BRIDGE

タグ スタートアップPR

ストーリーを語る力

SHARE:

本稿はPR TIMES STORYからの転載(原文はこちら) スタートアップが物語を語る理由、それは彼らに空気を変える不思議な力があるからです。 参考記事:旅が復活しても、もう違うものになるーーAirbnb「共同創業者からの手紙」が大切にしたもの 例えば新型コロナウィルスで大打撃を被ったAirbnbの共同創業者、Brian Chesky氏の手紙は一読の価値があります。シェアリング・エコノミーの申し…

airbnb
Airbnb共同創業者、Brian Chesky氏が従業員にあてた公開メッセージ「A Message from Co-Founder and CEO Brian Chesky」

本稿はPR TIMES STORYからの転載(原文はこちら)

スタートアップが物語を語る理由、それは彼らに空気を変える不思議な力があるからです。

例えば新型コロナウィルスで大打撃を被ったAirbnbの共同創業者、Brian Chesky氏の手紙は一読の価値があります。シェアリング・エコノミーの申し子として常にトップを走り続けた彼らにとって、レイオフはこの企業が積み上げてきたカルチャーの毀損に他なりません。株式の公開というマイルストーンから一転、彼らは大変難しいコミュニケーションを迫られたわけです。

しかし、少なくとも私は現時点でAirbnbの未来を悲観するような気持ちにはなれません。逆にこれだけの逆境でしっかりと資金を確保し、事業としての再起を約束した上で、まだ前向きな気持ちにさせることができたのは、やはりChesky氏の言葉に力があったからだろうなと思うわけです。

起業家の言葉には、人の心を動かす力がある。これをどう活かすべきか。ーー今日、その答えとしてサービスをひとつリリースいたします。

スタートアップを伝え続ける方法

story
今日公開となったPR TIMES STORY

PR TIMES STORYの仕組みや経緯については公式発表のプレスリリースや、プロジェクトメンバーが書いたそれぞれストーリーをぜひご覧いただくとして、私はこれからのスタートアップを伝えるために必要な「物語の力」、特にそれを起業家がナラティブに語ることの重要性について共有させていただければと思っております。

思えばBRIDGEは前身のStartupDatingから数えると、もう10年近く運営しています。ご存知の方々にとっては、スタートアップ村の広報誌ぐらいには知っていただけるようにはなった一方、編集部が独立した形で持続できているのは、一昨年に事業運営を譲渡させていただいたPR TIMES社のバックアップがあったからです。そこからの2年間は「どうやってこの仕組みを継続的なものにするか」、それを考える日々でした。

中でも注目したのが起業家自身が持つ「語る力」です。私たちはここ数年、BRIDGEを通じてこの起業家の語る力に関連して、様々な取り組みを実施させていただきました。

前述したChesky氏のような言葉には、絶対に第三者では伝えられない「力」があるのです。

創業者には「ナラティブ」という武器がある

visional
Visional(ビジョナル)が物流業界に新規参入する理由より

ではナラティブに伝える力はどういうものか。BRIDGEにも数多くの「起業家自身が語る物語」がありました。ここ最近で力強い一本がこちらです。

南壮一郎さんはご存知の通り、ダイレクトリクルーティングの代名詞になったビズリーチの創業者です。実は同社は昨年末あたりから大きな組織変更、そしてこちらのPOSTにもある通り、事業拡大に向けての買収と活動の幅を大きく広げているところでした。

第三者としてこの話題を取り上げる時、通常であればニュースやインタビューなどがよくある方法です。場合によって彼らの過去を遡って、考察をすることもできたかもしれません。

しかし私がこの件で最も大事だと考えたのは南さん自身の言葉でした。

僕は新規事業を立ち上げるのが大好きです。事業こそが世の中を変革するキードライバーであると思っています。事業を通じて起こしたムーブメントにより、社会の変革に貢献できることこそが、自分の仕事の本分なのです。

世の中には時価総額ランキングのようなものが溢れています。ユニコーンという言葉そのものを否定するつもりはありません。しかしそのゲームに埋もれて見えにくくなっている本当に必要なもの、それはやはり言葉に力を持っている人しか語れないものです。

言葉には責任が伴います。だからこそ、この言葉の見極めこそが起業家を探し出す、重要な鍵になるのだと私は信じています。

POSTからSTORYへ

スタートアップ・ストーリーの重要性については、これまでにも随分と活動し、またお伝えしてきました。昨年11月にはリニューアルと同時にスタートアップ自らが物語を掲載できる「POST」という仕組みや、それに関するワークショップ、パートナーシップなどについて公表させていただいています。

現在、POSTには150本ほどのストーリーが掲載されていて、それぞれ私たちの第三者視点では語れない、裏側のお話やノウハウなどが綴られています。今後はPR TIMES STORYに掲載されたストーリーがこちらのPOSTに掲載(※)されるようになります。

新しい10年は、誰もが思いもよらない感染症という災害で幕を開けました。向こう数年は有象無象のスタートアップたちが、自分こそが世界を変えることのできる存在だと声を上げることになると思います。

その真贋はどこにあるのか。

ぜひ、起業家のみなさまにはその揺るぎない信念を言葉にし、その物語で人々に感動を与え、社会を動かしていただきたいと思います。BRIDGEやSTORYもまた、そのお手伝いができるよう、精一杯頑張りたいと思います。

※自動転載ではなく編集部によるピックアップによって掲載を予定しております

鍵は「屋外広告」一気に拡大したBrexの #スタートアップPR 戦略を紐解く

SHARE:

ピックアップ: AdQuick raises $6M to conquer an advertising market Google and Facebook won’t ニュースサマリー: OOH(Out-Of-Home)広告のマーケットプレイス「AdQuick」は2月14日、Initialized Capitalがリードを務めたシリーズAラウンド600万ドルの資金調達を行なったと発表した。Wn…

Screen Shot 2020-02-22 at 2.05.16 AM
Image Credit: Brex

ピックアップ: AdQuick raises $6M to conquer an advertising market Google and Facebook won’t

ニュースサマリー: OOH(Out-Of-Home)広告のマーケットプレイス「AdQuick」は2月14日、Initialized Capitalがリードを務めたシリーズAラウンド600万ドルの資金調達を行なったと発表した。WndrCo、Shrug Capital、Work Life Ventures、The Todd&Rahul Angel Fundらも参加した。累計調達額は940万ドルを達成した。

AdQuickは、自社が所有する屋外広告スペースをレンタルするビジネスではない。広告スペースの所有者と購入者を結び付け、購入の手数料を受け取るマーケットプレイスモデルを採用。また、従来のオンライン広告同様に、広告効果を測定できるツールを導入。AdQuickが活用しているターゲットは、昨年米国内で未使用になったと推定される全OOH広告スペースの30〜35%に当たる箇所だ。

