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メディアはユーザファーストな姿勢が必要–フジテレビとBuzzFeedが見据えるこれからのコンテンツづくり #tbfes

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「Tech and Life」をテーマに開催された「THE BRIDGE Fes」。イベント当日の夜、朝日新聞メディアラボ渋谷分室ではナイトクロール・セッションと題して、Fesチケット購入者向けにトークイベントとミートアップを開催した。Fesの様子はこちらで一覧できる。 ナイトクロール・セッションのトークテーマは「メディアはどこへ向かうかーーニューメディアとレガシーメディアの両面から見つめる未来」…

「Tech and Life」をテーマに開催された「THE BRIDGE Fes」。イベント当日の夜、朝日新聞メディアラボ渋谷分室ではナイトクロール・セッションと題して、Fesチケット購入者向けにトークイベントとミートアップを開催した。Fesの様子はこちらで一覧できる。

ナイトクロール・セッションのトークテーマは「メディアはどこへ向かうかーーニューメディアとレガシーメディアの両面から見つめる未来」について。

ゲストは、BuzzFeed Japan 創刊編集長 古田 大輔氏と、株式会社フジテレビジョン コンテンツ事業局長 の山口 真氏 。モデレーターはTHE BRIDGE 編集記者のモリジュンヤが務めた。

まずは、ゲストの2人によるライトニングトークからナイトクロールセッションはスタートした。

ネット上で放送後7日間は無料番組配信、テレビ局と違法動画の戦い

株式会社フジテレビジョン コンテンツ事業局長の山口 真氏
株式会社フジテレビジョン コンテンツ事業局長の山口 真氏

フジテレビ入社当初は、警視庁・警察庁・財務省・自民党本部・総理官邸などの報道局で、記者 を務めていた山口氏。その後、コンテンツ事業局に異動して、インターネット上での動画配信を担当することになった。

山口氏:リーチの拡大”や“違法動画対策”などを考え、番組放送が終わってから7日間は無料で番組を見ることができる「+7(プラスセブン)」という動画配信サービスを始めました。すると、日に日にスマートフォンからの視聴率が増えるようになりました。

現在では、在京民放5社が「+7」のような取り組みを行っており、全てのテレビ局の放送番組をまとめてチェックすることのできる「TVer(ティーバー)」という共同サービスを開始しました。

TVerにはいくつかの目的がありますが、各テレビ局が共通して問題意識を持っているのは、違法の動画投稿で放送後のテレビ番組を見ている人の割合がとても高く、マネタイズできずに困っているということでした。

なので、各テレビ局が正規商品をネットに流すことで、各社の動画配信サービスに人が流れるようにしようと話が進んだのです。

現在、「FOD(フジテレビオンデマンド)」という動画配信サービスを運営しており、この10年間で会員数は80万人を超え、MAUは250万人以上となり、有料課金や無料広告で黒字化している。

スポーツのライブ配信、FODオリジナルコンテンツの配信、雑誌・コミックの配信、ホウドウキョクで24時間のニュース配信、Netflixとの共同事業など、ポートフォリオのようにサイト上にさまざまなコンテンツを配置し、今後もインターネット上で幅広い切り口のコンテンツ配信を行う予定だという。

1投稿が数億ビュー超え、ユーザーが受け入れるコンテンツを追求する

BuzzFeed Japan 創刊編集長 古田 大輔氏
BuzzFeed Japan 創刊編集長 古田 大輔氏

BuzzFeedは2006年にニューヨークで生まれた。11カ国に支社があり、世界中に展開しているメディアの一つだ。編集部は各国の編集担当者とインターネットで連絡を取り合いながら連携し、配信を行っている。

古田氏はBuzzFeedに携わる前、朝日新聞社に13年間勤めていた。社会部で事件・事故・災害などの記者を担当し、その後は国際報道部でタイ・シンガポールの海外特派員だった。

インターネットの発展とともに新聞紙の購読者は減っていく。その現状への危機感から、シンガポールから帰国後、朝日新聞デジタル部門への異動を希望。そこで動画配信や、SNSを使ったインタラクティブなコンテンツの配信などに2年間携った。BuzzFeedの人たちに出会ったのは、その活動の中でだったという。

古田氏:BuzzFeedは「世の中の人たちに受け入れられるコンテンツとは何か」を真摯に追求していました。インターネットの一番素晴らしいところは、“動画が使えること”や“インタラクティブな表現ができること”ではありません。

自分たちの出しているコンテンツが、どのような人たちに読まれているのか検証するためのデータをとれることが何よりも素晴らしいことです。BuzzFeedは、ただデータを取るだけではなく、その分析結果をより良いコンテンツ作成にどう活かすのか突き詰めていました。その姿勢や取り組みに魅力を感じた事が、転職を決意した理由の一つです。

BuzzFeed Japanは、「ニュース」「バズ」という2種類の部門に分かれて情報を配信している。ビジュアルを重視した記事が特徴だ。BuzzFeedが世界全体で運用しているFacebookページは80以上。1つの投稿で1億ビュー、何百万シェアという数字を叩き出す。

コンテンツは内製で、ウェブ業界で主流の外部ライターを大量に抱えるスタイルは取らない。米ビジネス誌『FastCompany』が世界で1番革新的な企業に贈る「Most Innovative Companies」というランキングで2016年版にBuzzFeedは1位を受賞している。

2人のライトニングトークが終わった後は、トークセッションへと移った。

読者は今どこにいる?受け入れられるコンテンツの作り方と届け方

モリ:インターネットでニュースコンテンツを配信することに対して、今後、どのように取り組んでいきたいと考えていますか。

山口氏:テレビによる報道は、今でも大きな存在価値があると思っていますが、インターネットの世界にもっと歩み寄らなければと強く思っています。

古田氏のお話にもヒントがありました。大事なのは作り手の思いよりも、世の中の人に受け入れられるコンテンツを作るということです。映像がある、豪華な俳優が揃っているだけでは、今後テレビ局は勝ちぬけません。

1980年頃のニュースショー全盛期だったころから、作り手側が固定した考えで放送を行うようになりました。今や、ニュースショーが放送される時間にテレビの前に集まる人は減っていると感じます。

普通は、自身が得たいタイミングで、ニュースアプリなどを使って必要な情報を入手します。ユーザーのニーズを分析して、求められている情報を配信することが重要なんです。そこでテレビならではのコンテンツを作り直せば、生き残れる余地はあると思っています。

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古田氏:新聞紙の読者層に、20〜30代はものすごく少ないです。インターネットのユーザーは増える一方。ネットで情報配信することは、今の時代における大前提ではないでしょうか。

でも、だからといって新聞がダメだという話ではないんですよ。例えば、朝日新聞。新聞紙だけでなく月間億単位のビューがあります。読者のいる場所にコンテンツを届けることが大事だと思います。

そして、それこそがBuzzFeedの中心戦略の一つです。自分たちの情報を、Twitter・Facebook・Instagram・Snapchatに配信する。Facebookページも80以上あるので、読者層に合わせた情報を各プラットフォームごとに配信しています。

読者層やプラットフォームに合わせて情報を配信することに関しては、大きな戦略の話だけでなく、細かいこだわりがあります。

BuzzFeed Japanを立ち上げてまだ1ヶ月ほど(2016年2月19日現在)ですが、ネットメディア出身のライターの表現力には、毎日驚いています。書き方が新聞記者と比べて大きく違う。

例えば改行の使い方ですと、ネットメディア出身者は、新聞記者と比べて改行の使い方がうまいんです。デザイン的にどこに鉤括弧を使うべきか、どのように改行を使うと読みやすいか、読者のことを考えた記事が書けるんです。

紙なら改行がなくて良いものも、ネットで同じことをやられると辛いんですよね。

適した表現を選択する。人の心を動かす動画コンテンツとは

モリ:インターネットメディア出身のライターさんは、視覚的にどう伝わるかを重視して、改行の仕方等を変えているというお話でしたが、インターネットメディアにおけるビジュアルの話ですと、グラフィックや映像などテキスト以外のコンテンツの使い方も重要だと思います。最近では、動画が注目されていますが、テキストじゃない情報発信について、どのような可能性を感じていますか?

