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課題は首都圏での認知、Backlogの福岡・ヌーラボがTVCM開始のワケ

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ニュースサマリ:「Backlog (バックログ)」などのビジネス向けSaaSを展開するヌーラボは2月、テレビCMの展開を伝えている。同社がテレビCMを使ったキャンペーンを展開するのは創業17年目で初めて。Backlogを中心に競争が激しくなるプロジェクト管理ツールでの認知度獲得を目指す。放送期間は2月8日からで、関東、関西、中京、福岡で放映される。キャストにはドラマや映画で活躍する志田彩良さんを起…

ニュースサマリ:「Backlog (バックログ)」などのビジネス向けSaaSを展開するヌーラボは2月、テレビCMの展開を伝えている。同社がテレビCMを使ったキャンペーンを展開するのは創業17年目で初めて。Backlogを中心に競争が激しくなるプロジェクト管理ツールでの認知度獲得を目指す。放送期間は2月8日からで、関東、関西、中京、福岡で放映される。キャストにはドラマや映画で活躍する志田彩良さんを起用した。

Backlogの開始は2005年。社内の開発プロジェクトを管理する目的で作られたチケットシステムを外部でも利用できるようにしたのがはじまり。その後、タスク管理やWiki、カンバンなどの機能を追加して全社的なプロジェクト管理ツールに進化した。利用ユーザー数は170万人。スタータープランを除いて料金体系は導入単位となっており、ユーザー数が無制限なのが特徴。

話題のポイント:SaaS系スタートアップのテレビCM利用は随分と一般的になってきました。代表の橋本正徳さんとお話しましたが、プロジェクト管理ツールは海外勢含めて数も多く、機能的な差別化がどんどん難しくなっているそうです。競合含めて相当に広告費を積み上げているようで、認知の取り合いになっているのが実情だとか。

ちなみに「リモートワークに必要なクラウドサービス」という意思決定の現場でどのようなサービスと競合するのかお聞きすると、現時点ではやはりZoomやSlackといったコミュニケーション系のツールが第一想起に出てくることが多いというお話でした。多くの企業にとってはまだまだ対面がオンライン化した程度で、その先のプロジェクト管理・業務効率化についてはややタイムラグがあるようですね。

さておきヌーラボは福岡を拠点にこれまで頑張ってきた企業なのですが、橋本さん曰くどうしても関東での認知に苦戦しているようです。これは結構驚きなのですが、Backlogは知っていても、ヌーラボは知らないという層がいるという説明を聞いて確かに、と。Backlogは開発者を中心にチケットシステムとして広がった経緯があるので、エンジニアなどのコミュニティについては認知がある程度取れている印象があります。

一方、それを開発している企業という点では、ヌーラボはそもそも創業から13年目まで外部資本(特に私たちがよく言う『スタートアップ資本』)を積極的に入れることのないファミリー企業の形を長らく取ってきました。2017年にEast Venturesから初めての資金調達を実施し、昨年3月にNOW、XTech Ventures、新生企業投資から約5億円を調達していますが、逆に言えばこういった増資の話題は13年間皆無だったわけです。

スタートアップエコシステムとは面白いもので、同じようにテックサービスを作っていても、この種類株レースに参加していない企業というのは自然と注目から外れていきます。もちろん、創業者株のみで上場する「さわやかケース」もありますが稀です。

今回のテレビCMは初めてということもあり、リサーチ的な側面もあるという話でしたが、この後、ヌーラボがどのように認知を取っていくのか、これは同様にプライベート企業から上場を目指すパターンを考えている企業経営者にとっては参考になるかもしれません。

※本稿はClubhouseでの取材内容をご本人に同意いただいて記事化しています

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コロナ禍でデジタル化の先頭を走るエストニアから、日本のDXを考える〜福岡「ASCENSION 2020」から

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福岡市は、2020年11月27日にスタートアップに特化した国際交流オンラインイベント「ASCENSION 2020」をオンライン開催した。 本稿は、ASCENSION 2020 で行われた、「GLOBAL STAGE」のエストニアセッションについてまとめた。GLOBAL STAGE では、福岡市がパートナーシップを結ぶ世界各地域の最新のスタートアップやテクノロジーの情報や海外展開に関する最新動向が…

左上から時計回り: Ait Oliver 氏(駐日エストニア大使館)、宗原智策氏(NordicNinja)、日下光氏(xID)、斎藤アレックス剛太氏(SetGo)

福岡市は、2020年11月27日にスタートアップに特化した国際交流オンラインイベント「ASCENSION 2020」をオンライン開催した。

本稿は、ASCENSION 2020 で行われた、「GLOBAL STAGE」のエストニアセッションについてまとめた。GLOBAL STAGE では、福岡市がパートナーシップを結ぶ世界各地域の最新のスタートアップやテクノロジーの情報や海外展開に関する最新動向が語られた。

本セッションは、駐日エストニア大使館商務官の Ait Oliver 氏、行政の DX(デジタルトランスフォーメーション)支援を行う xID(クロスアイディ) CEO の日下光氏、NordicNinja のベンチャーキャピタリスト宗原智策氏をパネリストに迎え、xID や日本企業のエストニア進出支援を行う SetGo の斎藤アレックス剛太氏がモデレーターを務めた。

(文:馬本寛子、編集:池田将)

繋がりの強い小さなコミュニティの「強み」

エストニア・タリンの街並み
Image credit: scanrail / 123RF

エストニアで xID を創業した日下氏は、「コミュニティは小規模だが、中の人同士の繋がりが強い」と話す。

国内市場が小さく、多くのスタートアップは海外展開を前提に事業を立ち上げるため、様々な国の市場について情報を共有する環境があるのではないか。(日下氏)

また、エストニア政府の一員でもある Ait 氏は、政府と民間の距離が近く、包括的なスタートアップエコシステムがつくられていると特徴を述べた。ICT 教育を強化し、小学校教育から、プログラミングを教えるなどの取り組みが行われていることからも、政府の熱量がうかがえる。それらの特徴に加え、資金調達やメンタリングシステム、ネットワーキングを行う環境は、比較的整備されていると話した。

宗原氏は、エストニアスタートアップエコシステムの雰囲気について触れた。

日本人である私はエストニアでは「外国人」という立場だが、スタートアップシーンをつくりあげていく一員として、(エコシステムに)所属していると実感できる。国外からも参加しやすい、居心地の良いコミュニティだ。(宗原氏)

パネリストの全員が、官民連携の強さやコミュニティが小規模ながら繋がりの強さを指摘した。2011年にマイクロソフトに買収された「Skype」の創業や経営に携わっていたメンバー(Skype マフィア)や、ユニコーンをつくりあげた起業家が身近にいることから、良いメンターに巡り合える可能性も高いと言える。

コロナ禍で浸透が進んだデジタル化

Image credit: Government of Estonia

「コロナ禍における、エストニアのビジネスシーンが受けた影響」について、Ait 氏は、行政面とスタートアップ面のそれぞれの変化について話した。

エストニアでは、2001年頃から政府のデジタル改革が進められており、コロナ禍において、これらの取り組みは功を奏した。国民一人ひとりにデジタル ID が与えられ、インターネット投票なども行われている。デジタル化に伴う、法的整備も進んでいたことから、法的文書のデジタル署名なども問題なく進められた。

コロナ禍以前にもデジタル署名は使用できたが、コロナ時代に突入してから、デジタル署名の使用率は5割上昇した。また、サイバーセキュリティや IT サービスを取り扱ったスタートアップなどが多いことから、多くの企業が売上も良好で、コロナ禍でも資金調達のニュースが多かったという。

さまざまなエストニアスタートアップの投資に関わる宗原氏は、コロナ禍で成長した投資先企業として AI を利用したオンライン ID 認証システムを提供する Veriff、配車サービスの Bolt、オンデマンドデリバリの ZITICITY の3社を挙げた。

