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興味関心を行動に結びつける、tabが大幅リニューアル−行ってみたい、コレ欲しいをより簡単に実現する

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頓智ドットは、Interest(興味・関心)をAction(行動)に結びつける、「tab」のiPhoneアプリを大幅にリニューアルした。それに合わせて、名前も、「tab light」から「tab」へと変更した。 「tab」は、自分がインターネット上や街中で気になったお店やスポットを投稿し、自分の「お気に入り(tab)」に入れておくことで、その場所に行ったときに教えてくれたり、人のお気に入りを探すこ…

頓智ドットは、Interest(興味・関心)をAction(行動)に結びつける、「tab」のiPhoneアプリを大幅にリニューアルした。それに合わせて、名前も、「tab light」から「tab」へと変更した。

「tab」は、自分がインターネット上や街中で気になったお店やスポットを投稿し、自分の「お気に入り(tab)」に入れておくことで、その場所に行ったときに教えてくれたり、人のお気に入りを探すことができるサービスだ。

ウェブ版、iPad版などに特化し、お気に入りを簡単に登録することができる。これまで、iPhone版は、Lightとあったように、簡易的な機能が多かったが、今回のアップデートで、大きく機能を追加した。コレまでの流れから、これからのtabが目指すものについて、CEOの谷口昌仁氏から、話を伺った。

3つの変更点と、ウェブのUIの改良

今回iPhoneアプリのリニューアルにより、3つの機能が追加修正された。「今回のtabの大幅アップデートによって、便利で使いやすく、街の経験を体験しやすくなる機能が追加された。これによって、tabが目指す形になった」と、谷口氏は語った。

以下に、3つの要点をまとめた。

お知らせ機能を搭載し、集めたお気に入りをその場で知らせてくれる

一つは、自分がこれから“行ってみたい場所”“やってみたいこと”“欲しいもの”を簡単に写真と地図で集め、近くに来たら知らせてくれる機能だ。

iPhoneアプリ「tab」を起動していない状態でも、自分のtabに入れた情報が近くにあると、プッシュ通知される。通知のオン/オフは全体でも個別のアイテムごとでも設定ができ、時間帯や曜日での設定となり、個人個人での自由なカスタマイズが可能となった。これにより、ユーザーはより確実に自分が興味を持った“行ってみたい”や“これ欲しい”が体験しやすくなる。

また、この機能は常時GPSを利用して位置情報を取得するのではなく、接続する基地局が変わった時点でのみバックグラウンドでGPSを利用しているため、省電力を意識した設計にもなっている。

tabに掲載されている全ての情報が閲覧可能に

二つ目は、それまで、ウェブ上では利用できたすべての地域の情報が、iPhoneでも現地の情報だけでなく日本中・世界中の情報が閲覧可能となった。それによって、いつでもどこでも“行ってみたい”“これ欲しい”という興味を見つけることができ、その場で検索、その場で自分のお気に入りにいれることができる。

さらに「フォロー/新着/人気」のカテゴリや、東京の6エリア(渋谷/銀座/新宿/六本木/池袋/丸の内)または「全てのエリア」を組み合わせて情報を閲覧することも可能だ。現在地にとらわれず『tab』内の13万点以上ある情報を見ることができるので、自宅やオフィス、電車内などでも自分の興味のある情報を探しやすい。

「すでに、法人など120以上もの企業の方々と協力しており、コンテンツパートナーとして、質の高い商品などを掲載していただいている。あらゆる地域の情報が、いつでもどこでも見れるようになることで、さらに、tabでの楽しみが増していく」。

UIの改善と、アイテムをまとめて表示されるように

3つ目は、ユーザインターフェースの改良により、それまで、単一のアイテムだけの表示だったものが、tabの中にいれられた複数のアイテムを同時に表示し、ユーザそれぞれの「アイテムのまとめ方」が、より見やすくなった。それに合わせて、ウェブ版も、大きくUIを変更し、機能面の改良をおこなった。

これまで、tabでは、個別の情報ごとの表示しかできなかった。そのため、ぱっと見たときに、tabのカテゴリに大きな違いを感じにくかった。そうした点を改良し、tab(アイテムのまとまりでテーマが設定されているもの)ごとの表示に機能を改善。ユーザーは好きなテーマを設定して情報をまとめることができるため、自分自身のアイテム、もしくは他のユーザーにとっても自分の興味あるものを見つけやすくなり、「まとめ方」の切り口次第でこれまで以上に新しい情報と出会うようになる。