山口氏:まずテレビ局が反省しなきゃいけないことは、今まで動画に頼りすぎて文章が疎かになってしまっていたことです。そしてもう一つは、世の中にとって重要なことの99%はカメラに映っていないということです。 映像に出ていることが世の中の全てではありません。

映像で見せるべきか、文章で見せるべきか、それはきっと配信する情報によって変わってきます。映像を使った方もいいことがあれば、イラストを使ったほうがいいこともある。あるいは、自身が語って伝えないと伝わらないこともあると思います。

つまり、表現方法と選択肢は多ければ多いほど良いのです。なのでテレビ局側は、固定した考え方をまずやめたほうが良い。Webメディアが面白いことをやっていれば、前向きに学んだほうが良いと思いますね。

古田氏:こちらはBuzzFeedに掲載した「あぁかわいい… ハムハムキャッチャーなる遊びが至福」という記事です。ハムスターがテーブルから落ちそうになっている状態を、手でキャッチしているVine動画を載せた記事なのですが、この記事を文字で表現するのってかなり難易度高いですよね。

古田氏:ネットって、死ぬほどかわいい動画だったり、ユニークな動画が溢れているので、多くの人たちに魅力を届けるために、動画を使わない手はないです。

僕自身がデジタルの仕事に携わった最初の頃にダメだったと思うことは、“動画が使えるから動画を使う”という考え方でした。動画を使うべきものは何か?誰に伝えたいのか?ターゲットユーザーに伝えるには動画が本当に最適なのか?追求すると答えが見えてくるのだと思います。

山口氏:要は最適なツールを使い、伝えるジャンルも絞る必要はないということです。視聴者が求めているものを届けることが大事なんです。

あと、テレビ局が他のメディアに負けないコンテンツがあるとすれば「政治経済」であることは間違いないです。テレビ局は、国会の中に10〜20人の記者を常に待機させており、その記者たちは毎日政治の取材をしています。そういったリソースの使い方が出来ているのは新聞社とテレビ局だけです。

ただ、現状ですとそのリソースをかけているわりには、良いアウトプットが少なすぎる。1日の間で全然原稿を書いていない記者もいる。裏話を持っているのに出せない記者がいる。もっとテレビしか持っていないような情報を、今後配信していかなければいけないと思います。


ayupyAyupy Goto。ayupy(あゆぴー・ぴーあゆ)と呼ばれています。1990年大分県別府市生まれ。美術高校・美大育ち。新卒でスタートアップに入社して人事・新規事業・クリエイティブマネジメントなどを経験。現在はフリーランスとして独立し、クリエイター支援事業を行っている。アート、デザイン、テクノロジー、教育分野の仕事に携わる。DeNAのCreativePR担当も務め、UIデザイナーのコミュニティ育成に励む。

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LAドジャースアクセラレータ生みの親が語る、オープンイノベーション成功の決め手とは? #tbfes

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本稿は、「THE BRIDGE Fes」の取材の一部である。 昨年は、日本の随所でオープンイノベーション元年という言葉を耳にした。大企業が自らの活路をスタートアップとの協業に見出し始めたのは、スタートアップ・コミュニティにとってありがたい兆候だ。しかし、性格も身体の大きさも異なる二者がただ出会うだけでは、そこから化学反応を導き出すのは容易ではない。お見合い結婚に仲人が存在するように、大企業とスター…

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本稿は、「THE BRIDGE Fes」の取材の一部である。

昨年は、日本の随所でオープンイノベーション元年という言葉を耳にした。大企業が自らの活路をスタートアップとの協業に見出し始めたのは、スタートアップ・コミュニティにとってありがたい兆候だ。しかし、性格も身体の大きさも異なる二者がただ出会うだけでは、そこから化学反応を導き出すのは容易ではない。お見合い結婚に仲人が存在するように、大企業とスタートアップが関係を深めていく上でも何らかの水先案内人は必要だろう。現在のスタートアップ・エコシステムのスキームでは、一部のインキュベータやアクセラレータがその役を担っているのかもしれない。

一方、インキュベータやアクセラレータは、イグジット件数やポートフォリオのバリュエーションなど、何らかの KPI を持っていることが多いが、これらの値を向上させるためのシステマティックな方法は確立されていない。ちょうどボーイスカウトやガールスカウトで上級生が下級生を引率するように、インキュベーション/アクセラレーション・プログラムから輩出された先輩スタートアップと後輩スタートアップが混じり合う関係が形成されれば効果的とする説があるが、バッチ参加中はオフィスで寝食を共にした〝同級スタートアップ〟同士であっても、卒業後には関係が疎遠になってしまうことが多いものだ。

アメリカに、これまでのアクセラレータとは一味違ったオープンイノベーションを提唱する人物がいる。デジタル広告代理店大手 R/GA のグローバル COO で、R/GA Connected Devices AcceleratorLA Dodgers Accelerator を立ち上げた Stephen Plumlee 氏だ。結果の出せる真のオープンイノベーションを行うにはどうすればいいか、その道の先駆者の目から見た、日本のエコシステムが進むべき方向を語ってくれた。

このセッションのモデレータは、電通ベンチャーズのジェネラルパートナー長谷川勝之氏、通訳は Unreasonable Lab Japan 日本事務局長である竹村詠美氏が務めた。

広告代理店が IoT に特化したアクセラレータ・プログラムを始めた理由

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左から:電通ベンチャーズ ジェネラルパートナー 長谷川勝之氏(モデレータ)、R/GA Global COO Stephen Plumlee 氏、Unreasonable Lab Japan 日本事務局長 竹村詠美氏(通訳)

R/GA はデジタル広告代理店大手で、ナイキ、サムスン、グーグル、マイクロソフトといったフォーチュン500社を主なクライアントとしている。世界中15のオフィスで総勢1,800人の社員が働いており、年内には東京にも進出しオフィスを開設する予定だ。広告代理業を本業としながらも、ナイキなどのグローバル企業に対して、ソフトウェア開発やプロダクト・マネージメントでもサービスを提供していることが特徴だ。

R/GA がアクセラレータ・プログラムを始めたのは2013年のこと。広告会社がなぜアクセラレータを始めたのか、そして、なぜ、IoT に特化したアクセラレータを始めたのかとの問いに、Plumlee 氏は次のように語った。

R/GA はマーケティング・エージェンシーとして知られているが、我々の DNA のコアはテクノロジーだ。200人を超えるプログラマーやデベロッパーが社内に居て、Nike FuelBand や Apple のサブスクリプション型音楽サービス Beats Music の開発に携わった(その後、Beats Music は2015年11月にサービスを終了)。

クライアントからは、アドバイスをしてほしい、ガイダンスをしてほしいという要望があったこと、そして、社内にいる優秀な人材がイノベーションに接していたいという思いがあったこと。この2つの目標を達成するために、3年前スタートアップ・エコシステムに関わるべくアクセラレータ・プログラムを始めた。

広告業界にとって、アドテクは一般的だ。しかし、次なるメガトレンドは IoT に来ると考えている。ナイキなどのクライアントは、フィジカル(有形)なプロダクトをデジタルにインテグレートしようとしているからだ。

