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2万人以上が来場、アメリカ最先端が集結するテックイベント「TechDay」が今年も開催【ゲスト寄稿】

本稿は、ニューヨークを拠点に活動するジャーナリストで翻訳家の安部かすみ氏による寄稿である。昨年の TechDay に関する寄稿はこちら。一昨年の TechDay に関する寄稿はこちら。 すっかりニューヨークの春の風物詩となった、毎年恒例のテックイベント 「TechDay」。その年のアメリカのテック注目株が集結するイベントとして大変人気で、毎年会場は入場者であふれる。今年は例年の約1ヵ月遅れで、5月…

本稿は、ニューヨークを拠点に活動するジャーナリストで翻訳家の安部かすみ氏による寄稿である。昨年の TechDay に関する寄稿はこちら。一昨年の TechDay に関する寄稿はこちら。


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すっかりニューヨークの春の風物詩となった、毎年恒例のテックイベント 「TechDay」。その年のアメリカのテック注目株が集結するイベントとして大変人気で、毎年会場は入場者であふれる。今年は例年の約1ヵ月遅れで、5月10日(木)に開催した。

今年の出展企業数は計500。スタートアップ、アクセラレータ、スポンサーがそれぞれのブースを出展し、テックファンをはじめ、投資家、報道関係者、学生など約2万人が会場に足を運んだ(数字は主催者発表)。

会場は毎年こちら。マンハッタン区55th St. の最西端にある Pier 94

今年の TechDay に出展した企業は、13カテゴリに分けられ、カテゴリごとにブースが配置された。

カテゴリの内容は「B2B」「音楽&メディア」「健康&フィットネス」「Eコマース」「フィンテック」「ソーシャルメディア」「オンデマンド」「ソーシャルインパクト」「EdTech」「ハードウェア&IoT」「ファッション」「一般」、それらのスタートアップに加え、アクセラレータとスポンサーだ。

この日 PR ツールとしてトレーラーハウスを導入したのは、ソーシャルメディア Bestest

今年からの新たな試み、有料制と「TechDayTalks」

第7回目を数えた今年は、新たな試行がいくつか見られた。

有料制

その一つは有料制だ。昨年までは事前登録をするだけで無料で入場できたが、今年から有料になった(一般入場料は20ドルと30ドルの2種。会場内のすべての場所へのアクセスができる「フル・カンファレンスパス」は235ドル。ちなみに235ドルのチケットは売り切れとなった)。

有料制にしたからか、事前の主催者発表で、来場者数が例年より1.5万人も少なかったので「がらっとした印象になるのでは?」との私の予想は、杞憂に終わった。当日会場に到着したら、一般開場の15分前にも関わらず、昨年同様に入場を待つ人々で長蛇の列ができていた(午後1時ごろまで、行列は途切れることがなかった)。

また会場内は例年通り、正午過ぎから来場者で溢れ返った。

入場のために長い列を成す来場者。

「TechDayTalks」

新たな試みのもう一つは、「TechDayTalks(テックデー・トークス)」。これは毎年会場で行われている、スタートアップが自社サービスを紹介する「ピッチステージ」とは一線を画するもの。すでに成功している知名度のある企業の CEO や幹部が登壇し、それぞれの「成功への手引き」を紹介するのだ。「フル・カンファレンスパス」の来場者を対象に行われた。

マイクロソフトのテレザ・ネメサニ氏による「スタートアップにおける、ブロックチェーンの活用法」や、セールスフォースのキャサリーン・ヤン氏による「未来の働き方:AIがどのように人材を育てるか」など、どの職種においても興味深い講演が、全12社によって行われた。

出展企業による各社アピール合戦

TechDay では、各ブースを眺めるだけでニューヨークや全米におけるテックトレンドを1日で垣間見れる。だが会場はとにかく広く、狭い通路は来場者で大混雑し、各ブースをサッと見て歩くだけでもゆうに1時間以上はかかってしまう。

どのスタートアップも新しいアイデアに満ち溢れ興味深いのだが、その中でも特に来場者から注目を浴びていた今年の注目株をいくつか紹介したい。

今年の注目株たち

Citispoon の CEO のオラ・コラウォル夫妻。「自分の食体験を元に4年前からアイデアを練り、昨年ローンチして、2日前にiOSアプリをリリースしました」

Citispoon は、レストランの検索アプリ。

Google 検索や Yelp との相違点は、「自分の食の嗜好」に応じて最適なお店をアプリがあらかじめ選んでくれ、さらに「今すぐ入れる店」を探せること。特にニューヨークなどアメリカの大都市では、週末ともなると予約なしでは入れない店が多いので、事前に混み具合がわかるのは便利だ。