昨今では不動産スタートアップ「ZeroDown」や、クレジットカードスタートアップ「Brex」が屋外広告キャンペーンを大々的に展開。大半の企業がGoogleやFacebook広告を展開する中、広告チャネルの差別化が一切図れなくなった。そこで再注目されている屋外広告に着目したのがAdQuickである。

man beside woman billboard
Photo by VisionPic .net on Pexels.com

話題のポイント: 屋外広告の価値の再評価が始まっています。

最たる例がAppleによる「Shot on an iPhone」キャンペーンでしょう。みなさんも駅構内の至る所で見かけたことがあるはずです。同社は多額のキャンペーン費用を支払っており、世界中の都市で展開。伝統的な屋外広告枠に独自のアプローチを採用しています。

2017年のAdWeekの調査によると、OOH広告市場における上位100利用企業の約25%はハイテク企業とのこと。Google、Facebook、Apple、Snapchat、Twitterが代表的です。自社プラットフォームでデジタル広告を展開できる企業らが、オフライン広告に多額の費用を支払っている点は皮肉なことかもしれませんね。

さて、OOH広告への投資は、スタートアップも積極的に行なっています。Venmo、Jet.com、Oscar、Casper、Percolateなどのハイテクスタートアップはすべて、ニューヨークを中心に広告展開をしています。

それではなぜ、テック企業らは屋外広告に注目するのでしょうか。

Peter Thielも投資したクレカスタートアップ「Brex」の事例

Screen Shot 2020-02-22 at 2.00.23 AM
Image Credit: Brex

スタートアップ事例ではBrexが昨今の代表ユースケース。同社は著名投資家Peter Thiel氏も投資するスタートアップ向けクレジットカードを提供する企業です。ここからはHow Brex Is Building the Startup Marketing Playbook (Beyond The Billboards)の記事を参考に、同社の広告戦略を紹介します。

Brexは当時22歳と23歳であったHenrique Dubugras氏とPedro Franceschi氏によって創業されます。Brexは非常にユニークかつ積極的なPR戦略でステークホルダー獲得に乗り出します。ローンチ前には潜在顧客獲得のために1,000人以上の外国人起業家にLinkedInにコンタクト、立ち上げ初期から投資家デックをプレスに提供、イベント登壇で情報発信、そして30万ドルの屋外広告展開をしかけています。

元々、Brexは初期顧客100名を獲得するまで1年間ステルスで活動。アイデア検証に時間コストをそれなりに費やしていたため、ローンチ直後に爆発的な獲得成長数を望んでいました。そのため、あらゆるインパクトあるマーケティング・プロモーション施策を打つ必要性があったのです。

Brexのマーケティング戦略は、リターゲティング軸で展開されます。

Brexはオンライン広告を認知拡大と顧客獲得の場と位置付けています。まず、YouTube広告などでブランド広告を展開します。何度かテストを繰り返したのちにデモグラフィックデータを収集。その後、自社サイトでコンテンツを展開し、潜在顧客の自然流入を待ちます。最終的には訪問ユーザーをトラッキングして、有料広告でリターゲティングを展開します。顧客がサインアップしたら口コミに持っていくことで、低コストな顧客獲得を目指します。

「顧客データのサーチ」「コンテンツ展開」「有料広告」「顧客獲得」「口コミ」の5ステップの順で展開されたのがBrexのマーケティング戦略です。これをループのようにぐるぐる回して顧客獲得を目指しました。広告費用のペイバックピリオドは6カ月分以内(粗利益で回収する)と定めていたようです。

people walking near buildings during night time
Photo by Lukas Hartmann on Pexels.com

興味深いのが「コンテンツ展開」のステップ。スタートアップに資金はありません。そこで投資家デック公開からイベント出演に至るまで、オンラインのみならず、オフラインコンテンツの積極発信に至るのです。こうした接点から「Brex」「スタートアップ」「クレジットカード」など、どれか1つでもオンラインキーワード検索をして、引っかかった顧客を半年以内に引き抜いたのです。

調達額が増えてきた段階で、サンフランシスコ地域を中心に30万ドル規模の屋外広告キャンペーンを打ちます。起業家があふれる街であるため、屋外広告に載せるキーワードも自ずと限られてきます。オンライン広告で収集したデモグラフィックデータと組み合わせて最適な広告板をデザイン。先ほどと同じく特定キーワード検索を1つでもした潜在顧客獲得に走ります。

もちろん、屋外広告はブランド認知の側面も高いのですが、Brexの場合はROI(費用対効果)は非常にポジティブなもののようです。一貫したリターゲティング戦略で上手くオフライン展開が働いている証左でしょう。

全方位からコンテンツ展開を行い、スタートアップが持ち得る全ての「コンテンツ資産」を棚卸し、オンラインでのサインアップに持っていく流れがBrexの戦略。その一貫として屋外広告が活用され、ブランド認知から顧客獲得まで効率的に展開しています。

スタートアップPRの本質、「雰囲気作り」を最大化

pexels-photo-3153201
Photo by Canva Studio on Pexels.com

Brexのプロダクト自体がスタートアップに特化しているもののため、シリコンバレーのような起業家の集まる地域にターゲットを絞れます。そのため、地域性と相性の良い屋外広告には打ってつけです。ただ、最も見習うべき重要な点は、BRIDGEのスタートアップPRでも述べてきた、「雰囲気作り」だと感じます。

<参考記事>

筆者は昨年1月にサンフランシスコを訪れていた際、現地の起業家さん何人かと会いましたが、特に若手起業家であれば(特に昔から使っているカードがなければ)Brex一択という雰囲気を強く感じました。「起業家のクレカ = Brex」の流れができていたのです。

まさにバイラルができていたのがBrex。ここに至るまでに初期投資を戦略的かつ、ある程度のコストは惜しまずに展開したのが同社の実績です。

巧みな雰囲気醸成を行えた理由は3つ挙げられると考えます。1つはオンライン広告最適化。自社プロダクトがどこに一番刺さるのかをデータドリブンに探り、マーケティングの基軸となる層に向けて徹底的にアプローチします。世界中でスタートアップ × クレジットカードの文脈に興味のある地域を絞り込みます。

2つ目はナラティブ(語りかけ)です。イベントや投資デックから徹底的に直接ストーリーを投げかけます。顧客に近い場所へ趣き、プロダクトの有用性を解くことで、Brexカードを好きになり・積極的にレビューを発信してくれるインフルエンサー・コミュニティを着実に積み上げていきます。

この点は以前ご紹介したSuperhumanの戦略と似ています。インフルエンサーは自らの体験の語り部となる、スタートアップPRにおいては重要な媒体となりえます。ちなみに1つ目のオンラインデータから、イベント都市先の選定もしていたのかも知れません。

<参考記事>

advertisements architecture billboards broadway
Photo by Marcus Herzberg on Pexels.com

ここまでで顧客獲得導線と口コミバイラルが完成しているように思えますが、最終的に主要都市に丸ごと「Brexを利用しよう!」という雰囲気作りに動きました。それが3つ目の屋外広告なのです。