R/GA のアクセラレータ・プログラムは、現在のもので第3期目となる。最初の2つは、プログラムの構成やプレイブックを習得するために TechStars との協業で運営、現在の第3期からは独自運営する形をとっている。IoT 分野の中でも、ナイキとの関係ではスポーツやテクノロジーに特化したスタートアップ、ドイツの流通大手 Metro Group と協業する Metro Accelerator では、食品やホスピタリティに特化したスタートアップの輩出に注力している。

R/GA がオープンイノベーションに求めるもの

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オープンイノベーションの狙いは、企業によってさまざまだ。日本では主に、それは、ビジネスディベロップメントの延長線だったり、スタートアップへの投資や M&A への試金石だったりする。R/GA ではアクセラレータ・プログラムの狙いをどこに定めているのだろうか。

我々の目標は、財務的なものではなく戦略的なものだ。したがって、そこに関わる我々の従業員やイノベーションに興味がある。我々のクライアントや従業員も、イノベーションに関わりたいと考えている。従業員、会社、クライアントという3つの軸において、我々のプログラムはうまく行っていると評価している。

R/GA のアクセラレータ・プログラムのポートフォリオには現在45社のスタートアップがいて、今年新たに40社が加わる予定だ。R/GA はこれらのスタートアップを自社のクライアントに引き合わせ、ピッチやセールス機会の創出を提供する。

Plumlee 氏から見て興味深いのは、グーグルやナイキといった大企業と仕事していることが多い R/GA の社員たちが、真面目にスタートアップと仕事をしたがることだ。これが結果的に、R/GA にとっても新しい優秀な社員の獲得や、既存社員の離職率の低下という形で恩恵をもらたしている。プログラムを通じて売上があることも事実だが、むしろ、大企業と長期的なプロジェクトに臨むことが多い R/GA にとって、短期的に結果を出さなければならないスタートアップのマインドセットに接することで、R/GA がスタートアップから学んでいることは少なくないと、Plumlee 氏は語った。

Dodgers Accelerator で実現していること

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Los Angeles Dodgers Accelerator with R/GA – Image credit: Los Angeles Dodgers Accelerator

TechStars との協業を通じてアクセラレータ・プログラム運営のいろはを身につけた R/GA だが、昨年の LA Dodgers とのアクセラレータ・プログラム以降は独自運営の形に切り替えた。TechStars とは違う、よりパートナーと密接に近い形でプログラムを運営することにしたからだ。Plumlee 氏によれば、LA Dodgers はこれまでにも多くの投資やプロモーションを手がけている会社であり、以前からしっかりとした経営戦略や展望を持っているので、アクセラレータ・プログラムを LA Dodgers 向けにカスタマイズしたのだそうだ。

Dodgers Accelerator では、スポーツとエンターテイメントにテーマを特化している。スポーツ、エンターテイメント、テクノロジー、メディアといった広い分野のスタートアップと互いに関われることが狙いだ。Dodgers Accelerator に参加したスタートアップは、プログラムの1日目から LA Dodgers とトライアルやパイロット(試験サービス)に着手することができ、LA Dodgers を通じて、野球業界のみならず、あらゆるスポーツやスポーツゲームの企業に紹介してもらうことができる。提供できるアセットは、何より R/GA や LA Dodgers の人材やクライアントのネットワークだ。

プログラムを通じて、既にバリュエーションが1,000万ドルを超えるスタートアップが4社いる。我々は、参加してくれるスタートアップのレイヤーを増やしたいと考えている。シードスタートアップのみならず、シリーズAラウンド終了後のスタートアップでも、我々のプログラムに参加したいというスタートアップは少なくない。

年内の東京オフィス開設を契機に、より多くの日本企業やスタートアップとも協業したいと語る Plumlee 氏だが、オープンイノベーションに希望を見出す日本企業へのヒントを求められ、次のような言葉でこのセッションを締めくくった。

大切なのは、正しいパートナーと協業することだ。そして、そのオープンイノベーションは、戦略的で(strategic)、創造性に富んでいて(creative)、目的のはっきりしたもの(objective)でなければならない。

R/GA は、日本のオープンイノベーションにもイノベーションをもたらす存在になり得るだろうか。日本進出時に改めて THE BRIDGE で詳報をお伝えしたい。

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フィンテックは”貧テック”?ーー日本において金融とテクノロジーが存在感を増すために必要なこと

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「Tech and Life」をテーマに開催された「THE BRIDGE Fes」。100社のスタートアップのブースが会場にひしめく中、中央のステージではトークセッションが開催された。 本稿では「日本はなぜFinTechスタートアップが少ないのか?」のセッションの模様をお伝えする。「FinTech(フィンテック)」は、金融関連テクノロジー。ビットコインをはじめとする仮想通貨や決済、資産運用、クラウ…

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「Tech and Life」をテーマに開催された「THE BRIDGE Fes」。100社のスタートアップのブースが会場にひしめく中、中央のステージではトークセッションが開催された。

本稿では「日本はなぜFinTechスタートアップが少ないのか?」のセッションの模様をお伝えする。「FinTech(フィンテック)」は、金融関連テクノロジー。ビットコインをはじめとする仮想通貨や決済、資産運用、クラウドファンディングやレンディングなど含まれるテーマは幅広く、スタートアップも増えている分野だ。

同セッションのゲストは、インフキュリオン 代表取締役、一般社団法人FinTech協会 代表理事の丸山 弘毅氏、マネーフォワード取締役、マネーフォワード Fintech 研究所長の瀧 俊雄氏。モデレーターは、 日経BP 日経FinTech 編集長の原 隆氏が務めた。

日本はフィンテックが少ない?

原氏:昨年の後半ごろから「フィンテック」というテーマが盛り上がり始めました。テーマが盛り上がってきたのが最近であることから、フィンテックのスタートアップが少ないことも仕方がないことかもしれません。その前に、そもそも本当に日本のフィンテックスタートアップは少ないのでしょうか?

瀧氏:日本で「フィンテック」にカテゴライズされる企業はそこそこ大きい企業30社、小さい企業まで含めて100社ほどです。世界だとそこそこのサイズの企業でその数は1000を超えます。これは世界における日本のGDPや金融市場で占める割合からすると小さい。海外はレンディング系の、銀行と争うようなサービスも存在します。日本はこうしたサービス少ないですね。

丸山氏:昨年、「FinTech協会」が立ち上がってから徐々に加盟企業が増えてきています。フィンテック関連のサービスがようやくリリースできた、という企業も多いんです。フィンテックが話題となる前から、会社は準備していたものの、サービスのリリースまでに時間がかかってケースも多い。裾野は広がっていないように映りますが、まだ登場していないだけなのかもしれません。

原氏:フィンテックに共有の課題は何かあるのでしょうか?どんなテーマがスタートアップの間では話題になっていますか?

丸山氏:業界全体では人材が不足していますね。まだ大企業から人が流れてきている段階ではありません。また、サービスのジャンルによっては、法律の面などから金融機関と提携しないといけないものもあります。

瀧氏:こうした環境は海外だと異なりますが、これは雇用環境の違いが大きいと考えています。海外では、景気が悪くなったタイミングで数学が得意な人材が流れ、デリバティブ市場が生まれました。リーマン・ショックが起き、景気が悪くなったタイミングではまだフィンテックというテーマの成長が間に合ってなかったため、フィンテックには流れてきませんでしたが、その代わりに、アドテクに流れ、同テーマは成長しました。日本では、優秀な人材がいるマーケットが不況になったとしても、ベンチャーへ移ることが選択肢に浮かんできません。

まずはマーケットを拡大するフェーズ

マネーフォワード取締役、マネーフォワード Fintech 研究所長 瀧 俊雄氏
マネーフォワード取締役、マネーフォワード Fintech 研究所長 瀧 俊雄氏

瀧氏:決済は異なる業界から参入するケースもありますが、P2Pレンディングはそうなっていません。たとえば、スタートアップがP2Pレンディングのプラットフォームを立ち上げて融資しようとしても、銀行がそれよりも低い金利でお金を貸そうとする。銀行が競争相手になってきます。そうなると、スタートアップはなかなか融資市場に入りづらい。対立を生みづらい構造になっています。

原氏:なるほど。丸山さんはどう思われますか?

