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#TiATokyo 2016: アジア各国7チームがしのぎを削る「Arena」で、フィリピンの請求書売買P2P金融「Acudeen」が優勝

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これは、Tech in Asia Tokyo 2016 の取材の一部だ。 9月6日〜7日の両日、東京都内で開催された Tech in Asia Tokyo 2016 の、スタートアップ・コンペティション「Arena」では、日本とそれ以外のアジア各国から7チームのスタートアップがピッチした。 このセッションで審査員を務めたのは、 楽天ベンチャーズ 投資マネージャー Hogil Doh 氏 500 S…

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これは、Tech in Asia Tokyo 2016 の取材の一部だ。

9月6日〜7日の両日、東京都内で開催された Tech in Asia Tokyo 2016 の、スタートアップ・コンペティション「Arena」では、日本とそれ以外のアジア各国から7チームのスタートアップがピッチした。

このセッションで審査員を務めたのは、

  • 楽天ベンチャーズ 投資マネージャー Hogil Doh 氏
  • 500 Startups Japan マネージングパートナー 澤山陽平氏
  • 500 Startups ベンチャーパートナー Vishal Harnal 氏

なお、MC は MaXwell Powers 氏、表彰は Tech in Asia のコンテンツ戦略ディレクター David Corbin 氏が務めた。

【優勝】Acudeen Technologies(フィリピン)

副賞:500 Startups から10万ドルの投資を受けることができる権利

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Acudeen は、手形割引と同じ要領で、請求書を買い取り、金額は割り引くものの代金を先払いする P2P 金融のプラットフォームだ。零細企業や個人事業主にとっては、請求書を発行してから実際に入金されるまでの支払サイトが長いために、資金が底をついて経営が苦しくなることは少なくない。Acudeen では、請求書を持つユーザが請求書をオークション形式(売り手はたいていの場合、額面から5%〜10%割り引いて出品)で売りに出し、それを別のユーザに買い取ってもらう。Acudeen は請求書の売り手から2%、買い手から1%の手数料を得て、売り手に請求書相当の代金を先払いする。

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東南アジア全体で20億ドルの資金需給バランスのギャップがあるとされ、そのうち15億ドルの需要に対しては、このバランスを緩和するための金融ソリューションを提供できていない。Acudeen では、年間1,500万ドル分の請求書売買の需要があると考えている。Acudeen は今年5月に開催された、世界的スタートアップ・コンペティション Seedstars World のフィリピン予選でも優勝、来年3月にスイスで開催される同本選では、最大100万ドルの投資権取得を狙ってチャレンジする。これまでに Nullabor VC8990 Holdings の JJ Atencio 氏から、シードラウンドで20万ドルを調達している。

【2位】Vital Smith(韓国)

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排卵日を知る方法として、一般的に基礎体温計測やエストロゲンを計測する尿検査などが多用されるが、前者は身体の他の影響を受けやすく、後者は分析が困難であり必ずしも正確ではない。この問題を解決すべく、Vital Smith は、女性が容易に排卵日を知ることができるデバイス「B Bless」を開発した。B Bless はリップスティックのような形状で、女性は B Bless を使って唾液を採取し、それをスマートフォンのカメラ部分に装着することで、スマートフォンのアプリが正確な映像解析により排卵日を検出する。

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デバイス本体が99ドル、消耗品である唾液を採取するフィルムが20枚入りで30ドル、その他、医薬業界に対するビッグデータ販売で売上を確保。フィリップスや GE と提携しているほか、バイエル薬品バイエル主催の医療スタートアップ向けアクセラレータプログラム「Grants4Apps 2016」選出4チームの一つに選ばれ、5万ユーロの賞金を獲得した。10月には量産版のプロトタイプを完成させ、来年2月から市場投入の予定。

【3位】Mober Technology(フィリピン)

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Mober Technology は、オンデマンドによる物流サービス、いわば、荷物版の Uber だ。 フィリピンでは、物流サービスが発達していないために、1日の少量の荷物しか発送しない中小企業であっても、自社所有のバンを所有することを余儀なくされる。一方、企業でバンを所有していながら、ほとんど利用されていないバン(1日に出動回数が2回未満)がマニラ首都圏に15,000台も存在する。Mober Technology は、物流ニーズのある中小企業と、稼働していないバンとを結びつけるプラットフォームだ。マニラ首都圏の同日配達にのみ特化している。

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標準的なメニュー「Van」の場合で最低3ドル(平均利用料金15ドル)、荷物の運搬を助ける助手がつく「Truck」の場合で最低13ドルまで(平均利用料金65ドル)。1ユーザあたりの1日平均利用料金は18ドルに上る。一回の利用につき、Mober Technologies が20%の仲介手数料を徴収し、残りの金額が実際に運転を担当するするバン保有者に支払われる。1月から7月までに3,000件の予約があり、年末までにはパートナーとの提携により87,000万件にまで伸ばす予定。バンを所有する事業者との提携も現在の80社から、年内に500社、2017年末までに7,000社にまで増やす計画だ。