Citispoon のアプリ開発を手がけ同じく TechDay に出展した、Fusemachines のスタッフ(青のTシャツ)らと。

「何でも、どこでも、借りられる」がモットーのレンタル用アプリ Rentah。例えば自分が使っていないギターや自転車をリスト掲載でき、借りたいものでリストにないものはリクエストができる。ニューヨーク・ブルックリン発のスタートアップ。

Vertoe は、ニューヨーク市内で初めてできた、手荷物を保管できるサービス。

保管場所は現在市内に70ロケーション。劇場やスタジアムに大きな荷物を持ち込むことができない上に、日本のようなコインロッカーがないので、居住者&旅行者ともに、便利なサービスだ。

1アイテムごとの利用料は1日わずか5.95ドル。(「techday」コードで5%割引に)

ローカルのレストランやお店、バー、イベントなどの検索&SNS プラットフォーム、Go Nation のブース。コネチカット発のスタートアップ。

パーソナルロボットTemiを提供する Robotemi。創業者のヨシィ・ウォルフ氏が3年前、祖母を訪ねた際、手が震えてティーカップを持ったり携帯電話を自由に使うことができない様子を見て、Temi を考案したという。

「Hey Temi」と問いかけると、自分のために動いてくれたり、知りたいことを教えてくれたりする。Siri のロボット版と言ったところか。

iPad やスマートフォンをセットするだけでプロ並みの映像撮影を可能にするオールインワンのモバイルソリューション Padcaster

会場を歩いていると…!

毎年ドローンブースは大人気。レースに必要なパーツがすべて入った、FPV ドローンキットを提供をする Beagle Drones

IoT 関連製品の開発、販売をする京都の mui Lab(ムイラボ)も。(2回目の出展で、昨年は親会社の NISSHA として出展した)

代表の大木和典さん(写真上の左)は、「今夏キックスターターもします」と抱負を語った。

IoT のインターフェイスプロダクト、mui(ムイ)の説明に聞き入る来場者。mui はタッチセンサーを内蔵した木製のディバイスで、インターネットに接続することで多様なクラウドベースのサービスと連携できる。

機能面に加えシンプルでクールなプロダクトデザインも、来場者から注目を浴びていた。

<関連記事>

スマートフォンとスクリーンが連結できるプレゼンテーションのためのソフトウェア encaptiv

ファウンディング・パートナーのマット・ダニエルズ氏(右)は、「プレゼンテーションはビジネスの成功に欠かせないもの。encaptiv を使って、プレゼンテーションを楽に成功させてほしい」と語った。

インダストリー4.0時代の製造業者用手袋、Mark(by ProGlove)。作業をより早く安全にするために、フォークリフトやワゴンなどと連動させて自動スキャンなどに使う。Audi や BMW 社などがすでに導入済み。

セルフィーをクッキーやアイスコーヒーのフォーム(泡)などの表面に描ける Selffee。イベントやギフトなどで大活躍しそう。

当日は実演し、参加者も一緒に楽しんでいた。

「私たちそのものね!」と満足げの来場者たち。

子どもたちの将来の夢を叶えるためのEdTechアプリ Kids Break Ground

コーファウンダー、エンリッチ・リヴェイル氏(左)は、「夢を叶えるために、子どものうちから大きくなったら何になりたいかを考えるきっかけを作っていきたい」と語った。

子どもの想像力や好奇心を伸ばす STEM 教育の一環として、カスタマイズできるラジコンカーに注目する、RaceYa の創業者アビゲイル・エッジクリフ・ジョンソン氏。

大人気のあの企業も出展

Cheapair.com は、アメリカ・カリフォリニア発のオンライン・トラベルエージェンシー。1989年創立の老舗企業だ。

「よい人材を確保するために、今日はブースを出しています」と、エドさんとドリューさん。

2010年創業で、今や「2兆円企業」に大成長した、ニューヨーク初のコワーキングスペース、wework 。昨年日本にも進出を果たしたばかり。

2年前にマーケティングチームが新設されたため、今回スポンサーとして初出展を決めたそうだ。

2018年まとめ

今年も TechDay は、人々の生活をより便利にする新しく画期的なアイデアの宝庫だった。各ブースで実際に体験したり、スタッフらと直に話しをしたりすることで、より人生を豊かにするイノベーションのさまざまなカタチを肌で感じることができた。