例えば、これまで配車サービスに注力していた Bolt は、コロナ禍で電動スクーターや電動バイクなどのマイクロモビリティ事業が成長し、公共交通システムに変わるサービスになりつつあるという。乗降車のオペレーションシステムが評価され成長が加速しているそうだ。

DX の鍵を握る「データマネジメント」

DX の局面で発生するトラブルやそれらの解決方法については、データマネジメントが DX の鍵を握る。アナログデータからデジタルデータに移行することをデジタル化の定義とし、データ活用事例とデータを取り巻く現在の課題についても議論がなされた。

デジタルデータは収集が容易であり、集めたデータを分析することでユーザー理解を深め、マーケティング戦略の構築に活用できるが、課題もある。UberEats やDoordash などのフードデリバリサービスのようなプラットフォーマーに顧客データの詳細が集中するため、実際に食べ物を提供する飲食店などのサプライヤーに情報が届かなくなり、商品開発にデータを活かせないという課題が浮上する。

近年、欧米では Cookie でのデータ取得が難しくなりつつある状況も踏まえ、今後はデータをどのように収集し、取り扱っていくかというデータマネジメント上の課題の解決方法が鍵となるだろう。

政府のデジタル化を進めた3つのポイント

エストニアの電子 ID システム
Photo credit: e-Estonia Showroom / CC BY 2.0

2001年からデジタル化に乗り出したエストニアが、政府の電子化を実現した背景について Ait 氏は、3つのポイントを挙げた。

1. デジタル化を進めるために、政府は具体的な目標を掲げた。

エストニアの政府戦略は、明確な目標が設定されており、具体的な目標数値、KPI、目標のために実行されることが国民に対しても明示されている。

2. デジタル化を進めるためのツールがしっかりと用意された。

デジタルIDの取得はエストニア国民の義務とされているため、全ての国民がデジタルIDやIDカードなどを保有している。これらの「義務化」は重要な役割を果たした。

3. 導入されることによって、政府・企業・国民のそれぞれが便利になり、国民の理解が進みやすいサービスからデジタル化が進められた。

一番はじめに、税金関連の仕組みからデジタル化が進められた。もし、投票システムを足掛かりにはじめていたら、デジタル化はここまでスムーズに進まなかっただろう。

モデレータの斎藤氏は Ait 氏が挙げたこれらのポイントに加え、、エストニア政府の透明性について触れ、「政府も、スタートアップ的な視点で行政を執り行っていると感じる」と話した。

日本のスタートアップに必要な視点「BLT」

加賀市とxID(当時、blockhive)が連携協定を締結(2019年12月)
Image credit: xID

石川県加賀市や茨城県つくば市と行政のデジタル化に取り組む日下氏は、日本国内におけるデジタル化を取り巻く課題について話した。

日本国内のスタートアップの多くは、法的な課題にぶつかる。日本でスタートアップとして新しい事業を行っていくには、BLT(ビジネス・リーガル・テクノロジー)の3つの全てをバランスよく理解せねばならない。

そのような問題を解決する方法のひとつとして、大企業との協業という選択肢を挙げた(編注:xID は加賀市のプロジェクトで、トラストバンクと連携)。協業先と共に法務的な面からサービスを考えたり、力を借りたrしながら法規制に働きかけるなどして、問題解決に取り組める可能性を示唆した。

また、国と地方自治体では、規制や法律が大きく異なることについても指摘した。実際に xID では加賀市で、デジタルIDアプリとマイナンバーカードの連携を行い、行政のデジタル化を進めているが、これらの導入においては、日下氏らが加賀市に1ヶ月間滞在し、ワークショップなどを行ったという。

パネリストは日本の行政などの DX 化に向けて必要なことを挙げ、本セッションは締めくくられた。

このチャンスを活用することで、誰もが便利で意味のある仕組みが作れるのではないか。コロナ禍の今こそ、大きく前進するチャンスだ。(Ait 氏)

若い世代に対してデジタル化による恩恵について伝え、エンパワーメントしていくことが必要だ。(宗原氏)

デジタルIDは、行政のデジタル化において重要な役割を果たすと思う。デジタルIDを浸透させるためには、国民を安心させるほどの透明性の確保が重要だ。(日下氏)

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日本企業とイスラエルスタートアップ、協業成功の秘訣とは〜福岡「ASCENSION 2020」から

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福岡市は、2020年11月27日にスタートアップに特化した国際交流オンラインイベント「ASCENSION 2020」をオンライン開催した。 本稿は、ASCENSION 2020 で行われた、「GLOBAL STAGE」のイスラエルセッションについてまとめた。GLOBAL STAGE では、福岡市がパートナーシップを結ぶ世界各地域の最新のスタートアップやテクノロジーの情報や海外展開に関する最新動向が…

Image credit: 左上から時計回り:寺田彼日氏(Aniwo)、田中克典氏(Sentinel One)、岡本敏氏(住友化学)

福岡市は、2020年11月27日にスタートアップに特化した国際交流オンラインイベント「ASCENSION 2020」をオンライン開催した。

本稿は、ASCENSION 2020 で行われた、「GLOBAL STAGE」のイスラエルセッションについてまとめた。GLOBAL STAGE では、福岡市がパートナーシップを結ぶ世界各地域の最新のスタートアップやテクノロジーの情報や海外展開に関する最新動向が語られた。

本セッションには、住友化学(東証:4005)技術・研究企画部 担当部長 岡本敏氏、とセキュリティ事業を営むイスラエル企業 Sentinel One 日本法人リージョナルディレクター田中克典氏をパネリストに迎え、日本とイスラエル間のオープンイノベーション推進などの事業を行う Aniwo CEO の寺田彼日氏がモデレーターを務めた。

(文:馬本寛子、編集:池田将)

イスラエルスタートアップの鍵を握る R&D

イスラエルで起業し、日本企業とイスラエルスタートアップの協業支援を行う寺田氏は、セッションの冒頭でイスラエルのスタートアップエコシステムについての基礎情報について話した。日本の四国と同程度の面積に882万人が暮らすイスラエルだが、国民1人あたりのスタートアップ数や投資額は世界一と言われている。2019年には、約9,000億円(約82億ドル)の投資額を集めている。日本のベンチャー投資額は年間でおよそ4,000億円程度と言われているため、日本の2倍の投資額である。

また、世界中のスタートアップエコシステム を研究・調査する独立系の調査会社 Startup Genome  が2020年の6月に発表した「Global Startup Ecosystem Ranking 2020」では、イスラエルの都市テルアビブが世界6位であることについても触れた。「イスラエルのIT系スタートアップの多くがテルアビブに集中しており、世界中の企業が研究開発を行っている。日本企業も現在増えつつあり、日本とイスラエルの連携は今後より強化されると考えられる」と寺田氏は話した。また、テルアビブの他にも、ハードウェアなどを扱うスタートアップはハイファという都市に集まっており、都市ごとに集中する産業が異なることも特徴のひとつだと述べた。

視点をずらして価値を生む

Image credit: Israel Startup Map

イスラエルスタートアップの基礎情報が共有されたのち、3つのトピックを軸にパネルディスカッションが展開された。「イスラエルのスタートアップはなぜイノベーティブなのか?」というトピックから、イスラエルにおけるイノベーション創出力の源泉とは何か、議論が交わされた。

アメリカやイスラエルを中心にスタートアップとの協業に取り組み続けてきた住友化学の岡本氏は、アメリカと比較しながらイスラエルスタートアップの特徴について話した。

少し、外した視点から物事に取り組む「Out of Box」の精神で、他の企業とは次元が違う取り組みを行えるのがイスラエルの強みだと思う。(岡本氏)