日々の生活を豊かにすることが大切

こうした改良に関して、谷口氏は以下のように語った。

「日々の生活をエンパワーしていき、楽しい生活を送れるようすることが目的。お店だけじゃなく、場所や風景など、自分自身の興味関心や感動をメモし、それらをソーシャルに共有していくことで、誰でも日々の生活が豊になっていく。そんな手伝いがtabでできたら」。

また、tabされる商品などに関しては、ウェブだけでなく、実際のリアルの店舗にも提携を進め拡大していく。

「アパレルの方々などとお話させていただき、店舗でtabに投稿するために写真を気軽に撮ってもらうために、tabステッカーなどをお配りし、スマホでその場で発信してもらう。これまで、店舗で写真を撮るということがネガティブな要素が多いイメージがあったが、tabによって、実店舗に足を運ぶ人を増やす効果が実証されることで、次第に可能になってくる。tabは、ただのネットのツールではなく、自分の足でリアルな店舗や場所に行き、そこで感じた体験や経験をシェアすることが大事であり、今後、そうした展開を大きく進めていきたい」。

大幅な改善によって、さらに、毎日の生活が楽しくなるツールへと進化した「tab」。もちろん、iPhone5にも対応している。iPhone版はこちらから、iPadはこちらから、ダウンロードすることが可能だ。

tabは「勝てるプロダクト」なのか?ーー頓智ドット/井口尊仁氏インタビュー(前半)

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頓智ドットがセカイカメラ以降、大きく舵を切ってリリースしたtab。滑り出しも好調で、6月の正式公開以降、iPhoneアプリ/iPadアプリランキングの上位に顔を出していた。TC50でデビューを飾った2008年9月から約4年、セカイカメラからtabに至るまでの道のりにはどのような流れがあったのか。頓智ドットCMOであり、創業者でもある井口尊仁氏に話を聞いた。(全二回/前半) 今日はよろしくお願いしま…

頓智ドットがセカイカメラ以降、大きく舵を切ってリリースしたtab。滑り出しも好調で、6月の正式公開以降、iPhoneアプリ/iPadアプリランキングの上位に顔を出していた。TC50でデビューを飾った2008年9月から約4年、セカイカメラからtabに至るまでの道のりにはどのような流れがあったのか。頓智ドットCMOであり、創業者でもある井口尊仁氏に話を聞いた。(全二回/前半)

今日はよろしくお願いします。ところで突然なんですが、セカイカメラって3Gで動いていたんでしたっけ?

iPhone3Gで動いてましたね。多分この話は3日くらい続けられるんですけれど(笑。フォースクエアのファウンダーにも「クレイジー」って言われてました。当時、ユビキタスの清水さん(ユビキタスエンターテインメント代表取締役社長兼CEO清水亮氏)も「井口は詐欺師だ!いかがわしいヤツなんだ!」とかいって彼はすごく怒ったんですよね。だってiPhone 3Gでセカイカメラの体験ができるといっても、コンパスもジャイロもないのに向いてる方向をちゃんと向けるわけない。物理的に無理。

ただ、iPhoneを振った方向を検出してざっくり方位合わせるとか傾きや速度で向いた方向インディケートできればいいんじゃないかと考えていたんです。なので、実は初期セカイカメラをiPhone 3Gで動かすためにユーザーがフリックで合わせるといった頓智の域を越えた方法をとってました。

銀座でセカイカメラ使ってて不審者に見間違われたりしました。

見間違わなくても不審者ですよ。

えっ…

さておき、今日はtabをテーマにお話するわけですが…既に記事ではいろいろ出てますよね。某媒体では何故か画像共有サービスになってました。

ブルックリンパーラーでだいぶお話したんですけれどね…

これって一言でいえばなんなんですか?