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丸山氏:競争はこれから起こしていかないといけません。ただ、欧米と違って、日本はまだフィンテックの手前かなと思っています。たとえば、現預金比率が異常に高かったり、低消費者層におけるクレジットカードの利用率が半分以下だったり。インターネットバンキングもほとんど使われていません。基本的なITの活用が弱いんです。フィンテックは、こうしたサービスの上に乗っかって生まれてくるもの。日本はITや金融の活用度が低いので、一緒にこのマーケットを広げていくという文脈のほうが強いですね。

フィンテックや”貧テック”?

原氏:今年に入って、マイナス金利、円高、株安など、市況がかなり混乱しています。いまの市況はフィンテックの業界にとってプラスなのでしょうか、それともマイナスなのでしょうか。

瀧氏:米国がフィンテックが流行ってきた背景のひとつに、ミレニアル世代の存在があります。上品な言い方をすれば草食系、下品な言い方をすればドケチな人たち。彼らは学費も高く、借金を抱えて社会人になります。社会人になって金融危機を2回ほど経験していて、資産の価値をあまり信じなくなっている。そこでたとえばボーナスが出たとしても、貯金するのではなく、借金の返済に回す。

そんな彼らとフィンテックは相性がよく、支出を切り詰め、ディールの効率化をしてくれます。こうした背景から「貧テック」などと呼んだりすることも。フィンテックは、貧しい中いかに生き残るかという場面で力を発揮します。景気がよくなるとフィンテックがなくても追い風ですから。日本人は元々草食系ですから、環境としては近しいはず。私はいまの状況は楽観的に見ていますね。

インフキュリオン 代表取締役、一般社団法人FinTech協会 代表理事 丸山 弘毅氏
インフキュリオン 代表取締役、一般社団法人FinTech協会 代表理事 丸山 弘毅氏

丸山氏:今って、すごい意外なところが伸びてるんですよ。昔ながらの百貨店積み立てが増えてるんですね。現金や株価、預金よりもちょっとでも増える、消費のために準備しておくというニーズがあるのなら、フィンテック的にはプリペイドでちょっと増えるようにしたりだとか、お金の動かし方の新しいものを探し出してフィンテックに流れてくるのかな、と期待はしています。

フィンテック、これからどうする?

原氏:銀行法の改正によって、金融持ち株会社であれば15%、銀行であれば5%までと定められていた出資比率が緩和する方針となっています。この緩和はフィンテック業界にどう影響するのでしょうか?

瀧氏:これまでも、5%以内での出資は起きていたので、協業はできていたんです。ただ、50:50で出資して、ジョイントベンチャーを作りましょうというようなというような気合の入れ方はできなかった。これができるようになるというのは、プラスですよね。

原氏:そのプラスというのは、イグジット先が増えるということにもなるのでしょうか?

日経BP 日経FinTech 編集長 原 隆氏
日経BP 日経FinTech 編集長 原 隆氏

瀧氏:銀行とベンチャーが一緒になったときに、ちゃんと働けるかというマネジメントアジェンダはあるものの、これは条件次第だと思います。一緒になったときに、ベンチャーがパフォーマンスを発揮できるようなイグジット策にしたらいい。それは金融庁も望むと思いますしね。出口が生まれるなら、入口も広がります。

原氏:丸山さんはいかがですか?

丸山氏:各金融機関がそれぞれのホールディングス内に会社を作っていくと思います。ただ、やろうにも人材もないしノウハウもない。そこで、ベンチャー側がノウハウや技術を提供していくことができれば、イグジットだけじゃなくてスケールも期待できるのでは、と思います。

原氏:今、フィンテック協会にはどういった金融機関が参加されているんですか?

丸山氏:今は、3大メガバンクをはじめ、銀行に、カード会社、最近では保険業界が増えてますね。

原氏:フィンテック協会に参加している企業は、何を期待されているんでしょう?

丸山氏:まだ情報収集ですね。情報を共有して、課題認識を揃えている段階。具体的な協業は個別の企業で行っている状態です。

原氏:フィンテックのベンチャーと金融機関では文化の違いも大きいと思います。文化が異なる中で、さきほど瀧さんがおっしゃったようなマネジメント等に影響がでたりしないのでしょうか?

瀧氏:金融の世界には守らなくてはいけないルールがありますから。どうしても、ビジネスジャッジのみならず、セキュリティや外部への説明レベルなど、異なる部分はあります。コストが低いところから乗り越えていく必要がありますね。これに関しては、世界ではこのあたりまで許容されているので、日本でもこのくらいまで、と働きかけていくことが必要です。

原氏:最後に、日本のフィンテックスタートアップは、どんなハードルがなくなると始めやすくなるのでしょうか?

丸山氏:日本でスタートして、世界に出ようとすると、また世界に合わせてサービスを作りなおさないといけないんですね。なので、たとえば、世界の都市同士で規制のレベルを合わせてくれたりするといいですよね。そうしたら、東京でスタートすれば海外に出やすくなる。

原氏:国同士が連携するということですね。瀧さん、いかがですか?

瀧氏:エヴァンジェリストや良いロールモデルが出てくるのが大事ですよね。あとは、そういう人たちと身近な場所で働けることも大切です。そういったコワーキングスペースなどが出てきてくれるといいですよね。

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日本の町工場を活用した新しいあり方と、リアルテックへの長期的な視野と投資が世界にイノベーションを起こす #tbfes

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「Tech and Life」をテーマに開催された「THE BRIDGE Fes」。100社のスタートアップブースが会場にひしめく中、中央のステージではトークセッションが開催された。Fesの様子はこちらで一覧できる。ここでは「世界を目指す日本テクノロジー」と題したプログラムセッションの内容をまとめる。登壇者はTommy K 代表、エンジェル投資家でACCESS共同創業者の鎌田富久氏、リバネス代表取…

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左から、モデレーターの加賀谷友典氏、鎌田富久氏、丸幸弘氏。

「Tech and Life」をテーマに開催された「THE BRIDGE Fes」。100社のスタートアップブースが会場にひしめく中、中央のステージではトークセッションが開催された。Fesの様子はこちらで一覧できる。ここでは「世界を目指す日本テクノロジー」と題したプログラムセッションの内容をまとめる。登壇者はTommy K 代表、エンジェル投資家でACCESS共同創業者の鎌田富久氏、リバネス代表取締役CEOの丸幸弘氏、モデレーターに事業開発プランナーでnecomimi開発者の加賀谷友典氏が登壇した。

誰も取り組んでいない課題を解決するための技術をいかにつくりだすか

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Tommy K 代表、エンジェル投資家でACCESS共同創業者の鎌田富久氏

「技術の内容が地球的課題を解決しようとし、インパクトが大きいか。もしくはその可能性を秘めているかどうか。そしてチームが人の魅力があるかどうか。目的のために10年計画で取り組もうとする気概を持っているかが投資の基準」

ACCESS共同創業者として長年ソフトウェア開発に取り組んできた鎌田氏。同氏は、現在はGoogleに買収されたロボット開発のSCHAFTやプリンテッド・エレクトロニックのAgIC、パーソナルモビリティのWHILLなどのハードウェアベンチャーら対してエンジェル投資を実施。社会課題や新しいテクノロジーベンチャーを生み出すために短期ではなく長期的な視野をもって積極的にハードウェアベンチャー支援している。