このコメントに寺田氏も共感を示し、これまでの開発の視点と異なる解決法で CPU のパフォーマンスを改良した Intel のイスラエルチームでの開発事例を挙げた。

また、サイバーセキュリティを手がける Sentinel One 日本法人の田中氏は、エンジニアリング力の強さを感じているという。

私が所属する企業から感じることであり、全てのイスラエル企業に共通するとは言えないが、セールスチームの規模がものすごく小さいことに驚いた。(田中氏)

アメリカの企業では、基本的に大規模なセールスチームがあり、それらをサポートする位置付けとして、エンジニアリングチームが配置されている一方、Sentinel One では、半数以上がバックエンドを支えるエンジニアだそうだ。エンジニアの特徴についても触れ、多くのエンジニアが専門的な知見を持ち、若い20代が活躍していると続けた。

エンジニア同士の横のつながりが強いと感じている。同世代の連携が強いため、密度の高い社外連携が行われている。そうした背景から、ひとつの企業のみでは成り立たないようなエコシステム の醸成がなされているのではないか。(田中氏)

イスラエルの特徴を語る上で「同世代間のつながり」は重要なキーワードである。その背景について、寺田氏は高校卒業後の国民に課される2〜3年間の兵役義務が同世代間のネットワーク醸成に一役買っているのではないかと考察を述べた。軍隊の中には、サイバー攻撃の実践的な内容を教育する部隊も存在しており、学力的にも上位に位置する層がその部隊に集められているそうだ。

ストレートで合理的なコミュニケーション

image via. Flickr

臭気検知 IoT プラットフォームを開発するイスラエルのスタートアップ Nanoscent への出資に携わった岡本氏は、「イスラエル企業との協業は、これまでの他国との協業の事例と比較しても進めやすかった」と話す。その背景として、イスラエル企業とのコミュニケーションが、合理的かつストレートな傾向にあることが挙げられた。

一方で、実際のコミュニケーションの中で発生した問題についても語った。

日本企業との協業は年々増えつつあることもあり、協業には意欲的だが、上層部の承認を得る際に時間がかかるなど日本独自の企業文化に対しては、不安に思われ、指摘されることもある。そうした問題を解決するためにも、協業企業とは正直かつ、こまめに状況の説明を行う必要がある。(岡本氏)

住友化学が2019年12月に出資した後も、2020年5月には同社から Nanoscent に追加で資金提供が行われている。こうしたスピーディーな意思決定を可能にした背景について、寺田氏が尋ねたところ、岡本氏は「泥臭い方法以外ない」と述べ、社内の役員に対して何度も説明を行ったことや、投資先とも頻繁にコンタクトを取り続け、時間を回数で補ったと明かした。

何よりも現地へ赴くこと

テルアビブで開催される年次スタートアップイベント「DLD」
Image credit: Masaru Ikeda

コロナ禍でも、イスラエルスタートアップの買収は行われている。セッションでは、交渉から買収まで全てリモートで行われた最高額の取引例として Intel が交通アプリを開発する Moovit を約960億円で買収した話が話題に上った。

岡本氏は2020年から始まった新規プロジェクトは無かったとし、連携の工夫について次のように話した。

オンラインのみでのコミュニケーションだと齟齬が生まれることもある。オンラインでのこまめなコミュニケーションのみでなく、イスラエルに住む日本人の協力を仰ぐなどしている。(岡本氏)

田中氏は、リモートワークが増え、オフィスから離れた場所で働く人が増えたことで、セキュリティにおける新たな課題が生まれていることについて述べ、誰でも、どこからでも働くためにはセキュリティ環境において全てを信用しないゼロトラスト環境であることを前提にセキュリティを考える必要性があることを指摘した。

また寺田氏が  Sentinel One の魅力について田中氏に問うと、技術力の高さや思慮深さを挙げた。問題が発生した際に、顧客のペインに対して深く議論し、解決法を見出そうとする姿勢に魅力を感じていると話した。

セッションの最後には、イスラエルに実際に赴くことの重要性についても議論された。岡本氏は、大企業の担当者として協業を考える場合について注意すべき点について述べた。

上層部への説明についても考えながら進めていく必要がある。(岡本氏)

また、彼は外注した調査の結果から吟味するのと実際に足を運ぶのでは、新たな発見の数に大きな差があると指摘した。少しでも可能性が見えるならば、それらの企業と会ってみることが大事だとし、イスラエルの雰囲気を肌で感じた上で協業等に取り組むことをすすめた。

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沖縄発・IoT/AI遠隔点検のLiLz(リルズ)、シリーズAで約2.5億円を調達——環境エネルギー投資、ドーガン・ベータなどから

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沖縄・宜野湾に本拠を置く LiLz(リルズ)は9日、シリーズ A ラウンドで約2.5億円を調達したことを明らかにした。このラウンドに参加したのは、環境エネルギー投資、ドーガン・ベータ、ソニー(東証:6758)、沖縄振興開発金融公庫と名前非開示の投資家。同社はこれまでに、起業家育成プログラム「Ryukyufrogs」の立ち上げに関わったソーシャルインパクト投資のうむさんラボから資金を調達している(調…

LiLz のメンバーの皆さん(一部)
Image credit: LiLz

沖縄・宜野湾に本拠を置く LiLz(リルズ)は9日、シリーズ A ラウンドで約2.5億円を調達したことを明らかにした。このラウンドに参加したのは、環境エネルギー投資、ドーガン・ベータ、ソニー(東証:6758)、沖縄振興開発金融公庫と名前非開示の投資家。同社はこれまでに、起業家育成プログラム「Ryukyufrogs」の立ち上げに関わったソーシャルインパクト投資のうむさんラボから資金を調達している(調達額は不明)。

LiLz は、広島の IT ベンチャー出身のエンジニアである大西敬吾氏(現・代表取締役)らにより2017年に創業。2017年には施設メンテナンス大手の高砂熱学工業(東証:1969)のアクセラレータ「just move on!」に採択され、高砂熱学工業と計器点検を自動化するサービス「LiLz Gauge(リルズゲージ)」を共同開発し、2020年6月からサービス提供している。

ビルなどの設備メンテナンスでは、担当者が定期設備を巡回し、メーターが示す値を記録し、異常な兆候が無いかを確認する必要がある。人手不足の観点からこれらのメーターはスマートメーターなどにリプレイスされ、記録や分析が自動化されることが望ましいが、設備を止めることができなかったり、スマートメーターを動かす電源や通信ネットワークを確保できなかったりすることが多い。

「LiLz Gauge」
Image credit: LiLz

LiLz Gauge は、現在備わっているアナログのメーターを低消費電力 IoT カメラで撮影、それをクラウドにアップロードし文字認識・画像認識することにより値を記録・分析する。アナログメーターを使って、スマートメーターが行うのと同じことが可能になる。機器の異常兆候を目的として、特定音の検索サービス(LiLz Sound Search)も開発している。

LiLz Gauge はビルや病院、プラント、発電所、下水処理場、道路関連設備などあらゆる点検現場で導入され、2020年6月のサービスインから6ヶ月で約1,200台が稼働している。導入済または導入予定の企業は、TMES(施設管理)、山陰酸素工業(ガス製造・販売)、月島機械(上下水道・化学プラント各施設)など全国各地で30社以上に達した。

九州・山口ベンチャーアワーズ 2018で大賞を受け取る代表取締役の大西敬吾氏(左)
Image credit: Masaru Ikeda

LiLz は2017年、IoT/AI サービス開発に特化した企画合宿プログラム「LiLz Boot Camp」の運営で、IoT 開発のウフルと業務提携。同年、NVIDIA Inception Program のパートナー企業に認定された。2018年には九州・山口ベンチャーアワーズで大賞、2019年には CEATEC AWARD 2019 トータルソリューション部門グランプリを獲得している。