無意識のうちに、いつでも目に飛び込んでくるプロダクトメッセージ。日常の中に溶け込むように、各都市の風土に最適化されたキーワードを訴求することで、オンライン広告や口コミの社会的信用性を向上させるのが屋外広告です。口コミ紹介をされた際、「これ見たことあるよね」のような話の流れに持っていくことができるのは屋外広告の最大の強みでしょう。

また、広告の内容もいわゆる宣伝っぽいものではなく、「配車サービスを使えばリワードが7倍」のような利用体験であったり、「3カ月でスタートアップへのキャッシュバック総額1億ドル」といったコミュニティ感を訴求しています。なるべくターゲット顧客の日常行動に変化をもたらしたり、同じ起業家層が使っているから見逃せないといった良い意味での焦りを生み出しています。

スタートアップPRでは単純なプロダクト内容を宣伝しても効果は薄い印象です。顧客に行動変化を起こしたり、自分が所属するコミュニティで使われている雰囲気作りが大切になります。Brexはこうした点で優れたPR思考を持ち合わせ、オンラインとオフラインの両軸を上手く回すオムニチャネル的な戦略展開に秀でていたと感じます。

今では配車サービスに屋外広告を出稿できるプラットフォーム「Firefly」なども登場。街中で屋外広告を多く見受けられる機会が増えました。事実、OOH市場は堅調に伸びており、Statistaのデータによると2020年の世界市場規模は約400億ドル。よりマクロ視点からターゲット顧客にサインアップを促す大きな力を持っており、プロダクト購買に迷っている人の背中を押す屋外広告の重要性は徐々に上がってきそうです。

“空気を変えるPR”がスタートアップを躍進させるーー戦略PRの本田氏、ベクトルと新プロジェクト

SHARE:

ニュースサマリ:戦略PRを手掛ける本田事務所と総合PR会社ベクトルグループ(東証:6058)は2月12日、共同でPR人材データベース事業を開始すると発表した。 名称は「SCALE Powered by PR(以下、SCALE)」。多面的にPR(パブリックリレーションズ)戦略を手掛けることのできる、主にフリーランスや副業の人材を育成し、必要な企業とマッチングするサービスを展開する。3月2日より企業向…

Screenshot 2020-02-12 at 11.49.23

ニュースサマリ:戦略PRを手掛ける本田事務所と総合PR会社ベクトルグループ(東証:6058)は2月12日、共同でPR人材データベース事業を開始すると発表した。

名称は「SCALE Powered by PR(以下、SCALE)」。多面的にPR(パブリックリレーションズ)戦略を手掛けることのできる、主にフリーランスや副業の人材を育成し、必要な企業とマッチングするサービスを展開する。3月2日より企業向けに登録人材の紹介を開始するほか、登録者向けに育成を手掛けるスクール「SCALE アカデミー」の4月開講も計画している。開始時点でのPRパーソン登録者数は100名程度を予定。

なお、企業側の人材マッチングは成果報酬型になる予定だが、フリーランスや副業などに対応するため、詳しい契約形態(業務委託等)については今後詳細が公開される見通し。現時点での登録には人材、企業共にサイトの専用フォームから問い合わせが必要。スクールについては無償提供する。

話題のポイント:個人的にかなりアツい話題です。

IMGP0035 (1)
写真:取材に応じてくれた本田事務所、代表取締役/PRストラテジストの本田哲也氏

戦略PRの本田哲也さんがスタートアップ(と中小企業)向けのPRパーソン育成・マッチング事業を開始されます。役割的には「本田事務所がソフト、ハードはベクトルという分担」(本田氏)ということで、合弁設立とかではなく現状ではあくまでプロジェクトの模様。本田さんについては書籍を読んでいただくのが手っ取り早いですが、“空気の変化”を生み出す、魔法使いみたいなPRパーソンです。

※ちなみに情報開示ですが、ベクトルグループはBRIDGEの運営会社、PR TIMESの主要株主でもあります。が、まあ、私の記事読んでる人であれば分かると思いますが、頼まれて書いてるわけではありません。本当にお伝えしたくて書いています。

さておき、大切なポイントはとにかくこれ、「PRパーソンのモノサシができた」ことです。

スタートアップにPRが必要な理由と課題

スタートアップになぜPRが重要なのか。この点についてはこれまでにも考察を重ねてきました。一言で言うなら「知らない会社には入りたくない」。スタートアップの勝負は「組織・人」に集約されるといって過言でない中、ここの説明コストを効率化すれば相当の利益になる、というシンプルな考え方です。

そこで出てくるのが「広報・PR」という手法です。しかし残念ながらここについては、開発やマーケなどと異なり、あまり言語化・フレームワーク化が進んでいません。私もここ1年近く、勉強会等を通じて数百人規模で経営者やPRパーソンたちと意見交換しましたが、認識のズレは相当あると感じています。

なぜか。広報・PRパーソンのレギュレーションが曖昧だからです。変な話ですが、私が名刺に「PR専門家」と書いてそれっぽい話をすれば、そういう仕事ができてしまうのです。そこで本田さんたちが取り組んだのが「SCALE PR CONPETENCY」、つまりPRパーソンに必要なモノサシを作った、というわけです。

PRパーソンに必要な技術ってなに?

84511567_649878692425460_1644739923363758080_n
PRパーソンに求められるコンピテンシー(提供:SCALE)

PR先進国である欧米では、優れたPRパーソンの要件(コンピテンシー:行動特性)が決まっているそうです。日本でも広報人材のスクールや講座はありますが、多くはパブリシティなどの広報技術が中心で、こういったPRパーソンに必要な行動指針のようなものは存在していませんでした。具体的には図にあるマトリックスがそれです。

それぞれの詳細は割愛しますが、特にスタートアップPRに重要なのが「ナラティブ力」です。この件についてはこちらの記事に前後編で書きました。

<参考記事>

スタートアップ経営者における広報PRでよくある勘違いに、メディア露出と話題づくりが役割(テクニック)であって、それ以上でもそれ以下でもない、というものがあります。

違います。PRは明確に経営戦略です。例えばここ2年で成長しているスタートアップのひとつに「AI先生」で躍進したatama plusさんがあります。彼らのカルチャー戦略で重要な技術がまさに「PR」なのです。

<参考記事>

経営戦略上重要なPRパーソンをスコアリング(得意・不得意など)することができれば、企業とのミスマッチも減ります。このあたりについてはもっと書きたいのですが長くなるので、実際にスコアが動き出したときに考察してみたいと思います。

college_mercari_002
写真:メルカリPRグループマネージャーの矢嶋聡氏(筆者撮影)

ちなみに「本田塾」とも言える育成スクールの講師陣にもスタートアップ、テクノロジー系ベンチャーにゆかりある顔ぶれが入っています。サイバーエージェントの上村嗣美さんは30名ほどだった同社の企業広報を経営陣といっしょに立ち上げてきた、CA広報の顔的存在です。本誌でも度々話題にするメルカリの矢嶋聡さんは、参加こそ上場前後ですが、同社のPRを組織的な仕組みに変えた立役者のひとりです。

