップのプロダクトを最初の価値目標から離れさせてしまい、ユーザベースを失い、チーム内に大きなビジョンの対立を生みかねない。

私たちのフレームワークは親会社がスタートアップの開発ステージを計るのを可能にし、スタートアップが成熟し安定に必要なレベルに達した時に統合することで、これらの企業病を解決できる。

競争のプレッシャーは増え続けるので、どの大企業もイノベーションがますます生命線となってきている。イノベーションがストップすると、会社の寿命のカウントダウンが始まる。スタートアップ・ゲノムは無限の命を保証するわけではないが、より健全な生活のために、インフラやツールを作ろうとしているのだ。

(本稿は、Sandhill.com にも掲載されました。)

【via Startup Compass】 @startupcompass

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