大学の研究をもとに世の中にある課題解決のための事業推進に取り組んでいるリバネス。これまでにミドリムシの研究開発のユーグレナの立ちあげから関わりながら事業の成長をサポートしてきた。最近では、中東向けの太陽光パネル清掃ロボットの未来機械や次世代型風力発電機のチャレナジーなど、次世代に向けたテクノロジーベンチャー支援に力をいれている。

誰も取り組んでいない課題を解決するための技術を世界にいかに発信していくか−−両氏が常に抱いている考えでもある。鎌田氏も最後は「人」が起業家を決める要素である。「かわいがる力があるかどうか。創業者のパーソナリティによって色んな人の協力を得られるような姿勢でいれることは大切。ユーグレナもいろんな人たちにかわいがられて多数の人たちが技術を持ち寄ってくれた。熱量をもった振る舞いがあれば技術は後からついてくる。それが世界を変える」と丸氏も話す。

その巻き込むパートナーとして、町工場こそが日本が長年培ってきたノウハウが集積している場所であり、その技術と叡智こそが日本が世界に発信するテクノロジーを生み出す源泉だという。

日本が持つ強みを活かすためにするべきこと

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リバネス代表取締役CEOの丸幸弘氏

テクノロジーベンチャーを作り上げるためには、プロトタイプづくりは欠かせない。「海外の工場では精密な設計図をわたさなければ動くものはでてこない。しかし、日本の工場は動くように設計アドバイスもしてくれる。ただテクノロジーあるだけでなく経験や人がもつノウハウやナレッジによって生み出される見えない価値」なのだ。

「新しい製品はときに輸出規制が起きることもある」と指摘する鎌田氏。技術力の高さとコミュニケーション、ものづくりに対する姿勢やノウハウをもとに国内でプロトタイプや製品のブラッシュアップをすることの価値と向き合うべきだと話す。もちろん、量産は海外で行うほうが効率的かもしれないが、その前段階の製品を磨く段階こそ国内で行うことに意味があるという。

当たり前かもしれないが、町工場の情報はウェブにも載っていないことが多い。いかに足で稼ぎながら地道なネットワークをつくっていくかだ。リバネスはこれまでに墨田区を中心に3000もの町工場を訪問し、小ロット多品種の製造にも対応可能な町工場のネットワークを構築している。これらをもとに、テクノロジーベンチャー支援に最適な工場をマネジメントすることこそ、リバネスの強みでもある。

「世界中のすべてのプロトタイプを日本でやるくらいの気概を持つべきだし、日本の町工場をもとに日本はもっと世界にアピールすることができる」と話す丸氏。鎌田氏も「ものづくりの新しいあり方ができる」と指摘する。

「アメリカで起きたITをただ輸入するのではなく、ものづくりの形からいかにイノベーションの種を掘り起こすか。そのために日本が持っている土壌や文化のプラットフォームづくりが必要になってくる」(丸氏)

「IT系はグローバルに勝つ難しい。言語の問題やシリコンバレーなどに代表されるようにお金の集まり具合が違う。最終的には人とお金の瞬発がソフトウェアに求められる。しかし、ものづくりは時間はかかるが日本の強さが生きる。自分たちがもつ基盤をベースに、そこにサービスやデザインなどを載せることで世界に通用する価値を生み出すことができる」(鎌田氏)

ものづくりに投資をするには圧倒的に時間がかかるのは間違いない。「長期的な視野と粘り強く取り組む姿勢が日本らしさでもある」と鎌田氏が指摘するように、日本の精神性や土壌の強みを日本人が再認識することが今後求められるものといえるだろう。

テクノロジーを軸に地球規模な技術を生み出す起業を「リアルテック」と名づけている丸氏。その根底にある大学の研究は、国の膨大な予算が投入されているものでもある。その大学の技術を活かし、世界を変えるテクノロジー、ゼロから新しい産業を生み出そうとする姿勢とマインドセットが、日本から世界に通用する新たなテクノロジーを作る文化となる、と両氏は話した。

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アジア各国からスタートアップが集結ーー5社がピッチを行った「ECHELON 東京出張版」レポート #tbfes

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本誌が主催するイベント「THE BRIDGE Fes」内で、シンガポールを拠点にスタートアップ・シーンをサポートするe27の協力により、アジア太平洋地域から選りすぐりのスタートアップ5社を披露する「ECHELON 東京出張版」が開催された。 モデレーターはSlush Asia CEOのAntti Sonninen氏が務めた。そのe27共催セッション:アジア・スタートアップ・ピッチの様子をレポートし…

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本誌が主催するイベント「THE BRIDGE Fes」内で、シンガポールを拠点にスタートアップ・シーンをサポートするe27の協力により、アジア太平洋地域から選りすぐりのスタートアップ5社を披露する「ECHELON 東京出張版」が開催された。

モデレーターはSlush Asia CEOのAntti Sonninen氏が務めた。そのe27共催セッション:アジア・スタートアップ・ピッチの様子をレポートしていく。

PawnHero(フィリピン)

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スピーカーは、David Margendorff氏。PawnHeroはモバイルを使った質屋サービスだ。フィリピンには18000店舗の質屋があるが、一般的な質屋は月利6%〜10%と高利で、質草も宝石などに限られ、質入れに時間もとられる。

それに対し、PawnHeroは質入れしたい商品をスマホで撮影し見積をとり宅配便でセンターに送ると商品が評価され、評価されたその日のうちに現金を手にすることができる。現在フィリピンでローンチされているが1時間あたり645ドルの取引があり、今後は中国やベトナムで展開していくそうだ。

ユーザは、ATMで現金が引き出せたり、公共料金の支払、オンラインショッピング、モバイル通話料のトップアップ、他者に送金ができたりするカードが発給される。このサービスを通して「Finansial Inclusion(貧困層に正規の金融取引ができるように改善する解決策を提供すること)」を促進していきたいと語っていた。

WOVN.io(日本)

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スピーカーは、Jeff Sandford氏。Wovn.ioは、JavaScript のコードを一行挿入するだけで、Webサイトを多言語対応できるサービスで、これまで12万ページ以上を翻訳している。

WOVN.ioでいかに簡単に多言語対応を実現できるか、デモンストレーションを通して説明していた。ユーザは、WOVNでアカウントを取得し、多言語化したいURLを入力。WovnがHTMLをフェッチして解析した上でボタン類やコンテンツのテキスト要素を一覧して並べてくれる。

Googleの機械翻訳にするかGengoの人間翻訳にするかを選ぶことができ、最大26言語以上に対応する。翻訳文は手で編集することも可能。wovnのビジョンは世界中のウェブサイトが世界中からアクセスできるようにすることだと語った。

SELLinALL(シンガポール)

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スピーカーVikraman Ilango氏。SELLinALLは、Amazon、eBay、Facebookなど、9つ以上のEコマース・プラットフォームに一括で出品し、在庫を一元管理できる、クラウドベースのマルチチャネルeコマース管理システム。

SELLinALL は、インド人エンジニアを中心とするeBayのシンガポール拠点で十年以上にわたり勤務してきたエンジニアらによって設立。今後、日本をはじめとするアジアに市場を広げていき、積極的にパートナーを見つけていきたいと語った。

BorderPass(マレーシア)

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スピーカーはFaisal Ariff氏。昨年末、AEC(ASEAN 経済共同体)が設立された。アジアの市場は益々拡大し、アジアの中での人の移動は増え、どの空港も非常に混雑している。

BorderPassは、ASEAN加盟国の人達がASEAN内の空港での入国審査を簡略化できるソリューションで、ユーザーは長い入国審査の列に並ばずに、スムーズに入国できるようになる。