<参考記事>

無償提供ですが、さすがにこれは企業広報やPR会社などで一定の経験を積んだ人たち向けのプロ養成スクールになりそうです(まだ内容がはっきりわかっていないのであくまで印象です)。

チラチラとみえる死角

と、ここまで期待値の高さを書きましたが、もちろん死角がないわけではありません。一番の懸念点は企業側がこの重要性に気がつくかどうか、です。

正直言います。本件自体の説明コストはめちゃ高いです。

くり返しになりますが、スタートアップ(や小さな企業)の広報・PRに対する期待の多くは「露出」です。しかし冒頭に書いたとおり、本来、スタートアップの経営者が目指すべきは「説明コストの削減」であって露出はその手段のひとつでしかありません。

この点について本田さんにお聞きしたところ、地味ではありますが、やはり啓蒙活動の積み重ねが必要との認識でした。ここの空気感を変えられるのか、日本を代表するPRパーソンとPRエージェンシーの力量に期待しています。

また、ビジネスモデルも気になる点があります。

広報PRの仕事は経営企画に近い場所で、特にスタートアップのような成長過程の企業でそこまでチームが大きくなるケースはあまりありません。つまり経験者数の不足は避けられないため、流動性についてはやや気になります。

また、コンサルティングに近い領域ですから、先日上場承認を受けたビザスクのような時間単位での提供モデルがあってもよさそうです。プロジェクト単位での依頼も可能ということですが、この点はスコアによるマッチング精度が鍵になるかな、と。

ということで本件については引き続き、サービスインなどのタイミングで情報(特にPRに関するノウハウ)をお伝えしたいと思います。

スタートアップの「認知変化」を生むストーリーづくり、その方法(後半)

SHARE:

続きです。前回はスタートアップにとって認知変化(パーセプションチェンジ)がPR戦略において重要ということをお伝えしました。世の中の雰囲気が自分たちの思い描くビジョンの方に流れてくれれば、あとは用意した新しい体験の勝負に持っていけるからです。 手法としてプロダクトの磨き込み(体験向上)やイベント(ファン育成)、ストーリー(話題づくり)を挙げました。本稿ではちょっと理解しにくい話題づくりについて整理し…

pexels-photo-273222
Photo by Pixabay on Pexels.com

続きです。前回はスタートアップにとって認知変化(パーセプションチェンジ)がPR戦略において重要ということをお伝えしました。世の中の雰囲気が自分たちの思い描くビジョンの方に流れてくれれば、あとは用意した新しい体験の勝負に持っていけるからです。

手法としてプロダクトの磨き込み(体験向上)やイベント(ファン育成)、ストーリー(話題づくり)を挙げました。本稿ではちょっと理解しにくい話題づくりについて整理してみます。

宣伝はもうお腹いっぱい

スタートアップにおけるストーリーとは「社会の認知と目指すべきビジョンのギャップを埋める物語」という定義です。前回の例で言及した「電話でタクシーからスマホでUber」の物語は、決済と行き先を事前に済ませておけば移動という体験がすごく気持ちよくなる、というものでした。

82374866_10221980039356874_3762143072121520128_o-1-768x574-1

では、こういった体験を人々にどうやって伝えるのがよいでしょうか。

創業期のメルカリは取材時、サービス自体の説明をしたことはほとんどありませんでした(後発で「フリマアプリ」というキラーワードの開発が終わっていたことも要因です)。それよりも「すぐ売れる」という体験や、「これから世の中、もったいないことはしたくない」という社会の変化を伝えていました。また、ダウンロード数などを積極的に開示することで「みんなが使ってる」という雰囲気を作り出したのも彼らが上手だった点だと思います。

<参考記事>

今、私は取材する側としていろいろなサービスの売り込みをお聞きしますが、多くの場合、自分たちのソリューションを語って、社会とのギャップについて言及されることはあまりありません。あったとしてもすごく長くて難しかったり、世の中のトレンドとズレていたりすることが多いです。

ソリューションが溢れ出した今の時代、ここの言語化が非常に重要になっているのです。

ストーリーをどう作るか

本題です。これまでPOSTで実際に起業家のみなさんと一緒にストーリーを作ってみて気がついたポイントはいくつかあります。

コンテンツとして(1)社会の変化を伝える(2)構造を紐解く(3)違った一面を見せる、あたりが重要です。次に書き方としては(1)140文字に意味を入れる(2)自分で語る(ナラティブ)(3)Why・What・Howを語る。逆に良くないパターンとしては(1)定性的(2)宣伝(3)長い、という特徴が挙げられます。

(1)社会の変化を伝える

image1
「中国ソーシャルコマースの衝撃ーー「インスタ+Amazon」“RED”(小紅書)攻略法」

特に日本はそうですが、東京都内で一歩外に出ればコンビニがある、異常なまでに便利な社会になっています。ソリューションが溢れ、広告宣伝に晒される中、人々はそれを使う理由を求めていると感じます。

例えば「新宿のたこ焼き屋がFAX発注をデジタル化できたワケ、344兆円市場の“商機”とは」という記事では、もう誰も使ってないと思われてるFAXが未だ現役の業界でその独特の「理由」を実例踏まえて伝えています。変わりたいけど変われない、だから自分たちの存在意義がある、というメッセージです。

「なぜ人はスニーカーに熱狂するのかーートレードする若者、スーツを着なくなった40代」も同様に、話題になっているスニーカーの個人間売買がなぜ成立しているのか、そこにある世代間ギャップをうまく事例として紹介してくれました。

こういったストーリーは引き出しのひとつです。彼らはイベントやメディア露出の機会にソリューションではなく、こういった空気の変化を伝えることができるのでより多くの視点を観衆に与えることができるようになります。

(2)構造を伝える

典型的なHow to記事ですが、ここをしっかりと押さえることでそれぞれの業界のリーダーシップ認知を取ることができます(興味ある方は「ソートリーダーシップ」で検索してみてください)。最近の起業家YouTuberやTwitterランドでオピニオン出してる方の中にもいらっしゃるかもしれません。

「EXITというドラマ、起業家と投資家はどこで衝突するのか」「起業アイデアの見つけ方「3つのパターン」」「創業期に「従業員」は採用しなくていい」などは普段、裏方である投資家の認知を広げるストーリーづくりとして王道の手段です。メジャー媒体での寄稿連載や書籍出版をされる方も多い分野です。

あまりない情報テーマを見つけるのも重要です。例えば「中国ソーシャルコマースの衝撃ーー「インスタ+Amazon」“RED”(小紅書)攻略法」では、日本語どころか英語にもあまり出ていない、ローカル情報を紐解いています。言語に閉じている情報(もちろん日本から英語もありません)は実は狙い目だったりします。