LiLz では今回調達した資金を使って、IoT カメラ次機種の開発費(LiLz では、電池駆動で3年間可動する超低消費電力IoT カメラを昨年開発している)、機械学習を活用した新たな価値創出のための研究費や開発費、SaaS 事業における人材の採用費や人件費、マーケティング費用に投資するとしている。

Lilz Gauge が提供する機能の一部は、適用業界は異なるもののの、Open Network Lab の Resi-Techプログラム第1期デモデイで優勝した不動産管理の「管理ロイド」や、建設土木クラウド の「Photoruction」などにも類似しているかもしれない。

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「Get in the Ring」AI版の大阪予選が開催——EC不正検知のLizuna、秘密計算のEAGLYS、音声ERPのHishabが世界決勝へ

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Get in The Ring はオランダで2012年に始まったピッチコンペティションだ。ピッチをボクシングに見立て、ス タートアップはバリュエーションによりライト級・ミドル級・ヘビー級に分かれ、リング上でピッチでの対戦に 臨む。それぞれの級で選ばれた各都市予選の勝者は、年に一度の世界決勝に出場できる。 これまでの世界優勝者には、 Ant Financial(螞蟻金融)が2016年に1億米ドルで買…

Get in The Ring はオランダで2012年に始まったピッチコンペティションだ。ピッチをボクシングに見立て、ス タートアップはバリュエーションによりライト級・ミドル級・ヘビー級に分かれ、リング上でピッチでの対戦に 臨む。それぞれの級で選ばれた各都市予選の勝者は、年に一度の世界決勝に出場できる。

これまでの世界優勝者には、 Ant Financial(螞蟻金融)が2016年に1億米ドルで買収した、眼球の血管パター ンによるバイオメトリクス認証のスタートアップ EyeVerify(アメリカ)、アバターによる手話通訳スタート アップ MindRocket(ヨルダン)、人間の尿から土壌改良のためのバイオ煉瓦を作り出す Liquid Gold(南アフ リカ)など有望スタートアップが名を連ねる。

大阪では、Osaka Innovation Hub が2016年から予選イベントを開催するようになり、3日の夜、5回目となる予 選がオンライン開催された。今回は AI スタートアップに特化し、ライト級・ミドル級・ヘビー級のセミファイ ナリスト6チームが集結。それぞれの級の日本予選優勝者(ファイナリスト) には来年2月19日、カナダのモントリ オールで開催される世界決勝への出場権が提供される。

このイベントで審査員を務めたのは、

  • Tim Miksche 氏(ドイツスタートアップ協会日本代表)
  • 廣田隆介氏(Spiral Ventures プリンシパル)
  • James Coleman 氏(Tech Concierge 共同創業者兼 CTO)

レフェリーは、Nathan Bryan 氏(ガイジンズ 代表取締役) が務めた。

<ライト級(バリュエーション50万ユーロ未満部門)優勝> Beacon by Lizuna

e コマースで不正な取引が行われると、店舗はチャージバック(クレジットカードのなりすましユーザからの注文に対し、店舗は商品を犯人に騙し取られながらも、店舗はユーザへの返金を余儀なくされるケース)をはじめ負担を強いられる。Lizuna は、チャージバックを減らすべく e コマースにおける不正注文の防止と検知をする Shopify 対応アプリ「Beacon」を開発している。

偽電話番号などの過去取引からのビッグデータ、SMS やメールを使った不正行為分析や異常アクティビティのパターン追跡、ブラックリストシステムの導入により詐欺に利用されている可能性の高いアカウントの自動削除などの機能を提供する。従来、このような仕組みはカード会社が利用する不正検知システム「Falcon」などに限定されたが、Beacon はより多角的な機能を月額15米ドルから利用できるのが特徴。

2018年、神戸市と500 Startups、アクセラレーションプログラム「500 Kobe Accelerator」第3期に採択された。Crunchbase によれば、同社は2017年に5万米ドルを調達している(調達先は不明)。

<ミドル級(バリュエーション50万〜250万ユーロ部門)優勝> Data Armor by EAGLYS

EAGLYS は、AI と秘密計算の研究開発と社会実装を行うスタートアップ。秘密計算とは、データを暗号化したまま復号することなく任意のデータ処理ができる新しい暗号技術の総称だ。データを秘匿した状態で活用できることから、データ利活用社会における重要インフラ技術として注目されている。

EAGLYS では、データを暗号化したまま処理可能な高機能暗号・秘密計算プロキシソフトウェア「Data Armor Gate」を開発。データベースへ保存する際の通信時や保管時のみでなく、保管した暗号データに対する検索や集計などの演算処理、保管されたデータをもと 機械学習や深層学習等を常時秘匿化された状態で処理が可能だ。

EAGLYS はこれまでに、「TechSirius 2019」最優秀賞、「未来2019」ロボット・AI・IoT部門最優秀賞、「ICT SPRING EUROPE2019 cyber security section」優勝、「Forbes JAPAN」 Rising Star Award,「東京ベンチャー企業選手権」東京都産業労働局長賞、「JapanVentureAwards2020」中小企業庁長官賞、「世界発信コンペティション」東京都ベンチャー技術奨励賞などを受賞。2019年に、博報堂 DY ホールディングス、SBI インベストメント、ユーザーローカルから資金調達している。

<ヘビー級(バリュエーション250万ユーロ以上部門)優勝> Hishab

Hishab は、バングラデシュを拠点に音声 UI による ERP ソリューションを開発するスタートアップ。主に新興国をターゲットにしている。新興国では識字率が低く(バングラデシュで60%、女性の場合で50%程度)、IT リテラシーが低いため複雑なシステムの導入が難しい。UI に音声を使うことで教育を受けていない人でも使えるシステムの構築を狙う。

スマートフォンに限らず、ガラケーでも対応が可能。特定の電話番号に電話をかけて話すことで、システムは ASR(音声認識)によるデジタルデータとして情報を取り込む。バングラデシュで使われるベンガル語のほか、ミャンマーで使われるミャンマー語にも対応。昨年からは、新興国向けクロステックサービスを提供するリンクルージョンとミャンマーで実証実験を行っている。

これまでにバングラデシュ国内で50万人以上のユーザが登録、メーカーの受発注業務、個人商店の売上管理、マイクロファイナンス事業者の業務管理に利用されている。今回審査員を務めた廣田隆介氏の在籍する Spiral Ventures(当時、IMJ Investment Partners)は、2016年と2017年に Hishab に出資を実行している(出資額非開示)。

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コロナ禍、GovTechは市民に何ができるか?〜福岡「明星和楽2020」から【ゲスト寄稿】

本稿は、11月7日に福岡市内で開催されオンライン配信された「明星和楽2020」に関する記事の一部。明星和楽のイベントウェブサイトに掲載されたものを、主催者の了解のもと転載した。 11月7日、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、オンラインで配信された明星和楽2020。 明星和楽は福岡市を拠点としたテクノロジーとクリエイティブの祭典だ。年齢やポジションに関係なく「異種」な人々が「交」わる場として毎…

本稿は、11月7日に福岡市内で開催されオンライン配信された「明星和楽2020」に関する記事の一部。明星和楽のイベントウェブサイトに掲載されたものを、主催者の了解のもと転載した。


11月7日、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、オンラインで配信された明星和楽2020。

明星和楽は福岡市を拠点としたテクノロジーとクリエイティブの祭典だ。年齢やポジションに関係なく「異種」な人々が「交」わる場として毎年イベントを開催。

福岡から新しいモノ・コトが創り出されるきっかけを提供してきた。今回は、10年目の節目を迎え、民間と行政の関係性に注目した「共犯関係 -GovTechのゆくえ-」をテーマに2つのトークルームでイベントを配信。「GovTech セッション」では、官民から下記の豪華ゲストが登壇した。