「永久に特集記事が読み終わらない理想のデジタルマガジン」というのはよく言ってますね。

ただ、雑誌って平面でページングがあってある程度企画されたものっていうイメージがあるでしょう?でもtabは常に動いてるし、パブリッシングっていいながらコミュニケーション要素もあるしダイナミックでライブな感じがあるし、それを込めようとすると雑誌っていう言葉が足を引っ張ってしまうんですよね。ただ、人間て分かりやすい言葉を求めようとするでしょ?

セカイカメラは「世界をタグづけする」ってワーディングでしたよね。

長年、(セカイカメラに対して)違和感があったキーワードが位置情報とかロケーションとかで、すごいしっくりこないんですよね。なんでかっていうと緯度軽度のある地点をポインティングするのは単なるマトリックスの情報でしかないじゃないですか。フォースクエアとかアクションとしてはチェックインていう「場所」なんですよね。ちゃんと人間の匂いするし。

位置情報ってIPアドレスを語るような感じなんですよね。生のものをそのまま出されてる感じがしてすごく嫌だなと思ってました。

でも位置にカテゴライズされますよね。セカイカメラって。

Crunchiesにノミネートされたの時、YammerとかDropboxとかEvernoteとか今をときめくそういう人たちの中に入って自分たちはロケーションソーシャルというカテゴリでそこに放り込まれたわけです。TechCrunch50の時も、ピッチがめちゃくちゃ受けて周りから握手攻め、「もうこれは取っちゃったな」って思ってどうやってパフォーマンスしようかとか、そのためのグッズも買ってきたんですが、なんにも取れなくてどんだけ悔しかったか(笑。

Crunchiesも日本から唯一呼ばれて結構面白いカテゴリに並んで三位に入ったんですよ。日本勢の投票がすごくおしてくれて。本当に悔しいことだらけ。でもこの悔しいのが原動力になってるんですよね。

ちょっと話をtabに戻して。tabのビデオってよく出来てると思うんですが、実際にこんな使い方するのかなって、一日銀座で使ってみたんです。で、最初に気がついたのが、なんでこれポートレート(iPad縦向き)にしか使えないんですか?(笑。

それには体験性も含めた色々な理由があるんですよ(笑。

あれだけセカイカメラの時に端末で苦労したわけじゃないですか。で、今回もまたiPad。これ持ってる人、スマホに比べれば明らかに少ないですよね。どうしてこれを端末に選んじゃったんです?

セカイカメラもiPhoneの売り上げには貢献したと思いますよ!でも結局「垂直」じゃなくて「水平モード」で皆さん使っていただいてました。でも(カメラをかざして)こうやって持つと落としちゃうんですよね(笑。

さておき、tabのおかげでタブレット、iPadがめちゃくちゃ売れる、そういうところまで持っていきたいんです。アプリケーション作る側としてデバイスの使い方そのものを再定義するっていうことが必要なんです。新しい体験価値観を自分たちが生み出す。そういう気合でやりたい。

でも、そもそもユーザー数とかボリュームを思うとをまずこれをメイン端末にするってリスクは相当高かったんじゃないんですか。

平野さん、頓智ドットってね、実は僕だけじゃなくて数字を読める人とか、パワポ使える人とか、エクセル使える人とかもいるんですよ。シミュレーションはバッチリしてます!。例えばニューヨークの地下鉄でiPadを使ってる人たちは普通に見つかるし、空港でも普通MacBookが出るところでiPadが出てきてそれが当たり前なってきている。iPadは普及しますよ。

ライブでダイナミックなデジタルメディアを作ろうとしてるのに、iPhoneではどうしても画面がちっちゃい。操作性がちまちまするのでどうしてもツール的になってしまう。画面の切替って感覚とか表現力とか使い続けるときにエンゲージされる感じって圧倒的にあって、自分たちのブランディングやユーザーさんの使い勝手を考えるとiPadでこそをやるべきだと持ってるし、ギャラクシーはないなと思ったし。iPhoneもメディアとしてのエンゲージは正直厳しいと思ったので、意図的に計算してiPadを選びましたね。

tabの体験性を大切にしてると。

そうはいっても私たちはアーティストではないので、世界でどれぐらい普及していて、どれぐらいマネタイズのシミュレーションができるのかということは計算してますよ。

次に使ってて、やっぱりわかりにくいの。「tab」と「フォロー」の違いが。最近はあまりユーザーに迷わせる体験性ってよくないってことでシンプルになる傾向が強いのに、これはどうして?