BorderPassには、ユーザーのプロフィール、渡航履歴が記録され、飛行機を予約した段階で訪問先政府の入国管理当局に申請が転送される。ハイセキュアな顔認識テクノロジーを使ったシステムも導入し、渡航者の顔を判別する。

今後は、クアラルンプール、シンガポール、バンコクの空港に導入を目指し、3ヶ国、4つの空港、2つの航空会社とでパイロットプログラムを実施していきたいという。

Cropital(フィリピン)

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スピーカーは、Ruel Amparo氏。Cropitalはフィリピンの農家向けのクラウドファンディング・プラットフォーム。

とあるフィリピンの農家は、56歳、月の収入は50ドル以下、負債を抱えながら生きているが、実際に1000万のフィリピンの農家のうちの3分の2は、貧困線以下の暮らしをしているという。

そこでCropitalで、支援者や投資家は、投資したい農園や事業主を選び、投資を行う。農家はその資金をもとに設備投資をしたり、農業の生産性を高め、農作物収穫後に、得られた利益を支援者に還元する仕組み。

ビジネスモデルとしては、利益を農家が70%、支援者が20%、Cropitalが10%を分配。さらにトランザクション毎に5%の費用がかかるようになる。フィリピンの社会をよくしようとするソーシャル・インパクト投資(社会起業投資)の側面を併せ持つ。

コミュニティパートナーが実際に農家をヒアリングしてクラウドファンディングの準備をサポートしてくれるので、農家はITリテラシーが低くても大丈夫だという。

5月13日、14日にSlush Asia開催

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最後に、モデレータを務めていたSlush AsiaのAntti Sonninen氏が登壇し、今年の5月13日、14日に開催されるSlush Asiaの紹介を行った。

Slush Asiaは、アジア最大級のグローバルスタートアップイベントで、昨年4月にアジア初のSlushとして開催され、1日で3000人を超える参加者が集まった。

今年は昨年より規模を拡大して開催し、さらに5月6日から8日にかけて、スタートアップを対象とした大規模なハッカソンイベントも予定している。

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エンジェル投資家の存在と役割−−事業・経営経験を経たエンジェル投資家がスタートアップ・エコシステムを加速させる #tbfes

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「Tech and Life」をテーマに開催された「THE BRIDGE Fes」。100社のスタートアップブースが会場にひしめく中、中央のステージではトークセッションが開催された。ここでは、「日本版エンジェルの出現と役割」と題したプログラムセッションの内容をまとめる。Fesの様子はこちらで一覧できる。 スタートアップ・エコシステムを語る上で欠かせない「個人投資家」の存在。エンジェル投資家の多くは…

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「Tech and Life」をテーマに開催された「THE BRIDGE Fes」。100社のスタートアップブースが会場にひしめく中、中央のステージではトークセッションが開催された。ここでは、「日本版エンジェルの出現と役割」と題したプログラムセッションの内容をまとめる。Fesの様子はこちらで一覧できる。

スタートアップ・エコシステムを語る上で欠かせない「個人投資家」の存在。エンジェル投資家の多くは元起業家、もしくは現在も会社を経営している事業家だ。自身の経営経験などをもとに、シード期のスタートアップを金銭面や経営面など多岐にわたるサポートを行っている。

エンジェル投資家が日頃考えていることやエンジェル投資家と起業家の関係などについて、元クックパッドCOOで現在は個人投資家として活動している山岸延好氏、コロプラ取締役として現在も経営に携わりながら投資家としても活動している千葉功太郎氏、モデレーターにグロービス・キャピタル・パートナーズの高宮慎一氏が登壇した。

投資先を決めるポイントは「人」

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コロプラ取締役の千葉功太郎氏

普段、なかなか出会う機会が少ないエンジェル投資家。その投資先もあまり公開されていない。まずは、千葉氏、山岸氏それぞれの投資先やジャンルについて話された。

千葉氏は、現在もコロプラの経営に携わりながら個人投資家として活動。コロプラとしても投資活動をしているため、個人と会社と切り分けて投資を行っているという。

「次の若い起業家につなげたい」という思いで、個人としての投資先はtrippieceやスペースマーケット、スマートニュースやFiNCなど20社への投資を実施。またANRIやSkyland Ventures、Incubate Fund、B Dash Venturesといった15社のVCのLPとして投資にも参加している。

「投資する基準はCEOや人がイケているかどうか。なので会ってその場で投資は判断せず、なんども会って話をしたり、ときには事業に対して課題を渡してそれを短期間でどう解決しようとするかをみている。あと、社会性をもった事業への投資も個人的にはテーマ」(千葉氏)

山岸氏は2015年から投資活動をスタートしたばかり。この半年の投資家経験ながら、すでに入金済み10社、投資合意完了が5社の計15社への投資が決定している。クックパッドを退職してから毎月100人以上と面談している山岸氏。

「投資テーマは幅広い。訪問介護から運送系の人材会社、農業系、動画領域などさまざま。テーマの面白さとCEOの人の個性をみながら、10年スパンの長期的な視点で投資をしている」(山岸氏)

投資する、しないにかかわらず積極的に会って話を聞く姿勢で常に行動しており、時にはスタートアップのオフィスに訪問して日々の様子を観察しながらスタートアップと日々議論しているという。

エンジェル投資家だからこそできるメンタリング

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クックパッド元COO、個人投資家の山岸猛好氏

この数年でエンジェル投資家が増えてきたと高宮氏。千葉氏は「常に目線をあげ、自身の事業がどれだけのビジネスか、高い視点でいてほしい」とアドバイスし、山岸氏は「不安が常にあるなかで、軸をぶらさないよう勇気づけている」と、自身の経験をもとにメンタリングなど精神的な支柱としてサポート。また、シード期はプロダクトもお金も組織も不足している。そうしたなか、自身の経営経験から実務面でのサポートも行っている。

「毎週定例を行い、進捗や課題を一緒に取り組んでいる。投資家はいわば一緒に経営に取り組んでいる仲間。同じ目線で取り組んでいきたい。同時に、クックパッドといういまや5000万人に使われているサービスを数人で作っていた時代から知っている。その過程での挑戦や失敗を経験している。それをもとにアドバイスしている」(山岸氏)

起業家と二人三脚の姿勢の山岸氏に対して、千葉氏は起業家がやりやすい環境づくりに専念しているという。

「基本は放置。メンターはありがたいが、自身の経験からも時にジャマになることもあるからうまく距離感を取りながら適宜コミュニケーションしている。もちろん、次のラウンドで投資したり事業として力をいれて展開するときには深くコミットすることもある。タイミングとバランスを重視していきたい」(千葉氏)

千葉氏はメンターとしてFringe81執行役員の尾原和啓氏や資本政策アドバイザーとしてPrivateBANK代表取締役の佐藤貴之氏らをもとにしたメンタリングチームを組成し、投資先へのアドバイスを効果的にしている。また、投資先のスタートアップを集めたクローズドの合宿を開催。スタートアップ同士の情報交換をもとにしながら次の調達や次の会社ステージに向けたコミュニティづくりにも力をいれている。

自身の事業経験をもとに起業家目線でやりとりをするエンジェル投資家も、まだまだ足りないと語る千葉氏。「イグジットや成功した経験者がもっとエンジェル投資にまわってほしい」と話す。

経営と投資は相補関係

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グロービス・キャピタル・パートナーズの高宮慎一氏

千葉氏のように会社経営と個人投資の両輪を走らせる人も一部いる。そうしたときに、株主の利益相反をうまないよう、千葉氏は個人投資をする際には自社の経営会議で審議を実施。コロプラが投資をしたいと判断したときには優先的に投資し、経営会議でクリアになった後に個人投資を行うなど、会社投資と個人投資の調整を図っている。「こうした手間を踏みながらも着実にエンジェル投資の文化を醸成することに力をいれたい」と話す。