PR Times Award: XTREME DESIGN(日本)

副賞:PR Times プレスリリース配信権1年分

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XTREME DESIGN が提供する「XTREME DNA」は、特別な知識なしにパブリッククラウドにスパコン環境をセットアップできるサービス。チャットボットによる会話形式により、ユーザ必要とする最適なスパコン環境を自動的にディプロイする。ディプロイだけでなく、運用管理やシステム稼働後の最適化も自動化できるため、スパコンのアーキテクトを必要としない。

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代表的なユースケースとしては、フィンテック向けに株価予測変動などのディープラーニング環境(大規模解析)、大量の顔画像を学習しストレス状態の判定につなげる医療データ分析(中規模解析)、IoT データ分析(小規模分析)などがある。料金体系としては、自前でスパコン環境を用意した場合と比べて、XTREME DNA を利用した場合に安くなる差額の一部を報酬として徴収するモデルや、サブスクリプション・モデルなどが複数用意されている。

Aquabit Spirals(日本)

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Aquabit Spirals は、リアルなものに対してブックマークができる「スマートプレート」を開発。ユニークな QR コードが貼付されており、ICチップも内蔵しているので、NFC 対応スマートフォンか、カメラを内蔵しているスマートフォンを使って、個々のスマートブレートに紐付けられた情報にユーザを誘導することができる。スマートプレートでは、コードに紐付いた情報アクセス先をクラウド側で管理しており、ユーザはリダイレクトして情報に導かれるので、NFC チップの管理者(キャンペーンオーナー)は、専用アプリを使って、クラウドで情報を一元管理できる。

タイのバンコクでは、Airbnb のゲストルームにスマートプレートを置くことで、アジアのアクティビティ・マッチング・プラットフォーム「Travee(トラビー)」に見込み客を誘導することで、ゲストルームのオーナーにレベニューシェアできるしくみを開始した。リアルな世界におけるアフィリエイト・ビジネスと捉えることもできるだろう。バンコク市内の3つの免税店舗と提携し、店頭にスマートプレートを導入。2016年5月に伊勢志摩で開催された G7 サミットの国際メディアセンターでは、各国プレス関係者向けの情報配信ツールとしてスマートプレートが活用された。2016年8月までに6,500プレートが導入されており、2017年初めまでに20,000プレートの導入を目指す。

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財産ネット(日本)

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兜予報は、株価の上下が気になるデイトレーダー向けのサービスで、材料視されるニュースが報道されてから、30分程度の間に株価に影響を与えるかどうかを予測してくれるアプリだ。中小型株では、ニュースが発せられてから株価に影響を与えるまでに一定のタイムラグがあるが、この時間を使って、兜予報ではネットワーク内の経済アナリストに投票してもらい、兜予報ユーザであるデイトレーダーに、保有銘柄の売り・買い・見送りを直感的な表現で提案してくれる。トレーダー個人の予測確度はどんなに研ぎすぎましても6割が限度であるが、それをアナリストの投票という集団知を活用することで最高で8割以上にまで引き上げられるのだという。

バーチャルマネーで実際の株価を使って練習を積むことが可能で、ボタン一つでリアルマネーでのトレードに移行可能。兜予報は無料で利用可能だが、財産ネットでは現在、複数の証券会社への兜予報アプリからのつなぎこみを開発しており、株式取引の送客によりマネタイズを図る。オンライン証券会社の7〜8割の売上を生み出している日本のデイトレーダー5万人のうち、約1〜2割が兜予報アプリを使っている。現在、海外進出にあたり提携できるスタートアップなどを募集している。

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Kiwi New Energy(台湾)

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Kiwi New Energy は、P2P のエネルギー共有プラットフォームを提供。ソーラー発電における問題点は、工事の認可取得が複雑で時間がかかること、必ずしも期待したほどのエネルギー出力が得られなかったり、メンテナンスにコストや時間がかかったりすることなど。Kiwi New Energy では、699ドルで直販タイプのソーラーパネルを開発しており、設置から20年間にわたって5〜10%の年間利益率還元を実現し、20年間にわたりソーラーパネルの保証も行う。

この品質と耐久性をもとにソーラー発電のマーケットプレイスを構築しており、投資家の存在によって、空いている屋根や屋上を持っているオーナーは無料でソーラーパネルを設置できる。そこから発電された電力売上をもとに、投資家には利益が還元される。現在、世界30カ国以上でサービスを展開中。台湾政府からは助成金を受けている。

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いよいよ明日開幕する「Tech in Asia Tokyo 2016」、今年の見どころをイベント準備に奔走する2人に聞いた

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まだ名前が Startup Asia Tokyo だった頃から数えると、今年で3回目を迎える Tech in Asia Tokyo。これまで渋谷ヒカリエで開催されていたが、今回からは規模をさらに拡大し、会場をベルサール渋谷ガーデンに変えて開催される。大企業が挙ってスタートアップ・ハブ開設へと動くなど、渋谷エリアのスタートアップ熱は以前に増して一段と盛り上がりを見せている。 明日から開催される Te…