Pinterestってボードにピンするからピンタレスト。言葉の勝利ですよね。自分たちで快く思っている言葉がtabで、タブレットやブックページにラベリングする、色々な意味が重なって「tab」になってるんです。

一方で、フォローって元々はそういう呼び方じゃなかったんです。その人のインタレストをtabっていう塊でまとめていって、塊の単位でフォローができるのがフォロー。ストリームとかコレクションとかそういう意味です。

じゃあこれはこれでいいんだと。

そうです。

最後に、tabはまあ簡単にいえば画面みて、自分の興味あるものをボチボチとtabしていけば自分好みの雑誌ができる、っていうものなんですけど、実際、私、その「アクション」に移らなかったんですね。リマインダーとかそういう行動を促す仕組みはいれないんですか?

そこはね、説明しがいがあるなと思っていて。tabの分かりにくい点であり、同時に深みがある話なんだけど、世の中のロケーション系はあるひとつのユースケースだけでサービスをスタートしてしまうんですよね。でも私たちは「サイクル」だと思っているんです。雑誌をみて「いいなぁ」と思って付箋貼ったりするのがひとつ目のサイクル。

行動に移すのってその場ですぐというダイレクトなものよりも、ポケットに入れて、一カ月後でもいいんだけど、ある時それが「ピコーン」と立ち上がってリマインドされる。これがふたつ目のサイクル。この組み合わせでできると思っているんです。

「ブラウズ」「タブ」「アクト」でいうところのアクトがすぐに立ち上がるのではなく、 もちろん、その場で動いちゃう人もいるだろうけど、実際はストックしておいて、後で気がつくもんなんですよね。印象深いことでも二時間後にはなくなっちゃう。睡眠して起きて、一週間後にそれをしっかりとリマインドしてくれる。それが重要。

それで、リマインドって今はあるんでしたっけ。

今はないんですけど、そこには秘密のレシピがあると思ってるんです。例えばロケーション系の人ってノーティフィケーションに走っちゃうんですよね。でもちょっと待って欲しい。雑誌で考えてみてください。雑誌ではノーティファイしないけど、役にたってるじゃないですか。雑誌を読むっていう行為そのものが、ちょっと楽しいし、暇な時だったりするんです。つまり、私はね、それが最高のノーティフィケーションだと思っているんです。分かる?分かります?これ。

あぁ…、そういうことか。暇な時に雑誌って読むから、その時にそういや前に付箋貼ってたなとかそこで思い出す(リマインドされる)ってこと?

そう。暇な時にtabを開ける。そうすると今いる自分の近くに以前tabしたものが出てくる。おお、そういえばそうだったいってみようかな。これがノーティフィケーション。

なるほど(笑。理解出来ました。システムじゃないんですね。

情報がランキングされていることが重要です、新着だとストリクトになり過ぎるんですよ。人間の強みってそんなに狭くないから、それに関連してこれもどうですか、こっちはどうですかって。じゃあ暇な時にはtabを使うっていう文化や習慣を作らないといけないですね。エリアを絞ったことも大切で、セカイカメラを作った時に大変だったのは、さすがに世界のどこでも使えますってやっちゃったこと。

今回、渋谷、六本木、銀座と区切って、絶対に情報が出ている状態を作りました。さらに200人ほどのキュレーターをエデュケートしています。

セカイカメラの時にもそういう人たちに協力いただいてエアタグしてもらってもよかったんだけれど、全然してこなくって。今回はイベントやこういう場所に出てきて積極的に話をしている、というわけです。他にも提携している100社ほどの企業からの情報が入っています。でも実際に行った時に、人によって見てるポイントとか味わいとか違うので、そんな感じで人によってテイストが違うよねっていうところがさらに興味深い情報になりますね。もうね、楽しくて。今はすっかりTumblurやPinterestやってないんですよ。この中毒者が。

え、リブログやってないんですか?