(3)違った一面を見せる

persona-1024x537
「atama plusは最初の100人を熱狂させるプロダクトをどうつくった」

ストーリー関連で私がよくお伝えしているアドバイスに「3つぐらいの顔を作る」というものがあります。王道のソリューション、業界のオピニオン、これに加えてもう一つの顔、です。

例えば「VCを卒業して「介護」という課題に挑戦した理由」では、介護サービスにチャレンジする起業家の挑戦過程を伝えていますが、彼は元々、ベンチャーキャピタルで働いていた経歴を持っていたのですね。このストーリーを作るにあたり、当初はその件について触れていなかったのですが、私にとっても意外な一面だったので、ぜひということでエピソードを追加してもらいました。

また教育関連やAIといった文脈で語られることの多いatama plusさんが投稿したPOST「atama plusは最初の100人を熱狂させるプロダクトをどうつくった」では、開発手法を公開することで組織カルチャーの作り方を表現されています。これも違った一面です。

こういった「社内にある無数の情報資産」を社内広聴し、時々のトレンドに合わせて自由自在に出し入れできる広報・PRチームはやはり強いと思わされます。

効率的なコンテンツ制作の手法を整理する

最後にアウトプット方法について少し整理しておきます。アウトプットは私たち日々、コンテンツを作る側の人でも得手不得手があります。特にスタートアップ・ストーリーとして作る場合のポイントとして(1)140文字に意味を入れる(2)自分で語る(ナラティブ)(3)Why・What・Howを語るを記しておきます。

140文字はご存知の通り、Twitterで投稿できる最大の文字数です。特に日本語は情報量が多いので、この文字数でしっかりとした意味を伝える訓練をすれば文章が筋肉質になります。意識したいのが一文一意で、この小さい塊にしっかりとした意味を加え、140文字に整理し、それを積み上げることで2000文字〜3000文字(スマホで読む時の適量)のコンテンツが作りやすくなります。

あとナラティブも最近の傾向として重要です。ソーシャルが発達した結果、嘘のつきづらい世の中になりました。創業者や経営陣が説明責任を負って真摯に語る方が、第三者視点よりも信用される時代に入っていると感じます。最後の(3)Why・What・Howは(1)の一文一意とあわせて大切で、文章に構成を作る時の羅針盤にするとよいです。

これらは各社スタイルがあると思うのでそれぞれの方法を整理しておくと便利です。

小さなストーリーの時代がやってくる

SHARE:

後数時間で2019年、もっと言うと2010年代が終わります。 今年を振り返り、スタートアップシーンを取材する側として気がついたことのひとつに「ストーリーテリングの力」があります。サービスや商品がコモディティ化し、差別化が難しくなった現代において物語による巻き込みは長らく王道のPR手法です。 それがスタートアップシーンにもやってきた、ということは言い換えれば、このイノベーションの最先端においても差別…

IMGP5302.jpg
色々あって幻になったBASE5周年記事のカット

後数時間で2019年、もっと言うと2010年代が終わります。

今年を振り返り、スタートアップシーンを取材する側として気がついたことのひとつに「ストーリーテリングの力」があります。サービスや商品がコモディティ化し、差別化が難しくなった現代において物語による巻き込みは長らく王道のPR手法です。

それがスタートアップシーンにもやってきた、ということは言い換えれば、このイノベーションの最先端においても差別化が難しくなりつつある、ということの裏返しです。もうちょっと言うと差別化だけでなく、あまりにも複雑になったテクノロジーの言語化がさらに困難になっているという側面もあるのです。

当たり前ですが聞こえのよい偽りのストーリーで消費者を欺くということではありません。強い起業家というのは元来、物語を持っているものです。それを言語化し「それの何が世界を変えるのか」を表現する。分かりにくくなりつつある境界線を、共に戦う仲間や消費者に正しく届けることが重要なのです。

<参考記事>

11月にBRIDGEはリニューアルに合わせてPOSTというプロジェクトを立ち上げました。起業家が自分の言葉で世界を物語化し、小さなストーリーを重ねる。一人称でありながら宣伝に終わらず、共感を得られる情報とする。これらの取り組みを通じ、この重要性が来年以降も続くであろうことを確信しました。

来年以降もスタートアップに寄り添った情報の提供のあり方を考えて、コミュニティに貢献していきたいと思います。

と、ここでひとつストーリーに関してお知らせを。2014年の春から36回に渡って連載し、2017年末で休載していた「隠れたキーマンを調べるお」を復活させることにしました。スタートアップにとって組織や経営陣の重要性が高まる中、シーズン2として再開する調べるおにぜひご期待ください。以下はEast Venturesフェローで、連載を担当してもらっている大柴貴紀さんからのメッセージです。

以下、大柴さんのコメント。

「隠れたキーマンを調べるお」の更新が滞って一年が経ってしまっていた2018年末、平野さんから「平成も終わるので、一旦締めましょう」と連絡がありました。たしかに一旦締めるのもアリだなと思い、2回に渡る「完結編」を書いてちょうど一年です。

久しぶりに平野さんから連絡をもらって会った日のこと。

「今年はどんな一年でしたか?」と聞かれて考えたんですが、やはりEast Ventures(以下、EV)加入直後から担当していたBASEの上場が一番大きなトピックだったように思います。

EVに加入してもうすぐで丸6年が経ちます。20代前半のメンバーが試行錯誤してサービスを運営していたBASEは、今や100人を超える社員数を誇り、そして東証マザーズへ上場しました。その成長過程を近くから見ることができたのは、僕にとっても大きな経験になりましたし、とても感謝しています。

2014年春。あの頃はフードデリバリー事業をやっていて、自らも配達員として駆け回っていた堀江(裕介・dely代表取締役)くん、当時EVのインターンで、直後にアメリカに渡り起業した内藤(聡・Anyplace創業者CEO)くん。6年が経ち、みんなとてつもなく成長してるし、成功への第一歩を築きつつあります。

そんな起業家達の日々のストーリーを見ることができるのは楽しいし、彼らがステップアップしていくのは素直に嬉しいです。

しかし、彼らが一番すごいのは「継続する力」だと思ってます。経営は楽しいことや嬉しいことだけではありません。苦しいことや悲しいことの方が多いかもしれない。そんな毎日を粛々と耐え、改善し、成長に繋げていく。その「継続力」に僕は敬意を払っています。

そして同時に、この起業家の「長旅」に寄りそう同伴者は必ずいます。楽しいときも苦しいときも起業家に寄りそい、共に乗り越える同伴者。その同伴者は得てして表に出てきません。やはり僕はその「同伴者」にスポットを当てたいし、それを望む声も地味に多いのです。

平野さんから「また何かやりましょう」と言われた際、いくつかのアイデアは浮かんだんですが、やっぱり「それならば『隠れたキーマン』を再開するのがよい気がします」と伝えました。

ということで、約2年のブランクを経て、2020年『隠れたキーマン』再開します!