有料制にしたことによる来場者減少の打撃は感じなかった。むしろ去年同様に多かった印象だ。一方で、出展企業数は昨年に比べて明らかに少なかったのは否めない。だが、出展企業側にとって良いように捉えれば、より多くの来場者に自社のサービスを目に留めてもらいやすくなったということでもある。

昨年まで2年連続で出展し、今年は出展を見合わせた在ニューヨーク某テック企業の代表者に話を聞いたところ、

「TechDay イベントに限って言えば、出展することでチームビルディング的な意味合いがあります。来場者にサービスを説明することで、リアクションを直に知ることができ、さらにその反応によってアイデアが出てきたりするので、それらを体験する場として捉えていました。しかし、来場者からオフィスを借りないかと逆営業されたり、就職活動の場として捉えている学生も多く、今年の出展は見合わせました。来年はまだ考えていません」とのことだった。

また今年は、マナーのない来場者が各ブースに大挙して押し寄せ、呆れられている様子も多く目にした。英語を話せない外国人集団がお礼も言わずに、企業がユーザーのために準備したノベルティグッズを根こそぎバッグに詰めているのを見ると、私もいい気がしなかった。

テクノロジーやイノベーションの紹介より無料グッズがもらえる場として捉える来場者が今後増えていけば、グッズをなくしたり、出展自体を控える企業も増えていくことにつながるだろう。

TechDay がニューヨークで始まって7年。あと数年で節目の10年を迎えようとしている。テックシーンを揺さぶるような新たな場になるようにするにはどうしたらよいのか、主催者、出展企業、来場者が一緒になって、イベントの意義をもう一度考え直す時期にあるのかもしれない。

See you next year!

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全米最大規模のテックイベント「TechDay」が今年もNYで開催——スタートアップ575社が出展、3.5万人が来場【ゲスト寄稿】

本稿は、ニューヨークを拠点に活動するジャーナリストで翻訳家の安部かすみ氏による寄稿である。昨年の TechDay に関する寄稿はこちら。 4月18日、ニューヨークで全米最大規模のスタートアップイベント「TechDay」が今年も行われた。毎年春に開かれる恒例のイベントで、6回目となるもの。 今年は計575ものスタートアップやアクセレレーターがブースを出し、テックファンはもちろんのこと、投資家や就職活…

本稿は、ニューヨークを拠点に活動するジャーナリストで翻訳家の安部かすみ氏による寄稿である。昨年の TechDay に関する寄稿はこちら。


4月18日、ニューヨークで全米最大規模のスタートアップイベント「TechDay」が今年も行われた。毎年春に開かれる恒例のイベントで、6回目となるもの。

今年は計575ものスタートアップやアクセレレーターがブースを出し、テックファンはもちろんのこと、投資家や就職活動の学生、報道関係者など約3万5000人が会場に足を運んだ(数字は主催者発表のもの)。

会場は、マンハッタン区ミッドタウンの西端にあるイベント会場「ピア94」。

来場者の入場は無料だが、事前登録が必要。受付で登録内容を見せ、会場に入る。

「TechDay」の大きな目玉は、出展ブースの多さだ。575社は14カテゴリーに分けられ、カテゴリーごとにブースが配置されている。

カテゴリーの内容は「B2B」「エンタープライズ」「音楽&メディア」「健康&フィットネス」「Eコマース」「フィンテック」「ソーシャルメディア」「オンデマンド」「ソーシャルインパクト」「EdTech」「ハードウェア」「ファッション」「IoT」「そのほか」(ファッションとIoTは、今年から新設)。

各ブースを眺めるだけでニューヨークや全米におけるその年のテックトレンドが感じられる。だが会場のピア94はとにかくだだっ広い。その上にブース間の狭い通路は来場者で大混雑しており、ブースをサッと見て歩くだけでもゆうに1時間以上はかかってしまう。