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左から:Tech in Asia 日本代表の播信太郎氏、コンテンツ戦略ディレクターの David Corbin 氏

まだ名前が Startup Asia Tokyo だった頃から数えると、今年で3回目を迎える Tech in Asia Tokyo。これまで渋谷ヒカリエで開催されていたが、今回からは規模をさらに拡大し、会場をベルサール渋谷ガーデンに変えて開催される。大企業が挙ってスタートアップ・ハブ開設へと動くなど、渋谷エリアのスタートアップ熱は以前に増して一段と盛り上がりを見せている。

明日から開催される Tech in Asia Tokyo 2016 を目前に控え、イベント準備に奔走する Tech in Asia 日本代表の播信太郎氏とコンテンツ戦略ディレクターの David Corbin 氏に今回に見どころを聞いた。

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エキスパートの話が聞けるステージを4つに拡大

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参加者からのフィードバックをもとに、毎回コンテンツを調整しているという Tech in Asia のイベントだが、今回はメインステージに加え、フィンテック、マーケティング、デザイン、デベロッパーの4つの専門領域のプレゼンテーションが聞けるステージを開設している。それぞれの領域の実務に関わるエキスパートを日本内外から招聘しており、参加者はその日から使えるティップスが入手できるだろう。

昨年のジャカルタイベントから、プレゼンテーショントラックを追加するようにした。(参加者のフィードバックでは)専門家ステージの満足度が非常に高い。特にマーケティングとデベロッパーはヒットしている。

シンガポールイベントではフィンテック、バンガロール(インド)のイベントではスケールなどのステージを追加した。(David Corbin 氏)

日本では初の試みとして、デザインのステージを追加し、PlayStation 4 の UI/UX 開発をリードした河野道成氏をはじめ、豪華な顔ぶれが登壇する予定だ。

史上最大規模となる〝スピード・デイティング〟

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日本内外のベンチャーキャピタリストが会場内に用意された特設ブースに詰め、起業家とのフェイス・トゥ・フェイス・ミーティングを行う「スピード・デイティング」も今年は最大規模。取材段階で既に57のVCがスピード・デイティングへの参加を表明しており、播氏によれば、最終的にその数は60社を超えるだろうとのことだ。Tech in Asia は文字どおりアジア地域の投資家とのネットワークも深く、Next Billion(次なる数十億人市場)を獲得すべく、東南アジアや南アジアへの進出を模索するスタートアップにとっては、逃したくない機会だ。

また、スタートアップの出展ブースが160区画以上用意され、1日目と2日目で出展社が入れ替わるため、のべ200社以上のスタートアップが出展する予定。スポンサーである三菱UFJフィナンシャル・グループ、マイクロソフト、ウィルグループ、住友不動産らが、自社ブースのスペースの中に、支援しているスタートアップのための出展エリアを無償提供するのも初の試みとなる。

Tech in Asia Tokyo 2016 には、のべ3,000人ほどの参加が見込まれており、うち約2割は北米から、約3割は東南アジアからの投資家や起業家になるだろうとのことだ。

その他には・・・

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Tech in Asia イベントのキーコンテンツである、スタートアップ・ピッチ・コンペテイション「Arena」には、選び抜かれたファイナリスト7社が登壇予定。優勝者には、最大で1,000万円の投資を 500 Startups から受けられる権利が与えられる。「賞金じゃなくて、投資なの?」と疑問に思う読者も思うかもしれないが、100万円程度の現金をもらったとしても、一定のバーンレートがあるスタートアップにおいては「消えてすぐ無くなってしまう」ので、投資機会をもらえた方がうれしいとの起業家からの声を配慮してとのこととか。優勝者側が自らの意思で出資を拒まないかぎりは 500 Startups から出資を受けられるようなので、実質的な副賞と言っていいだろう。

また、国際送金スタートアップの TransferWise や CRM ソフトウェアの HubSpot は、今回の Tech in Asia Tokyo 2016 の機会に日本市場正式上陸を発表する予定。両社それぞれの CEO も登壇する予定なので、彼らの発言にも注目したい。YouTube CM で一世風靡したバイリンガールの吉田ちかさんも登壇し、会社を辞め、YouTuber になるまでの軌跡をシェアしてくれる予定だ。

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不肖・筆者は、2日目のメインステージで、躍進を続けるクラウド会計ソフト「Freee」の CEO 佐々木大輔氏にインタビューをする予定。また、1日目・2日目ともにランチタイム直後の時間帯、THE BRIDGE として、スタートアップからのメディア向けピッチを受ける「Meet the Press」ブースにも詰める予定なので、披露したい新サービスやプロダクトをお持ちの起業家は、足を運んでいただけると幸いである。

それでは、明日と明後日、会場でお目にかかりましょう。

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