2020年もBRIDGEをどうぞよろしくお願いします!

広報自ら率先して活動、背中で「らしさ」見せた:#スタートアップPR ベスト事例(5)スマイルズ【リレー】

SHARE:

年末企画としてスタートしたスタートアップのPR事例を称揚する「スタートアップPRベスト」。前回のプレイドで広報を担当されている櫻井友希代さんからご推薦いただいたのは「SoupStock Tokyo」やネクタイ専門店「giraff」などでおなじみのスマイルズさんです。 と、ここで残念なお知らせが。本企画は「外部のリスク資本を受けて積極的に成長を求める」、いわゆるスタートアップが対象だったため、ここで…

年末企画としてスタートしたスタートアップのPR事例を称揚する「スタートアップPRベスト」。前回のプレイドで広報を担当されている櫻井友希代さんからご推薦いただいたのは「SoupStock Tokyo」やネクタイ専門店「giraff」などでおなじみのスマイルズさんです。

と、ここで残念なお知らせが。本企画は「外部のリスク資本を受けて積極的に成長を求める」、いわゆるスタートアップが対象だったため、ここでバトンは終了となります。

<参考記事>

ただ櫻井さんの知見でスマイルズさんの素晴らしい活動を知ることは、スタートアップPRでも大いに役立つはずですので、推薦のコメントをこちらに掲載させていただきます。

櫻井友希代さんの推薦理由:バトンが最後なので「番外編」として推薦のコメント掲載させていただきます。

なぜ私がスマイルズさんを推薦したのかというと、コンサルティング事業を含めた社内外の業態開発が活発で次々と事業やブランドが生まれており、スタートアップのいわゆる「第二創業期」にも近い環境ではないかと想像しているからです。

2017年春、自社の複業解禁の気運や流れを“社長も複業の時代!?”というタイトルとともに「プレスリリース先行」で作り出したという話を聞いたのが、スマイルズさんに注目するきっかけでした。プレスリリースを出すことによって働き方文脈での取材や講演会の機会を創出、既成事実化し、社内を巻き込むというのはある種の「力技」で、経営だけでなく各事業部や社員と、日頃の信頼関係があるからこそできる仕事だと思います。

2019-12-19 17.54.17
働き方改革や社員の複業について時流が盛り上がった2017年、たくさんのメディアに露出したスマイルズの新サービス

また、スマイルズさんの今年の動きに関しては、2つ印象に残っています。一つは、創業時からスマイルズを牽引してきた遠山社長というカリスマ性のあるファウンダーに続き、クリエイティブディレクターの野崎亙さんの登壇や出版などの露出が増えたことです。

強いカルチャーを持つ企業では、社長以外の人物を立たせることがなかなか難しかったりもしますが、野崎さんが手がけられた「文喫」や「100本のスプーン」(リブランディング)などのヒットを上手に活用し、露出を増やされています。このように会社の「顔」となる社員を増やす動きは、スタートアップが第二創業期に移行した際の広報としても非常に参考になると思います。

2019-12-17 15.05.59
コドモたちとつくる公園プロジェクト

今年印象に残った2つ目が、「100本のスプーン」というスマイルズ流の「ファミレス」業態があざみ野で行った「コドモたちとつくる公園プロジェクト」でした。

こちらは当初、「公園を作る」という目的に向かって社外の設計事務所とともに事業部内でプロジェクトが動いていたそうですが、概要を聞いた広報チームが「もっと100本のスプーンとしてやる意義を作りにいきたい、プロセス自体にそれを組み込めないだろうか」と考えて現場と議論し、結果的にプロジェクト自体のオーナーシップを広報が持って進めたそうです。

「なんか違う、うちらしくない」と横から口を出すのは簡単です。そして、人も事業も増え企業が成長していく中で、「プレイドらしさ」「スマイルズらしさ」など、その企業やブランド「らしさ」を保ち、企業の振る舞いに浸透させていくのはなかなか難しいことです。

「コドモたちとつくる公園プロジェクト」は、そのアウトプット自体ももちろん素敵でしたが、広報自ら率先して動き、社員に対して背中で「らしさ」見せたというプロセスにも共感し、たくさん学ばせていただきました。

ーーーーー

ということで、広報チームのリーダーシップが印象に残ったスマイルズさんがスタートアップPRのベスト事例「番外編」となりました。

いかがだったでしょうか。

スタートアップPRの重要性は最初の記事で書いた通りです。どの事例もそうですが、一方的なパブリシティ活動の最大化で評価されている企業はひとつもありません。ニュースバリューが弱く、メディアリレーションズ一辺倒の戦略では前進できない点を、さまざまなチャネル、コミュニケーションアイデア、社員協力体制を組んで突破されています。

スタートアップPR活動について悩みを持つ経営者、担当者のみなさんにとって参考になれば幸いです。

ミッションに紐づいた言語化が「全員PR」を促進:#スタートアップPR ベスト事例(4)プレイド(KARTE)【リレー】

SHARE:

年末企画としてスタートしたスタートアップのPR事例を称揚する「スタートアップPRベスト」。前回のピースオブケイクでPRを担当されている森本愛さんからご推薦いただいたのは顧客体験プラットフォーム「KARTE」を展開されているプレイドさんです。森本さんはどの活動に心を動かされたのでしょうか? <参考記事> 感情をぶつけた表現が感動に繋がる: #スタートアップPR ベスト事例(1)ミラティブ【リレー】 …

image3.png
話題となったissue採用

年末企画としてスタートしたスタートアップのPR事例を称揚する「スタートアップPRベスト」。前回のピースオブケイクでPRを担当されている森本愛さんからご推薦いただいたのは顧客体験プラットフォーム「KARTE」を展開されているプレイドさんです。森本さんはどの活動に心を動かされたのでしょうか?

<参考記事>

森本愛さんの推薦理由:プレスリリースやオウンドメディアでの発信、あらたな採用手法、大型カンファレンス。プレイドは情報発信の量が多いことはもちろんですが、すべてがミッションとひもづけられて当事者の言葉で伝えている点がすばらしいと感じました。

資金調達やオフィスの移転、ロゴの変更といった成長期のスタートアップであれば、かならず通る道も「お知らせ」にとどまるのではなく、自分たちの考え方やこだわりを伝える格好のチャンスにされています。資金調達では代表インタビュー、ロゴ変更ではデザイナー自身の言葉で、丁寧に発信されていました。

<参考記事>

「KARTE」の特徴である「拡張性」も、”完成しない”がコンセプトのオフィス移転やissue採用の取り組みで体現され、かつきちんと言語化されています。いつもネーミングも絶妙だなぁとうなっています。いいネーミングはひとりでに歩きだしてくれるので、大事なポイントですよね。