はい(笑。tabに情報があれば誰かがそこに行けて幸せになるかもしれませんが、僕がリブログをいくらかましても人間はあまり幸福にはならないと思うんですよね。(※注:井口氏は自他ともに認めるTumblr中毒者)StartupDatingもアジアのこの場所でこういう起業家に会える、こういう濃い話ができるんだってtabしてくれたら、続く起業家に情報を残せる。そういう教育コンテンツにもなるんですよ。だからやってください。

はい。がんばります。

後半はTechCrunch50からのスタートアップとしての道のりをお話しいただきました。次回へ続く。

【インタビュー】頓智の井口尊仁氏に聞くNYのスタートアップ環境と、iPadアプリ「tab」とNYの親和性

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セカイカメラで知られる頓智ドット株式会社が、先月新たに「tab」というiPadアプリとウェブサイトをリリースした。近日中にiPhoneアプリをリリースし、また英語版のリリースも決定している。tabは“Interest to Action”を掲げるアプリケーション。ラテアートが可愛いカフェ、美術館の展示会など、キュレートされた情報をもとにユーザのアクションを生む。人々の興味が細分化し情報量が増えたた…

セカイカメラで知られる頓智ドット株式会社が、先月新たに「tab」というiPadアプリウェブサイトをリリースした。近日中にiPhoneアプリをリリースし、また英語版のリリースも決定している。tabは“Interest to Action”を掲げるアプリケーション。ラテアートが可愛いカフェ、美術館の展示会など、キュレートされた情報をもとにユーザのアクションを生む。人々の興味が細分化し情報量が増えたため、雑誌などの従来メディアだけでは情報を適切にカバーしきれない現状がある。そこで登場するのがtabだ。感度の高いユーザ自身がキュレーターとなり、受け手のアクションにつながる情報をまとめていく。

その性質上、tabは場所がひしめく「都市」での展開が最適だ。同アプリは最初から海外展開を予定しており、海外の反応を見るためにニューヨーク(NY)に出向いたのが頓智ドットの井口尊仁氏。国内外のTechイベントで数々のピッチ経験を持つ井口氏だが、驚くことにNYを訪問するのは今回が初めてだったという。ご存知の通り、ここ1、2年でNYにも数多くのスタートアップが生まれている。その代表格がロケーションサービスの「Foursquare」だ。西側に精通した井口氏が見た東側はいまどうなっているのか 。

世界の縮図「ニューヨーク」とコワーキングスペース

東京は大都市といえど、住む人のほとんどは日本人でそこには秩序がある。一方、人種や文化のバリエーションなどから良い意味でよりカオスなのがNYだ。NYは「世界の縮図」だと話す井口氏。ユダヤの僧侶しかいないエリアがあるかと思えば、少し先のブロックには若い黒人のDJたちがたむろしている。ニューヨークの主要交通網である地下鉄では、一駅ごとに住む人種が違う。

西海岸とは全然違いますね。人間がメチャ多くて多様性もある。密集しているんだけど、でもお互いにリスペクトし合っていて良い意味で距離を保っている感じがある。西海岸のノリで行ってみたら、そこはSTAR WARSの酒場の世界でした。宇宙酒場に色んなやつがいる感じ(笑)。グチャグチャなんだけど、距離感をとって上手くやっているというか。

NYのスタートアップが集まる地域は、Chelsee、Sohoといったエリア。東京より若干規模が大きいものの、地下鉄や自転車で移動でき、感覚的には渋谷、青山、六本木くらいの距離感にそれぞれコミュニティがあるイメージだ。またNYにはコワーキングスペースも多い。TheNextWebによる「NYで最もクールなコワーキングスペース」には、「General Assembly」、「New Work City」、「We Work Labs」、「Projective Space」、「Dogpatch Labs」が挙げられている。今回井口氏が訪問したのは、「General Assembly」、「New Work City」、「We Work Labs」の3つ。これらのコワーキングスペースには種類、歴史、キャパなどそれぞれに特徴があるという。

We Work Labsは規模が大きく、マンハッタンに複数のスペースを持つ。New Work Cityは規模こそ小さいものの、オープンから5年と歴史が長い。中でも井口氏が特に惹かれたのがGeneral Assembly。このコワーキングスペースは、2011年10月頃に始まった政治運動“Occupy Wall Street”(ウオールストリートを占拠)の活動を支援している。アメリカの根本的な問題である貧困の差をなくすことを目的とするムーヴメントだ。Wall Streetで座り込みや寝泊まりしてデモ運動をしたり、ノウハウ共有のために自由大学を開催したり。またUSTやTwitterなど先端のITサービスもフルに活用しているという。NYではITサービスが政治活動に一役買い、彼らの活動をサポートしているのだ。