どのスタートアップも新しいアイデアに満ち溢れ興味深いが、その中でも来場者の注目を特に浴びていた今年の「注目株」をいくつか紹介したい。

575社の中で特に注目を集めていたもの

ブランドの映像を観ながら商品を購入できる、AVEプラットフォームを提供する「Clicktivated」。ファッションテックはここニューヨークで特に近年注目されており、この日も女性の来場者が、興味深く質問していた。

(出典:http://www.clicktivated.com/

ビデオを観ながら気に入った商品をクリックすると、右側に商品情報が出てくる。

そこから簡単に、詳細を見たり購入したりすることができる。

「パノラマよりダイナミック」が売り。スマホで撮影した2Dイメージを360度のイメージに変換してくれるアプリ「Showaround」。撮影後、スマホを動かす(もしくはスクリーンをスライドする)と、被写体を360度どの角度からでも見ることができる。特に、不動産やEコマース関連の顧客が興味を持っているようだった。

ボトル水を購入するかわりに月1.99ドルを支払うと、マンハッタンの給水ステーションで水を無制限に補給できる「Reefill」。財布にも環境にも優しいスタートアップ。

中古家具の売り買いをオンライン上でできる「Furnishare」。創業者&CEO、アルペイ・コラルタークさん(写真)は2年前に同社を創業。品質の良い中古家具だけを取り扱い、事業拡大と共に今年TechDayに初出展した。

ニューヨーカーは大の犬好きで知られるが、ブルックリンに数ヵ月前から出現し話題になっているのがこの「Dog Parker」。店先に設置され、飼い主が買い物や食事をしている間に犬を入れておけるもの。スマホでアンロックできる。

コファウンダーのチェルシー・ブラウンリッジさん(右から2人目)と、愛犬で同じくコファウンダーのウィンストンちゃん。「犬を同伴できない店が多いけど、ウィンストンを連れてもっと外出したいと思い発案しました」とチェルシーさん。

室内はUVライトを使って除菌されているため、常に清潔で犬にとっても快適で安全な場所に保たれている。

ここにも大きな人垣ができていた。着物を着たチームは、日本のスナックを箱詰めにして毎月届ける「BOKKSU(箱)」。

アメリカの飲食業界では、ラーメンや抹茶に代表されるようにここ10年ほど日本食ブームが続いている。そこに着目したのが創業者のダニー・タインさん(左から2人目)。ダニーさんは日本に4年住み、日本のスィーツの大ファンになったそうだ。

桜をテーマにしたお菓子の箱詰め(月19ドル〜)。

こちらは大阪をテーマにしたもの(月19ドル〜)。

オフィス内に設置するための可動式の防音ボックス「Framery」。2人用もあり、ミーティングはもちろん、電話やビデオ会議などで使える。

企業と人材を繋ぐ検索エンジン「Humans」による、イラストレーターのデモンストレーション。

ご存知、あのスタートアップも出展

お馴染み「uber」。2009年に創業し、今や世界570都市にサービスを拡大するなど急成長を見せている。

ニューヨーク発のスタートアップとして地元で知名度の高い「via」。コンセプトはUberに似ているが、viaはカープール(相乗り)専門なのが売り。今やワシントンDCやシカゴにもサービスを広げる勢い。

おなじみの動画共有サイト「Vimeo」も、実はニューヨーク発。

「Shark Tank」&デモステージ、大企業担当者と会えるチャンスも

昨年からの試み、ABC局の人気リアリティー番組『Shark Tank』は今年も引き続き特設ブースを構えた。番組プロデューサーに直接プレゼンできるとあって長蛇の列ができ、参加者から白熱したプレゼンが繰り広げられた。

『Shark Tank』プレゼンのための列。

また、こちらも昨年からの試みだが、今年も会場内に2箇所のデモステージが設けられ、各社(要事前登録)それぞれ3〜5分程度のピッチの機会が与えられた。

暇だけど今晩どこに行ってよいかわからない。そんなときに友人が集まっているスポットを簡単に探せるアプリ「clusters」のデモ。

デーティングアプリの「Avec」のデモ。ルックスではなく、「映画」や「ワイン」など、共通の趣味を持つ相手に出会えるのが特徴だ。

また、今年の試みとして、企業担当者に何でも質問できる「アクセスコンファレンス」が新たに設けられた。チケットは235ドルで販売され、参加企業は「Yahoo!」「wework」「vimeo」「mongoDB」「Foursquare」など37社が参加。こちらも好評だったようだ。