<参考記事>

PRだけでなく、さまざまな職種の社員が自分ごととして発信している姿から、社内が一丸となっていることがうかがえます。土台がきちんと固まっていないうちに社外への発信だけを増やしても意味がないので、プロダクトのよさ、社内のコミュニケーションを磨き上げることが大切だと改めて教わりました。

ほかにも大型カンファレンスの「CX DIVE」や紙で発刊している「XDマガジン」。いずれも自社の短期的な利益には直結しないものの、長期的にCXの概念を引き上げていく、業界自体の地位を上げていく施策です。これらへの投資は大きなチャレンジだと思いますが、目指しているものが明確だからこそ、すべてのコミュニケーションに一貫性があるのだと感じます。

ーーーーー

ということで、ミッションに紐づいた言語化でPRを促進させたプレイドさんがスタートアップPRのベスト事例、4件目となりました。そして次はなんと最終回。このプレイドさんで広報を担当されている櫻井友希代さんからご推薦をいただいたスマイルズさんにバトンをお渡しいたします。

企業や個人の想いを届ける新しいPRの選択肢:#スタートアップPR ベスト事例(3)ピースオブケイク(note)【リレー】

SHARE:

年末企画としてスタートしたスタートアップのPR事例を称揚する「スタートアップPRベスト」。前回のグッドパッチ経営企画室、高野葉子さんからご推薦いただいたのはnoteが好調なピースオブケイクさんです。高野さんはどの活動に心を動かされたのでしょうか? <参考記事> 感情をぶつけた表現が感動に繋がる: #スタートアップPR ベスト事例(1)ミラティブ【リレー】 社内に目を向けた情報発信で強い組織を表現:…

image2

年末企画としてスタートしたスタートアップのPR事例を称揚する「スタートアップPRベスト」。前回のグッドパッチ経営企画室、高野葉子さんからご推薦いただいたのはnoteが好調なピースオブケイクさんです。高野さんはどの活動に心を動かされたのでしょうか?

<参考記事>

高野葉子さんの推薦理由:スタートアップPRに求められる、戦略性、ビジネスへの貢献、共感性。ピースオブケイクさんはいずれも満たしている数少ない事例だと考え、今回推薦させていただきました。

ピースオブケイクさんの”だれもが創作をはじめ、続けられるようにする。”をミッションを体現するプロダクト「note」を取り巻く2019年のPRは、自社やサービスを誇張することもなく、等身大の姿を適切な温度感で伝え、ステークホルダーとの関係づくりをされていました。

<参考プレスリリース>

「左ききのエレン」のドラマ化決定、UUUMさんやテレビ東京ホールディングスさんとの資本業務提携、土屋鞄製造所さんや幻冬舎さんなどと連携した数々のアワード。「note pro」開始後は、キリンビールさんや文藝春秋さん、三井住友銀行さんなど、領域を超えた企業がブランディング、リクルーティング、販促、ユーザーコミュニケーションなど、様々な目的で利用する企業が500社超にまで増加したそうです。

そうしたPublic Relationsの本質を突いた施策の数々は、心地よい体験を通した関係性の構築だけでなく、企業や個人の想いを届ける新しいPRの選択肢として大きく寄与していたように思います。

また、これ以外にもたくさん丁寧な情報発信をたっぷりされていて、読んでいるだけで楽しいプレスルームも大きな特徴です。

ーーーーー

ということで、社内に目を向けた情報発信で強い組織を表現したピースオブケイクさんがスタートアップPRのベスト事例、3件目となりました。次はこのピースオブケイクさんでPRを担当されている森本愛さんからご推薦をいただいた、プレイドさんにバトンをお渡しいたします。

2019年「この採用スライドがすごい」11選+1 #スタートアップPR

SHARE:

今年のスタートアップを「PR」という側面で振り返ると、いよいよ情報戦が激化してきたな、という印象がありました。特に優秀な人材の採用は各社奪い合いの色が濃くなり、入る側も受け入れる側も双方失敗したくない、という思いから、あの手この手でマッチング精度を上げようとされています。 そのひとつのアウトプットが「採用スライド」です。元祖はSmartHRのこちらの採用スライドで、オープン過ぎる情報発信に共感が集…

shallow focus photo of mail envelope on newspaper
Photo by Ylanite Koppens on Pexels.com

今年のスタートアップを「PR」という側面で振り返ると、いよいよ情報戦が激化してきたな、という印象がありました。特に優秀な人材の採用は各社奪い合いの色が濃くなり、入る側も受け入れる側も双方失敗したくない、という思いから、あの手この手でマッチング精度を上げようとされています。

そのひとつのアウトプットが「採用スライド」です。元祖はSmartHRのこちらの採用スライドで、オープン過ぎる情報発信に共感が集まりました。(今日時点でのビューは96万件!)

<参考記事>

これに続いたミラティブはここに「Whyで綴る自語り的要素」を加味し、未来の採用者へのメッセージとして昇華させたのは記憶に新しいところです。(ビューは17万件!)

<参考記事>

この2社を改めてみると、単なる会社紹介資料とやや違う点が見えてくると思います。スタートアップというのはアップサイドとリスクのバランスが極端な状態の企業です。ここで情報開示に誤りがあると、後々の離職やトラブルにつながります。特にスキルフィットよりもカルチャーフィットの部分で厚めの説明が求められる点は注意が必要かな、と。

この辺りについてはSmartHR、宮田さんの「そんなに甘くない、面接用スライド公開の裏側」も併せて読むと理解が深まるのでオススメです。

11社の採用スライドご紹介

ということで、昨年末から今年に発行されたスタートアップの採用スライドをまとめた企画をお送りいたします。基本的に自薦・他薦両方で、対象となるのは「外部資本を積極的に取り入れる、急成長を目指した企業」です。選定のポイントは次の3点。

  • スライドだけでミスマッチを防げそうか(情報量含)
  • 事業、文化、組織が言語化できているか
  • 情報に対してオープンか

推薦(重複一部あり)は全部で35件いただきましたが、そこから上記をふまえ編集部にて対象となる企業を11社選定させていただました(社名とサービス名が違う場合はカッコ内にサービス名を記載)。

1:カクテルメイク(動画生成ツール「RICHKA」提供)

2014年創業のカクテルメイクさんの採用スライドです。同社ではカルチャーブックと呼んで、採用に興味を持った方全てにチェックしてもらうツールとして活用されているというお話でした。

2:スマートキャンプ(SaaS比較・検索「BOXIL SaaS」提供)

こちらも2014年創業、先日マネーフォワードさんのグループ入りを公表したスマートキャンプさん。スコアリングサービスで組織状態を可視化する、というのもひとつの手ですね。

3:Lang-8(ネイティブスピーカーQ&A「HiNative」提供)

先日1000万MAUを達成したLang-8さんは創業2007年と古株です。スライドの最後にQ&Aを入れているのがらしいなと。

4:AI採用マッチングLAPRAS(ラプラス)