山岸氏は、経営と投資は相補関係があると指摘。

「事業を聞いて本気で投資しようと考えたときにはその事業が伸びるためにアイデアを考える。投資後は経営に参加し事業を成長させるために奔走する。経営と投資の狭間にいるなかで、投資の経験が経営に活き、経営の意識が投資判断にもいい影響を与える。事業と投資のバランスもうまくやればいい効果を生み出す」(山岸氏)

スタートアップだからこそ、夢や理念をもとに人を巻き込め

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最後に、事業経験をもつ二人から、シード期にすべきことについてのアドバイスがなされた。千葉氏は、なんと言っても「資本政策」と指摘。「投資家がすべて良い人とは限らない。複数からアドバイスをもらい、レファレンスを取ること。投資は逆戻りできないからこそ、投資額と比率などをしっかりと考えないとほしい」と重要性について熱く語る。

山岸氏は、「シード期だからこそサービスや製品に集中してほしい」と、スタートアップの根源的な取り組みを指摘。「当たり前な話だけど意外とできていない人がいるシード期だからこそ、常にユーザ視点、より良い製品づくりをやってほしい」と話す。

採用やチーム作りに関しても、千葉氏は「さまざま手法で積極的に声をかけること。優秀な人を巻き込むためには夢を共感できるまでなんども説明すること。採用やリクルーティングは事業の根幹にも関わること」と採用やチーム作りの重要性を指摘。

採用はリソースの3割は割くべきと話す山岸氏。「人がいないとすべて自分がオペレーションし、時間がなくなる。悪循環に陥る。売上や上場ではなく、誰にどんなサービスや価値を提供するかという理念をもとに、ひたすら優秀な人を口説こう」と情熱と時間をかけることの大切さを語った。

「この2年でスタートアップシーンは活況になり、エンジェル投資家も台頭してきた。いいエコシステムができるためにも、スタートアップはやらないほうがもったいない。この波を掴んでチャレンジしてほしい」(千葉氏)

「挑戦する人は積極的に応援する。投資するしないにかかわらず相談事も受け付けたい。エンジェル投資家を使う意識で、積極的に声かけてほしい」(山岸氏)

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C Channelが海外進出「C CHANNELタイ」をオープンへ、月間動画再生数は3700万回に成長 #tbfes

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総合ファッション動画メディア「C CHANNEL」を運営するC Channelは2月19日、ASEANで電子書籍事業を展開するOokbee Company Limitedと提携し、C CHANNELタイをオープンすると発表した。また、同社は月間の動画再生回数が3700万回に到達したことも公表している。 昨年4月10日に公開されたC CHANNELはスマートフォン対応の縦型動画スタイルや「クリッパー…

左から:スマートニュース メディアコミュニケーションディレクターの松浦 茂樹氏、『C CHANNEL』編集長の山崎 ひとみ氏、C Channe取締役の三枝 孝臣氏
左から:スマートニュース メディアコミュニケーションディレクターの松浦 茂樹氏、『C CHANNEL』編集長の山崎 ひとみ氏、C Channe取締役の三枝 孝臣氏

総合ファッション動画メディア「C CHANNEL」を運営するC Channelは2月19日、ASEANで電子書籍事業を展開するOokbee Company Limitedと提携し、C CHANNELタイをオープンすると発表した。また、同社は月間の動画再生回数が3700万回に到達したことも公表している。

昨年4月10日に公開されたC CHANNELはスマートフォン対応の縦型動画スタイルや「クリッパー」と呼ばれるユーザー主導型のコンテンツ制作手法もさることながら、前LINE代表取締役の森川亮氏の新プロジェクトということもあって大いに注目を集めた。

オープンから約10カ月の時を経て、発表の通り月間の動画再生回数は3700万回と順調に数字を伸ばしている様子だ。最近ではGalaxyがCCHANNELのオフィシャルサポーターになるなど、広告展開の面でも動きを見せている。

<参考記事>

【追記あり】LINE前代表の森川亮氏の新たな道は「動画」ーーC Channelが主要ネット企業より5億円を調達 #bdash

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そして今日、本誌主催のイベント「THE BRIDGE Fes」の壇上で、新たな展開としてタイの電子書籍事業を手掛けるOokbeeとの提携を発表した。

Ookbeeは東南アジア版「Amazon」で、電子書籍界隈では認知された存在だ。2011年創業の同サービスは現在650万人の会員を保有し、電子書籍だけでなくゲームやアプリなど幅広いコンテンツを取り扱っている。

中央:Ookbee CEOのMoo氏
中央:Ookbee CEOのMoo氏

壇上には、Ookbee CEOのMoo氏が登場。「Ookbeeは、半分以上がティーンのユーザ。日本のメイクやヘアについても積極的に採り入れている。LINEのユーザ数が日本についで多いことからも親和性が高いことがわかる。今回のパートナーシップによって、共にASEANで成長していければ」と語った。

C CHANNELは今後、Ookbeeを通じてタイの「クリッパー」たちと契約し、タイ語オリジナルのコンテンツを配信すると同時に、動画ショッピングの分野にも展開を広げるという。

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月次流通総額は約36億円にーー買収後も成長し続けるミクシィとフンザのM&Aストーリー #tbfes

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「Tech and Life」をテーマに開催された「THE BRIDGE Fes」。100社のスタートアップのブースが会場にひしめく中、中央のステージではトークセッションが開催された。 最初のセッションを飾ったのは、ミクシィとフンザの2社。ミクシィに買収された後も、大きくサービスを成長させているフンザの話を聞くことで、国内スタートアップにおけるM&Aの今後を考える。 ゲストは、ミクシィ代…

左から:東洋経済オンライン 編集長の山田 俊浩氏、フンザ代表取締役社長の笹森 良氏、ミクシィ代表取締役社長の森田 仁基氏
左から:東洋経済オンライン 編集長の山田 俊浩氏、フンザ代表取締役社長の笹森 良氏、ミクシィ代表取締役社長の森田 仁基氏

「Tech and Life」をテーマに開催された「THE BRIDGE Fes」。100社のスタートアップのブースが会場にひしめく中、中央のステージではトークセッションが開催された。

最初のセッションを飾ったのは、ミクシィとフンザの2社。ミクシィに買収された後も、大きくサービスを成長させているフンザの話を聞くことで、国内スタートアップにおけるM&Aの今後を考える。

ゲストは、ミクシィ代表取締役社長の森田 仁基氏、フンザ代表取締役社長の笹森 良氏。モデレーターは東洋経済オンライン 編集長の山田 俊浩氏が務めた。

M&Aに至るまで

2. 【確定】笹森
資料:チケットキャンプの月間流通総額変遷

山田氏:「チケットキャンプ」は2015年3月に買収された後、成長が加速しており、2015年12月時点で流通総額が約36億円を超えています。今日は、そもそもどうして買収に至ったのか、買収された後で何が変わったのか、といったことを伺っていけたらと思います。まず、きっかけは一体どういったことだったのでしょうか?

森田氏:元々、笹森さんのことは知っていたんです。仕事でミクシィアプリを一緒に作っていて。一緒に仕事をしていくうちに「すごい人だ」ということはわかっていて。あるとき、久しぶりに会ったらチケットのサービスをやっていて、「ミクシィと何かできないか」という話をされました。

笹森氏:なぜ僕がミクシィに声をかけたかというと、僕が外部プレイヤーで最もミクシィのポテンシャルを評価している人間だと自認しているからなんです。チケットを売るために、どうアプローチするかを考えたときに、ミクシィのコミュニティとツイッターのハッシュタグを活用するくらいしか、個人のニーズをセグメントする方法がない。では、前者にたいしてどう入り込んでいくかと考えたのが、最初に相談したきっかけでした。それが2013年の冬のころでしたね。

山田氏:そのとき、出資の話は?