【ゲスト】

  • 髙島宗一郎氏 福岡市長
  • 池田将氏 BRIDGE 共同創業者 兼 シニアエディタ
  • 江口晋太朗氏 TOKYObeta Ltd. 代表

【モデレーター】

  • 石丸修平氏 福岡地域戦略推進協議会 事務局長
左から:石丸修平氏、髙島宗一郎氏、池田将氏、江口晋太朗 氏

行政の役割の充実のために必要なテクノロジー

髙島市長は GovTech の推進には、行政と民間のコラボレーションが必要だと話した。街づくりにも民間のノウハウを取り入れ、「より効率的に、かつ面白く、ワクワクしよう」という時代の変化が背景にある。菅政権下でデジタル庁新設の話も進んでおり、GovTech を加速させるタイミングだと期待。

行政の主な役割は、定型的な情報のやり取りである「インフォメーション」と、高齢者や障がい者支援のような「人のぬくもりが必要なもの」の2つだ。「インフォメーション」は、効率的に人手をかけないこと、一方で「ぬくもりが必要なもの」は、「誰一人取り残さない」ために人が入っていくことが重要だ。その人的リソースを生み出すために、テクノロジーの力は欠かせない。

石丸氏は今年、新型コロナウイルス感染拡大と九州の災害は大きなインパクトを与えた。テクノロジーの浸透に向け、民間企業、クリエイティブ人材、行政が手を取り合っていく必要性があるとした。

欧米では、新型コロナウイルス感染拡大で事業内容を変更するスタートアップが急増

海外の GovTech 事例について池田氏は、欧州でのロックダウン下における失業者との雇用のマッチングや、医療従事者などエッセンシャルワーカーの移動の支援などを挙げた。

また、米国カリフォルニアの事例では、新型コロナウイルス感染軽傷者と宿泊者が急減したホテルのマッチングにスタートアップが介在する事例などを挙げた。欧米ともに新型コロナウイルス感染拡大を受けて、業績が低迷した旅行や宿泊業などのスタートアップがサービス内容を変更し、社会のニーズに合わせた新たなサービスを展開している事例が増えているという。

欧米に比べると新型コロナウイルス感染拡大での重傷者数、死亡者数の割合が低い日本も第3波の感染拡大に備えた対策に危機感をもって対応することが求められている。

行政のオープンデータ化により、民間企業のビジネス創出を促す

国内でのテクノロジー活用のポイントとして江口氏は、「データ収集」「データ提供」「データ基盤」の3つのポイントを説明。行政が保有している気象や汚染状況などさまざまなデータを整え基盤化させ、オープンデータとして公表し、ベンチャーやスタートアップに自由に利用を促すことにより、新しいビジネスの創出を促す動きについて挙げた。

国内のオープンデータの活用事例として、福井県の鯖江市の事例などを説明。 国内外も含め、街のマイナス的な要素をあえて公開し、発信することにより、市民参加型でその街の課題解決に向かう事例もあるとした。

個人情報の取扱いという難題を、テクノロジーで解決する

対談では、現場で感じるGovTechの厳しさについても語られた。個人情報と切り離したデータ活用について、エッジコンピューティングなどの最新事例も挙げられ、個人情報の取扱いの課題解決に向け可能性を感じる内容となった。

EU の GDPR(General Data Protection Regulation:一般データ保護規則)を踏まえ、情報取扱のルールを設けることで、市民のリテラシーを高め、結果として市民の不安を払拭するという解決方法も挙げられた。

また、海外で行政の中に CDO(チーフデジタルオフィサー)として外部人材を起用する流れが起きていることについても深い議論がなされた。福岡市の AI バスやオープンデータの公開、熊本地震の際に構築したクラウド上のプラットフォームなど、GovTech の実際の活用事例も共有され、社会課題の解決への可能性を感じさせられた。

本セッションから、GovTechで「誰一人取り残さない」社会の実現のための、未来へのヒントを学んだ。明星和楽では、引き続きGovTechの動向を追っていく。

当日の動画はこちらの明星和楽2020 オンライン開催 ルーム「明星」〜テーマ「共犯関係」〜から。本セッションは1:12頃~2:13の配信。

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北の大地から世界を狙う、道産子スタートアップ9社をご紹介〜NoMaps Dream Pitch 2020から

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10月第2週〜3週にかけて、札幌を舞台にテクノロジー・音楽・映像のフェスティバル「NoMaps(ノーマップス)」が開催された。今年は新型コロナウイルス拡大の影響で、NoMaps で開催される多くのイベントがオンラインに移行した。 例年、経済産業省らが開催する「NoMaps Dream Pitch」もそんなイベントの一つだ。技術やビジネスモデルが評価され表彰を受けた北海道を中心とするスタートアップ9…

10月第2週〜3週にかけて、札幌を舞台にテクノロジー・音楽・映像のフェスティバル「NoMaps(ノーマップス)」が開催された。今年は新型コロナウイルス拡大の影響で、NoMaps で開催される多くのイベントがオンラインに移行した。

例年、経済産業省らが開催する「NoMaps Dream Pitch」もそんなイベントの一つだ。技術やビジネスモデルが評価され表彰を受けた北海道を中心とするスタートアップ9チームを紹介しておきたい。

審査員を務めたのは次の方々。

  • 伊藤博之氏(クリプトン・フューチャー・メディア 代表取締役、NoMaps実行委員長)
  • 小笠原治氏 (ABBALab 代表取締役、さくらインターネットフェロー、京都造形芸術大学教授)
  • 各務茂夫氏(東京大学大学院工学系研究科 教授、産学協創推進本部 副本部長)
  • 里見英樹氏(メディア・マジック 代表取締役)
  • 田中慎也氏(BIJIN & Co. 代表取締役社長)
  • 廣川克也氏(SFC フォーラム 事務局長、SFC フォーラムファンド ファンドマネージャー)

Haratte by AmbiRise(北海道札幌市)【最優秀賞・北海道経済産業局長賞】

行政機関では、受け付けた請求書の内容をシステムに入力する時間が1団体あたり年間8,000時間、全国合計で年間40万時間費やされているという。請求受付業務の自動化や省力化は以前からの課題だが、会計システムと自動連携するには困難を伴う。会計システムはネットワーク的に閉じられた位置にあり外部との直接連携が難しく、そのシステム改修のコストが捻出しづらいなどの理由からだ。

今年まで18年間にわたり行政に勤務していた創業者が AmbiRise を設立。同社の最初のプロダクトとして立ち上げたのが行政宛請求プラットフォーム「Haratte」だ。Haratte では、請求元で請求情報の入った QR コードを請求書に印刷してもらい、それを行政側で読み取ることで入力業務を簡素化する。行政の作業効率化に寄与する ことから、料金は行政がサブスクモデルで支払う。

Pickles by Horizon Illumination Lab Optics(北海道札幌市)【優秀賞・NoMaps 実行委員長賞】【特別賞:NEDO TCP(Technology Commercialization Program)賞】

国内で1万症例、世界に患者が7万人いるとされる慢性骨髄性白血病(CML)は、異常な遺伝子(BCR-ABL 融合遺伝子)からつくられるタンパク質が白血病細胞を増殖させて生じることがわかっている。一般的に、この種類の白血病の治療には当該のタンパク質の生成を抑える分子標的治療目的でダサチニブ、ニロチニブ、イマチニブなどの5種類の抑制薬が存在するが、どのような患者や症状にどの薬を処方すべきか効能が期待できるか明確な基準が無い。この状況には CML 患者も血液内科医からも不満の声が上がっている。