LAPRASさんは組織論にホラクラシーを採用していることでも有名です。オープン度合いを示すエビデンスとしてSlackデータを活用しているのは参考になります。

5:カンム(アプリ発行型プリペイド「VANDLE CARD」提供)

国内フィンテックプレーヤーで成長株のカンムさん。代表の八巻さんは卒業後すぐに起業した学生起業に近い方なんですが、その辺りの雰囲気を感じられるスライドです。最後のページも愛があります。

6:カスタマーサクセスHiCustomer

ここから2点は特化型。HiCustomerさんはまだステージも若く、求めている人材が開発に集中していることから全体の説明ではなく、開発チームに絞って作成しています。リソースが少ないスタートアップならではの手法です。

7:ミラティブ(デザイナー向け採用資料)

逆にミラティブさんは全方位採用になっているので、スライドひとつでは説明しきれず、デザイナーやエンジニア向けの世界観に合わせて情報を分ける、という新たなチャレンジをしています。(27日追記:エンジニア向けも追加されてました

8:クラウドファクタリングOLTA

爆伸び中のクラウドファクタリングOLTAさんはテキスト中心の構成でした。スライド作成にあたってキレイなビジュアルを求めなくてもきちんと説明できる事例として参考になるのでは。

9:ペイミー(給与前払い「Payme」提供)

ペイミーさんは言語化が上手なチームです。採用スライドも「まるわかりBOOK」としてコンテンツ化し、採用イベントと合わせて公開されていました。

10:COUNTERWORKS(POP-UPストアシェア「SHOPCOUNTER」提供)

COUNTERWORKSさんもやってるのですが、スライドの最後のページに検索誘導するという方法はベタですがよいと思います。

11:atamaplus(AI教材「atama+」提供)

こちらも爆伸中のatamaplusさん。カルチャーに非常に力をいれているということで、採用スライドの完成度も高いです。また、組織向け施策の勉強にもなります。

ーーーー

ということで、いかがだったでしょうか。

今回推薦いただいたにも関わらず、選に漏れてしまった方ごめんなさい。ただ、見ていただいて分かる通り、傾向として全体的に理解度や納得感のあるスライドは情報量があり(おおよそ40ページ前後)、かつ、どこを強調するのか各ページ明確です。この辺りは再現性ありそうなので各社のスタイルを参考にしてもよいのではないかなと思いました。

追記:推薦の応募には間に合わなかったのですが、この記事と同じ日に公開されたグッドパッチさんのスライドが大変参考になりましたので「+1」として追加させていただきます。

番外編:グッドパッチ

グッドパッチさんのようなデザインコンサルティング・ファームの場合、サービスにフォーカスした表現はしづらく世界観中心になるのですが、さすが本職ですね。しっかりと形にされてて参考になります。

社内に目を向けた情報発信で強い組織を表現: #スタートアップPR ベスト事例(2)グッドパッチ【リレー】

SHARE:

年末企画としてスタートしたスタートアップのPR事例を称揚する「スタートアップPRベスト」。前回のミラティブ広報担当の新嘉喜りんさんから推薦バトンが渡ったのはグッドパッチさんです。新嘉喜さんはどの活動に心動かされたのでしょうか? <参考記事> 感情をぶつけた表現が感動に繋がる: #スタートアップPR ベスト事例(1)ミラティブ【リレー】 新嘉喜りんさんの推薦理由:グッドパッチさんの組織カルチャー再構…

Screenshot 2019-12-19 at 3.11.09 PM (1).png
社内に目を向けた情報発信で強い組織を表現

年末企画としてスタートしたスタートアップのPR事例を称揚する「スタートアップPRベスト」。前回のミラティブ広報担当の新嘉喜りんさんから推薦バトンが渡ったのはグッドパッチさんです。新嘉喜さんはどの活動に心動かされたのでしょうか?

<参考記事>

新嘉喜りんさんの推薦理由:グッドパッチさんの組織カルチャー再構築の発信です。採用広報において、組織の透明性が重要だと言われていますが(2019年は透明性を重要視した採用資料も増えましたね)、代表の土屋尚史さんのブログのオープンさには驚きました。詳しい内容は、是非記事を読んでいただきたいのですが、同社のカルチャー再構築にあたっての社内の様子が、時系列で記されているものとなっています。

<参考記事>

「エンゲージメントスコアで高スコアを獲得!」というような、今の状態を切り取った情報発信でなく、スコアの推移、改善の舞台裏までを公開しています。時系列で会社のストーリーになっていると、背景がわかり信憑性が高くなりますし、苦難もあったけどそれを乗り越えた強い組織という印象をいだきました。

点ではなく、線の透明性だと思いました。

また、個人的に印象的だったことは、社員のみなさまが実際に取材対応をされていたり、積極的に発信をしていたことです。チームを支えてきた方々が、登場人物として自分の視点・言葉でお話されることで多角的なストーリーになっています。

<参考記事>

グッドパッチさんのように、点ではなく線の透明性(会社のストーリー)になっていること、また、それが代表やPR/広報担当者だけではなく、社員のみなさんも発信できることで、会社の共感や信頼につながる広報活動になるのだと学びました。社員のみなさんが日頃の業務にプラスして情報発信をすることは楽なことではなく、会社の文化として根付かせていく努力が必要ですし、一人ひとりが会社を理解して言語化できることは、日頃の社内に向けた発信の賜物だと思います。

少しだけ本題からそれますが、ミラティブでの経験もふまえたPR/広報業務的なお話いたしますと、会社のストーリーが日頃から発信されていると、会社のことが伝わるだけではなく、副次的な効果として、メディアのみなさまへのコミュニケーションがスムーズです。記事のURLをお送りするだけで、相手に説明をする/聞いてもらうというプロセスが省かれますので、取材までの話がスピーディに進んだという経験を、2019年は何度もしました。(当たり前のことで、PR/広報担当者のみなさまは私よりお詳しいと思いますが…)

この経験があるのは、弊社代表の赤川も発信を強めてくれているからで、「このタイミングでnoteを書いてほしい」とお願いすると、時間をつくって書いてくれるので大変ありがたいのですが、きっと今回の土屋さんをはじめとしたメンバーのみなさまの発信も、単体でも素晴らしいですが、その後の取材やイベント登壇等、露出でも次につながるものだと勝手に想像しています。

日々、スタートアップの新規事業、資金調達等で上手なPRを目にして、憧れたり羨ましくなってしまうのですが、グッドパッチのお取り組みを目にして、PR/広報担当者として大事なのは、社内に目を向けて、何が起きているか知っていること、そこで知ったことを社内外への発信を積み重ねることで、会社の良さを伝えされるのだと勇気をもらった事例でしたので、挙げさせていただきました!

ーーー

ということで、社内に目を向けた情報発信で強い組織を表現したグッドパッチさんがスタートアップPRのベスト事例、2件目となりました。次はこのグッドパッチ経営企画室、高野葉子さんからご推薦いただいた「note」が好調、ピースオブケイクさんにバトンをお渡しいたします。