笹森氏:まだそのときはしていなかったですね。

山田氏:では、2社はどこで化学反応が起きたんですか?

森田氏:当時、ミクシィはモンスターストライクが出始めたころ。自分たちの狙いを理解してブログを最初に書いてくれたのがフンザだったんです。その前からわかっていたことでしたが、「この人センスいいな」と思って、話をするようになり、話を進めていくうちに「一緒にやろうよ」となって、今に至ります。

山田氏:買収の話がスムーズに進んだのは、フンザには出資が入っていなかったこともある、と聞いています。

笹森氏:フンザの資本政策は変わってるんです。外部資本を一切いれませんでした。なぜ調達しなかったかいうと、創業メンバーは全員が30歳を超えていて、家族もいました。この先の数年間どう生きるかというのはとても重要なことだったんです。そこで、僕たちは起業にリミットをつけようと決めました。3年で結果が出なかったら辞めようと。そのためには、辞めどきは自分たちで決められないといけないので、100%自分たちで運営できるよう自己資本だけでやらないといけなったんです。

山田氏:それで素早く意思決定できたんですね。オフィスがない状態でM&Aしたという話については?

笹森氏:正確には、オフィス賃貸料を払わずにM&Aした、ですね。友達のオフィスにずっと間借りしてたんです。その会社のオフィスが移転したら一緒にくっついていきました(笑)

山田氏:それはすごい(笑)ミクシィは上場企業で、慎重に将来の価値を計算しなければならなかったかと思います。このM&Aのすごいところは、森田さんが自分で交渉の先頭に立ったこと。大企業のM&Aにありがちなのが社長は最初だけ交渉の席について、後は担当者に任す。話を重ねるうちに、だんだんと話が変わってきてしまうというケース。自らしっかりと話をしたところがすごいですよね。

森田氏:フンザのものづくりに対してリスペクトしていたんですよね。ぜひ一緒にやりたかった。志に共感していたので、交渉は自分でやるべきだと思ったんです。そこはブレずに半年くらい話し合いを重ねました。時には夜中に会ったりすることもありましたね。比較的短い期間で意思決定したと思います。

笹森氏:途中、不安になってしまった時期もあって、森田さんに揺さぶりをかけようと思ったことがあったんです。夜中なのに「どうしても話がしたい」と連絡して、ちゃんと来てくれるか確かめようとした(笑)そしたら森田さんは、会食を途中で抜けて、夜間通用口から入ってきてくれました。いま考えると悪いことしたなって思います(笑)

森田氏:モンストなど、既存事業が順調な間にワクワクできるものを探していたんです。そしたら、「チケットキャンプ」があったので、楽しかったですね。115億円という金額はけして安い金額ではありませんが、モンスターストライクで生み出した資金を使って買収するだけの価値があるとミクシィのみんなに言えると思っていました。

アフターM&A

2. 【確定】笹森
資料:チケットキャンプの月間流通総額変遷

山田氏:買収が終わった後の話を聞いていきたいと思います。買収後も、「チケットキャンプ」の数字は爆発的に成長していますよね。新しい試みをはじめて、大きな成長になったのだと思いますが、ブーストの要因はなんだったのでしょうか?

笹森氏:M&Aする際に、マスマーケティングの展開についても話をしていました。名前の知られていない会社が、テレビCMを打つのは大変ですが、ミクシィのバックアップがついた。最速でマスマーケティングに向けた動きを進め、M&Aの翌週には代理店と打ち合わせをし、3ヶ月後の7月にはテレビCMを放映することができました。

山田氏:なるほど。フンザの社員はいまミクシィに転籍していると伺いましたが、人事制度なども一緒になっているのでしょうか?

森田氏:そうですね。ミクシィと同じになっています。

山田氏:笹森さんには、会社をとられちゃうんじゃないか、といった防衛本能はなかったんですか?社員をまるごとミクシィの社員にしてしまうまで、ミクシィに食い込むというのはどう決断したのでしょうか。

笹森氏:買収の際に、話していたことが2つあります。1つは、森田さんと僕の間に人を置かないで組織図で社長直下にしてもらったこと。もう1つは、買収時にいた10名の社員をとにかくかわいがってほしいというもの。M&Aを伝える瞬間まで、社員向けにも儲かっていないフリをしていたんです。そのため、社員の待遇はよくはなかった。ミクシィに入ることで、社員の待遇をよいものにしてあげたいと考えていたんですね。それなら、社内制度はミクシィに合わせたほうがいい。

山田氏:いまでも、森田さんの直轄というのは変わらず?

森田氏:それまで、グループ会社のどこの役員にも属してなかったのですが、フンザだけは役員になってコミットしています。

M&Aで両社に起きた変化

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山田氏:モンストが生まれ、社員の中からアイデアを出すための施策を行い、M&Aも行って、ミクシィ社内のモチベーションはどう変わりました?

森田氏:ものすごくいい影響がありましたね。モンストは、当時の社内の文化からすると、違う文化。異なる文化が混ざることで、組織内が活性化されました。もうちょっと違う文化があると、さらに活性化するんじゃないか?と考えていたところ、「チケットキャンプ」と出会って。

笹森氏:フンザのほうは、ミクシィを支えていたエンジニアの働きぶりを間近で見ることができて、エンジニアがとても刺激を受けていますね。

山田氏:来月で買収から1年が経過します。これからどういうことを仕掛けていく予定ですか?

森田氏:元々、一緒になるときに「チケットキャンプが成長して世の中に浸透するのは当たり前。次のサービスを一緒に作っていきましょう」と笹森さんから言われていました。チケットキャンプは想定より早く市場のシェアを獲得できたので、次の新しいチャレンジに向けて準備していきたいと思います。

山田氏:DeNAは自動車事業に着手したりと、新しいことといっても色々な可能性が考えられますが、何かヒントをもらえたりしませんか?

笹森氏:自分は、インターネットどっぷりな人間です。得意なことしかやらないと決めているので、ソフトウェアやサーバーなど、インターネットの強みを活かしたサービスを今後もやっていきたいと考えています。自分のキャリアの中で絶対やってみたいのは、コミュニケーションサービス。コミュニケーションサービスは当たると爆発的に成長します。これを成功させられるまで、何回か打席に立てたらいいなと思っています。

森田氏:笹森さんはいい意味でサバサバしてるのがいいですよね。そうすると、どんどん新しいチャレンジができる。打席に立つということはとても重要です。事業はやろうと思えばいくらでも続けられてしまう。ミクシィという会社で見ても、資金があって存続はできる。では、存在意義は何になるのか。世の中に価値を生むものを作れているのかを問いかけていきたいと思います。私たちのミッションは、「新しい文化を創る」ですから。

山田氏:M&Aをする上では、企業の本質を見ないといけませんよね。M&Aを決定する上で、どういった点を重視しますか?

森田氏:何かものごとを成し遂げる人というのは、お金で動かない人だと考えています。たとえば、笹森さんはM&A前と後で全く生活が変わっていない。何をしているときが楽しいのかといえば、サービスを作っているときが楽しい人なんです。こういう人が何かを成し遂げるんだろうなと思いますね。M&Aの際も、そういった点を見ています。

山田氏:提携先や買収先の想いをしっかりと見ないといけませんよね。それができているかどうかで、M&A後の両社の状態が変わってくる。企業の姿勢を示すうえでもM&Aは重要になりますね。

森田氏:今日も良い出会いがあればいいなと思ってます。

笹森氏:今日、森田さんは代表印をもってきているそうです。代表印を持った代表の人間が会場にいる。スタートアップの方々はこの意味を感じとってほしいですね(笑)

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