Horizon Illumination Lab Optics の開発した光診断薬「Pickles」は、BCR-ABL 活性を測定できるバイオセンサーだ。Pickles 遺伝子を導入した検体に候補となる抑制薬で処理を行うと、顕微鏡で見た際に赤く見える検体が青く変化し薬剤応答が確認できる(薬剤の効果がない場合は青く変化しない)。CML 細胞一つひとつの薬剤応答を見える化することができ、薬を処方する前の段階での効果の予測、副作用による薬の変更、休薬やジェネリック薬への変更などを医師が判断しやすくする。癌治療への応用も可。

<参考文献>

エアシェア(北海道帯広市)【優秀賞・NoMaps 実行委員長賞】【特別賞:NICT 賞(起業家万博全国イベント、北海道地区代表)】

エアシェアは、旅行者と航空機オーナーとパイロットを Web 上でマッチングするサービスだ。旅行者は、完全オーダーメードの遊覧飛行や区間を直接結ぶ移動手段、オーナーにとっては遊休時の資産運用や節税対策、パイロットにとっては官公庁や航空会社に勤める以外でのプロとしての収入確保の手段が獲得できる。

パイロットとオーナーはそれぞれ、自由に金額を設定・提示することができる。旅行者からのオファーがマッチングすると、パイロットとの間でチャットボックスが開設され、例えば「自分の家の上を飛んでほしい」といった詳細なオーダーも可能だ。10月現在、飛行機8機、ヘリコプタ15機、パイロット27人が登録している。国土交通省から、適法性と安全対策を認めた承認を受けている。

類似したサービスとしては、アメリカの AeroBlackBird(今年2月、Surf Air により買収)、国内では「Tokyo Startup Gateway」第4期に採択されデモデイで最優秀賞を獲得した「OpenSky」などがある。

<関連記事>

MIJ labo(北海道帯広市)【審査員特別賞】

環太平洋地域においては、牛肉は切開され枝肉の形で格付けされ取引されている。この格付け作業は目視で行うため格付けする人によって個人差があり、格付けデータは紙に記され画像を伴わないため、整理をするには必ず現場に出向く必要がある。また、データが紙であるため、格付け・取引後の流通業への仕分け作業にも時間がかかっているのが現状だ。

帯広畜産大学発のスタートアップ MIJ Labo では、枝肉の撮影画像をクラウドへアップロード、画像解析により 牛肉の質を客観的に評価するシステムを開発した。ホクレンらとリモート競りシステムを試験運用中で、国内の 県畜産研究所や海外の格付認定機関でも利用されている。将来はブロックチェーンを活用した、輸出拡大につながるEC プラットフォームへの応用にも期待される。

<参考文献>

DeVine(北海道札幌市)【審査員特別賞】

犬や猫を飼う世帯が増えるにつれ、その周辺のペット関連市場にも変化が現れ始めている。こうした中で、特に伸びを示しているのが動物医療や保険の分野だ。一方、動物が長生きする中で3歳以上の犬・猫の8割以上が歯周病に罹患しているとのデータがあり、中でも重症の場合は、歯根と鼻腔の間に穴ができてつながってしまう口腔鼻腔瘻になってしまう。

口腔鼻腔瘻になると口臭がひどくなり、犬・猫は呼吸が苦しくなるので治療することになるが、治療の際の抜歯後にで聞いた抜歯窩(歯茎の穴)に、人間の場合と違って、犬・猫の場合は充填剤を入れずに上皮を縫合することが多いという。これは薬事法で認められた充填剤が動物用には存在していないからだが、DeVine では北海道の未利用資源を使って、動物の歯再生医療の開発を目指す。

Fant(北海道帯広市)【審査員特別賞】

近年、日本では20代〜30代の若手ハンターは増加傾向にある。ジビエの人気もその追い風となっている。しかし、ハンターのスキルを習得するには、狩猟会などに所属し狩猟を教えて食える人を身近で見つけ実地で学ぶしかない。若手のハンターが参入する一方で、ベテランハンターが高齢などを理由に引退しており、若手とベテランの間での情報や技術の伝達は不十分な状態だ。

Fant は、ハンターのためのオンライン・オフラインコミュニティだ。いつ、どこで、何を獲ったかを他のハンターとシェアができる。狩場を知られたくないと感じるハンターがいることも事実だが、野生生物の繁殖の方が早いため、情報の共有をためらうハンターは少ないとのこと。4月にオンラインコミュニティを開設し200人以上が参加、11月からはハンターによる狩猟ガイドツアーも計画。

足うらスキャンLab(北海道札幌市)【特別賞:NEDO TCP(Technology Commercialization Program)賞】

高齢者社会において、転倒は大きな社会課題になりつつある。転倒がもたらす弊害により直接的には8,000億円、寝たきりや介護などの間接的な影響も加えると医療費は1.4兆円に達する。従来、転倒の原因は高齢化に伴う筋力の低下と考えられていたが、実際には身体の揺れに大して、足の指、特に、親指をうまく使えない調整機能の低下が大きく関係していることがわかったという。

転倒経験者は非経験者に比べ4倍再転倒しやすい。高齢者施設やジムでは、適切な対応のために、入所者や会員の将来転倒する可能性を知りたいというニーズがあったが、これまで足指の機能を客観的に評価する手段がなかった。同社の足圧測定機器を使えば、定量的定性的に足指の機能を評価できる。点数化しスマートフォンで結果を把握、適切な運動諸法につなげ転倒予防することも可能だ。

<参考文献>

MJOLNIR SPACEWORKS(北海道札幌市)【特別賞:NoMaps 賞】

衛星需要が伸びているが、一方で、これを打ち上げるロケットが少ない。2030年には、衛星の打ち上げ需要は17,000基に達すると見られるが、実際の打上げ能力は2,500基分にしか届かないと見られている。ロケットは同じ工業製品である自動車や飛行機と比べ、現在のものは大量生産に向かず、生産工程の分業化が進んでおらず、また、水素と酸素を爆発させる従来タイプのエンジンは失敗のリスクが高いためスタートアップなどの新規参入も見られにくい。

北海道大学発の MJOLNIR SPACEWORKS は、固体燃料(プラスチック)と液体酸素を使ったハイブリッドエンジンを開発。構造が簡単で原理的に爆発しないため取扱が容易で、同社では年間1万基程度を生産できるだろうと見積もる。冷戦時の軍事技術をベースとした従来型のロケットと対照的に、戦争に参加しなかった日本は、ハイブリッドエンジンの開発に長けているという。同社はハイブリッドエンジン開発に特化し、ロケット業界全体の分業徹底により業務効率化やコモディティ化を狙う。

R-Make by チームデジコン(北海道札幌市)【特別賞:NoMaps 賞】

ボルダリングにおいてはいくつかの課題がある。クライミングコースを作るセッターが不足しており、スペース やコストの問題から子供を含むさまざまな体格の人に合ったコースを用意できないこと、難易度がコース制作者 の感覚で定められるため指標が曖昧であること、配置されたクライミングホールドのうち、どのホールドが非効 率か(コースとして使われていないか)を判定しづらいなどだ。

R-Make は、クライミングコースを自動生成してくれるアプリ。コースの難易度と身長を入力すると、誰でも簡 単にコースを作成することができる。作ったコースはプロジェクターでウォールに投影し事前確認することも可 能だ。使われたホールドを記録できるので、よく使われるホールドをヒートマップ表示し効率的な運用もでき る。クライミング施設から費用を徴収する B2B2C モデルを想定。

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沖縄のオープンイノベーション活性化へ、地元企業ら36組織がベンチャーフレンドリー宣言を発表

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沖縄県の官民連携産業支援機関である沖縄 IT イノベーション戦略センター(ISCO)は13日、那覇市内で記者会見を開き、沖縄ベンチャーフレンドリー宣言を発表した。13日現在、沖縄に本拠を置く地場企業を中心に36の企業や団体が賛同を表明している。大企業や既存企業とスタートアップとの連携を深化させ、オープンイノベーションの取り組みがより盛んになることを狙う。 これより先、2018年には、関西経済同友会…