その場にいた僕もOccupy Wall Streetのデモに参加しました。アメリカは持ってる者と持たない者の差が大きい。この活動に参加するのは国民の99%に入るマジョリティーな人たち。残り1%がWall Streetで大きいお金を動かしインテリジェンスを握っている一部の人間。それは本来みんなでシェアすべきだ、という考え方のもと活動をしています。そして活動のツールとして使われたのが、Tumblr、Twitter、Facebookといったサービスだったそうです。

Occupy Wall Streetの根本にある考えは、アメリカという国そのものが象徴である「自由」。従来の決められた働き方ではなく、個々人が選んだ形で自由に働くことを可能にするコワーキングスペースの目的にも共通するものがある。コワーキングスペース、そしてそこに入るスタートアップがOWSのような政治活動を支援することは自然なことなのかもしれない、と井口氏はいう。

マーケティング思考など、NYのスタートアップにみられる特徴

NYは、メディアやファッションブランドなどが多いことで知られる街。そして何より多様多種な人種が密集している。密度が高いのは人だけに限らず、レストランやクラブなどのお店もひしめき、毎夜のようにイベントが繰り広げられる。そんなNYという街の特徴は、そこで生まれるスタートアップの種類にどのように影響しているのか。

モジュール型のサンフランシスコ、NYは入り口から出口まで
サンフランシスコのスタートアップはモジュール型だと話す井口氏。決済だけやる、集客だけやる、女の子に美味しいカカオを届けるといった具合に細かくセグメントされている。それぞれの領域に鬼のようにプレーヤーが存在し、モジュール同士がつながることでスタートアップの塊ができていく。一方のNYは、ひとつのスタートアップが入り口から出口まで全てまとめてやることが多い。

デザイン雑貨やインテリアを販売するコマースの「Fab.com」がいい例。コマースのAからZまで全て自分たちでやってますよね。キュレーション兼コマースの「Fancy」だってそう。また「Tumblr」もコンテンツ流通から課金まで自分たちでやって一つの生態系をつくろうとしている。ロケーションサービスの「Foursquare」も、ショップへのサポートからPRツールまで全て自分たちでつくって提供しています。

これは恐らく金融やメディアなど確固としたインダストリーが確立しており、それらのプレイヤーたちとのアライアンスやビジネスアセットをフル活用できるというNYの地政学的な強さが寄与しているのではないか?と井口氏は分析する。

マーケティング思考なNYのスタートアップ
こんなのがあったらいいね、という発想でテクノロジーをベースに考えるシリコンバレーのスタートアップ。一方NYではマーケティング思考が強いという。イケていたり目立っているサービスは、NYの強みであるメディア的要素を何かしら持っていて、さらにデザイン力もある。そして何よりマーケティング思考であるため、しっかりしたビジネスプランを持っている。

こんな風にマーケティングを行うことでこういう結果を出す。それを踏まえて、いつまでにこれくらいでエグジットするという具体的なプランが描かれている。これはもしかすると、NYのスタートアップの人材の多くが、一度は別の企業で働いた社会経験やキャリアを持つ人たちだからかもしれません。

今回NYで話をしたスタートアップの中でも、日本人女性起業家のRie Yanoさんと彼女のBabyである「Material Wrld」は特に素晴らしかったと話す井口氏。以前にTechDollでも紹介したMaterial Wrldは、セレブを含む人のクロゼットをマーケットプレイスにしようというもの。テイストメーカー、キュレーターの巻き込み方が戦略的できちんと考え抜かれている印象を受けたという。ちなみにMaterial Wlrdは女性2人がファウンダーだ。

仮説の立て方と、反応や数字を踏まえた組み立て方がクレバーだなと感じました。話を聞けば聞くほど納得感があるというか。

ニューヨークで注目のロケーション系サービス

人やお店が密集し、パーティなどのイベントが多いNYでは位置情報サービスが当たり前のように使われている。日本も渋谷駅などIT企業が集まるエリアではFoursuareの駅チェックインが多いなどと言われているが、NYでは普通のOLなどが日常的にロケーションサービスを使っている。