2017年「TechDay」まとめ

会場をぐるりと周って毎年驚かされるのは、出展した575社のどのスタートアップもアイデアが個性的で唯一無二ということ。企業として大成功をおさめるのは狭き門だが、どのスタートアップも夢と希望を頼りに切磋琢磨し生み出した努力の結晶が満ち溢れていた。

そして日本人として思ったのは、「BOKKSU(箱)」の例のように、ダニーさんのアイデア自体は「Birchbox」などと何ら変わらないが、日本の菓子というアメリカ人には見慣れない内容だからこそユニークに映っていた。この事例を見ると、私たちが気づいていないだけで実は身の回りに、海外でウケそうなものやビジネスのアイデアになりそうなものがまだたくさん眠っているんだろうなと思わされる。

そのほかの写真で振り返る「TechDay2017」

See you next year!

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NYで全米最大規模のテックイベント「TechDay」が開催——スタートアップ550社が出展、3万人が集結【ゲスト寄稿】

本稿は、ニューヨークを拠点に活動するジャーナリストで翻訳家の安部かすみ氏による寄稿である。 4月21日、ニューヨークで全米最大規模のスタートアップイベント 「TechDay」が開催した。毎年春に開かれる恒例のイベントで、今年で5年目を数えるもの。 今年は計550ものスタートアップ、30のアクセレレーターがそれぞれのブースを出し、テック好きはもちろんのこと、投資家や就職活動の学生、報道関係者など3万…

本稿は、ニューヨークを拠点に活動するジャーナリストで翻訳家の安部かすみによる寄稿である。


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4月21日、ニューヨークで全米最大規模のスタートアップイベント 「TechDay」が開催した。毎年春に開かれる恒例のイベントで、今年で5年目を数えるもの。

今年は計550ものスタートアップ、30のアクセレレーターがそれぞれのブースを出し、テック好きはもちろんのこと、投資家や就職活動の学生、報道関係者など3万人以上が会場に足を運んだ。昨年の出展は400社、来場者数は1万人強という数字を比べても毎年驚くほどスケールアップをしており、今回から導入された新たな試みもいくつか目を引いた。

午前10時からスタート。入場無料とあり多くの参加者が訪れ、入場のための長蛇の列ができた。

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今年の新しい試みとしては、会場内に2箇所のデモステージが設けられ、ピッチの機会が与えられたことだ。また、ABC局の人気リアリティー番組『Shark Tank』も特設ブースを構えるなど、例年にも増して異様な活気や盛り上がりに包まれた。

550社の中で目立つための各社アピール合戦

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「TechDay」の大きな特徴は、その出展ブースの多さだ(550社が12カテゴリーに分けられている。テゴリーは「B2B」「エンタープライズ」「音楽&メディア」「健康&フィットネス」「Eコマース」「フィンテック」「ソーシャルメディア」「オンデマンド」「ソーシャルインパクト」「EdTech」「ハードウェア」「そのほか」)。

つまり、ここを訪れ各ブースを眺めるだけでニューヨークや全米におけるその年のテックトレンドが感じられるのだ。しかし何せ数が数だから、美術館と同じでまずは目的を決めそれをめがけて行かないと、かなり疲労困憊してしまうことになる。

もしくは会場内をブラリと歩きながら、ふと目に飛び込んできたものや食指が動くブースでサービスについて説明を受けたり、彼らのアイデアを体験するという楽しみ方もある。よって、1人でも多くの人に注目してもらうために、スタートアップは各社さまざまな趣向を凝らす。

私は今年の特徴を見るため、まずは会場を一周した。そこで感じた今年の傾向を書いておこう。

出展ブースは「体験もの」が特に人気

歩きながら各ブースを見て感じたことは、そのサービスを体験できるものに、来場者は興味を示しているということだった。体験型としては、例えば以下のスタートアップが特に人々の注目を浴びていた。

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自分の希望するヘアカットに応じたサロンを簡単に探せ、予約や支払いができる無料IOSアプリ「SQUIRE」。会場では無料で散髪サービスも。

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ロンドン発の雑誌『The Economist』のブース。同誌では最近の特集記事で博物館とバーチャルリアルを取り上げたことで、「ZenoLive」と共同でバーチャルリアルの世界で架空の博物館体験(約5分)を提供した。