「沖縄ベンチャーフレンドリー宣言」を発表する ISCO 理事長の稲垣純一氏
Image credit: ISCO

沖縄県の官民連携産業支援機関である沖縄 IT イノベーション戦略センター(ISCO)は13日、那覇市内で記者会見を開き、沖縄ベンチャーフレンドリー宣言を発表した。13日現在、沖縄に本拠を置く地場企業を中心に36の企業や団体が賛同を表明している。大企業や既存企業とスタートアップとの連携を深化させ、オープンイノベーションの取り組みがより盛んになることを狙う。

これより先、2018年には、関西経済同友会が「関西ベンチャーフレンドリー宣言」を発表。発表から2年余りが経過した現在、61の企業や団体が賛同を表明している。沖縄ベンチャーフレンドリー宣言の骨子やスキームは、先行する関西ベンチャーフレンドリー宣言のそれらと似ていて、国内のこの種の取り組みとしては二例目となる。

Image credit: ISCO

このベンチャー宣言には、オープンイノベーションに積極的であることを表明した企業や団体が一覧されており、取引・協業などの目的でこれらの企業にコンタクトしたいスタートアップは ISCO 経由で連絡を取ることができる。

ISCO では、沖縄の主力産業である「観光産業」と「情報通信産業」を掛け合わせた「リゾテック(ResorTech = Resort × Technology)」をテーマに、世界各地から先進的 IT ソリューションを集積する目的で大規模国際 IT 見本市の継続開催を計画しており、その足がかりとして今年から「ResorTech Okinawa」を開催、また「Okinawa Startup Festa」を併催している

賛同を表明した地元企業や組織の皆さん
Image credit: ISCO

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「リゾテック沖縄2020」がハイブリッド開催、国内外から企業やスタートアップが集結——台湾のスタートアップハブとも連携

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沖縄県宜野湾市にある沖縄コンベンションセンターでは、10月29日〜11月1日の4日間にわたり、ResorTech Okinawa(おきなわ国際見本市)2020 と Okinawa Startup Festa 2020 が開催された。今年2月に開催されたプレ開催イベントに続き、今回は初の正式開催となり通算2回目。新型コロナウイルスの影響で、現地会場に参加するオフラインと、ネット越しにさまざまなコンテ…

Image credit: IT Innovation and Strategy Center Okinawa

沖縄県宜野湾市にある沖縄コンベンションセンターでは、10月29日〜11月1日の4日間にわたり、ResorTech Okinawa(おきなわ国際見本市)2020Okinawa Startup Festa 2020 が開催された。今年2月に開催されたプレ開催イベントに続き、今回は初の正式開催となり通算2回目。新型コロナウイルスの影響で、現地会場に参加するオフラインと、ネット越しにさまざまなコンテンツをたのしめるオンラインのハイブリッド開催となった。

Image credit: IT Innovation and Strategy Center Okinawa

ResorTech Okinawa 2020には沖縄県下はもとより本土からも42社が参加した。また、Okinawa Startup Festa 2020 は、台湾の不動産デベロッパが運営する、台北市のスタートアップハブ「Terminal C(兆基国際新創衆落)」にサブ会場を設け、台湾スタートアップも招く形でイベント運営された。ピッチイベントに参加したスタートアップは、日本国内とアジア各国からをあわせて30社。なお、ResorTech Okinawa のオンライン展示会については、11月30日まで開催されている。

Image credit: IT Innovation and Strategy Center Okinawa

ResorTech Okinawa が開催されることになった経緯については、プレ開催の際の拙稿に記してあるので、本稿では今回イベントのハイライトをお伝えする。

ResorTech Award

ResorTech Okinawa では、参加した企業やスタートアップの中から、有益性・市場性・将来性などからイノベーション度が高い技術、製品、サービスを選び表彰する ResorTech Award が授与された。

Image credit: IT Innovation and Strategy Center Okinawa

【総合グランプリ】「MujInn(ムジン)」 by ユナイテッドコーポレーションとゴールドバリュークリエーション

MujInn は、さまざまな宿泊施設でセルフチェックインができるようにするシステム。フロント業務の無人化・省人化を支援する。不動産事業部や宿泊事業部を営むユナイテッドコーポレーションと、システム開発会社であるゴールドバリュークリエーションが共同で開発した。

Image credit: United Corporation / Gold Value Creation

宿泊客には、24時間対応、現地精算、スマートロック連携、多言語チャットのほか、エントランスが無いタイプの宿泊施設にはファミリーマートでカギに相当するキーナンバーを受け渡すサービスを提供。また、運営会社に対しては、宿泊在庫を管理するサイトコントローラとの連携、宿泊施設を遠隔監視する騒音センサーとの連携、部屋割当、宿泊台帳記入、パスポート情報登録自動化を提供。

【イノベーション部門グランプリ】「ミラーコンシェルジュ」 by パシフィックハイウェイジャパンとハナムラ

コンサルファームのパシフィックハイウェイジャパンとインテリアメーカーのハナムラは、鏡にコンシェルジュを配信するクラウド対応人材配信サービス「ミラーコンシェルジュ」を開発。人が近づくと自動で顔を感知し、鏡に等身大のアバターが現れ話しかける。顔認証に加え、音声認識・言語理解・多言語対応、TV 電話機能により、あらゆる場所にコンシェルジュを配信し遠隔会話を実現。

Image credit: Pacific Highway Japan / Hanamura

プラットフォーム開発をパシフィックハイウェイジャパンが、コンテンツ制作をハナムラが担っている。住宅のインテリア空間、オフィス空間、商業建築空間、ホテル、公共施設等に多くのカスタマイズした商品を導入。男性・女性のアバターによる人に近い自然な音声で、日本語・英語・中国語に加え、オプションにより15カ国語での応対が可能。

Okinawa Startup Festa 2020: Startup Pitch Awards【JSSA 賞】

受賞チームに、日本スタートアップ支援協会(JSSA)が次回、東京や大阪で開催するミートアップへのファイナリスト参加できる賞が授与された。ミートアップでの優勝者は、JSSA が運営するファンドから2,000万円の出資を受ける権利が得られる。

Alpaca.Lab(日本・沖縄)

Alpaca.Lab は、琉球大学との共同研究により運転代行業界の最適化を図ろうとするスタートアップだ。運転代行を営む業者は全国に8,850あり、なかでも交通事情から沖縄が国内最多の数を誇る県だ。一方で、運転代行は料金が不明瞭だったり、飲食店などで呼び出してから到着するまでに30分から2時間程度を擁したり、違反行為の前歴のある業者を見つけるのが難しかったりするなど、多くの課題がある。

Image credit: IT Innovation and Strategy Center Okinawa

Alpaca.Lab の「AIRCLE(エアクル)」では、ユーザが自分の車の特徴をアプリに入力しておくことで、その車の運転に適した最適なドライバーを付近からマッチング。運転代行業者に対しては、いつどこでどのように運転代行が実施されているか、どのように売上が立っているかをもとに AI で最適なドライバー配置を提案できる仕組みを提供する。政、警察、運転代行業者などと連携し、社会的摩擦を生まないモデルを目指す。

<関連記事>

Okinawa Startup Festa 2020: Startup Pitch Awards【OIH 賞】

受賞チームに、大阪イノベーションハブ(OIH)のスタートアップ海外展開支援プログラム「OIH グローバルゲートウェイ」や OSAP(OIH Seed Acceleration Program)を通じた大企業とのマッチング機会、ピッチイベント出場の機会を提供する。

QueQ(タイ)