もし彼女たちにFoursquareの使い方を教えてって聞いたら、なんで知らないの?って驚かれるくらいに普及しています。むかし僕たちも、なんで人がTwitterやFacebookをやるのかな?って首を傾げていた時代があったと思うんですが、どちらのサービスも今では当たり前になっていますよね。きっとNYではFoursquareも同じ感じなんだと思います。

—「Zaarly」
ロケーションを使ったサービスで一目置かれているスタートアップが「Zaarly」。仕事をしてほしい人と、仕事がほしい人をモバイルアプリでマッチングする。例えば、ゲームのテスター募集、ハンガーの片付け、コーヒーを買ってくるなど。ロゴをつくるというようなオンラインだけで完結する手伝いではなく、リアルに会ったり場所に出向く手伝いが特徴だ。Zaarlyを使うことで人がリアルにつながり、さらには仕事が生まれることで人々の生活が変わる。中にはこのサービスだけで生計を立てているような人もいるそうで、雇用主がいてオフィスに通うという従来の働き方を流動化している。

「Airbnb」
Airbnb」も生活を変えるという意味で画期的だと話す井口氏。今回のNY滞在はずっとAirbnbを使ったという。NY滞在最終日に泊まったのは、アーティストで大学講師、シングルマザーでゲイの旦那が2人いるという女性の家のロフト。多くの人が密集するNYだからこそ、マッチングの成功体験が早くに生まれ、それが継続利用につながるのかもしれない。

1日数千円とはいえ、空いたスペースを有効活用することで新たな収入が生まれ、普段出会えないような人たちと交流する機会も生まれる。Airbnbを立ち上げると、位置情報で現在地付近で泊まれる場所がスグわかってすごく便利です。

「Square」
また決済系で普及し、期待を集めているのが「Square」だ。ものの10分で、個人が簡単にカード決済のストア口座を持ててしまう。任天堂好きの若者が、古いゲームを売るために使うこともできるし、フリーマーケットなどで活用することも可能だ。Squareを使うことで色々なところで売買、ビジネスチャンスが生まれる。

Squareのアプリを立ち上げると、店舗などを含むSquareで決済できる場所がわかるようになっています。レシートにも位置情報が印字されますし。生活を大きく変えるという意味で、Squareもかなり期待されているスタートアップという印象を受けました。

ニューヨークを選ぶ理由

NYといえば、マイケル・ブルームバーグ市長の存在は外せない。彼がITとエコロジーに注力していることは有名だ。これらの分野に予算を割くことはもちろんのこと、NY市がガチのハッカソンを主催していたり、時には一緒に記者会見を開くなど広報的支援も行う。スタートアップにとってNYがいかに素晴らしい場所かをアピールする動画なども用意されている。

Made in New York from NASDAQ on Vimeo.

インキュベーションはすごく盛んです。それぞれに売りがあってバラエティもある。ファンドの規模が違うから統計的には西海岸からお金が入っているところが多いみたいですが、非常に活発なのでシードラウンドで頑張る分にはNYはありだと思います。でもエコシステムは出来上がっているしNYだけでも成立するでしょう。メディアもすごくあるしね。

そして都市そのものが壮大なベータテスターの街でしょ。人種も文化もバラエティがあるからテストに向いてるんです。それにロケーションベースがあそこまで触れる都市って他にない。AirbnbやSquareなんかがガンガン使われていて、そうするとその上にビジネスが生まれていく。

tabの海外での手応えを確認するために訪れたNY。今回のインタビューで井口氏に語ってもらった内容からも、tabとNYという街の親和性が高いことは容易に想像がつく。文化、言語、人種が豊富で、かつメディアも多い。

東京に10年住んでいたって全部わかりきった気にはならないですよね。もっと混沌としているNYなら尚更そうで、だからこそ、そこを補完するメディアが必要。また、感度が高くロケーションメディアに慣れていて、さらにはセンスが良いというキュレーションに最適な人間もたくさんいる。

遠からず英語版がリリースされるtabだが、リリース後のNYでの反響は気になるところ。ロケーションサービス、メディア、飲食系などを展開する日本のスタートアップは、数年先の東京を下見する感覚でNYを訪れてみると良いかもしれない。