そのほか、毎年各社競って魅力的なノベルティーグッズや菓子、ドリンク(ウィスキー含む)が用意されるが、生花や実用的なトートバッグなども人気を集めていた。

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UrbanStems」はフラワーギフトの急なオーダーにも対応。ニューヨークとワシントンD.C.で展開しており、1時間以内で届けるのが売り。この日は無料で生花を配布、母の日も近いとあって関心を寄せる参加者が多かった。

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ニューヨーク支社を持つ日本発の「Nulab」。ツイートするとTシャツやトートバッグ、お菓子のうまい棒などをもらえるとあり、人垣ができるほどだった。

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自分の住む街で、また旅先で、その道の専門家と繋いでくれ、新しい体験を提供する「LoKi」。なんとこの日にこの場でローンチ!

今年は「Shark Tank」「デモステージ」も新設

今年新設された『Shark Tank』のスペースでは、番組プロデューサーに直接プレゼンできるとあって、異様な盛り上がりをみせた。開場から2時間でプレゼン待ちは200人! 1人(1社)に与えられた時間は1分ほどにも関わらず、それぞれが持参したプレゼン資料をもとに5分越え、10分越えの白熱したプレゼンが繰り広げられていた。

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また、今年から会場内2箇所でデモステージが設けられたのだが、事前登録したスタートアップが前述のカテゴリーごとに登壇し、それぞれ3~5分程度のピッチを行った。この試みは今年が初めてなので去年と比べることはできないが、実生活にリンクしているサービスほど、参加者の興味をそそる傾向にあった。

例えば、記憶に残ったものとして、地下鉄アプリの「Dash! Transit」や、SNSアプリ「Valor Connect」のCEOのピッチだ。

地下鉄やバスなど公共交通機関を賢く乗る(乗り継ぐ)アプリは有料無料を含めて山のようにあるが、多くは時刻表に関するものや駅の構内でうまく乗り継ぎするためのもの。しかし、ニューヨークを例にとると、地下鉄やバスは時刻表通りに来たためしがないと言っても過言ではないほど時間にルーズで有名だ。この場合1本乗り遅れるといつ来るともわからない次の電車を〝永遠に〟待たなければならない。「Dash! Transit」はそんな乗客の不満を解決するサービスとして、昨年ローンチされた。

このアプリの特徴は、スマホのプッシュ通知機能によりアプリを立ち上げることなくリアルタイムの時刻、つまり次の電車が何分後に到着するのかを教えてくれるというもの。地下鉄サービスに不満を持つ多くの人々にとって魅力的なアプリに映った。

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「Dash! Transit」のデモの様子

「Valor Connect」は新しいタイプのSNSアプリだ。アメリカではビジネスの成功の鍵として「It’s not what you know but who you know」(何を知っているかではなく、誰を知っているか)ということわざが有名。つまりこの国では、スキルや経験よりも大切なことはネットワークやコネクションだということだ。しかしネットワークイベントに精を出しても、労力を使うだけで重要な人とうまく繋がれなかった、コミュニケーションできなかったというケースはざら。

「Valor Connect」はアプリ上で、自分の興味や関心に応じて相手を選別し、スワイプするだけでビジネスの鍵となるであろう人物と繋いでくれるというもの。すでに世界中に進出中で、市場ターゲットとして未上陸の日本にも数年以内に進出することは充分考えられる。

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「Valor Connect」のデモの様子

これら特に印象に残った2つのデモは共通点として、それぞれ「あなたは今の交通アプリに満足していますか?」「SNSがたくさんあり過ぎると思いませんか? それぞれをビジネスに有効に活用できていますか?」という疑問をオーディエンスに投げかける形でピッチがスタートした。

人は満たされないものや改善の余地があるものに対して不満を抱えている。生活を便利に豊かにしようと不満なポイントを改善した努力の結晶が、このTechDayに集結したアイデアなのだ。それぞれの新しいサービスが、(できれば無料もしくは低価格で)簡単に使え、便利で多くの消費者に必要とされれば、大ヒットは間違いないだろう。

「ここには近い将来、FacebookやDropboxにとって替わるスタートアップがいるのかもしれない」。世界中から集まった550もの夢や希望に満ちあふれる会場を歩きながら、そう思った。

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