レストランや病院での混雑時や、遊戯施設でのアトラクション開始時刻待ちで行列を作って待つことを余儀なくされる状況の代替ソリューションとして開発された「QueQ」。事前に時間を予約する代わりに、QueQ はある場所に来て順番待ちの列を目にする人を対象に、アプリを使って「場所取りできる」ようにしている。待ち時間の間その場所を離れてアクティビティを楽しんだりできるのだ。

Image credit: IT Innovation and Strategy Center Okinawa

新型コロナウイルスの感染拡大から、さまざまなシーンで密を避けるソリューションとして、観光客への事前予約機能提供、大使館のビザ延長の対応待ちなどにも活用されるようになった。アクアビットスパイラルズのマルチペイメント機能「PayChoiice(ペイチョイス)」とも連携している。

Ubestream/環球睿視(台湾)

Ubestream(環球睿視、台湾証取:7587)は、セマンテックナレッジソリューションに基づいた AI チャットボットサービスを SaaS で提供してる。応用範囲は、バーチャル観光客ガイド、企業が問合せを受ける AI コールセンターなど多数。新型コロナウイルス感染拡大を受け、飲食業向けのインテリジェントソリューション「OMO Smart Store(智慧商店)」を開発。

Image credit: IT Innovation and Strategy Center Okinawa

OMO Smart Store の機能の一つ「非接触料理注文サービス(零接触点餐服務)」では、ユーザはモバイルや PC からオンライン注文でき、店頭でのピックアップやテイクアウトが可能になる。飲食店にとっては、仕込み作業の効率化が図られ、店舗の収益率向上にも繋がる。2019年8月に日台韓で開催された「Asia Open Data Challenge」で最優秀人気賞を受賞。

Okinawa Startup Festa 2020: Startup Pitch Awards【Fukuoka Growth Next 賞】

受賞チームに、FGN(Fukuoka Growth Next)のコワーキングスペース1年間無料権を提供。また、官民共同型スタートアップ支援施設の位置づけを生かし、福岡の行政や財界をからめた社会実装の支援を提供する。

TravelTech Lab(日本・大阪)

外国から訪日した観光客は所定の手続をすることで買い物の消費税10%相当が免税となるが、実に彼らの72.1%は免税措置を受けないまま日本を後にしている。彼らに免税措置を受けない理由を聞いてみたところ、免税手続が面倒、買い物が複数店舗に分散(1店舗で5,000円以上購入しないと免税にならない)、免税対象以外の店舗で商品を購入していることがわかったという。これらの問題を解決すべく、TravelTech Lab は、訪日外国人向けオンライン免税 IoT 宅配ロッカー「JaFun(ジャファン)」を開発した。

Image credit: IT Innovation and Strategy Center Okinawa

観光客が JaFun のモバイルアプリを使って商品を注文すると、空港やホテルに設置されたロッカーに、販売者から直接商品が届く。観光客はユーザ登録時にパスポート情報を登録しており、商品ピックアップ時に顔認証で本人確認する。すでに免税手続済であるため、観光客の追加手続は不要。免税となる消費税10%の半分に相当する5%を TravelTech Lab が受け取るビジネスモデルだ。手ぶら観光が可能になり、コロナ禍での防疫ツーリズムに貢献するとしている。

Okinawa Startup Festa 2020: Startup Pitch Awards【沖縄銀行賞】

受賞チームに、全国の地方銀行8行が毎年開催するビジネスコンテスト「X-Tech Innovation」の2020年の回において、沖縄銀行主催の沖縄地区予選への出場権を提供。

Attic Start(日本・沖縄)

Attic Start は、世界中の人々が共通の関心事や好きなことを軸に繋がることができるサービス「Paike」を開発。3月28日に仮リリースし、まもなくモバイルのネイティブアプリがリリースされる予定。世界中の人を対象にしているため UI は全て英語となっていて、ユーザが好きなことの写真をシェアし世界中から「いいね」がもらえると、どこからもらえたか世界地図上に表示される。

Image credit: IT Innovation and Strategy Center Okinawa

UC Berkeley 出身で弁護士だった創業者が、言語障壁があっても好きなことを共有できればコミュニケーションを図れることか思いたったサービス。ユーザ同士が好きなことを軸にチャットで繋がることができたり、場所や好きなことをキーに別のユーザを検索し繋がることができる。旅を促進する機能も持つが、コロナ禍であるため、現在は「好き」をテーマにオンラインミートアップを開催。

パネルセッション

イベント期間中、いくつかのパネルセッションも行われた。沖縄県知事の玉城デニー氏と台湾のデジタル担当大臣 Audrey Tang(唐鳳)氏とのセッションで、Tang 氏は「市民を信じることで、市民は信頼される行動をとる。トップダウンではなく、行政には徹底的な透明性が求められる」と語った。

Image credit: IT Innovation and Strategy Center Okinawa

星野リゾート代表取締役の星野佳路氏を招いてのセッションでは、コロナ禍において、テクノロジーを活用して観光産業がどのようにニューノーマルに適応していくべきかが論じられた。

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「Okinawa Startup Program 2020-2021」が発表、大同火災・JTB沖縄・琉球放送が加わり全8社でスタートアップ支援

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沖縄を代表する大企業が共同でスタートアップを支援するプログラム「Okinawa Startup Program」は今週、今年から来年にかけて運営・開催されるプログラムの要旨を明らかにし、参加スタートアップの募集を開始した。 2016年に琉球銀行(東証:8399)が始めたこのプログラムは、主催者に2017年から沖縄タイムス、2018年から沖縄セルラー(東証:9436)、沖縄電力(東証:9511)、日…

沖縄を代表する大企業が共同でスタートアップを支援するプログラム「Okinawa Startup Program」は今週、今年から来年にかけて運営・開催されるプログラムの要旨を明らかにし、参加スタートアップの募集を開始した。

2016年に琉球銀行(東証:8399)が始めたこのプログラムは、主催者に2017年から沖縄タイムス、2018年から沖縄セルラー(東証:9436)、沖縄電力(東証:9511)、日本トランスオーシャン航空が加わった。今年からは、沖縄の損害保険会社である大同火災JTB 沖縄琉球放送(RBC)も加わり、沖縄を代表する大企業8社が力を合わせることで、各社が持つリソースとネットワークを相互活用し、スタートアップの事業拡大に向けた支援を強化する。

このプログラムには例年、沖縄県内外はもとより、近接する韓国や台湾から日本市場進出を試みるスタートアップが参加してきた。参加スタートアップのソーシングにあたっては、STARTUP Lab LagoonFROGSアントレプレナーシップラボ沖縄の各起業家支援機関に加え、今年は韓国チェジュ革新成長センターの協力を得る(昨年は、台湾科技部が運営するスタートアップハブ Taiwan Tech Arena=台湾科技新創基地の協力を得ていた)。

このプログラムに参加するスタートアップの募集は、10月1日〜31日の間、Okinawa Startup Program の Web サイトで受け付けられ、プログラム期間中の成果を披露するデモデイは、来年2月27日に開催される予定(例年は、沖縄県恩納村の沖縄科学技術大学院大学(OIST)で開催されるが、今回はオンライン開催かオフライン開催かは未定。2019-2020 のプログラムでは、デモデイは無観客のオフライン開催となった)。

Okinawa Startup Program の過去のプログラムに参加したスタートアップ35社のうち、人材管理クラウド開発のサイダス、ソーシャル EC プラットフォーム「temite(テミテ)」を運営する EC-GAIN、貨物車両と荷主をつなぐマッチングプラットフォーム「PickGo(ピックゴー)」を運営する CBcloud、沖縄発の運転代行マッチングプラットフォーム「AIRCLE(エアクル)」を運営する Alpaca.Lab は、琉球銀行の「BOR ベンチャーファンド」から、それぞれ資金調達したことが明らかになっている。

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